情報収集任務を終えたルイズは王宮へ呼び出されていた。
今は女王サマ及びウェールズと謁見している。
「ルイズ。そして皆様。今回の任務本当にご苦労様でした」
女王サマが全員に労いの言葉をかける。
「姫様のためなら、このルイズ。何時如何なる時でも姫様のお力になりますわ」
ルイズは跪き、そう返す。
「ありがとう、ルイズ」
女王サマはそう言うと、態度を改める。
「今回皆様に集まってもらったのは他でもありません。来るべきアルビオンとの戦いについてです」
女王サマのその言葉に、ルイズが動揺する。
ウェールズが前に出た。
「今からそう遠くない未来………恐らく数ヵ月後になるだろうが、トリステインとゲルマニアの連合軍はアルビオンへ攻撃を仕掛ける」
「ッ!?」
「………………」
ルイズは驚愕する。
俺達は予想していたので動揺は少ない。
「その連合軍を指揮する総司令官は僕が務める。勿論正体は隠してだがね。僕は、アルビオン王国の復興を果たしたい。いわば、この遠征は、僕の我侭と言っても相違ない」
「そんな!?」
ウェールズの言葉にルイズは、違うと言おうとした。
しかし、
「いいんだ、ラ・ヴァリエール嬢。勝つだけなら、交易封鎖などの手段もある。防衛の為の戦争ならそれでもいい。だが、アルビオン王国を復興させるためには、それでは大衆に示しがつかない。その為に遠征を行なおうとしているのだ。僕は大罪人だよ」
「殿下………」
「本来なら、このような事を君達に頼む事は筋違いと自覚している。だが、恥を承知で頼みたい。君たちの力を、僕に貸してはくれないだろうか?」
ウェールズは頭を下げながら、そう頼んだ。
「わたくしからもお願いしますわ。ウェールズさまに力をお貸しください」
女王サマも頭を下げた。
その行動にルイズは慌てた。
「そ、そんな! 頭をお上げください! この国のためなら、この命、いくらでも差し出す覚悟は出来ております!」
ルイズはそう言う。
女王サマは微笑むと、
「ありがとう、ルイズ。やっぱりあなたはわたくしの一番のお友達です」
そう言って、ルイズの手を握る。
「姫さま…………」
そこで、
「友情を確認している所悪いが、俺達はまだ参加するとは言って無いぞ」
俺は口を出した。
「前にも言った通り、俺達はこの国やウェールズの為に戦争に参加する義理は無い。戦争とはつまりは殺し合いだ。そんなものに進んで参加する気は無い」
「それは分かっている。君達は元々別の世界の人間だと聞いている。こちらの世界の戦争に巻き込むつもりは無いよ」
「……………………」
ウェールズや女王サマはその答えを予想していたのか、動揺は少ない。
「……………だが、俺達にも俺達の目的が出来た」
「目的………ですか?」
「1つはクロムウェルが持っているだろう『アンドバリの指輪』」
「それはルイズから聞いています。その指輪が、王党派から多数の貴族達が離反した原因の可能性があると………」
女王サマがそう答える。
「ああ。俺達はこいつをラグドリアン湖の水の精霊に返すと約束した。だから、その約束を果たすためにもアルビオンに行かなきゃならない」
「あんた達………」
「それから2つ目。この前の劇場の時に出てきたバイオサンダーバーモン………ワルドの背の上に乗っていた男を覚えているか?」
「ああ」
「そいつはデジモン達………ドルモンの同族を従えている可能性がある。デジモン達が関わっているのなら、黙って見過ごす気にはならない」
「それでは………!?」
女王サマが期待に満ちた表情を浮かべる。
「ルイズが任務に赴く際の護衛。それと、デジモンが出てきた場合は手を貸す事はしよう。後、戦うか如何かは、俺達の意志で決めさせてもらう。ついでに言っておくが、ハナから俺達の力を頼りにしてルイズを戦地のど真ん中に放り出すような真似をしたら、普通に見捨てるからな」
「それで十分だ。 ありがとう!」
