ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第2話 現状把握

 

 

 

フォルダ公爵に連れられ、召喚された部屋を出て石造りの廊下を進む。

召喚された部屋は、王城の地下にあったようで、地上に出る階段を上ってそのまま王城を出た。

そこから見える街並みは、トータスの街並みによく似ており、文明レベルも同程度に感じた。

俺達はそのままフォルダ公爵の馬車に乗せられ、王都の街の中を進む。

そして、馬車での移動という事は当然ながら、

 

「……………気持ち悪っ…………」

 

「大士、大丈夫?」

 

乗り物酔いでダウンした。

いつもは葵達に膝枕をして貰うが、生憎この場には居ないため、自力で耐えるしかない。

 

「馬車は苦手かね?」

 

フォルダ公爵が苦笑しながらそう問いかけてくる。

 

「………見ての通りです………」

 

真面に話す気力が無かった俺はそう答える。

 

「ははは。もう少し我慢してくれたまえ。もうすぐだ」

 

それから10分後、王都の一角にある大きな屋敷の門を馬車は潜り、屋敷の玄関の前で停車する。

フォルダ公爵と共に馬車から降り、玄関を潜ると、

 

「「「「「「「「「「おかえりなさいませ。旦那様」」」」」」」」」」

 

使用人やメイドさん達が頭を下げながら一斉に出迎えた。

 

「おおぅ………」

 

その光景に圧倒された俺は、吐き気が口の中に引っ込む。

すると、フォルダ公爵が執事らしき初老の男性に近付き、

 

「セバス。突然だが彼を客人として迎え入れることになった。部屋を用意してくれ」

 

「かしこまりました」

 

セバスと呼ばれた執事は動じる様子もなくただ一礼してメイド達に指示を出していく。

すると、フォルダ公爵が思い出したように振り返り、

 

「そうだ、君のデジモンだが、デジモン専用の小屋があるのでそこに………」

 

そこまで聞いた時、俺は口を開いた。

 

「すみませんが、俺とドルモンは同じ部屋でお願いします」

 

俺の言葉に、フォルダ公爵の目が見開かれる。

 

「こちらの世界でデジモンがどの様な扱いを受けているかは知りませんが、ドルモンは俺の親友であり相棒です。俺は自分のスタイルを崩すつもりは無いで。客室にデジモンを泊める事に抵抗があるのなら、そのデジモン専用の小屋に俺の寝床を作ってくれれば、それで構いませんので」

 

俺はそう言う。

 

「……………分かった。客室に君のデジモンも泊まれるようにしよう」

 

フォルダ公爵は少し驚いたようだがそう頷いてセバスさんに追加で指示を出す。

 

「ありがとうございます」

 

俺は頭を下げてお礼を言った。

 

「いや、構わないよ…………」

 

フォルダ公爵はそう言った。

その時、

 

「父上。お帰りになられたのですか?」

 

女性の声が聞こえた。

そちらを見ると、玄関ホールの先にある2階へ続く階段の上の方から、ドレスを纏った少女が降りてきた。

歳は俺よりも少し下ぐらい。

165cmほどの身長にフォルダ公爵譲りだろう、緩くフワッとした感じの腰まで届く長い金髪。

凛々しさを感じさせる切れ目の、燃えるようなルビー色の瞳。

そして、葵に負けず劣らずのナイスバディを持つ美人だった。

 

「クラウディア!」

 

フォルダ公爵がその少女の名前を呼ぶ。

フォルダ公爵の事を父上と呼んでいたし、フォルダ公爵の娘さんかな?

