ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

192 / 298
第21話 決意の進化! ライズグレイモン!!

 

 

 

 

冒険者実習からまた少し時が経ち、現在。

 

「気持ちワリィ……………」

 

俺は馬車の中でダウンしていた。

 

「大士、しっかり………」

 

俺の隣にいるドルモンが心配そうに声を掛けてくる。

今俺達は、冒険者実習の前に開いたお茶会で話し合われた通り、カイルとエミリアの故郷の村へ向かっている。

カイル達の村は、フォルダ公爵領の北東地域にあり、領主であるフォルダ公爵の邸宅があるフォルダ公爵領の中心都市より離れた地域にあるため、所謂田舎の村である。

そして、今馬車に乗っているのは、俺とドルモンの他に、その村出身のカイルとエミリア。

その村に祀られる女神に興味を持ったアリスとエリス。

更に、

 

「ふふっ。カイルの故郷、楽しみです」

 

「う、うん………そうだね………リティナ………様………」

 

カイルの隣に座っているのは、薄桃色の髪を三つ編みにして、伊達メガネを掛けているリティナ王女。

 

「もう……! また間違えてますよ! 今の私は、カイルと同じ平民クラスの『リナ』です!」

 

そう注意するリナと名乗ったリティナ王女。

 

「う、うん………そうだったね。リナ………」

 

カイルは苦笑しつつその名を呼ぶ。

何故リティナ王女が平民の振りして俺達に同行しているのかと言えば、一言で言えばリティナ王女の我儘だった。

同じチームの中で、自分だけ置いて行かれることを嫌がったリティナ王女は、国王に直談判しに行って許可を捥ぎ取って来たのだという。

王女である彼女は、『豊穣祭』でも役目があるんじゃないかと問い掛けたが、先日の事件から気分が優れなくて、祭りの期間中は休養すると口実まで用意していた。

勿論テイルモンも一緒だ。

そして、リティナ王女の隣、俺の正面に座るのはクラウディア。

彼女がここに居る理由は、フォルダ公爵に頼まれたからだった。

クラウディアは、王子サマ達との決闘の後から、表面上は明るく振る舞っているが親の目から見れば相当無理をしているらしく、最近では相当参ってきているとの事。

なので、クラウディアには中心都市などのにぎやかな所ではなく、静かな田舎で休養を取らせようと思っていたそうだ。

そこでカイルとエミリアが故郷の田舎の村に帰るという話を聞き、それならばという事でクラウディアも同行させてほしいという話になったのだ。

なので、馬車の外にはガルルモンが随伴している。

 

「……………………」

 

そのクラウディアは、話を振られれば受け答えはするものの、あまり積極的に言葉を交わそうとはしていない。

俺もそれは気になったが、

 

「うっ…………!」

 

自分がそれどころでは無かった。

再び吐き気を催す。

 

「だ、大丈夫ですかタイシさん? 頑張ってください! ここまで来れば、もう少しなので!」

 

因みに既に1週間馬車に揺られ続けている。

そろそろ限界だ。

馬車はフォルダ公爵が用意してくれた公爵家御用達の高級馬車だが、椅子のクッションが良いぐらいで、馬車全体の揺れは、一般用とあまり差が無い。

ぶっちゃけ、魔力駆動四輪や二輪をお披露目しても良かったんじゃないかと後悔している。

その時だった。

 

―――ガタガタガタッ!

 

馬車が激しく揺れて急停車する。

 

「うぐえっ…………!?」

 

ふいに襲い掛かった揺れに、気分の悪さが増した。

すると、

 

「貴様、何者だ!? この馬車が何処の家の馬車と知っての狼藉か!?」

 

御者の怒鳴り声が聞こえた。

俺は、気分の悪い状況の中、テンプレの様に、盗賊でも襲い掛かって来たのかと思っていた。

だが、

 

「突然のご無礼真に申し訳ありません! どの様な処罰でも甘んじて受けます! ですが! どうか、どうか私の願いをお聞き届けください!!!」

 

続いて男の声で必死の懇願が聞こえた。

 

「ッ…………! 今の声………!」

 

「もしかして…………!」

 

カイルとエミリアがハッとなる。

2人が慌てながら馬車の外へ出ると、道の真ん中に土下座する1人の少年の姿があった。

そして、

 

「「ダン(君)!?」」

 

「へっ………?」

 

