ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第15話 心を1つに………! 無敵合体、パイルドラモン!!

 

 

 

 

 

アリスとエリスが倒れた後、エクスブイモンとスティングモンの力を借りて、2人を保健室に連れて来てベッドに寝かせる。

それから邪魔にならないように、2体にはD-3の中に入って貰った。

それから暫くして、先生経由で伝わったのか、エミリアやクラウディア、カイル、リティナ王女達が駆け込んできた。

 

「エリスさん! アリスさん!」

 

エミリアが開口一番にそう叫ぶ。

 

「2人は大丈夫なのか………?」

 

「ああ………多分大丈夫だ。暫くすれば目を覚ますと思う」

 

クラウディアが問いかけてきたので、ベッドに寝かされている2人を見ながら俺はそう言う。

 

「………一体何があったんだ?」

 

カイルが疑問を口にする。

 

「まあ、何が起こったのかについては大体予想出来てるが…………」

 

と、その時、

 

「うっ…………」

 

ベッドに横になっていたアリスが呻き声を漏らし、意識を取り戻した。

 

「んっ…………」

 

続けてエリスも意識を取り戻す。

 

「エリスさん……! アリスさん……! 良かった………!」

 

エミリアがホッとした表情になる。

 

「大丈夫か?」

 

俺がそう声を掛けると、

 

「ううっ………まだ頭がガンガンするわ…………」

 

アリスが手で頭を押さえながら呟いた。

 

「頭痛い………」

 

エリスも顔を顰めている。

 

「2人に、一体何が起こったのですか?」

 

リティナ王女が疑問を口にしたので、

 

「………皆は、ファイル伯爵家の秘術については知っているのか?」

 

俺は一応そう確認を取る。

 

「ええ、ファイル伯爵家の秘術自体は貴族の間では有名な話です。魔法の名門ですからね」

 

リティナ王女がそう答え、

 

「その話が何の…………まさか……!?」

 

クラウディアが気付いたように声を漏らす。

 

「ああ。2人はその秘術を行使したんだ」

 

「あ、相手は誰だ!? いや、それ以前に、ファイル伯爵家の秘術を行使して気を失うなど聞いた事が…………多少の頭痛はあるらしいが…………」

 

「それは得る魔法知識の量に関係するんじゃないか? 余りにも膨大な魔法知識を一気に得た事で脳の処理能力を超えてしまい、一時的に意識を失ったっていうのが俺の見解。あ、因みにその秘術を行使した相手は俺な」

 

「はっ!? いや、待て! それはお前が2人と口付け………ではなく! お前は魔力を持っていない筈だろう!? 何故そのお前に秘術を使って2人が気を失うことになる!?」

 

「まあ、確かに俺は魔力を持っていないし、一切魔法は使えないんだが……………習得していた魔法はあるんだよ」

 

「魔法を使えないのに魔法を習得してるってどういう事?」

 

カイルが疑問を零す。

 

「ああ、それは…………」

 

俺が説明しようとしたことろで、

 

「…………〝重力魔法〟…………」

 

アリスが呟いた。

 

「〝再生魔法〟に………〝魂魄魔法〟………」

 

「それから、〝昇華魔法〟と…………〝変成魔法〟…………」

 

アリスに続いてエリスもそう口にする。

 

「何よこれ…………どれも規格外の魔法ばかりじゃない…………!?」

 

魔法知識を得た事で、その内容も理解しているのか、アリスとエリスは驚愕の表情を隠し切れない。

 

「………やっぱりか」

 

俺は2人の言葉で自分の予想が合っていた事を確信した。

すると、エリスが俺の方を向き、

 

「どうしてタイシは、魔力が無いのにこんな凄い魔法を習得してる?」

 

そう問いかけてきた。

 

「…………俺がこの世界に召喚される前に、別の異世界に召喚された事はもう話したと思うが、その世界には『大迷宮』と呼ばれる場所が7つある」

 

「大迷宮………ですか?」

 

「ああ。狂った神に反旗を翻した『反逆者』………本人達は『解放者』と呼んでいたが、その解放者達が作り出した試練だ」

 

「『試練』………」

 

「その解放者達の試練である大迷宮をクリアすると、その解放者達が遺した魔法………〝神代魔法〟を与えられるんだ」

 

「〝神代魔法〟………聞くからに凄そうな名前ですね………!」

 

「なら、タイシはその大迷宮を………」

 

「ああ、仲間達と一緒にクリアした。まあ、俺の攻略が認められたのは5つだけだったがな」

 

「5つだけでも十分すぎるわよ……………こんな魔法1つだけでも、ファイル家に限らず喉から手が出るぐらい欲しがるものだわ…………」

 

漸く頭痛が収まって来たのか、アリスは顔を上げる。

 

「はあ………ファイル家と縁を切る為に秘術を使ったのに、まさかこんな魔法を手に入れちゃうなんて………」

 

「あ~、なんかすまん」

 

「別にアンタの所為じゃないわよ」

 

「ちょっと待ってください! 今、家と縁を切るって………?」

 

アリスの言葉に、エミリアが思わず口を出す。

 

「秘術が使えるのは1回だけなの。だから私もエリスも、お父様の目の前で魔力ゼロのタイシに秘術を使ってやったわ。そうなれば私にもエリスにも利用価値は無くなる。お父様からは、その場で勘当を言い渡されたわ」

 

「そんな…………」

 

エミリアは悲しそうな声を漏らすが、

 

「別にそんな顔しなくても良いわよ。さっきも言った通り、タイシに秘術を使ったのは、家との縁を切る為だし」

 

「それに、私にはアリスとスティングモン達がいるから1人じゃない」

 

エリスの言葉にアリスは微笑み、

 

