ハジメが
いくつかの問答の後、突然篠ノ之 束の身体から黒い煙のような物が噴き出したかと思うと、その煙が人型を成して現れたのは………
「ヴァンデモン………だと………?」
俺は驚愕で思わず呟いた。
ハジメとの問答から察するに、あのヴァンデモンはアドベンチャーの世界線から来たヴァンデモンであることが伺える。
この世界はテイマーズの世界線ではあるが、劇場版の物語ではアポカリモンの残留データから生まれたメフィスモンや、それを追って来たオメガモンも現れているし、仲間であるリョウも厳密に言えばアドベンチャーの世界からこちらの世界に流れてきた人間だ。
ヴァンデモンがこの世界に現れることもあり得ないとは言い切れない。
すると、
「そう言えば、この小娘はもう用済みだな…………」
ヴァンデモンはそう言うと、暗黒の種を抜き取られて気絶した篠ノ之 束をその場で放り投げた。
ヴァンデモンは、ハジメが篠ノ之 束を助ける為に動くと思っていたようだが、
「……………………」
ハジメは微動だにせずにヴァンデモンから視線を逸らさなかった。
「何っ………!?」
ヴァンデモンは驚愕の声を漏らす。
「姉さん!?」
篠ノ之さんが、咄嗟に落下していく篠ノ之 束を受け止める。
「……………貴様、何故小娘を助けようとしなかった?」
ヴァンデモンはハジメに問いかける。
「戦いの最中に『敵』から目を放すのは馬鹿のする事だろ?」
ハジメは当然と言わんばかりにそう言う。
「それに、そいつがどうなろうと俺には関係無い事だ」
その言葉に、ヴァンデモンは僅かに目を見開く。
「なるほど………どうやら貴様は私が知る『選ばれし子供』とは毛色が違うようだな……」
「知るか」
ハジメはそう切って捨てる。
「………………で? そのヴァンデモンが何の用だ?」
すると、ハジメがそう問いかけた。
ヴァンデモンが現れたこと自体には驚いたようだが、上位クラスとは言え完全体。
取り乱す程では無かった。
「ふん。人間にしてはやるようだが、その余裕がいつまで続くか見ものだな………」
対するヴァンデモンも、冷静な言葉でそう返す。
ヴァンデモンが強気な理由も分かる。
もう日が沈み、これから夜の時間がやって来る。
暗黒デジモンであるヴァンデモンの力が強まる時間だ。
夕日が沈み、光が途切れると同時にヴァンデモンはマントを翻した。
「ナイトレイド!!」
翻したマントの内側から、暗黒エネルギーで出来たコウモリの群れが放たれる。
無数のコウモリがハジメに襲い掛かった瞬間、ハジメは〝宝物庫〟からガトリングレールガン、『メツェライ』を取り出す。
そこから放たれる電磁加速された無数の弾丸が、放たれたコウモリを次々と撃墜していく。
全てのコウモリを撃ち落とし終えると、
「……………で?」
それが如何したと言わんばかりにそう呟く。
「ぬぅ………」
ヴァンデモンは少し悔しそうな表情をしたが、すぐに余裕の表情を取り戻し、
「なるほど…………思ったよりはやるようだ」
ハジメへの評価を改めたのか、落ち着いてそう言い直した。
「やはり貴様は我が野望の障害になり得る様だ…………ここで確実に息の根を止める………!」
ヴァンデモンは表情を引き締め、
「ブラッディストリーム!!」
両手から赤いエネルギーの鞭を生み出し、それを振るった。
ハジメは空力の足場から飛び退き、紅い鞭を避ける。
「逃がさん!」
ヴァンデモンは反対の手のブラッディストリームを振るい、ハジメを追撃する。
ハジメは〝空力〟を使って更に後ろに飛び退くと、自由落下を始めた。
だが、その隙に、
「カードスラッシュ!」
ハジメはDアークに1枚のカードをスラッシュする。
「マトリックスエボリューション!!」
――MATRIX
EVOLUTION――
Dアークから放たれる光が、ハジメのパートナーの黒アグモンを進化させる。
「アグモン進化!」
