ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第12話 俺が歩けば(トラブル)に当たる

 

 

 

 

ウォーターワールドの出来事から約1週間。

今日は、葵と優花。

それに、ドルモン、リュウダモン、ハックモンを連れて街に出ていた。

デジモンを連れたデートの様なものだ。

今日は地元から少し遠出し、IS学園の近くまで来ている。

地元では、タカトやハジメ達がデジモンを連れて歩いているので、周りの人々も慣れたもので、そこまで視線は感じない。

しかし、少し地元から離れれば、デジモンを連れて歩いている俺達は奇異の視線が集中する。

だが、俺達はそういう視線はもう気にしないようにしていた。

因みに地元では、美女美少女を侍らしている(様に見られる)ハジメがいちゃもんをつけてくるチンピラ達を尽く〆ているので、その連れ合いと認識視されている俺にも絡んでくるチンピラは殆ど居なかったのだが、生憎ここは地元から離れた場所。

故にこんな事が発生した。

 

「ねえねえ彼女達~? 今暇~? 俺達と遊ばない?」

 

「きっと楽しいよ~?」

 

2人のガラの悪そうな男達から声を掛けられた。

何というか、テンプレと言うにもお粗末な声の掛け方だな………

っていうか、ドルモン達がいるのに良く声を掛ける気になったもんだ。

で、声を掛けられた本人達は、

 

「本当にこんな風に声を掛けられるって事あるんだね~?」

 

「そんなセリフでついて行く女がいるって本気で思ってるのかしら?」

 

俺と同じく呆れ顔。

そのまま溜息を吐くと、

 

「見ての通り、男ならもう間に合ってるの」

 

「残念だけど、他を当たってね」

 

両側から俺の腕に自分の腕を絡ませつつそう言った。

いや、その対応は火に油を注ぐだけでは?

 

「冗談だろ君達? そんなパッとしない男の何処がいいんだよ?」

 

「そうそう。そんな男より俺達と遊んだ方が絶対に楽しいって!」

 

更に声をかけてくる男達。

『そんな男』呼ばわりされても俺は特に気にしないが、葵と優花はカチンと来たようだ。

 

「別に私達が良いと思ってるんだからいいでしょ………!」

 

「少なくとも、私にとってあんた達は大士の足元にも及ばないから………!」

 

少し投げ遣りに答えを返す。

 

「「ッ!?」」

 

そんな反応が意外だったのか、2人の男が目を見開く。

すると、頭に来たのかやや不機嫌そうな顔をして、

 

「おいおい君達、余り俺達を舐めない方がいいぜ……!」

 

「そうそう。何て言ったって、俺達のバックには、やべぇ人が付いてるんだからな」

 

「やべぇ人………?」

 

2人のセリフに首を傾げる。

 

「ああ。この街じゃあまり聞かないかもしれないがな。最近になって彗星のごとく現れて、地元のほぼ全てのチンピラやヤクザ共を1人ないし、少数で締め上げた人がな」

 

「「「……………………」」」

 

俺達は顔を見合わせる。

なんだろう?

すっごく身近に思い当たる事をやらかした奴が居るんだが?

因みに、そうなった経緯は嫁―ズに言い寄ろうとした奴らを片っ端から撃退していったらそうなっただけらしい。

 

「更にその人は何人もの美女美少女を侍らせていて、男として羨ましい限りだぜ」

 

はい確定。

 

「そんなヤベェ人が俺達の後ろについてるんだ。大人しく言う事聞いてた方が身のためだぜ」

 

何か偉そうに言ってるけど、それって要は虎の威を借る狐だよな?

すると、

 

「それは奇遇ね。私達の知り合いが、今聞いた話をやらかしたって最近聞いたのよ」

 

優花が澄ました表情でそう言う。

 

「「へっ………?」」

 

2人は一瞬素っ頓狂な声を漏らすが、

 

「バ、バカ言っちゃいけねえぜ。そんな人が何人も居て堪るかってんだ!」

 

「そ、そうだ。誤魔化そうったってそうはいかねえ!」

 

2人は冷や汗を掻きながらそう言ってくる。

 

「じゃあ確認してみるか?」

 

「「はい?」」

 

俺の言葉に2人は声を漏らす。

俺はスマホを取り出してハジメに電話を掛ける。

数回コールした後、

 

