ルイズの絶叫から暫くして、着替えたシャルロットがペルスランを伴って戻ってくる。
シャルロットの恰好は、魔法学院の制服になるべく近付けた物だ。
おそらく、公爵夫人の服を貰ったんだろう。
「お待たせ」
そう言ったシャルロットの姿を改めて見る。
身長は160cm越え。
髪は白く、背中まで届く長さになっており、瞳は赤い。
身長が伸びたことに伴い、身体全体の肉付きも良くなっており、特に胸の発達が著しい。
優花やキュルケよりも少し小さめと言った所か。
手足もスラッと長く、言っては悪いが、以前の幼児体型と比べれば、女性としての魅力は天と地だ。
あと、気付いたが今のシャルロットはメガネをしていなかった。
魔物肉の影響で視力も上がったんだろうか?
すると、その時に彼女の顔を見ていたことに気付いたのか、シャルロットの視線が俺の視線と交わる。
すると、フッと笑みを浮かべた。
「ッ……………!?」
その笑みに、俺は思わず顔が熱くなるのを感じた。
「…………これはもう確定だね…………」
「…………私も同じようなパターンで惚れたからタバサの事は言えないけど…………」
「…………大士も確実に『好意』を持ってるね。元々気にしてたけど、幼児体型の所為で『好意』まで行かなかった娘が、いきなり好みの見た目に変身しちゃったから、その衝撃も相まって、一気に好感度が増しちゃった感じかな…………」
「…………正直不満が無いと言えば嘘になるけど、大士が本気で好きになったのなら…………考えないでもないわ………」
相変わらず葵と優花は2人でコソコソと話し合っている。
「ホント綺麗になったわね、タバサ」
キュルケが笑みを浮かべてそう言う。
「これならどんな男もイチコロじゃない?」
キュルケが楽しそうな笑みで俺に視線を向ける。
それにつられてシャルロットも俺に視線を向け、頬を染めて恥ずかしそうに俯いた。
「ッ………!」
その一挙一動に思わずドキリとしてしまう。
一体俺はどうしたんだ?
「大士………?」
隣でドルモンが不思議そうに見上げていた。
「い、いや! 何でもない………何でもないぞ!?」
俺は思わずキョドってしまう。
すると、
「ちょっとぉっ! タバサの変わりようは一体何なのよぉっ!! 特にあの胸!! 私以上にペッタンコだった筈じゃない!!」
シャルロットの変わりようにショックを受けていたルイズが我に返ったのか、突然叫び出した。
「ちょっと! 私にもその魔物肉とやらを食べさせなさい!」
ルイズが俺の胸倉を掴んでガクガクと揺する。
「だぁあああっ!? そんな理由で貴重な『神水』を使えるか!? ついでに言えば、魔物肉はもうねえよ!!」
念の為にと取っておいたものなので、俺が保管してる魔物肉はあれだけだ。
ハジメの宝物庫には、もっと保管されてるが。
「ぬわぁぁぁぁぁぁんですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?」
鬼気迫るルイズの表情に、俺はそこまで気にしていたのかと半ば呆れる。
暫く暴走していたが、時間を置いて頭が冷えたのか、ルイズは息を吐きながら胸倉から手を放す。
「…………と、取り乱したわ………唯の冗談よ。悪かったわね…………」
誤魔化すようにそう言っているが間違いなく本気だっただろう。
それはともかく、
「まあ、シャルロットのステータスは上がった訳だが、暫くは力の使い方の特訓だな。今のまんまじゃ、『力』に振り回されるのがオチだろうし」
シャルロットもそれは分かっているのか、コクリと頷く。
「固有技能については優花が、デジソウルについては俺が教えられると思う」
「お願いする………」
シャルロットはそう言って頭を下げた。
「じゃあ、予定外の事がいくつかあったが、そろそろトリステインに戻るぞ。優花、認識阻害の指輪を」
「ええ」
優花が認識阻害の指輪を2つ差し出す。
オルレアン公爵夫人とペルスランがそれを嵌めたのを確認して、優花の空間魔法で一度トリステインの城下町へと転移。