アグモンは光に包まれ、巨大化しながら空中へ飛び立ち、ハジメを下からその上に乗せた。
「メタルグレイモン!!」
青いウイルス種のメタルグレイモンとなって頭にハジメを乗せ、ヴァンデモンと同じ高さまで上昇する。
「メタルグレイモンか…………ウイルス種とは言え、勇気の紋章を持つ選ばれし子供と同じデジモンとは…………つくづく気に入らない奴め………!」
ヴァンデモンはハジメのメタルグレイモンを見て吐き捨てる。
メタルグレイモンは胸のハッチを開け、
「ギガデストロイヤー!!」
問答無用でミサイル攻撃を放った。
「ふん………!」
ヴァンデモンはブラッディストリームを薙ぎ払い、ミサイルを明後日の方向へ弾き飛ばした。
遥か後方でギガデストロイヤーが爆発する。
「突然攻撃とは、礼儀のなってない奴め」
「戦いに礼儀もくそも無いだろう?」
ハジメは関係無いと言わんばかりだ。
「何処までも気に入らない奴め………! 貴様のような奴と、これ以上相手をしてやる義理は無い! ブラッディストリーム!!」
ヴァンデモンは、紅い鞭を振り回す。
「うぉああああっ!?」
その直撃を受けたメタルグレイモンは大きく怯んだ。
「なるほど、『王』を名乗るだけはあるか…………」
メタルグレイモンを吹き飛ばしたヴァンデモンに、ハジメは見直したような口調でそう言う。
「フッ………漸く私の恐ろしさを理解できたか?」
「…………まあ、同じ完全体同士じゃ不利だという事は理解した」
ハジメはそう言うが、その声には動揺が微塵も感じられない。
それも当然だ。
何故なら、
「それなら、更に進化すればいいだけの話だ!」
ハジメはDアークを掲げ、メタルグレイモンと共に光に包まれた。
――MATRIX
EVOLUTION――
「マトリックスエボリューション!!」
一旦退化したアグモンとハジメが1つになる。
「アグモン進化!」
ハジメとアグモンが1つとなり、究極体へと進化する。
「ブリッツグレイモン!!」
その場に現れるのは、真紅の竜機人。
究極体のブリッツグレイモンがその場に現れた。
「何ッ!? 更なる進化だと!?」
ヴァンデモンは驚愕の声を漏らすが気を取り直し、
「ナイトレイド!!」
無数のコウモリを放つ。
コウモリたちはブリッツグレイモンを囲む様に襲い掛かったが、
「エレックガード!」
プラズマ粒子によるバリアを張り、襲い掛かって来たコウモリ全てを灰にした。
「ぬぐっ………!」
ヴァンデモンは焦りの表情を見せる。
すると、ブリッツグレイモンが背面のサンダーバーニアを前面に展開し、
「サンダーバーニア!!」
その先にある砲門から強烈なプラズマ砲を放った。
「チィッ!?」
ヴァンデモンは咄嗟に回避するが、そのプラズマ砲がマントを掠め、灰すら残さず塵に返す。
「ッ…………………………」
その威力に冷や汗を流したのか、僅かに動揺する様子を見せた。
「…………………なるほど、どうやらまだ侮っていたようだ……………」
ブリッツグレイモンに向き直り、冷静な口調でそう言うヴァンデモン。
「随分と余裕だな?」
ブリッツグレイモンがそう問いかける。
「フッ………よもや私の力がこの程度であると勘違いしているのではあるまいな?」
ヴァンデモンは意味あり気にニヤリと笑みを浮かべる。
「…………………!」
ブリッツグレイモンはヴァンデモンを睨み付ける。
「…………所で、君達はISのコアがどのように作られているのか気になった事は無いかね?」
突然ヴァンデモンがそんな質問を投げかける。
『さてな………誰にも解明できないブラックボックスという事だけは聞いた事があるな』
「では教えてやろう。ISのコアは、デジモンのデジコアを元に作り出されたものだ」
「何ッ!?」
その言葉には、俺も驚いた。
「女しか使えないようにしたのは小娘の仕業だがな」
ヴァンデモンはそう言うが、俺にはそれよりも気になる事があった。
俺がISを動かせる理由として、デジソウルが関係していると予想はしていた。
