ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第24話 大空への飛翔! メタルグレイモン発進!!

 

 

 

 

『豊穣祭』が終わり、デジタルナイト養成学院が再開して少し。

デジタルダンジョンでの訓練の日がやって来た。

俺達のチームは、レベル5のデジタルダンジョンに挑むことになる。

俺達と同期生でレベル5に到達したチームはおらず、レベル5のゲートの前で待つ俺達は自然と注目を集めていた。

やがて時間となり、俺達はゲートを潜る。

視界が一瞬光で埋め尽くされ、次に視界が広がった時には、

 

「うわぁ………!」

 

カイルが思わず声を漏らした。

何故なら、目の前には、空中に浮く島が連なり、空中回廊と呼ぶべき道が続いていたからだった。

 

「ここが………天空のフィールド………」

 

エミリアも感嘆の声を漏らす。

 

「これは………正に絶景と呼ぶべき光景だな………」

 

クラウディアもその光景に見入っていた。

それぞれが景色に感動する中、俺は浮島の外を見る。

浮島の下には雲海が広がっており、少なくとも雲よりも高い高度なのは間違いない。

その割には呼吸は平気だが………

雲の下が陸地か海かは分からないが、もし落ちたとすれば空が飛べない者は命は無いだろう。

因みに俺は、過去にアルビオン大陸と言う浮遊大陸を見たことがあったので、他の皆程の感動は無かったりする。

すると、

 

「さて、この光景に感動するのもここまでにして、攻略を始めましょう!」

 

パンと一度手を叩いて、皆の気を引き締めながらリティナ王女がそう言う。

その言葉で皆が気を取り直すと、それぞれのデジヴァイスを取り出し、

 

「ライズグレイモン、リアライズ!」

 

「グレイモン、リアライズ!」

 

「ワーガルルモン、リアライズ!」

 

「エクスブイモン、リアライズ!」

 

「スティングモン、リアライズ!」

 

「エンジェウーモン、リアライズ!」

 

デジモン達をリアライズさせる。

そして俺は、

 

「カードスラッシュ! 超進化プラグインS!!」

 

ドルモンを進化させるカードをスラッシュする。

 

「ドルモン進化!」

 

ドルモンが光に包まれ、成熟期へ進化する。

 

「ドルガモン!!」

 

ドルガモンとなってその場に現れた。

 

「さあ皆。行こう!」

 

カイルの言葉に全員が頷き、俺達は移動を開始した。

因みに移動は、徒歩では効率が悪いのでそれぞれのデジモンに乗って移動している。

人型に近いワーガルルモンやエンジェウーモンは乗る事に適さないので、クラウディアはエミリアのグレイモンに。

リティナ王女はカイルのライズグレイモンに一緒に乗っている。

そして探索を初めて少しすると、

 

「「グァアアアアアアアアアっ!!」」

 

「「ギャアギャア!」」

 

「ギィィィィィィッ!」

 

「キシャァァァァァァッ!」

 

竜の様な姿をした幻獣型のエアドラモンが2体。

黒い炎に包まれた巨鳥の様な姿のセーバードラモンが2体。

巨大な赤いクワガタの様なデジモンのクワガーモン1体。

カマキリのような姿のスナイモンが1体現れた。

 

「全部成熟期だが、いきなり6体でお出迎えとはな………」

 

俺はそう呟く。

今までのデジタルダンジョンでは、一度に出てくる敵は最大でも成熟期3体までだった。

それがいきなり6体に遭遇したことが、このレベル5の難易度を伺わせる。

まあ、豊穣祭が始まる前の状態だったらかなり苦戦していたとは思うが、

 

「メガフレイム!!」

 

グレイモンが豪火球を放つと、それぞれのデジモン達が散開して避ける。

だが、

 

「トライデントリボルバー!!」

 

ライズグレイモンが3発の弾丸を放つ。

それは、1体に集中させるのではなく、1発ずつ別のデジモンに向けて放たれる。

だが、それでも成熟期のデジモンを倒すには十分な威力を誇り、セーバードラモン2体とエアドラモン1体を粉砕する。

 

「ヘブンズチャーム!!」

 

エンジェウーモンが両手を前に翳すと、手と手の間に光の柱が現れ、更にそこから手を真横に広げると、光の十字架となる。

そして、その光の十字架がエアドラモンに向けて放たれた。

 

「グギャァァァァァァッ!?」

 

エアドラモンはその光の十字架に呑み込まれて消滅する。

 

