【Side カイル】
滝から落ちた俺が次に気が付いた時、何処かの岸に打ち上げられていた。
「ううっ………こ、ここは…………?」
意識がハッキリしてきて、僕は何かを抱きしめている事に気付いた。
それは、
「リ、リティナ様!?」
リティナ様だった。
俺は思わず吃驚してしまったけど、俺の声に何の反応も示さなかったリティナ様にハッとなる。
「リティナ様、リティナ様……!」
軽く肩を揺らしながら呼びかけるけど、何の反応も示さない。
俺は最悪の状況を思い浮かべてしまい、思わず、
「リティナ!!」
大きな声で叫んでしまった。
すると、
「う…………」
リティナ様は軽く身動ぎすると、ゆっくりと瞼を開いた。
「リティナ様!」
俺はその事にホッとしながら呼びかける。
「カ、カイル様……………? わたくし達は助かったのですか……………?」
どうやら意識を失う前の事はハッキリと覚えているようで、無事だった事にホッとしている。
すると、
「そうです! 他の皆様は!?」
ハッとした様に叫んだ。
「………分かりません。俺もついさっき気が付いた所なので…………」
軽く辺りを見回してみるけど、俺達以外には見当たらない。
「大変です! すぐに探さないと!」
リティナ様は勢いよく立ち上がってそう言うが、
「…………お気持ちは分かりますが、今は無理です」
俺は意を決してそう言う。
「如何して!?」
「…………もう、日が暮れます。夜の探索は危険です。それよりも、安全な寝床を探さないと………」
俺は既に沈みかかっている太陽を指差す。
「ッ…………! いえ、カイル様の言う通りですね…………夜の探索は危険………学院でも念を押されている事です…………」
リティナ様は、今すぐにでも探しに行きたいだろう本心を抑え込み、俺の言葉を肯定する。
「すみません………生意気な事を…………」
「謝らないでください。カイル様は間違った事など何一つ仰っておりません」
謝罪の言葉を述べた俺に、リティナ様はそう言ってくれた。
すると、
「………くしゅん!?」
リティナ様が可愛らしくくしゃみをした。
そこで気付いたけど、俺達は川に流されてきた所為でずぶ濡れだ。
このまま夜になって気温が下がってくると、体調を崩してしまう可能性もある。
俺はまず、自分の持ち物を確認する。
背負っていた大剣は無事。
でも、基本的にキャンプで夜を明かす事を前提にしてたから食料や寝具などは持ち歩いていなかった。
リティナ様は着ているローブ以外に持っている物は無く、持っていた杖も手放してしまったみたいだ。
俺は川沿いに上流を見て見る。
それなりに目測で数km先に、俺達が落ちてきたであろう滝と断崖が見えた。
落差も50mぐらいある様に思える。
「あそこから落ちてきたのか…………」
俺はこの後の行動を考える。
「リティナ様、ここはおそらく中層だと思います。一先ず、川沿いに遡って、寝床になりそうなところを探しましょう」
「わかりました。カイル様に従います」
リティナ様はそう言って頷く。
そして俺達は行動を開始する。
川の周りは上層以上に鬱蒼とした樹海。
木々も大きく、自然の美しさよりも不気味さを醸し出している。
間もなく太陽が完全に沈んでしまい、辺りが暗くなり始めた。
そろそろ拙いかと思った時、大木の根元に、人が何人か入れそうなほどの隙間を見つけた。
「リティナ様。あそこならとりあえず大丈夫そうです。今日はあそこで休みましょう」
俺はそう言いながら、見つけた大木の根元の隙間へ向かう。
その中は思った以上に広く、俺達2人が入ってもまだ余裕があった。
なので、
「リティナ様はここで休んでいてください。俺は焚火に使えそうな木を集めてきます」
そう言ってその場を出る。
流石に樹海の中だけあって、枯れ枝は簡単に集まり、序に野兎を見つけたので、身体強化を使って1羽を仕留めた。
「リティナ様、ただいま戻りました」
「あ、カイル様。お帰りなさい」
「すみませんが、火魔法で火をつけて貰っても宜しいですか? 俺は如何も属性魔法は苦手で………」
「フフッ、その位ならお安い御用です」
リティナ様は微笑みながらそう言うと、集めた薪に火をつけた。
炎が灯り、俺達がいる空間を温めていく。
「ふう…………」
俺は一息つく。
すると、
「くしゅん!?」
またリティナ様がくしゃみをした。
それも当然だ。
火が付いたとはいえ、服は濡れたまま。
このままでは、体温が奪われる一方だろう。
