「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!? 相棒! 助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
薄暗い部屋の中にデルフの声が響く。
よく見れば大剣であるその刀身は罅だらけだ。
「デルフ…………これはお前の為なんだ…………」
俺はそっと目を逸らしながら言う。
「だけど………! だけどよう…………!」
デルフは縋るような声を漏らす。
カツン、カツンと乾いた足音を立てながら、何者かが罅割れたデルフに近付いていく。
「やっぱりだめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!? 相棒助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「…………すまない、俺には如何する事も出来ない…………」
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!? 相棒の薄情者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?!?!?」
悲鳴を上げるデルフの叫びに、
「安心しろ………すぐに良くなる」
にやぁっと怪しい笑みを浮かべたのはハジメ。
「その顔で安心しろとか言われても説得力ねぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
繰り返し悲鳴を上げるデルフ。
俺ははやれやれと溜息を吐くと、
「…………………つーか、そもそもの発端は、お前がユエを煽りまくった自業自得じゃねえか」
「ッ……………!」
俺の言葉にデルフの悲鳴がピタリと止まる。
「いや~、流石にあのちっこい嬢ちゃんがあれ程の魔法を使うのは予想外だったぜ」
デルフに顔があったら、明後日の方向を向いているであろう雰囲気でそう言う。
事の発端は、少し前に遡る。
俺達がハルケギニアから帰って来てから数日後の放課後。
俺達が行方不明の間は、留学扱いになっていたらしく(ハジメが裏で色々と動いていたらしい)、無事に進学できていたので、クラスの顔触れはトータスの帰還者の面々だ。
そんな中、
「ねえねえ、アオアオ、ユウカリン、黒騎君。3人が行ってた異世界ってどんなところなの~?」
谷口さんを筆頭に、クラスメイト達からハルケギニアの話をするようにせがまれたのだ。
まあ、特に隠す必要も無かったし、ルイズに召喚されたところから、主なイベントを掻い摘んで話していた。
特に、優花の決闘騒ぎや女王サマの依頼でアルビオンへ行った事など、クラスメイト達にはいい話のネタだ。
その話の中で、デルフの事を紹介するのを忘れていた事を思い出し、〝宝物庫〟からデルフを取り出して見せた。
「おう! 相棒のお仲間かい? 俺様はデルフリンガー様だ! よろしくな!」
開口一番、相変わらず偉そうに自己紹介するデルフ。
その瞬間静まり返る教室。
「「「「「「「「「「………………………………………………………………」」」」」」」」」」
そして、
「「「「「「「「「「け、剣が喋っぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!?」」」」」」」」」」」
剣が喋るという異常事態に、クラスメイト達は一斉に驚愕した。
約数名興味津々な者も居るが。
「うおおっ!? 大士! それってインテリジェンスソードって奴か!?」
ハジメが興奮した面持ちで問いかけてくる。
「ああ、その通りだ」
俺が肯定すると、
「おおっ………! 意志を持つ剣! ロマンだ!」
まあ、否定はしない。
「特殊能力………! 何か特殊能力は無いのかっ!?」
「あ~、とりあえず、魔法を吸収する、『吸魔』の力を持ってるな」
「吸魔の魔剣! 分かってるじゃねえか!!」
なんかハジメのツボに嵌りまくっているらしい。
その時、
「ここに焼撃を望む――〝火球〟」
「ここに風撃を望む――〝風球〟」
不意に数発の魔法が放たれる。
「……っと!」
俺は咄嗟にデルフを構えて、その魔法を吸い込んだ。
「うおおっ!? マジで吸い込みやがった!」
クラスメイトの1人が叫ぶ。
そりゃ吸魔の魔剣だし。
「はっはっは! その程度のちゃちな魔法は、このデルフリンガー様には通用しねえよ!」
「あんまり煽るな、デルフ」
俺はそう言うが、
「何だと! 剣の癖に!」
「異世界帰りのチートの力を見せてやる!!」
デルフの煽りに耐えられなかった一部のクラスメイトが魔法を連射してくる。