「私もエリスとエクスブイモン達が居れば寂しくないわ」

 

そう言った。

2人の間の憂いは完全に無くなったようだ。

それはともかく、

 

「………………所で、お前達はこれからどうするつもりだ?」

 

「………如何するって?」

 

俺の言葉にアリスが聞き返す。

 

「いや、家から勘当されたって事は、この学院にも居られないだろ?」

 

「「……………あ」」

 

2人は、今初めて気付いたと言わんばかりに声を漏らした。

 

「あ~………そう言えばそうだったわね…………」

 

アリスは困った様に頭を掻く。

 

「盲点だった………」

 

エリスも困った表情になる。

 

「そうね………………やっぱり冒険者になって生計を立てるしかないかしら?」

 

「…………それが妥当」

 

アリスが今思いついたように口にし、エリスも同意する。

俺は行き当たりばったりな2人に溜息を吐き、クラウディアに向き直ると、

 

「クラウディア。フォルダ公爵家で2人を引き取れないか?」

 

そう問いかける。

 

「私の家でか?」

 

「ああ。出来れば平民クラスでもいいから、今まで通り2人を学院に通わせるようにしてほしい」

 

「えっ?」

 

「タイシ……?」

 

アリスとエリスが驚いた声を漏らす。

 

「ふむ………私としても友人であるアリスやその妹のエリスを放逐するのはいささか気が引けるが………」

 

「公爵家にもメリットはある。それは2人の持つ〝神代魔法〟だ。この世界の魔法をすべて見たわけじゃないが………〝神代魔法〟を5つ使える2人はこの世界最強の魔法使いと言っても過言じゃないだろう。その2人を傘下に入れられるのは、公爵家にとっても悪い話じゃない筈だ」

 

俺は公爵家のメリットを挙げる。

 

「ふっ…………」

 

すると、クラウディアは突然笑みを零した。

 

「何だ?」

 

俺が聞き返すと、

 

「いや………見ず知らずの人間など知った事では無い、と言っていた割には、随分過保護だなと思ってな………」

 

クラウディアは俺を見ながらそう言ってくる。

 

「………確かに『見ず知らずの人間』なら知った事じゃない………が、この場にいる人間に対しては、少なからず『仲間意識』を持ってる。少し位お節介を焼きたくなる程度には………な」

 

俺はそう答える。

 

「タイシ………!」

 

エリスが少し嬉しそうに俺の名を呟いた。

 

「2人の件については了解した。私からも父上に頼んでみよう」

 

「よろしく頼む」

 

俺はクラウディアに頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

それから一週間後。

 

「エリスの双子の姉のアリスよ。よろしくお願いするわ」

 

俺達と同じ平民クラスの教室で挨拶をする、平民クラス用の茶色い制服に身を包んだアリスの姿がそこにあった。

 

 

 

 

 

 

 

それから暫くは平穏な日々が続いた。

アリスも貴族から平民に転落した身なので、平民クラスに馴染めるか不安だったが、エリスを始めとして、エミリアやカイルが積極的に交流を持ち、元貴族と言う不安を払拭していた。

そうして、アリスが平民クラスに馴染み始めた頃。

俺、ドルモン、カイル、エミリア、アリス、エリスのメンバーで、クラウディアとリティナ王女と合流する為に廊下を歩いていた。

その時、俺達の前に1人の灰色の髪の男子が現れた。

その男子は白い制服を身に纏っており、貴族クラスである事が伺える。

 

「やあアリス嬢」

 

その男子は、気軽な口調で声を掛けてくる。

対して、声を掛けられたアリスは、

 

「……………グレイ………」

 

嫌な奴に会ったと言わんばかりに顔を顰めた。

 

「知り合いか?」

 

俺が聞くと、

 

「グレイ・デュナス・フォン・デスクトップ………デスクトップ伯爵家の次男よ。で? 何か用?」

 

アリスは関わりたくないという態度を隠さずに言う。

 

「つれないな? 婚約者相手に」

 

グレイと呼ばれた男子はそう言った。

 

「そうなのか?」

 

俺がアリスに向き直ると、

 

「正確には、何人かいた『婚約者候補』の1人よ。〝元〟だけどね」

 

アリスは何でもないようにそう言う。

それからグレイに向き直ると、

 

「私はもうファイル伯爵家とは縁を切ってるの。勘当も言い渡されたし、婚約者云々も全部白紙の筈よ。それに、ファイル家の秘術も使用済み。秘術は失われたも同然。今の私に利用価値なんて無いわよ」

 

利用価値が無い事を誇らしげに言うアリス。

しかし、グレイは不敵な笑みを笑みを浮かべ、

 

「そんな事は無い。君にも、そして君の妹のエリスにも利用価値はまだある」

 

「ッ………!? 如何いう意味よ……?」

 

アリスは僅かに動揺する。

 

「確かに君達は秘術を使ってしまった。しかも、その相手はそこにいる魔力ゼロの男と来た。君達自身の利用価値は失われてしまった事には違いない」

 

「ええ、その通りよ。だからあなたもさっさと………」

 

「確かに君達自身の利用価値は失われてしまった。だが、『君達の子供』なら話は別だ」

 

「ッ!!」

 

その言葉に、アリスは悔しそうな顔をした。

まるで、気付かれたくなったことに気付かれたという顔だ。

 

「ファイル家の秘術は、秘術を使った男と子を生す事で受け継がれる。つまり、君とエリスがその男と子を生せば秘術は失われる事無く受け継がれる。ファイル伯爵はその場の感情から君達を勘当してしまったようだが、少し考えればわかる事だ」

 

グレイは得意げにそう言う。

理屈は分かるが、こんな往来で男と子を生すとか言うなよ。

デリカシーに欠ける男だな。

 

