ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第21話 ありふれた訓練

 

 

 

 

ヴァリエールの城から脱出した後、俺達は魔力駆動四輪に乗り換え、魔法学院を目指した。

馬車で2日の道程なので、魔力駆動四輪なら日が暮れる前に到着できた。

魔法学院の門の前で魔力駆動四輪から降りて、宝物庫に仕舞った後、俺達は門を潜る。

すると、

 

「「「「「「「「「「えいっ! えいっ! えいっ!」」」」」」」」」」

 

校庭で女子生徒達が模擬槍を手に突きの練習をしていた。

因みに男子生徒は全員軍に志願したために誰もいない。

俺はそれを見て、2つ思った事があった。

1つは、日本の歴史の授業で習った、戦時中の学校でも竹槍の訓練をしていた事。

そしてもう1つは、このタイミングで銃士隊が学院に来るのかという思いだった。

原作では、銃士隊が来るのはルイズや才人が軍に合流した後だったし、アニメでは、確かルイズの帰郷前に、この学院にジュリオが転校してきた時だった筈。

勿論ジュリオは居ないし、俺達もたった今ヴァリエール領から戻って来た所だ。

原作にもアニメにも当てはまらない。

 

「どうなることやら…………」

 

俺は溜息を吐く。

 

「ちょっと、何なのよこれ?」

 

ルイズが思わずそう口にする。

 

「まあ、軍事訓練だろうな」

 

「だから何で女子生徒達が軍事訓練なんかやってるのよ?」

 

ルイズは理解できないのか、やや不満げな顔をする。

 

「今は戦時中だ。攻め込まれた時の為に、訓練をするのは当然だろ? 実際に俺達が住んでる国も、昔は同じような事をしてたらしいぞ?」

 

すると、見覚えのある銃士隊の1人がこちらに歩み寄ってくるのが見えた。

あれはアニエスか。

 

「お前か………」

 

「ああ………あんたは確か、銃士隊の隊長のアニエスだったな?」

 

「そうだ。今はこの学院の軍事教練の教官を任されている」

 

「やっぱ軍事訓練か………」

 

「これも女王陛下の命令でね………お前達もこの学院の一員である以上、訓練には参加してもらうぞ」

 

「やっぱそうなるのね………」

 

俺は肩を竦める。

それからルイズに向き直り、

 

「……だそうだ。とりあえずルイズはあっちな」

 

俺は他の女子生徒達が模擬槍を振っている場所を指差す。

 

「え~~………?」

 

ルイズは不服そうな声を漏らす。

だから俺は、更に言葉を付け足した。

 

「アニエスが言ってただろ? 女王サマの命令だって。訓練に参加しないって事は、女王サマの命令に反することになるんじゃないのか?」

 

「うっ………!」

 

ルイズは痛い所を突かれたという表情になる。

 

「分かったわよ………姫様の命令なら仕方ないわ………!」

 

渋々と訓練参加を了承する。

俺はアニエスに向き直ると、

 

「あと、あんた達を馬鹿にするわけじゃないが、俺達3人にはああいう訓練はほとんど意味が無いと思うぞ?」

 

「ほう?」

 

その言葉に、アニエスは睨み付ける様な視線を向けてくる。

 

「俺達は殆ど我流とはいえ、戦いの型が既にあるんだ。今更無理に別の型を覚えようとしても、戦力ダウンにしかならない」

 

「……………まあ、女王陛下からも、お前達に関しては無理強いしないようにと窺っている。他の生徒達の眼もあるので、訓練をしている体は取って貰わなけばいけないがな」

 

「了解だ。ああ、それから………」

 

