ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第23話 煌めくエンジェウーモン

 

 

 

俺達がフェート村に来てから数日が経ち、今日、『豊穣祭』の当日を迎えた。

村の中央にある教会前の広場には村の人々が集まり、祭りの為に用意された料理が並んでいる。

まあ、貴族からすれば質素な料理かもしれないが、平民からすればご馳走だ。

村人たちが飲み、食べ、笑い、ワイワイと騒いでいる。

俺達もその騒ぎに便乗して楽しく飲み食いしている。

そして、デジモン達にも食事は出されているが、ドルモンやテイルモンは普通の食事で事足りるが、グレイモンやライズグレイモンと言った成熟期、完全体デジモンは普通の食事では足りないため、猪の丸焼きがデンと置かれていたりする。

とまあ、それぞれが祭りを楽しんでいるが、この場にエミリアの姿は無い。

何故なら………

 

「お待たせしました」

 

と、そこでエミリアの声がして俺達が振り返る。

そこには、いつもと違った服装をしたエミリアが立っていた。

 

「ほう? それが『聖女』としての姿か?」

 

クラウディアが興味深そうに眺めながらそう呟く。

 

「変わった意匠ね。でも、似合ってるわ」

 

「ん、エミリア綺麗」

 

アリスとエリスも良好な反応だ。

 

「似合ってますよ、エミリアさん」

 

リティナ王女もそう言う。

 

「あ、ありがとうございます。皆さん………」

 

エミリアは恥ずかしそうに俯きながら礼を言うと、俺の方をチラリと見て、

 

「その………タイシさんはどう思いますか………? この格好………」

 

そう聞いてきた。

 

「あ、ああ…………似合ってはいると思うよ」

 

俺がそう言うと、エミリアは嬉しそうにはにかむ。

まあ、今言った言葉に嘘は無い。

嘘は無いんだが…………

如何して仮にも『聖女』の衣装が、袖無しミニスカの巫女服なんだよ!?

しかも手には鈴の付いた錫杖まで持ってるし!

何というか、こう、コスプレ感が半端ない。

俺が内心そう思っていると、

 

「タイシさん………1つだけいいですか?」

 

エミリアが態度を改めてそう問いかけてくる。

 

「何だ? 改まって」

 

「はい……………女神様の名を教えていただけませんか?」

 

「ッ…………!?」

 

その言葉に、俺は一瞬息を呑む。

 

「………何故俺に?」

 

「タイシさんが女神様の像を見た時の反応を見れば、誰だってわかります。タイシさんは、この村の女神様の事を知っているんですよね………?」

 

エミリアは確信を持った目で俺を見つめ、問いを投げかけてくる。

 

「……………まあな」

 

まあ、隠す程の事でもないので、俺は頷いて見せる。

 

「では、女神様の名も知っているのでは?」

 

「…………………ああ」

 

俺はエミリアの言葉に頷く。

すると、

 

「どうか女神様の名をお教えください。この村の、失われてしまった女神様の名を…………」

 

「……………………………」

 

いつもと違う雰囲気のエミリアの姿に、一瞬目を奪われる。

そして、

 

「……………………アルオイス」

 

その名を俺は自然と呟いていた。

 

「アルオイス……………」

 

エミリアがその名を繰り返す。

 

「運命を司る女神……………『運命神 アルオイス』…………それがこの村の女神の名だ」

 

「アルオイス様…………それが女神様の名前…………」

 

エミリアはまるで心にその名を刻み付けるように繰り返す。

 

「教えていただきありがとうございます………」

 

エミリアは礼儀正しくお辞儀をすると、広場の中央へ歩いていく。

そして、

 

「これより、女神様………『運命神 アルオイス』様に感謝の舞を捧げます」

 