ウェールズはそう言って頭を下げた。
「いずれ知らせが行くだろう。それまでは、学院で今までどおりの生活をしていてくれ」
その言葉で、今回の話は終わった。
2ヵ月後。
先月、アルビオンへの侵攻作戦が魔法学院に発布された。
何十年か振りに遠征軍が編成されることになったため、王軍は士官不足を喫したのであった。
そのため、貴族学生を士官として登用することになった。
一部の教師や、学院長のオスマンなどはこれに反対したが、アンリエッタにマザリーニ、王軍の将軍たちはこの反対を抑えた。
それで俺達だが、
「気持ちワリィ…………」
現在馬車に乗っていた。
簡単に言えば、ルイズが戦争に参加する旨を家族に伝えた所、猛反発を受けた。
従軍はまかりならぬ、と手紙が届き、無視したらルイズの姉であるエレオノールがやってきたのだ。
そのまま引き摺られる様に馬車に連れ込まれ、俺達も一応は使い魔(仮)なので、平民用の馬車で同行している。
因みについでの如くシエスタも連れて来られている。
まあ原作の様に馬車の屋根を吹っ飛ばされたりはしないし、特に何事もなくヴァリエール領まで辿り着いた。
ルイズは普段はあんなのでも、公爵令嬢だけはあり、立ち寄った旅籠で小休止した時には、領民たちに騒がれていた。
解消された事を知らずにエレオノールの婚約話に触れて、頬を抓りあげられる一幕もあった。
だが、エレオノールの口から出ていた元婚約者の『もう限界』という言葉には、激しく同意できると俺は思った。
そのままお説教タイムに突入していたのだが、突如として扉が勢いよく開いて桃色の風が飛び込んできた。
「まあ! 見慣れない馬車を見かけて立ち寄ってみれば、嬉しいお客だわ! エレオノール姉さま! 帰っていらしたの?」
そう言ったのは今飛び込んできた、ルイズと同じ桃色の髪と鳶色の瞳。
「カトレア………」
ルイズのもう1人の姉のカトレアだった。
「ちいねえさま!」
エレオノールの時とは違い、うって変わって嬉しそうな表情で叫ぶ。
「ルイズ! いやだわ! 私の小さいルイズじゃないの! あなたも帰って来たのね!」
「お久しぶりですわ! ちいねえさま!」
そう言いながらカトレアの胸に飛び込むルイズ。
その光景は、まさしく姉妹の抱擁だ。
顔もよく似ている。
因みにエレオノールは金髪なので、パッと見はあまり似ていないようにも思える。
しかし、同じ鳶色の瞳と、目付き。
そしてルイズの拡大発展型を思わせる性格が、やはり姉妹なのだと確信させる。
すると、カトレアの視線が俺達を見る。
やはり先に目につくのはドルモン達なのか、ドルモン、リュウダモン、ハックモンに目をやり、次いでシエスタ、優花、俺と来て、最後は葵で視線が止まる。
「……………………」
それまでカトレアの表情は、ほんわかおっとりしていたのだが、葵を少しの間ジッと見た直後、驚いたかのように目を見開いた。
そして、抱いていたルイズを放して葵に歩み寄ると、
「お初に目にかかります。ラ・ヴァリエール公爵が次女、カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌでございます。お会いできて光栄です」
最上級の礼をしながら葵に頭を下げ、そう名乗った。
「ちょ!? カトレア!?」
「ちいねえさま!?」
カトレアの行動にエレオノールとルイズが驚愕の声を上げる。
そう言う俺達も驚いた。
「ちょ………!? 何で私に頭を下げるんですか………!? 立場が逆なのでは………!?」
葵も慌てながらそう言うと、
「ちいねえさま!? 何でアオイに頭を下げるの!? しかも最上級の………!」
「そうよカトレア! 卑しい平民に頭を下げるなんて、公爵家の名に泥を塗る気!?」
ルイズとエレオノールが喚き、カトレアが頭を上げると、
「お2人こそ何を仰るの? この御方はずっと高位に居る御方………王族や皇族………いいえ、きっと始祖ブリミルよりも高位に御座す御方ね」
