学園祭が終わって数日後。
俺も一応生徒会役員になったので、放課後になると生徒会室に顔を出すようにしている。
そして、早速の仕事が、学園祭閉会時に楯無が言った『男子生徒の各部活動への派遣』に対する申請書がほぼ全ての部活動から提出されたため、それの希望男子生徒毎の仕分け作業だ。
とは言え、
「織斑、織斑、これも織斑………」
「一夏君、一夏君、これも一夏君………」
「おりむー、おりむー、これもおりむー………」
「織斑君、織斑君、これも織斑君………」
「………………………………………」
俺と織斑を含めた総勢5名での仕分け作業だが、ものの見事に貸出希望は織斑一辺倒だった。
「いや、ちょっと待った! いくらなんでもおかしいだろ!?」
遂に我慢できなくなったのか、織斑が声を張り上げる。
「「「「?」」」」
俺達が織斑に視線を向けると、
「何でこんな山の様に申請書があって、希望男子生徒が全部俺なんだよ!? 一つも大士が無いなんてありえないだろ!?」
織斑はそう言うが、俺にとっては不思議でも何でもない。
「そう言うなら確認して貰ってもいいぞ? 別に嘘は吐いて無いから」
「ッ…………!」
織斑はムッとすると、俺が確認した申請書の中からいくつかをランダムで抜き取る。
それを確認していくが、当然ながら希望男子生徒の所には織斑の名前が書かれている。
織斑はプルプルと震え、
「こんなの詐欺だ! 詐欺に決まってる!」
信じられないのかそう叫んだ。
まあ、そう言いたい気持ちはよく分かる。
「単純に俺よりも織斑の方が女子達に人気があるってだけだろ? 良かったじゃないか」
「いや、俺が騒がれてるのは単純に物珍しいだけだろ?」
その言葉を聞いて、俺は溜息を吐く。
「物珍しいだけなら俺も一緒だ。で、物珍しいだけなら半年も騒がれ続けるわけ無いだろ」
「じゃあ俺とお前の何が違うんだよ!?」
一言で言うなら『運命』だ。
まあ、そんな事言っても伝わらないのは分かっているので、俺は指を1本立てる。
「1つは知名度。同じ男性IS操縦者ではあるが、お前は世界初で俺は2番目。2番目よりも世界初に注目が向くのは当然の事。それに、お前は初代ブリュンヒルデである織斑先生の弟だ。IS操縦者の道を歩むこの学園の生徒なら、それだけで注目されるのは当然だ」
続いて俺は2本目の指を立てる。
「2つ目。単純にお前がイケメンだから。初対面や見ただけの人間にとって、容姿は重要な第一印象だ。フツメンやブサイクよりも、イケメンの方が好印象を与えられるのは当然だ」
「は? 俺がイケメン? いくらなんでも世辞が下手過ぎるぞ」
織斑の表情は馬鹿にしてるのかと言わんばかりだ。
俺は再び溜息を吐く。
「じゃあ楯無と布仏さん達に聞くが、俺と織斑を比べてどっちがイケメンだ?」
俺は生徒会の女性メンバーに訊ねる。
「おりむーの方がカッコいいよ~」
布仏さん………は2人居るから、本音さんでいっか。
本音さんが即答える。
「…………まあ、容姿の良し悪しで言えば、織斑君の方が優れた容姿を持っていると思います」
虚さんが興味無さげにメガネの位置を直しながら答える。
そして、楯無は俺に若干遠慮がちな視線を向けてくる。
俺は、気にするなと態度で伝えると、
「……………まあ、間違いなく一夏君の方が女子受けはいいと思うわ」
少し間が空いたがそう答えた。
「いや、それもおかしいだろ!? こいつは恋人が2人居る女誑しなんですよ!? 少なくとも、女子受けが良くないなんて事は…………」
「確かに俺は恋人が2人居るが、その2人以外を誑し込んだ覚えは無いぞ。誑し込めるとも思って無いし………ハッキリ言えば、俺を選ぶ葵と優花が『特別』なだけで、IS学園の生徒達の反応の方が極めて正しいぞ」
「それに、あれだけ葵さん、優花さんとのラブラブっぷりを見せつけられたら、その間に入り込もうなんてそうそう思いませんよ」
楯無がそう言う。
「それに、基本的に俺は自己中心的な性格だ。まともな感性を持つ奴なら、自己中心的な思考の男より、お前の様な皆を助けようとする男を選ぶのは当然だと思うが?」
「………………………」
遠回しに、俺よりも織斑の方が『正しい』と判断できるだろう。