「タイシと………子供………!」

 

エリスは恥ずかしいのか頬を赤らめて俯いてるし。

 

「ふ、ふん! それで!?」

 

アリスは顔を赤くしつつも叫びながら聞き返す。

すると、グレイは俺の方を向き、

 

「そこで提案だ。君、アリスとエリスと共に僕の傘下に入ってくれないかな? そして、2人と生した女児をデスクトップ家に嫁がせてもらいたい」

 

そんな提案を提示した。

 

「「「「なっ!?」」」」

 

エミリア、カイル、アリス、エリスが驚愕の声を漏らす。

 

「もちろん出来る限りの好待遇は約束するし、アリスもエリスも女としては上々だろう? 悪い話じゃないと思うんだけど?」

 

「それでお前はファイル家の秘術を手に入れた功績で次期当主へ成り上がる、か?」

 

「ッ………!? そうだね。そういう狙いがある事も否定はしないよ」

 

俺がそう返すと、グレイは一瞬虚を突かれたような表情になったが何とか取り繕う。

 

「それで、如何かな?」

 

「断る」

 

だから俺は即答してやった。

 

「ッ!?」

 

即答されるとは思っていなかったのか、グレイは面食らった表情になる。

 

「………ど、どうしてかな? アリスやエリスじゃ女として不満かい?」

 

「いいや。アリスもエリスも良い女だと思うし、惹かれる部分があるのは確かだ」

 

「「ッ!?」」

 

俺の言葉に、息を呑む声が聞こえた。

 

「じゃ、じゃあ何故だい?」

 

「アリスとエリスの意思を一切無視してる所だな。無理矢理モノにするっていうのは趣味じゃないし。俺は女性と関係を持つなら、互いの気持ちが通じ合った上の方がいい。それ以前に俺には恋人居るし」

 

「「「ッ!?」」」

 

その言葉に、

 

「あ、あんた恋人居たの!?」

 

アリスが驚愕の表情で問いかけてきた。

 

「……? ああ」

 

俺は頷く。

 

「そ、そういえば、以前恋人が居るってデル君が言ってましたね」

 

エミリアが動揺した声で呟く。

因みにデル君とは、エミリアが付けたデルフリンガーの愛称だ。

 

「忘れてた………どうしよう……!」

 

エリスも何か呟いている。

まあ俺みたいな男に恋人が居るとなれば、驚くのも当然か。

ただし、1人では無いが。

 

「そう言う訳で、俺に対してそう言う取引は無駄だ。そもそも、こっちの世界に骨を埋めるつもりなんて更々無いし」

 

「ッ……………だ、だが良いのかな? 僕に限らず、彼女達の利用価値に気付く者達は必ず出てくる。僕の様に穏便に事を済ませようとする貴族だけとは限らない筈だ」

 

「その時は、遠慮なく全員ぶっ飛ばすつもりだが?」

 

俺はそう言ってやる。

 

「この国の貴族達を敵に回すつもりか………!?」

 

「必要ならな。本音を言えば、そう言う面倒な事は御免被りたいところだが」

 

「ッ…………」

 

すると、

 

「アンタねぇ、タイシは国王陛下相手にも物怖じしなかったのよ? アンタ程度に下手に出るわけ無いじゃない」

 

アリスは呆れた様にグレイに言う。

 

「アリス………! そもそも君が勝手な真似をしなければこんな事にはならなかったんだ! 君がファイル伯爵の言う事を聞いていれば、いずれ僕が婿入りしてファイル伯爵の跡取りとなれたのに………!」

 

「それが本音か………」

 

要は出世街道を閉ざされた腹癒せだ。

 

「君には分からないだろうね! 嫡子では無い貴族の子の苦労など………」

 

「知るか」

 

そんな事興味も無い。

 

「お前の都合に俺達を巻き込むな。俺達はお前の出世の道具じゃない」

 

「き、貴様…………!」

 

グレイは先程までの余裕の態度が一変して、忌々しそうな表情で俺を睨み付け、

 

「貴様とアリス、エリスに決闘を申し込む! 僕が勝ったら僕の傘下に入れ!」

 

そう叫んだ。

 

「いや、普通に断るけど」

 

「何ッ!?」

 

「俺達に何のメリットも無いし」

 

俺はそう答える。

 

「き、貴様、貴族からの決闘の申し込みを断るというのか!? それでも男か!?」

 

「どうしてリスクだけを請け負って決闘をする理由がある?」

 

「ッ………! な、ならば貴様達が勝てば、僕は貴様達に一切関与しないことを誓おう」

 

「………それだけじゃ足らないな。お前だけではなく、お前の家全てを対象にしないと、お前だけを切り捨てて際限なく次が現れるから」

 

「ッ………………!?」

 

俺の言葉に、グレイは一瞬考え込む仕草をすると、

 

「………いいだろう。しかし、決闘の条件を此方に決めさせること。それが条件だ」

 

「その条件によって、こちらが参加不能になったり、全く攻撃できない状況を作り出す条件は無し。それと、決闘の条件をちゃんと書面に残してそっちの当主のサインを得ること」

 

「ッ………! 徹底しているな………」

 

「貴族にとって口約束なんて、無いにも等しいだろ?」

 

「くっ………いいだろう!」

 

グレイは悔しがる表情をしたが、その条件を飲んだ。

 

「なら、決闘を受けよう」

 

「日時は一週間後。場所は以前の決闘と同じ闘技場で行う」

 

グレイはそう言うと立ち去って行った。

 

「……………タイシ。どうして決闘を受けたの?」

 

エリスが疑問を零す。

 

「そうよ! あんな決闘突っぱねちゃえば良かったじゃない!」

 