「だから言わんこっちゃない………」
俺は呆れながら、デルフで魔法を吸い込んでいく。
にしても、普通のチート集団のクラスメイト達だが、主力メンバー以外ではハルケギニアで言うトライアングルからスクウェアクラスだな。
いや、十分チートクラスだが。
とは言え、その程度ではデルフの吸収能力を超える事は出来ない。
ゼロ魔の原作では、薬でドーピングして爆発的に上がったドゥドゥーの魔力を吸い込んだ時に、アニメでは、エンシェントドラゴンのブレスを吸い込んだ時に限界を超えて砕けたが、クラスメイト達ではその域には到底及ばない。
「けけけ………! もう終わりかい?」
余裕ぶった口調でデルフは笑う。
余裕で魔法を吸収されたクラスメイト達は、床に手を着けて項垂れていた。
「もうその辺にしとけ………」
俺は半分呆れつつデルフを諫めようとした。
その時、
「「「「「こ、こうなったら…………」」」」」」
項垂れていたクラスメイト達が、最後の手段と言わんばかりの口調で顔を上げ、
「「「「「………………ユエ先生! よろしくお願いします!」」」」」
一斉にユエに向かって頭を下げた。
THE、人任せ。
「…………………興味無い」
ユエは言葉通り興味無さそうに、ついっと顔を背ける。
まあ、ハジメに頼まれるのならともかく、クラスメイトに頼まれたところでユエが承諾するはずも無し。
このまま終わればそれで良かったんだが、
「へっへっへ、無理を言っちゃぁいけねえぜ。そんなちっこい嬢ちゃんに、俺っちの吸収能力を超えるなんて出来っこねえさ!」
デルフが調子に乗っているのか、ユエを煽るような発言をする。
「……………………ッ」
ピクッと僅かに表情に反応が出る。
「おいデルフ! それ以上ユエを煽るな!」
それに気付いた俺はデルフを止めようとしたが、
「どうした? 何も言えないのかい、金髪の嬢ちゃん?」
デルフの煽りは止まらない。
おそらく、クラスメイトの魔法を無効化したことで調子に乗ってるんだろう。
デルフにしてみれば、久々の見せ場だし。
とは言え、クラスメイトとユエの実力を同じに考えるのは拙い。
「だから煽るなって!」
俺はそう言う。
いい加減黙らせる為に〝宝物庫〟に戻そうとした時、
「へいへい、ペッタンコなその胸と同じで自信もねえんだろ? まあゼロの嬢ちゃんほどじゃねえがな。精々イチって所だ!」
「あっ……………」
デルフの言葉に、思わず時が一瞬静止したような感覚があった。
「………………………………」
ユエが無言で立ち上がる。
そしてゆっくりと振り向いた。
「いい度胸…………ボロ剣…………!」
ユエの目には、怒りの炎が静かに燃えている気がした。
「………望み通り食らわしてあげる…………!」
ユエは手を翳す。
「〝蒼天〟」
青白い炎の球体が出現する。
「だぁぁぁぁぁっ!? いきなり最上級ぶっ放すなぁっ!」
俺はユエに向かって叫ぶがもう遅い。
ユエが手を振り下ろすと、炎の球体はこちらに向かって落ちてくる。
「デルフ! 煽った責任ちゃんと取れよ!!」
「えっ? いや、ちょっと………これは予想外………!」
デルフの文句を他所に刀身を〝蒼天〟の炎の中に突っ込む。
このままほっといたら教室が吹っ飛ぶ。
デルフはグングンと炎を吸い込んでいくが、
「あ、相棒……! ちょっとこれ………限界…………」
デルフは限界の意を示す。
「もうちょっとだから頑張れ!」
俺の言葉に尚も炎を吸い込んでいくデルフ。
やがて炎を何とか吸い込みきるが、
「おえっぷ………! もう………無理…………!」
吐きそうな言葉と共に、ピシリッとデルフの刀身に罅が入ったのだった。
俺は、再生魔法で直してもらおうと葵の方を向こうとした所で、
「大士、ちょっと貸せ」
横からハジメに掻っ攫われて、あれよあれよという間にハジメの工房に持ってこられ、冒頭に繋がると言う訳だ。
「まあ、俺としても、デルフがパワーアップされるのは大歓迎だが…………」
「おお、任せろ。とりあえず材質はアザンチウムで決まりだな」
トータス最高硬度の鉱石をホイホイ使ってくれるのはありがたいがな。
「わかってると思うが、デルフの意思は残せよ」
「わかってらぁ。他に要望はあるか?」
「ふむ…………それならいっその事…………」
俺はハジメと共に、デルフの改造計画を話し合う。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? いつの間にか、相棒も計画に加担してるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」
そして、改造計画も決まり、いよいよハジメが改造に着手し始めた。
【イメージ音声です】
―――キュイーン!