2人がその少年に呼びかける。

その少年は素っ頓狂な声を漏らしながら顔を上げると、

 

「カイル!? エミリア!?」

 

驚愕の顔で2人の名を叫んだ。

 

「え? え? 何で2人が貴族の馬車から………!?」

 

ダンと呼ばれた少年は混乱した表情を見せると、

 

「…………知り合いか?」

 

クラウディアが馬車から降りながらそう問いかけた。

 

「あ、はい。この子はダン君と言って、私達と同じ村で一緒に育った幼馴染です」

 

エミリアがそう言った。

確かにカイルやエミリアと同年代に見える。

すると、

 

「そうか…………私はクラウディア・アルファ・フォン・フォルダ。フォルダ公爵家の娘だ」

 

「こ、公爵家っ…………!?」

 

クラウディアの名乗りに、ダンと呼ばれた少年は顔を青くした。

 

「大丈夫ですよ、ダン君。クラウは優しい人です」

 

そんなダンに、エミリアが安心させるようにそう言う。

ダンが恐る恐る顔を上げると、

 

「何か理由があるのだろう? 言ってみろ」

 

クラウディアが促す。

ダンはその言葉に一瞬躊躇するも、

 

「…………ッ、村が盗賊に襲われているんです! どうかお願いします! 助けてください!」

 

再び土下座しながらその言葉を言い放った。

 

「えっ!?」

 

「なっ!?」

 

驚愕の声を漏らすカイルとエミリア。

 

「ッ!? 分かった! すぐに向かう!」

 

クラウディアも一瞬驚愕するも、すぐにその懇願を受け入れる。

 

「えっ………?」

 

その言葉に、ダンは呆けた声を漏らしながら顔を上げた。

 

「た、助けていただけるので…………?」

 

あっさりと了承して貰えるとは思わなかったのか、ダンは確認をする。

 

「当然だ! 小さな村とは言え同じフォルダ領の領民! 領民を護るのは貴族として当然の使命だ!」

 

そう言い放つクラウディア。

その姿を純粋に格好良いと思った。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

ダンは再び頭を下げる。

 

「よし、詳しい話を聞かせてくれ!」

 

クラウディアはそう言った。

 

 

 

 

 

ダンから話を聞くと、カイル達の故郷、『フェート村』は人口が100人程度の小さな村。

農業により生活を営むごく普通の農村。

今日も朝から収穫時期に入った小麦を収穫していたのだが、そこへ突如数十人規模の盗賊が押し寄せてきた。

クラウディアの話では、この時期は収穫された小麦などの収穫品を狙い、盗賊による略奪行為が増えてくるという。

その為に警備も厳重になるが、この村の様に警備が回らなくなるところもあるようだ。

そして、ダンの話では、盗賊側には最低でも4体のデジモンが居たそうだ。

ダンは村の隅の方の小麦畑で仕事をしていたので、盗賊達とその規模に気付いた時、このままでは拙いとすぐに逃げる事ができ、助けを呼ぶ為にここまで走ってきて、ガルルモンを連れたこの馬車を見つけ、なりふり構わずに引き留めてしまったという事だ。

乗っている貴族によっては無礼討ちされても仕方ない………と言うより、その可能性の方が高いため、彼の必死さが伺える。

彼にとっては、正に命を懸けた懇願だったんだろう。

だが、運良くその馬車には幼馴染のカイルとエミリアが乗っており、更にはその馬車は、人格者で数少ない真面な貴族であるクラウディア(とリティナ王女)が乗っていた。

そう言う意味では彼は幸運の持ち主だ。

村にも柵はあるが、木製でゴブリンなどの低級の魔物を防ぐ程度の物でしかない。

成熟期デジモン相手ではあっという間に壊されてしまうだろう。

時間は無い。

ダンの案内で森を抜けると、視界が一気に広がる。

小高い丘から村を一望できるそこから見えたのは、村を囲う木製の柵の一部が破壊され、盗賊達が村の中に雪崩れ込み、村の中央辺りにある教会らしき建物を取り囲んでいる光景だった。

 

「村が………!」

 

カイルは反射的に駆け出そうとしたが、

 

「気持ちは分かるがちょっと待て………!」

 

俺はカイルの首根っこを引っ掴んで止める。

 

「タイシ……! 何で……!?」

 

カイルは焦燥を隠し切れない表情で問いかけてくる。

 

「このまま正面から突っ込んでも、村人たちを人質に取られるのがオチだ」

 