アリスもそう捲し立てた。

 

「正直、突っぱねた所で何処かで強引な手段に出てくると思ったからな。誘拐とかな。だったら、話が通るうちに条件付け足しといたほうがいいと思っただけさ。どれだけ信用できるかは分からないけどな」

 

「………そういわれると……その通りかも………」

 

アリスも納得したように頷く。

 

「まあ、そうなった時は、俺のこの国に対する信用度がガタ落ちするだけだがな」

 

俺はそう言っておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

そして一週間後。

闘技場には、以前と同じように、多くの生徒達が観戦に来ていた。

その一角に、カイル、エミリア、クラウディア、リティナの姿もある。

 

「タイシさん達、大丈夫でしょうか………?」

 

エミリアが心配そうに闘技場内に居る大士とドルモン、アリスとエクスブイモン、エリスとスティングモンを見つめる。

 

「タイシ達なら心配ないとは思うが………グレイも殿下達との決闘は知っている筈だ。それでも決闘を挑んだという事は、何か勝算あっての事………一体どの様な決闘の条件を提示してくるか………」

 

クラウディアは慎重な意見を言う。

すると、闘技場内にグレイがムシャモンを連れて現れた。

 

「やあ、待たせたね」

 

グレイは余裕の態度でそう言った。

 

「僕が考えた決闘の条件はこれさ」

 

グレイが羊皮紙を差し出してくる。

そこには、決闘に勝った時と負けた時の条件。

そして、決闘のルールが掛かれていた。

そのルールは、

➀決闘は3対3のバトルロイヤルで行う

➁デジタルナイトからの攻撃は、魔法攻撃のみ可能

➂戦闘中に使える武器、道具は1つのみ可

というものだった。

 

「ほう。考えたな」

 

大士が声を漏らす。

 

「って、何落ち着いてんの!? 使える道具が1つって事はカードも使えないって事だし、デジタルナイトからの攻撃は魔法攻撃だけだから、あんたの直接攻撃も封じられたのよ!?」

 

アリスが慌てた様子を見せる。

 

「完全にタイシを封じ込めに来てる」

 

エリスも呟く。

大士が出した条件にギリギリ引っ掛からないようにしつつ、可能な限り大士の力を削ぐ条件だ。

 

「まあ、そこは相手が上手い事やったってだけだ。そこは俺の落ち度だな」

 

それでも大士は落ち着いた様子だ。

 

「ふん。観念して開き直ったか!」

 

グレイはそう叫ぶ。

 

「どう解釈するかはお好きなように。で? お前の他のメンバーは?」

 

すると、フッと不敵な笑みを浮かべ、

 

「見て驚くが良い! さあ来い! 『ロイヤルナイツ』!!」

 

「何ッ!?」

 

「「ッ!?」」

 

グレイが叫んだその言葉に、大士はこの世界に来て初めてとも言える驚愕の声を漏らし、アリスとエリスも息を呑む。

そして、闘技場の入り口から現れたのは―――

完全体のオオクワモンを連れた女性と、デスメラモンを連れた男性だった。

 

「…………………ん?」

 

大士は思わず首を傾げた。

だが、

 

「ロイヤルナイツ…………!」

 

「しかも2人…………!」

 

アリスとエリスは戦慄している様だ。

 

「………………なあ、つかぬ事を聞くが、『ロイヤルナイツ』って………?」

 

大士は2人に訊ねる。

 

「あんた何言って………って、あんたは知らなくて当然よね。『ロイヤルナイツ』っていうのは、この国の中心である13家がそれぞれ1人ずつ任命する、王国屈指のデジタルナイトの事よ。全員が漏れなく完全体まで進化させたデジタルナイトであり、名実ともに王国最強の騎士よ」

 

アリスはそう説明する。

すると、

 

「ロイヤルナイツ、『デュナス』。灼熱のバーン!!」

 

デスメラモンを連れた男性が、暑苦しそうな名乗りを上げる。

 

「すべては神デニティス様の思し召し。ロイヤルナイツ、『ジエス』。断絶のサリアです」

 

もう1人の女性は、礼儀正しく、だが、何処か怪し気に挨拶をする。

 

「デュナスにジエス………」

 

名乗りの一部にあった言葉に、大士は声を漏らす。

 

「任命された騎士は任命した家の姓の一部を称号として名乗れる」

 

エリスがそう言うと、

 

「デュナスはグレイとか言う奴の姓にあったな…………ジエスは………」

 

「ええ………察しの通り、サリアはファイル伯爵家が任命したロイヤルナイツよ」

 

大士の言葉をアリスが肯定した。

 

「そして…………」

 

アリスが更に続けようとした時、

 

「ごきげんよう、アリスお嬢様………」

 

サリアがアリスに恭しく挨拶をした。

 

「久し振り………と言うべきかしら? サリア………」

 

「知り合いか?」

 

アリスの反応に大士がそう漏らすと、

 

「サリアはアリスのデジタルナイトとしての師」

 

エリスが大士の疑問に答えるようにそう言った。

 

「1つ聞いて良いかしら? 学生の決闘にロイヤルナイツを出張らしてくるのはともかく、何故ファイル伯爵家のロイヤルナイツであるあなたが、グレイの仲間として出てくるのかしら?」

 

アリスが問いかける。

 

「ハハッ! そんなのは簡単な事さ。僕がファイル伯爵と交渉したんだよ。君達の間に出来た娘の1人をファイル伯爵家に差し出すとね!」

 

グレイが得意げに答えると、アリスは軽く頭を抱え、

 

「お父様が喜んで飛びつきそうな対価ね」

 

溜息を吐きながら呟いた。

 

