ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第32話 ありふれた浴場

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

ティファニアの異端審問騒ぎから数日後。

魔法学院の図書室の一角で、1人の男子生徒があるものを見つけて震えていた。

 

「こ、これは……………!」

 

『それ』を見つけた男子生徒は、何かを決意した表情になると、『それ』を懐に忍ばせて図書室を出ていった。

 

 

 

 

 

 

また、別の場所では桃色の髪に鳶色の瞳を持つ女性、カトレアが、大士がいない時を見計らって、葵、優花、シャルロットの3人を訪ねていた。

 

「今日はお願いがあって来ました」

 

カトレアはそう切り出す。

 

「実は…………」

 

カトレアは自分の心の内を告白する。

葵、優花、シャルロットは、その告白を聞くと、優し気に笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

今更だが、この世界にも風呂はある。

風呂と言っても、浴槽に浸かるのは貴族位で、平民はサウナの様な蒸し風呂だ。

当然だが、生粋の日本人である俺や葵、優花は、そんな蒸し風呂で満足など出来ようはずも無く、宝物庫に入っているテントに備え付けられている風呂を使っている。

因みにマサルは、原作才人と同じようにいつの間にか五右衛門風呂を作ってそこに入っている。

そんな風呂事情の俺達だが、今日は少し違っていた。

 

「学院の大浴場に行く?」

 

俺は思わず葵達に聞き返した。

葵と優花が、今日は学院の大浴場を使うと言って来たのだ。

 

「うん。カトレアさんに誘われてね。今日は特別に私達も使っていいことになったから。あっ、もちろん美姫ちゃんも一緒にね」

 

「それに、この世界の浴場にも、少し興味があったしね」

 

「なるほど」

 

葵と優花の言葉に、俺は頷く。

 

「そう言う事なら止める理由も無いな。ゆっくり堪能して来い」

 

俺の言葉に、葵と優花は笑みを浮かべると、美姫を連れて3人で大浴場へと向かった。

 

 

 

 

 

葵、優花、美姫と別れた俺は、ドルモンと一緒に広場の一角にいつも通りテントを立てるために向かっていた。

すると、

 

「大士、少しいいだろうか?」

 

そう話しかけられた俺が振り向くと、そこに居たのはリュウダモンとハックモンだ。

 

「ん? どうした?」

 

「ああ。少し、ドルモンを借りてもいいだろうか? もう少し訓練をしたいのだ」

 

ハックモンがそう言い、俺はドルモンの方を向くと、

 

「どうする? 疲れてるなら断るが………」

 

「ううん、平気! まだやれるよ!」

 

ドルモンは元気にそう答える。

 

「そうか、無理はするなよ」

 

「うん!」

 

ドルモンはそう言ってリュウダモン、ハックモンと共に別の広場へと向かっていった。

計らずも1人になってしまった俺が、いつもの場所へ向かっていると、明らかに不審な穴を見つけた。

この辺りは毎日通っているので、昨日まで無かったことは確実だ。

俺が怪訝に思いながら様子を伺うと、

 

「地下に埋まっている部分の壁石には“固定化”はかかっていない。あの図面を見る限りでは。信じて良いのかね」

 

「ああ。あの図面には、当時の設計主任、エルモン伯の許可印が押してある。まごうことなきホンモノさ。考えてみれば、地面の下とは盲点だった!なるほど風呂は半地下の構造になっている。窓ばかり注意がいって、地面に埋まった壁まで頭は回らなかった。頭だけ守って、尻がおざなりになるってのは、何も生き物だけじゃないってことだ」

 