「スパイキングフィニッシュ!!」

 

クワガーモンに対し、スティングモンが突撃して体勢を大きく崩すと、

 

「エクスレイザー!!」

 

そこにエクスブイモンが必殺の一撃を叩き込む。

クワガーモンはそれに耐えきれずに消滅する。

そして、

 

「はぁああああっ!!」

 

下に避けて地表近くに降りて来ていたスナイモンに、ワーガルルモンの蹴りが炸裂。

スナイモンは吹き飛ばされて地面に叩き落される。

 

「カイザーネイル!!」

 

そして、ワーガルルモンの鋭い爪によって切り裂かれて消滅した。

 

「………俺達の出番は無かったね」

 

ドルガモンがそう言う。

 

「まあいいさ。あいつ等も、極力俺達の力に頼らないようにクリアしたいみたいだからな」

 

俺はそう返した。

 

 

 

 

ダンジョンを進んでいく俺達。

ダンジョンとは言え、その道は一本道であり、迷う事は無かった。

しかし、逆を言えば迷わないかわりにその途中で遭遇したデジモン達との戦闘は避ける事ができないという事。

故に、戦闘回数は今までのデジタルダンジョンよりも多いため、必然的にデジモン達の負担も増えることになった。

幾度もの戦闘を乗り越え、漸く天空の道に終わりが見えてきた。

最後の浮島は大きな円形状になっており、リングの様に思える。

おそらく、あれがボスエリアなのだろう。

既にエクスブイモンとスティングモンはジョグレスしてパイルドラモンとなっており、ライズグレイモン、エンジェウーモンも前線に出ているため、かなりの消耗が伺える。

余裕があるのは、飛行能力を持たないため後方支援に徹していたグレイモンとワーガルルモン。

それから、裏方に回っていたドルガモン位だ。

それでも俺達は、迷うことなくボスエリアに足を踏み入れる。

そこで待ち構えていたボスデジモンは、

 

「グォオオオオオオオオオッ!!」

 

あのパチモン勇者の持ちデジモンにも居たサイボーグ型のメガドラモン。

 

「グガァアアアアアアアアアアッ!!」

 

更に、そのメガドラモンをパワーアップさせた青紫の体色を持つ機械竜のギガドラモン。

 

「メガドラモンとギガドラモン! それに…………」

 

俺はその2体の名を叫びながら最後の1体に目をやる。

 

「ガァアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

それは、機械化された頭部と左腕。

青い体色に翼を持ったサイボーグ型の恐竜の姿をした、俺の親友であるハジメのパートナーの完全体の姿と同じデジモン。

 

「ウイルス種のメタルグレイモンだと………!?」

 

俺は思わず驚愕の声を漏らした。

 

「ッ………ハジメのメタルグレイモンじゃないって事は分かってるけど、ちょっとやり辛いね………」

 

ドルガモンもそう漏らす。

俺達はデジモン達の背から降りると、

 

「これが最後のボスだ! 気を引き締めていけ!」

 

クラウディアが声を掛ける。

 

「ああ!」

 

ワーガルルモンがその声に答える。

 

「ライズグレイモン! 頑張るんだ!」

 

「任せろ!」

 

カイルもライズグレイモンに、

 

「エンジェウーモンもお願いします!」

 

「ええ!」

 

リティナ王女もエンジェウーモンに、

 

「パイルドラモン、しっかりね!」

 

「お願い……!」

 

「「ああ!」」

 

アリスとエリスもパイルドラモンに、

 

「無茶は駄目だからね。グレイモン」

 

「分かってる……!」

 

エミリアもグレイモンに声を掛けた。

 

「タイシ! 相手の情報は!?」

 

カイルが叫ぶ。

 

「ッ!」

 

カイルの言葉に俺は気を取り直し、

 

「メガドラモンは前に決闘で見た事あるだろうから省くが、ギガドラモンはメガドラモンよりもパワーが増している。だが、その代わりにスピードはメガドラモンより劣る! メタルグレイモンは、その名の通りグレイモンの進化体だ! グレイモンが機械化されて、全体的にパワーアップしている!」

 

「それなら、メガドラモンの相手はライズグレイモンだ!」

 

「ギガドラモンの相手はパイルドラモンね!」

 

「メタルグレイモンは、エンジェウーモンが抑えます!」

 

カイル、アリス、リティナ王女が叫ぶ。

 

「ならば、ワーガルルモンとグレイモンは後方支援に専念だな!」

 

