ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第6話 ありふれた姫君

 

 

 

 

ある日、ルイズは朝から頭を悩ませていた。

 

「迂闊だったわ………品評会の事、すっかり忘れてた…………」

 

突然朝っぱらからルイズに呼び出され、今日の午後から使い魔の品評会がある事を伝えられたのだ。

確か使い魔の品評会ってアニメオリジナルの話だったよな…………

でも、俺の記憶だと使い魔の品評会の時にフーケの襲撃があったはずだし…………

既にフーケの襲撃は終わってるから、アニメ基準な物事の流れという事でもなさそうだし…………

やはりこの世界は原作ともアニメとも違う世界線のようだな。

その所為でエンシェントドラゴンルートなのか、地球侵略ルートなのか、それともそれ以外なのかが全く予想出来ん。

やはりしばらく様子を見るしかなさそうだ。

 

「つまり、皆の見ている前で、何か一つ芸をしろって事?」

 

優花が面倒臭そうに後頭部を掻きながらそう聞く。

 

「わ、忘れてたのは悪いと思ってるわ! だけど、2年生は全員参加だからすっぽかす訳にも行かないし…………」

 

まあ、最近のルイズはフーケの騒ぎやら、自分が虚無の担い手であることを知ったりと、精神的に余裕が無かったのは確かだろう。

 

「はぁ…………分かったわよ。大道芸レベルで良いなら得意な芸があるわ」

 

「ホント!?」

 

「ええ。だけど、あくまで大道芸レベルだからね」

 

優花の奴、『あれ』をやる気だな。

確かに優花に嘘は無い。

優花がやろうとしている事は大道芸だ。

 

「構わないわ! 皆をあっと言わせて頂戴!」

 

ルイズは期待する眼差しで優花を見つめた。

 

「だから大道芸レベルだってば」

 

優花の言葉は、品評会を乗り越えられそうだと喜ぶルイズには届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の授業の時間。

今回の授業の教師は、ギトーと呼ばれる男だった。

そのギトーだが、長い黒髪に、漆黒のマントを纏ったその姿は不気味で、冷たい雰囲気も相まって生徒たちからは人気が無いらしい。

確かに見た目はザ・悪役って感じだ。

 

「では、授業を始める。知っての通り、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトーだ」

 

その不気味な雰囲気と喋り方に、教室中がシーンと静まり返る。

その様子を満足げに見つめ、ギトーは言葉を続けた。

 

「最強の系統は知っているかね?ミス・ツェルプストー」

 

いきなりキュルケに話を振る。

 

「『虚無』じゃないんですか?」

 

「伝説の話をしているわけではない。現実的な答えを聞いてるんだ」

 

ギトーはそう言うが、その『虚無』という言葉にルイズはピクリと反応し、タバサはチラリと視線を向けた。

だが、ギトーの言い方にカチンときたキュルケが、

 

「『火』に決まっていますわ。ミスタ・ギトー」

 

不敵な笑みを浮かべて言い放った。

 

「ほほう。どうしてそう思うね?」

 

「全てを燃やしつくせるのは、炎と情熱。そうじゃございませんこと?」

 

「残念ながらそうではない」

 

ギトーは腰に差した杖を引き抜くと言い放つ。

 

「試しに、この私に君の得意な『火』の魔法をぶつけてきたまえ」

 

キュルケは驚いたように目を見開く。

 

「どうしたね?きみは確か、『火』の系統が得意ではなかったのかな?」

 

煽る様にギトーは言う。

 

「火傷じゃすみませんわよ?」

 

キュルケは目を細めて言った。

 

「かまわん。本気で来たまえ。その、有名なツェルプストー家の赤毛が飾りではないのならね」

 