『………何だ?』

 

ハジメが通話に出る。

 

「ああ。たった今、お前の知り合いだっていう男2人に絡まれたんだが、覚えあるか?」

 

『……………無いな』

 

「どうする?」

 

『………少し待ってろ』

 

そう言ってハジメは通話を切った。

それから少しすると、何処からともなく10人程のヤクザと思われる男達が俺達を取り囲んだ。

 

「「へっ………?」」

 

意味が分からず狼狽える男達。

ヤクザらしき男達は、その2人を拘束すると、有無を言わさず連れて行った。

最後に、リーダーらしき男がぺこりと俺達に頭を下げて。

 

「「「………………」」」

 

後で聞いた話では、ハジメが俺達の近くにいる〆たヤクザたちを探し出し、ハジメ達にした失態を帳消しにする事を条件に言う事を聞かせたらしい。

俺達に絡んだ男達は南無としか言いようが無い。

 

「じゃ、行きましょ」

 

優花が何も無かったかのようにそう言った。

 

 

 

 

 

 

そのままデートを楽しみ、3時ごろになった時、葵と優花がスイーツが話題の喫茶店に行ってみたいという事になり、その店、『@クルーズ』に行くことになった。

俺達が入店すると、当然ながら客や店員から奇異の目が集中する。

店員たちも、本来なら俺達を案内しなければいけない筈なのだが、ドルモン達がいる所為か、俺達に近付くことを躊躇している。

俺がやれやれと思っていると、金髪の執事姿の店員が近付いてきた。

この店は、店員がメイド服や執事服で接客するメイド&執事喫茶だったりする。

 

「いらっしゃいませお客様。@クルーズへようこそ」

 

驚くことに、その金髪の執事はドルモン達に物怖じする事無く礼儀正しいお辞儀をしてみせた。

だが、俺はふと今聞こえた声に聞き覚えがある事に気付く。

その金髪の執事が顔を上げる。

その顔は、

 

「……………デュノア?」

 

「やあ」

 

IS学園で同じクラスのシャルロット・デュノアだった。

デュノアは笑みを浮かべて声をかけてくる。

 

「何やってるんだお前?」

 

「まあ、訳あって今日だけバイトをね」

 

デュノアはあははと苦笑いする。

 

「それはともかく、何で執事服?」

 

葵が首を傾げた。

 

「あはは………僕もメイド服が良かったんだけど………」

 

「まあ、しっかり着こなしてる辺り、流石だと思うわよ」

 

優花に同意。

確かに似合っている。

昔取った杵柄と言う奴かね?

 

「はは………とりあえず、席に案内するね。6名様ごあんなーい!」

 

それはちょっと違うのでは?

それはともかく、ドルモン達も含めて『6名』と言ってくれたことに、彼女の優しさを感じた。

俺達は席に着くと、そのままデュノアに注文を取って貰い、雑談を始める。

少しすると、今度は銀髪のメイド服を着た店員が注文した物をトレイに乗せて運んできた。

 

「お待たせしました。お姉様、優花お姉様、お兄様」

 

これまた聞き覚えのあるその声は、

 

「ラウラちゃん!?」

 

葵が驚いた表情で声を上げた。

銀髪のメイドはラウラだったからだ。

 

「何でラウラまで………」

 

メイドの恰好をするラウラなんて想像もしていなかったんだが………

 

「シャルロットのついでだ」

 

話を聞くに、シャルロットが困っていた女の人に声を掛けた所、この店の店長だったらしく、なんやかんやで臨時のバイトとして雇われたそうだ。

 

「人が良すぎるからな、デュノアは………」

 

俺は苦笑する。

これ以上仕事の邪魔をしては悪いので、話を切り上げ、ラウラは仕事へと戻っていく。

何気にラウラのメイド服をボーっと眺めていると、

 

「……………今度、メイド服着てあげよっか?」

 

葵が不意にそう言って来た。

 

「ゴホッ!?」

 

俺は思わず咳き込む。

 

「お、おま……何言って………!?」

 

俺は慌てて言い返そうとしたが、

 

「ああ、確かに大士ってコスプレとかに興味あるわよね? 私がくノ一スタイルしてると異様に燃えてるし…………」

 

「……………………」

 

