ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

176 / 298
第5話 勇気の目覚め! 爆裂進化! グレイモン!!

 

 

 

初めての実戦訓練から一週間。

カイル、エミリア、エリスの3人も、俺と同じようにパートナーを常に連れて歩くようになり、デジモン達との絆を深めていた。

ただし、この世界からすれば、その行動は変わり者扱いとされるため、周りからは奇異の目で見られている。

そんな中、2度目のデジタルダンジョンによる実戦訓練を迎えていた。

どうやら、約週一のペースでデジタルダンジョンによる訓練があるらしい。

前回と同じく訓練施設へ足を運ぶと、

 

「………おい、見ろよ。デジモンをいつも連れて歩いてる変人軍団の登場だぜ?」

 

「非常識な奴らだ。人としての品性を疑う」

 

侮蔑の視線が集中する。

 

「……………………」

 

カイルはまだ少し堪える様で、軽く俯いていた。

 

「…………気にしてるのか?」

 

俺はそう問いかける。

 

「……うん、少しね」

 

カイルがそう呟く。

 

「なら聞くが、お前はデジモン達と常に一緒に居る事を間違いだと思っているか?」

 

「そんなことはないよ。一緒に暮らすようになって、今まで知らなかったアグモンの一面も知る事が出来たし、間違いだなんて思わない!」

 

その問いにはハッキリとそう返した。

 

「それなら顔を上げろ。自分が間違って無いと思うのなら、胸を張って歩け」

 

「………うん、そうだね!」

 

カイルは笑みを浮かべ、言われた通りに顔を上げて胸を張る。

俺はそれを見て口元に笑みを浮かべた。

すると、時間になったのか先生が現れ、先週の様に俺達をゲートのある場所まで案内する。

 

「それでは各チーム、自分のチームに合わせた難易度のゲートの前に集合してください」

 

そう言ってクラスメイト達がゲートの前に集まる。

見た所、一週間前とゲート毎の割り振りが変わっていないように思えた。

って事は、前回の実戦訓練では、ダンジョンをクリアできたチームは居ないって事か………

 

「おいおい、お前ら! 並ぶゲートを間違えてるぜ!」

 

「そうそう! お前らの並ぶ場所はあっちだぜ! ついに自分が並ぶ場所も分からなくなっちまったのか!?」

 

俺達が右から2番目のゲートの一番最後に並んだ時、前に居たクラスメイトが、バカにするようにそんな事を言って来た。

 

「いいや、ここで合ってるよ」

 

カイルがそう言い返す。

 

「は?」

 

クラスメイトは何言ってんだコイツと言いたげに声を漏らす。

 

「俺達は、最下級のダンジョンをクリアしたんだ。だから、並ぶ場所はここで合ってるよ」

 

カイルがそう言った瞬間、その言葉が聞こえたであろうクラスメイト達が、一斉に驚愕の表情でこちらを向いた。

 

「う、嘘を吐くな! お前達のデジモンは成長期じゃないか!? 一番低い難易度のダンジョンとは言え、成熟期デジモンが1匹も居ないお前達がクリアできるはず無いだろ!?」

 

カイルの言葉が信じられないのか、クラスメイトの1人がそう叫ぶ。

 

「………俺から言わせれば、あの程度の難易度に成熟期デジモンが必要な要素が見当たらないんだがな」

 

俺がそう零すと、そのクラスメイトがギロッとこちらを向く。

凄味が全くないので怖くもなんともないが。

 

「ちょっと戦い方を工夫するだけで、成長期が4体も居れば、あの程度の難易度なら普通にクリアできる」

 

遠回しに、成熟期デジモンが居ないとクリアできないお前らは大したことが無いとも言える。

 

「転入生………! お前、余り舐めてると痛い目見るぜ………!」

 

俺を睨み付けると、

 

「ゲコモン!」

 

そう叫ぶと、その男の後方から、カエルのような姿をしたデジモンが現れた。

 

「ゲコモンか…………」

 

両生類型の成熟期デジモンのゲコモン。

って言うか、その程度で成熟期デジモン嗾けて来ようとする沸点の低さは如何にかならんのか?

別に戦いになっても負ける要素は何一つないが………

正直、アニメのデジモンアドベンチャーのイメージからすると、大して強くないイメージなんだが。

と、その時、

 

「こらーーーーっ! 許可の無い生徒同士の私闘は禁じられていますよ!」

 

先生がプリプリと怒りながら叫んだ。

 

「でも先生! こいつ等が………!」

 

そいつは言い訳を述べようとするが、

 

「カイル君達がダンジョンをクリアして、出口用のゲートから出てきた所はこの私が直接確認しました! 誰が何と言おうと彼らがダンジョンをクリアしたのは事実です!」

 

「そ、そんな………!」

 

「立派なデジタルナイトになる為には、他者を蔑むのではなく、現実を受け止め、どのようにクリアしたのかを聞いて、その情報を元に自分の戦いに生かす事が大切です!」

 

なんか、アリア先生って愛子先生に似てるんだよな。

先生としての在り方が似ていると思う。

因みにアリア先生の見た目は、普通の大人の女性だ。

 

