ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第15話 学園祭

 

 

学園祭の出し物が決まった後、クラス代表である織斑が織斑先生へ報告へ向かう。

俺達も、放課後の自主訓練に行こうと席を立った。

アリーナへ向かっていると、

 

「そこまで言いますか!?」

 

職員室に続く廊下から織斑の怒鳴り声が聞こえてきた。

俺達が気になってそちらを覗くと、織斑と楯無が向かい合っており、織斑が何やら猛っている。

 

「何怒鳴ってるんだ? 織斑」

 

俺が思わず声を掛けると、

 

「大士………!」

 

「あ………大士さん………」

 

織斑は猛った表情のまま俺に視線を向け、楯無は先程の事もあるのか、少しバツが悪そうな表情をした。

 

「感情的になるのはいいが、声がかなり響いてるぞ」

 

俺はそう言う。

 

「この人が俺を弱いと馬鹿にしてきたんだ!」

 

「楯無が………?」

 

俺は楯無に視線を向ける。

楯無は人をおちょくるような奴だが、理由も無しに人を蔑む様な奴では無い、と俺は思っている。

 

「………私は事実を言ったつもりだけど?」

 

楯無は先程僅かに見せたバツが悪そうな顔を悟られないように毅然とした態度を取った。

 

「じゃあ、勝負です。俺が負けたら、何でも従います!!」

 

「ん、いーよ」

 

楯無はニッコリと笑ってそう言った。

そこで俺は気付いた。

 

「そういうことか…………」

 

織斑は、まんまと楯無の挑発に引っかかったという事に。

 

 

 

 

 

織斑と楯無は、部活で使われている道場に来ていた。

何故か偶々居合わせただけの俺達も流れのままに同行している。

道着に着替えた織斑と楯無が、畳が敷かれた道場の中央で向かい合っていた。

 

「さて、勝負の方法だけど、私を床に倒せたら君の勝ち」

 

「えっ?」

 

「逆に、君が続行不能になったら私の勝ちね。それでいいかな?」

 

「…………ッ、随分と舐められたもんですね………」

 

楯無の言葉に織斑は不満げな表情で言い返す。

しかし、織斑は気付いていない様だが、楯無は織斑を舐めている様子など全く無い。

寧ろ、己の実力に自信を持ってそう言っている。

 

「私が勝つから大丈夫」

 

楯無は薄く笑みを浮かべながらそう言い切った。

その言葉のやりとりだけで、この勝負の結果が見えた気がした。

 

「それじゃあ…………本気で行きますよ?」

 

「いつでも来なさい」

 

織斑は構えを取り、楯無は自然体のままその場に立ち続ける。

織斑はすり足で間合いを詰め、一気に楯無に掴みかかった。

織斑が楯無の襟と袖を取ったと思った瞬間、織斑の身体は1回転して床に叩き落された。

楯無は一瞬で掴まれた場所を外して、更に織斑の勢いを利用して投げ飛ばしたのだ。

 

「くっ………うぉおおおおおおおおおっ!」

 

織斑は立ち上がって再び楯無に掴みかかる。

すると、

 

「IS学園において、生徒会長の肩書はある一つの事実を証明しているんだよね」

 

楯無は涼しい顔で語りながら、織斑の手を躱して足を払う。

織斑は面白いように床にすっ転んだ。

織斑は打ち付けた痛みに顔を顰めるが、再び立ち上がって向かっていく。

 

「生徒会長………即ち、全ての生徒の長たる存在は…………」

 

だが、意地になって頭に血が上っている織斑の動きは単調で、楯無はあっさりとその腕を取ると、一本背負いで投げ飛ばした。

 

「最強であれ!」

 

背中を強かに打ち付けられた織斑は、先程とは違いすぐには起き上がれない。

 

「………とね。まあ、すぐそこに私を超える人が3人もいるから、今となっては空しい響きだけど…………それでも君よりかは強いみたいだね。これで3回。まだやる?」

 

楯無は倒れたままの織斑に確認を取る。

 

「……………思った通り、一般人にしてはやるわね」

 

試合を見ていた優花が呟く。

 

「技術だけなら私や南雲よりも上ね。私達は短期間で濃密な訓練や実践を積んで強くなったけど、彼女は長い時間をかけて訓練を熟してる。ある意味私達は一夜漬けで強くなったようなものだけど、彼女は普段から相応の学習をしてる秀才って所かしら?」