優花の言葉に反論を封じられる。

俺は誤魔化すように注文したコーラを口に含んだ。

すると、

 

「はい、大士。あ~ん」

 

葵が自分のショートケーキをスプーンで掬って差し出してくる。

 

「………あ~ん」

 

俺はされるがままに口を開け、それを口に含む。

 

「おいしい?」

 

「ごくっ………ああ」

 

俺は頷くと、自分のチーズケーキを掬って葵に差し出す。

 

「………ほら」

 

「あ~んっ!」

 

葵は嬉しそうにそれを口に入れる。

 

「うん、おいしい!」

 

葵は満面の笑みを浮かべて喜びを表現する。

 

「じゃあ私も………」

 

優花も自分のケーキを掬って俺に差し出す。

 

「あ~ん」

 

「あ~むっ」

 

優花から差し出されたケーキを食べると、お返しに自分のケーキを差し出した。

 

「あ~んっ」

 

優花も嬉しそうにそれにパクついた。

因みに、そんな俺達の横では、ドルモン達が俺達の行為を気にせずにケーキに夢中だ。

俺達のこういうことはいつもの事なので気にしてないんだろう。

とは言え、他の客は別だ。

俺達は気にしていなかったが、俺達の振りまいた空気で、ブラックコーヒーを頼む客が急増していたりする。

 

 

 

もうすぐケーキを食べ終わろうとした時、

 

「全員、動くんじゃねえ!!」

 

ドアを破らんばかりの勢いで5人の覆面をした男たちが雪崩れ込んできて叫んだ。

銃を天井に向けて発砲し、周り人間たちを威嚇する。

悲鳴を上げる客達。

 

「騒ぐんじゃねえ! 静かにしろ!」

 

その男達は金がパンパンに詰められた鞄を持っており、一目で銀行強盗だとわかる。

すると、

 

『あー、犯人達に告ぐ。君達は既に包囲されている。大人しく投稿しなさい。繰り返す………』

 

外から警察が犯人達に呼びかけてきた。

だが、犯人は窓ガラスを割ると、

 

「人質を安全に開放したかったら車を用意しろ!! もちろん! 追跡者や発信機なんて付けんじゃねえぞ!!」

 

そう叫んで別の男がパトカーに向かってマシンガンを乱射した。

集まってきた野次馬や店の中の客たちが悲鳴を上げる。

そんな中、

 

「はい、あ~ん」

 

ケーキの最後のひとかけらを俺に差し出す葵。

 

「あ~ん」

 

俺もそれを口を開いて食べる。

すると、

 

「おい! テメエら!? 今の状況理解してんのか!? 何暢気に『あ~ん』何ぞやってやがる!?」

 

犯人の1人が銃を向けながら叫ぶ。

 

「別に大人しくしてるから、何やってるのも俺達の勝手だろ? そっちの邪魔はしないからどうぞご自由に」

 

俺は手をヒラヒラと振って気にしないように伝える。

 

「クッ! こいつ………!」

 

イラッと来たのか犯人は反射的に引き金を引こうとして、

 

「おい、馬鹿に関わるな! 下手に殺すと面倒だ」

 

犯人の仲間がそれを制した。

すると、

 

「おい! そこのお前! 喉が渇いた、メニューを持ってこい!」

 

銃で1人のメイドを指しながらそう命令する。

そのメイドとは……………ラウラだった。

ラウラはフンと鼻を鳴らしながらカウンターの奥へ行くとトレーを片手に犯人達の前へ歩いていく。

そして犯人達に差し出したトレーの上に乗っていたのは、

 

「何だ、これは?」

 

「水だ」

 

氷が一杯に詰められた水の入ったコップだった。

 

「あん?」

 

訳の分からなかった犯人が声を漏らすと、

 

「黙れ、飲め…………飲めるものならな!」

 

ラウラは突然ニヤリと笑うとトレーを空中に放り投げた。

空中に散らばる氷。

犯人達も自然とそれに目が行く。

次の瞬間、ラウラが流れるような動きでそれらを掴み、指で弾いた。

 

「ぐあっ!?」

 

「何っ!?」

 

「うっ!?」

 

氷の指弾が犯人達の銃を持つ手や目、喉などに勢いよく当たり、犯人が怯む。

 

「おお~………!」

 