それが分かっているのか、織斑は口を噤む。
それから途中だった集計を進めた結果、やはり全ての申請書が織斑目当てだった事は、火を見るより明らかだった。
生徒会の仕事を終え、生徒会室から出ると、葵と優花が入り口の前で待っていた。
「終わった?」
「ああ」
葵の言葉に頷く。
「じゃあ、行きましょ」
優花が自然に腕を組んで来て歩き出す。
葵も反対側の腕を組む。
そのまま、今日の訓練の為にアリーナへ向かった。
アリーナへ向かう為に、整備室の近くを通りかかった時だった。
「……………ッ!?」
優花が何かに気付いたように足を止めた。
「………どうした?」
俺が声を掛けると、
「魔力反応があったわ………!」
優花が驚くべきことを口にする。
「えっ!? 魔力反応が!?」
葵もその言葉には驚く。
「何処から………!?」
「こっちよ……!」
優花が魔力を感じ取ったであろう方へ向かい、俺達もそれを追う。
優花を追って辿り着いた先は『整備室』。
「………ここよ」
「何でこんな所から魔力反応が………?」
「中に何人か人がいるけど、特に騒ぎにはなっていないみたい」
優花は気配からそう察する。
「とりあえず、確認してみるしか無いな」
「そうだね」
俺の言葉に葵は頷き、優花も同じように頷いた。
意を決して俺達は進み出て自動ドアが開く。
何時でも動けるように警戒していた俺達の目に映ったのは…………
「……………………ハジメ?」
「ん………? ああ、大士達か………」
何でもないようにそこに立つハジメの姿だった。
「何でお前がここに居るんだよ?」
俺は率直な疑問をぶつける。
尚、当然の様に白崎さんやユエ、シア、八重樫さんの、嫁ーズ学生組が居る。
「ロマンの為だ」
「は?」
ハジメの言葉に、俺は思わず素っ頓狂な声を漏らす。
すると、
「あれ? 簪ちゃん?」
葵が気付いたようにそう言う。
ハジメの身体で見えなかったが、ハジメの向こう側には簪さんが居た。
「あ………大士さん………」
簪さんは恥ずかしそうに俺の名を呟く。
「………一体如何いう状況な訳?」
理解が追い付かなかった俺は状況の説明を求めた。
すると、簪さんが口を開く。
「えっと………南雲さんに、私の専用機の制作を手伝ってもらうことになって………」
「専用機………? ああ、そう言えば簪は日本の代表候補生だったわね。じゃあ、4組の専用機持ちって簪の事だったのね。でも、制作を手伝うってどういうこと?」
優花が納得と新たな疑問を口にする。
簪さんは少し顔を俯かせ、
「………私の専用機の開発は、無期限で凍結されているんです」
そう呟いた。
「開発が凍結……って、どうして?」
葵が聞き返すと、簪さんは一瞬躊躇したが、
「………私が代表候補生になって、専用機が与えられることが決定した時………私の専用機の開発を受け持ったのは、『倉持技研』って言う研究所…………そこで私の専用機が開発される…………筈だった」
途切れ途切れの言葉ながら、理由を話し出した。
「筈だった?」
俺がその言葉を繰り返すと、
「私の操縦データを取り終え、いざ開発に着手し始めた時、ある『特殊事例』が発生しました」
「『特殊事例』?」
「はい。それが………世界初の男性IS操縦者である織斑 一夏の発見…………」
「ふむ………?」
俺は相槌を打ちながら簪さんの言葉に耳を傾ける。
「その報告を聞いた日本政府はすぐに彼の専用機の開発を命令。その白羽の矢が立ったのが私の専用機を開発していた『倉持技研』だった…………」
「…………って、おいおいまさか………!?」
簪さんの話の流れから、この先の結果が予想出来た俺は声を漏らす。
「…………『倉持技研』は彼の専用機の開発を急ピッチで進めるために私の専用機の開発を無期限で凍結。スタッフを全員彼の専用機の開発に回した………」
「マジかよ…………?」
ふざけるなと叫びたくなった。
何考えてるんだ、政府も開発元も?
世界初の事例である織斑の事を優先したい気持ちは、まあ分からんでもないが、既に始まっていた簪さんの専用機の開発を凍結させて、織斑の白式に全部人員回すとか、本当に何考えてんだ?