その理由が、ISのコアがデジコアを元に作り出されているのなら、デジソウルと親和性が高いのも頷ける。
だが、それはつまり…………
「一体何体のデジモンを犠牲にしたんだ………!」
俺は内心猛りを覚える。
「さらに言えば、そのISのコアには少々細工をしていてね。私のデータの一部をコピーして仕込ませておいたのだよ」
ヴァンデモンが両手を広げると、
「さあ、我が下に集え! 分身達よ!!」
そう叫んだ。
その瞬間、専用機持ち達のISからコアが飛び出し、ヴァンデモンの元へ飛んでいく。
それだけではなく、俺の腕に装着されていた待機状態だったISからもコアが飛び出し、飛んでいってしまう。
「これは…………!?」
俺は一瞬驚くが、それよりも拙い事に気付いた。
「楯無! 簪!」
ISは、コアによって全ての制御を行っている。
コアが無くなってしまえば、ISは唯の重りにしかならない。
その為、空中に浮いていた楯無、簪を含めた専用機持ち達は、PICを使えなくなり、突然空中に投げ出された状態になった。
「うわぁああああああああああっ!?」
「「「「「「「きゃぁああああああああああっ!?」」」」」」
専用機持ち達が悲鳴を上げる。
「拙い!」
「任せて!」
俺よりも早く優花が飛び出す。
だが、優花一人では助けられる人数に限りがあるだろう。
デジモンを進化させている暇もない。
その時だった。
「システムノイント! 発動!」
簪が光に包まれ、神の使徒の姿に変わる。
全ての装甲をパージし、銀翼を広げた。
「お姉ちゃん!」
簪が楯無の手を掴む。
「そうか! 魔力を力の源にしているその姿なら!」
ISが起動不能でも飛べる!
だが、簪もPICの補助無しに飛ぶのは困難なようで、楯無を助けた時点でかなりフラフラしている。
これ以上助けるのは不可能だろう。
だが、
「これなら!」
優花が他のメンバーの落下地点に先回りすると、
「重力魔法でっ!」
重力魔法で反重力を発生させ、地面に激突する前に勢いを殺した。
全員が一度浮かんだことを確認すると、優花は重力魔法を止めた。
織斑達が地面に投げ出される。
「痛っ!?」
「あたた………もうちょっと優しく助けてよね………」
鈴の言葉に、
「死ぬよりかはマシでしょ? その位の痛みは我慢して」
優花はそう言って空を見上げる。
そこには、俺達のISから奪った9つに加え、
「何をする気だ!?」
俺は思わず叫ぶ。
「ククク………お前達に面白いものを見せてやろう」
ヴァンデモンがそう言うと12個のコアがヴァンデモンに集まり、データ粒子に分解されてしまう。
そして、その粒子をヴァンデモンは口から吸いこみ始めた。
「このISのコアには今までISを使って来た人間達の欲望が集約されている。人間達の欲望は我が糧となり、私に更なる力を与えてくれる」
ヴァンデモンがデータ粒子を吸い込みきると、
「見せてやろう! これが人間達が私に与えた力だ!」
ヴァンデモンが闇に包まれ、その姿を膨れ上がらせる。
「ヴァンデモン進化!」
ヴァンデモンの進化と聞いて、俺はヴェノムヴァンデモンかベリアルヴァンデモンへの進化と思っていた。
だが、ヴァンデモンの姿はヴェノムヴァンデモンほど巨大化せず、ベリアルヴァンデモンよりもスマートな体形に変わっていく。
「この進化は………!?」
その闇が消えると、
「ネオヴァンデモン!!」
その進化はヴェノムヴァンでもベリアルヴァンデモンでもない。
だが、その姿を俺は知っている。
「ネオ…………ヴァンデモン…………クロスウォーズに出てきたデスジェネラルの1体……!」
俺はDアークを取り出す。
「ネオヴァンデモン 究極体 ウイルス種 アンデット型デジモン。必殺技は、『ナイトメアレイド』、『ブラッディストリームグレイド』、『ギャディアックレイド』」
そうじゃないかとは思っていたが、やはり究極体か………!