「クッ……!」

 

いちゃもんをつけてきたクラスメイトは悔しそうに舌打ちをすると、踵を返して俺達から離れた。

 

「まったく………」

 

アリア先生はやれやれと言いたげに息を吐くと、

 

「それでは訓練の開始です! ゲートに入場してください!」

 

全員にそう呼びかけた。

俺達は素直にその声に従い、順番を待ってゲートを潜る。

ゲートを潜る直前、俺は念の為に〝宝物庫〟からカードをポケットの中に出しておいた。

 

 

 

 

 

ゲートを潜ると、以前と同じように視界が光で埋め尽くされ、光が消えると別の場所に居た。

前回は石造りの迷宮のような場所だったが、今回は自然が溢れる広大なフィールドだった。

ご丁寧に太陽まである。

 

「ここが今回のダンジョンか…………」

 

事前に調べた情報では、このダンジョンに出現するデジモンは大半が成長期だが偶に下位クラスの成熟期が出現し、ボスとして並クラスの成熟期が出現するらしい。

既に俺達以前に入場したチームは移動したようで俺達の周りには居ない。

もしかしたら別の場所に出たのかもしれないが。

 

「さあ、行こう!」

 

「おー!」

 

チームのリーダー枠であるカイルが俺達に呼びかけ、アグモンが元気よく応え、俺達は頷く。

 

「初めてのダンジョンですから、少し不安ですね………」

 

「大丈夫! 僕がエミリアを護るよ!」

 

少し緊張気味のエミリアがそう零すと、アグモンが笑いながらそう言った。

 

「アグモン………」

 

その言葉に、エミリアも微笑んだ。

 

「僕だってエリスを護る!」

 

「ワームモン………ありがとう」

 

ワームモンがエミリアのアグモンに張り合うようにそう言うと、エリスはクスリと微笑む。

 

「当然、俺も大士を護る!」

 

彼らに触発されたのか、ドルモンまでそう言い出した。

 

「ああ。いつも通り頼りにしてるよ」

 

そんなデジモン達に俺は自然と笑顔になった。

デジモン達と一緒に居るようになったお陰か、カイル達のデジモン達との付き合い方に変化が表れ始めていた。

以前は主人と騎馬のような関係だったのだが、それよりも更に距離が近付き、対等に近い態度で接する様になっていた。

 

「この分なら、多分……………」

 

俺の経験からして進化する日も近い。

そう感じさせた。

 

 

 

 

森のフィールドを進んでいくと、

 

「ッ………! 来る!」

 

ドルモンが気付いたように叫んだ。

その直後、茂みがガサガサと揺れて3つの影が飛び出してきた。

その1つは、頭に青紫の花を咲かせた成長期の植物型デジモンの『アルラウモン』。

もう1つは、キノコのような姿をした成長期デジモンの『マッシュモン』。

そして、最後の1つは、成長期デジモンより大きく、人の子供と同じぐらいの大きさを持ち、食虫直物であるウツボカズラのような姿の植物型の成熟期デジモンの『ベジーモン』だ。

 

「出た! タイシ、あいつ等は!?」

 

カイルは俺に問いかける。

この1週間で、それなりにデジモンの知識を披露していた俺は、知恵袋のような存在となっていた。

 

「アルラウモン、マッシュモン、ベジーモンだな。アルラウモンとマッシュモンは成長期だが、ベジーモンは成熟期だ」

 

「成熟期っ…………!?」

 

「「ッ………!?」」

 

『成熟期』と言う言葉に、カイル達に動揺が走ったのが分かった。

 

「あ~、そこまで心配するな。ベジーモンは成熟期だが、成熟期の中じゃ弱い部類だ。成長期よりは強いが、成長期でも十分に勝機はある」

 

「………はい!」

 

俺の言葉に、エミリアが顔を引き締めて返事をした。

 

「タイシさんがそう言うなら、きっと大丈夫です! 行きますよ、アグモン!」

 

「わかった!」

 

アグモンも身構えて頷く。

 

「そうだね……俺達なら大丈夫さ!」

 

「おう! 俺達ならこんな奴らに負けはしないぜ!」

 

カイルとカイルのアグモンも気合を入れる。

 

「ん、ワームモン……」

 

「が、頑張るよ!」

 

エリスは静かに戦闘準備に入った。

ワームモンは緊張気味だが。

 

「よし! 相手は全員植物型だ。火の攻撃に弱いだろう。だから、アグモン2体でベジーモンの相手を頼む! ベジーモンの伸ばしてくる蔦に注意しろ! そいつに絡めとられると、成長期じゃ身動きが取れなくなる! ドルモンはアルラウモンを。ワームモンはマッシュモンだ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

俺の指示に、デジモン達は元気よく返事を返した。

 

「グゲゲッ!」

 

ベジーモンが、早速絡めとらんと蔦を伸ばしてくる。

俺のアドバイスもあってか、デジモン達は慌てずにその蔦を避けた。

 

「行くぞ!」

 

「うおおおっ!」

 

カイルとエミリアのアグモンがベジーモンに向かっていく。

 

