ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第16話 灰被り姫(シンデレラ)

 

 

 

 

学園祭が始まって暫くした頃、

 

「こんにちは、大士さん」

 

突然楯無が現れて話しかけてきた。

 

「……………なんでメイド服着てるんだ?」

 

俺は彼女の着ている服を見て、思わずそう聞いてしまう。

 

「えへへ、似合いますか?」

 

楯無は揶揄う様な笑みを浮かべながら、ロングスカートの裾を摘むとクルリと1回転して見せびらかすように言ってくる。

 

「……………まあ、似合う似合わないの2択であれば、間違いなく似合ってはいるな。元々お前は美人だし、スタイルも良いから、大概の服は着こなせるだろ」

 

俺がそう言うと、

 

「それってもしかして口説いてます? ダメですよ~、恋人が2人もいるのに他の女口説いちゃ」

 

揶揄う様な笑みのままそう返してくる。

俺は溜息を吐き、

 

「似合うかどうか聞いてきたから率直な感想を返しただけだろ? それだけで口説くと言われてもな…………なんなら、嘘でも全く似合っていないと言った方が良かったか?」

 

「………それはそれで嫌ですね」

 

楯無は少し困ったような笑みを浮かべた。

 

「………で? わざわざ俺に声を掛けに来た理由は何だ?」

 

「ええっと………生徒会の出し物にちょーっと協力していただけないかなと………」

 

「…………その真意は?」

 

俺が更に踏み込むと、楯無は顔を寄せて来て小声で話し出す。

 

「実は、とある犯罪組織の一員がこのIS学園に侵入しています。狙いはおそらく一夏君の白式。先程も一夏君に客を装って接触してきたので、間違いないかと。ですが、同じ特殊事例でもある大士さんもターゲットとして狙われている可能性がゼロではありません。なので、2人を同じ場所に集めることで、犯罪組織の狙いを1ヶ所に絞りたいんです。大士さんなら襲われても返り討ちに出来るでしょうけど、他の人が巻き込まれたらそうはいきませんから…………」

 

「なるほどね………」

 

とりあえず俺に声を掛けた理由は分かった。

 

「それで、どうやってそのターゲットを誘き出すつもりなんだ?」

 

「それは………」

 

俺は楯無から作戦の内容を聞き、

 

「………まあ、それは悪くない手だと思うが………はぁ………」

 

思わず俺は溜息を吐く。

その内容は、俺の『異性から好かれない』因果を諸に受ける内容だった。

 

「あ、あのっ! 大士さんが嫌だって言うなら、無理に出なくても、他の方法を考えますから……!」

 

楯無は慌てて付け足したようにそう言う。

 

「………いや、その作戦で行こう」

 

「……いいんですか?」

 

俺が肯定の意を示すと、楯無は驚いたような表情で聞き返してきた。

 

「少なくとも、ターゲットが行動を起こすなら、作戦通りの方が確実だから。ただ、葵と優花は呼んでくれ。あの2人が居ないと精神的にダメージがキツイ」

 

「は、はい……! それは勿論………!」

 

「ならいい」

 

俺はそう言うと、楯無の作戦に協力する為に、生徒会の出し物に出る事となった。

 

 

 

 

 

 

第四アリーナの更衣室。

そこに俺と織斑の2人は居た。

織斑も楯無に連れて来られ、言われるままに着替えている。

その恰好は、何というか王子様だった。

そう言う俺もだが………

まあ、衣装に着られている俺とは違い、織斑はキッチリ着こなしているが。

織斑は、俺と一緒だという事を聞いていなかったのか、若干不満そうな顔をしていた。

最近ではいつもの事なので、俺は気にしないようにしていた。

だが、

 

「……………大士」

 

織斑の方から俺に話しかけてきた。

 

「何だ?」

 

「……………何でお前は、間違った道に進もうとしているんだ………?」

 

神妙な顔をして、そう問いかけてきた。

 

「………『間違った道』っていうのは、葵と優花の2人を恋人にしているという事か?」

 

「………………………」

 

俺の確認に、織斑は沈黙で答える。

 

「それなら答えは簡単だ。俺は、間違った事をしているとは思っていないからだ」

 

「ッ………!? 何で……! 日本の法律じゃ、結婚できるのは………!」

 

「確かに日本の法律や価値観だと、複数の女性との結婚は認められていないし、不純だともとられる。だが、俺達はそれを全て分かった上で自分は間違った事をしたとは思っていない」