「ッ………!」

 

俺の言葉に、カイルはその事に気付いたのか大人しくなる。

 

「村の人達を助けたいなら、落ち着いて作戦を考えるんだ」

 

その言葉に、全員が頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

 

大士達が到着する少し前、このフェート村は盗賊に襲われた。

村の周りは小麦畑が広がっており、見晴らしも良いため、デジモンを引き連れていた盗賊達はすぐに発見できた。

すぐに村人たちは村の柵の中に避難。

女子供をこの村で一番頑丈な建物である、石造りの教会に避難させた。

男達は、この村にある自衛用の剣や槍を構え、待ち構える。

その男達の中に、金の短髪の男性が居た。

彼はこの村一番の剣の使い手であり、カイルの父親であるロウ。

その彼も、冷や汗が止まらなかった。

フェート村は辺境であるため、度々魔物や盗賊に教わることはあった。

だが、それは小規模であり、今回の様な数十人規模の…………

更に、デジモンを戦力に加えている盗賊の襲撃は初めてだった。

今まで幾度も村の危機を救ったロウですら、今回の襲撃は絶望的であると理解してしまったのだ。

 

「ッ………………!」

 

次の瞬間、村の木製の門が破壊される。

破壊された門の向こうから現れたのは、腐敗したヘドロの様な身体を持つ成熟期のレアモン。

そのレアモンが村の敷地内に侵入すると、

 

「テメエら! 好きに奪いな!!」

 

盗賊の頭領らしき男が声を上げる。

 

「「「「「「「「「「うぉーーーーーーーっ!!!」」」」」」」」」」

 

すると、破壊した門から盗賊達が雪崩れ込んできた。

 

「くっ! やらせん!」

 

ロウは剣を抜いて迎え撃った。

 

「はっはぁっ!!」

 

盗賊は余裕の表情で剣を振り被って斬りかかる。

だが、

 

「ふっ!」

 

ロウはその一撃をうまく受け流すと、

 

「へっ………?」

 

盗賊の喉を切り裂いた。

盗賊は呆気に取られたまま絶命する。

 

「ここは通さん!!」

 

ロウが声を上げると、他の村人たちも士気を高めるように声を上げる。

各所で剣戟の音が響き始めた。

その中で目を見張る活躍をするのは、やはりロウだった。

他の男達がそれぞれで手一杯なのに対し、ロウは既に5人の盗賊を斃している。

それを見ていた盗賊の頭領は、

 

「ほぉ………こんな辺境の村にも、中々の使い手が居たんだな………」

 

興味深そうに、それでいて余裕の表情でそう漏らした。

 

「まあいい。これ以上手下を失うのも痛いからな…………おい!」

 

頭領が傍に控えていた側近に声を掛ける。

 

「へい!」

 

その側近が返事をすると、

 

「遊んでやりな」

 

「へへっ………! お任せを………!」

 

そう言うと側近はその場から離れる。

少しすると、

 

「ぐわっ!?」

 

ロウが吹き飛ばされ、地面に倒れる。

ロウが持っていた剣は、根元から断ち切られている。

その彼の目の前には、青色の皮膚を持つオーガモンによく似たデジモン。

成熟期のヒョーガモンが立ちはだかっていた。

 

「くっ………デジモンか………」

 

「ヘヘヘ、人間にしちゃあやる方かもしれねえが、所詮は人間の力。デジモンには敵わねえよ………!」

 

先程の側近の盗賊がヒョーガモンの斜め後ろで下種な笑みを浮かべていた。

ヒョーガモンが右手に持った氷の剣を構える。

 

「やっちまいな! ヒョーガモン!!」

 

その盗賊がヒョーガモンに命令を下す。

 

「ガァァッ!!」

 

ヒョーガモンがロウに飛び掛かる。

 

「ッ…………!?」

 

武器も破壊されたロウに成す術は無い。

 

(ここまでか………! すまん、ルン…………カイル………立派な男になれよ………!)

 

ロウが覚悟を決め、妻への謝罪、と息子の無事を願う。

そして、ヒョーガモンがロウへと迫り…………

 

「はぁあああああああああああああああああっ!!!」

 

―――ガキィィィィィィィィィィィン!!