そこでキュルケが実家への招待状を書き、ゲルマニア行きの馬車を手配して、オルレアン公爵夫人とペルスランはゲルマニアのキュルケの実家へ向かうこととなった。
そして俺達は…………
トリステイン魔法学院の学院長室の前に空間ゲートが開く。
俺、葵、優花、ドルモン、リュウダモン、ハックモン、ルイズ、シャルロット、キュルケ、そしてイルククゥが空間ゲートから出てきた。
周りに誰もいない事を確認すると、ルイズが学院長室の扉をノックした。
「誰じゃね?」
中からオスマン学院長の返事が返ってくる。
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールです。オールド・オスマン」
「ミス・ヴァリエール…………? ふむ………一先ず入りたまえ」
オスマン学院長は怪訝そうな声をした後、部屋に入る様に促した。
「失礼します」
ルイズが扉を開けると、オスマン学院長が執務机の席に座って俺達を出迎える。
オスマン学院長は俺達全員を一度見回すと、
「それで何用かな? 君達は、ミス・タバサの帰郷について行ったはずでは?」
オスマン学院長は疑問を投げかけた。
「はい。そのミス・タバサについてご報告があります」
「報告とな?」
「はい………彼女………ミス・タバサは、事情によりこの学院を去ることになりました」
「………………ふむ、唐突じゃな」
「彼女も別れの挨拶も出来ないことを心苦しく思っておりました」
「……………そうかね」
「ミス・タバサについてのご報告は以上です。そして、僭越ながら学院長にお願いがございます」
「言ってみたまえ」
「はい。このトリステイン魔法学院に、彼女を転入させて頂きたいのです」
ルイズは視線でシャルロットに目配せしながらそう進言する。
シャルロットは一歩前に出ると、
「シャルロットと申します」
一度礼をしてそう名乗った。
これは、タバサもとい、シャルロットの正体を隠すためだ。
『タバサ』は学院を去ったことにして、別の人間として学院に転入し直す。
シャルロットという名前自体は特に珍しいものでもない為、白髪赤目で体格も変わっている彼女を『タバサ』と結び付けられることはほぼ無いだろう。
まあ、『タバサ』と入れかわる様に入って来た『シャルロット』という事で、怪しまれはするだろうが。
「ふむ…………………」
オスマン学院長は髭を撫でる。
そして、
「…………………………まずは訳を話してくれんかのう? ミス・タバサ?」
「ッ!?」
オスマン学院長は確かな確信を持って、シャルロットにそう問いかけた。
シャルロットは僅かに目を見開く。
「オールド・オスマン!? どうして………!?」
おいルイズ、カマかけられただけかもしれないのに、そんなにハッキリ肯定するなよ。
「ほっほっほ。これでも伊達に歳はくっておらんよ。年の功という奴じゃ」
オスマン学院長は笑ってそう言った。
ルイズは困った様に俺に視線を向けた。
まあ、原作でもオスマン学院長は最後まで生徒の味方だから、話しても大丈夫だろう。
俺達はオスマン学院長に訳を話した。
タバサという名は偽名で、本名はシャルロット・エレーヌ・オルレアンといい、ガリア王族である事。
母の心が壊され、人質として屋敷に軟禁されていた事。
葵が母親の治療できる術を持っていたので、友人として招待する名目で、母親の治療をして貰った事。
母親はある所に匿った事。
その為、自らも『タバサ』という名は捨てる事になった事。
とある理由で姿を変えた為、別人として学院に通うためにこのような方法を取ったことを話した。
「………………なるほどのう。やはりミス・タバサは、ガリア王族に連なる者じゃったか………」
オスマン学院長は、納得いったという声色でそう呟いた。
「オールド・オスマン!? タバサがガリア王族という事に気付いていたんですか!?」
キュルケが叫ぶように聞き返した。
「確信があった訳では無いが………ミス・タバサが持っていた、あの鮮やかな青の髪色を持つと言えば、ガリア王族ぐらいじゃろうて………」