クラウディアと呼ばれた少女は、フォルダ公爵の前に歩み寄ってくると、

 

「おかえりなさい、父上」

 

「ああ。ただいま、クラウディア」

 

笑みを浮かべて挨拶を交わす。

すると、その視線が俺を向き、

 

「父上、そちらは?」

 

「うむ………お前には少々言いにくい事なんだが…………………殿下が独断で勇者召喚を強行した」

 

「なっ!? 本当ですか!?」

 

「ああ…………陛下が国外に訪問している最中に、このような暴挙に出てしまうとは…………ふう………」

 

フォルダ公爵は頭が痛くなったのか、手を額に当てて首を振る。

 

「それでは………もしや彼が『勇者』………!?」

 

クラウディアと呼ばれた少女が驚いた表情で俺に顔を向けた。

 

「いや………殿下の話では、この者は手違いで召喚されたらしい。あのままでは、殿下によって『然るべき処置』を受ける所だったのでな。それは拙かろうと私が我が家で保護を申し出たのだ」

 

フォルダ公爵がそう注釈する。

 

「そうだったのですか…………」

 

クラウディアさんは俺に向き直ると、

 

「挨拶が遅れました。私はロレンツォ・アルファ・フォン・フォルダの娘、クラウディア・アルファ・フォン・フォルダと言う」

 

そう名乗った。

 

「あ、ああ。俺は黒騎 大士…………言い忘れたが、黒騎が苗字で、大士が名前だ」

 

俺が名乗り返すと、クラウディアさんとフォルダ公爵は驚いたように目を見開いた。

 

「家名持ち……という事は、タイシ殿は貴族なのか?」

 

フォルダ公爵がそう問いかけてくる。

この世界も苗字を持つのは貴族だけか。

 

「いや、そう言う訳じゃありませんよ。俺の居た所では誰でも苗字を持っている事が普通なんです。俺自身は単なる一般庶民ですよ」

 

軽く笑ってそう言う。

 

「そうか………いや、話が逸れてしまったな。この世界とは関係の無い貴殿を強制的に召喚してしまった事を、殿下の婚約者としてお詫び申し上げる」

 

クラウディアさんはそう言って深く頭を下げる。

だが、俺は謝罪よりも気になる単語があって、そっちに気が行ってしまった。

 

「……………婚約者……? あの王子サマの………?」

 

「えっ? あ、ああ……」

 

クラウディアさんは、俺の返しが予想外だったのか、一瞬呆けた後に頷く。

 

「それは…………何というか………………ご苦労様?」

 

あの王子サマの婚約者となれば、気苦労も多いだろうと勝手に思ってそう言ってしまう。

 

「は、はあ………?」

 

クラウディアさんは返答に困っている様だ。

すると、ゴホンとフォルダ公爵が咳払いをすると、

 

「君にとって殿下は余り好ましくないと感じるかもしれないが、ああ見えて殿下は優秀なのだよ。勉学や武芸、魔法………そして何よりデジタルナイトとしても高い資質を備えている…………少々自信過剰な面が伺えるのが玉に瑕だが………」

 

フォルダ公爵はそう説明する。

 

「そう聞くと、優秀だけど頭悪いタイプに聞こえるな………ところでデジタルナイトって何です?」

 

俺がそう聞くと、

 

「そうだな………君も聞きたいことは沢山あるだろう。立ち話もなんだ。食事をしながら話そう」

 

フォルダ公爵はそう言って屋敷の奥に俺を招き入れた。

 

 

 

 

 

食事は、結構広いシャンデリアのある広間に長大なテーブルが置かれた場所で行われた。

長大なテーブルの上座にフォルダ公爵が座り、そのすぐ斜め前にクラウディアさんが。

そして俺は、フォルダ公爵の対面上の席に座らされた。

正に、ザ・貴族の食卓、と言う所である。

因みにドルモンは俺の斜め前にちょこんと座っている。

こっちのテーブルマナーなんぞ知るわけないから、日本で習ったテーブルマナーで食事をしていく。

すると、フォルダ公爵とクラウディアさんがジッと俺を見ているのに気付いた。

 

「何か?」

 

俺がそう問いかけると、

 

「いや………君は一般庶民と言っていたが、それにしては行儀がいいと思ってね。細かく注意する所は沢山あるにしても、大雑把ながら大筋のマナーは守れている」

 

その事に、俺はああ、と納得した。

 

「一応元の世界で習ったテーブルマナーで食べてるだけなんですけどね。ある程度はこっちにも通じるようですね」

 