穴の中から、何やら話し声が聞こえて来た。

言葉の全ては聞き取れなかったが、『風呂』という単語でピンときた。

ああ、覗きイベントか。

この世界に来た頃であれば、別に見逃しても良かった。

見ず知らずの女子生徒の裸が覗かれようが、別に何とも思わないし、女性の裸を覗こうとする男の気持ちも分からないでも無いからだ。

自分でやろうとは思わんが。

しかし、今は別だ。

学院の女子生徒が入っているという事は、シャルロットが入っているだろうし、今日に限っては、葵と優花も入る事になっているのだ。

見過ごすわけにはいかない。

まあ、即行で優花にはバレるだろうが、ほんの僅かでも彼女達の裸体が、別の男達の目に入るのは我慢できない。

俺はその穴の中に入る。

しばらく進むと、数人の人影が石壁に貼り付いて何やらやっていた。

息を殺しながら様子を伺うと、原作で水精霊騎士団だった面々が、石壁に向かって錬金を唱え続けていた。

こっちの世界だと、俺がシュヴァリエになるのを断ったから、水精霊騎士団そのものが出来て無いんだよな。

俺はふと原作との相違点を思った。

すると、レイナールらしき男子生徒が杖を取り落とした。

 

「もう駄目だ。僕は限界だ。これ以上、こんな繊細な詠唱には耐えられない…………」

 

隣にいたマリコルヌがレイナールを叱咤する。

 

「何を言うんだ!! 僕たちの栄光はすぐそこだぞ! お前はこんなところで負けても良いのか!?」

 

肩をつかんで、泣かんばかりに説得する。

 

「想像しろッ! お前のその勇敢な頭脳で想像するんだッ! この壁の向こうにある桃源郷をッ! 戦士たちの魂が癒されるべきヴァルハラをッ! 数々の聖女たちが、伝説の妖精たちが、この壁の向こうで、僕たちを待っているッ! 栄光はすぐそこだァ! 諦めるなァッ!」

 

少年は涙を流した。

 

「ぐぉ、ぐぉおおおおおっ!」

 

と唸ると、再び杖を取り上げ、呪文を唱え始めた。

呪文の合間に、少年たちは一斉に叫んだ。

 

「「「「「「「「僕たちはヴァルハラを想像するッ!」」」」」」」」

 

すると、ギーシュが口を開く。

 

「ところでギムリ。『これ』が完成したら、僕はこの穴を“ギムリ砦”と名づけようと思う。難攻不落の要塞を陥落させた、素晴らしい砦だ。それを完成させた君の功績を末永くたたえたい」

 

ギーシュとギムリが固く握手をした。

 

「…………ギムリ砦ね。そりゃ崩し甲斐のありそうな砦だな」

 

俺が声を掛けると、並んでいた少年たちが一斉にビクリと震えて、恐る恐るこちらを振り向く。

 

「や、やあタイシ…………どうしたんだい…………?」

 

少年達を代表して、ギーシュが声を震わせながら問いかけてくる。

 

「何、こんな所で何をやっているのかが気になっただけだ」

 

俺は腕を組みながらそう答える。

ギーシュはビクビクしながら、

 

「僕達は………そう! 錬金の訓練をしているのだよ!」

 

「女子風呂の壁に向かってか?」

 

ギーシュの言い訳に即答で返すと、ギーシュは冷や汗をダラダラと流しながら黙り込む。

 

「そ、それはだね…………」

 

ギーシュが如何言おうか迷っていた時、ギーシュの肩をポンと叩いてマリコルヌが前に出た。

 

「タイシ………君は知りたくないかね?」

 

「何を?」

 

「あのティファニア嬢の胸がホンモノかどうかをだ」

 

マリコルヌは、誤魔化すのが不可能なので懐柔策に出たようだ。

 

「ふむ。まあ、確かに興味が無いと言えば嘘になるし、お前達が覗こうとする気持ちも分からんでもない」

 

巨乳好きの俺としては、否応なしに惹かれるしな。

 

「そうだろう! 僕達はこの世の春を、ヴァルハラを目指しているんだ! それを止める権利は、男の誰にも在りはしない!!」

 

マリコルヌは高説を説くように高らかに叫びながら拳を握りしめる。

 

「………………正直、お前らが覗きをしようが何をしようが、俺に関係の無い所でやるのなら、別にどうでもいいと思っている」

 