「あの、俺は外に出ています。その間にリティナ様は服を乾かしてください」
俺はそう言って立ち上がると、突然鼻がムズムズして、
「………ハックション!」
盛大にくしゃみをしてしまった。
当然だけど、俺の服もずぶ濡れだから、かなり寒く感じている。
「カイル様……!?」
「あ、すみません。俺は大丈夫ですから………」
「いけません! カイル様も早く暖を取らなければ、体調を崩してしまいます!」
「で、ですけど、優先するべきはリティナ様で…………」
「それなら一緒に温まりましょう。それで問題無い筈です」
「いやいやいや! 問題大ありでしょう!?」
俺は思わず言い返してしまった。
「俺とリティナ様は男と女で………って言うか、それ以前にリティナ様は一国の王女様で…………」
「わたくしは気にしませんわ」
「で、ですが…………」
「それに、カイル様が体調を崩してしまわれたら、わたくしが生き残る可能性も減ってしまいますよ?」
「うっ…………」
そう言われて、確かにその通りだと思ってしまう。
すると、リティナ様は纏っていたローブを脱ぎ始めた。
「リ、リティナ様………!?」
「さ、カイル様もお早く………」
リティナ様は頬を赤くしながらも、そう言ってくる。
あっという間に着ている物を脱ぎ去り、下着姿で膝を抱えながら座る姿勢を取った。
流石にここまでされて、自分がこのままと言う訳にもいかない。
俺は、躊躇しつつ自分の服に手を掛けた。
濡れた服を脱ぎ、焚火を挟んでリティナ様の前に座る。
焚火の明かりに照らされるリティナ様の姿は、幻想的で美しく思える。
その姿に見入っていると、
「…………やっぱり、少し恥ずかしいですね………」
頬を染めながら、リティナ様がそう零した。
「す、すみません!」
俺は咄嗟に目を逸らす。
よくよく考えれば、一国の王女とこんな狭い空間に2人きりで………
しかも、裸に近い姿で居るって…………
俺、無事に帰れても処刑されるんじゃないだろうか?
急に不安になって来た。
その時、
「…………少し寒いですね…………」
「あっ、すみません。今薪を………」
俺は薪をくべようとしたけど、
「いいえ、それには及びません………」
リティナ様はそう言うと、突然立ち上がって俺の隣に来ると、
「こうすれば温かいです」
そう言いながら俺の隣に腰かけ、俺の身体に身を寄せてきた。
「リリリ……リティナ様!?」
俺は思わず身体が強張り、声が上ずってしまう。
リティナ様はそのまま俺の肩に頭を乗せて来て、
「……………今だけはリティナと呼び捨てにして下さい……………今だけは、王女でも何でもない、1人の女の子としてわたくしを見ていただけませんか?」
「ッ………………」
乞う様なその言葉に、俺は出かかった言葉が止まる。
「お願いします…………」
そう言って俺を見上げるその瞳。
その姿に彼女に対する愛しさが膨れ上がって来る。
「………………………リティナ」
俺がそう呟くと、彼女は安心したように笑みを浮かべ、
「はい、カイル…………」
俺の事も呼び捨てで呼んだ。
すると、リティナは俺に顔を向けながら目を閉じた。
その意味する所は理解できる。
普段なら、一国の王女である彼女にそんな事をすれば、大問題になるだろうと理解して思い止まっていたのかもしれない。
だけど、王女ではなく、1人の女の子として彼女を見ている今は、彼女が愛しいと思う心が溢れかえっている。
俺は、その衝動に身を任せたまま彼女の顔に自分の顔を近付け、彼女の唇に口付けした。
そして、そのまま…………………
【Side Out】
「ぶはっ!!」
暫く流された俺は、アリスとエリスを抱えながら何とか岸に辿り着いた。
まさか、滝から落ちてから、更にもう一回滝から落ちるとは思わんかった。
「アリス………! エリス………!」
俺は抱えた2人に呼びかけるが、意識を失っているのか返事は無い。
呼吸は感じられるので生きてはいるのは間違いない。
「ッ…………他の皆は………!」
俺は辺りを見渡す。
その時、
「………リアッ………! リアッ………!!」
少し離れた所からクラウディアの声が聞こえた。
そちらへ向かうと、岸に横たわっているエミリアに、クラウディアが必死の様相で呼びかけている。
「クラウディア!」
俺は彼女に呼びかけると、
「タイシッ!? リアが……リアがっ……!」
クラウディアにしては珍しく、取り乱した様子だ。
「エミリアが如何した……!?」