そう宣言した。

伝えられていない女神の名を口にした事で、村人たちにどよめきが広がるが、エミリアは気にせずに舞を踊り始める。

スカートが靡き、錫杖の鈴が心地よい音を奏でる。

日本で言う神楽舞と言った所か。

自然とエミリアの動作一つ一つに目が行き、何時の間にが全員が黙ってその舞に注目していた。

その姿は神秘的で、先程まで思っていたコスプレ感が半端ないとか、そう言う思いは一切無くなっていた。

 

「……………綺麗だ」

 

俺は思わず呟く。

女神アルオイスの『聖女』。

その名に恥じない神秘的で美しい姿だと俺は思った。

一瞬とも永遠とも思える時間が終わる。

すると、自然と拍手が沸き起こった。

当然、俺やクラウディア達も一緒だ。

拍手を受けるエミリアは、恥ずかしそうに………

それでいて嬉しそうに笑みを浮かべていた。

エミリアが俺達の方に歩み寄って来る。

 

「素晴らしい舞だったぞ、リア!」

 

クラウディアが称賛する。

 

「ええ。『聖女』の名に恥じない美しさだったわ!」

 

アリスも、

 

「神秘的だった………」

 

エリスも、

 

「想像以上でした! わたくし達の知らない所にも、素晴らしい文化はあったのですね」

 

リティナ王女も、

 

「ああ。アルオイスの『聖女』に相応しい姿だったぞ」

 

そして俺も彼女をエミリアを褒め称える。

 

「あ、ありがとうございます………!」

 

エミリアは嬉しそうに笑みを浮かべた。

そうして、興奮が最高潮の中、この村の『豊穣祭』は幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

数日後、1週間ほど世話になったフェート村を、俺達は後にする。

カイルとエミリアも、家族との別れを惜しみつつも学院への帰路に着く。

まあ、帰りも馬車の移動なので、やはりと言うべきか、俺は酔いでダウンしていた。

そんな学院への帰路に着いてから3日後。

突然馬車が停止した。

 

「うおっ!?」

 

身体が揺さぶられて俺は声を漏らす。

すると、

 

「何かあったのか?」

 

クラウディアが御者に訊ねると、

 

「分かりません。多くの馬車が立ち往生してます」

 

御者の言葉に俺達が馬車から降りて前方を窺うと、御者の言った通り多くの馬車が立ち往生している。

そして、更にその先には………

 

「なっ!? あれは、デジタルダンジョン!?」

 

クラウディアが思わず声を上げた。

俺達の視線の先には、デジタルダンジョンの入り口である光のゲートが存在していたからだ。

 

「こんな所にデジタルダンジョンが!」

 

カイルも声を上げる。

 

「まさか、街道のど真ん中にゲートが出現するなんてな………」

 

そのゲートは、道を塞ぐ様に存在している。

俺達は、より詳しく様子を知ろうと、徒歩でゲートの近くへと向かった。

ゲートに一番近い馬車に近付いて話を聞くと、ゲートが現れたのは約半日程前。

更に先程、通りがかりのデジモンを連れた冒険者達が攻略の為にゲートに入ったらしい。

 

「ゲートが現れてから約半日………通常のゲートであれば、大して難易度は高くない筈ですね………デジタルダンジョンが成長する前に攻略する………その判断は間違ってはいません」

 

リティナがそう言った時、

 

「う、うわぁあああああああああああああああっ!?!?」

 

悲鳴を上げながらゲート内から冒険者が駆け出してくる。

 

「何でこんなに強い敵が出てくるんだ!?」

 

おそらく中に入っただろう冒険者達が、情けない声を上げながら逃げ出す。

彼らはそのまま立ち去ってしまう。

 

「…………今の反応から察するに、このゲートは『イレギュラー』って事か?」

 

俺は逃げていった者達の反応からそう推測する。

 

「その可能性は高いな………! イレギュラーのデジタルダンジョンをクリアする為には、王国からもロイヤルナイツを出撃させなければ対処は出来ん………!」

 

クラウディアは深刻そうな顔をする。

 

「しかもここは流通の要所だ。フォルダ領の経済にも影響を与えるぞ………!」

 