俺は感心した声を漏らす。

よくもまあチート持ちでも無いのにあれだけの動きが出来るものだ。

 

「はぁあああああああっ!!」

 

その隙にラウラは勢い良く蹴りを犯人の腹に叩き込み、気絶させる。

 

「ざけやがってこのガキ!!」

 

ラウラから少し離れた所に居た犯人の1人が拳銃をラウラに向けて発砲する。

しかし、ラウラは銃口の向きから射線軸を割り出し、それを躱すような動きで銃弾を避ける。

 

「片付けてやる!」

 

拳銃のスライドを引き、再びラウラに銃口を向けようとしたが、

 

「1人じゃないんだよね!」

 

別方向からデュノアが駆けて来て回し蹴りを繰り出す。

その蹴りは拳銃を持っていた手ごと犯人の首に決まり、犯人を吹き飛ばした。

 

「残念ながら!」

 

吹き飛んだ犯人が気絶したのを確認し、

 

「目標2、制圧完了! ラウラ、そっちは?」

 

「問題ない。目標3制圧完了」

 

デュノアがラウラの方を確認した時には、ラウラも犯人の1人を無力化していた。

すると、その時、

 

「な、何なんだてめえら!?」

 

4人目の犯人がショットガンを構えていた。

デュノアとラウラが回避行動を取ろうとした時、

 

「メタルキャノン!」

 

鉄球が高速で飛んできて、ショットガンを破壊する。

 

「うおぁっ!?」

 

犯人がそれに驚くと、

 

「はあっ!」

 

「ぐわっ!?」

 

ハックモンが飛び掛かって犯人を押し倒し、無力化する。

 

 

「くそっ! 一体何なんだよ!?」

 

最後の犯人が銃を構える。

その犯人が持つのはマシンガン。

更に狙いを碌につけずに乱射したため、天井に吊るされていたシャンデリアの1つを破壊し、大きな破片が他の客に降り注ぐ。

その時、

 

「いかん!」

 

1つの影が、その身を張って破片から客達を護った。

それは、

 

「大事ないか………?」

 

鎧に身を包んだリュウダモン。

成長期とは言え、鎧に包まれたリュウダモンにとって、シャンデリアが落下してきた程度ではダメージは受けない。

客たちは、困惑しつつもリュウダモンにお礼を言う。

その時には、

 

「てやっ!」

 

軽い声をあげて、葵が最後の犯人を蹴倒していた。

その時、

 

「………捕まってムショ暮らしになるぐらいなら……………」

 

完全には気絶しなかった犯人のリーダーが起き上がり、ジャケットを広げようとして、

 

「いっそ全部ふきとばしてやらっ…………!?」

 

セリフを全て言い切る前に、リーダーは白目を剥いて倒れた。

その背後には、優花が右手を手刀にした状態で立っている。

 

「詰めが甘いわよ、あなた達」

 

まだまだね、と言わんばかりに澄まし顔でそう言った。

すると、状況の変化に気付いたのか外に居た警察が突入準備を始めている。

 

「このままだと面倒だな。ここはさっさと逃げるのが正解か」

 

「賛成」

 

「さっさと行きましょ」

 

俺達は満場一致でずらかる事に決めた。

 

「僕とラウラも代表候補生ってバレると面倒だからこの辺で………」

 

「そうだな、失敬するとしよう」

 

そう言って彼女達も警察に見つからないように店を出た。

 

 

 

 

 

 

 

因みにその後、デュノアが、海岸沿いの公園のクレープ屋でミックスベリーを食べると幸せになれるおまじないがあるという話を聞き、俺達も誘われたが遠慮する事にした。

何故かって?

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなおまじないが無くとも、俺達は『今が幸せ』だからだ。

 

 

 







IS編第12話です。
ネタが無かったので短いです。
いや、葵や優花をバイトさせるって方法もあったのですが、原作ユエと同じように、意中の相手以外をご主人様と呼ぶ姿が思い浮かばなかったというのが理由です。
そもそも、バイトを持ち掛けられたとしても、断りそうだっていうのもありますが。
さて、次回は夏祭り。
一体どうなる?

打鉄弐型は如何するか?

  • 原作通り。シンプルイズベスト
  • ワイルドバンチを呼んでデジモン的魔改造
  • ハジメを呼んで魔法的魔改造
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