「ダッシュメタル!」

 

ドルモンがアルラウモンに牽制攻撃を放ち、自分に意識を向けさせた。

 

「ポイズン・ス・マッシュ!」

 

マッシュモンがアグモン達にキノコ型爆弾を投げつけるが、

 

「ネバネバネット!」

 

ワームモンが吐き出した粘着性の糸に絡めとられ、不発に終わる。

 

「シルクスレッド!!」

 

続けてワームモンが針状の糸を吐き出し、マッシュモンを突き刺す。

マッシュモンは痛みに怯むが、ギロッとワームモンを睨み付けた。

 

「ネメシスアイビー!」

 

アルラウモンが両手の指のような蔦を伸ばしてくる。

その瞬間、

 

「ドルモン! 右に避けてカウンター!」

 

俺はそう指示を出す。

指示通りにドルモンは右にステップすると、

 

「メタルキャノン!!」

 

攻撃を外して隙だらけになったアルラウモンに、放った鉄球が直撃した。

アルラウモンは吹っ飛び、消滅する。

それを確認すると、俺はエリスとワームモンに向き直った。

そこには、粘着性の糸でぐるぐる巻きになり、身動きの取れなくなったマッシュモンが転がっていた。

 

「…………ぶい」

 

エリスは小さくVサインを作る。

 

「フッ………」

 

俺は笑みを浮かべてサムズアップで返した。

そして、

 

「「ベビーフレイム!!」」

 

2体のアグモンのベビーフレイムがベジーモンの蔦を焼き払う。

 

「ゲゲッ………!?」

 

ベジーモンは思わず狼狽え、

 

「おりゃぁぁぁぁっ!!」

 

エミリアのアグモンが体当たりを仕掛ける。

 

「グエッ……!?」

 

その攻撃でベジーモンは後ろに倒れ、

 

「ベビーバーナー!!」

 

「グゲェェェェェェェェェッ!?」

 

カイルのアグモンが放ったベビーバーナーにより炎に包まれ、ベジーモンは悲鳴を上げながら消滅した。

 

「やった……! 戦える………俺達でも、この難易度のダンジョンの敵と戦えるぞ!」

 

カイルは嬉しそうに握り拳を作る。

当初は不安だったが、戦いに勝利したことで自信が付いたのだろう。

エミリアやエリスも緊張が幾分か解れたように思える。

そのまま森のフィールドを進んでいくが、

 

「……………思ったよりも、ダンジョンのデジモンに遭遇しませんね」

 

エミリアがポツリと零す。

 

「あ、それ俺も思った。今までよりも高い難易度だから、もっと頻繁に戦闘が起こると思ってたんだけど………」

 

カイルが同意する。

2人の言う通り、暫く歩いているが散発的な戦闘が起こるだけで、ダンジョン探索にはさほど苦労していない。

その理由として、

 

「多分だが、この難易度のダンジョンには参加しているチームの数が一番多い。言い方は悪いが、俺達が進む為の道に居る敵を、他のチームが先に間引いてくれてるんだろ」

 

「………なるほど」

 

エリスが納得する。

 

「ま、お陰で俺達は消耗が少なく先に進めるからいいんだが」

 

「………いいのかな?」

 

俺の言葉にカイルが疑問形でそう言った。

 

「こういうダンジョン探索では、如何に消耗を少なくして先に進むかが重要だ。自分のチームの為に、他のチームを利用する事も立派な手段の1つだと思っている。もちろん、他のチームに自分のチームが利用されたとしても文句は言えないけどな」

 

俺達以外のチームが、他のチームを利用する考えを持つかどうかは定かじゃないが。

そのまましばらく進んでいくと、ドォンと爆発音が聞こえる。

 

「ッ!? 大士! この先で戦闘が行われてる!」

 

ドルモンが警戒しながらそう叫ぶ。

 

「……他のチームが戦ってる?」

 

エリスが確認する様にそう問う。

 

「多分な」

 

俺はそう答えると、

 

「一先ず様子見と行こう」

 

俺の言葉に皆は頷く。

茂みに身を隠しながら爆発音があった方へ近付くと、

 

「行け―――――っ!!」

 

「蹴散らせ!!」

 

「進め進めぇっ!!」

 

ゲコモン、アカトリモン、シマユニモンの3体が、2体のゴキモンと3体のドクネモンと戦っていた、

成熟期の3体は、ゴキモンが降らせるゴミの雨と、ドクネモンが吹き掛ける毒液をものともせずに突き進み、その力を以って粉砕する。

 

「はっはー! やったぞ!」

 

偉そうに笑いながら叫んだ奴は、先程俺達に絡んできた奴だ。

 

「……何て言うか…………酷い戦い方だね…………」

 

カイルが顔を引きつらせながら呟く。

 

「もしかして、私達もあんな感じだったんですか?」

 

エミリアが俺に顔を向けてそう聞いてきた。

 

「規模は違うが方向性は一緒だな」

 

俺は正直にそう言う。

 

「………不覚」

 

エリスも自分を恥じているように俯く。

 