「おおっ………! では………!」

 

説得に成功したと思ったのか、ギーシュは顔を輝かせる。

 

「……………けどな。知っての通り、この大浴場を使っている1人であるシャルロットは俺の恋人だ。そして、今日に限っては葵と優花も大浴場を使っている…………」

 

その言葉に、ギーシュは拙いと感じたのか一歩引くが、マリコルヌは尚も前に出た。

 

「ならばこそ、彼女達の隠された謎を解き明かしたくは無いのか!? ティファニア嬢程でなくとも、君の恋人達も素晴らしい(もの)を持っている! それを直に眼に焼き付けたくは無いのか!?!?」

 

マリコルヌは今までで一番力強く力説する。

しかし、

 

「いや、別に態々覗かなくても頼めば見せてくれるし。つーか、何事も無い日は、ほぼ毎日見てると言っても過言じゃないし」

 

俺の言葉に全員が固まる。

 

「……………………………そ」

 

長い沈黙の後、マリコルヌが声を漏らし、

 

「それは嫌味かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

血涙を流しそうな勢いで叫び声を上げた。

 

「いいや、自慢だ」

 

俺は冷静にそう返す。

 

「それと、複数の女性を恋人にしてる俺が言っても説得力はないかもしれんが………俺はこう見えても独占欲が強いみたいでな…………恋人の裸を他の男が見るなんて、考えただけでもそいつをぶっ殺したくなってくる」

 

俺はそう言いながら、拳にデジソウルを宿す。

それと同時に、目の前の男子生徒達から、一斉に血の気が引いた。

 

「………………と、言う訳で覚悟しろ。何、心配しなくていい。未遂という手前、殺しはしない」

 

俺は笑顔を浮かべたつもりだったが、目の前の男子生徒達には恐怖の対象に映ったようだ。

ガタガタと身を寄せ合って震えている。

しかし、それで容赦するはずもなく…………

 

「「「「「「「「ぎゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!?!?!?」」」」」」」」

 

地下に男子生徒達の悲鳴と打撃音が響いたのだった。

 

 

 

 

 

 

【Side 葵】

 

 

 

 

 

カトレアさんの誘いで学院の大浴場を使うことになった私と優花、美姫ちゃんは更衣室に入る。

そこには、シャルロットとキュルケ、ルイズも居て、すぐ後にティファニアもやって来た。

 

「あら、珍しいわね。あなた達がこっちに来るなんて」

 

キュルケが私達を見てそう言ってくる。

 

「今日だけ特別にカトレアさんが許可を取ってくれたの」

 

「ちいねえさまが?」

 

その言葉に、ルイズは驚いた声を上げる。

 

「ええ。私達もこっちのお風呂には興味あったからね。今回はこっちに入らせてもらうわ」

 

優花がそう言いながら服を脱ぎ出す。

私や美姫ちゃん、ティファニア、シャルロットやキュルケも服を脱ぎ出す中、ルイズだけが服を脱ぐ途中て手を止めていた。

いや、こっちを凝視しながら固まってる感じかな?