「お喋りはここまでだ! 審判!」

 

グレイが審判を促す。

 

「両チーム! 準備を!」

 

審判が叫ぶ。

すると、

 

「それでどうするのよ? 使える武器や道具は1つって話だけど………」

 

アリスはチラリと相手を見る。

相手チームは予め使う武器を決めていたのか、剣や杖を手にしている。

すると、

 

「俺が使う物はもう決まっている。こいつだ」

 

大士は迷うことなくDアークを手にする。

 

「………でも、カードは使えない………」

 

エリスが俯きながらそう言う。

 

「カードスラッシュが使えなくても、これは俺とドルモンの絆の証だ。どんな時だろうと手放すつもりは無い」

 

「絆の証…………」

 

「お前達も、自分のパートナーを信じているならデジヴァイスを選べ。そうでなければ好きにしろ」

 

アリスとエリスは一度顔を見合わせると、互いに頷いた。

 

「そんなの、決まってるじゃない!」

 

「私達も、パートナーを信じてる」

 

2人もD-3を手に取った。

大士達が相手に向き直ると、

 

「両者、準備はよろしいか?」

 

審判が両チームに問いかけ、沈黙を以って返す。

そして、

 

「始め!!」

 

審判が手を振り下ろすと、

 

「成長期のチビは僕が遊んでやる! お前達はアリスとエリスに身の程というものを分からせてやれ! 存分にな!」

 

グレイがそう叫ぶと、ムシャモンが手に持った刀でドルモンに斬りかかる。

 

「ッ……!」

 

ドルモンはバックステップでその一撃を躱すと、

 

「メタルキャノン!!」

 

鉄球を放って攻撃する。

だが、ムシャモンは刀で簡単にその鉄球を弾いてしまった。

 

「無駄だ! お前はカードが使えなければただの成長期に過ぎん! 僕のムシャモンに勝てると思うなよ!」

 

グレイはそう叫ぶ。

一方、エクスブイモンとスティングモンも、オオクワモンとデスメラモンの猛攻に苦しめられている。

すると、サリアがアリス達に歩み寄った。

 

「アリスお嬢様………何とも愚かな選択をしたものですね」

 

サリアが呆れるような口調でそう言う。

 

「愚かとは言ってくれるじゃない………!」

 

アリスは両眼を金色に光らせて睨み付ける。

だが、その寸前にサリアは視線を外していた。

 

「愚かですよ? 自分の運命に逆らおうとするなど、愚か以外の何者でもありません。運命に身を委ね、流れのままに運命を享受する。それこそが人々にとって最大の幸せなのです」

 

「…………相変わらずのデニティス教の狂信者ね」

 

「誉め言葉です」

 

「フン………例え運命だとしても、エリスを殺す『運命』なんてまっぴら御免だわ……! 何度同じ選択を突き付けられようと、私は何度でも同じ選択をするわ!」

 

「ああ………何と愚かしい。ならば、わたくしが『運命』の流れに戻して差し上げましょう………」

 

「お断りよ!!」

 

アリスは無数の火球を生み出してサリアに向けて放つ。

 

「無駄ですよ」

 

その瞬間、サリアの周囲に風が渦巻き、アリスの放った火球を掻き消した。

 

「ッ………!」

 

「あなたに戦い方を教えたのはわたくしですよ? つまり、わたくしはあなたの手の内を知り尽くしている」

 

サリアは目を瞑りながらアリスに向かって言い放つ。

 

「つまり、あなたがわたくしに勝てる可能性など、万に1つもあり得ないのです」

 

「…………そんなの、やってみないと分からないじゃない………!」

 

アリスは続けて火球を放つ。

 

「聞き分けがありませんね………」

 

サリアは涼しい顔でそう言うと、

 

「ハッハッハ!!」

 

バーンが前に飛び出して特大の火球を放つ。

その火球は、アリスの火球全てを飲み込み、アリスに迫る。

 

「アリス………!」

 

「くっ………!」

 

アリスが飛び退くと同時にエリスが風の障壁を展開。

特大の火球が風の障壁に接触した瞬間、爆発を起こした。

 

「きゃぁっ!?」

 

「あうっ……!?」

 

爆風に煽られ、アリスとエリスが軽く吹き飛ばされてリングの上に倒れる。

 

「わたくしたちロイヤルナイツは騎士としても王国最強です。そのロイヤルナイツ2人を相手に、名門とは言え学生のあなた達が勝てる訳ありません。さあ、今度こそ自らの『運命』を受け入れるのです!」

 

サリアの言葉にアリスとエリスはふら付きながらも立ち上がると、

 

「何度でも言うわ………! そんな『運命』お断りよ!」

 

「自分の『運命』は………自分で決める………!」

 

真っ直ぐにそう言い返した。

 

「…………………」

 

サリアの顔から表情が消える。

 

「どうやら、まだお仕置きが足らないようですね。バーン、あれをやりますわよ!」

 

「おいおい、良いのか? 最悪死ぬぜ?」

 

「どちらか1人が生き残っていれば構いませんわ。『運命』に………デニティス様の教えに逆らう愚か者には罰を与えねばなりません!」

 

「おお、怖」

 

サリアが杖を掲げると、竜巻が発生し、更にバーンが炎魔法を発動。

炎が竜巻の風に乗り、更に激しく燃え上がった。

2つの魔法が合わさり、炎の竜巻となったそれは、成熟期デジモンの必殺技に迫ろうかと言う威力だ。

 

「さあ、己の罪を悔い改めなさい!!」

 

サリアの言葉と共に、炎の竜巻がアリスとエリスに迫って来た。

その炎の竜巻を前にして、

 

「……………やるわよ、エリス」

 

「うん………アリス」

 