俺はアリスとエリスをその場に寝かせ、2人に駆け寄る。
「リアが息をしていないんだ………!」
泣きそうな声でそう叫ぶクラウディア。
「何ッ!?」
俺は慌ててエミリアを確認するが、呼吸の時に行われる胸の上下運動が無い。
「ッ…………!」
俺は再生魔法を使えるアリスとエリスに目をやるが、2人ともまだ意識を取り戻しそうにない。
「タイシ………! どうしたら………!」
クラウディアは取り乱していたが、
「落ち着け! 落ち着いて心臓マッサージと人工呼吸だ! まだ助けられるかもしれない!」
俺は基本的な心肺蘇生法を指示するが、
「シンゾウマッサージ……!? ジンコウコキュウ………!? そ、それは何だ………!?」
意味が理解できていないのか、狼狽えるクラウディア。
「だあぁっ!? この世界は心肺蘇生法が確立されていないのか!?」
俺は頭を抱える。
俺はもう一度アリスとエリスに目を向けるが、2人はまだ目を覚ましそうにない。
「くっ…………」
正直、溺水は神水が効くか微妙な所だ。
ならば、残された手は1つ。
「ああ、もう! ホントすまん!」
俺はエミリアと、そしていつだったかと同じように恋人達に謝罪する。
そして、意識を失っているエミリアの胸の中央辺りに手を置くと、
「ふっ……ふっ……ふっ………!」
胸骨圧迫を開始する。
前世で習った心肺蘇生法のうろ覚えだ。
「タ、タイシ………?」
クラウディアは意味が分からず声を漏らす。
そして、胸骨圧迫を30回行った俺は、いったん中断すると、エミリアの顎を上げ、気道を確保すると、左手で鼻をつまみ、右手で顎を支えて口を開かせると、その口に自分の口を押し当て、息を吹き込んだ。
「タイシ!? 一体何を!?」
流石に人工呼吸を見たら黙ってはいられなかったのか、クラウディアは叫んだが、
「いいから黙って見てろ!!」
「ッ!?」
説明する暇は無いため、強い言葉でクラウディアを黙らせる。
それから、数回胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返すと、
「……………ッ、げほっ!? げほっ!?」
今まで反応が無かったエミリアが、口から水を吐き出し、激しく咳き込んだ。
「リアッ!」
クラウディアがその様子を見て涙を浮かべながらエミリアに呼びかける。
「げほっ! げほっ………! クラウ…………?」
多少意識が朦朧としているだろうが、エミリアは薄く目を開けてクラウディアの名を呼んだ。
「リア…………良かった……………!」
クラウディアはホッと息を吐いた。
「ッ…………!」
エミリアは胸に手を当てて痛そうに呻いた。
「ああ、胸骨にダメージがあると思う。余裕があるなら回復魔法を掛けておいた方がいい」
俺はそう言っておく。
「は、はい…………」
エミリアは自分の胸に手を当てると、回復魔法を唱える。
それから、幾分か落ち着いてきた時、
「そうだ! タイシ! さっきのは一体何だ!? 何故意識を失っていたエミリアに口付けを…………!?」
「はわっ!?」
突然叫んだクラウディアの言葉に、エミリアは素っ頓狂な声を漏らした。
「そうねぇ…………それは私も聞きたいわ…………!」
更に後ろから聞こえる重苦しい声。
「説明………して」
アリスがその目を金色に光らせ、エリスは短い言葉ながら、有無を言わせないと言わんばかりの雰囲気で立っていた。
俺は軽く溜息を吐き、
「今のは胸骨圧迫と人工呼吸って言って、俺達の世界の医学に基づいた応急処置だ」
俺はそう説明する。
「胸骨圧迫は止まった心臓を外から押して、血を身体に巡らすための措置………人工呼吸は自力で呼吸できなくなった相手に息を吹き込んで空気を供給するための措置だ。まあ、本来であれば救急車…………医療班が到着するまでの繋ぎの為の措置だけどな。今回は運よくそれだけで蘇生できた。そもそも、アリスとエリスがもう少し早く目覚めてくれれば、〝再生魔法〟一発で治ったんだけどな」
「………………はあ、まあ、今更アンタが如何わしい理由でそう言う事する男とは思ってないけどさ…………」
アリスは俺の説明を聞いて、やれやれと言わんばかりに息を吐いた。
「それで、今の俺達の状況だが…………」
川の上流を見ていくと、さほど離れていない所に滝が見える。
「おそらく、ここは下層だな」
クラウディアがそう言った。
下層の環境は岩盤の多い峡谷だ。
峡谷の中央に川が流れている以外は、ライセン大峡谷に近い環境だろうか?