キョトンとした後に、言い聞かせるようにそう言った。
その言葉に、ブリミル教徒である2人は、ギャーギャーと叫び出したが、俺達はカトレアの言葉に驚愕していた。
「ね、ねえ………今のカトレアさんが言った事って………」
優花がコソッと話しかけてくる。
「ああ……俺もそう思う………葵が女神だって事を、本能的に見抜いてる感じだ………勘が良いだけじゃ説明できないぞ…………」
俺もそう小声で言い返すと、葵は未だにギャーギャー言われているカトレアに視線を向け、
「…………多分だけど、カトレアさん。巫女や聖女なんかの資質があるんだと思う」
葵がボソッと呟く。
「巫女や聖女?」
「うん。所謂、神に仕える人間の事だね。勿論職業としてじゃなく、トータスで言う天職が、そういう神に仕える事の出来る天職何だと思う………」
「それで葵を本能的に女神だって見抜いたわけね………本人も良く分かって無さそうだけど………」
「…………でも、そうなると…………」
葵は心配する様にカトレアを見つめた。
「どうした………?」
その様子を怪訝に思った俺が聞くと、
「うん………そういう巫女や聖女の資質がある人は、神の恩恵を受けやすくなると同時に、邪気って言えばいいのかな………所謂、『良くない気』を普通の人よりも多く取り込んでしまうの…………仕える神がいて、その恩恵を受けていれば勝手に浄化されるけど、仕える神が居ないと、『良くない気』を溜め続けてしまって、どんどん体が弱っていて、最終的に死に至ってしまうの…………」
その言葉を聞いて、そう言えばカトレアは原因不明の病を患っている事を思い出した。
その時、
「ゴホッ!? ゴホッ!?」
説教を受けたことが負担になったのか、カトレアが突如咳き込む。
「ああっ! ちいねえさま!?」
「カ、カトレア!? ごめんなさい………無理させたわね………」
2人は我に返ってカトレアを気遣う。
そこでルイズはハッとなり、
「そうだわ! アオイ! あなたの魔法でちいねえさまを治せない!?」
葵に振り向きながらそう言って来た。
すると、葵は困った顔をして、
「前にも言ったと思うけど、再生魔法は対象の時間に干渉する魔法。理論上は病気に罹る前まで時間を逆行させれば一旦は治ると思うけど、病気の原因が本人にあるのなら、結局は根本的な解決にはならないよ」
「うっ………流石にそこまで都合よくは無いのね………」
「自分の仕える神を決めれば治ると思うけど…………」
思わずボソッと呟いた葵のその言葉を、ルイズは聞き逃さなかった。
「今のどういう事!?」
「わっ!?」
ルイズが思わず葵に掴みかかる。
「今、ちいねえさまが治るって言わなかった!?」
ルイズが叫びながら問いかけた。
「え、えっと………その…………落ち着いて………」
葵は答えに困るが、
「ねえ教えて! ちいねえさまが治る方法があるのなら教えてよぉ!」
「ルイズ………」
余りにも必死なルイズを見て、葵は目を伏せた。
それから目を開くと、
「まずは落ち着いてルイズ…………治るかどうかは別問題として、カトレアさんの病の原因には見当がついたってだけだよ」
葵がそう言うと、
「それは本当なの!?」
今度はエレオノールが食いついてきた。
「国中の名のあるお医者様をお呼びして、強力な水の魔法を何度も試したけど、治るどころか原因すらわからなかったカトレアの病の原因を、一目見ただけで見当が付いたですって!? 嘘だったらただじゃすまないわよ!!」
凄い剣幕だな………
それだけ妹の事を大事に思ってるって事なんだろうが。
「お、落ち着いてください………見当がついたっていうのは嘘じゃありませんから………」
葵は若干引き気味になりながらそう言う。
だが、嘘じゃなくても信じてくれるかは分からんが。