「どうかね? この姿は………?」
「はっ! いくら進化しようが関係ねえ! 敵なら倒すだけだ!」
相変わらずのハジメ式回答だな。
ブリッツグレイモンは腕に電撃を走らせる。
「プラズマステーク!!」
ブリッツグレイモンはネオヴァンデモンに突進し、電撃を浴びせようとする。
すると、ネオヴァンデモンは両腕を前に出し、
「ブラッディストリームグレイド!」
その腕が伸びて手の爪でブリッツグレイモンを捕らえた。
「何ッ!?」
その鋭い爪が、ブリッツグレイモンの装甲を引き裂き、深く突き刺さる。
「ぐあああっ!?」
ブリッツグレイモンは叫び声をあげる。
『ぐっ………野郎!』
ハジメが気を引き締めると、再びサンダーバーニアが展開。
砲門をネオヴァンデモンに向ける。
「喰らいやがれ!」
そのままサンダーバーニアを発射。
ネオヴァンデモンはプラズマ砲の直撃を受けた。
「どうだ!?」
ブリッツグレイモンはそう得意げに声を上げるが、ブリッツグレイモンを捕えていた爪からは力が抜けていない。
寧ろ深く突き刺さる。
「ぐあっ!?」
ブリッツグレイモンが苦しむ声を漏らす。
「フッ………その程度の攻撃ではこの私は倒せんよ………」
爆煙の向こうからネオヴァンデモンが無傷で姿を見せる。
「どれ……このまま貴様の身体を引き裂いてくれよう……!」
ネオヴァンデモンがその腕に力を込めようとした瞬間、
「獣狼大回転!!」
回転しながら接近してきた何者かが、ネオヴァンデモンの両腕を弾き飛ばした。
「何ッ!?」
ブリッツグレイモンを危機から救ったのは、黄金の獣戦士。
「クーレスガルルモン!」
『香織!』
白崎さんとガブモンが進化したクーレスガルルモンだ。
そしてもちろん、行動に移したのは白崎さんだけではない。
ユエとブイモンが進化したアルフォースブイドラモン。
シアとクダモンが進化したスレイプモン。
スレイプモンの背に跨る、八重樫さんとコテモンが進化したガイオウモン。
優花とハックモンが進化したジエスモン。
葵とリュウダモンが進化したオウリュウモン。
そして、オウリュウモンの背に乗る、俺とドルモンが進化したアルファモン。
ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンを含め、計8体の究極体デジモンがネオヴァンデモンを囲んでいた。
「ぬぅ…………」
流石にこの状況にはネオヴァンデモンもたじろいだ様だ。
『さて、お前が何でこの世界に居るのかとか若干気になるが、別にそれは如何でもいい事だ。だが、俺達に敵対してきた以上、覚悟はして貰おうか』
俺はそう言う。
「いくら並の究極体以上のデジモンとは言え、この状況でお前に勝ち目はない」
アルファモンがそう言うと、
「……………………………………………………クックック」
長い沈黙の後、ネオヴァンデモンは笑いを零した。
「何がおかしい?」
アルファモンが聞き返すと、
「君達は何か忘れてやしないか? この世界に、ISのコアはいくつ存在すると思う?」
ネオヴァンデモンは突然そんな事を言った。
『ッ………! まさか!?』
この世界に存在するISのコアは467個。
その内12個をネオヴァンデモンが吸収したとしても、まだ450個以上が存在する。
すると、その考えが正解だと言わんばかりに、無数のISのコアが流星の様にこの場に集まって来た。
「このような演出は如何かね?」
ネオヴァンデモンは、パチンと指を鳴らす。
その瞬間、集まって来たISのコアが10個ぐらいの塊となり、闇に包まれた。
そして、その塊の1つ1つが、ヴェノムヴァンデモンやベリアルヴァンデモンへと変貌していく。
「これは………!」
「ISのコアには私のデータの一部がコピーされている。一度進化したヴェノムヴァンデモンやベリアルヴァンデモンの複製を作り出す事など簡単なのだよ」
単純計算で40体以上のヴェノムヴァンデモンやベリアルヴァンデモンがいることになる。