「そう言えば、カイル君とリティナ様は………?」
エミリアが気付いたようにそう言う。
「そ、そう言えば!?」
クラウディアが慌てだす。
「デルフ?」
俺は腰に携えたデルフに聞くが。
「俺っちの感知範囲には居ねえな」
「は、早く探さなくては!!」
クラウディアが声を上げる。
「気持ちは分かるが落ち着け。川に落ちる直前の状況から考えると、カイルとリティナ様は一緒にいる。そして、デジソウルが使えるカイルなら、そんじょそこらの魔物や魔獣には負けない筈だ」
「う、うむ………それもそうだな………」
「それに、この周辺は流れが穏やかなのに、近くに居ないという事は、カイル達はおそらく上だ」
俺は中層を指差す。
「確か、この段丘は下層に行くほど魔物や魔獣が強力になるんだったな?」
「あ、ああ………」
クラウディアが頷いた時、
「相棒! 結構でけぇのが近付いて来てるぜ!」
デルフが警告を飛ばす。
次の瞬間、目の前に大きな存在が舞い降りてきた。
それは、翼を持った蛇、もしくはトカゲと言った風貌だ。
それは、
「ワイバーン!」
アリスが叫ぶ。
「割と在りがちな敵キャラだな」
俺はワイバーンを見上げながらそう零す。
「グォオオオオオオオオオオッ!!」
ワイバーンは叫び声を上げる。
その叫び声には知性は感じられず、こちらを餌にしか思っていない様だ。
クラウディアは槍を構えようとして、
「ッ…………槍が無い!? 流された時に落としたのか!?」
槍が無い事に初めて気づき、焦った様子を見せた。
そのままワイバーンが長い首でクラウディアに食らいつこうとしてきた。
なので、
「おらぁっ!!」
瞬時に俺がその前に立ちはだかり、デジソウルを纏った拳で食らいつこうとしたワイバーンの頭を下からアッパーカットで打ち上げた。
「グォッ!?」
ワイバーンは首を大きく擡げさせ、頂点で一瞬静止したかと思うと、そのまま仰向けにバターンと倒れた。
「この程度で昏倒か………成熟期よりも弱いな」
ワイバーンの強さを成熟期以下と判断した俺は、そのままデルフを抜いてワイバーンの首を切断する。
すると、他の皆がポカーンとした様子で俺を見ていた。
「如何した?」
俺が聞くと、
「ワイバーンはこのエリアでは最強クラスの魔獣。それをあっさりと倒したタイシに驚いてるだけ」
エリスがそう説明する。
「まあ、デジモンの完全体よりも強くなければ、そうそう負けねえよ」
俺はデジソウルを消しながらそう答えた。
「それよりも…………」
俺は沈んでしまった夕日を眺める。
「これ以上の探索は危険だな…………」
俺はそう判断する。
「ちょっと待ちなさいよ。タイシはともかく、私達はこんな所で野宿したら、命が幾つあっても足らないわよ!」
アリスがそう発言する。
それは確かに…………
俺は少し考え、軽く息を吐いた。
「………………仕方ないか」
俺は、今まで隠してきた手札を見せる事にした。
〝宝物庫〟を起動させ、中にあるテントを呼び出す。
異空間から取り出したテントが目の前に現れた。
「なっ!? 何だ!? 何故テントがいきなり!?」
クラウディアが驚きから叫ぶ。
俺は〝宝物庫〟の指輪を見せながら、
「こいつは〝宝物庫〟って言うアーティファクト………特殊なマジックアイテムだ。これは神代魔法の1つ〝空間魔法〟によって異空間を作り出し、そこに荷物を入れておける物だ」
「そ、そんなものが……………」
クラウディアは驚愕からうまく言葉が出てこない様だ。
「とりあえずこのテントに入れ。許可は出したから皆も入れる。因みにこのテントには認識阻害が掛かってるから、他の魔物や魔獣に襲われる心配は無いぞ」
俺はそう言ってテントの入り口を潜る。
他の皆も入ってくると、
「何よこれ!?」
「広い………!」
アリスとエリスが盛大に驚く。
明らかに外から見た広さよりも、中の広さが広いからだろう。
「このテントも〝空間魔法〟でテント内の空間が広げられている。そんじょそこらの宿なんかよりは快適だぞ」
俺はそう言うと皆を見回し、
「一先ず風呂入って来い。いい加減寒いだろ?」