「あんなことを繰り返してちゃ確実にダメージが蓄積する…………デジモン達にも疲労の色が見えてきてるし、あれじゃあ最後まで持たない……!」

 

カイルがデジモン達の状態を見て、そう分析した。

 

「俺も同じ意見だ。よしんばボスに辿り着けたとしても、ほぼ確実に体力の限界が来て負ける」

 

俺もそう付け加えた。

戦闘が終わったので隠れている事を止めて姿を見せる。

すると、そいつが俺達に気付き、

 

「何だ? まだいたのか落ちこぼれ共」

 

「「「「………………………」」」」

 

その言葉にどう反応していいか困ったので黙っていると、

 

「ふっ、どうやら僕達の戦いを見て言葉を失ったようだな」

 

勝手にそう解釈した。

いや、確かにお前達の戦い方を見て言葉を失ったのは確かだが。

すると、

 

「あの………少しはデジモン達を休ませないと………そっちのデジモン達が辛そうですよ?」

 

エミリアがそう進言した。

 

「ハハッ! 何を言うかと思えば………僕達のデジモンは成熟期だぞ!? お前達の軟弱なデジモンとは違う!」

 

いや、成熟期が成長期より強い事は認めるが、それでもノーダメージとは行かないから、戦闘を繰り返せばダメージは蓄積するという考えには至らないんだろうか?

エミリアの言葉が癪に障ったのか、彼らは踵を返して先に進んでいってしまった。

彼らのデジモン達も、疲労した身体に鞭打って歩き出す。

 

「………………」

 

その後姿を、エミリアは心配そうに見つめていた。

 

 

 

その後は、特に危機に陥る事も無く、無難にダンジョンを進んでいく。

やはり、前に居るチームが敵を倒しているようで、戦闘回数は少ない。

そんな中、デジモン達に限界が来たのか、撤退していくチームとすれ違った。

そのデジモン達はみんなボロボロで、撤退を選ぶのも仕方ないほどだ。

逆にほぼ無傷の俺達には、驚きと侮蔑の視線が向けられた。

驚きは無傷でここまで来たことに。

侮蔑は、おそらくだがコバンザメの様に他のチームにくっ付いてここまで来たと思っているのだろう。

あながち間違いではないが。

だが、先程のゲコモンの主人達のチームとはすれ違っておらず、まだ探索を続けているらしい。

 

「マイク君達、大丈夫でしょうか?」

 

エミリアがポツリと零した。

 

「マイクって?」

 

聞き覚えの無い名に俺が聞き返すと、

 

「えっ? マイク君はさっきのゲコモンを連れてた男の子の事ですよ! タイシさん、もう一週間も経つんですから、クラスメイトの事ぐらい把握していないと………!」

 

エミリアは驚いたようにそう言う。

さっきの奴はマイクって名前だったのか。

一応頭に入れつつダンジョンを進んでいくと、コロシアムのような建物の遺跡が目に入った。

 

「あれは…………?」

 

「………ボス?」

 

見るからに何かありそうな雰囲気だ。

その時、ドカァァンとコロシアムの中から爆発音が響いた。

 

「ッ!? 行こう!」

 

ただ事ではないと感じたカイルがアグモンと一緒に駆けだし、俺達も後に続く。

コロシアムの入り口から中へ駆け込み、一直線に続く石造りの廊下を駆ける。

薄暗い廊下の先に、出口であろう光が見えた。

俺達は一直線にそこを駆け抜け、

 

「ゲコォォォッ!?」

 

「ゲコモン!?」

 

炎に包まれて倒れるゲコモンを目撃した。

見れば、同じチームメンバーであるアカトリモンとシマユニモンも傷付き倒れている。

そして、彼らが相対していたボスデジモンは、

 

「グォオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

漆黒の身体に緑色の背びれ。

身体の各部に赤いラインが入り、発達した強靭な両腕を持つ恐竜型の成熟期デジモン。

 

「ダークティラノモン!」

 

俺はその名を叫ぶ。

その声でマイク達が俺達に気付いたのかこちらを振り向く。

 

「なっ!? お前達は!?」

 

俺達がここに居る事が信じられないのか、驚愕の表情をする。

すると、

 

「何をしているんだゲコモン! 立て! 立つんだ!」

 

倒れているゲコモンに向かってそう叫ぶ。

だが、そのゲコモンはどう見ても戦える状態ではない。

 

「何言ってるんだマイク!? そのゲコモンはもう戦えない! 撤退するんだ!」

 

カイルがそう呼びかけた。

 

「黙れ! 落ちこぼれが口を出すな!」

 

マイクはそう叫んでカイルの呼びかけに応えようとはしない。

 

「立て! 立って戦え!!」

 

マイクは尚も叫ぶ。

そんなマイクの声に応えようと、ボロボロのゲコモンが必死に身を起こそうとする。

だが、それが逆にダークティラノモンの敵意を向けさせたのか、ドシンと一歩を踏み出し、ゲコモンを見下ろす。

止めを刺すつもりなのだろう。

ゲコモンは最早満身創痍。

ダークティラノモンが大きく息を吸い込む仕草をする。

ファイヤーブラストを放つつもりなのだろう。

ダークティラノモンの必殺技を受ければ死は免れない。

だがその時、

 

「駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

「ベビーフレイム!!」

 

エミリアが叫び、アグモンが火球を放つ。

アグモンが放った火球が、ダークティラノモンの目の近くに当たり、ダークティラノモンが怯む。

その影響で放たれたファイヤーブラストの狙いが狂ってゲコモンの左後方、マイクの右前方に着弾。

爆発を起こした。

 

「ひぃいいいいっ!?」

 

爆風に煽られたマイクは情けない声を上げる。

すると、その前にエミリアとアグモンが駆け込み、

 

「早く逃げて!」

 

そう呼びかけた。

 

「えっ…………?」

 

マイクは呆けた声を漏らす。

 

「早く!」

 

「う、うわぁあああああっ!」

 

マイクは情けない声を上げながら逃げ出す。

っておい。

ゲコモンを置いていくな!

俺がそう思っていると、シマユニモンが駆けて来てゲコモンを口で拾い、背中に乗せると駆け出していく。

他のメンバーも撤退を始めたようだ。

 

「……………さて」

 

俺はダークティラノモンに向き直った。

 

「このレベルになると、普通の成長期だと厳しい相手だな」

 

俺はそう呟く。

 

「ご、ごめんなさい………」

 

エミリアが状況を把握したのか、申し訳なさそうに謝って来る。

 

「謝る必要なんかないさ!」

 

カイルが明るい声で言った。

 

「エミリア達が行かなかったら、俺達が行ってただろうしね!」

 

そう言って笑みを浮かべる。

 

「………タイシ、指示をお願い」

 

エリスがそう呟く。

その言葉からは、俺に対する信頼が伺える。

俺は軽く息を吐き、

 

「ま、やるだけやってみるさ」

 

保険もある事だし、カイル達が強大な敵と戦う経験を積むのも悪い事では無いだろう。

 

「全員は散開してダークティラノモンを囲うように移動しろ! 一塊になると狙い撃ちされる! それぞれがダークティラノモンの気を引くように攻撃するんだ! 狙いを1つに絞らせるな!」

 

俺は思いついた作戦を口にする。

 

「「「「「「「了解!」」」」」」」

 

「後ろに回り込んでも油断するな! 尻尾の一撃は強烈だ!」

 

序に注意を飛ばしつつ、それぞれが四方に陣取る。

ダークティラノモンの右側面がカイルとアグモン。

左側面がエリスとワームモン。

後方にエミリアとアグモン。

そして正面に俺とドルモン。

ダークティラノモンの真正面は一番危険なため、俺とドルモンが担当するべきだと判断した。

 

「攻撃開始だ!」

 

俺が叫ぶと、

 

「メタルキャノン!!」

 

ドルモンが鉄球を放つ。

それは顔に当たるが、少し顔を顰めただけで余りダメージは受けていない。

 

「グォオオオオッ!!」

 

ダークティラノモンはドルモンを睨み付け、ドルモンに突進しようとした時、

 

「ベビーフレイム!!」

 

別方向から飛んできた火球の不意打ちを受け、ダークティラノモンは怯む。

ダークティラノモンがそちらを睨み付けると、カイルとアグモンの姿がある。

 

「グガァァァッ!!」

 

ダークティラノモンがカイルとアグモンに向き直ろうとした時、

 

「ベビーフレイム!!」

 

「シルクスレッド!!」

 

後方と反対側面から、エミリアのアグモンの火球と、エリスのワームモンの針状の糸が飛んでくる。

ダークティラノモンにとって、ダメージこそ少ないが、鬱陶しい事この上ないだろう。

ダークティラノモンは視線だけでギロッとアグモンとワームモンを睨む。

その目の動きに悪寒を感じた俺は、

 

「下がれっ!!」

 

瞬間的に叫んだ。

次の瞬間、ダークティラノモンは不意にその太い尾を振った。

 

「「うわぁっ!?」」

 

直撃こそしなかったものの、尾を振った時に生じた風圧により、アグモンとワームモンは煽られて転倒する。

 

「アグモン!」

 

「ワームモン!」

 

エミリアとエリスが叫ぶ。

 

「くっ! ドルモン!!」

 

「メタルキャノン!!」

 

ドルモンがこちらに気を引かせる為に鉄球を放つ。

 

「ベビーバーナー!!」

 

カイルのアグモンも熱線を放つ。

だが、その鉄球と熱線も、ダークティラノモンが振るった右腕により弾き飛ばされ、掻き消された。

 

「そんな…………!」

 

カイルが苦い表情をする。

 

「このチームの中で、一番攻撃力のあるカイルのアグモンのベビーバーナーも、同じ火属性のダークティラノモンには効果が薄いか………」

 

当然の話だが、火属性の必殺技を持つデジモンは、同じ火属性には耐性を持つものが多い。

同じ成熟期の攻撃なら、その耐性も突破できるだろうが、成長期のアグモンの攻撃では怯ませることが精々だ。

ドルモンのメタルキャノンも、発達した筋肉を持つその身体で衝撃を吸収され、有効なダメージを与えられない。

攻撃を繰り返してはいるが、ダークティラノモンの体力は3分の1も削れてないだろう。

 