そのルイズの視線を追うと、その先にあるのは胸。

そこで私は察する事が出来た。

この7人の中で、ルイズだけペッタンコだからねぇ…………

私が思うに、ルイズのバストは、トータスの旅の仲間だったロリ筆頭のユエよりもペッタンコだ。

いや、ユエも肉体の成長が止まったことを考えれば、当時の年齢からすればある方だと思うし、本来なら将来に期待できたのかもしれない。

更に失礼な事を言えば、ルイズは愛子先生とどっこいどっこいだろう。

あと、本来ならロリ仲間であったはずのシャルロットは、魔物肉を食べた影響で、今では立派なものをお持ちだからね~。

私はチラッとシャルロットを見る。

Fカップのバストと、バランスのいい背丈と肉付き。

ルイズが嫉妬するのも頷ける。

因みに美姫ちゃんはCカップ。

私達ほど大きくはないけど、形のいい、所謂美乳だ。

だけど、その胸の上の方に、痣の様にリーヴスラシルのルーンが刻まれている。

毎日『神力』を使って少しずつ引き剥がしてるけど、魂に根付いたルーンの細かい根を、魂を傷付けないように、1本1本慎重に引き抜かなきゃいけない作業だから、先は長い。

と、その時、視界の横でポヨンと跳ねるものに気付いた。

それは、この6人の中でも随一の胸の大きさを誇るティファニア。

その大きさには私も思わず目を奪われる。

私も胸はHカップあるし、大きさには自信があるけど、ティファニアは私よりもさらに大きく、Iカップは堅いだろう。

胸の大きさだけで言えば、ティオも私より大きいけど、ティオは長身で肉付きも相応だから、全体のバランス的には私とそう変わらない。

でも、ティファニアは私とそう変わらない背丈で線も細い。

なのに胸だけが不自然に大きいから、その大きさが強調される形になっている。

胸の大きさ的にはティオと同じぐらいだと思うけど、全体のバランスで言えば、ティファニアの方が大きく見える。

……………もし、これを使って大士に迫ればイチコロだ。

すると、私がジッと見つめていたのに気付いたのか、ティファニアは顔を赤くし、

 

「…………あの、やっぱり私の胸って変なのかな………? 村の子供達やマチルダ姉さん以外で初めて会った女の人がアオイで、アオイも私に近い大きさだったから、これが普通だと思ってたんだけど…………この学院に来て、他の皆と比べると、明らかに大きすぎるから…………」

 

「あはは………珍しい事には違いないけど、流石に変って訳じゃないよ」

 

ド天然なティファニアの言葉に、私は苦笑する。

 

「そ、そうなんだ………! よかった………」

 

ティファニアは本気でホッとした表情を見せた。

 

「話ならお風呂に入りながらしましょうよ。ここで立ち話は、他の生徒達に迷惑だわ」

 

優花の言葉でハッとなり、私達は浴場へ向かう。

手の止まっていたルイズも、慌てて服を脱いで私達の後に続いた。

 

 

 

浴場に入ると、そこは蒸気が充満していて、広い部屋の中央に大きな浴槽がある。

単に入浴するだけじゃなく、蒸し風呂も併用してるみたい。

お湯に香水が混じっているのか、普通のお風呂には無い香りもする。

そこで気になったのは、誰も身体を洗っていない事だった。

蒸気や湯船に浸かって汗を流し、それをタオルで拭き取る事が、この国の入浴の習慣なんだろうと思った。

とは言え、自分の習慣を変えるつもりは無いから、すぐに湯船に入ろうとする4人とは別に、湯船の近くで足を止めた。

 

「あんた達? 入らないの?」

 

脚を止めた私と優花に、ルイズは怪訝な声を向けてくる。

 

「入らないわけじゃないけど、湯船に浸かる前に身体を洗うのが私達の国の習慣だから」

 

「身体を………洗う?」

 

やっぱり身体を洗うという習慣が無いのか、ルイズは首を傾ける。

 

「私達の居た所じゃ、お風呂っていうのは1日の汚れや身体の垢を落とすためだから」

 

美姫ちゃんが続いてそう言うと、

 

「まあ、別に気にしなくてもいいよ。場所が違えば習慣が違うのは当然だし」

 

私は笑ってそう言う。

すると、湯船に入ろうとしていたシャルロットが、こっちに近付いてきた。

 

「私にも、アオイ達の入浴の習慣を教えて欲しい」

 

シャルロットはそう言う。

多分、元の世界に帰る時には付いて来るから、出来るだけこっちの習慣を覚えておきたいんだろう。

 

「うん、いいよ」

 