簪さんの今までの努力を蔑ろにするにも程がある。
「………だから私は、製作途中だったこの機体のパーツを譲って貰って自分で完成させる事にしたんです」
「………………『強い』な、簪さんは」
俺は簪さんに近付いてそう声を掛けた。
「えっ………?」
簪さんは声を漏らす。
「今までの努力を否定されて………それでも尚努力を続けられることは、誰にでも出来る事じゃない……………」
俺は純粋にそう思う。
簪さんは『強い』。
少なくとも、織斑よりもずっと。
贔屓目かもしれないが、織斑よりも、簪さんの方が専用機を持つに相応しいと思った。
「………大士さん…………」
簪さんは感極まったのか、目が潤んでいる気がした。
そして、そんな簪さんを蔑ろにした『倉持技研』に怒りが沸々と沸き上がってくる。
そんな研究所に対する、一番の仕返しは……………
俺は思わずニヤリと悪い笑みを浮かべる。
「……………ハジメ」
俺はハジメに声を掛ける。
「ん?」
「簪さんの専用機………遠慮なしで頼む………!」
「………ほう?」
ハジメも目を光らせながら、ニヤリと笑みを浮かべた。
「簪さんより織斑の奴を選んだ『倉持技研』とやらに、目にもの見せてやれ………!」
「願っても無い…………!」
お互いに悪い笑みで笑い合う。
そこで俺はスマホを取り出すと、山木さんの電話番号にコールした。
『………大士君か?』
「山木さん、こんにちは。突然すみません」
『いや、大丈夫だ。それで、何かあったのか?』
「突然ですが、お願いがあります」
『お願い………?』
「更識 簪という生徒をご存知ですか?」
『ふむ………楯無君の妹だね。日本の代表候補生であると聞いている』
「彼女の専用機が、開発途中で凍結された事も?」
『その事も聞き及んでいる。全く嘆かわしいものだ。認められた実力者の専用機開発を凍結してしまうとは………』
山木さんの言葉には、呆れが多分に含まれていた。
「それで、本題は彼女の専用機についてです…………実は、彼女の専用機をハジメに任せようと思います」
『ハジメ………と言うと、君と同じ『帰還者』である、南雲 ハジメ君の事だね?』
「ええ。簪さんの専用機の開発を凍結した『倉持技研』への当て付けも含めて、自重無しで魔改造してもらう予定です」
『……………………………』
無言になる山木さん。
「それでお願いしたいことは、簪さんの専用機の所属として、山木さん達『ヒュプノス』や『ワイルドバンチ』に後ろ盾になって頂けないかという事です。最低でも『倉持技研』以外でお願いしたい所ですが」
『………南雲 ハジメ君に任せるという事は…………』
「ええ…………存分に『魔』改造してもらうつもりです」
『………………ふう。そのようなものを、下手な所に任せる訳にもいくまい』
「では………?」
『彼女の専用機の後ろ盾については任されよう』
「ありがとうございます!」
『何、彼女の専用機の開発が凍結されてしまった責任は政府にもある。その罪滅ぼしとでも思ってくれればいい』
「それでも、色々迷惑かけるかもしれませんので、俺達の力が必要な時には遠慮なく言ってください。格安で引き受けます」
『フッ………その時にはよろしく頼む』
「では………」
俺は通話を切ると、
「これで問題は無い。ハジメ、遠慮なくやってくれ」
「よっしゃ!」
こうして、簪さんの専用機の魔改造計画がスタートした。
「くっ………! ビームサーベルはスーパーミレディGの応用で何とかなるが、ビームライフル……! ビームライフルを今度こそ装備したい………!」
「あの……そこは普通に荷電粒子砲で良いんじゃ……………」
「駄目だ! 既存の装備などロマンが無い!」
「……………なあ、寧ろ重力魔法を応用して、重力衝撃砲なんて物を作れないか?」
「重力衝撃砲…………だと?」
「フ○ンネルも必要だろ!」
「あ~、
「パージしたパーツが空中で合体………! 円月輪の様な武器となって敵を切り裂く………! いい………!」
「ドリルだ! これは譲れねぇ!」
「………更にドリルが分割して内部からガトリングレールガン………悪くない……!」
「奥の手で赤くなって3倍速くなるのは当然だろ!」
「トラ○ザム………! 使いたい………!」
ハジメと簪さん、そして俺も少々口出しした魔改造計画は、順当に進んでいった。
尚、簪さんの専用機に集中するあまり、キャノンボール・ファストというイベントがあったのだが、ナチュラルにすっぽかした。
襲撃もあったらしいが、それは俺達の知る所では無い。
IS編第18話です。
簪の専用機の魔改造がスタートしました。
ええ、皆さんお分かりの様にスパロボ30のヒュッケバインの影響を諸に受けております。
そしてスーパーミレディGの影響も。
さて、一体どの様な有様になってしまうのか!?
因みにスパロボ30はまだクリアしていなかったり………
アドヴェンドをボコり中。
まさかZのラスボスが来るとは思わなんだ………
一夏の今後の扱いをどうするか?
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アンチ路線を突っ切れ!
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いやいや、矯正しましょう!