俺はもう一度女子生徒達が訓練している所を見る。

丁度模擬戦が行われているようで、多くの生徒達は素人丸出しのへっぴり腰による突きの応酬だったのだが、ただ一組だけは違った。

その女子生徒の相手は、同じ生徒ではなく銃士隊の1人だ。

その銃士は、流石に常日頃訓練をしているだけあり、構えも様になっている。

しかし次の瞬間、その銃士は吹っ飛ばされた。

相手の女子生徒が一瞬にして懐に飛び込み、模擬槍で銃士の胸を突いたのだ。

その女子生徒とは、言わずもがなシャルロットだ。

シャルロットは、武器の扱い自体は素人でも、魔物肉を食べたことによって上がったステータスの恩恵により、常人では捉えられないスピードで攻撃する事が出来る。

軍人とは言え、ただの人間が勝てるような相手ではない。

なので、

 

「あそこに居るシャルロットだけは、俺達で受け持つ」

 

「………さっきから思っていたのだが、彼女は一体何者なんだ?」

 

アニエスもシャルロットには敵わないと分かっているようで、反対する様子は無い。

 

「前にも会ったと思うが、俺の恋人だ」

 

「………………………」

 

アニエスは俺をジトっと睨む。

望んだ答えとは違うと分かっているが、それ以上を教える気は無い。

アニエスは、俺が答える気が無いと分かると溜息を吐き、

 

「わかった。好きにしろ」

 

やれやれと言わんばかりにそう言った。

 

 

 

 

 

シャルロットを呼んだ俺達は、日が暮れるまでの短い時間に軽く模擬戦をすることにした。

シャルロットは優花が相手をしている。

シャルロットは訓練の甲斐もあり、ステータスプレートに表示される自分の能力をほぼ100%使いこなせるようになってきていた。

しかし、デジソウルについてはまだ若干不安定だ。

まあ、感情にかなり左右されるからな。

感情を殺し続けてきたシャルロットにとって、感情を表に出す事は、まだ若干の戸惑いを見せる。

俺の前では結構感情の起伏を見せる様になってくれてるんだけどな。

そう言う俺はデルフを持って、二刀を振るう葵と打ち合っている。

 

「はっ!」

 

「たぁっ!」

 

デルフによる一撃と、刀を交差させた一撃がぶつかり合う。

一瞬鍔迫り合いの状態になるが、

 

「はぁっ!」

 

俺が力尽くで振り切る。

だが、葵は後ろに飛び退って体勢崩さない。

次の瞬間、地面を蹴って突っ込んでくる。

 

「てやっ!」

 

葵は右の刀を振るい、俺はそれをデルフで受けとめる。

だがその瞬間、左手の刀で突きを放って来た。

俺は右の刀を滑らせながら流し、体を逸らして突きを避ける。

俺はそのまま刃を返してデルフを振り上げ、葵はそれを咄嗟に防ぐ。

 

「っと………」

 

葵は少しバランスを崩すが上手い事体勢を立て直した。

すると、

 

「あのユウカって嬢ちゃんはスゲーと思ってたが、こっちの嬢ちゃんも中々じゃねーか!」

 

デルフが葵を褒める発言をする。

 

「あはは、ありがと」

 

葵は笑ってお礼を言う。

 

「つーか何だ? 相棒の女はスゲー奴しか居ねーのかい?」

 

「……………結果的にだ」

 

デルフの言葉に反論できなかった。

葵は女神様だし、優花は魔物肉で基本ステータスは最強な上に、全ての神代魔法を習得している。

シャルロットは少し前まで普通のメイジだったが、魔物肉を食べてパワーアップした上にデジソウルまで使えるようになっている。

こう考えると、俺の恋人達は全員並の人間ではない。

やがて日が暮れて今日の訓練は終了となった。

 

 

 

 

それから約一週間後。

ルイズは目を丸くしていた。

何故なら、

 

「今日は諸君の要望通り、実戦における魔法の使い方を学んでもらう。その為、王立魔法アカデミーから特別講師を招いた」

 

アニエスの言葉と共に紹介された特別講師とは、

 

「エレオノール・ド・ラ・ヴァリエールです。ほんの短い間だと思いますが、皆さん一緒に、楽しくお勉強しましょう? ねっ?」

 

ルイズの姉であり、つい先週にも会ったエレオノールだったからだ。

……………これはアニメの流れなのか?

