ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第20話 サバイバル3日目

 

 

 

 

何とかカイル達との合流を果たした俺達は、もう一泊野宿していた。

まああのテントで泊まる事を野宿と言っていいのかは分からないが。

もちろん寝床は男女別だ。

俺とカイルがデジモン用の寝床で寝た。

因みにその時、カイルからこんな相談を受けていた。

 

「ねえタイシ………仮に……仮にだよ………俺がリティナ………様と一緒になりたいって言ったら、どれぐらい可能性があると思う?」

 

カイルの言葉に、別に『仮』とか言わなくても、お前がリティナ王女を好きな事は、チーム内では周知の事実なんだが………と内心思いつつ、俺は自分の考えを口にする。

 

「………まあ俺の考えで言うなら、今のまま何もしなかったらお前がリティナ王女と結ばれる可能性は、ゼロに等しいだろうな」

 

「………やっぱり、平民だから?」

 

カイルの問い返しに、

 

「それも間違いでは無いんだが、より正確には、『平民』と結婚するメリットが無いからだと俺は思う」

 

「メリット………?」

 

俺の言葉にカイルが首を傾げた。

 

「貴族なんかの上流階級の結婚は、個人の感情よりも、その結婚がどれだけ『家』に『利』を齎すのかが優先される」

 

「『利』を齎す………」

 

「低い階級の貴族なら、自分よりも上の階級の貴族と結婚させれば、繋がりが出来て厳しい時に援助を受けたりすることも可能になる。後は発言力が増したりとかな」

 

「…………………」

 

「それが王族の結婚ともなれば、その『利』は『国』の為になるかどうかになる」

 

「国の為の………『利』………」

 

「要は国益だな。王女を結婚させてでも、繋がりを保持しておきたい。もしくは、国につなぎ止めておきたい相手との政略結婚に王女は使われるだろう」

 

「………それじゃあ………」

 

「王女と結婚する為には、大きな国益を齎す何かが必要だ」

 

「大きな国益………」

 

「まあ、後は例外として、戦争なんかで英雄になって、国を救った礼として、王女と結婚するなんてパターンもあるが…………」

 

「それは御伽話とかでよくある奴だね」

 

「因みに言っておくが、王女と結婚しても、そこでめでたしめでたしじゃないからな。あの馬鹿王子がいるから王にはならないとしても、それなりに国政に関わる立場になるって事だぞ?」

 

「…………うん。決闘の時に、タイシが言ってた事だよね? それは分かってるつもり」

 

「そうか」

 

「それで、最後に聞きたいんだけど、『大きな国益』ってどんなことがあるかな?」

 

「国益と一口に言っても色々あるが…………この世界の今のご時世だと、最も重要視されるのは、『国を護る力』だろうな」

 

魔族からの侵攻はもちろんの事、他国からの介入や、優位性を取る為にも、『力』は必要だろう。

 

「『国を護る力』…………つまり、デジタルナイトとして完全体を目指せばいいって事?」

 

「方向性は間違っていないが、それだとまだ弱い。完全体まで進化させられるテイマー………デジタルナイトはこの世界にも何人かいる。可能性はあるだろうが、その確率は低いと言わざるを得ないだろう」

 

「じゃあ、如何すれば………」

 

「簡単な話だ。『その上』を目指せばいい」

 

「完全体の『上』って…………『究極体』!? あれは御伽話じゃ…………」

 

「さあな。だが、もし究極体に進化する事が出来たとするならば、かなり高い確率で王女サマと結婚できると思うぞ?」

 

「究極体…………」

 

カイルは一瞬思い悩んでいたようだが、

 

「………そうだね。無いと決めつけるより、あると思って目指した方が希望が持てるよ」

 

「………………」

 

「ありがとうタイシ。相談に乗ってくれて。お陰で如何すればいいか目標が持てたよ」

 

「そうか……………」

 

カイルはそう言うと横になる。

俺はそれを見ると、

 

「……………お前なら辿り着けるさ………きっとな」

 

そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

翌日。

今日も日本風の朝食を摂っていると、リティナ王女の視線が俺の手をジーっと見ていた。

 

「…………何か?」

 

その視線が気になった俺はそう尋ねると、

 

「いえ…………随分器用に2本の棒で食事するんですね………」

 

「ああ、箸の事か………」

 