「えっと………まずカトレアさんは、巫女や聖女、神官と言った、神に仕える事の出来る資質を持っています」
「神官………? ロマリアの人間みたいな?」
「あ~、そう言う役職としてのモノじゃなくて、おとぎ話に出てくる神託を受けたり、神の声を聞けるって言う方の神官だね。そういう人は、自分が仕えると決めた神から恩恵を他の人よりも受けやすくなるの。所謂、『神に愛された人間』って奴だね」
「ちょっと! それじゃおかしいじゃない! それが本当なら、ちいねえさまは『神に愛された人間』なんでしょ? じゃあどうしてこんなに病弱なの!?」
ルイズがそう指摘する。
すると、
「うん。そう言う人間にも欠点があってね。神の恩恵を受けやすい代わりに、世界に満ちる『良くない気』………邪気も、普通の人間以上に吸い取ってしまうの。でも、信仰する神が居るのなら、その神の恩恵の力で吸い取った邪気を浄化できるから問題無いんだけど、信仰する神が居ないと邪気を溜め続けてしまって、どんどん体が弱っていってしまうの」
葵がそこまで言うと、エレオノールが指摘した。
「それもおかしいわ! 私は勿論、カトレアもれっきとしたブリミル教徒よ! あなたの言う事が本当なら、カトレアの体が弱り続けているのは筋が通らないわ!」
「えっと………怒らないで聞いて欲しいんですけど、あなた達が『始祖ブリミル』を敬愛している事は知っています。あなた達にとって、『始祖ブリミル』は神にも匹敵する人だという事も…………」
そこで葵は言いにくそうに一旦言葉を区切る。
そして再び口を開いた。
「…………ですが、ブリミルは所詮『人間』なんです。『人間』をどれだけ敬おうと、『神の恩恵』を受ける事は出来ない…………カトレアさんの体が弱り続けているのは、それが原因です」
「ッ…………………!?」
エレオノールは顔を真っ赤にした。
ブリミルを馬鹿にされたと思ったのだろうか?
「…………………私達が始祖ブリミルを信仰してきたのは、間違いだと言いたいの………!?」
怒りに震え、拳を握りながらエレオノールが呟く。
「そうは言ってません。信仰とは心の拠り所です。神を信仰しようと、偉人を信仰しようと、そこに違いはありません。ただ、今回に限って、カトレアさんの体を治すためには『神』の力が必要というだけです」
「ッ…………………」
「…………アオイ、ちいねえさまが助かる為には、ブリミル信仰を捨てないといけないの?」
ルイズが呟く。
「それは信仰する神によるかな………? 信仰するのは自分しか認めないって言う神もいれば、気にしないって言う神もいるし。そもそも私達がいた所では、八百万の神っていう考え方が浸透していて、神様は無数に居てその全てに感謝しましょうって感じだったし」
「かなりフワッとしてるわね………」
「こっち程ガチガチに信仰しているわけじゃないからな」
俺もそう言う。
「とにかく、信仰する神を見つければ、ちいねえさまの病気は治るのね?」
「私の言葉を信じるならね」
「ちょっとちびルイズ! こんな根拠も何もない話を信じるっていうの!?」
エレオノールが叫ぶ。
「エレオノール姉さま。彼女達は私の使い魔です。そして、彼女達は今までこのような嘘を吐いた事はありません。ですから私は、アオイの言葉を信じます」
ルイズがそう言う。
「それにしても『神』か………言葉では結構使うけど、実際に名のある神ってこのハルケギニアじゃほとんど聞かないのよね………」
続けて困った様にそう言うと、
「あの………それなのですけど………」
今まで黙っていたカトレアが口を挟んだ。
俺達がカトレアに視線を向けると、
「あなたを信仰するのは駄目なのでしょうか………?」
カトレアは葵を見てそう言った。
「えっ? 私?」
葵は思わず自分を指差す。
「はい。先程の話から察するに、あなたも『神』様なのですよね?」
カトレアは、ほぼ確信を持った雰囲気でそう口にした。
「えっと………私は、その~………」