 

「グッ……ガァアアアアアアッ!?」

 

ロウに聞き覚えのある声と激しい剣戟音が鳴り響き、ヒョーガモンが大きく後退した。

ロウが思わず顔を上げると、目の前に何者かが着地する。

だが、ロウにはそれが誰なのか一目でわかった。

何故なら、

 

「父さん! 大丈夫!?」

 

その者は彼の息子だったのだから。

 

「カ、カイル………!?」

 

ロウが驚きで声を漏らす。

カイルは前を向くと、

 

「よくも村の皆を………! 絶対に許さないぞ!!」

 

そう叫んだ。

 

「何だこのガキ!? どっから現れやがった!?」

 

側近の盗賊が困惑した声を漏らすと、上空に影が通過する。

それは、エクスブイモンとスティングモン。

カイルはエクスブイモンの背に乗って村の上空まで近付き、そこから飛び降りてこの場に降り立ったのだ。

すると、カイルはデジヴァイスicを取り出すと前に突き出し、

 

「ジオグレイモン、リアライズ!!」

 

そう叫ぶとデジヴァイスが輝き、目の前にジオグレイモンがリアライズする。

突如現れたジオグレイモンに盗賊達は慌てふためき、ジオグレイモンはヒョーガモンに狙いを定めると、

 

「メガバースト!!」

 

口の中で火炎を圧縮させ、熱線として放った。

 

「ガッ!?」

 

氷属性のヒョーガモンにとって、その攻撃は致命的。

熱線に呑み込まれ、あっという間にデータに分解されてしまった。

 

「ヒョ、ヒョーガモンが!?」

 

側近は慌てふためく。

すると、上空のエクスブイモンとスティングモンが地上に降りて来て、

 

「怪我をした人はこちらへ! 私が治します!!」

 

スティングモンに抱えられたエミリアが地上に降りると同時にそう叫んだ。

 

「エミリアちゃん!?」

 

突然現れたエミリアにも、村人たちは驚きを隠せない。

エミリアもデジヴァイスを突き出すと、

 

「グレイモン、リアライズ!!」

 

そう叫んでグレイモンをリアライズさせた。

リアライズしたグレイモンを見て、村人たちと戦っていた盗賊は腰を抜かしたり、一目散に逃げだそうとする。

だが、逃げ出そうとした盗賊達も、まるで押さえつけられるようにその場で動けなくなってしまった。

何故なら、

 

「逃がさないわよ」

 

「因果応報」

 

アリスとエリスが重力魔法を使い、盗賊達の身動きを封じていたからだ。

 

「なっ!? 何でこんな辺境にデジタルナイトが………!?」

 

盗賊の頭領が不利を悟り、撤退を選ぼうとした時だった。

 

「フォックスファイヤー!!」

 

「「「「「ぎゃぁあああああああああああっ!?」」」」」

 

頭領の後方、村の門側から手下たちの悲鳴が響いた。

頭領が振り返ると、そこには蒼い狼型のデジモンであるガルルモンと、そのガルルモンに跨ったクラウディアの姿。

更に、

 

「アンブッシュクランチ!!」

 

手下のデジモンの1体であるフレアリザモンが、ラプタードラモンによって噛み砕かれてデータに分解され、

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

もう1体の手下のデジモンであるミノタルモンが、何かに殴り飛ばされる様に宙を舞っていた。

 

「私はフォルダ公爵家が娘、クラウディア・アルファ・フォン・フォルダ!! 盗賊共よ! 我がフォルダ公爵家の領民を傷付けた罪、許すわけにはいかん!!」

 

クラウディアが槍を構えつつ叫ぶ。

侵入してきた側、つまり退路を断たれた盗賊達は、カイル達のデジモン4体とクラウディア達のデジモン2体に挟撃される形となったのだ。

 

「ぐぐぐ…………!」

 

頭領は悔しそうに歯を食いしばる。

すると、

 

「くそっ! お前達、出番だ!!」

 

頭領は近くに控えていた2人の男に呼びかける。

 

「ははっ! 子ども相手に情けないなぁ」

 

「くくっ! まさか出番が来るとは」

 

その2人は、盗賊とは一風変わった雰囲気だ。

頭領にも敬意を表しているとは言えない。

 

「やかましい! こういう時の為に高い金払って雇ってるんだ! さっさと働け!」

 

頭領が怒鳴る。

その話から、この2人は盗賊団が雇った用心棒であることが伺えた。

その2人は顔がそっくりで双子であると思わせる。

 

「はいはい。お金の分は働きますよ」

 