「ええっ!? お風呂があるんですか!?」
「ああ。こっちだ」
俺は皆を風呂場に案内する。
風呂場の使い方を軽くレクチャーしつつ、〝宝物庫〟からタオルやボディーソープ、シャンプー、トリートメントを渡しておいた。
皆が風呂に入っている間、
「さて、俺は飯でも作るか…………」
作ると言っても優花が居ない現在、そこまで難しい料理は作れない。
今ある材料で簡単なものと言えば…………
「カレーでも作るか…………」
カレーなら、ルーがあれば簡単に作れる。
女子の風呂は長いだろうし、米を炊く時間もあるだろう。
俺は早速準備に取り掛かった。
大よそ一時間後。
目の前のテーブルには、5人分のカレーライスの皿が並べられていた。
その時丁度いいタイミングで、風呂場の方から声が聞こえてきた。
「何ですかこの匂い………とてもいい匂いです!」
「食欲をそそる香り………」
エミリアとエリスがそう言いながら部屋に来た。
「もしかして、タイシが作ったのか?」
「アンタ料理できたの?」
クラウディアとアリスも驚いている。
俺がそちらを向いた時、
「ッ……………!?」
思わず息を呑んだ。
今の彼女達は風呂上がりで上気していて、とても色っぽく見える。
しかも、それぞれ着ているのが薄手のインナーだったので、体のラインが浮き彫りになっていた。
「あ、ああ………簡単なものならな………」
俺は何とか表情を取り繕って、アリスの質問に答える。
「俺の世界のポピュラーな料理だ。口に合うかは分からないが食べて見てくれ」
それぞれが席に着くと、カレーライスをスプーンで掬う。
「この白い粒々は何ですか?」
エミリアがそう聞いてくる。
「これは米だ。俺の故郷の主食だよ」
「米…………あっ、ライスの事ですか!」
「こっちにも米はあるのか? 学院の食事じゃ一度も出てこなかったが………」
「ライスはあまり好んで食べられるものではない。小麦と違って粉にしても、使い道が少ない」
エリスがそう言う。
「ああ、『炊く』って調理法が見つけられていないからか」
俺はそう納得する。
「まあ、一先ず食べて見てくれ」
俺の言葉に、それぞれが躊躇しつつカレーを口に運ぶ。
そして、
「「「「ッ………!?」」」」
全員が目を見開いた。
「な、何これ!?」
「お、美味しいです! こんな美味しもの、生まれて初めてです!」
「少し辛い………でも、それが更に食を進ませる………!」
「何と複雑な味………だが、それが完璧に調和している………!」
なんか予想以上の褒められようだな。
市販のルーなのに。
「って言うか、私達今遭難してるのよね? 何でこんなに充実してんの!?」
アリスが思わず今の状況にツッコミを入れた。
「まあ、備えあれば憂いなしって奴だ」
「備わり過ぎでしょ!?」
食事と片付けも終わり、俺も風呂に入ったあと、皆を寝室に案内する。
俺はデジモン専用の寝床で寝るつもりだ。
ベッドは3人用だが、4人でも寝れないことは無いだろう。
俺はそう思いながら寝室の扉を潜り、
「…………………ぐふっ!?」
思わずその場に崩れ落ちた。
何故なら、今まで3人用だったサイズのベッドと寝室は、さらに拡張されており、6人が余裕で寝れる大きさのベッドサイズになっていたからだ。
「…………ハ、ハジメの奴………何時の間に……………!?」
こんな事が出来る唯一の犯人を思い浮かべる。
おそらく、俺に恋人が増えたのでハジメからのお節介なんだろう。
何故か脳裏に親指を立てて、歯を光らせたハジメの姿が思い浮かんだ。
とりあえず他の4人にはここで寝るように言い、俺はデジモン用の寝床に向かったのだった。
オリジナル異世界編第18話です。
さて、カイルとリティナ。
大士とヒロインズの組に分かれることになりました。
この2組の寝床の差よ。
カイルとリティナの2人の関係が急進展。
そして何気に大士君がヒロイン達の唇全員頂きました。
人工呼吸ですけど。
はてさて、サバイバル2日目は如何に。
葵とリュウダモンだけでも早く合流させるべきか?
-
早く合流させるべき。
-
合流する時は嫁全員で。