葵が言い淀む。
「って、アオイって神様なの!?」
ルイズが驚愕しながら叫ぶ。
こうなったら話すしか無いか………
俺は内心溜息を吐く。
「正確には、葵は『人間に転生した女神』だ」
「人間に………転生………?」
「葵は昔、神としてちょっとした罪を犯して、その罪を償う為に人間に転生させられたんだ。まあ、罪と言ってもそれは葵1人だけの所為じゃないし、人間としての生を終えれば再び神の座に戻る事は決まってるが」
「さ、流石にそれは冗談よね…………?」
ルイズは呆気に取られた表情だ。
それが本当なのだとしたら、ルイズは『神』相手に色々と粗相をしまくっているのだから。
まあ本当の事だが。
「い、今大士が言ったみたいに、私は罰を受けて下界に堕ちている身だから、そんな仕えられる人を持てる身分じゃ………」
葵はわたわたと慌てながら手を振る。
すると、
「いいえ。死を待つだけの私の前に貴女様が現れました。それはきっと『運命』なのでしょう。私の『運命』は、きっと今が転換期なのです。このまま死を待つ『運命』と、未来へ繋がる『運命』との…………あなたはきっと、『運命の神様』なのですね」
俺はカトレアの勘の良さに驚く。
葵が女神であるどころか、運命の女神である事すら見抜いた。
「だから私は、可能なら未来へ繋がる『運命』を選びたいんです………!」
カトレアは真剣な眼で葵を見つめる。
「…………………」
葵は戸惑っていたようだが、何かを決めた様な表情をして俺を見つめた。
その思いを察した俺は、無言で頷く。
すると葵は、
「………本当に………私でいいんですか?」
確認を取る様にそう問いかける。
その問いかけに、
「はい。私は、貴女を信仰します」
カトレアは迷わずに頷いた。
「…………………わかりました」
すると、葵は目を瞑って光に包まれ、女神化した。
カトレア、ルイズ、エレオノールの前で、蒼銀の髪となり、背中に白い翼を広げ、白き衣を纏う。
その姿に、3人は目を見開いて固まった。
女神の姿になった葵は、伏せていた目を開き、澄んだ碧眼でカトレアを見つめる。
「「「…………………」」」
3人は自然とその場に跪いた。
「『カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ』………」
葵がカトレアのフルネームを呼ぶ。
その声には『神力』が乗せられているのか、不思議な響きを纏っていた。
「はい」
カトレアは跪いたまま返事をする。
「『面を上げてください』」
その言葉に従い、カトレアは顔を上げた。
「『私の名はアルオイス…………『運命神 アルオイス』』
「アル……オイス………様…………」
「『その名の下に、あなたを私の巫女として認めます』」
「はい。謹んでお受けいたします」
カトレアは躊躇わずに拝命する。
すると、
「『では、今回は特別にあなたの体を蝕む邪気を全て取り払いましょう』」
葵はカトレアに掌を翳す。
すると、カトレアの体から黒い煙の様なモノが噴出し始めた。
おそらくこれが邪気だろう。
邪気は、葵の掌の動きに合わせてカトレアの頭上に集まる。
「『…………既にこれほどの邪気が溜まっていたとは…………もう少し遅ければ危ない所でした』」
葵はそう呟くと、開いていた手を握りしめる。
その瞬間、邪気の塊はあっさりと四散した。
「『もう大丈夫です。あなたの体を蝕んでいた邪気は、全て取り払いました』」
「ありがとうございます。アルオイス様………身体の芯にあった駄目なものがすっかり取り払われた気分です」
カトレアはそう言って笑みを浮かべる。
「ちいねえさま! 本当に平気なの!?」
ルイズが思わず問いかける。
カトレアはルイズに笑いかけ、
「ええ、もうすっかり平気よ。今なら、思いっきり駆けまわれそうな気がするわ」
「ちいねえさま………よかった………!」
