ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第28話 ありふれた凱旋

 

 

 

美姫達と出会った翌日。

俺達は、出発の準備を終えていた。

必要な物は、俺と葵の〝宝物庫〟に入れているため、ほぼ手ぶらだ。

 

「とりあえず、何処に行くんだい? ロサイスはまだアルビオン軍が駐留してるだろうし………」

 

マチルダがそう聞いてきたので、

 

「ドルモン達に乗って、直接ラ・ロシェールに向かうさ」

 

俺は葵と共にカードを取り出し、

 

「「カードスラッシュ! 超進化プラグインS」」

 

そのカードをDアークにスラッシュした。

 

――EVOLUTION

 

Dアークにその文字が表示され、光を放つ。

その光が輝くとともに、ドルモンとリュウダモンが光に包まれた。

 

「ドルモン進化!」

 

「リュウダモン進化!」

 

光の中で成熟期へと進化し、

 

「ドルガモン!!」

 

「ギンリュウモン!!」

 

その姿を皆の前に表す。

その事に子供達は驚きの声を上げ、マチルダやテファは目を見開く。

 

「あれ? 昨日とは違うじゃねえか?」

 

マサルがそう言った。

 

「俺のドルモンは、2種類の進化ルートがあるんだよ。むしろ、俺達にとっちゃ、こっちが正規ルートだな」

 

「へぇ~、そんなデジモンもいるんだな」

 

寧ろ進化ルートが固定されてるデジモンの方が珍しいんだがな。

 

「とりあえずみんな乗ってくれ。危険は無いから」

 

俺はドルガモンに乗って見せる。

他の子供達も背中に乗る中、

 

「大きなモフモフ~!」

 

美姫がそう叫びながらドルモンの毛に飛び込んだが、

 

「…………うぅっ、思ったよりゴワゴワしてる……」

 

予想と違ったのか、美姫はそんな事を言った。

 

「そりゃ成長した分、より戦闘向きになってるからな。硬い毛の方が防御力も上がるし」

 

俺はそう言っておいた。

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

ラ・ロシェールでルイズは一晩経ってもソワソワしていた。

 

「いい加減落ち着いたら?」

 

優花がそう声を掛ける。

 

「あなたこそ何でそんなに落ち着いてられるのよ!? 一晩経ってもタイシ達が戻ってこないじゃない!」

 

ルイズがそう叫ぶ。

ルイズ達は昨日の内に捕虜にしたクロムウェルを、アンリエッタ及びウェールズに引き渡し、実質的にこの戦争は、連合軍の勝利となった。

表向きには、軍が撤退しつつ、密命を帯びたルイズが少数精鋭で首都ロンディニウムに潜入。

見事クロムウェルを捕虜にしたという事になっている。

 

「言ったでしょ? 大士達はまだアルビオンでやる事があるって。一晩位誤差の範囲よ」

 

優花は落ち着いた声でそう返す。

 

「でも…………」

 

ルイズが尚も何か言いかけた時、外が騒がしくなった。

 

「………戻って来たみたいね………あら?」

 

優花は気配感知でドルガモンとギンリュウモンの気配を察知したが、その背に乗る人数が、結構な大人数なのに声を漏らした。

外に出ると、ドルガモンとギンリュウモンが広場に着地した所だった。

当然ながら、警備に当たっていた兵士達が取り囲むが、すぐにルイズが飛び出す。

 

「待ってください! 彼らは味方です!」

 

ルイズの顔は、軍の中では割と広がっていたので、すぐに警戒が解かれる。

ドルガモンとギンリュウモンの背から、大士と葵。

それから、黒髪をサイドテールにした少女、フードを被った人物、年端も行かない少年少女達。

それと、黄色い爬虫類の様な生物を連れた男性。

そして、トリステイン魔法学院の秘書であるロングビルが降り立った。

 

「えっ? ミス・ロングビル!? 何故大士達と一緒に!?」

 

ルイズが思わず叫ぶ。

 

「お久しぶりです。ミス・ヴァリエール」

 

秘書としての口調でロングビルは返した。

更に、

 

「美姫!? 何でここに!?」

 

「あ………優花さん………」

 

美姫の存在に驚愕した声を上げる優花。

すると、

 

「ルイズ、詳しい説明は後だ。女王サマとウェールズにだけ話を通したい。頼む」

 

小声で大士がそう言う。

 

「わ、分かったわ。すぐにお伺いするわ」

 

