ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第17話 波乱の冒険者実習

 

 

 

恒例のお茶会から1週間。

2度目の冒険者実習の日を迎えた。

今回の冒険者実習は、1週間に渡る長期日程。

以前と同じくドルモンには学院の寮でお留守番して貰っており、カイル達もデジヴァイスからデジモン達を出してこの実習に望んでいる。

以前と違う所は、チームにクラウディアとアリス、リティナ王女が加わっている事だ。

 

「…………そう言えば、カイル様達と初めて出会った時も、冒険者実習の時でしたね」

 

リティナ王女がその時を懐かしむ様にそう言う。

 

「そう言えばそうだったね………あの時は、リティナ様達がデススコーピオンに襲われていて、後先考えずに飛び出したのが切っ掛けだっけ………今思うと、何て自殺行為だったんだろう………」

 

カイルは反省する様にそう言うと、

 

「実際、タイシのデルフリンガーが無ければ、多分全滅してた」

 

「ウッ………!」

 

エリスが遠慮なく指摘する。

 

「もっと褒めてくれていいぜ!」

 

俺の腰に携えられている鞘に入ったデルフリンガーが調子に乗るような発言をする。

 

「剣の癖によくしゃべる奴ね」

 

アリスは呆れるようにそう言った。

すると、

 

「そろそろ時間です。参りましょう」

 

リティナ王女の言葉で実習が始まった。

 

 

 

 

 

今回の実習の場所は、王都から馬車で2日の場所にある段丘地帯。

余談だがこの2日の馬車での移動での気分は最悪だった。

この段丘地帯には、オークや魔獣化したオオトカゲなど、強さとして下の上から中の下ほどの魔物や魔獣が出現する。

だが、それは段丘地帯の上段部だけで、中段部や下段部には更に強力な魔物達が生息しているらしい。

当然ながら、実習が行われるのは上段部のみだ。

上段部に生い茂る森の中を進んでいると、

 

「「「プギィー!!」」」

 

3体の豚顔の魔物、『オーク』が茂みから現れ、威嚇の声を上げる。

この世界のオークは、知能はあまり高くない。

 

「行くぞ!」

 

カイルは即座に大剣を抜く。

 

「………………!」

 

クラウディアは槍を軽やかに振り回しながら構えを取り、

 

「………………」

 

俺も抜刀の構えになる。

そして、

 

「「「プギィー―――ッ!!」」」

 

3体のオークが一斉に襲い掛かって来た。

 

「ふっ………!」

 

オークが振り下ろした棍棒をカイルは横にステップする事で避けると、

 

「今だっ!」

 

大剣を振り被りながらその棍棒を踏み台にしてオークの頭上へ飛び上がると、

 

「はぁああああああっ!!」

 

「ブギッ!?」

 

その脳天に大剣の一撃が叩き込まれた。

顔の中程まで食い込んだその一撃でオークは絶命する。

一方、クラウディアは、

「プギィィィィィッ!!」

 

「はぁああああああああああっ!!」

 

「ギッ!?」

 

オークの棍棒が振り上げられた瞬間を見計らって、その棍棒が振り下ろされるより早く槍の切っ先でオークの喉笛を貫いた。

そして俺は、

 

「フッ………!」

 

「プギッ…………?」

 

抜き放ったデルフリンガーの居合抜きにより、オークの胴を上下真っ二つに両断していた。

 

「私達の出番は無かったわね」

 

アリスがやや残念そうにそう言う。

 

「3人とも凄い………」

 

エリスもそう言うが、正直この程度の敵相手に、神代魔法が使えるお前達が出てきたらオーバーキルにも程があるからな。

俺はふと、剣を背中の鞘に納めるカイルを見た。

 

「…………なあ、カイル」

 

「何? タイシ」

 

声を掛けた俺の言葉に、カイルがこちらを振り向き、

 

「何でデジソウル使わないんだ?」

 

「…………え?」

 

そう言った俺の言葉にカイルは素っ頓狂な声を漏らす。

 

「決闘の時にデジソウルで身体能力を強化して、ティラノモンの足を持ち上げただろ? あれと同じ事だ」

 

「えっと………あの時は無我夢中で………」

 

カイルは自信無さげにそう言う。

 

「ふむ…………そうだな………丁度いいから、軽くレッスンするとするか」

 

「ホント!? 助かるよ!」

 