「君達の世界では、庶民もテーブルマナーを心得ているのか!?」

 

クラウディアさんが驚いた表情で問いかけてきた。

 

「いや、貴族や王族の様にガッチガチに習う訳じゃないですよ。高級レストランとかに行ったときに恥を掻かない程度に、最低限のマナーを軽く教えられる程度です。普段の家庭の食事じゃ、テーブルマナー何てあって無い様なものですから」

 

俺は笑いながらそう答える。

 

「それはともかく、こちらの世界について話を聞きたいのですが………」

 

「ああ、すまないね………さて、何から話したものか………」

 

フォルダ公爵が迷っていたようなので、

 

「それでは、この世界にどの様な人や動物などの生き物がいるか。この国の政治体系や宗教関係………周辺国の地理や友好関係………後はさっき言ってたデジタルナイトっていうのも聞きたいな」

 

「ふむ………そうかね。では、順を追って話すとしよう」

 

フォルダ公爵は話し出した。

 

「まず、この世界は『リジアル』と呼ばれ、『人間族』と『魔族』の2種族が生存を賭けて長い間争い続けている」

 

これは王子サマも言ってたな。

 

「『人間族』は私達や君の様に至って普通の人の見た目だ。個人差はあれど、人の見た目を大きく逸脱する事は無い。それに対して、『魔族』の見た目は多種多様だ。人に近い見た目を持つ者も居るが、角が生えていたり、翼があったり、獣のような耳と尻尾を持つ見た目の者も居る」

 

トータスで言う亜人族も魔族と一括りにされてるようだな。

 

「勿論その2種族以外にも多様の動植物が存在する。犬や猫、牛や豚などの通常の動物に加え、ペガサスやグリフォン、ドラゴンと言った『幻獣種』。それらの動植物や幻獣種が、魔素を多量に吸収し、凶暴化した『魔獣』。魔素が集まり、直接ゴブリンやオークなどの形を持った『魔物』等が存在し、そこに『デジモン』が加わる」

 

改めて聞くと、なんとまあカオスな世界だ。

第一、何故デジタル機器が存在していないと思われるこの世界にデジモンが居るのかが全く分からん。

トータスには、俺達の世界のデジタルワールドからイグドラシルが呼びよせていたようだから話は別だ。

 

「次に地理だが…………セバス!」

 

フォルダ公爵がセバスさんを呼び、地図を持ってくるように指示した。

少しして、大き目の板に地図を張った物をセバスさんが持ってきた。

それを俺からよく見える位置に立てかけると、

 

「それでは、わたくしからご説明いたします。食事は続けながらでいいので聞いてください」

 

セバスさんは一礼して教鞭のような物を取る。

 

「まず、こちらがこの大陸の地図となります」

 

そう言ってセバスさんが地図全体を丸で囲うように教鞭を動かす。

その地図には、ひし形に近い形の大陸が描かれていた。

北海道の形が一番近いだろうか?

その地図の中央辺りに線が引かれ、右半分が黒く塗りつぶされている。

 

「この地図に描かれている、黒く塗りつぶされた部分は魔族領です。それ以外が人間領とお考え下さい。見ての通り、現在では大陸のほぼ半分を互いの種族の領地となっています。ですが、100年ほど前は大陸の3分の2を人間領が占めていました。そう考えると、大陸の半分まで魔族に奪われている現状では、人間族が押されていると考えてよいでしょう」

 

それで危機感を持った王子サマは勇者召喚を実行したと………

納得できそうな話ではあるが、俺から言わせてみれば、人間族の滅びとは程遠く思える。

まだまだ余力がある癖に、全く関係の無い者を呼び出すなと俺は言いたい。

 

「魔族領に関しては不明な点が多いため、わたくしでは説明できかねます。申し訳ありません」

 

セバスさんは頭を下げる。

それからセバスさんは人間領の方を指した。

その人間領は太線で3つに区切られている。

 

「人間領には3つの国があります」

 