 

天才ではなく秀才ね。

 

「ぐぐぐ………まだまだ…………!」

 

織斑は痛みを堪えて立ち上がる。

 

「うん。頑張る男の子って素敵よ」

 

楯無は冗談めかしてそんな事を言う。

 

「それは如何も…………」

 

織斑は一度目を瞑って呼吸を整え、目を見開いた瞬間、一気に駆け出した。

 

「うぉおおおおおおおっ!!」

 

織斑が伸ばした両手は、楯無の両襟を捉える。

そして一気に引―――――

 

「「あっ」」

 

俺と織斑は思わず声を漏らした。

何故なら、織斑が襟を引いた瞬間、引き方が悪かったのか道着の前を大きく開いてしまったのだ。

つまり、ブラジャーに包まれた楯無の胸が織斑の前に露になる。

 

「きゃあ!? 一夏君のえっち!」

 

「のわぁぁぁぁっ!?」

 

織斑は襟を放して後退ると同時に、楯無が胸を隠すように蹲る。

流石の織斑も今の自分の行為は悪いと感じたのか狼狽えている。

 

「あ、いや、あの………」

 

楯無はすっと立ち上がると、

 

「一夏君…………おねーさんの下着姿は、高いわよ…………」

 

次の瞬間、見事な空中コンボが決められ、織斑は気を失った。

バッタリと倒れる織斑と、道着を整えてこちらに向き直る楯無。

すると、

 

「…………大士さんも見ました?」

 

ニッコリと笑って楯無が問いかけてくる。

だが、

 

「確かに見た。だけど…………そもそも今のはワザとだろ?」

 

楯無ほどの実力者が、本気を出したとはいえ織斑程度の相手に後れを取るはずが無い。

 

「俺の予想じゃ、織斑に負い目を作らせて、自分の指示に従うように誘導した感じかな?」

 

「ッ………………」

 

楯無は軽く目を見開く。

 

「織斑の曲がった事を許さない性格は、自分の行動にも大きな制限を付ける。『女子の下着姿を見た』という自分への負い目があれば、楯無の指示に従わなければいけないと思い込んでくれるだろうからな」

 

「…………そこまで見抜くなんて………」

 

楯無は意外そうな表情で俺を見る。

 

「で? そこまでして織斑に突っかかった理由は何だ?」

 

俺がそう聞くと、

 

「簡単に言えば、彼に自衛出来る実力を身に付けさせるためです」

 

「ああ………そういう………」

 

織斑には、普段から危機感が無さすぎるからな。

 

「一夏君は、箒ちゃんと鈴ちゃんにコーチをつけて貰ってるから平気だと言っていますが、箒ちゃんは初心者、鈴ちゃんは感覚で覚える天才肌ですからね。どちらもコーチには向いてないんです」

 

「確かに………」

 

悲しくなるほど同意できる。

 

「しかも、夏休み中も殆どISの訓練はしていないようですから、学園の方で考えていたより、一夏君の実力が上がらなかったんです。なので、私がコーチとなって、今よりも実力をつけさせることになったという訳です」

 

「なるほど…………」

 

「本来であれば、大士さんもと言いたい所なんですが…………大士さんはISを使うよりも生身の方が強いみたいなので」

 

「よくご存じで」

 

流石に裏の世界に身を置くだけあって、情報も早い様だ。

とりあえず楯無は気絶した織斑を運ぶようなので、俺達はその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れ、織斑は毎日ひいひい言いながら楯無の扱きに堪えている。

楯無の策は功を奏しているようで、あの織斑が文句も言わずに訓練を熟している。

その甲斐あって、織斑の技量は目に見えて上がっていた。

そしてあっという間に学園祭当日。

1年1組の催し物である『御奉仕喫茶』は大盛況だった。

織斑が執事を行うという事で朝から客が殺到し、現在では2時間待ちの長蛇の列だ。

そして俺は、

 

「はい、こちら二時間待ちです!」

 