キュルケの顔から、いつもの小ばかにしたような笑みが消えた。

胸の谷間から杖を抜き、キュルケが呪文を詠唱すると、火の玉が現れ次第に膨れ上がり、直径1mほどの大きさになった。

他の生徒たちが慌てて机の下に隠れる。

キュルケは炎の玉を押し出すようにギトーに向けて放つ。

唸りを上げて自分目掛けて飛んでくる炎の玉を避ける仕草も見せずに、ギトーは腰に差した杖を引き抜き、そのまま剣を振るようにしてなぎ払った。

烈風が舞い上がり、一瞬にして炎の玉は掻き消え、その向こうにいたキュルケを吹っ飛ばした。

その光景に教室が再び静まり返る。

悠然として、ギトーは言い放った。

 

「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。簡単だ。『風』は全てを薙ぎ払う。『火』も、『水』も、『土』も、『風』の前では立つことすら出来ない。残念ながら試したことは無いが、『虚無』さえ吹き飛ばすだろう。それが『風』だ」

 

キュルケは立ち上がると、不満そうに両手を広げた。

気にした風もなく、ギトーは続けようとした。

だが、

 

「じゃあ、何でフーケの討伐に名乗り出なかったんだろ?」

 

葵がポツリと呟いた。

葵は何となく呟いただけの様だが、その言葉は教室が静まり返っていたことも相まって教室中に響いた。

 

「………………………」

 

ギトーの言葉が止まる。

 

「確かにそうね。もし先生がフーケ討伐についてきてくれたら、もしかしたらフーケを捕まえることも出来たかもしれないし」

 

優花がわざとらしく聞こえるように言葉を続けた。

 

「そ、それは…………あの時は体調が万全では無かっただけだ………!」

 

ギトーは取り繕うようにそう言う。

 

「有事の際に使えない『力』なんて、いくら強力でも無意味よ」

 

煽りまくる優花に俺は思わず苦笑してしまった。

ギトーの顔が真っ赤に染まっていき、いよいよ実力行使に出ようとした。

その時、教室の扉がガラッと開き、緊張した面持ちのコルベール先生が現れた。

そのコルベール先生は、頭にロールした金髪のカツラを乗せている。

更に見ると、ローブの胸にはレースの飾りやら、刺繍やらが躍っている。

 

「ミスタ?」

 

ギトーが眉をひそめた。

 

「あやややや、ミスタ・ギトー!失礼しますぞ!」

 

「授業中です」

 

コルベール先生を睨んで、ギトーが短く言った。

 

「おっほん。今日の授業は全て中止であります!」

 

コルベール先生は重々しい調子で告げた。

教室中から歓声があがる。

その歓声を抑えるように両手を振りながら、コルベール先生は言葉を続けた。

 

「えー、皆さんにお知らせですぞ」

 

もったいぶった調子で、コルベール先生はのけぞった。

その拍子に頭に乗せたカツラがとれて、床に落ちる。

教室がくすくす笑いに包まれる。

 

「滑りやすい」

 

一番前に座ったタバサが、コルベール先生の禿げた頭を指差してぽつんと呟いた。

教室が爆笑に包まれる。

コルベール先生には悪いが俺も少し噴き出してしまった。

キュルケが笑いながらタバサの肩をぽんぽんと叩いて言った。

 

「あなた、たまに口を開くと、言うわね」

 

コルベール先生は顔を真っ赤にすると、大きな声で怒鳴る。

 

「黙りなさい!ええい!黙りなさいこわっぱどもが!大口を開けて下品に笑うとは全く貴族にあるまじき行い!貴族はおかしいときは下を向いてこっそり笑うものですぞ!これでは王室に教育の成果が疑われる!」

 

とりあえずその剣幕に、教室中が大人しくなった。

 

「えーおほん。皆さん、本日はトリステイン魔法学院にとって、よき日であります。始祖ブリミルの降臨祭に並ぶ、めでたい日であります」

 

コルベール先生は横を向くと、後ろで手を組み言葉を続ける。

 