セバスさんはまず魔族領に隣接している国を指す。

 

「まず、我々が住むこの国、『サーバー王国』」

 

続いてサーバー王国の左上に位置する国を指し、

 

「それからサーバー王国の北西に位置する『ブラウザ帝国』」

 

最後にブラウザ帝国の真下、サーバー王国の南西に位置する国に教鞭が移動し、

 

「そして、デニティス教の総本山のある『エクスプローラー聖国』」

 

セバスさんがそう言う。

 

「この3国が人間族の治める国となります。次にそれぞれの国との友好ですが、魔族と争い合っている現状、表立って対立している国はありません」

 

「『表立って』と言う位ですから、水面下では色々とあると?」

 

「お恥ずかしながら…………現在のブラウザ王は野心家で、サーバー王国の侵略を、虎視眈々と狙っているという噂もあります」

 

「まあ、その辺は人の性と言う奴だな………」

 

半分呆れ口調でそう返す。

 

「そして宗教関係ですが、この世界で最も広まっている宗教は、先程のエクスプローラー聖国が総本山を務める『デニティス教』です。小さな宗教はいくつかありますが、殆ど名を知られておりません…………」

 

「何故その『デニティス教』とやらはそんなに広まっているんですか?」

 

「それはやはり、神が『実在する』と言うのが一番大きいでしょうな」

 

「『実在する』?」

 

ハッキリとそう言い切ったその言葉を、俺は思わず聞き返してしまう。

 

「はい。デニティス教が信仰する運命神デニティス様は実在する神なのです。幾度もこの地に降臨したという逸話が残っておりますし、総本山にはデニティス様の使いである天使もおられます。そして何より、『神託』によってこの世界の人間達を導いておられます」

 

そこまで聞いて、あれっ?と俺は思った。

上級神様の話じゃ、『神』は全てにおいて平等でなければならないんじゃ無かったか?

葵も、『神とは見守る者』って言ってたしな。

それだと諸に神の掟に引っかかりまくってるんだが…………

いくら考えても答えは出ないので、それは一旦置いておく事にした。

 

「因みに、その『デニティス教』とやらの教義は何かあるんですか?」

 

一応聞いておく。

 

「はい。デニティス教の教義は、『汝、運命の流れに身を委ねよ。運命のままに進む道こそ汝の一番の幸福なり』というものです」

 

それを聞いた瞬間、俺は顔を顰めた。

 

「…………ふざけた教義だな」

 

俺は思わず心の内の言葉が口から漏れた。

その呟きが聞こえたのか、フォルダ公爵やクラウディアさんがピクリと反応した。

 

「ああ、すまない。別にこの世界の人間を馬鹿にしたいわけじゃないんだ。信じるものは人それぞれだしな。ただ、その教義は俺には絶対に受け入れられないと言うだけの話だ」

 

一応そう弁明する。

 

「では、何故君は受け入れられないと?」

 

「俺は『運命』とは自分の手で選び、掴み取っていくものだと思っているからだ。気に入った『運命』なら受け入れても構わないが、受け入れがたい『運命』なら殴ってでも変えてやる。っていうのが俺のスタンスだ」

 

「「……………………」」

 

俺の言葉にフォルダ公爵とクラウディアさんが黙る。

 

「……………神に背いた愚か者として罰しますか?」

 

俺からそう聞くと、フォルダ公爵は首を横に振った。

 

「いや、そんな事はせんよ。ただ、我がフォルダ領の一部で信仰されている宗教にも、君と同じ教えを説くものがあったのでね…………」

 

「そうですか………少なくとも、デニティス神とやらよりかは共感持てそうですね」

 

俺はそう言う。

 

「私達の前では構わないが、他の物の前ではそのような事を言わぬ方が良い。君も言ったが、最悪背信者として罰せられかねん」

 

「ご忠告は受け取りましょう」

 

言う通りにするとは言って無いが。

 

「話を続けて宜しいでしょうか?」

 

セバスさんが全く動じて無い態度でそう聞いてくる。

 