やはりオスマン学院長は唯のエロ爺ではない様だ。
まあ、先程からシャルロットの体を食い入るように見つめているので、ホント殴りたくなる衝動をさっきから堪えているが。
すると、俺の睨む視線に気付いたのか、オスマン学院長はゴホンと咳払いし、
「とにかく事情はあい分かった。ミス・タバサの退学を認め、新たにミス・シャルロットの転入を許可しよう」
「「ありがとうございます!」」
「ありがとうございます」
ルイズとキュルケが喜びながら頭を下げ、シャルロットも落ち着いた雰囲気で頭を下げた。
学院長室を退室すると、
「はぁ~、一時はどうなる事かと思ったけど、何とかなったわね………」
ルイズが、心臓に悪いと、大きく息を吐きながら項垂れる。
「だな。オスマン学院長の懐の深さに感謝だな」
俺もそう言う。
「とりあえず今は、早く部屋に戻って眠りたいわ…………今日1日で色々あり過ぎよ………」
まあ確かにな。
タバサが王族であったことから始まり、水の精霊を退治するのかと思いきや、葵が跪かせてるし、オルレアン公爵夫人を治したと思ったらその口からは意外な真実が出るわ、シャルロットが魔物肉を食べて色々大きくなるわで、激動の1日だった。
「それはいいんだけど…………」
「休む前に私達にはちょっとやることがあるから…………」
葵と優花がそう言いながら、シャルロットのを両側から挟み込み、その両腕をガッチリとホールドする。
「……………………!?」
シャルロットは驚いたように2人を交互に見る。
「タバサ………じゃなくて、シャルロット、ちょーーーーっと私達と『お話』しようか………?」
「良いわよね…………? あなたに拒否権はないけど」
「!?!?!?」
そのまま両腕をホールドされてズルズルと引き摺られていく。
シャルロットのステータスが上がったとはいえ、基本ステータスは2人の方が圧倒的に高いので、シャルロットは成す術無く連れて行かれるのだった。
【Side 三人称】
さて、葵と優花に引き摺られていったシャルロットだが、普段彼女達が寝泊りしている部屋に連れて来られた。
すると、
「さてと、シャルロット。遠回しに聞くのは面倒だから、率直に聞くね?」
「あなた、大士の事、どう思ってる?」
部屋に入るや否や、2人の前に座らされ、シャルロットはそう問い掛けられた。
「ッ……………!?」
突然確信を迫られた事で、シャルロットは目を見開いて息を呑む。
それから質問の意味を改めて反復すると、恥ずかしさから顔を赤くして俯いてしまう。
だが、
「…………………………好き」
少し長い沈黙の後でそう答えた。
その答えを聞いて葵と優花は顔を見合わせ、
「やっぱり…………」
「そうだと思ってたわ………」
溜息と共にそう呟いた。
「ッ………そ、その…………ごめんなさい…………」
2人の言葉を聞いたシャルロットは謝罪の言葉を口にした。
「何で謝るの?」
葵が聞き返すと、
「彼には………あなた達という恋人が居るのに…………好きになってしまったから…………」
シャルロットは申し訳なさそうにそう答える。
「別にそれは謝る事でも何でもないわよ。私だって葵が大士を好きだって事を知った後も、好きだって気持ちを持ち続けてたんだから」
優花が言った言葉に、シャルロットはハッと顔を上げる。
「本音を言えば、これ以上大士に『女』が増える事は面白くないって思ってるわよ。だけど、だからと言って大士を好きになった女を拒絶したら、私だって大士と恋人である資格を失うことになるわ。大士の正妻は葵って決まってるしね」
「私達が言いたいのは、シャルロットが何処まで大士を好きなのかって事。ただ、何となく良いなって思う程度の思いなら、残念だけど認められない」
葵は真剣な表情で続ける。
「シャルロット達には言ってなかったけど、大士やリュウダモン達を含めた私達は、この世界の人間じゃないの」
葵は自分達が別の世界からルイズの召喚で呼ばれてきた人間という事を説明する。