「恐れ多くも、先の陛下の忘れ形見、我がトリステインがハルケギニアに誇る可憐な一輪の花、アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問からのお帰りに、この魔法学院に行幸なされます。そして、本日行なわれる、使い魔品評会をご覧になられることになりました」

 

教室がざわめいた。

 

「したがって、粗相があってはいけません。急なことですが、今から全力を挙げて、歓迎式典の準備を行ないます。そのために本日の授業は中止。生徒諸君は正装し、門に整列すること」

 

生徒たちは、緊張した面持ちになると一斉に頷いた。

コルベール先生はうんうんと重々しげに頷くと、目を見張って叫んだ。

 

「諸君が立派な貴族に成長したことを、姫殿下にお見せする絶好の機会ですぞ!御覚えがよろしくなるように、しっかりと杖を磨いておきなさい!よろしいですかな!」

 

コルベール先生の言葉に再び生徒達は頷いたのだった。

 

 

 

 

 

「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおな―――――り―――――――ッ!!」

 

呼び出しの衛士が高らかに王女の登場を告げる。

ユニコーンに引かれた立派な馬車から、差し出された使用人の手を取って立派なドレスを着た王女様が降りて来た。

その瞬間、生徒達から歓声が上がる。

 

「あれがトリステインの王女?ふん、あたしの方が美人じゃない。そう思わない?」

 

キュルケがつまらなそうに呟き、タバサに問いかける。

 

「さあ」

 

タバサは本を読んだまま、興味無さげにそう答えた。

って言うかタバサ。

こんな時にも本を読み続けられるその胆力は凄いな。

胆力だけならハジメ並では無かろうか?

 

「王女様ねぇ……………」

 

優花が値踏みする様な視線で王女を見つめる。

 

「リリアーナ王女みたいな人かな?」

 

葵も興味深げに見ている。

いや、リリアーナ王女は腹黒だが、アンリエッタ王女は最初、頭お花畑だったはずだぞ。

親友を無自覚に死地に送り出すぐらいだから。

いや、危険だとは理解していたが、その場のノリと勢いで結局ルイズに頼んだったんだか?

ふとルイズを見ると、懐かしそうに、嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「只今より、本年度の使い魔お披露目をとりおこないます」

 

司会役のコルベール先生が宣言した。

観客の生徒達が沸き立つ。

お披露目する側の生徒達が、次々と使い魔を披露していく。

キュルケのサラマンダーが火を吹く。

モンモランシーのカエルがバイオリンの演奏に合わせて芸を披露する。

マリコルヌのフクロウが旗を加えて空を飛ぶ。

その度に歓声が上がる。

ただ、ギーシュが大きなモグラと一緒に薔薇だらけで登場した時は、別の意味でどよめきが広がったが。

なかでも、一際歓声が大きかったのは、やはりタバサのシルフィードだった。

因みに、俺達の順番は一番最後だ。

何で『ゼロ』と呼ばれているルイズが大トリを務めるのかが謎だが。

 

「では、最後になりますのは、ミス・ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール」

 

コルベール先生に呼ばれ、

 

「行くわよ」

 

ルイズに言われて俺達は壇上へ上がる。

 

「紹介いたします! わたくしの使い魔、クロキ・タイシ、カミシロ・アオイ、ソノベ・ユウカ、ドルモン、リュウダモン、ハックモンです! 種類は…………こちらの3人は『人間』で、そちらの3匹は『デジモン』という種族になります」

 

『平民』と言わなかっただけマシだな。

まあそれでも観客にしてみれば笑い物だが。

ルイズは拳をグッと握りしめて我慢している。

 

「それでは、彼らを代表して、ソノベ・ユウカが芸を披露します!」

 

ルイズはそう言うと、優花に視線を向けた。

その目は如何か見返してと言っている様だ。

優花は任せなさいと言うように口元を吊り上げ、前に出た。

 

「じゃ、行くわよ!」

 