「………………流石に、成熟期のボスの相手は早かったか………」

 

今の一連の戦闘の流れを見て、ダークティラノモンへのダメージが少ない事は明白。

下位の成熟期ならともかく、中位以上の成熟期が相手では分が悪い。

 

「………………ここまでだな」

 

俺は、ドルモンを進化させる為にポケットに忍ばせておいたカードに手を伸ばす。

と、その時、ダークティラノモンがファイヤーブラストを放ち、逃げ遅れたエミリアのアグモンが爆風に呑み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

【Side エミリア】

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

アグモンが、ダークティラノモンが放ったファイヤーブラストの爆風に呑み込まれ、その身を焼かれながら吹き飛ばされる。

 

「アグモン!?」

 

その光景に、私は思わずアグモンに向かって駆け出した。

傷付き、倒れたアグモンを私はは抱き起こす。

 

「アグモン! アグモン!!」

 

その身体を揺すりながら、アグモンの名を呼ぶ。

 

「ううっ………エ、エミリア………」

 

アグモンは苦しそうな表情だけど、私の名を呼んでくれたことに、幾分かホッとする。

でも、だから私は気付かなかった。

 

――ズズンッ!

 

大きな足音を立てて、ダークティラノモンが目前に迫っている事に。

 

「―――――ッ!?」

 

私は声を失う。

そして、強靭な右腕が振り上げられる。

 

「あ……………」

 

私はその光景を、現実感無く見つめていた。

そして、その右腕が振り下ろされる――――

その時、

 

「メタルキャノン!!」

 

「う………ぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

そんな声と共に、私は衝撃を受けて横倒しに押し倒される。

だけど、そのお陰でダークティラノモンの腕の直撃を受けずに済んだ。

 

「…………ッ!?」

 

漸く我に返った私は、誰かが私を押し倒して、助けてくれたことに気付いた。

その誰かとは、

 

「タイシさん!?」

 

「ったく、無茶をする………」

 

タイシさんは呆れた様に。

でも、何処か嬉しそうにそんな事を言った。

 

「自分の身を危険に晒してまでパートナーの為に行動する。誰にでも出来る事じゃない。エミリア、君は『勇気』があるんだな」

 

タイシさんの言葉が心に染みる。

だけど、

 

「ッ! タイシさん! 血が!?」

 

タイシさんの額からは一筋の血が流れていた。

 

「ん? ああ、心配するな。瓦礫が当たって切っただけだろう………」

 

タイシさんは何でもないように言う。

だけど、気が気でない私は思わず回復魔法を行使しようとする。

だけど、ここはデジタルダンジョン。

何故か魔法は使えない。

 

「ッ………!」

 

私は悔しさで思わず拳を握りしめる。

 

「グォオオオオオオオオオオッ!!」

 

ダークティラノモンが咆哮を上げる。

仕留めそこなった所為か、何処か不機嫌そうに聞こえた。

すると、タイシさんが立ち上がってダークティラノモンに向き直る。

 

「エミリアはアグモンを連れて下がれ。あいつの相手は俺達に任せろ」

 

タイシさんはそう言う。

そう言ってる間も、カイル君やエリスさん達はダークティラノモンに攻撃を加えている。

 

「…………また、私は足手纏いなの………?」

 

タイシさんが来る前から、私はカイル君やエリスさんの足を引っ張っていた。

元々争い事が苦手で臆病だった私は、得意だった回復魔法の使い手として、皆を癒す治癒師を目指していた。

けど、15歳になった時に行われる、デジタルナイトの適性調査で、デジタルナイトの資質がある事が分かり、同じ村出身のカイル君と一緒にこのデジタルナイト養成学院に入ることになった。

そこでアグモンと出会った私は、アグモンのデジタルナイト候補生として今まで学んできた。

けど、その内容は芳しくなく、他の皆のデジモンが成熟期に進化していく中、私達のデジモンだけが成熟期に進化する事無く、成長期のままで、私達は落ちこぼれと評された。

そんな時、突然編入してきたのがタイシさんだ。

タイシさんは、計算はとても得意なのに、歴史や常識がからっきしで、とても世間知らず。

そんなタイシさんを見て、もしかしたら訳ありの貴族様なのかなとも考えていた。

そして何より、タイシさんはデジモンとデジタルナイトの常識を粉々に打ち砕いた。

デジモンは人間の僕。

そう教わって来たのに、タイシさんはドルモンと対等に。

まるで友達の様に接していた。

そして、それは戦闘の面でも発揮された。

デジタルナイトはデジモンを強く育て、敵を倒すものだと言われていた。

だけど、タイシさんは戦闘中にもドルモンに事細かく指示を出し、デジモンを戦わせるのではなく、デジモンと一緒に戦っていた。

私はそれを見て、いいな、と感じた。

私は今まで、デジタルナイトの在り方に疑問を感じていた。

何故か分からないけど、何か違うと思っていた。

だけど、タイシさんとドルモンの在り方を見て、私はこっちの方がいいと思った。

だから私はタイシさんに倣って、アグモンとの付き合い方を変えた。

アグモンと対等に。

友達の様に。

そう思うたびに、アグモンとの距離が縮まっていくようで、私は嬉しくなった。

そして、さっきアグモンが傷付き倒れた時、私は身体が勝手に動いて、気付いた時には飛び出していた。

そんな私を、タイシさんは『勇気』があると言ってくれた。

臆病と思っていた自分を、『勇気』があると…………

私は、アグモンの手を握りしめる。

私に『勇気』があるというのなら、それはタイシさんと、そしてアグモンのお陰。

 