行列の最後尾で看板を片手に声をかけていた。

俺が行っているのは、順番待ちの列の整理係だ。

何気に大変で、男で体力のある俺が駆り出された。

確かに大変だが、何人もの女子を相手にさせられる執事役の織斑よりかはマシだと思っているが。

優花と葵は厨房掛かりで、たった2人で何人分もの仕事を熟している。

俺は最後尾を示す看板を掲げながら、送った招待状の事を考えていた。

この学園際には、生徒1人当たりにつき1人、学園外から招待できるように招待券があるのだ。

俺達は、美姫の分も含めて4枚の招待券を持っていたが、それを纏めてハジメ達に送っておいた。

誰が来るのかは俺も知らない。

ただ、ハジメが来るのは確定だろうと思っている。

すると、

 

「あ! 織斑君だ!」

 

順番待ちの列の中ほどにいる誰かが叫んだ。

見れば、教室の扉から織斑が顔を覗かせている。

あいつは教室から表に出るなとあれ程釘を刺されていたのに………

そして思った通り騒ぎだす生徒達。

 

「こらー! 出るなって言ったでしょ!?」

 

俺の他に列の整理を行っていたクラスメイトが怒鳴る。

 

「な、なんだよ………? 少し覗いただけじゃん………」

 

「混乱度合いが上がるの!」

 

「そ、そんな事無いだろ? 男子だから物珍しいのは分かるけど、大士が廊下に出てても騒ぎになって無いし………」

 

織斑の言葉に俺は内心溜息を吐く。

こいつは如何して自分の人気を認めようとしないんだか………

 

「「「いいから戻る!」」」

 

「はいっ………!」

 

怒鳴られた一夏はすごすごと教室内に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

IS学園の正面ゲート前に、大勢の人込みに混じって、4人の人影があった。

それは、男性1人に女性3人のグループだ。

 

「…………ここがIS学園か…………」

 

「ここに黒騎君や葵ちゃん、優花ちゃんが通ってるんだね」

 

「それにしても大きい校舎ですねぇ………私達が通ってる学校の何倍あるんでしょうか?」

 

「ん…………比較にならない」

 

1人は黒髪の背の高い少年。

そして長い黒髪の少女と青みがかった白髪のスタイルの良い少女と、金髪赤目の美少女の姿。

ハジメ、香織、シア、ユエの4人だ。

この4人が大士達から送られた招待券でこのISの学園の学園祭に来たのだ。

因みに、4枚の招待券の内、ハジメだけは確定で、残り3枚を嫁ーズの中で奪い合う血みどろの戦いがあったと言っておこう。

そして残念ながら、今回もデジモン達はお留守番である。

 

「確か、黒騎君達が所属してるのは1年1組だったよね?」

 

「とりあえずそこに行ってみるか」

 

ハジメ達が行動を起こそうとした時、

 

「ついに………ついに………! ついにっ! 女の園、IS学園へと………キタァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

ハジメ達のすぐ横で赤髪の少年が両の拳を天に突き上げ、テンションMAXで叫んでいた。

 

「…………何あれ?」

 

「まるで中野さんみたいな人ですねぇ………」

 

ユエとシアが呆れた表情で見つめる。

だが、実質女子高のIS学園に、しかも十代の男がいるという事は珍しく、周りから注目されている。

因みにそれはハジメもだが、ハジメはナチュラルにスルーしている。

赤髪の少年は周りの視線にハッと気づくと身形を整える。

その様子を見て、

 

「何と言うか………顔は悪くないのに残念臭がする人ですねぇ」

 

「シアに言われたら終わり………」

 

「酷いですよユエさぁん!」

 

するとその時、

 

「そこのあなたとあなた」

 

突然少女の声で声を掛けられた。

 

「ん?」

 

「はい!?」

 

ハジメは怪訝な声を漏らし、赤髪の少年は声が上ずる。

振り返れば、メガネを掛け、手にファイルを持った如何にも堅物なイメージの生徒がいた。

 

「あなた達、誰かの招待? 一応、チケットを確認させてもらっていいかしら?」

 

ハジメは、女だらけのIS学園に男がいるという事で、念の為の確認だと判断した。

 

「ほれ」

 

「は、はいっ」

 

ハジメは特に気にせずに招待券を差し出し、赤髪の少年は緊張しているのか声が上ずっている。

その女生徒は、2人から招待券を受け取ると、先に赤髪の少年の招待券を確認する。

 

「配布者は………あら? 織斑君ね」

 

「え、えっと……知ってるんですか?」

 