 

 

 

 

 

「だ・か・ら! 畏れ多くもアンリエッタ女王陛下が王立アカデミーに手を回して私をここに送り込んだのよ!」

 

自室でエレオノールから話を聞くルイズと俺達。

 

「姫様が!?」

 

エレオノールの言葉にルイズは驚きの声を上げる。

 

「ヴァリエール公爵の一家が、出来の悪い末っ子の従軍に反対していると、誰かが姫様に御注進したらしいのよねぇ? 誰かしらそんな余計な事を言ったのは? ねぇ?」

 

そう言いながらエレオノールはルイズの頬を摘まみ上げる。

 

「誰なのかしら、ねぇ?」

 

「あひゃひじゃあひまへん~~~!」

 

エレオノールの言葉にルイズはそう答える。

 

「はぁ?」

 

その言葉にエレオノールは怪訝な声を漏らしながら手を放す。

 

「姫様直々にルイズに協力してくださいって頼まれたわ。直々によ!」

 

エレオノールの言葉を聞きながら、俺は女王サマに注進した人物の事を考えていた。

ルイズはさっき言った通り女王サマには何も言って無いし、報告した様子もない。

となると…………

 

「ヴァリエール公爵本人位かなぁ…………?」

 

あの騒動を知っていて、女王サマに注進出来る人物となると、公爵本人位しか思いつかない。

俺がそう考えていると、

 

「ワンワン!」

 

犬の鳴き声が聞こえて下を向くと、何故か数匹の子犬が居た。

 

「あら? この子………」

 

ルイズは見覚えのある声を漏らす。

すると、

 

「ルイズ………」

 

部屋の扉から、カトレアが姿を見せた。

 

「ちいねえさま!」

 

ルイズが嬉しそうにカトレアに駆け寄る。

 

「ちいねえさまも学院に?」

 

「ええ、エレオノールお姉さまのお手伝いに………それから………」

 

カトレアは葵に視線向けてニッコリと笑った。

 

「病気は治ったにしても、体力は付いてないんだから家で大人しくしておけばいいのに………どうしてもルイズの傍に居たいって言うもんだから………」

 

そう言いながら顔を背けるエレオノール。

だが、その言葉にルイズは嬉しそうな顔をした。

 

「嬉しい! ちいねえさまが居てくれると心強いわ! あひゃっ!?」

 

「お姉様〝達〟がでしょ!? お姉様〝達〟が!」

 

「ひょ、ひょうれひた………」

 

まあ、エレオノールに頬を抓り上げられるのはお約束である。

 

 

 

 

 

 

【三人称】

 

 

 

 

 

 

 

―――某所。

暗い部屋の中で、倉田はキーボードに指を走らせていた。

 

「フフフ…………ワルド子爵以外に協力者を得ることが出来て行幸でした。さて、今回使うバイオデジモンの素体は…………炎使いという事ですし、このデジモンにしましょうか………」

 

倉田の前にあるモニターには、炎の鬣を持った猪の様な生物が映っていた。

倉田はキーボードを撃ち続ける。

 

「それでは、注入開始です!」

 

その言葉と共に、エンターキーを押す。

倉田が向けた視線の先には、ガラス製のポッドがあり、その中には人影が見える。

その人影は、身体中に火傷の痕がある大男だった。

 

「さて………スポンサーの依頼を果たす事にしますかね…………フフフ」

 

倉田はメガネをギラリと光らせ、怪しい笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 






第21話です。
今回はめっちゃ短いです。
ぶっちゃけカトレアフラグを立てるための繋ぎ回です。
原作だとカトレアの出番はほぼ無いのですが、アニメではそこそこ出番があるので、そっちをベースにしました。
なので次回はアレです。
なのですが、今回も何やら倉田が暗躍していて………?
次回をお楽しみに。

カトレアがヒロインなのはアリ?

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