街道を塞ぐ様にゲートが現れているため、この道を使おうとする者は減るだろう。

それなら、やることは1つ。

 

「んじゃあ、ちゃっちゃと攻略するか!」

 

俺はそう言う。

 

「タイシ!?」

 

クラウディアは驚きの声を上げた。

 

「何驚いた顔してるんだよ。今の俺達の戦力を考えてみろ。カイルのライズグレイモン、クラウディアのワーガルルモン、アリスとエリスのパイルドラモン。成熟期でも上級の力を持つエミリアのグレイモンに、リティナ王女のテイルモン。そんで、俺とドルモンも居るんだ。下手な軍隊よりも、よっぽど戦力があると思うが?」

 

「ああ………確かに………」

 

カイルが納得したように頷く。

 

「よく考えてみれば、私とエリスもロイヤルナイツを倒してるわけだし………」

 

「以前のイレギュラーのダンジョンの時より、戦力は充実してる」

 

アリスとエリスも頷く。

 

「そうですね! 皆の力を合わせれば、イレギュラーのデジタルダンジョンでもきっと大丈夫です!」

 

エミリアも気を取り直しながら気合を入れる仕草をする。

 

「皆…………」

 

クラウディアが皆を見回す。

 

「デジタルダンジョンは国を挙げて対処するべき問題です。見て見ぬ振りなど出来ません!」

 

 

「リティナ様…………」

 

リティナ王女の言葉に、クラウディアも心を打たれる。

 

「感謝します………! 皆………皆の力を貸して欲しい!」

 

クラウディアの言葉に、全員が頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

俺達がゲートを潜ると、そこは暗い世界だった。

空間そのものが闇に包まれ、常闇の世界と言うべきところだ。

そして、俺達の目の前には巨大な館。

皆はデジヴァイスからデジモン達を出し、襲撃に備えつつ、一先ず巨大な館を目指す事にした。

 

「ここは…………言うなれば『闇』のフィールドか………?」

 

俺は歩きながら、雰囲気からそう推測する。

このダンジョンのゲートは丁度門の所にあり、館までの庭を俺達は歩いている。

門から屋敷まで一直線の石造りの道が続いているが、その両側には、これ見よがしに十字架の墓石が並んでいる。

 

「ううっ………不気味ですね………」

 

エミリアが、少しおっかなびっくりに警戒しながら進んでいる。

そして、庭の中程まで進んだ時、

 

「「「「「「「「「「バケェェェェェッ…………!」」」」」」」」」」

 

道の左右にあった墓石。

その右側から布を被ったお化けのような成熟期デジモンのバケモンが、左側の墓石からは、バケモンが黒い三角帽子を被ったようなデジモンであるソウルモンが5体ずつ現れた。

 

「敵だ!」

 

カイルが叫ぶ。

 

「メガフレイム!!」

 

グレイモンが先制攻撃とばかりに豪火球を放つ。

 

「「「「バケェ!?」」」」

 

その豪火球がバケモン達の中心に炸裂し、バケモン達を一瞬で燃やし尽くした。

 

「はぁああああああああ!!」

 

「ネコパンチ!!」

 

スティングモンの蹴りと、テイルモンのパンチでソウルモン達を一ヶ所に集め、

 

「エクスレイザー!!」

 

エクスブイモンのエクスレイザーによって粉砕する。

 

「やったわ!」

 

アリスが声を上げ、

 

「へぇ………!」

 

俺は感心した声を漏らす。

10体の成熟期を、実質4体で倒した。

ここからも、皆のデジモン達は、成熟期でも相当高いレベルである事が伺える。

そのまま先へ進むと、館の扉の前に辿り着いた。

その門は、巨体であるライズグレイモンも余裕で通れそうな程大きいものだ。

更に、これ見よがしにその両側には、デビドラモンの石像。

 

「これはおそらく………」

 