「アグモン………!」

 

私がアグモンの名を呟くと、アグモンの手に力が入った。

 

「…………エミリア………」

 

アグモンがゆっくりと目を開ける。

 

「エミリア………僕、まだ戦えるよ…………」

 

「アグモン………!」

 

「わかるよ………エミリア、皆と一緒に戦いたいって…………」

 

アグモンは私の気持ちが分かっているようにそう言う。

でも、アグモンにこれ以上無理は…………

 

「エミリアが望むなら、僕は戦う………エミリアが居れば、僕はきっと負けない………!」

 

アグモンは身体を起こして立ち上がる。

 

「アグモン………!!」

 

「だから行こう……エミリア……! 一緒に……!」

 

アグモンのその言葉に、私は握ったアグモンの手に力を込める。

 

「………うん! そうだね……! 行こう! 一緒に!」

 

私達は堅く手を握り合う。

その時、握り合っていた私の手とアグモンの手の隙間から、オレンジ色の光が溢れてきた。

 

「この光は…………?」

 

「とってもあったかいよ………」

 

私とアグモンが声を漏らす。

それと同時に、何か硬いものを握った感触があった。

私はいつの間にか自分の手に握られていたものを見る。

それは、拳ほどの大きさの、丸みを帯びた八角形の形をした不思議な機器。

薄い水色のそれは、中心の四角い画面からオレンジ色の光を放っている。

 

「エミリア!?」

 

「この光は………!?」

 

カイル君とエリスさんが驚いたように振り向き、

 

「あれは………デジヴァイス!?」

 

同じく振り向いたタイシさんが叫ぶ。

するとその画面に太陽のような模様が浮かび上がった。

それと同時に、それが強い光を放つ。

その光に共鳴する様に、アグモンも光を放つ。

 

「アグモン!?」

 

私は思わず叫ぶ。

でも、

 

「力が………漲って来る………!」

 

アグモンが目を瞑り、再び見開く。

その目はいつもの緑色の瞳ではなく、力強さを感じさせる紅に染まっていた。

 

「グォオオオオオオオオオオッ!!」

 

その時、ダークティラノモンが何かを感じたのか、戦っていた皆を無視し、一目散に私達に向かって突進してくる。

 

「エミリア!」

 

「アグモン……!」

 

カイル君とエリスさんが声を上げる。

だけど、

 

「大丈夫だ。あれは………!」

 

タイシさんだけは、何が起きるのか確信し、私達に任せてくれる。

そして、

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

光り輝くアグモンが渾身の咆哮を上げると、それに伴ってアグモンの身体が巨大化する。

その際に突っ込んできたダークティラノモンに頭突きを食らわせて後退させる。

ダークティラノモンに負けない体躯となったアグモンの各部に青いラインが刻まれていき、鼻先と両側頭部から計3本の角が生える。

 

「アグモン進化ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

ダークティラノモンは、尚も腕を突き出すが、巨大化したアグモンはその腕を掴み、完全に受け止める。

ううん、もうアグモンじゃない。

硬質化した茶色い頭部にある特徴的な3本の角。

オレンジ色の表皮の各部に刻まれた青いラインをもつ恐竜型のデジモン。

それは――――――

 

「グレイモン!!!」

 

その名を名乗るグレイモン。

 

「アグモンが………進化した…………?」

 

私は呆けた様にそう零す。

次の瞬間、グレイモンは身体を捻って強烈な尾撃を繰り出し、ダークティラノモンを吹き飛ばした。

 

「ッ!? 凄い!」

 

カイル君が驚きの声を上げる。

 

「グレイモン………とても珍しいデジモン………」

 

エリスさんが呟く。

 

「珍しいの?」

 

タイシさんが軽く驚きながらエリスさんに聞き返した。

 

「グレイモンを育てたデジタルナイトは過去を顧みても非常に数が少ない。成熟期の中でもトップクラスの力を持つと言われている。ある意味完全体に進化するより珍しい」

 

「そうなのか? 俺の所じゃアグモンの進化先と言えば、グレイモンが最初に出てくるぐらいなんだが………」

 

タイシさん達の話を他所に、私はグレイモンを見上げる。

 

「グレイモン…………」

 

私がその名を呟くと、グレイモンの瞳が私の方を向き、

 

「………エミリア」

 

私の名を呼んでくれた。

そこで私は確信した。

姿形は変わっても、このグレイモンはあのアグモンだと。

今も変わらずに、私の友達なんだと。

私は思わず笑みを浮かべる。

 