「ここの学園で彼の事を知らない生徒は居ないでしょう。はい、返すわね」

 

そう言ってその女生徒は赤髪の少年へ招待券を返す。

 

「織斑って、世界初の男性IS操縦者の織斑 一夏の事だったよね?」

 

香織が確認する様にハジメに問いかけた。

 

「ああ。お陰で大士が検査に引っかかってこの学園に通う羽目になった訳だ。

 

ハジメはやれやれと肩を竦める。

先程の女生徒が、ハジメの方の招待券を確認する。

 

「それであなたは………こっちは黒騎君ね。あなたも黒騎君の知り合い?」

 

「ああ、ダチだ」

 

ハジメが頷く。

 

「そう………」

 

彼女はそう言うとハジメに招待券を返した。

すると、

 

「あ、あのっ……!」

 

「何かしら?」

 

赤髪の少年がその女生徒に声を掛けた。

 

「おおっ……!? これはもしや………!」

 

「…………恋の予感………!」

 

「頑張れ男の子………!」

 

赤髪の少年の様子を見てピンときたシアとユエ、香織が興味深そうに動向を見守る。

そして、

 

「い、いい天気ですね」

 

「そうね」

 

会話が終了した。

女生徒はそのまま立ち去り、少年はその場に崩れ落ちる。

 

「最悪ですぅ………!」

 

「………0点」

 

「ヘタレだね………」

 

3者が辛辣な言葉を投げる。

それぞれの言葉がサクサクとその少年の背中に突き刺さったような気がした。

 

「こんなヘタレはほっといて早く行きましょう、ハジメさん」

 

「ん、時間の無駄」

 

「さ、ハジメ君」

 

3人はハジメを促す。

 

「あ~、そうだな。行くか………」

 

普通なら声を掛けるなり慰めるのが普通なのだろうが、そこは空気を読まないハジメクオリティー。

項垂れる少年を放っておいて、さっさと行ってしまうのだった。

だが彼女達は知らない。

彼女達が最悪と称したこの出会いを切っ掛けに、あの少年と少女の仲が深まるという事を………

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

俺が順番待ちの最後尾で看板を持っていると、

 

「よう、大士」

 

聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「ハジメ?」

 

そこに居たのはハジメを先頭に、白崎さん、ユエ、シアの4人だ。

 

「来たのか」

 

「まあな。それよりも、凄い行列だな………」

 

ハジメがずらっと並ぶ女子生徒達を眺める。

 

「ああ。もう1人の男性IS操縦者が執事の恰好をしてるから、殆どがそれ目当てだな」

 

俺はそう答える。

 

「黒騎君は執事の恰好しないの?」

 

白崎さんが含み笑いをしながらそう問いかけてくる。

 

「俺が異性から好かれないのは知ってるだろ? 俺が執事の恰好をしたところで、葵と優花以外の誰が喜ぶ?」

 

俺はやれやれとそう答える。

 

「自虐的なセリフを吐いても、ちゃんとアオイさんとユウカさんを除外してる所に愛を感じますね~」

 

「ん、2人の事信頼してる」

 

シアとユエがそう言うが、あの2人に裏切られたら、人間には転生したくないから未来永劫ミジンコに転生させてくれと上級神様に直訴する自信がある。

 

「………で? お前のクラスの出し物は何だ? 随分と人気なようだが」

 

「『御奉仕喫茶』。まあ、メイド喫茶に執事役の織斑を加えただけだ。実質織斑の女子に対するサービスだけで繁盛してるようなもんだ」

 

「ふーん。普通っちゃあ普通だな」

 

ハジメは興味無さげに呟く。

 

「正直今で2時間以上待たなきゃ入れないからな。他を回ってくる事をお勧めする」

 

「そうだな。そうするわ」

 

ハジメはそう言うと、3人を伴って廊下を歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

ハジメ達がそれぞれの出し物を回りながらぶらぶらしていると、ふと気になる区画が目に入った。

それは、『学園関係者以外立ち入り禁止』の看板が立てられた向こうに見える、『整備室』の文字。

 

「………………フッ」

 

ハジメはニヤッと笑みを浮かべると、気配遮断によって周りから身を隠すと、その通路に足を向ける。

他の3人もついて行き、ハジメは整備室の前に立つ。

 