ルイズは喜びで目を潤ませる。
「『カトレア、嬉しいのは分かりますが、今はまだ無理は禁物ですよ。私が行ったのは、あなたの体を蝕んでいた原因を取り除いただけで、落ちている体力は戻っておりません。これからしっかりと栄養を摂り、適度な運動を心がけてくださいね』」
「は、はい………! 本当にありがとうございます!」
「あ、ありがとうございます!」
カトレアは再び頭を下げ、それを見たルイズも慌てて頭を下げた。
葵は微笑むと、力を抜くように人間の姿へと戻る。
「…………って言う事で、もうカトレアさんは大丈夫だからね、ルイズ」
いつもの調子でルイズに笑い掛ける葵。
「う、うん………じゃなくて! は、はい………」
『神力』が途切れた所為で気が抜けたのか、いつもの口調で返事をしたルイズだったが、すぐに口調を改めようとする。
「あはは。そうやって無理に畏まらなくていいから」
葵は笑ってそう言うが、
「で、ですが………アオイ………じゃくて、アルオイス様が『神様』だったなんて、私……知らなくて…………い、今までの御無礼をお許しください!!」
ルイズは土下座の勢いで頭を下げる。
「ああもう……! だからそんな風に畏まらないで、今まで通りでいいから! さっきも言ったけど、確かに私は女神でもあるけど、今は人間の『神代 葵』だから! カトレアさんも普段は普通にしていてくれて構いませんから!」
すると、
「そうですか? ではそうさせてもらいますね。それではあなたの事は…………アオイちゃんとお呼びしても?」
「はい、全然かまいません。私はカトレアさんとお呼びさせていただきますね!」
笑い合う2人に、
「ち、ちいねえさま!?」
ルイズは驚愕の表情をする。
「ルイズ。アオイちゃんが普通の対応を望んでいるのよ。その意を汲まないのは逆に失礼じゃないかしら?」
「え……あ………う…………じゃ、じゃあ………今まで通り、アオイって呼ばせてもらうわ………!」
ルイズは若干表情が引きつりながらもそう言う。
「うん、それでいいよ」
葵は笑いながら頷いた。
俺はふと、そう言えばさっきからエレオノールが静かだなと、もう1人のルイズの姉を思い出し、そちらに目を向けた。
すると、
「………………………………」
驚愕し過ぎたのか、口からエクトプラズムを吐き出しながら真っ白になるエレオノール、そして、同じように口からエクトプラズムを吐き出すシエスタの姿があった。
ゼロ魔クロス第19話です。
……………何を思ったか、カトレアが葵の巫女になってしまいました。
ホント自分でも、何でこうなったんだろうって不思議で仕方ない。
元々、カトレアの病は、適当な呪いか何かにして、それを葵があっさりと解呪してしまう感じを考えていたんですが…………
カトレアが葵の前に現れた瞬間に、カトレアが葵の正体を一瞬で見破ってしまいまして………
そのまま流れに任せて書いていたらこんな感じに………
いや、ホントなんでこうなったんだろう?
で、こっからは本当に今回の話を書いている間に思いついた突発的な思い付きなのですが……………
カトレアがヒロインってアリだと思う?
自分でもかなり無茶言ってる事は自覚してる。
でも、葵の巫女になったのなら、大士のヒロインになってもおかしくないかな~っと、単純かつアホな考えに至りました。(巨乳なので、大士の好みにもストライク)
大士のヒロインに居ない(今後登場予定のヒロインも含む)年上お姉さんポジションです。(大士の精神年齢はおっさんだが)
てなわけで、一応アンケート取ります。
とりあえず参考にするだけなので、例えアリが過半数を占めても、ストーリー的に無理だったら止めます。
というわけで、気が向いたら投票お願いします。
カトレアがヒロインなのはアリ?
-
アリ
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ナシ