「子供相手に大人げない」

 

2人は余裕の表情でそう言うと、不敵な笑みを浮かべる。

そして、

 

「「出てこい!!」」

 

2人が同時に叫んだ。

その瞬間、2人の背後から小さい影が飛び出した。

それは成長期同程度の大きさ。

丸い体に手足の付いた小さなデジモンと、そのデジモンが機械化されたようなデジモンだった。

 

「あれは! マメモンとメタルマメモン!」

 

大士が叫ぶ。

 

「何よ、あれだけ偉そうなこと言って、えらく小さいのを出してきたわね」

 

アリスが拍子抜けした様に呟く。

他のメンバーも、何処か気が抜けた表情だ。

だが、

 

「気を抜くな! そいつらは形が小さくとも完全体だ!!」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

叫んだ大士の言葉に、全員が驚愕した瞬間、

 

「スマイリーボム!!」

 

「エネルギーボム!!」

 

マメモンが手に持った爆弾をグレイモンに投げつけ、メタルマメモンが左腕の砲口からエネルギー弾を放つ。

 

「うわぁっ!?」

 

「ぐあぁっ!?」

 

それらが命中した瞬間に爆発が起き、グレイモンとジオグレイモンは大ダメージを受けて倒れる。

 

「グレイモン!?」

 

「ジオグレイモン!」

 

エミリアとカイルが叫ぶ。

 

「くっ、小さくても完全体ね。一発であの2体を倒すなんて………」

 

アリスが改めてマメモンとメタルマメモンを脅威と認識する。

 

「エリス! 出し惜しみは無しよ!」

 

アリスがD-3を取り出す。

 

「うん」

 

エリスも同じようにD-3を取り出した。

その時、エクスブイモンとスティングモンが輝き、

 

「エクスブイモン!」

 

「スティングモン!」

 

「「ジョグレス進化!」」

 

光に包まれた2体が1つになる。

 

「「パイルドラモン!!」」

 

パイルドラモンがその場に現れる。

 

「「エスグリーマ!!」」

 

パイルドラモンは腕から突起を出すと、マメモン達に突きかかる。

だが、小さく素早いマメモン達は、その突きをひょいひょいと避けていく。

 

「ああもう! すばしっこい奴ね!」

 

アリスがそう愚痴を零す。

パイルドラモンは完全体の中では上位に入る強さを持つが、パイルドラモンはかなりの巨体だ。

対するマメモン達は、強さ的には完全体の中では下位の部類に入るだろうが、その身体は小さく、素早い。

要は、パイルドラモンでは相性が悪いのだ。

 

「スマイリーボム!!」

 

「エネルギーボム!!」

 

2体の必殺技を同時に食らう。

 

「「ぐぅっ!?」」

 

致命傷では無いが、同じ完全体の攻撃は、確実にダメージが通る。

 

「「くそっ!!」」

 

パイルドラモンは何とかマメモン達を捕まえようとするが、腕の周りや脚の間などを自由に動き回ってそれを許さない。

 

「………仕方ない」

 

大士が呟くと、デジソウルを高めた。

 

「デジソウル……フルチャージ!!」

 

高めたデジソウルをDアークに叩き込み、ラプタードラモンを進化させる。

 

「ラプタードラモン進化!」

 

光の中で金色の竜戦士へと姿を変える。

 

「グレイドモン!!」

 

グレイドモンは地面を蹴ってマメモン達へ近付く。

 

「はぁっ!!」

 

「マメェッ!?」

 

グレイドモンが振るった一太刀はマメモンを捕えて弾き飛ばす。

だが、相手は完全体。

その程度では致命傷にならない。

大士達がマメモン達に気を取られていると、

 

「へへっ、俺はこの隙に………」

 

盗賊の頭領が逃げ出そうとしていた。

 

「逃がすか!」

 

それに気付いたクラウディアがガルルモンと共に向かおうとしたが、

 

「レアモン! 食い止めな!!」

 

その前にレアモンが立ちはだかった。

 

「くっ!」

 

レアモンが口からヘドロ吐き出し、ガルルモンはそれを飛び退いて避ける。

 

「へへっ! あばよ!」

 

頭領はそのまま村の門を抜けて逃げる事に成功した。

そう思った瞬間、

 

「はっ!!」

 

「ぐはっ!?」

 

不意に腹に衝撃を受け、頭領が吹き飛んだ。

 