「だから私達は、いつかこの世界を去る。その時に、この世界を捨てて大士についてくる事が最低条件。それに、大士は訳あって、女性からは『異性として好かれない』の。そして、その事は大士自身も知ってる」
「シャルロットも、少し前までは大士の事を『男性』として見る事は出来なかったじゃない?」
「それ………は…………!」
シャルロットは言葉に詰まる。
優花が言った事は事実だったからだ。
以前タバサとして大士に近付いた事も、母親を治すために必要な手段として近付いただけなのだから。
その事を再度認識したシャルロットは、酷い罪悪感に襲われた。
思わず俯いてしまう。
だが、
「別にそのこと自体は気にしなくていいわよ。何を隠そう、この私ですらそう思ってたんだからね」
優花から発せられたその言葉に、シャルロットは思わず顔を上げ、目を見開いて優花を見つめた。
「信じられない………!」
「私自身も信じられないわよ…………大士みたいないい男を『無い』と思ってたなんて……………」
優花は自嘲気味にそう言う。
「話を戻すけど、大士は自分が女性から好かれるとは思って無いし、それは実際事実なの。だから、生半可な想いで大士を好きになるのだけはやめて欲しい。それは大士を傷付けるだけだから」
葵はシャルロットを厳しい目で見つめる。
「本来、大士を好きになれる例外は私だけの筈だったんだけど、優花は自らの意志で『運命』を超えて、大士を愛した」
葵の言葉に、優花はちょっと照れ臭そうにしている。
「そしてシャルロット、あなたも大士を好きになったという事は、自分の『運命』を超えた証拠。だからこそ聞くの。あなたは、何処まで大士を愛せる?」
「ッ……………!」
今までとは違う葵の雰囲気にシャルロットは一瞬のまれそうになるが、すぐに気を持ち直して葵の目を見つめ返す。
そして、
「………何処までも、彼を愛する!」
その答えを言い放った。
「それは何処まで? 彼の為に復讐を捨てれる? 彼の為にこの世界を捨てれる? 彼の為に信仰を捨てれる? そして…………『神』に否定されても、あなたは彼を愛し続けられる?」
葵はいくつもの問いを投げかける。
「何処までも! 『神』に否定されようとも、私は彼を愛し続ける!」
シャルロットがそう言い切ると、葵は目を伏せる。
「うん………言葉ではいくらでも言えるよね………? だから、その言葉を証明して貰うよ」
「ッ………!?」
その言葉と共に、その『葵』の雰囲気が変わったことに、シャルロットは気付いた。
葵の身体が光を放ち、髪が蒼銀に染まっていき、背中からは白い翼が広がる。
服装も白き衣に変わり、伏せていた目を開くと、その瞳は澄んだ碧眼となっていた。
「………………………!?」
声を失うシャルロットの前に、運命の女神『アルオイス』が降臨した。
アルオイスとなった葵がシャルロットを見据える。
そして、
「運命神 アルオイスが命じます……………『大士の事を諦めなさい』!」
許された『神力』の全てを声に乗せた『神言』として、シャルロットに命令が発せられた。
それは、アルオイスとしての力の殆どが封印されているとはいえ、並の下級神が普通に使う『神言』に匹敵する。
並の精神力の持ち主なら………いや、多少心が強いものですら、瞬く間に膝を着き、その命令に従ってしまうほどに『格』の違いを思い知らされる一言。
それを間近で命令されたシャルロットは、
「………………断る………!」
その命令を拒否した。
「………例え『神』が否定しようと、私はタイシを愛し続ける!!」
自分の思いを叫ぶシャルロット。
その言葉を聞いた葵は、
「………………そうですか」
フッと笑みを浮かべた。
そして、人間の姿に戻ると、
「うん、ごーかく!」
満面の笑みを浮かべてそう言った。
「まあ、『女神』の言葉に逆らう位本気なら、認めるしか無いわね………」
傍で見ていた優花も、シャルロットを認める発言をする。
「…………………今のは一体………?」
今になって疑問が湧いてきたのか、首を傾げるシャルロットだが、
「その話は後だね。とりあえず、ようこそって言っておこうかな?」