「あ、はい」

 

何気にメンタル強いなセバスさん。

 

「では、続きましてサーバー王国の政治体系ですが、サーバー王家を頂点とした君主制です。君主制の意味は御存じですか?」

 

「まあ、大体は………」

 

「わかりました。サーバー王家を頂点とし、その下に貴族達が来ます。位の高い順から、私達が仕えるこのフォルダ公爵を含めた公爵家が2つ。その下に侯爵家が3つ。更にその下に伯爵家が7つ。そして、それ以下の子爵家や男爵家が幾つかありますが、国の政治は伯爵以上の13家が行っていると言っていいでしょう」

 

「13家ね………」

 

13という数字に、俺は思わずロイヤルナイツを思い浮かべてしまう。

そう言えば、王子サマやフォルダ公爵のミドルネームにオメガとかアルファとかあったが………まさかね。

 

「そして最後になりますが『デジタルナイト』についてご説明いたします」

 

「ッ………」

 

俺は一番興味があった『デジタルナイト』に意識を戻す。

 

「デジタルナイトとは、その名の通りデジモンを従え敵を倒す騎士の事です。デジモンの力は、成長期までは大したことが無くても、成熟期ともなればその力は跳ね上がりますからな。デジタルナイトは国家軍事力の要と言っても過言では無いでしょう」

 

デジモンが軍事力とか言われるとモヤッとするんだがなぁ………

それだけの力を持っている事は否定しないが。

 

「とは言え、デジタルナイトになれる資質を持つ者はほんの一握りなのです。その為、優秀なデジタルナイトの育成が急務となっています」

 

………それはそうと、デジモンを戦争に使って、この世界はよく今まで無事だったな。

完全体同士の戦いでもヤバいのに、究極体同士が何度もぶつかり合ったら普通に大陸が崩壊すると思うんだが…………

 

「一握りしかなれないデジタルナイト……………その中でも完全体まで進化出来たデジタルナイトは漏れなく英雄と呼ばれます」

 

…………………………ん?

セバスさんの言葉に疑問を感じた。

 

「あの…………つかぬ事をお聞きしますが、デジタルナイトの内、完全体まで進化させたのは、どの位なんでしょうか…………?」

 

「そうですな……………同じ時期に30人…………いえ、20人居ればいい所でしょうな」

 

「…………………………」

 

一瞬気が遠くなった。

そこで俺は気になった事があった。

 

「あの………これは眉唾物の話なのですが…………完全体より上の世代がある、と聞いた事は…………?」

 

念の為、俺は言葉を暈して問いかけた。

 

「ほっほっほ………あなたの世界にも同じような迷信があるのですね? 神話や御伽話の中では『究極体』と呼ばれる世代があるようですが、その様な世代に進化できたという記録は一切残っておりません。故に、迷信や架空の話として名前だけが伝わっている程度です」

 

「………………………………………………」

 

俺は内心を悟られないよう表情を取り繕う事で精一杯だった。

やべーよ!

この世界、思った以上にデジモン………というか、テイマーとしてのレベルが低い世界だ!

完全体が英雄で、究極体が神話とか御伽話のレベルって………

究極体で尚且つ上位クラスに進化できる俺とドルモンの事がバレたら絶対面倒なことになる!

逆に言えば無双できる事に他ならないが、強すぎる力を持つ者は崇められるか、恐れられるかの2択。

アルファモンはともかく、ドルゴラモンを見せた日にゃ、恐れられることは明白だろう。

アルファモンでも怪しいか?