優花が両手を横に広げると、その手に無数のナイフが扇の様に広げられた。

優花はそのナイフを順番に、左右交互に上に放り投げて行く。

所謂ジャグリングだ。

観客達は、何だ大道芸か、と言いたげに馬鹿にしたような視線を優花に向ける。

まあ、今はまだナイフ10本ぐらいだからまだ大道芸で済むだろう。

俺は内心笑みを浮かべながら、優花の横に待機する様に片膝を着いて座り込むと、優花を挟んで反対側に葵が同じように座り込んだ。

そして、

 

「ほい! ほい! ほい!」

 

「はい! はい! はい!」

 

俺達は〝宝物庫〟から次々と追加のナイフを優花に投げ渡していく。

それを優花は事も無げに受け取り、ジャグリングに加えて行く。

馬鹿にするように笑っていた観客達は、ナイフの数が20本、30本と増えて行く内に、その笑いが乾いた笑いに変わっていく。

それでも優花は次々とナイフを増やしていく。

ナイフの数が50本を超えたあたりからは、乾いた笑いすら零れなくなり、

 

「「「「「「「「「「…………………………………」」」」」」」」」」

 

最終的には100本ものナイフが宙を舞う頃には、すっかりと静まり返ってしまった。

その光景には、壇上のルイズも驚愕の表情で固まっている。

まあ、大道芸レベルと聞いていたから、ここまでは予想していなかったんだろう。

 

「…………正直まだまだ余裕だけど、時間の問題もあるからこの程度にしておくわ」

 

優花は余裕を持った声でそう言う。

俺は最後の仕上げに縦横2m四方の板を取り出すと、少し離れた場所で優花に面を向ける。

そして、

 

「はっ!」

 

優花がジャグリングしながらその板にナイフを投げつけ、突き立てて行く。

程なく100本のナイフ全てを投げつけ終わると、俺はその板を観客達に見せるように向きを変える。

するとそこには、100本のナイフで描かれた百合の紋章があった。

おおっ、と感嘆の声が広がる。

俺達はその板をステージの後ろに立てかけると、そのまま礼をして壇上からおりて行く。

 

「…………い、以上、ミス・ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールでした」

 

コルベール先生が何とか司会を務め、そう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

結果を言えば、1位になったのはタバサのシルフィード。

やはりドラゴンというのは印象が強いらしい。

まあドルモン達を進化させれば1位を取れたかもしれないが、態々ドルモン達を見世物にする気は無い。

そしてその夜、俺達は割り当てられた使用人の部屋に居たのだが……………

突然、バンッと部屋の扉が開け放たれ、ルイズとギーシュ、そしてフードを被った人物が入って来た。

 

「あんた達! 明日からアルビオンに行くわよ!」

 

開口一番ルイズがそう言い放つ。

俺がここは原作通りなのかと思いながら頭を掻き、

 

「とりあえず何が目的で、如何してそうなったぐらいは教えてくれないと困るんだが………」

 

まあアルビオンの王子様からラブレターを返して貰いに行けって話なんだろうけど。

すると、フードの人物が扉を閉め、フードを外した。

その素顔は、やはり予想通りアンリエッタ王女だ。

 

「あなた達がルイズの使い魔ですね。初めまして。わたくしはアンリエッタ・ド・トリステイン。この国、トリステインの王女です」

 

「はあ、初めまして。ルイズの使い魔(仮)の黒騎 大士です」

 

「同じく神代 葵です」

 

「同じく園部 優花よ」

 

「俺はドルモン!」

 

「某はリュウダモン」

 

「私はハックモンだ」

 

俺達はそう返すと、

 

「だから(仮)は余計よ…………!」

 

ルイズは不満そうに頬を膨らませる。

 

「で? 何でこの国の王女サマがルイズと一緒に居るんだ? あとギーシュも」

 

「あとって何だい、あとって!?」

 

ついで扱いされたギーシュが声を上げる。

だが、ルイズがそれをスルーして事の顛末を話し出した。

暫くして説明を終えると、

 