 

「だから何でだ……! 自分で言ったじゃないか……! 認められていないし不純だって………! それでなんで間違ってないって言える……!?」

 

「俺の『心』がそう望んでいるし、葵と優花も一緒だからだ」

 

「えっ?」

 

「何が『正しく』て、何が『間違っている』のかを決めるのは自分自身だ。自分が『正しい』と思うことでも他人から見れば間違っている事もあるし、その逆もまた然り。現に、お前は俺が葵と優花の2人と付き合うことを『間違っている』と思っているんだろ? だが、俺は『正しい』と思っている。そう言う事だ」

 

「だけど………!」

 

「なら逆に聞くが、例えばお前が………そうだな、篠ノ之さんと鈴の2人に告白されたとしよう。どちらを選ぶのかはお前の自由だが、選ばれなかった方は心に深く傷を残す。女の子の心を傷つける事は、お前の『正義』では間違いじゃないのか?」

 

「そ、それは…………」

 

「そしてそれは、日本の法律を守るならそうしなきゃいけない決まり事でもある。それでもお前は自分が絶対に正しいと言い切れるか?」

 

「……………………」

 

織斑は俯いてしまう。

 

「結局のところ、『正義』は人の数だけあるってことだ。そして、同じく『悪』もな」

 

「…………………………」

 

織斑は俯いて考え込んでしまう。

そこに、

 

「2人ともちゃんと着たー?」

 

楯無がノックもせずにドアを開け、入ってくる。

まあ、タイミングは見計らったんだろうが。

 

「…………………………」

 

織斑は楯無を見て固まっていた。

 

「開けるわよ」

 

「開けてから言わないでくださいよ!」

 

「ま、それは置いとて、はい、王冠」

 

楯無は俺達に王冠を差し出してくる。

 

「はぁ…………」

 

織斑は疲れたのかため息を吐く。

 

「なによ、嬉しそうじゃないわね。 シンデレラ役の方が良かった?」

 

「嫌ですよ!」

 

さっきまでの神妙さは何だったのかと言いたいぐらいに織斑は楯無の揶揄いに反応している。

 

「さて、そろそろ始まるわよ」

 

第四アリーナに設けられた、豪勢な舞台のセット。

観客席も満員である

 

「あのー、脚本とか台本とか一度も見てないんですけど」

 

出番を前に気になった織斑が尋ねる。

 

「大丈夫。 基本的にこちらからアナウンスするから、その通りにお話を進めてくれればいいわ。 あ、もちろん台詞はアドリブでお願いね」

 

そう言い残して楯無は立ち去る。

適当過ぎるな。

まあ、どっちにしろ真面に演劇をやる気は無いんだろうけど。

 

『さあ幕開けよ!』

 

楯無のアナウンスと共にセットの幕が上がる。

 

『むかしむかし、あるところにシンデレラという少女がいました』

 

出だしは普通のテンプレ。

 

『否! それはもう名前ではない。幾多の舞踏会を潜り抜け、群がる敵兵を薙ぎ倒し、灰燼を纏う事さえ厭わぬ地上最強の兵士達。彼女らを呼ぶに相応しい称号…………それが『灰被り姫(シンデレラ)』!』

 

しかし続くナレーションはテンプレを跡形もなくぶっ壊したとんでもないものだった。

楯無はノリノリでナレーションを続ける。

 

『今宵もまた、血に飢えたシンデレラ達の夜が始まる。2人の王子の冠に隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という名の死地に少女たちが舞い踊る!!』

 

「はあっ!?」

 

織斑は意味が分からず困惑する声を上げ、俺は思わず溜息を吐く。

するとその時、

 

「もらったぁぁぁぁっ!!」

 

いきなりの叫びと共に、白地に銀の装飾が施されたシンデレラ・ドレスを纏った鈴が城の舞台セットの2階から飛び降りて来て、手に持った青龍刀で織斑に斬りかかった。

 

「のわっ!?」

 

反射的に織斑がその一撃を躱す。

鈴は即座に体勢を立て直すと、

 

「その王冠、寄越しなさいよ!」

 

そう言って手で自分に寄越すようにジェスチャーをする鈴。

 

「王冠?」

 

織斑が首を傾げる。

その直後、後ろから傾けた頭のすぐ横に刀の切っ先が突き出されていた。

 