ルイズはすぐに報告に走った。

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

流石に連合軍の危機を救った者の頼みとあれば、女王サマとウェールズに話が届くのは早かった。

連れていた子供達は兵士達に任せ、女王サマとウェールズと会うのは、俺、ドルモン、葵、リュウダモン、優花、ハックモン、美姫、ルイズ、マチルダ、テファ、マサル、アグモンだけとなった。

会議室の一室を借り、更に優花が空間魔法で外界と隔絶する。

すると、

 

「まずは礼を言わねばなりませんね。我々を救い、更にはクロムウェルまで捕えてきた事、感謝しきれませんわ」

 

「私も総司令官として礼を言おう。本当にありがとう」

 

2人は揃って頭を下げる。

 

「別にその事については如何でもいい。今は別件が先だ」

 

「いいえ、そう言う訳にはまいりません。功績に報いる報酬が無ければ………」

 

「だからその報酬についてさっさと話しをしたいんだ!」

 

俺は思わず声を荒げてしまう。

 

「…………君がそこまで取り乱すとは一体何があったんだ? この場に連れて来たその者達と、何か関係が………?」

 

ウェールズがそう言うと、

 

「話をする前に、ウェールズ。あんたには『皇太子』として話に参加して欲しい。心配しなくても、この空間内なら外にバレる心配はない」

 

「……………わかった」

 

俺の言葉に、ウェールズは理由を尋ねる事無く認識阻害の指輪を外し、仮面を外す。

 

ウェールズの素顔が露になった。

 

「へぇ~、本当に生きてたんだね。皇太子サマ?」

 

マチルダが元の口調でそう言う。

 

「へっ? ミス・ロングビル?」

 

その口調にルイズが驚いた。

 

「こっちが彼女の地なんだよ」

 

俺はそう言っておく。

 

「君は………ミス・ロングビルだったかな? 魔法学院の学院長の秘書の………」

 

「ロングビルっていうのは偽名さ。本名はマチルダ………いや、マチルダ・オブ・サウスゴータって言った方かいいかい?」

 

「ッ!? サウス………ゴータ…………!? まさか、叔父上に忠誠を誓っていた、サウスゴータの太守を務めていた…………」

 

マチルダの言葉にウェールズは目を見開く。

 

「ご明察の通りさ…………それでこっちが………」

 

マチルダが目配せをすると、フード付きのローブを纏っていたテファが、フードを外した。

エルフの血が流れている特徴である、尖った耳が露になる。

 

「「「エルフ!?」」」

 

ルイズ、女王サマ、ウェールズが驚愕の声を上げる。

 

「ハーフです………」

 

テファが視線を落としながらそう答える。

 

「彼女はティファニア。モード大公の娘さ」

 

「ッ!? 叔父上の…………っ!?」

 

「最初に警告しておくが、彼女に危害を加えようとするなら、俺が敵になると思ってくれ。テファの身の安全は、俺が保証すると約束したんでね」

 

俺は先にそう言っておく。

 

「それは………!」

 

「あんたらのエルフに対する考え方は知っているが、テファは普通の心優しい女の子だ。エルフだからって理由だけで危害を加えようとするなら、黙って見ているつもりはない」

 

「………………わかった。彼女に危害を加えない事は、始祖ブリミルに誓おう」

 

「わたくしも誓います」

 

その言葉に、マチルダが若干警戒を緩めたのを感じた。

 

「それで、ここからが本題だが、テファはルイズと同じく、虚無の担い手だ」

 

「「ッ!?」」

 

「ええっ!?」

 

女王サマとウェールズが目を見開き、ルイズが声を上げる。

 

「ど、如何いう事よ! 何で虚無の担い手がもう1人いるの!?」

 

ルイズがそう叫ぶと、

 

「虚無の担い手は、同じ時期に、最大4人現れる」

 

「「「ッ!?」」」

 

俺の言葉に、3人は息を呑んだ。

 

「まあ、それは如何でもいい。問題は、虚無の担い手は、使い魔を召喚すると、人間を召喚する事だ」

 

「人間を………?」

 

「ルイズに召喚されたのは俺達の内の1人で、あとは巻き添えだろう。それで、テファが召喚したのがそこに居る美姫…………俺の妹だ」

 

美姫がペコッと頭を下げる。

 

「「ッ!?」」

 

「えっ? アンタの妹!?」

 

ルイズが驚愕の声を上げる。

 