唯一の救いは、全員が上空にいることで街には被害が無い事ぐらいか。
「さあ、これだけの数を相手に如何すのかな!?」
ネオヴァンデモンは高笑いをあげながら叫んだ。
その瞬間、
「聖剣グレイダルファー!」
アルファモンが放った光の剣がヴェノムヴァンデモンを貫く。
内側にエネルギーを送り込まれたヴェノムヴァンデモンは爆散する。
「は…………?」
ネオヴァンデモンが素っ頓狂な声を漏らした。
「轍剣成敗!」
「アルフォースセイバー!」
ジエスモンとアルフォースブイドラモンの一閃が、ベリアルヴァンデモンをそれぞれ真っ二つにし、
「ビフロスト!」
「燐火撃!!」
スレイプモンとガイオウモンが放った光の矢が、ヴェノムヴァンデモンの頭と腹部を貫く。
『行くぞ香織!』
『うん! ハジメ君!』
「ブリッツグレイモン!」
「クーレスガルルモン!」
「「ジョグレス進化!」」
ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンが1つになり、
「「オメガモン Alter-S!!」」
黒いマントを翻す聖騎士となる。
「「ガルルソード!!」」
ガルルソードの一閃が、ヴェノムヴァンデモンを縦に真っ二つにし、
「「グレイキャノン!!」」
グレイキャノンはベリアルヴァンデモンの群れを貫く。
『俺達も行くぞ、葵!』
『うん!』
「アルファモン!」
「オウリュウモン!」
「「ブラストエボリューション!!」」
アルファモンとオウリュウモンが1つとなり、オウリュウモンを剣へと変えた王竜剣を持つアルファモンとなる。
「アルファモン王竜剣!!」
アルファモンは王竜剣を振りかざし、
「はぁあああああああああああっ!!」
まるで雑魚を蹴散らすかの如く、ヴェノムヴァンデモンやベリアルヴァンデモンを真っ二つにしていった。
「バカな!? 何故こうも容易く!?」
ネオヴァンデモンは目の前の光景が信じられないと言わんばかりに叫ぶ。
『簡単な話だ。お前は、俺達を舐め過ぎたんだ』
俺はそう言い放つ。
「ふ、ふざけるな! 私はやっとの思いで復活したのだ! それを貴様たち如きに邪魔されてたまるか!!」
ネオヴァンデモンは空高く飛び上がり、
「全ての闇よ! 我が下に集え!!」
ネオヴァンデモンが叫ぶと、残っていたヴェノムヴァンデモンやベリアルヴァンデモンがデータ粒子に変換され、そのデータをネオヴァンデモンが吸収していく。
それに伴い、ネオヴァンデモンの姿が大きく変貌する。
「ネオヴァンデモン ダークネスモード!!」
巨大化し、姿もより凶悪化したものになる。
「貴様ら如きに、この私が負けるものかぁ!!」
ネオヴァンデモンDMは眼前に闇のエネルギーを集中させると、
「ギガギャリアックレイド!!」
俺達に向けて放たれた砲撃。
もしよければ京都の街が………
いや、日本の形が変わるほどの破壊力を秘めているその攻撃。
それを、
「「グレイキャノン!!」」
プラズマ砲が正面から迎え撃った。
ネオヴァンデモンDMのギガギャリアックレイドを完全に相殺する。
「何ッ!?」
ネオヴァンデモンDMは驚愕の声を漏らす。
その爆煙の向こうで、閃光が煌めいた。
「「ガルルソード!!」」
光の剣がネオヴァンデモンDMの両腕を切り落とす。
「バッ、バカなぁっ!?」
煙を切り裂いて現れたオメガモン Alter-Sの姿は黒く染まっていた。
「「オメガモン Alter-B!!」」
名乗りを上げるオメガモン Alter-B。
「何故っ………何故だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!?」
ネオヴァンデモンは現実を認められないのか、駄々を捏ねるような声を上げた。
すると、
「いい事を教えてあげるわ、悪党さん」
そんな声が聞こえた。
それは、神の使徒の姿となった簪に抱きかかえられた楯無だ。
ネオヴァンデモンは、呆気に取られた顔で楯無を見る。