クラウディアがそう言う。

すぐに自分の役割を認識する皆。

最初の脳筋な戦い方だったころが懐かしい。

 

「行くぞ!」

 

ライズグレイモンが叫ぶと、メガドラモンに向かって飛び立つ。

 

「ソリッドストライク!!」

 

ライズグレイモンが銃身を振り被って殴りかかる。

 

「アルティメットスライサー!」

 

メガドラモンはメガハンドからビームソードを発生させ、ライズグレイモンの銃身と切り結ぶ。

バチバチと激しい音を立てる激突部。

すると、

 

「はぁああああああっ!」

 

ライズグレイモンが力を振り絞って銃身を振り抜き、メガドラモンを吹き飛ばした。

ライズグレイモンは追撃しようと試みたが、メガドラモンのメガハンドが開き、

 

「ジェノサイドアタック!!」

 

両腕から10発のミサイルが放たれた。

 

「クッ!?」

 

躱せないと判断したライズグレイモンは防御姿勢を取る。

次の瞬間ミサイルが着弾し、爆発に飲まれるライズグレイモン。

 

「ぐうぅ……!」

 

爆発には耐えたが、それでも無視できないダメージを受ける。

 

「くそっ!」

 

爆煙を切り裂きながらライズグレイモンは飛び出し、メガドラモンに向かった。

 

 

一方、ギガドラモンと相対しているパイルドラモンは、

 

「エスグリーマ!!」

 

両腕からスパイクを出し、ギガドラモンに突きかかる。

だが、

 

「ギルティクロー!」

 

ギガドラモンはギガハンドでエスグリーマを挟み込んで止めてしまう。

 

「ぐぐ………!」

 

パイルドラモンは力を込めるが、中々押し切る事は出来ない。

 

「パイルドラモンでも押し切れないなんて………!」

 

「パワー特化と言うだけはある………」

 

アリスとエリスが驚愕の声を漏らす。

更に、

 

「ガァアアアアッ!!」

 

メタルグレイモンが機械化された左腕を振り回す。

 

「くっ!」

 

エンジェウーモンはその一撃を躱す。

エンジェウーモンは直接的な戦闘はあまり得意では無いため、メタルグレイモン相手に真正面から挑みかかるのは自殺行為。

かと言って、距離を取ろうとしても、メタルグレイモンには必殺技のギガデストロイヤーがある。

エンジェウーモンでは、メタルグレイモン相手は相性が悪いと言う他なかった。

そこへ、

 

「メガフレイム!!」

 

グレイモンが地上から豪火球を放つ。

その豪火球はメタルグレイモンに一直線に向かうが、

 

「ガアッ!」

 

左腕の一振りであっさり掻き消される。

 

「くぅ………!」

 

グレイモンは悔しそうな顔をする。

 

「カイザーネイル!!」

 

続けてワーガルルモンが爪による斬撃を飛ばすが、メタルグレイモンはそれをあっさりと躱した。

 

「くそ………!」

 

ワーガルルモンも歯噛みする。

地上戦ならワーガルルモンは俊敏を生かしてメタルグレイモンを翻弄出来ただろうが、メタルグレイモンは空を飛んでいる。

近接戦闘特化のワーガルルモンでは攻撃を届かせることが精一杯だ。

それに、ここに来るまで戦闘で皆少なくない消耗がある。

万全の体勢ならライズグレイモン、パイルドラモンも大した時間を掛けずにメガドラモンやギガドラモンを倒せただろうが、消耗している現在では、互角に戦うだけで一苦労だ。

 

「ッ………………」

 

このままでは押し切られる可能性が判断した俺は、ドルガモンを戦闘に参加させようとした。

その時、

 

「ジェノサイドギア!!」

 

ギガドラモンがミサイルを乱射する。

それはパイルドラモンだけでなく、他のデジモン達。

更には俺達にも降り注ぐ。

 

「ッ! カードスラッシュ! ブレイブシールド!!」

 

俺はブレイブシールドをスラッシュして、黄金の盾を具現する。

ドルガモンがその盾を構えてミサイルの前に立ちはだかった。

俺達に向かって来たミサイルは全て防いだが、

 

「うわぁっ!?」

 

グレイモンは爆風に煽られる。

 

「グレイモン!?」

 

エミリアが叫んだ時、メタルグレイモンが胸のハッチを解放、

 

「ギガデストロイヤー!!」

 

そこから有機体系ミサイルを2発発射した。

 