「ぐぐっ………何が………」

 

吹き飛ばされた頭領が何とか顔を上げると、

 

「逃がしませんよ………!」

 

平民に扮したリティナと、テイルモンがそこにいた。

先程、頭領はテイルモンに腹を殴られたのだ。

 

「部下を犠牲にして生き残るなど、上に立つ者として失格です!」

 

そう言い放つリティナ。

だが、

 

「はっ! 甘ぇな! 俺はどんな事をしても生き残る! 生き残って、もっともっと奪うんだよ! 手下なんざ、その為の駒に過ぎねえ!!」

 

「ッ…………!?」

 

「そうだ………! 俺は奪う! 全て奪って、奪いつくすんだよぉ!!」

 

欲望に塗れた言葉を放つ頭領。

動けない筈なのに、その欲望の強さだけで王族であるリティナが気圧されるほどに。

そして、その欲望は信じられない事態を引き起こした。

まるで、頭領の欲望に反応する様にレアモンが光に包まれる。

 

「何ッ!?」

 

クラウディアが驚愕の声を漏らす。

その目の前で、レアモンが巨大化していく。

 

「まさか………進化……!?」

 

ガルルモンが叫ぶ。

光が消えると、レアモンは巨大化し、緑色の腐食した身体に上を向いたクジラの様な金属製の頭。

各部に目玉や口がある不気味な姿となった。

 

「レアモンが進化した………!? 俺も知らないデジモンだ………!」

 

大士もその姿に驚愕する。

大士はDアークを取り出すと、その情報を表示させる。

 

「レアレアモン 完全体 ウイルス種 アンデット型デジモン。必殺技は、『ダイジェス』と『ディケイズン』」

 

その情報を読み上げる。

レアレアモンは腐食した肉体を撒き散らしつつ、ガルルモンに接近する。

 

「ッ! フォックスファイヤー!!」

 

ガルルモンは蒼い炎を吹き掛ける。

ジュー、っと表面が焼ける音がするが、レアレアモンは堪えた反応を見せず、流動する肉体が、その傷を覆い隠す。

 

「くっ………!」

 

ガルルモンは歯を食いしばる。

その時、レアレアモンの各部にある口から、ガスが吐き出された。

ガルルモンは咄嗟に飛び退くが、近くにいた盗賊達がそのガスに巻き込まれ、

 

「うぐっ………!?」

 

「ぐああっ………!?」

 

「くっ、苦し………!?」

 

次々と絶命していく。

 

「猛毒か!?」

 

クラウディアが叫ぶ。

すると、レアレアモンの目の1つが、リティナを捉えた。

 

「あ………あ…………」

 

リティナはレアレアモンの醜悪さと残酷さに恐怖を覚え、動けないでいる。

 

「リティナ! 逃げるんだ!!」

 

カイルが叫ぶ。

 

「あ………う…………」

 

しかし、リティナは動けない。

テイルモンがその前に立ちはだかるが、ガスの所為で攻撃も出来ない。

レアレアモンがリティナに近付いていく。

 

「リティナ!」

 

カイルが叫ぶ。

だが、レアレアモンは止まらない。

このままではリティナはレアレアモンに呑み込まれる。

その時が近付いていく。

 

「ッ……………!」

 

カイルは歯を食いしばる。

 

(そんな事はさせない………! 俺は、俺は誓ったんだ! 必ず彼女を護るって!!)

 

カイルが握りしめた手から真紅のデジソウルが発生する。

 

「させない………絶対にさせない…………!」

 

カイルが顔を上げる。

 

「俺はっ…………絶対にリティナを護るんだ!!!」

 

誓いの叫び。

その瞬間、カイルの手だけに宿っていたデジソウルが、身体全体を覆った。

 

「ッ………!? これは………!?」

 

カイルは一瞬戸惑うが、

 

「カイル! 今なら出来る! やれ!!」

 

大士が叫んだ。

その言葉の意味を理解したカイルは、デジヴァイスicを左手に持つ。

そして、

 

―――PERFECT

   EVOLUTION―――

 

デジヴァイスの画面にその文字が刻まれた。

 

「デジソウル…………!」

 

高まった真紅のデジソウルが、天を衝かんばかりに溢れ出る。

 

「フルチャージ!!」

 