俺の言葉にカイルは嬉しそうに食い付く。

 

「プギィッ!!」

 

その時、丁度よく1体のオークが現れた。

 

「皆、手を出さないでくれ」

 

俺はそう言いながらデルフを鞘に納め、オークの前に歩いていく。

 

「前にも言ったが、デジソウルは人の『想いの力』。その『想い』は人それぞれだから、それは自分で見つけるしかない。そして、肝心のデジソウルの特性だが………」

 

オークが棍棒を振り被り、俺の脳天目掛けて振り下ろしてくる。

俺は左手を上げると、その手にデジソウルを宿して棍棒を受け止めた。

 

「………プギッ!?」

 

オークは驚いたような声を漏らす。

オークは棍棒を押したり引いたりしようとしているが、俺が掴んでいる棍棒はビクともしない。

 

「デジソウルは、デジソウルを宿した場所が一番強化される。それ以外の場所も強化はされるが、デジソウルを宿した場所と比べると、その差は歴然だ」

 

俺はそう言いながら左手を引くと、棍棒を掴んでいたオークが前につんのめる。

その瞬間、俺は左手のデジソウルを消すと、腰溜めに構えた右の拳にデジソウルを宿し、

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

オークの顔面を殴りつけた。

 

「ビギッ!?」

 

オークの顔に拳がめり込み、その拳を振り切るとオークの巨体が吹っ飛んでいく。

 

「………とまあ、こんな感じだ」

 

そう言いながらカイルに振り返る。

 

「………ついでに」

 

俺はそう言いながらデルフの柄に手を掛けると一気に抜き放ち、その刃にデジソウルを宿す。

デジソウルが刃を形作り、デルフの刃を伸長する様に纏わりついた。

そして、俺はその刃を再び振り向きざまに振り下ろした。

その先には、1本の木。

だが、俺がデルフリンガーを振り抜いた軸線上に線が走り、斜めに切り落とされた。

そして、その木が切り落とされた向こうには、同じく斜めに切り落とされた、1体のオークの姿があった。

 

「デジソウルの応用でこんな事も出来る」

 

これは俺がハルケギニアに召喚された時に編み出したオリジナルだがな。

 

「うわぁ………凄い………」

 

カイルは呆然と声を上げる。

他の皆もポカンと俺を見ていた。

 

 

 

 

 

日が傾いてきた頃、

 

「はぁあああああああああああああっ!!」

 

カイルが大剣にデジソウルを宿し、その一撃をオークに向かって振り下ろす。

オークは棍棒で防ごうとしたが、

 

「プ……………?」

 

オークは何が起きたのか理解できない様な声と表情で、縦に真っ二つになって絶命していた。

カイルの一撃は、防ごうとした棍棒を容易く断ち切り、そのままオークを正中線に沿って真っ二つにしたのだ。

 

「カイル君! 凄いです!」

 

エミリアが称賛の声を上げる。

 

「うん………自分でも驚いてるよ………まさか、オークを真っ二つにする事が出来るなんて………」

 

カイルも自分がやった事を信じられないのか、呆然とデジソウルが宿る大剣を見つめていた。

 

「中々の威力だったな。成熟期デジモンなら、怯ませるぐらいの威力は出てたんじゃないか?」

 

俺はそう評価する。

 

「まあ、確かにオークを剣で真っ二つにするなんて、一流の冒険者位しかいないんでしょうけど…………」

 

アリスが何やら落ち着いた表情で呟く。

 

「完全体デジモンを殴り倒せるタイシを先に見てるから、驚きが少ない」

 

エリスがその理由を口にする。

 

「確かに、タイシを見た後だと、オークを真っ二つにする事など普通に思えてしまうな」

 

クラウディアもそう漏らす。

 

「あはは………そりゃタイシに比べたら全然だよね………」

 

カイルが若干落ち込みながらそう言う。

 

「そ、そんな事ありませんよ! 事実、カイル様は学生にして一流冒険者クラスの実力を持つという事です! 十分誇って良いと思います!」

 

リティナ王女がカイルをフォローする様に慌てながら言った。

そんな彼女達を見て、俺は肩を竦めた。

 

「さ、さて! もう日が傾き始めました! 今日の探索はここまでにして、ベースキャンプに戻りましょう!」

 