「うおおっ!?」

 

「チィッ! 外した!」

 

織斑の後ろから刀を突き出したのは、鈴と同じようにシンデレラ・ドレスを纏った篠ノ之さんだ。

 

「箒!?」

 

「一夏! 悪いがその王冠は頂く!」

 

篠ノ之さんはそう言って、鈴と一緒に織斑に斬りかかっていき、織斑は堪らず逃げだした。

 

「「待てぇぇぇぇぇぇっ!!」」

2人は刀と青龍刀を振りかざしながら織斑を追いかける。

俺がその様子を見送ると、カツンカツンと静かな足音がした。

その音に振り向けば、シンデレラ・ドレスを纏った葵が上品に歩み寄ってくる。

 

「おお………」

 

俺はその美しさに思わず声を漏らす。

だが、その両手に握る2本の刀が見惚れる事を許さなかった。

葵は顔を上げ、ニコッと笑みを浮かべると、床を蹴って一直線に突っ込んできた。

 

「ッ………!」

 

俺は咄嗟にデジソウルで身体強化すると、その拳で葵の剣を受け止める。

ガキィッ!と素手と剣では絶対にならない様な音が響く。

 

「ふっ!」

 

「はっ!」

 

一瞬で拳と剣の数発の応酬が成され、甲高い音が響き渡る。

その光景に、一瞬会場がどよめいたのが分かった。

互いに飛び退いて間合いを開けると、葵の後方にきらりと光るものが見えた。

次の瞬間、それが猛スピードで飛んでくる。

 

「くっ!」

 

俺は首を逸らしてそれを避けた。

それは俺の後ろにあった壁に突き刺さる。

それは苦無だった。

 

「優花か!」

 

優花はドレス姿で階段の手すりの上に立っており、その手に数本の苦無を構えていた。

動きにくそうなドレスにも関わらず、葵も優花も、動きに優雅さが失われない。

次の瞬間、優花が苦無を投擲すると同時に葵が突っ込んでくる。

 

「はぁあああっ!」

 

俺は拳で苦無を弾き、葵の剣を受け止める。

そうしたやり取りを何度か繰り返していると、

 

『さあ! 只今からフリーエントリー組の参加です! みなさん王子の王冠目指して頑張ってください!』

 

楯無のアナウンスが突然響く。

すると、観客の希望者がシンデレラとして舞台に乗り込んできた。

 

「織斑君! 大人しくしなさい!」

 

「私と幸せになりましょう、王子様!」

 

「そいつを………よこせぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

シンデレラの大群が一夏に迫る。

 

「うわぁああああああああああっ!!」

 

叫び声を上げながら逃げる織斑。

 

「…………………………………」

 

俺はヒョイと横に避けた。

当然ながら、参加した観客達は俺の事など眼中になく、目の前を通り過ぎていく。

 

「こんだけ場が混乱すれば恐らく…………」

 

逃げ惑う織斑を注視する。

すると、女生徒から逃げ回る一夏が突如として開いたハッチからセットの下に引きずり込まれるのを目撃した。

 

「楯無の作戦が大当たりだな」

 

俺は感心したように呟く。

 

「如何するの?」

 

葵が問いかけてくる。

 

「とりあえずは様子見。織斑1人じゃ対処できなかったら助けに入るって事で」

 

「分かったわ」

 

俺達はそう言うと、織斑が引きずり込まれたハッチから中に飛び込んで行った。

 

 

 

 

 

 

 






IS編第16話です。
今週もスパロボ30やってて執筆時間削ってしまいました。
恐らくまだ中盤辺り。
もう少し遅筆が続くと思われます。
にしても、調子こいて主力メンバーを全員Lv.99にしたら、敵キャラも全員Lv.99になって、育てていないキャラが出撃するとかなりピンチな状況に陥るようになった(爆)。
後余談ですが、ヒュッケバイン30のダブル・グラビトン・ライフルがウイングガンダムゼロのツインバスターライフルにしか見えない…………


そして恒例のご相談。
一夏君の扱いですが、ホントどうしようか迷ってます。
このままアンチ路線突っ走るか、それとも矯正するか………
真面目に迷ってます。
なのでアンケートします。
投票お願いします。

P.S 今日は頭痛いので返信はお休みします。

一夏の今後の扱いをどうするか?

  • アンチ路線を突っ切れ!
  • いやいや、矯正しましょう!
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