私は右手の宝物庫から、入浴セットを取り出す。

優花も同じように入浴セットを取り出した。

桶にタオルにボディソープ、シャンプー、トリートメントだ。

それからスペアの桶とタオルを美姫ちゃんに貸した。

湯船から桶でお湯を汲むと、何度か身体に掛ける。

タオルにボディソープを付けて泡立てる。

 

「わっ! 何それ!?」

 

湯船の中から見ていたルイズが驚きの声を上げる。

 

「これはボディーソープ。身体を洗う為の石鹸だよ」

 

「石鹸!? そんな高価な物を身体を洗うために使うの!?」

 

ルイズは驚いている。

っていうか、この世界に石鹸ってあるんだね。

 

「私達の国じゃ、誰でも買える値段で、いくらでも売られてるわよ」

 

優花の言葉にルイズが目を丸くする。

こんな所でも驚かれるなんてね。

石鹸の泡に包まれながら身体を洗っていく私達。

シャルロットも、私達の見よう見まねで身体を洗っていく。

すると、

 

「あ、あの…………」

 

ティファニアが遠慮がちに声を掛けて来た。

 

「そ、その………私にも使わせてもらっていいかな?」

 

私達を見て、興味が出てきたのか、ティファニアはそう言う。

 

「じゃあ、折角だから私も試させてもらおうかしら」

 

キュルケも同じように興味深げにそう言った。

そして、

 

「う………じゃ、じゃあ私も…………」

 

ルイズも恥ずかしそうにそう言う。

 

「いいよ」

 

私は笑顔で了承する。

私と優花のスペアの分を全部使う事になったけど、それは仕方ない。

全員が泡だらけになっているので、他の生徒達からは奇異の目で見られていたけど、別にそれは気にしない。

続いてシャンプーで髪の毛を洗い、最後にトリートメントを髪に使う。

 

「このシャンプーっていうのは、頭を洗う為の石鹸っていうのは分かるんだけど、こっちのトリートメントっていうのは何なの? 泡も立たないから石鹸じゃなさそうだけど………」

 

気になったのか、キュルケが聞いてきた。

 

「えっと………トリートメントは髪の保護………要はこれを使うと髪がサラサラになるの」

 

「「サラサラ!?」」

 

サラサラという言葉にルイズとキュルケが食いついた。

 

「そう言えば、今まであまり気にしてなかったけど、葵と優花の髪って普段からサラサラよね…………」

 

「私は体質と思ってたけど、もしかして………」

 

ルイズとキュルケがジ~ッと見つめてくる。

 

「あ~………うん。トリートメントを使ってたって事が大きいのは、間違いないかな?」

 

私がそう言うと、2人は念入りにトリートメントを使っていた。

身体を洗い終わると、改めて湯船に浸かる。

 

「ああ…………なんかいつもと違って気持ちいい…………」

 

ルイズが湯につかりながら目を閉じてそんな事を言う。

 

「ホント………身体がスッキリして気分が良いわ」

 

キュルケもルイズの言葉に同意する様に呟く。

 

「…………気持ちいい」

 

シャルロットもご満悦みたい。

 

「凄い………! 私が使っていた蒸し風呂とは比べ物にならない………!」

 

ティファニアも驚いている。

私達も湯に浸かって寛いでいると、

 

「あ、あの………」

 

ティファニアが口を開く。

 

「さっきの話の続きなんだけど…………その………私の胸って、本当に変じゃない?」

 

真面目な顔でそう聞いてきた。

 

「あ~、うん。さっきも言ったけど、珍しいのは確かだけど、変って訳じゃないよ」

 

私はそう答える。

 

「ホント………? でも、さっきから皆、私の胸をチラチラ見て来るから…………」

 

ティファニアが心配そうな表情を浮かべる。

 

「それは嫉妬と言うか、切望と言うか…………」

 

「どういう事………?」

 

ティファニアは意味が分からないと言わんばかりに首を傾げる。

 

「簡単に言えば、胸が大きいって事は、女にとっては大きなアドバンテージになるのよ」

 

優花が口を開く。

 