俺がこの後に起こる事を予想しつつ、その扉に近付くと、デビドラモンの石像の目が怪しく紅に輝き、石像だったデビドラモンの身体が漆黒に染まり、本物のデビドラモンとなって動き出した。

 

「やっぱりか!」

 

俺は声を上げるが、

 

「ソリッドストライク!!」

 

動き出した片側のデビドラモンをライズグレイモンが叩き潰し、

 

「円月蹴り!!」

 

反対側のデビドラモンをワーガルルモンが両断した。

 

「いいぞ! ライズグレイモン!」

 

「ワーガルルモンもよくやった!」

 

カイルとクラウディアはそれぞれのパートナーを労う。

が、

 

「…………………………」

 

俺は何時だったか、オルクス大迷宮の奈落の途中で、石像から目覚めた瞬間にハジメと優花に倒されたサイクロプスに似たような哀愁をデビドラモンから感じた。

 

「…………ご愁傷様」

 

目覚めたはいいが、いきなり完全体を相手にする事になったデビドラモン達の冥福を祈った。

デビドラモン達が消えると、それに呼応した様に屋敷の扉が開く。

その扉を潜ると、通路が4方向に別れていた。

 

「分かれ道か…………」

 

俺は呟く。

 

「ねえ、ここは私達も4手に別れた方が効率いいんじゃない?」

 

アリスがそう提案する。

 

「それも一つの手だと思うが、戦力の分散は何かあった時に対処がし辛いというデメリットもある………」

 

俺は注意点を上げる。

 

「だが、イレギュラーのダンジョンとは言え、ボスも完全体の筈。出てくる敵は成熟期が殆どと見ていいだろう。ならば、それぞれに完全体が1体でもいれば、何とかなるのではないか?」

 

クラウディアも分かれることに賛成の様だ。

 

「そうなると、どういう分け方にするかだが、当然ながらアリスとエリスはセットで考えて、パイルドラモンのグループ、カイルのライズグレイモンのグループ、クラウディアのワーガルルモンのグループ、そして俺とドルモンのグループ別れることになる。戦力のバランスを考えれば、クラウディアのチームにエミリアのグレイモン、カイルのチームにリティナ王女のテイルモンが入るのがいいか?」

 

「はい! それでいいです!」

 

リティナ王女が間髪入れず賛成する。

 

「…………………」

 

リティナ王女にしてみれば、カイルと一緒なら何でもいいと思ってるのかもしれないな。

まあ、それも踏まえて提案したわけだが。

 

「戦力的にはその分け方で問題無いか…………」

 

クラウディアも頷く。

 

「頑張りましょうね! クラウ!」

 

エミリアも問題無さそうだ。

 

「それじゃあ、最後に注意しておくが、決して油断するなよ。拙いと思ったら一目散に逃げろ! それだけは確約してくれ」

 

俺がそう言うと、皆も頷く。

そして、それぞれの道に進んだ。

 

 

 

 

 

 

【Side リティナ】

 

 

 

 

 

皆と別行動を取ったわたくし達は、自分達が選んだ道を進んでいました。

 

「ソリッドストライク!!」

 

時折現れるバケモンやデビドラモン達も、カイルのライズグレイモンによって叩き潰されます。

それを見て、わたくしはやはりカイルは頼りになると感じています。

彼はわたくしに相応しい男になるとわたくしに誓ってくれました。

そして、こんなにも早く完全体デジモンまで進化させました。

でも、カイルはまだそこで満足していません。

まだ『先』を見つめている。

そんな気がします。

その背中を見て、わたくしは頼もしいと感じる反面、何故か寂しさも覚えました。

何故なのかわかりません。

彼は、わたくしに相応しい男性になろうとしているだけなのに、何故寂しいと思うのでしょうか………?