「要するにルイズと王女サマは幼馴染で、王女サマにとってルイズは最も信頼できる人間。で、王女サマはゲルマニアと同盟を結ぶために政略結婚で嫁ぐことが決まった。でも、その婚姻を妨げる材料になる手紙をアルビオンの王子様が持っている。しかもそのアルビオンは内戦の真っ最中で、王子様が所属する王党派は壊滅寸前。その手紙も貴族派に奪われてしまえばゲルマニアとの同盟もご破算。そうなればこの国はピンチになるから、王党派が倒れる前にアルビオンに行ってその手紙を回収して来いと? あと、序にギーシュは王女サマをストーカーしてその話を盗み聞いたうえで任務に志願したと………」

 

「その通りよ」

 

「だから何で序なんだね!? あとストーカーでは無い!」

 

ルイズは頷き、ギーシュは不満なのか再び声を上げる。

が、そんなギーシュを無視し、

 

「…………そもそもそんな危険な任務を学生であるルイズに頼むこと自体が間違ってると思うんだが…………」

 

俺は率直な感想を述べる。

 

「あなたの言いたいことは分かります。ですが、王宮にも何処に間者が潜んでいるか分かりません。わたくしが真に信を置けるものがルイズ以外には思いつかなかったのです」

 

「…………王女サマ、一つ聞きたいが、王女サマは本当にルイズがこの任務を遂行できると『信用』してルイズに依頼したのか?」

 

俺はそう問いかける。

 

「何を言っているのよ! 姫様が真に信を置けるものが私以外にが居ないと仰ったじゃない!」

 

ルイズがそう言ってくる。

 

「俺が言いたいのはそうじゃない。確かにルイズは王女サマにとって友人で、信頼………『信じて頼れる』相手なんだろう。確かに裏切られる心配が無いという意味ではその人選は間違ってはいない」

 

「なら良いじゃない………!」

 

「良くない。最も重要な事は、その任務を遂行できるだけの『力』があるかどうかだ。王女サマは、王女としての立場から見て、ルイズならこの任務を遂行できるだけの力があると信じて用いた……………つまり、『信用』して依頼したのかって事だ」

 

「ですがルイズは、世間を騒がせていたあの『土くれ』のフーケを退けた1人だと聞いています。それならばと思ったのですが………」

 

「その辺の盗賊退治と内戦真っただ中の戦地の危険度を一緒にするなよ…………」

 

俺は王女サマの言葉に呆れてしまう。

 

「そもそも、『手紙の回収』って何だよ? そんなヤバい手紙なら、その場で即刻処分してもらった方が確実だろ? もし手紙の回収に成功しても、帰還中に手紙が奪われたら意味が無いだろう?」

 

「そ、それは…………」

 

「もし王女サマの個人的な理由で手紙を破棄したくないと思っているのなら、アンタは王族失格だ」

 

「ッ………!?」

 

「ちょっとアンタ!? 姫様に何て事言うのよ!?」

 

王女サマが絶句し、ルイズが憤慨する。

 

「俺の知る王族は、腹黒王女と脳筋皇帝位だが、あんたに比べたらあの2人の方がよっぽどマシだ」

 

「腹黒!? 脳筋!? 何言ってるのかね!? そんな者達と、我がトリステイン王国の誇る清楚で可憐な一凛の花であらせられる姫殿下を一緒にしないでもらおうか!?」

 

ギーシュも憤慨して声を上げた。

だが、

 

「お前こそ何言ってやがる? 脳筋はともかくとして、そもそも王族や貴族なんて腹黒く無きゃやっていけないだろ? 持論になるが、その腹黒さを民の為に使えるのが良き為政者。自分の私欲の為に使うのが駄目な為政者。そして………………腹黒くなれない者は、単なる『お飾り』にしかなれないと思っている」

 