「アドバンテージ? どうして?」

 

ティファニアが優花に聞き返すと、

 

「女の胸っていうのは、男にとって魅力的に映るものなのよ。基本的には胸が大きいほど魅力的に見えるらしいわ。まあ、小さい方が好みって男も中には居るけどね」

 

優花、何気にルイズにフォロー入れたね。

 

「あっ、男の人達が私の周りに集まっていたのって…………」

 

「ティファニアがそれだけ魅力的に映ってたって事よ」

 

「そ、そうなの…………」

 

ティファニアが初めて気付いたと言わんばかりに顔を赤くして俯く。

 

「それにテファは普通に美人だからね。もし胸が小さくても、男の子なら普通にほっとかないと思うよ」

 

美姫ちゃんが笑いながら言う。

 

「び、美人ッ………!?」

 

ティファニアが慌てた様に耳まで真っ赤になる。

その様子を見て、私は思わず笑ってしまう。

すると、

 

「……………あの、もう1つ聞きたいんだけど…………」

 

ティファニアが改めて質問してくる。

 

「何?」

 

「タイシは…………胸が大きい方と小さい方、どっちが好きなの?」

 

「ブッ!?」

 

「テファ!?」

 

ティファニアの思い掛けない質問に、ルイズは吹き出し、美姫ちゃんが驚いて叫ぶ。

 

「それは、私や葵、シャルロットを見ればわかるでしょ? 大士は大きな胸が大好きよ」

 

優花は特に恥じらいもせずにそう言う。

まあ、大士の好みは私達が証明してるようなものだし。

 

「そ、そうなんだ………!」

 

ティファニアはどことなく嬉しそうな顔をした。

 

「テ、テファ………? もしかして………」

 

美姫ちゃんがその様子を見て唖然としている。

 

「そ、そう言えば! ちいねえさまはまだかしら!?」

 

ルイズが話の流れを変えたいのか、全く別の話題を口に出した。

だけど私達に言わせれば、正にその話題は、今ティファニアが出した話題の続きだ。

その真実を知るのは、私と優花、シャルロットだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

ギーシュ達覗きを行おうとした、面々は、全員漏れなくボコってその辺に転がしておいた。

いつもの広場の一角に宝物庫からテントを出し、その中にある風呂場へと入る。

このテントには認識阻害が掛っているので、関係の無い者からは認識されないし、俺か葵、優花の許可が無いと中に入る事も出来ない。

テント内も空間魔法を利用しているので、見た目よりも遥かに広く、下手なホテルよりも快適な空間だ。

なので、その中に据え付けられている風呂も広々としている。

浴槽も、3人入ってもまだ余裕があるぐらいの大きさだ。

何故その大きさなのかは推して知るべし。

身体を洗って湯船に浸かる。

やはり風呂は良いものだ。

俺がそう思っていると、背後で扉が開く音が聞こえた。

 

「ん? ドルモンか?」

 

俺は、ドルモンが戻って来たと思ってあまり気にしなかった。

だが、

 

「失礼します」

 

「ッ!?」

 

その言葉に、俺は思わず振り返った。

聞こえた声は明らかに女性の声。

しかし、葵、優花、シャルロットの3人とは違う声。

俺が振り返った視線の先には、桃色の髪と鳶色の瞳を持ち、優花と同じぐらいの大きさの胸と、女らしい魅惑的なボディラインの女性が、バスタオル1枚の姿でそこに立っていた。

 

「カッ、カトレアッ!?」

 

俺は驚愕しながら慌てて視線を切って前を向く。

 

「お、お前、何でここに!? って言うか、何でここに入って来れる!?」

 

俺は予想外の事態にテンパりながら問いかけた。

 

「アオイちゃんとユウカちゃんに許可を貰いました…………」

 

そう言って、ヒタヒタとこっちに向かって歩いてくる足音が聞こえる。

 

「隣………失礼します」

 

カトレアは俺の返事を待つことなく、湯船に入って俺の隣に座り込む。

 