 

「………リティナ? どうかしたの?」

 

テイルモンがわたくしを見上げながら心配そうな声を掛けてきます。

 

「えっ?」

 

「今のリティナ、寂しそうな顔してたわよ」

 

「ッ……!?」

 

図星を突くテイルモンの言葉に、わたくしは思わず声を詰まらせます。

 

「…………そう、ですね………確かにわたくしは今、寂しさを感じています」

 

わたくしは前を行くカイルとライズグレイモンの背を見つめる。

 

「でも、その理由が分からないのです。カイルは、わたくしが居る所まで、頑張って進んできてくれているというのに…………」

 

わたくしが胸の内を明かすと、テイルモンは呆れた様に溜息を吐きました。

 

「リティナ、本当に分かって無いの………?」

 

呆れた表情のまま、テイルモンはそう言います。

わたくしがその事を訊ねようとした時、

 

「ここは………!」

 

先を警戒していたカイルが声を漏らします。

その言葉に前を向くと、立派な両開きの扉がありました。

すると、その扉がギギギと重い音を立て、まるで誘うように開いていきます。

わたくしとカイルは顔を見合わせ、頷き合うとその扉の中に入っていきます。

わたくし達がその扉を潜ると、狙いすましたかのようにバタンと大きな音を立てて扉が閉まります。

 

「「ッ!?」」

 

予想こそしていましたが、実際に起こると緊張感が高まります。

扉を潜った先は、ダンスホールの様に広い空間でした。

すると、

 

『ウッフッフッフッフッフ…………』

 

怪しい女性の声が響き渡ります。

 

「何処だ!? 出てこい!」

 

カイルが叫ぶと、部屋の中央の床から突然コウモリが飛び立ち始め、そのコウモリ達を従えるように黒いマスクと衣服を身に着けた、女性の姿をしたデジモンが床を通り抜けるように現れました。

 

「あなたは………!?」

 

わたくしが問いかけると、

 

「アタシの名はレディーデビモン! ようこそいらっしゃいました可愛い坊や達……!」

 

その言い方に、何故かわたくしはカチンと来ました。

 

「疲れたでしょう? ゆっくり休んでいいのよ………? 永遠にね!!」

 

その言葉と共に、レディーデビモンはこちらに敵意を向ける。

 

「ッ! ライズグレイモン!!」

 

「おおっ!」

 

カイルの呼びかけにライズグレイモンが答え、レディーデビモンに、向かって飛び立ちます。

 

「うぉおおおおおりゃぁっ!!」

 

ライズグレイモンが左腕の銃身を振り被って殴りかかります。

ですが、レディーデビモンはひらりと身を翻してその攻撃を躱しました。

でも、

 

「はぁあああああああっ!!」

 

ライズグレイモンの背に飛び乗っていたテイルモンが、ライズグレイモンの頭からレディーデビモンに向かって飛び掛かり、

 

「ネコパンチ!!」

 

強烈な右の拳を繰り出します。

その拳は、

 

「ハッ!」

 

レディーデビモンに鼻で笑われながら右手で受け止められ、

 

「その程度でこのアタシをやろうってのかい………? ハァッ!」

 

余裕の言葉と共に、左腕の爪でテイルモンに反撃しました。

 

「うあっ!?」

 

テイルモンは苦しそうな声を上げて吹き飛ばされます。

 

「テイルモン!?」

 

わたくしは床に叩きつけられたテイルモンに駆け寄ります。

 

「くっ! ライズグレイモン!!」

 

カイルが叫ぶと、ライズグレイモンは左腕の銃身をレディーデビモンに向け、

 

「トライデントリボルバー!!」

 

3発の弾丸を連続で発射します。

 

「ッ!?」

 

レディーデビモンは一瞬驚いた表情をしましたが、その弾丸は避けられ、外れた弾丸は館の天井を粉砕するだけに留まります。

 

「ッ………! 今のは直撃するとヤバかったね………それなら………出てきな! お前達!」

 

レディーデビモンが合図をするように手を振り上げると、わたくし達がこの部屋に入った出入り口とは別の扉から、多くの悪魔のような姿をしたデジモン達が現れました。

 

「増援っ!?」

 

カイルが驚愕の声を漏らします。

 