リリアーナ王女は前者。

ガハルドもどちらかと言えば、前者に入るだろう。

自国民以外には最悪だが。

 

「そして俺の見る限り、今のアンリエッタ王女は単なる『お飾り』の姫だ。だから状況や周りの意見に流され、自分がどのような『選択』をしているのかハッキリと自覚していない」

 

「選択…………?」

 

王女サマは首を傾げる。

 

「ルイズは王女サマに大丈夫だと言ったと思うが、俺達の予想では………いや、予想するまでもなく、今のルイズやギーシュの実力では、ほぼ確実に『死ぬ』ぞ………!」

 

「し……………ぬ……………? ルイズが……………? わたくしのお友達が……………?」

 

「ああ。そして、その命令を下したのアンタだ」

 

「…………わたくしの所為で………………ルイズが…………………あ………ああっ………! ああああああああああああっ!」

 

その可能性を漸く実感したのか、王女サマは頭を抱えて首を振る。

 

「姫様!」

 

ルイズが王女サマに駆け寄り、その身体を支える。

ルイズが何か言いたげに俺を見てきたが、

 

「悪いが撤回はしないぞ。さっき言った言葉に嘘は無い」

 

その言葉にルイズは口を噤んで俯く。

すると、

 

「……………ねえ、私とギーシュだけで任務に赴けば『死ぬ』のよね?」

 

「ああ」

 

その言葉に俺は間髪入れず頷く。

すると、ルイズは顔を上げ、

 

「……………ならお願いするわ。私と一緒にアルビオンに行って! 私だけじゃ力不足なのは分かった。だけど、だからと言ってこの任務を断るわけにはいかないわ! この任務にはこの国の未来がかかってる。私は貴族としてこの国を救う義務があるわ!」

 

真剣な表情でルイズはそう言い放つ。

 

「…………………まあいいだろう。使い魔(仮)の役目の一環として、ルイズの身の安全は保障しよう。ただし、あくまでルイズの身を護るだけだ。王党派に味方して敵の軍隊と戦えなんて命令は聞かないからな」

 

俺はそう言っておく。

 

「そこまでは言わないわよ…………ありがとう」

 

ルイズはそう礼を言った。

すると、頭を抱えていた王女サマが顔を上げる。

 

「……………ルイズ、先程渡した手紙を出してください」

 

「は、はい」

 

ルイズが懐から手紙を差し出す。

すると、アンリエッタがその手紙を受け取ると、手紙の一部分を書き直した。

 

「ルイズ。任務を変更します。手紙の回収ではなく、手紙の破棄を確認してきてください」

 

「ッ………! お任せください、姫様!」

 

ルイズは膝を着いて改めて手紙を受け取った。

そして、

 

「そして、これはあなたのお友達としてのお願いです。どうか無事に帰ってきてください………これはお守りです」

 

王女サマは最後にそう言うと、自分の指から指輪を外してルイズに渡す。

 

「ッ…………姫様、これはっ!」

 

「母君から頂いた『水のルビー』です。お金が心配なら売り払って旅の資金に充ててください。この任務にはトリステインの未来がかかっています。母君の指輪がアルビオンに吹く猛き風から、あなた方を守りますように」

 

王女サマは祈る様にそう呟いたのだった。

 

 

 






ゼロ魔クロス第6話です。
今回はアニメであった使い魔品評会でした。
ぶっちゃけ過去作の流れをそのまま転用してたりします。
芸と言ったら優花のジャグリング以外に無いと思った。
優花は原作でも100本同時は可能な様なので、この小説の優花は余裕です。
さて、お姫様も現れましたがこの時期はお花畑な様なので少し論破させていただきました。
王族は腹黒というのは完全な持論ですので気に入らなくてもスルーしてください。
さて、次回はあのロリコン隊長が登場。
お楽しみに。

タバサをヒロインに格上げするか否か?

  • ヒロインにしてしまえ!!
  • しない。初恋とは散るものである
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