そのデジソウルをデジヴァイスに叩き込んだ。

次の瞬間、デジヴァイスの画面から猛烈な光がレーザービームの如く放たれる。

その光が倒れているジオグレイモンを包んだ。

メタルマメモンの攻撃で気を失っていたジオグレイモンの瞳が力強く開かれる。

 

「ジオグレイモン………! 超………進化ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

光と共にジオグレイモンの背中に機械翼が現れ、そこからブースターによって空に飛び立つ。

ジオグレイモンの身体が更に巨大化しつつ、リティナを吞み込もうとしていたレアレアモンに体当たりを仕掛ける。

そのままレアレアモンを押し続け、リティナから引き離すが、レアレアモンは頭部の口でジオグレイモンの頭を噛み砕こうとした。

だが、レアレアモンが噛み付こうとする寸前、その頭部が金属に覆われて機械化。

レアレアモンの歯に逆に罅が入る。

続けて右腕のベルトが外れ、左腕が機械化され、巨大な銃身となる。

その巨大な銃身が振り被られ、レアレアモンを殴り飛ばした。

そこに居たのは、身体の半分以上を機械化したジオグレイモンが進化したサイボーグ型デジモン。

 

「ライズグレイモン!!」

 

ライズグレイモンが名乗りを上げる。

 

「ジオグレイモンが………完全体に進化した………」

 

カイルが驚愕しながら呟く。

 

「これがカイルのデジモンの………完全体………」

 

ライズグレイモンの後ろで護られているリティナがその背を見上げる。

吹き飛ばされたレアレアモンが、その身を起こすが、

 

「ッ!」

 

ライズグレイモンが目付きを鋭くすると、左腕の巨大な銃身をレアレアモンへ向け、

 

「トライデントリボルバー!!」

 

その巨大な銃を3連射する。

3つの弾丸は、狙い違わずレアレアモンに直撃し、爆散した。

そのままレアレアモンはデータ粒子に分解される。

 

「凄い………!」

 

カイルが呟く。

ライズグレイモンは、カイルの前に降り立つ。

 

「ライズ………グレイモン………」

 

「カイルの決意が、俺を進化させたんだ」

 

「俺の……決意………」

 

カイルはリティナに視線を移す。

彼女の無事な姿を見て、カイルはホッとする様に笑みを浮かべた。

 

「うん………だけど、まだ終わりじゃない…………俺は目指すよ……更に『先』を………!」

 

「ああ。カイルが目指すなら、俺も目指そう。更に『先』を………!」

 

カイルとライズグレイモンは互いの決意を確かめ合う。

因みにマメモン達だが、ライズグレイモンの進化中に撥ね飛ばされて、村の外まで吹っ飛んでいたりする。

 

 

 

 

 

事後処理を進める中、村の被害を確認する。

破られた門から村の中央の教会前までにあった民家や地面はかなり被害が大きかったが、村人は全員避難が完了していたので、女子供に被害は無し。

男達は重軽傷者含めて多数のけが人が出たが、軽傷者や命に関わらない重傷者はエミリアとリティナの回復魔法で。

手遅れと思われた者達も、アリスとエリスの〝再生魔法〟で一命を取り留め、奇跡的に死者はゼロだった。

まあ、もし手遅れだったとしても、アリスとエリスの魔力量なら、〝魂魄魔法〟と〝再生魔法〟の組み合わせで数人は生き返らせることは出来ただろう。

あとは、盗賊の亡骸を火葬するのにグレイモンのメガフレイムを使ったりしたが、一先ず事後処理は一通り終わらせる事が出来た。

そして、女子供を避難させていた教会の扉が開く。

外で戦っていた男性達の家族がそれぞれと再会を喜び合った。

そんな時、ふと大士はその教会の中を覗く。

その教会は、小さな教会で、いくつかの長椅子と祭壇があるだけの質素な作りだった。

だが、

 

「…………………」

 

大士は言葉を失う。

何故なら、

 

「…………………」

 

祭壇に祀られている女神像は、

 

「…………………」

 

大きな翼を持った、長い髪の女神像。

それは、

 

「……………………葵」

 

葵………即ち、アルオイスの姿そのものだったのだから……………

 

 

 

 

 

 

 





オリジナル異世界編第21話です。
今回はライズグレイモンへの進化でした。
進化バンクは自分なりに考えてみた。
後は最後のシーンですかね?
次回をお楽しみに。

葵とリュウダモンだけでも早く合流させるべきか?

  • 早く合流させるべき。
  • 合流する時は嫁全員で。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。