「こいつらはイビルモン。アタシの忠実な僕さ。さあ、お前達、やっちまいな!」

 

「「「「「「「「「「ナイトメアショック!!」」」」」」」」」」

 

レディーデビモンの合図で、イビルモンと呼ばれたデジモン達が音波攻撃を放ちます。

 

「うぐっ!?」

 

流石のライズグレイモンも、これだけの攻撃を集中して受ければ平気ではいられません。

更に、

 

「ダークネスウェーブ!!」

 

レディーデビモンが無数のコウモリの様な闇のエネルギーを放ってライズグレイモンヲ攻撃しました。

 

「うわぁああああああああああっ!?」

 

それにはライズグレイモンも耐えきれず、吹き飛ばされて床に墜落します。

 

「ライズグレイモン!!」

 

カイルがライズグレイモンに駆け寄り、

 

「ライズグレイモン、大丈夫?」

 

「大丈夫………! まだまだ行けるぜ!」

 

「………うん!」

 

カイルの言葉にライズグレイモンは勇ましく応え、カイルも頷きます。

カイルはこんな状況でも立ち向かう事を選びます。

わたくしはカイル達に激励の言葉を掛けようとしました。

でも、

 

「ッ…………!」

 

わたくしは、再び寂しさを感じたことに気付きました。

 

「またです………何でわたくしは、寂しさを感じるのですか………?」

 

私は自分に問いかけるように呟きます。

すると、

 

「本当に気付いて無いの………?」

 

抱きかかえていたテイルモンがそう言いました。

 

「えっ?」

 

わたくしが声を漏らすと、

 

「リティナは、カイルが自分の所へ向かってきていると思ってるんじゃない。既にカイル達が先に進み過ぎて、置いてかれてるって思ってるんじゃないの?」

 

「あ……………!」

 

テイルモンのその言葉は、意外なほどにしっくりわたくしの胸に収まりました。

そうです………カイルはわたくしに相応しい男性になると言ってくれているのに、その肝心のわたくしは、カイルに相応しい女性になれているのでしょうか?

平民であるカイルは、王族であるわたくしに並び立つために努力しています。

ですが、逆を言えば、王族であることを除けば、わたくしはカイルに相応しい女性であると言えるのでしょうか?

きっとカイルは、わたくしが王族でなくなってもわたくしの傍に居てくれると思います。

ですが、わたくし自身がカイルの傍に立てる事に納得できないのです。

 

「ああ…………そうなのですね…………」

 

わたくしはもう一度カイル達の姿を見ます。

カイル達は激しい攻撃に晒され、傷付いていきます。

でも、

 

「まだだよ! ライズグレイモン!!」

 

「ああ、俺達はまだ負けない!!」

 

諦めない彼らは、もっと先に進もうとしている。

ならわたくしは?

ここで立ち止まってその背を見つめ続けるだけなのでしょうか?

 

「……………違う!」

 

私は自分への問いかけに、声に出して答えます。

 

「カイルがわたくしの隣に立てるように努力するのと同じように………わたくしもカイルの隣に立てる女にならなくてはいけません……!」

 

「リティナ………!」

 

「ありがとうテイルモン………漸くわたくしは自分の過ちに気付きました。わたくしは今まで、カイルに甘えていただけなのです。でも、そんな女ではカイルの隣に立つ資格などあろうはずがありません……!」

 

わたくしはテイルモンを抱えたまま立ち上がります。

 

「フフッ………やっといい顔する様になったじゃない」

 

テイルモンはそう言って笑います。

 

「わたくしは自信を持ってカイルの隣に立ちたい。その為にも、あなたが必要なのです。テイルモン!」

 

「やっと私を見てくれたわね、リティナ。待ってたのよ、その言葉を!」

 

その瞬間、テイルモンを抱いていたわたくしの手から、桃色の光が放たれました。

 

「これは………!?」

 

すると、わたくしの手に、クラウディアやエミリアさんと同じデジヴァイスが握られていました。

 