葵はそう言うと、シャルロットは俯き、
「で、でも………まだ彼が受け入れてくれるか…………」
少し不安げな表情をする。
それを見て、
「………もしかして、気付いて無いの?」
優花が何言ってるんだコイツみたいな表情でシャルロットを見る。
「大士、明らかにシャルロットに惚れてるよ」
「えっ………!?」
葵の言葉にシャルロットは驚いたように顔を上げる。
「何の為にこの場を用意したと思ってるの? 明らかにどっちも好意を持ってたからでしょうが………でなきゃ、こんな風に受け入れたりしないわよ………」
優花は呆れるようにそう言った。
その瞬間、シャルロットの顔がボッと赤くなり、再び俯いてモジモジしだす。
嬉し恥ずかしといった具合だ。
すると、
「ああ、それと、大士について大事な事が1つ」
葵が思い出したように口に出す。
シャルロットは顔を上げる。
その頬はまだ赤いが。
そのまま葵の言葉に耳を傾けると、
「大士、夜はすっごいエッチだから」
「ッ!?」
思い掛けない言葉にシャルロットは固まった。
「……………な、何言って…………」
「あら? それは本当の事よ。大士自身が認める位………ね?」
「………あ、あぅあぅ…………」
シャルロットは再び顔を真っ赤にする。
「大士の事、嫌いになった?」
葵が意地悪そうな声で問いかける。
シャルロットは即座に首を横にブンブンと振る。
「驚きはした………でも、嫌いになんてならない…………!」
シャルロットの答えに葵は満足そうに笑みを浮かべる。
「そっか。じゃあ、早速大士に想いを告げて抱いてもらおっか!」
「…………………ふぇっ!?」
葵の言葉に、思わず変な声を上げるシャルロット。
「善は急げ。優花、大士呼んで来て」
「わかったわ」
葵の言葉に優花は迷わず頷くと、部屋を出て行く。
「ま、待って………まだ心の準備が…………!」
慌てた口調でシャルロットが言う。
「そんな事言ってたら、いつまで経っても進展しないよ。女は度胸!」
「で、でも………私の体じゃ…………」
「何言ってるの? 魔物肉を食べる前の姿ならともかく、今のシャルロットなら確実に大士を欲情させることが出来るよ」
「よ、欲じょ…………!?」
「大士は大きな胸が大好きだから、好きだって気持ちを伝えてからその胸を使って迫れば、大士ならイチコロだよ!」
「はうぁっ!?」
余りにも生々しい言葉の連続に、シャルロットは顔を真っ赤にさせ続けるのだった。
【Side Out】
葵と優花がシャルロットを強制連行してから暫くして、優花が俺を呼びに来た。
ただ、デジモン達はシャルロット(元タバサ)の部屋にイルククゥと一緒に泊めて貰うという事だ。
それだけで、葵と優花の考えを大体察した。
当然だが旅の間はそう言う行為は控えていたので、その反動か?
シャルロットを連れて行ったのは、デジモン達を泊めて貰うための交渉の為だろう。
って言うか、その位ならその場で頼めばよかったのに…………
内心そう思うが、口に出さず、優花の後をついて行く。
いつもの部屋に優花が入り、その後に俺も続くと、
「……………………えっ?」
俺は思わず声を漏らした。
部屋の中には、俺の前に部屋に入った優花と、元からいたであろう葵。
だが、その2人だけではなく、白い髪の少女が俯いた状態で立っていたからだ。
「シャ、シャルロット…………?」
その少女、シャルロットが何故ここに居るのかと、俺は声を漏らす。
俺は理由を求めようと近くに居た葵に視線を向けると、
「ほら、シャルロット………!」
葵はシャルロットを促すように声を掛ける。
すると、シャルロットは俯いたまま俺の前に歩いてきた。
俯いたままなのでシャルロットの表情は伺えないが、髪の間から覗いている耳が真っ赤に染まっている事に気付いた。
「い、一体どうしたんだ…………? シャル……………ッ!?」
目の前に来たシャルロットに声を掛けようとした瞬間、シャルロットが顔を上げたかと思うと、俺に向かって近付いて来て、唇を塞がれた。
シャルロットの唇で…………