「ハジメ君、こういうの好きだね」

 

香織が苦笑しながらそう言う。

 

「折角IS学園に来たんだ。ISを間近で見なきゃ損だろ?」

 

そう言いながら整備室の扉を潜る。

そこには、ずらっと訓練用のISが並べられていた。

 

「ほう、壮観だな」

 

ハジメは感心したような声を漏らした。

 

「ハジメ君、流石に持ち出すのは駄目だからね」

 

香織の言葉にハジメはギクッと震え、上げようとした右手から力を抜く。

その右手には、宝物庫の指輪があった。

 

「くっ………ロマンが目の前にあるのに、手が出せないとは………」

 

ハジメは本気で悔しそうにそう呟いた。

その時、

 

「………あれ? 何ですかこの音………?」

 

シアがウサミミをピクピクと動かす。

 

「ん?」

 

ハジメ達も耳を澄ますと、ピピピピッと電子音が連続して聞こえる。

その音が聞こえる方向、整備室の奥に向かって進むと、誰かが整備室の一角で作業していた。

見るからに未完成のISを前にして、空間パネルを操作している。

 

「…………学園祭の最中なのに、何やってるのかな?」

 

香織が呟く。

その時、その人影がハッとした様に振り向いた。

そして、その顔はハジメ達も知ってる顔だった。

 

「ん? お前は確か、プールで大士達と居た………」

 

「…………南雲……さん………?」

 

振り向いた水色の髪の少女、簪が目を丸くしてハジメ達を見つめた。

 

「……………どうしてここに?」

 

緊張していた簪だったが、一応知っている顔という事で、身体から力を抜く。

 

「まあ、大士達に招待券を貰ったんだが、折角だからISの実物も見たくなってな」

 

「…………ここは関係者以外立ち入り禁止ですが………」

 

「固い事言うなよ」

 

悪びれないハジメの態度に、簪は溜息を吐く。

 

「簪ちゃんは学園祭はいいの?」

 

香織が尋ねると、

 

「いいんです。大士さんも忙しそうですし、私もこの子を一刻も早く完成させたいので………」

 

すると、ハジメが簪に歩み寄ると、簪の後ろにある未完成のISを見つめた。

 

「こいつは専用機って奴か? 作りかけの様だが………」

 

「………はい。訳あって専用機の製造が凍結されてしまったので、自分の手で完成させる為に………って、ごめんなさい。関係無いことを………」

 

簪は謝るが、それを聞くとハジメはニヤリと笑みを浮かべた。

 

「…………手伝ってやろうか?」

 

「えっ?」

 

ハジメの言葉に簪は声を漏らす。

 

「ISの制作を手伝ってやろうかと言ったんだ」

 

「ええっ………!?」

 

思い掛けない言葉に簪は驚く。

ハジメの脳裏には、色々な魔改造計画が浮かび上がっていた。

 

「で、でも………」

 

しかし、簪はこの機体を自分だけで組み上げたいという思いがあった。

なので、気持ちだけ受け取って置こうと、決意をもって顔を上げ、

 

「大士について知ってることなら教えてやるぞ」

 

「はわっ!?」

 

その決意があっさりと揺らいだ。

因みに、何故大士の話を持ち出したかと言えば、以前のプールの1件で、簪が大士に対して好意を持っている事など丸わかりだったからだ。

 

「え………あの………その………」

 

簪の脳裏に、一瞬にしてあらゆるメリット、デメリットが浮かび上がる。

そして出した答えが、

 

「…………お、お願いします………!」

 

簪はそう言った。

その理由の中の、大士に関する事の割合が大半を占めていたのは当然である。

因みにどうやって手伝いに来るのかという事は頭になかった。

そして簪のISの、ハジメによる魔改造計画がスタートしてしまうことになったのだった。

 

 

 

 

 





IS編第15話です。
スパロボ30やってた所為で執筆時間削ってしまって申し訳ないです。
内容もちょっと少ない。
ハジメが簪のISを見た事で魔改造計画がスタートしてしまいました。
さて、打鉄弐式は一体どの様な変貌を遂げてしまうのか!?

打鉄弐型は如何するか?

  • 原作通り。シンプルイズベスト
  • ワイルドバンチを呼んでデジモン的魔改造
  • ハジメを呼んで魔法的魔改造
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