「ちょ、ま……………」

 

俺は慌てながらも風呂場を出ようと立ち上がろうとして、

 

「……………タイシ様」

 

カトレアに名を呼ばれ、タイミングを逃してしまう。

 

「………………………」

 

俺は沈黙していたが、カトレアは口を開く。

 

「タイシ様……………私は…………」

 

躊躇する様に一旦言葉を区切るが、カトレアは意を決したように息を呑むと、

 

「…………私は、あなたをお慕いしています…………!」

 

その言葉を口にした。

 

「ッ!」

 

俺は思わずカトレアの方に振り返ってしまう。

 

「おまっ!? 何言って………!?」

 

一瞬冗談かと思ったが振り返って見たカトレアの表情は、真剣以外の何物でも無かった。

 

「…………………どうして………?」

 

思わずそんな言葉が口から漏れた。

 

「一言で言えば………一目惚れでしょうか? あなたが猪の怪物から私を助けてくれたあの瞬間、私は『運命』を感じました…………」

 

頬を染めながら俯くその姿は、正に恋する乙女そのものだ。

その姿を見て、非常に愛しく思ってしまう自分の感情も自覚している。

 

「…………………自分で言うのも何だが、俺は恋人を3人も持ってる男だぞ? しかも、故郷の法律じゃ、妻は1人しか持てないと決まっているのにだ」

 

「4人目で構いません。私をお傍に置いて頂けるのなら、どのような形でもいいのです」

 

「………………カトレアは公爵家の次女だろう? 勝手に恋人を作るのは拙いんじゃ………?」

 

「私は元々病弱だったので、婚約者も居ませんし、嫁に出る予定もありませんでした。今更私が誰かの恋人になった所で、父を困らせる事は無いでしょう」

 

すると、カトレアは立ち上がって、一糸纏わぬ姿を俺の前に見せつける。

 

「ッ!?!?!?」

 

「タイシ様…………私は………死を待つだけの灰色の人生に光を………希望を与えてくれたのはあなたなのです………! 私は、新たに拓けた『運命』を、あなたと共に歩む『運命』を進みたいのです!」

 

カトレアは一歩俺に近付いてくる。

 

「タイシ様…………もう一度お伝えします…………私は、あなたをお慕いしています………! 愛しています! これからの人生を、『運命』を、あなたの隣で歩ませてください………!!」

 

「ッ!!!」

 

その言葉がとどめだった。

彼女に好意を持っていた事は自覚していた。

だが、今の言葉で…………

全力で好意をぶつけられた事で、葵、優花、シャルロットの3人に対しての申し訳無さから作っていた最後の感情の壁が打ち砕かれた。

その壁で抑え付けていた気持ちが………

カトレアを愛しく思う気持ちが際限なく溢れ出す。

 

「カトレア…………!」

 

もう我慢できなかった。

俺はカトレアを抱きしめる。

 

「タイシ様ッ………!」

 

カトレアは突然の抱擁に驚くことも無く手を俺の背中に回す。

 

「カトレア………俺もお前を愛している………!」

 

「はいっ………! とても嬉しいです…………! これからも、末永くよろしくお願いしますね、旦那様………!」

 

カトレアは花が咲いたような笑顔でそう言うのだった。

 

 

 

 

結局その日、俺達がテントから出てくることは無かった。

尚、後日、筋を通すためにカトレアの両親であるラ・ヴァリエール公爵と、烈風カリンこと公爵夫人に、『娘さんを頂きます』と挨拶に行ったのだが………………

イグドラシルと戦った時並に、超頑張ったと言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 






ゼロ魔クロス第32話です。
今回は魅惑の女子風呂編でしたが…………
ギーシュ達、完全敗北。
女子勢、現代の石鹸事情に驚く。
カトレア、ハーレム入りの三本でした(笑)
次回からはロマリアが関係してくると思いますが………
どうなるんでしょう?
それではお楽しみに。




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