リティナ王女が探索の打ち切りを提案する。

まあ、俺もそろそろ戻る頃だと思っていたから否は無い。

俺達は来た道を戻り始める。

魔物や魔獣とのエンカウントも来るときに比べれば少なく、割とスムーズな道程だ。

すると、視界が開け、少し深い谷に掛かるつり橋が露になる。

つり橋の下には急流が流れており、もし流されれば、段丘の奥まで流されそうな勢いだ。

つり橋はそれなりに古びており、最初にこの橋を渡る時は、橋が落ちやしないかとおっかなびっくりだった。

まあ、今まで何人もの冒険者が渡っている様だし、俺達が渡る時に偶々橋が落ちるなんて、テンプレな事が起こる訳もなく橋を渡って来た訳だが。

そんな事を考えながらつり橋を渡り始める。

そのままつり橋の中程まで歩いてきた時、

 

―――ブチブチブチッ!

 

と、後方から聞こえた嫌な音と共につり橋がガクンと揺れた。

 

「「「うわっ!?」」」

 

「「「「きゃあっ!?」」」」

 

俺達は咄嗟につり橋のロープに掴まる。

後ろを振り向けば、つり橋を支えているロープが切れかけていた。

 

「やばい! 走れ!!」

 

俺は咄嗟に叫ぶ。

俺の声で一斉に走り出した。

だが、その判断は正直間違いだったと思い知った。

橋の上を走った事によりつり橋が激しく揺らされ、支えているロープに更なる負荷がかかる。

その結果、

 

―――ブチッ!

 

とつり橋を支えていたロープの1本が引き千切れた。

それによってつり橋のバランスが崩れ、橋桁が大きく波打つ。

 

「きゃあっ!?」

 

その所為でリティナ王女がバランスを崩して転倒。

 

「リティナ様ッ!?」

 

咄嗟にカイルが駆け寄った。

しかし、更に事態は悪化する。

橋桁が大きく波打ったことで、つり橋を支えているもう1本のロープも千切れかけていたのだ。

そして、

 

―――ブチッ!

 

と、盛大な音を立ててロープが引き千切れ、つり橋は落橋した。

 

「ッ!?」

 

「「うわぁああああああああああっ!?」」

 

「「「「きゃぁあああああああああああああっ!?」」」」

 

空中に投げ出された俺達は谷底へ真っ逆さまに落ちていく。

 

「リティナ様!」

 

「カイル様……!」

 

カイルはリティナ王女をしっかりと抱きしめながら身体強化を全開にし、

 

「リア!」

 

「クラウ!」

 

クラウディアがエミリアの手を取り、氷魔法で盾の様な物を作り出して落下の衝撃に備える。

そして俺も、近くにいたアリスとエリスを引き寄せながら抱え込むと、

 

「俺に掴まれ!!」

 

その言葉で2人は俺にしがみ付く。

俺はデジソウルを全身と、俺にしがみ付く2人を包み込むと、

 

「くっ!」

 

急流に着水した。

川の流れは速く、俺達は成す術無く流される。

俺はアリスとエリスをしっかりと抱え込んでいるが、2人も俺にしがみ付くので精一杯で、魔法を使う余裕など無いだろう。

流れが速いだけあり、川の両端は切り立った崖状だ。

掴めそうな場所も無い。

今できるのは、川の中にある岩の激突から2人を護る事だけだ。

他の皆も今はどうなっているのか分からない。

暫くすると、ドドドドッと嫌な音が聞こえてきた。

俺は内心嫌な予感がした。

息継ぎの合間に何とか前方を確認すると、ある一定の場所から視界が開けている。

それの意味する所は………

 

「………滝っ!?」

 

この場所の地形は、切り立った段丘状の地形だ。

そこに流れる川が、下段に向かって流れ、滝となって落ちていくのは自明の理。

俺達は、成す術無く滝壺へ落ちていくのだった。

 

 

 

 

 

 






オリジナル異世界編第17話です。
短くて申し訳ありません。
土曜日が休日出勤で執筆時間が大幅に削られた上に、モチベーションも削られて中々筆が進みませんでした。
もうちょっと先まで書くつもりだったんですけど。
で、テンプレの如くつり橋から落下。
高難易度エリアに強制移動です。
手持ちの食料も無い状況で、大士達は如何するのか!?(すっとぼけ)
次回をお楽しみに。

葵とリュウダモンだけでも早く合流させるべきか?

  • 早く合流させるべき。
  • 合流する時は嫁全員で。
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