「ッ……………………!?!?!?」
突然の事に俺は固まり、目を見開く。
唇から伝わる感触だけが俺を支配する。
俺が半ば呆然としていると、シャルロットの唇が離れ、赤く染まった頬と、潤んだ瞳で俺を見上げる。
そして、
「……………………………好き」
震える唇からその言葉が零れた。
「えっ…………?」
思わず声を漏らす。
「………あなたが…………好き…………!」
よりハッキリとその言葉を口にする。
「シャ、シャル………………?」
「3番目でもいい………私を…………あなたの恋人にして欲しい………!」
突然の告白に俺は困惑した。
だが、そこで思い出す。
この場には、葵と優花がいる事に。
普段から葵と優花はお互い以外は認めないと口にしている。
ヤバいと思った俺は視線を2人に向けるが、
「わぁ…………シャルロット、結構大胆…………」
葵はシャルロットの行動に感心した声を漏らし、
「あなたはもっと大胆な事したでしょうに………」
優花は冷静に葵にツッコミを入れていた。
予想外に冷静な2人に呆気に取られる。
すると、俺の視線に気付いたのか、
「心配しなくても、全部承知の上よ」
「後は大士の気持ち次第だね」
優花と葵はそう言った。
その言葉に俺は再び呆気に取られつつ視線をシャルロットに戻す。
シャルロットは、ずっと俺を見上げていた。
その眼には恥ずかしさと、そして大きな不安が見て取れる。
そんなシャルロットを見て、俺は冷静になった。
シャルロットは俺を好きだと言った。
葵は後は俺の気持ち次第だと言った。
なら、俺はシャルロットをどう思っているのだろう?
いや、もう誤魔化すのはよそう。
既に気付いていた筈だ。
自分がシャルロットに抱いている気持ちは、葵や優花に抱く気持ちと同じだという事に………
ただ、葵と優花に対する罪悪感から、気付かない振りをしていただけだ。
「シャルロット…………」
俺は彼女の名を呼ぶと、彼女の頬に手を添える。
不安そうな彼女の表情を見ると、安心させてやりたいと思う気持ちが膨れ上がる。
「タイシ…………?」
彼女が俺の名を呟いた瞬間、俺は自分からシャルロットの唇に口付けた。
「ッ……………!?」
シャルロットは驚いたように目を見開いたが、すぐに受け入れた様に目を閉じる。
しばらく唇を合わせた後、ゆっくりと離れると、彼女の瞳が俺を見つめる。
だから俺は、
「シャルロット………お前が好きだ。愛している」
「ッ…………!」
その言葉を聞いた瞬間、シャルロットの瞳から一筋の涙が零れた。
「その…………3番目で許してくれるのなら………俺の恋人になって欲しい…………」
ある意味最低な告白だと自覚しているが…………
「ッ……………はい………!」
シャルロットは嬉しそうに笑みを浮かべながら頷いた。
その時、
「はい! これでシャルロットも正式に大士の恋人だね。おめでとうシャルロット!」
「まあ、まだ複雑な気持ちだけど、とりあえずおめでとうと言っておくわ」
葵と優花がシャルロットを祝福する言葉を贈る。
「………………なあ、今更だが、本当に良かったのか?」
俺は思わず2人に問いかけた。
「少なくとも、シャルロットは本気で大士の事を好きだよ? 『神』の言葉に逆らえるぐらいにはね」
「まあ、その位の覚悟を見せられたら、私としても認めなきゃ自分の立つ瀬が無いしね。それに、シャルロットの事は嫌いじゃないわ」
2人はそう言う。
すると、シャルロットがそっと寄り添ってくる。
「シャルロット…………」
俺も彼女の肩を抱いた。
翌日、俺達は同じベッドで…………
そして、一糸纏わぬ姿で目を覚ますのだった。
はい、ゼロ魔クロス第15話です。
GWで暇なので書きました。
そんで、シャルロット。
葵と優花の『お話』から急接近していきなり告白へ。
関係の進展早すぎ?
ぶっちゃけ自分でも調子乗り過ぎたと思わないでもない。
でもこのまま行っちゃいます。
因みに明日は百姓で田んぼの代掻きがあるので多分投稿は出来ないと思う。
でも、可能だったら投稿します。
それでは次回もお楽しみに。