「ッ! 避けろ! グレイモン!!」

 

俺はグレイモンに向かって叫ぶ。

 

「ッ!?」

 

グレイモンは咄嗟に飛び退くが、ギガデストロイヤーは2発とは言え、その威力はジェノサイドギアやジェノサイドアタックの1発当たりの威力を遥かに上回る。

グレイモンは直撃は避けるものの、直後に起こった爆発により吹き飛ばされた。

 

「くっ!」

 

その爆発の威力は、ブレイブシールドにも負荷を与え、同じ完全体のワーガルルモンでも吹き飛ばされないように耐えるのが精一杯なほどだ。

グレイモンはそのまま吹き飛ばされていき、何度か地面をバウンドして転がっていく。

そして、その先は浮島の端。

 

「グレイモン!?」

 

エミリアが叫ぶ。

 

「うわっ!?」

 

グレイモンは浮島から落ちそうになるが、何とか島の端にしがみ付く。

だが、瓦礫がガラガラと落ちていき、雲海に消えるのをグレイモンが目撃し、ゾッとしているのが分かった。

その時、ピシッとグレイモンがしがみ付いている周辺の地面に罅が入る音がした。

グレイモンの重さに地面が耐えられないのだ。

 

「グレイモン!」

 

それに気付いたワーガルルモンが助けに行こうとしたが、

 

「くっ!?」

 

ギガドラモンが放ったミサイルによって阻まれてしまう。

 

「エンジェウーモン!」

 

続けてリティナ王女が叫ぶ。

 

「ッ!」

 

エンジェウーモンがそちらに振り向いた時、

 

「ガァアアアアッ!!」

 

「うあああああああっ!?」

 

背後からメタルグレイモンの左腕の一撃を受け、吹き飛ばされてしまった。

 

「エンジェウーモン!?」

 

リティナ王女が悲痛な声を上げる。

更には、ライズグレイモンもパイルドラモンもそれぞれの相手で手一杯で救援に向かえない。

それに、ドルガモンもこの場で皆を護る役目があるので離れる事ができない。

ならば俺が行くしかないと思った所で、

 

「グレイモン!」

 

俺よりも早くエミリアが駆け出した。

ミサイルが降り注ぐ中、エミリアは一目散にグレイモンの元へ駆ける。

 

「グレイモン! 一度デジヴァイスの中に!」

 

エミリアはデジヴァイスを掲げながら走る。

グレイモンをデジヴァイスの中に入れて助け出そうというのだろう。

だが、余りにも危険すぎる。

 

「ッ! ドルガモン! 皆を頼む!」

 

「ッ! わかった!」

 

俺の言葉にドルガモンが答えたのを聞くと、俺はデジソウルを纏いながらエミリアを追う。

エミリアがデジヴァイスの有効距離までもう少しと言う所まで辿り着いた時だった。

その直後、エミリアの背後にミサイルが着弾した。

 

「きゃあっ!?」

 

エミリアの身体は呆気なく吹き飛ばされ、グレイモンの頭上を越えていく。

 

「エミリアァァァァァッ!!」

 

グレイモンは叫びながら手を伸ばす。

空中でエミリアの身体をキャッチするものの、その際に崖から手を放すことになる。

そのままグレイモンは空中に投げ出され、

 

「うぉおおおおおおおおおっ!!」

 

落ちていく前に俺がグレイモンの尾の先を掴んだ。

 

「タイシ!?」

 

「タイシさんっ!?」

 

グレイモンとエミリアが俺に気付いて叫ぶ。

グレイモンの全体重が俺の腕に掛かるが、デジソウルで強化している今ならば問題は無い。

俺は少し荒っぽいがグレイモンを思いきり振り上げようとして、

 

「なっ!?」

 

バキィッ!という破砕音と共に、足元の地面が砕けた。

地面が耐え切れなかったのだ。

そのまま俺達は空中に投げ出される。

 

「リアッ!? タイシッ!?」

 

背後からクラウディアの悲痛な声が聞こえたが、俺達はそのまま落下していく。

 

「ッ!?」

 

見る見る雲海が近付いてきて、落下速度は加速していく。

 

「エミリア!」

 

俺は空中で何とか体勢を整えつつ、エミリアに手を伸ばす。

 

「タイシさんっ!」

 

エミリアも俺に手を伸ばす。

何度かつかみ損ねるが、互いに必死に手を伸ばして手を掴み合った。

そのままエミリアを引き寄せる。

すると、

 