アリスとエリスは笑みを浮かべ合っていた。

そして、炎の竜巻が2人を飲み込むその瞬間、

 

「「なっ!?」」

 

サリアとバーンは驚愕の声を漏らした。

何故なら、2人が放った炎の竜巻は、まるで何事も無かったかのように突然消え去ってしまったからだ。

 

「な、何が起こったの言うのです!?」

 

サリアの驚愕の言葉に、

 

「悪いわねサリア。私達はもう、あなたの知ってる私達じゃないの」

 

アリスが不敵な笑みを浮かべながらそう言った。

ただ、アリスの金色の瞳が輝いている。

 

「私の魔眼は〝昇華魔法〟によって1つ上の段階へ上がっているの。完成された魔法の術式すらも乱し、無効化してしまうモノにね!」

 

「な、何を言ってるの………!? あぐっ!?」

 

アリスの言葉にサリアが戸惑った声を漏らした瞬間、まるで押さえつけられるようにサリアとバーンが膝を着いた。

 

「か、体が重い………!?」

 

「な、何が起こって………!?」

 

2人が何が起こっているのか分からずに混乱していると、

 

「〝黒渦〟。〝重力魔法〟の1つ」

 

エリスが淡々とそう言う。

 

「じゅ、重力を操る魔法ですって!? そんなの聞いた事が………あぐっ!?」

 

さらに増した重力に、苦しそうな声を漏らすサリア。

 

「サリア、あなたは言ったわね? 『運命』に身を委ねる事こそ最大の幸せだって。私はそうは思わない。あなたの言う通り、『運命』に身を委ねていたら、私は絶対に後悔した。それだけはハッキリと言い切れる。だから私は、『運命』に逆らった事を後悔しない!」

 

「ぐぐぐ…………オオクワモン!!」

 

サリアが叫ぶと、オオクワモンがその腕をアリス達の前に振り下ろした。

衝撃がアリスとエリスを襲い、その拍子に〝重力魔法〟が途切れてしまう。

 

「はぁ、はぁ………遊びはここまでです………! 逆らえない『運命』を教えて差し上げましょう!」

 

オオクワモンが2人に迫る。

 

「アリス!」

 

「エリス!」

 

エクスブイモンとスティングモンがその前に立ちはだかる。

 

「エクスレイザー!!」

 

エクスブイモンがオオクワモンに必殺技を放つ。

だが、オオクワモンはそれを物ともせずにエクスブイモンに接近し、腕を振るってエクスブイモンを弾き飛ばした。

 

「ぐああっ!?」

 

「エクスブイモン!?」

 

吹き飛ばされたエクスブイモンはアリスの前に墜落し、アリスが駆け寄る。

 

「スパイキングフィニッシュ!!」

 

続けてスティングモンが腕のスパイクを突き立てようとするが、オオクワモンの甲殻の前に弾かれる。

 

「くっ!?」

 

スティングモンは反撃を警戒して距離を取ろうとしたが、

 

「へヴィーメタルファイアー!!」

 

それを狙ってデスメラモンが口から溶けた高熱の重金属を吐き出した。

 

「ッ!?」

 

スティングモンは咄嗟に回避しようとしたが、飛び散った重金属の液体が降りかかり、スティングモンに少なくないダメージを与える。

 

「うわぁああああっ!?」

 

「スティングモン!?」

 

エリスも目の前に落ちたスティングモンに駆け寄る。

すると、

 

「ははははは! 流石はロイヤルナイツだ! どうやらこの決闘は僕の勝ちの様だな!」

 

グレイが勝ち誇ったようにそう言う。

 

「…………………アリス! エリス!」

 

その時、大士が2人に呼びかけた。

2人は大士に振り返る。

 

「片方は受け持ってやる。だからお前達はもう1人を倒せ」

 

「「タイシ………!?」」

 

その言葉に2人は驚くが、大士の表情に嘘は無い。

 

「貴様! 何を言っている!? 敗北を前にトチ狂ったか!?」

 

グレイはそう言うが、

 

「ん? ああ………お前なんざ、元々眼中になかったからな」

 

大士はそう言うと、その手にデジソウルを宿す。

 

「はっ! 決闘のルールを忘れたか!?」

 

「お前こそ忘れたか? カイルがどうやってアグモンをジオグレイモンに進化させたのかを………」

 

「………………ッ!?」

 

大士のその言葉に、グレイは目を見開く。

その瞬間、大士はDアークを突き出した。

そのDアークの画面に文字が刻まれる。

 

―――EVOLUTION

 

「デジソウル………チャージ!!」

 

そのDアークに、大士はデジソウルが宿る右手を翳した。

Dアークにデジソウルが吸い込まれ、進化の光が放たれる。

その光を受けたドルモンが進化を始めた。

 

「ドルモン進化!」

 

それはドルガモンとは違う進化。

金色の体毛と機械化されたボディを持つ獣竜。

無垢のクロンデジゾイドの重量で抑制しなければいけない程のパワーを秘めたサイボーグ型デジモン。

 

「ラプタードラモン!!」

 

各部をサイボーグ化した機械竜のデジモンであるラプタードラモンが姿を現す。

 

「なっ!?」

 

グレイが驚愕の声を漏らした瞬間、

 

「アンブッシュクランチ!!」

 

一瞬でムシャモンに近付いたラプタードラモンがムシャモンの肩に食らいつき、その身体を持ち上げ、勢いをつけて投げ飛ばした。

投げ飛ばされたムシャモンは闘技場の壁に激突し、戦闘不能になる。

 

「なっ、なっ、なっ!?」

 

開いた口が塞がらないグレイ。

 

「俺は一言もカードが無いと進化出来ないと言った覚えはない」

 