俺は箸で食事をしていたため、スプーンやフォークで食事する人間からすれば珍しく見えるんだろう。

 

「俺の故郷で一般的に使われてる食器だな。汁物以外ならこれだけで大体食べる事ができる。まあ、こっちのマナーから言えば、受け入れられない部分もあるだろうが」

 

基本的にこっちの世界ではフランス料理とかと同じく、皿や椀を手に持って食べるという事はしない。

 

「いえ、文化の違いというものを感じるいい機会です」

 

リティナ王女は笑ってそう言った。

 

 

 

 

そして、今日の探索を始めようとした時、

 

「あ~、皆に頼みがある」

 

俺はそう切り出した。

 

「頼み?」

 

カイルが聞き返す。

 

「ああ。この〝宝物庫〟の事だが、出来れば黙っていて欲しい」

 

「…………面倒事を避ける為か?」

 

クラウディアが俺の頼みの真意を読み取る。

 

「ああ。〝宝物庫〟は利用価値が高すぎる。貴族や商人たちからすれば、喉から手が出るぐらい欲しいものだろう」

 

俺はその言葉を肯定する。

 

「確かにな」

 

クラウディアが頷く。

 

「そうなれば、どんな手を使ってでも、この〝宝物庫〟を手に入れようと躍起になるはずだ。そんな面倒事は避けたい。そもそも、こいつは〝魂魄魔法〟が付与されていて、俺以外の人間には使用不能だ」

 

俺は言葉を続ける。

 

「黙っていてもらう対価として、渡した武器はそのままお前達の物でいい」

 

「えっ!? こんな凄いものをですか!?」

 

エミリアが驚愕する。

 

「元々死蔵品だしな。お前達に使ってもらった方が、その武器達にも有意義だろう」

 

「私は構わない。タイシが困る事はしないと誓う」

 

エリスがそう言う。

 

「私も同意見よ」

 

アリスもそう言った。

 

「わ、私も絶対に喋りません!」

 

エミリアも、

 

「勿論俺もだよ」

 

カイルも、

 

「私もフォルダ公爵家の名において誓おう」

 

クラウディアも、

 

「命を助けられた恩を仇で返すなどと言う愚かな真似は致しませんわ」

 

そしてリティナ王女も。

全員が頷く。

 

「ありがとう」

 

俺は、迷いなく頷いてくれた皆に礼を言った。

 

 

 

 

 

 

昨日と同じ方法で、上層まで辿り着く俺達。

早速とばかりにオークたちに襲われるが、

 

「はぁあああああっ!」

 

「せいっ!」

 

「燃えなさい!」

 

「切り裂く!」

 

カイル、クラウディアの斬撃と、アリス、エリスの魔法であっという間に全滅した。

 

「……………なんか、全然大したことが無いように感じるんだけど…………」

 

カイルが肩透かしを受けた様にそう呟く。

 

「ここより相当強い魔物と戦って来たんだ。武器のお陰もあるだろうが、大したことないと感じるのは当然だぞ」

 

特にデジソウルが使えるカイルは、冒険者実習が始まる前よりも格段にレベルアップしているだろう。

 

「一先ず、ベースキャンプを目指しましょう。おそらく大騒ぎになっているでしょうが………」

 

数日とは言え王女が行方不明になったのだ。

今頃大騒ぎになっているのは間違いないだろう。

上層まで来れば、どの方向にベースキャンプがあるかは大体わかる。

俺達はベースキャンプに向けて歩みを進めた。

その道中、

 

「…………今考えると、やっぱりおかしいよなぁ………」

 

俺はふとそう口走る。

 

「どうかしたんですか? タイシさん」

 

エミリアが尋ねて来る。

 

「ああ、俺達が落ちたつり橋だけど、行きは何も問題無かったのに、帰りはまるで狙ったようにつり橋が落ちた。やっぱり腑に落ちないと思ってな」

 

「偶然じゃないの?」

 

アリスがそう言うと、

 

「俺達のチームが一番人数が多いというのならまだ納得できる。だが、俺達以上の人数のチームもいくつかつり橋を渡っている筈だ」

 

「確かに…………そう考えると不自然だな…………」

 

クラウディアが同意する。

すると、

 

「もしかしたら、つり橋に細工が施されていたのかもしれないな…………ロープに切れ目を入れるだけでも、強度は格段に落ちる」

 