「グゥウウウウッ………!」

 

その時、先程吹き飛ばしたダークティラノモンが立ち上がり、威嚇する様に唸り声を上げた。

グレイモンが一歩を踏み出し、ダークティラノモンと対峙する。

グレイモンがギラリとダークティラノモンを睨み付けると、一気に駆け出した。

その巨体とは裏腹に、力強く、かなりの速度で地を駆ける。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

グレイモンは鼻先の角を突き上げるように体当たりを仕掛ける。

ダークティラノモンは受け止めようとしたけど、それに耐えきれずに後ろに大きくバランスを崩す。

でも、ダークティラノモンはそこから無理矢理身体を捻って尾撃を繰り出してきた。

 

「グレイモン!!」

 

私が叫ぶと、手に持っていた機器が輝き、私の思いが伝わった様にグレイモンがその尾撃を掴み取った。

 

「グォッ!?」

 

ダークティラノモンは意外そうに声を上げると、

 

「うぉりゃぁああああああああああっ!!」

 

グレイモンがダークティラノモンの尾を引っ張り、勢いよく投げ飛ばした。

飛ばされたダークティラノモンは壁に激突して、その壁を大きく崩す。

砂煙に包まれる中、ダークティラノモンはそれでも起き上がり、口の間から炎を零れさせる。

先程の炎を吐く攻撃をするつもりなのだと私は思った。

炎に包まれ、傷付き倒れたアグモンの姿が思い浮かぶ。

 

「…………………っ、だけど!!」

 

私は立ち向かう事を選ぶ!

その思いに応えるように、手に持つ機器が強い輝きを放つ。

それに伴い、グレイモンも淡いオレンジの光に包まれた。

そして、その口を大きく開けると、激しい炎がその口に溜め込まれる。

その時、ダークティラノモン口を開け、

 

「ファイヤーブラスト!!」

 

炎を勢い良く吐き出した。

焼き尽くさんと迫るその炎。

それに対し、

 

「グレイモン!!」

 

私は信頼するパートナーの名を叫ぶ。

そして、

 

「メガ………フレイムッ!!!」

 

圧縮された豪火球が放たれた。

その豪火球は、ダークティラノモンの炎を物ともせずに押し返していく。

 

「!?」

 

ダークティラノモンがその光景に目を見開き、

 

―――ドゴォオオオオオオオオオン!!

 

大爆発と共に消えていった。

その光景を見届けると、私はグレイモンを見上げる。

 

「グレイモン……」

 

「エミリア……」

 

グレイモンも私を見下ろす。

私達はやっと、タイシさんとドルモンの様に本当のパートナーに慣れた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

「カイル君達のチームがダンジョンのボスと戦ってる!?」

 

ダンジョンの外で、教師のアリアがマイク達から事情を聞いていた。

必死にダンジョンから脱出したマイク達が、アリアに何があったのかを説明したのだ。

 

「そんな………成長期のままこの難易度のボスに挑むなんて無謀が過ぎます!」

 

「皆はここで待機を! 私が救出に向かいます! キウイモン!」

 

アリアが自分のデジモンであるキウイモンを呼ぶ。

そしていざダンジョンの入り口に飛び込もうとした時、

 

「えっ!?」

 

その入り口の横に、新しいゲートが開かれた。

ダンジョンをクリアした時に出る出口専用のゲートだ。

そして、そのゲートから現れる人影。

 

「あ……ああ………!」

 

アリアが涙で震える声を漏らす。

 

「カイル君! エリスさん! エミリアさん! タイシ君!」

 

生徒の名を呼ぶアリア。

 

「よかった……! 無事だったんですね………!」

 

泣きながら生徒の無事を喜ぶ。

 

「でも………どうやって………?」

 

アリアが疑問を口にしようとした時、ドルモン、ワームモン、カイルのアグモンに続いて、巨大なシルエットがゲートから現れようとしていた。

 

「こ、これは…………!?」

 

オレンジ色の体色にブルーのライン。

硬質化した頭部と3本の角。

恐竜型の成熟期デジモンである、グレイモンがその姿を現す。

 

「このデジモンはまさか………グレイモン!?」

 

教師であるアリアはその知識からグレイモンの名を導き出す。

 

「はい! 私のアグモンが進化しました!」

 

エミリアがハッキリとそう言う。

その言葉で、その場が驚愕の叫びに包まれるのだった。

 

 

 

 

 

 







オリジナル異世界編第5話です。
代休が取れたので投稿しました。
はい、異世界編の初めての進化はヒロインその1のエミリアのアグモンでした。
大士の活躍を期待している人もいると思いますが、ドルモンの進化もカードスラッシュも暫く後です。
因みにエミリアのデジヴァイスはデジモンアドベンチャー:のデジヴァイスって事で。
初代でも良かったんですけど、あっちは紋章やら何やらが必要なんで、こっちの方が手っ取り早いと思ったから(爆)
因みにデジヴァイスがあってもグレイモンからアグモンには戻りませんので悪しからず。
あと、クラウディアの名前は問題無さそうなのでこのまま行きます。
では、次も頑張ります。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。