大士はそう言い放つ。

 

「ドルガモンじゃない………」

 

エリスがそう呟くと、

 

「デジモンの進化ルートは1つじゃない。ドルモンもまた然りってだけだ」

 

「確かにそうだけど…………」

 

アリスも同じデジモンが別の進化ルートを辿るなど予想外だったのだろう。

 

「そして、勿論その上もな………!」

 

大士がそう言うと、全身からデジソウルを噴き上げさせる。

 

「なっ!? 全身から!?」

 

「何て大きさ………!」

 

アリスとエリスもそのデジソウルの大きさに驚愕する。

そのデジソウルが天を衝かんばかりに高まると、

 

――PERFECT

  EVOLUTION――

 

Dアークにそう表示される。

 

「デジソウル………! フルチャージ!!」

 

高まったデジソウルをDアークに叩き込んだ。

眩い光がレーザービームの様に液晶画面から放たれ、ラプタードラモンを包む。

 

「ラプタードラモン進化!」

 

光に包まれたラプタードラモンが更なる進化を始める。

サイボーグ化された獣竜の姿が竜人の姿へ。

その体は金色に輝き、背中には青いマントをはためかせる。

2本の剣を持った竜人の戦士型デジモン。

 

「グレイドモン!!」

 

金色の竜戦士となったグレイドモンがその場に降り立つ。

 

「あのデジモンは!」

 

「あの時……助けてくれた………!」

 

アリスとエリスは、カラテンモンから護ってくれた金色のデジモンが、ドルモンの別の進化だった事に驚愕する。

 

「グレイドモン!!」

 

大士が叫ぶと、グレイドモンは双剣を交差させると一気に飛び出し、デスメラモンを捕えてそのまま距離を取る様に押し続けた。

 

「さあ、アリス、エリス。デスメラモンはグレイドモンに任せてお前達はオオクワモンを倒せ!」

 

「そ、そうは言うけど………」

 

1体減ったとはいえ、完全体のオオクワモン相手に成熟期のエクスブイモンとスティングモンでは勝機が低いと思っているのだろう。

 

「正直、あんな奴が『ジエス』の名を名乗ってることすら烏滸がましい……! 本音を言えば、俺が直々にぶっ飛ばしてやりたいが、どうやらあいつはお前達と因縁がありそうだからな。お前達に譲ってやる」

 

大士はそう言うと、アリスとエリスを交互に見ると、

 

「それとも、自分で選んだ『運命』が間違ってたと思ってるのか?」

 

そう問いかけた。

 

「…………そんな訳、無いじゃない……!」

 

「………そんな訳ない…………!」

 

アリスとエリスの言葉に力が籠る。

 

「私がエリスと………」

 

「私がアリスと………」

 

アリスの左手、エリスの右手にあるD-3が強く握られる。

 

「「一緒にいることが間違いなんて…………!」」

 

それと共に、D-3から光が零れだし、

 

「「絶対にありえない!!!」」

 

2人の心からの叫びが1つになった時、D-3から眩い光が放たれた。

その光の中、向かい合ったアリスとエリスは互いの心臓の鼓動を感じ取っていた。

 

「エリス…………」

 

「アリス…………」

 

互いの名を呟き、どちらからともなくアリスは右手を、エリスは左手を前に出し、その手を重ね合わせ、しっかりと握り合う。

 

「感じる…………エリスの気持ちが………」

 

「……アリスの想いが…………伝わってくる………!」

 

互いの気持ちが通じ合ったその時、エクスブイモンとスティングモンが同時に光を放った。

そして、

 

「エクスブイモン!!」

 

光に包まれたエクスブイモンが天へと飛び立つ。

 

「スティングモン!!」

 

続けて光に包まれたスティングモンも飛び立つ。

2体は螺旋を描くように上昇し、

 

「「ジョグレス進化ぁぁぁぁぁっ!!」」

 

その頂点で2つの光が重なる。

1つの輝きとなったそれが、形を成していく。

エクスブイモンの竜型をベースにスティングモンの昆虫の甲殻を各部に纏い、背中には4枚の翼。

腰には2門の生体砲。

エクスブイモンとスティングモンが1つとなり、完全体へと進化した竜人型デジモン。

 

「「パイルドラモン!!!」」

 

その輝きの中からパイルドラモンが姿を現す。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

その姿に、闘技場内の全員が驚愕した。

 

「な、何が起こったの………?」

 

「パイルドラモン………?」

 

アリスは驚愕の声を漏らし、エリスもその名を呟く。

 

「ジョグレス進化。2体のデジモンが1つとなって次の世代へ進化する、デジモンの進化の1つだ」

 

そう言ったのは大士。

 

「タイシ…………」

 

「ジョグレス進化………」

 

「お前達の心が1つになった事で、エクスブイモンとスティングモンをジョグレス進化させたんだ」

 

大士の言葉を完全には理解できないものの、アリスとエリスは互いに頷き合う。

 

「「パイルドラモン!」」

 

2人が同時に叫ぶと、パイルドラモンは一気に飛び出し、

 

「「はぁあああああああああっ!!」」

 

オオクワモンに回し蹴りを繰り出す。

 

「ギャァアアアアアアアアアッ!?」

 

オオクワモンは叫び声を上げながらリング上に叩きつけられる。

 

「ッ! 強い!」

 

アリスが叫ぶ。

 

「ッ………! 合体したから何だというんですの!? オオクワモン!」

 

サリアが我を取り戻して叫ぶと、オオクワモンが羽を羽搏かせて猛スピードでパイルドラモンに突撃する。

そして、その大きな顎でパイルドラモンを挟み込もうとした時、即座に動いたパイルドラモンがその顎を躱し、オオクワモンの背部を踏みつける。

 