「美姫も召喚されたのね………」

 

優花も納得したように頷く。

 

「更に問題なのが、美姫は虚無の使い魔の中で、一番厄介なリーヴスラシルに選ばれた事だ」

 

「リーヴスラシル?」

 

「その役目は、その者の命を犠牲にして、虚無の呪文の威力を上げるというものだ。言わば、魔力供給タンクにするという事だ」

 

「ッ!?」

 

俺はリーヴスラシルの説明をする。

 

「ハッキリ言うが、美姫を犠牲にするような事をした場合、俺は完全に敵に回る………! 例えば、美姫1人を犠牲に世界を救っても、俺がその世界を滅ぼすからな!」

 

俺は自分の考えを伝える。

 

「「ッ………!」」

 

女王サマとウェールズは息を呑んだ。

俺の本気が伝わったのだろう。

 

「おいおい、そんな脅すことも無いだろ?」

 

マサルはそう言うが、

 

「脅しのつもりは無いんだがな」

 

俺は本気のつもりだ。

 

「その代わり、美姫がリーヴスラシルの間に、リーヴスラシルの力を使わなければ解決できない事柄に直面した場合、俺が全力で協力してやる。まあ、俺の『大切』を傷付けないという条件の元だがな」

 

俺はそう付け加えた。

 

「正直、その様な事が起きないように祈っているよ」

 

「ごもっとも」

 

「あと、2人に要求したいのは、連れてきた子供達の成人するまでの生活の保障。テファの魔法学院への転入。美姫とマサル、アグモンの、魔法学院での滞在許可。それと、マチルダの家の名誉回復と、貴族への復帰。以上の要求を呑んでくれるなら、今までの借り、全部チャラで良い」

 

「正直、その要求を全部吞んだとしても、君達の報酬には全然足らないんだけどね」

 

「そうです。せめて『シュヴァリエ』の爵位ぐらいは………」

 

「俺達にとって、爵位かなんかは邪魔にしかならないから要らないんで」

 

俺は手を払うように振りながらそう言う。

 

「ちょっとアンタ! 折角の姫様のご厚意を………!」

 

「前にも言ったが、変な貴族から目の敵にされるのは面倒なんだよ。俺達にとって、余計な名声や爵位は足枷にしかならない」

 

ルイズにはそう言って反論を封じる。

 

「それでも恩を感じてくれるっていうのなら、今後もある程度便宜を図ってくれればいい。余計な立場は返って邪魔にしかならない」

 

ロマリア相手にどれだけ便宜を図ってくれるかは分からないが。

 

「そうですか…………」

 

女王サマはガッカリしたように俯いた。

 

「そう言えば、そちらの君は………?」

 

ウェールズがマサルの方を向いた。

すると、

 

「へっ! 俺は無敵の喧嘩番長、大門 マサルだ!!」

 

「その子分のアグモン様だぁ!」

 

マサルとアグモンは堂々と名乗る。

 

「喧嘩…………?」

 

「バンチョー………?」

 

ウェールズと女王サマが首を傾げる。

 

「ああ。マサルは、以前2人の依頼を受けた時に現れた、青い巨鳥の背中に乗っていた白衣の男と因縁があるんだよ」

 

「ッ!? あの男か! そう言えば、『ダイモンマサル』という名にも聞き覚えが………!」

 

ウェールズは気付いたように叫ぶ。

 

「マサルが敵でない事は俺が保証する。だから、魔法学院の滞在を許可して欲しい」

 

「…………わかりました。他ならぬあなたの頼みです。オールド・オスマンへ、彼の滞在を許可する様伝えましょう」

 

「頼みます」

 

そこで話し合いは終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、正式に神聖アルビオン共和国が降伏し、戦争は終結した。

クロムウェルは処刑。

残ったアルビオンの領土を如何するかという話になったのだが、そこで総司令官であるウインドが、正式なアルビオン王国の後継者であるウェールズだと正体をバラしたのだ。

ウェールズが本物であることは、女王サマが証人となり、いくつかトリステインやゲルマニアに有利な条件を付ける事にはなったが、ウェールズは無事アルビオン王国の正式な王族として認められたのだ。

まあ、そんな事は俺達には関係無いので、軍が解散した時点で俺達は学院に戻る事にした。

子供達は信用できる孤児院に預け、美姫、テファ、マサル、アグモン。

そして、マチルダも一緒だ。

マチルダは、以前の通りロングビルとして学院長の秘書を続けるらしい。

しかし、状況が一段落したら、故郷のサウスゴータ地方の領主になる事をウェールズと約束していた。

 