「タイシはどう考える?」

 

クラウディアの問いに、

 

「もし故意に事故を起こしたのだとすれば、最も可能性が高いのが、リティナ王女を狙った犯行だな。次期国王にリティナ王女の名が挙がってきたために、それを快く思わない者達がリティナ王女を亡き者にしようとした。っていうのが有力かな」

 

「私も同じ意見だ」

 

「後は…………俺達は以前の決闘で賭けに負けた奴らから反感を買ってるからな………その腹癒せって線も考えられないことは無い」

 

「なるほど、その線も無くは無い………が、リティナ様を巻き込むとは考え辛いからな。リティナ様を狙った犯行だというのが一番筋が通る話だろう」

 

クラウディアがそう推測する。

 

「それもそうか」

 

「となれば、レオナルド殿下の派閥の過激派の暴走辺りか…………」

 

クラウディアはブツブツと呟く。

 

「まあ、あくまで予想だ。もしかしたら、本当にただの事故なのかもしれないし」

 

俺はそう言っておく。

 

「わかっている。だが、警戒して損は無い筈だ」

 

クラウディアは頷き、俺達は先に進んだ。

 

 

 

 

漸くベースキャンプが見えてきた時、

 

「やっと戻って来れた………!」

 

カイルが嬉しそうに笑みを浮かべながらそう零した。

すると、

 

「カイル君!? 皆さん!?」

 

俺達平民クラスの担任教師であるアリア先生が俺達に気付いた。

すると、涙を浮かべながら駆け寄ってくる。

 

「無事だったんですね!? 2日も行方知れずだったので、もう心配で心配で………!」

 

アリア先生は、俺達の無事を喜んでいる。

 

「ええっと………心配かけて申し訳ありません、先生………橋が落ちて、下まで流されたんですが、何とか戻ってくる事が出来ました」

 

カイルがそう説明する。

 

「ええっ!? 下の階層に流されたんですか!? 怪我は………大丈夫だったんですか!?」

 

下に流されたと聞いて、アリア先生が狼狽える。

 

「え、ええ、この通り全員無事です」

 

カイルが少し言葉に詰まる。

実際の所、俺達はともかく、カイルは瀕死の大怪我を負ってたからなぁ…………

〝再生魔法〟で傷跡も残って無いが。

その時、

 

「おおっ! これはこれは王女殿下! ご無事で何よりです!」

 

貴族クラスの教師っぽい男が現れた。

どっかで見た様な顔だが………忘れた。

 

「まったく、王女殿下を危険に晒すとは、やはり下賤な平民には任せておけんな!」

 

俺達を見下すような言動と目でその男は言う。

殴ってやろうか?

と、俺がそう思った時、

 

「彼らへの暴言は、このわたくしが許しませんよ………!」

 

凄まじく不機嫌そうな声でリティナ王女がそう言った。

 

「確かに彼らは平民ですが、どの様な危機にあろうとも、決してわたくしを見捨てるような真似は致しませんでした。少なくとも、わが身可愛さに逃げ出すような貴族の子息よりも、よっぽど騎士道に溢れた心の持ち主だとわたくしは思いますが………?」

 

目を細めながらその男を睨み付け、以前にデススコーピオンに襲われた時の事を引き合いに出す。

 

「そ、それは……………!」

 

「少なくとも、橋が落ちたのは彼らの所為ではありません。何より、上層より危険な下の階層の魔物からこのわたくしを護りきった。褒められこそすれ、責められるような謂れはありません………! このわたくしの名において、この件において彼らに責任を問う事を禁じます!」

 

リティナ王女はそう言い切った。

 

「は、ははっ!」

 

リティナ王女の王族の威圧に会えなく屈した男は、へこへこと頭を下げた。

それを見て、やっぱりあの馬鹿王子より、リティナ王女が国王の座を継いだ方がこの国の為になるんじゃないかとつくづく思うのだった。

 

 

 

 

 

 







オリジナル異世界編第20話です。
う~ん、何の面白みも無く終わってしまった。
話も中途半端だし…………
申し訳ないっす。
とりあえず、次回からまた盛り上がっていく予定。
お楽しみに。

葵とリュウダモンだけでも早く合流させるべきか?

  • 早く合流させるべき。
  • 合流する時は嫁全員で。
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