「速い………!」

 

エリスがその動きに驚きの声を漏らす。

パイルドラモンはそのままオオクワモンに接近し、

 

「エスグリーマ!!」

 

腕からスティングモンの様にスパイクを伸ばしてオオクワモンに突き刺す。

スティングモンの時では歯が立たなかったオオクワモンの甲殻を、パイルドラモンのエスグリーマは容易く貫いた。

 

「凄い………!」

 

アリスは呆然と声を漏らす。

 

「あれがお前達のパートナーデジモンだ」

 

「あれが………私とエリスの………」

 

「パートナーデジモン………!」

 

大士の言葉にそう言う2人の表情は、何処となく嬉しそうだ。

 

「こ、こんなの……こんなの認められません! 『運命』に逆らう者に、未来が与えられるなど……!」

 

オオクワモンは巨大な顎でパイルドラモンを切り裂こうとする。

だが、

 

「「ふんっ!!」」

 

パイルドラモンは両手を広げ、オオクワモンの顎を掴み取った。

 

「それは違うな。『運命』を切り開こうとする者にこそ、未来は与えられるんだ」

 

サリアの言葉に、大士はそう言い放った。

 

「アリス! エリス!」

 

大士が2人に呼びかける。

2人はそれぞれのD-3を力強く握り、

 

「「パイルドラモン!!」」

 

その名を叫んだ。

それと同時に、腰の後ろに備えられていた生体砲が前面に展開し、

 

「「デスペラードブラスター!!」」

 

その砲口からマシンガンの様にエネルギー波が放たれた。

その一発一発がオオクワモンの甲殻に罅を入れ、ダメージを蓄積させていく。

やがてエネルギー波が止まり、パイルドラモンが掴んでいた顎を放すと、オオクワモンは力尽きて墜落し、その身をリングの上に横たえた。

一方、

 

「クロスブレード!!」

 

グレイドモンがデスメラモンを双剣による十文字斬りで戦闘不能にしたところだった。

 

「そこまで!」

 

審判が決着を宣言する。

 

「そ、そんな馬鹿な…………ロイヤルナイツだぞ………王国最強の騎士が2人も負けるなんて………そんな事ある筈が…………」

 

グレイは現実を認められないのかそう口にする。

 

「さて、約束通りお前の家はもう俺達に関わるなよ」

 

大士はそれだけ言うと、アリス達に向き直る。

アリスとエリスは、目の前に降りてきたパイルドラモンを見上げていた。

 

「アリス……」

 

「エリス……」

 

エクスブイモンとスティングモンのそれぞれの声でパートナーに呼びかける。

 

「パイルドラモン………」

 

エリスが呟くと、

 

「『青き竜従えし者が緑の昆虫を従えし者の力を得る時、皇帝の道を歩む』………」

 

アリスがその言葉を口にした。

 

「………もしかしたらこの伝承は、この事を現していたのかもしれないわね」

 

アリスはパイルドラモンを見上げつつそう言う。

 

「アリス………」

 

エリスは心配そうな視線を向けると、アリスは笑みを浮かべ、

 

「心配しなくても皇帝の座に興味なんて無いわ。私が今一番大事に思っている事は、あなたと一緒に生きていく事なんだから」

 

そう言った。

 

「……うん!」

 

エリスも笑顔で頷いた。

その時、パイルドラモンが光に包まれ、2つに分かれる。

その光が消えると、エクスブイモンとスティングモンに戻っていた。

 

「戻った……?」

 

「スティングモン……!」

 

「この世界のデジモンでも、ジョグレス進化なら戻るのか………」

 

大士は少し驚いたように声を漏らす。

すると、

 

「あっ! そう言えば!」

 

アリスは思い出したように叫ぶと、

 

「あの金色のデジモン! あんた達だったのね!」

 

「ん? ああ………まあな」

 

大士は若干気まずそうにそう言う。

 

「何で隠してたのかいろいろ言いたいことはあるけど、これだけは先に言わせて」

 

「何だ?」

 

大士が聞き返すと、アリスは一呼吸置き、顔を上げると、

 

「私とエリスを助けてくれてありがとう!」

 

「ありがとう………!」

 

エリスと揃って最高の笑顔を浮かべてそう言った。

 

「ッ…………!?」

 

その笑顔を見て、大士の顔が真っ赤に染まる。

 

「………タイシ? 顔赤いよ………」

 

「な、何でもない…………」

 

大士は咄嗟に顔を逸らす。

だが、後ろを向いた大士は耳まで真っ赤になっていた。

 

 

 

 

 

 






はい、オリジナル異世界編第15話です。
ちょいと早いと思いましたがジョグレス進化でパイルドラモンの登場です。
でもってご都合主義の如く、ジョグレス進化は元に戻るという事で。
序にロイヤルナイツの名も出てきましたが単なる名前だけです。
大士は着々とフラグを建築中。
序に自分もフラグを立てられとります。
さて、序に御相談。
もうしばらく後の話ですが、葵(とリュウダモン)だけは、ご都合主義の如く色々理由つけて他の嫁達より早く合流させることも可能なんです。
そう言う場合、葵だけでも早く合流させた方がいいですか?
早く合流させるメリットとして、正妻なのでヒロイン達のハーレム入りが早くなります。
デメリット?として、現在でもイージーモードなのが、ベリーイージーモードになります。
どっちがいいですか?
投票お願いします。


P.S 最近背中の痛みが酷く、書くのも結構一苦労なので、申し訳ありませんが今週の感想の返信はお休みします。申し訳ない。

葵とリュウダモンだけでも早く合流させるべきか?

  • 早く合流させるべき。
  • 合流する時は嫁全員で。
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