 

優花の空間魔法で、魔法学院から少し離れた所にゲートを作る。

俺達は慣れたものだが、空間移動を初めて経験するマサル、アグモン、マチルダ、テファは驚いていた。

美姫は何気に、地球で魔法を見せてもらっているので驚きはしていない。

学院の門を潜ると、

 

「おお~! ここが魔法学院ってとこか!」

 

マサルが学院の塔を眺めながら声を上げた。

すると、

 

「おおっ! ルイズ達が帰って来たぞ!」

 

マリコルヌの声が響いた。

その声に、一斉にルイズに生徒達が群がってくる。

生徒達の中にも、戦争で活躍した者はギーシュを初め、少数だが居る。

それでもルイズの活躍…………というか功績は目を見張るものがあるのだろう。

生徒達に囲まれ、ルイズは困った様に笑みを浮かべる。

ルイズからしてみれば、俺達の功績を横から掠め取ったようなものなので、素直に自慢できないんだろう。

俺達がその様子を眺めていると、

 

「ドルモンさまーーーーーーっ!!」

 

「むぎゅっ!?」

 

何処からともなくイルククゥがすっ飛んできて、ドルモンの首に抱き着いた。

 

「ドルモンさま! お帰りなのね! ずっとずっと会いたかったのね!」

 

「イルククゥ!?」

 

頬擦りまでしてくるイルククゥに、ドルモンは苦笑する。

 

「わっ!? 何、この女の人!?」

 

突然現れてドルモンに抱き着いたイルククゥに美姫が驚く。

 

「きゅいきゅい~♪」

 

イルククゥはこちらには構わずにドルモンに頬擦りを続けている。

 

「イルククゥが居るって事は………」

 

俺は近くを見回す。

すると、大勢の生徒の中でも目立つ白い髪を持つ少女を見つけた。

その少女、シャルロットは、生徒達がルイズに群がる中、真っ直ぐに俺だけを見つめてこちらに歩み寄って来た。

そして、俺の目の前で立ち止まると、

 

「…………おかえり」

 

小さく、だが嬉しそうに微笑んでそう言った。

 

「ああ………ただいま、シャルロット」

 

俺も笑みを浮かべながらそう返す。

言葉こそ少ないが、見つめ合うだけでも彼女の気持ちは手に取る様に分かる。

すると、

 

「お、お兄ちゃんが、葵さんと優花さん以外の女の人と、目と目で分かり合ってる風な雰囲気出してる!?」

 

美姫が驚愕する。

まあ、気持ちは分からんでもないが。

 

「……………お兄ちゃん?」

 

シャルロットが首を傾げる。

 

「ああ、コイツ………美姫は俺の実の妹だ」

 

「妹…………!?」

 

シャルロットが珍しく目を見開いて驚愕した表情を見せる。

 

「まあ、その辺の理由は追々な」

 

こんな人が沢山いる所で、テファが虚無の担い手という事をばらす訳にはいかんからな。

因みにそのテファだが、認識阻害のイヤリングを付けることにより、普通の耳に見えるようになっている。

 

「ど、如何いう事………!? どうしてお兄ちゃんが葵さんと優花さん以外の女の人と仲良く……………!?」

 

「…………まあ、簡単に言うなら…………3人目?」

 

「ッ!?!?!?」

 

葵の言葉に美姫はこの世の終わりの様な表情をしている。

つか、俺が女と関りを持つたびにそう言う表情するのか?

 

「お、お兄ちゃんに………3人目の恋人が…………!?」

 

美姫が大層驚愕している。

 

「……………寧ろ、最低でももう1人増えそうな感じなのよね」

 

「よ………4人目………………!?」

 

「ん………」

 

いや、ちょっと待て優花!

4人目って何だ、4人目って!?

4人目なんて俺は知らんぞ!?

シャルロットも、何で納得しているように頷いているんだ!?