「リティナ!?」

 

その光に気付いたカイルが振り返ります。

その視線を受けたわたくしは、

 

「カイル! わたくしも戦います! 見ていてください! わたくしが護られるだけの女では無いという事を!」

 

「はぁあああああああっ!!」

 

わたくしの言葉と共に、テイルモンが飛び出します。

それと同時に、わたくしもデジヴァイスを掲げました。

テイルモンが桃色の光に包まれます。

 

「テイルモン! 超進化ぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

小さく、猫の様な姿だったテイルモンが大きくなり、レディーデビモンと同じぐらいの人型となります。

その背中からは8枚の白い翼が広がり、十字架の刻まれた仮面を被り、白き衣を纏う。

まさしく女天使を思わせるその姿。

 

「エンジェウーモン!!」

 

エンジェウーモンが光を纏いながらその場に現れました。

 

「くっ! この光は………!」

 

「「「「「「「「「「ヒィィィ………!?」」」」」」」」」」

 

エンジェウーモンが放つ光に、レディーデビモンは忌々しそうに目を庇い、イビルモン達は委縮してしまっている。

 

「エンジェ………ウーモン…………」

 

「テイルモンが……進化した………!」

 

カイルとライズグレイモンも呆然としています。

 

「くっ! いくら進化したからって!」

 

レディーデビモンは鬱陶しさを振り払うように腕を振ると、

 

「ダークネス………!」

 

再びコウモリを放とうとして、

 

「セイント………エアー!」

 

その前にエンジェウーモンが撒き散らした輝きが降り注ぎ、

 

「うぐっ!?」

 

レディーデビモンは苦しそうに動きを止めました。

イビルモン達も同じように動きを止めています。

 

「カイル! 今です!」

 

「ッ! ライズグレイモン!」

 

わたくしの言葉にカイルが気を取り直すと、ライズグレイモンに呼びかけました。

 

「おおっ!!」

 

ライズグレイモンは鋼鉄の翼を広げると、その翼に備え付けられている砲門を輝かせると、

 

「ライジングデストロイヤー!!」

 

そこから拡散する光を放ちました。

その光は一瞬にしてイビルモン達を消し去ります。

 

「なっ!?」

 

レディーデビモンが驚愕の声を漏らした時、

 

「これで終わりよ」

 

エンジェウーモンが左手を伸ばすと、その左手に嵌められていた手袋の翼の飾りが巨大化し、弓となりました。

続けて右手に現れた光の矢を、その弓に番えます。

 

「や、やめっ………!」

 

レディーデビモンは狼狽えながらそう言いますが、

 

「ホーリーアロー!!」

 

エンジェウーモンはその矢を放ちました。

光の矢は、レディーデビモンを貫き、

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!?」

 

レディーデビモンは悲鳴と共に消えていきました。

それを見届けると、わたくしはカイルの隣に並びます。

 

「カイル、少しはあなたの隣に相応しい女になれましたか?」

 

わたくしがそう言うと、

 

「えっ………?」

 

カイルは、理解できなかったのか、呆けた声を漏らします。

でも、分からなくていいんです。

カイルはわたくしの隣を目指している。

そしてわたくしも、カイルの隣を目指しているのですから…………

それから、他の皆がこの場に駆けつけて来るまで、そう時間は掛かりませんでした。

 

 

 

 

 

 








オリジナル異世界編第23話です。
やっぱり祭り本番だけでは書く事少なかったので、もう少し後に入れる予定だったエンジェウーモンへの進化をここに持ってきました。
まあ、リティナもリティナで無意識に葛藤していたって事です。
そして、エンジェウーモンの相手と言ったらレディーデビモンしか思い浮かばなかった。
さて、残る完全体はエミリアのグレイモン。
次回をお楽しみに。



PS.今回は時間が無いので返信はお休みします。

葵とリュウダモンだけでも早く合流させるべきか?

  • 早く合流させるべき。
  • 合流する時は嫁全員で。
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