その場合、絶対に碌でもない貴族達が俺を消そうと躍起になってくるはず。

優花が居るなら奇襲なんかも怖くないんだが、生憎今は俺だけだ。

寝てる間に襲われたら一溜りもない。

これは究極進化は封印………もしくは俺とドルモンだとバレないように使うしか無いな。

 

「どうかしたのかね?」

 

考え込んでいる俺を怪訝に思ったのか、フォルダ公爵がそう問いかけてくる。

 

「いえ、何でも………」

 

「ふむ………そう言えば、君は召喚されてから碌に落ち着けないままだったね。今日はこの位にして、続きは明日にしようか」

 

フォルダ公爵はそう言ってくれる。

 

「はい、助かります」

 

「では、部屋へ案内させよう」

 

フォルダ公爵が手を叩くと、メイドの1人が前に出てくる。

 

「それではこちらへ」

 

一礼しつつ、俺に付いてくるように促した。

 

 

 

 

 

 

案内された部屋に入ると、やはり公爵家だけはあると言うべきか、客室の割に豪華な部屋だった。

俺はベッドに腰かけ、その横にドルモンが来る。

 

「大士、大変な事になったね」

 

ドルモンがそう言ってくる。

 

「ああ。しかも今回は今までと違って俺達だけだ」

 

今までは葵や優花達が一緒だったが、今回はドルモンだけ。

 

「いや、本来は俺だけ召喚される所を、優花が無理してドルモンを一緒に送ってくれたからな………まだマシな方か…………」

 

これでドルモンすら居なかったら、俺は不安で圧し潰されていたかもしれない。

こうやって相棒が居てくれるだけで…………

 

「っと、相棒と言えば………」

 

忘れてはいけないもう1人の相棒を思い出した。

〝宝物庫〟に意識を集中し、目的の『相棒』を呼び出す。

俺の手に現れたのは、一振りの日本刀。

 

「んあ? 相棒じゃねえか? どうした、俺っちを呼び出すなんて………」

 

目覚めたばかりの寝ぼけ声でその日本刀が喋る。

ゼロの使い魔の世界で手に入れたデルフリンガー。

西洋の剣だったそれをハジメが魔改造して、日本刀の形に生まれ変わらせたものだ。

 

「………って、何処だここ? なんつーか、貴族の屋敷の部屋に近くねえか?」

 

「ご明察。ここは公爵家の屋敷だ。簡単に言えば、また異世界召喚された」

 

「はっはっは! そいつは災難だったな。相変わらず相棒と一緒だと退屈しねえぜ!」

 

デルフは豪快に笑う。

 

「俺に取っちゃ笑い事じゃないけどな………」

 

「心配すんなよ。その内あの旦那が迎えに来るだろ?」

 

「まあな。ただ、召喚の状況からすると、今回は一筋縄じゃ行きそうにないかもな」

 

本物の『神』が関わっているのなら、いくらハジメでもそう簡単な事では無いだろう。

 

「この世界にも魔法が存在するみたいだ。お前の力が必要になる時も来ると思う。その時はよろしく頼む」

 

「おう! 任せときな! ちゃちな魔法は全部この俺様が吸い取ってやるよ! 生まれ変わった、このデルフリンガー様がな!」

 

デルフは自信満々にそう言う。

デルフはハジメに魔改造された事で切れ味、耐久力、吸収能力が飛躍的に上がっており、再生魔法でメンテ要らずだ。

ぶっちゃけ、おそらくこの世界の文明レベルでは世界最強の剣の性能を誇るだろう。

勿論デジモンを除けば………だが。

 

「ああ。頼りにしてるぜ」

 

俺はデルフにそう言うと、再び〝宝物庫〟にしまう。

 

「ふう…………」

 

俺はそのままベッドに寝転がる。

 

「どうなる事やら……………」

 

これからの平穏に済みそうにない未来に、深く溜息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 






はい、オリジナル異世界編第2話です。
休日出勤が急遽無くなったので投稿です。
でも、来週が出勤になるかもしれないという…………
その場合は済みませんが更新はお休みとなります。
さて、今回は完全に説明回です。
設定ガバガバな上に分かりにくかったかもしれませんが、流していただければ幸いです。
後は異世界編ヒロインその1、クラウディアの登場です。
名前はその時その時で気分的に決めてるだけなので、特に意味はありません。
クラウディアのイメージ的には、以前も言いましたが『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』のアンジェリカ(髪を降ろしたVer.)です。
彼女のパートナーについては次回。
それでは次も頑張ります、
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