俺が思わず口を開こうとした時、

 

「ちいねえさま!」

 

ルイズの嬉しそうな声が響いた。

思わずそちらを見ると、カトレアとエレオノールが並んで歩いてきていた。

ルイズがカトレアに呼びかけながら駆け寄り、そのまま胸の中に飛び込もうとした時、

 

「ちょっとちびルイズ~~っ!? どうしてカトレアだけでこの私の名を呼ばないのかしら~~~~~!?」

 

「い、いひゃいれす~~~~~~~~! もうひわへありまひぇん、エレオノールねえしゃま~~~~~~!」

 

横からエレオノールに頬を抓り上げられ、悲鳴を上げることとなった。

それを見たカトレアはクスクスと笑いつつも、止めようとはしない。

すると、カトレアの視線が俺の方を向いた。

俺と目が合うと、カトレアは柔らかい表情を浮かべる。

その表情のまま俺の方に歩いてくると、

 

「ルイズの事を守っていただき、感謝します」

 

自然な動作で頭を下げ、そう言った。

 

「えっ? あ、ああ………別に礼はいいさ。そういう約束だったしな」

 

突然の事に若干戸惑いながらも俺がそう言うと、カトレアは頭を上げる。

すると、

 

「それから…………ご無事で何よりです」

 

そう微笑みながら言ったカトレアの頬が僅かに赤らんだ気がした。

 

「……………あ、ああ…………」

 

その表情に若干見惚れつつ、気を取り直す。

 

「あの人が4人目?」

 

「まあね~」

 

「でも、お兄ちゃんにその気は無さそうですけど?」

 

「………鈍感?」

 

「ちょっと違うわねシャルロット。大士は鈍感っていうより、元から異性に好かれない因果を持ってるって自覚しているから、自分が好かれてるって事を初めから否定しちゃうのよ」

 

「ん、確かに…………大士の性格を考えれば、そう思うのも無理はない」

 

「どうするんですか?」

 

「そこは大士次第かな? カトレアさんは私の巫女だし、間接的に背中押したのも私だし…………」

 

「少なくとも、大士からすれば、カトレアさんは十分ストライクゾーンね」

 

「……………お兄ちゃんがどんどん非常識になっていく……………」

 

「私達は、奈落の底でそう言う常識的な価値観がぶっ壊れてるから、今更ね」

 

「それ以前に、デジモンの究極体殴り倒した時点で常識とは無縁だと思う」

 

「それは確かに」

 

何か恋人達+美姫がコソコソと話し合っている。

ふと俺は、シャルロットが居るのにキュルケの姿が無い事を不思議に思った。

キュルケは何だかんだでルイズの事を気にかけているので、ルイズが帰って来たとなれば、真っ先に顔を見せると思ったからだ。

 

「そう言えばシャルロット、キュルケは一緒じゃないのか?」

 

俺がそう聞くと、

 

「キュルケはコルベール先生を連れて、実家に帰ってる」

 

「コルベール先生を?」

 

「名目上は、コルベール先生の研究に、キュルケの実家が興味を持ったということになってる」

 

「名目上?」

 

「微熱が燃え上がった」

 

「ああ、なるほど………」

 

そこで俺は思い出した。

そう言えば、キュルケは最終的にコルベール先生に惹かれるんだったか…………

 

「でも、今回はいつもとは違う」

 

「違う?」

 

「ん………キュルケも本気」

 

親友のシャルロットを以ってこう言う位なら、本当に本気なんだろう。

 

「なるほど…………確かに客観的に見れば、コルベール先生は優良物件だな。コルベール先生自身もいい人だと思うし、それにコルベール先生の研究はいつか必ず世界を動かすことになる。貴族的な立場から見ても、コルベール先生を取り込めば圧倒的な優位性を持てるだろうな」

 

まあ、キュルケはトリステイン貴族では無くゲルマニア貴族だが。

このままコルベール先生がキュルケの家に婿入りすれば、ゲルマニアはハルケギニアの中でも技術的に圧倒的なアドバンテージを得ることになる。

そうなれば、ハルケギニアでもっとも早く地球で言う産業革命が訪れるだろう。

こう考えると、そう遠くない内にトリステインはゲルマニアに取り込まれるんじゃね?

寧ろ、ハルケギニア全体がゲルマニアに統合されね?

まあ、それは如何でもいい事だが。

 

 

 

 

 

因みに魔法学院の生徒達の間でも、艦隊所属だったマリコルヌや他生徒達を中心に『アルオイス教』が広まっていたのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 






第28話です。
日曜日は更新出来なくて申し訳ない。
今回は割とあっさり終わった気もする。
つーか、シェフィールドの出番が無い。
ガリア来る前にさっさと退散したからなぁ………
まあ、その内出てくるでしょう。
次回からは…………ちゃっちゃと対エルフまで行くかなぁ?

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