―――ガリガリガリ!
―――トンテンカンテン!
―――ヴィーーーーーン!
―――ズドドドドドドドドドドド!
―――ゴィンゴィン!
「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
工房内にデルフの悲鳴が響いた。
数刻後。
「しくしくしくしくしくしく………………!」
デルフのすすり泣く声が響く。
改造前は古い西洋風の意匠の無骨な大剣だったデルフリンガーが…………
何という事でしょう!
美しい刃紋を持つ、日本刀へと生まれ変わったではありませんか!
…………とまあ、劇的ビフォーアフターを果たしたデルフは、日本刀へと姿を変えていた。
因みにこれは俺の要望。
まあ、日本男児として、日本刀には憧れのようなものがあるし…………
でも、原作でも日本刀に意識を移してたから問題無いだろ。
但し、材質は100%アザンチウム製と言う、何とも贅沢な仕様だ。
元々試作として作った八重樫さんの黒刀とは違い、柄や鍔、鞘に至るまで日本刀を再現している。
デルフの意識はちゃんとあるし、吸魔の能力もそのままだ。
と言うより、昇華魔法を付与したのか、魔法の吸収能力が上がっている。
そして、更に再生魔法も付与されており、メンテナンスフリーと言う鍛冶屋泣かせな一品に仕上がった。
ぶっちゃけ、元々そんなに手入れはしてないが…………
で、俺の要望とハジメのノリで魔改造されたデルフの性能は…………
ユエの〝雷龍〟を余裕で吸い込みきりました。
その後に、悔しかったのか〝五天龍〟を撃とうとしたので、流石にそれは止めたが………
この後、デルフはハジメやユエの前では絶対に調子に乗らないことを誓ったらしい。
はい、予定を変更して、急遽幕間を投稿しました。
この話を投稿したのは、アンケート結果が意外な事になったからです。
オリジナル異世界に行った時には、デルフは既に日本刀に改造されている予定だったので、即興で考えて書きました。
自分の予想では、オリジナル異世界の4人ヒロインがぶっちぎるかと予想していたのですが、まさか、ふと思いついて選択肢にぶっこんだインフィニット・ストラトスがまさかの一位。
そのすぐ下に4人ヒロインとなりまして………
アンケート上、一位はインフィニット・ストラトスなのですが、オリジナル異世界の方は、選択肢が三つなので票が割れてしまってるんですよね。
で、インフィニット・ストラトスも、これだけ期待されたら書かないわけにも行かないので、とりあえず書くことは決めました。
それで、もう一度オリジナル異世界(4人ヒロインルート)とインフィニット・ストラトスで、どっちを先にやって欲しいか決めたいと思います。
このアンケートで落ちた方も、片方が終わった後に書くつもりです。
それで、参考として簡単なあらすじと設定を載せておきます。
デジモンの居るオリジナル異世界
大士とドルモンがテンプレの如く異世界に勇者召喚によって召喚されます。
何かと理由を付けて、葵や優花は追って来れない状況にするつもり。
この異世界は、剣と魔法と魔物、そしてデジモンが居る世界。
この世界には、『デジタルナイト』と呼ばれるデジモンを従えて戦う者達が存在している。
召喚されたのは大士の他に別の異世界のデジモンのテイマーの様な人物が数名(オリキャラです)。
召喚直後に、召喚した国の王子が出迎えるが、大士は連れているドルモンが成長期な上に魔力がゼロという理由で役立たずの烙印を押される。
大士が王子をぶん殴ろうとした所で、公爵のおっさんが登場。
勝手に召喚した王子を諫めようとするが、聞き入れてもらえず王子は大士以外の召喚者を連れて立ち去る。
公爵は大士に謝罪すると同時に保護を申し入れ、大士もそれを受け入れる。
その関係で公爵の娘の公爵令嬢(ヒロインその1・パートナーは登場時でガルルモン)と知り合う。
因みに王子の婚約者。