「最後の手段で巨大化した悪党は、ヒーローにやられるっていうのがこの世の決まり事なのよ♪」
楯無がそう言った瞬間、
「究極戦刃……………!」
ネオヴァンデモンの頭上で
「なっ!? や、やめっ…………!」
ネオヴァンデモンはたじろぐが、そんな事でやめるほど俺達は甘くない。
「…………王竜剣っ!!!」
全力で王竜剣を振り下ろした。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?!?」
ネオヴァンデモンの慟哭の様な叫びと同時に、その身体を真っ二つに切り裂く。
その一瞬後に、ネオヴァンデモンはデータ粒子に分解されて消えていった。
【Side 三人称】
1ヶ月後。
ネオヴァンデモンとの戦いの日を境に、世界は激変した。
今まで世界に多大な影響を与えていたISが全て使えなくなり、情勢は急展開を迎えていた。
IS学園もISに関する授業がほぼなくなり、通常の授業を続けている。
そんな中、何処かの田舎では、
「よーいしょっと!」
1人の女性が農作業着を着て畑を掘り返していた。
そこから立派に育ったサツマイモを掘り当てる。
「いやぁ、立派なお芋だねぇ!」
その女性はニコニコと笑みを浮かべてサツマイモを眺める。
すると、
「束さま、お茶が入りました」
銀髪の少女が湯飲み茶碗をお盆に乗せて運んでくる。
「ありがと、くーちゃん!」
「スコール様達も、もうすぐ市場から戻って来るそうです」
「そっかー! じゃあ、それまでにもっと収穫しなきゃね!」
束は笑顔で再び鍬を振り上げた。
大士達は、IS学園が通常の授業だけになった事により、IS学園に通う意味が無くなった事で、元のハジメ達と同じクラスに復学していた。
いくらか授業は遅れているが、まあ些細な事だろう。
だが、以前とは変わった事が1つある。
それは…………
授業が終わった後、大士のスマホが着信を知らせる。
「もしもし、楯無か?」
『あ、大士さん。突然ですけど、また依頼をお願いしても宜しいですか?』
「ああ。今度は何だ?」
『麻薬の密輸ルートと密売組織を簪ちゃんが発見したので、密売組織の拿捕をお願いします』
「了解だ」
『詳しい事は、簪ちゃんから連絡が行きますので』
通話が切れると、
「さて、また仕事だ」
大士はドルモンに向き直る。
大士は、楯無と簪との関係を更識家に認めさせるために、裏の仕事への協力を申し出た。
この1ヶ月で潰した犯罪組織は既に2ケタを超え、更識家も大士の力を認めざるを得なくなっている。
味方なら心強いが、敵になればとても恐ろしい事を、更識家はよく理解していたからだ。
「大士、また仕事?」
「そろそろ私達も協力していいかしら?」
葵と優花がそう言ってくる。
「そうだな………そろそろ俺個人の力を認めさせた頃だし、そろそろ協力してもらうか!」
大士も嬉しそうに2人に応える。
その時、丁度いいタイミングで簪からメールで犯罪組織の情報が来る。
大士はそれを確認すると、
「それじゃ、行くか!」
「「うん!」」
大士は葵と優花、そしてパートナーデジモン達と一緒に駆けだした。
これから始まる、ありふれた日々に向かって―――――――
~IFルートFin~
最終話です。
キリ良く30話で終わりました。
まあ、正直最後が盛り上がりに欠けた感じがしてます。
大士達が苦戦する相手が出てくるような状況でも無かったことが理由でもありますが。
とりあえずヴァンデモン一体だけでは役不足なので色々試行錯誤でネオヴァンデモンと量産型ヴェノムヴァンデモンとベリアルヴァンデモンを出しときました。
普通に一蹴されましたがね。
束と亡国機業の3人はこんな感じで良かったですかね?
さて、次回からは本筋に戻ってオリジナル異世界編になると思います。
オリジナルとは言え、そこら中から参考にさせていただくので、見た事あるような流れでも生暖かい目で見守ってください。
おそらく更新頻度は週一ぐらいになると思います。
それでは、また次回からも頑張ります。