それから公爵の勧めで『デジタルナイト養成学院』に通うことになり、最初は貴族クラスを勧められるが、断って平民クラスに転入。
そこで、親友ポジの男キャラ(パートナーは登場時でベルトを巻いたアグモン)、回復魔法が得意な少女(ヒロインその2・パートナーは登場時で通常のアグモン)、無口な少女(ヒロインその3・パートナーは登場時でワームモン)と知り合い、パーティーを組むことになる。
学院の課題を共にクリアしていくことで、仲間意識が芽生える中、とある実戦訓練の最中にトラブルがあり、公爵令嬢が所属するこの国の王女(王子の妹・親友君のヒロイン・パートナーはテイルモン)のパーティーを救う。
その際、そのパーティーに所属する、無口ちゃんに暴言を吐く双子の姉のツンツン少女(ヒロインその4・パートナーはエクスブイモン)と出会う。
危機を救われた王女が親友君に一目惚れしたため、王女パーティーが大士達のパーティーと積極的に交流を持とうとしてくる関係で、公爵令嬢、ツン姉と交流を持つようになる。
その中で、ツン姉も、無口妹と仲良くしたいが家の都合で仲良くできないため、無理にでも嫌われようとしている事を知る。
そんなこんなで、学院貴族、平民合同のパーティーが行われ、それぞれが楽しむ中、以前から関係が微妙だった王子が公爵令嬢との婚約破棄を発表。
更に、公爵令嬢は取り巻きの裏切りによって、王子に決闘を挑むことになってしまう。
ルールは5組対5組のデジモンと共に戦う団体戦。
王子に楯突く者などあろうはずも無く、公爵令嬢が孤立しようとした時、大士達が公爵令嬢側として名乗り出る。
ツン姉は立場上王子側。
決闘が始まり、ツン姉の配慮と親友君の奮闘で2勝2敗で迎えた大将戦。
大士の相手は同時に召喚された勇者の1人。
複数のデジモンを従える勇者。
王子は自らの勝利を疑っていなかったが、王子はそこで過去の自分の致命的な判断ミスを後悔することになる………………
といった具合が序盤の流れです。
もうちょい言うなら、この世界にはとある運命神が主に信仰されているため、後々来る葵との絡みも考えています。
因みにこの世界では、完全体を育てれば英雄クラス。
究極体は伝説クラスです。
更新速度はおそらく週一。
インフィニット・ストラトスとのクロス
トータスから帰還した後からのアナザールート。
大士達の世界とインフィニット・ストラトスの世界が同一世界。
大士達がトータスから帰還した同時期、世界で初めてISを動かした男、織斑一夏が発見された。
そのため、全国で一斉に男性のIS適性検査が行われる。
トータスから帰還したばかりの大士達もその例に漏れず、適性検査を受けるが、大士がISを動かしてしまう。(実は遠藤も動かしていたが、誰にも気付かれなかった)
そのため、半強制的にIS学園に入学することになる。
葵と優花も、山木を脅…………説得して、自分達もIS学園に入学させた。(両者ともIS適性がSだったため、そこまで苦労はなかった)
基本的に原作沿いで進むが、大士達の性格からして一夏とはウマが合わないので、一夏アンチ、もしくはアンチ気味になると思う。
デジモン達も連れて行くが、多分出番はそこまで多くないと思う。
それから大士達のIS操縦技術はあまり上手くない予定。
理由は、ISよりも3人の身体能力の方がぶっちぎりで高いため、いつもの戦闘の感覚で動こうとすると、ISの方が壊れるので、壊さないように気を遣わなければいけないから。(それでも少し無茶をすると、ISがダメージを受ける)
その気になれば、生身でIS相手に無双できる。
ヒロインは、楯無は確定。
ストーリーの流れ的におそらく簪も。
他は、アンケート次第。
今考えてるのはこの位。
更新速度はゼロ魔編と同じぐらい?
それから、上記のあらすじ及び設定はあくまで予定なので、変更の可能性は十分にあり得ます。
それでは投票よろしくお願いします。
次回作決戦投票
-
デジモンの居るオリジナル異世界
-
インフィニット・ストラトス