「…………ごめんなさい、タイシさん」

 

悲しそうな表情で、エミリアは謝った。

 

「私の勝手な行動で、タイシさんまで………」

 

エミリアはそう言うが、

 

「謝るのは後にしろ」

 

「えっ?」

 

俺の言葉にエミリアは呆けた声を漏らすが、俺はエミリアを引き寄せて胸に抱きしめる。

そのままデジソウルをエミリアごと全身に纏うと、

 

「グレイモン! 下が地面か海かは分からないが、落下の直前に思いっきりぶっ放せ!」

 

「それは……!?」

 

「メガフレイムの威力で少しでも落下の衝撃を和らげるんだ! 安心しろ! エミリアは俺が護る!」

 

「ッ! 分かった!」

 

グレイモンは頷くと、俺達を抱えながら眼下に目をやる。

俺達は、そのまま雲海に突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

【Side エミリア】

 

 

 

 

 

 

落下していく私達。

私はせめて、巻き込んでしまったタイシさんに謝ろうと謝罪の言葉を口にした。

だけど、タイシさんはこんな状況でも全く諦めていなかった。

少しでも生き残る可能性を高めようと、考えを巡らせていた。

 

「…………………………」

 

私はタイシさんの胸に抱かれながら、彼の心音を聞いていた。

彼の心音を聞いていると、不思議と心が落ち着いてくる。

つい先ほどまで死の絶望感に囚われていたのに、いつの間にか生きる希望が湧いてきた。

タイシさんは抗っていた。

『死の運命』から。

最期の最後まで諦める事無く抗い続けている。

そんな彼を見ていると、私も諦めてちゃいけないと『勇気』が湧いてくる。

そして同時に、私は自分の中の『ある感情』に気付いた。

それはきっと、ずっと前から持っていたもの。

その気持ちに、私はずっと気付かない………

ううん、気付かない振りをしてきた。

だって、この『気持ち』は、恋人が居るタイシさんにとって、迷惑なものだから。

だけど、もう誤魔化せない。

だからせめて、『勇気』を持って自分の気持ちと向き合おう。

 

「タイシさん!」

 

私は彼の名を呼ぶ。

 

「エミリア……?」

 

彼が私の方を向くと、私はデジヴァイスを強く握りしめ、

 

「私は………! あなたが好きです!!」

 

『勇気』を出してその言葉を口にした。

 

「えっ…………?」

 

彼は虚を突かれたような表情をする。

解ってる。

彼がこの想いを受け入れる事は無い事ぐらい。

だけど、せめて伝えたかった。

私の『初恋』を。

 

「…………エミリア………俺は………ッ!?」

 

彼が何か言おうとした瞬間、私のデジヴァイスが強いオレンジ色の光を放った。

 

「これはっ………!」

 

タイシさんが驚愕の声を漏らす。

この光は、アグモンがグレイモンに進化した時と同じ………

ううん、あの時よりも更に強い光。

その時、デジヴァイスの中央の画面に、あの時と同じ太陽のような紋章が浮かび上がった。

それに伴って、グレイモンが光を放つ。

 

「グレイモン………! 超………進化ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

グレイモンが巨大化していき、頭部と左腕が機械化していく。

背中には翼が広がり、感じていた浮遊感が消えた。

光が消えていき、私の眼に映ったその姿は……………

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

大士達が浮島から落下してしまった直後、

 

「ドルガモン! リアやタイシ達を助けに行くんだ!」

 

クラウディアがそう叫ぶが、

 

「駄目だ! 俺は大士に皆を護る様に頼まれた! ここを離れる訳には行かない!」

 

「だが……!」

 

「俺は大士を信じてる!」

 

「ッ!?」

 

ドルガモンの言葉にクラウディアが息を呑んだ時、再びミサイルが降り注ぐ。

 

「クッ!」

 

ドルガモンはブレイブシールドで防いでいたが、やがて制限時間が来たのか、ブレイブシールドは消えてしまう。

 

「くそっ!」

 

それでも迫って来るミサイルに、ドルガモンは自分の身を挺して皆の盾となった。

 

「うわぁっ!?」

 

ミサイルによって激しいダメージを受けたドルガモンは、ドルモンに退化してしまう。

 

「ドルモン!」

 

クラウディアがドルモンに駆け寄る。

 

「クラウディア!」

 

ワーガルルモンの声が聞こえてクラウディアが顔を上げると、そこにはメタルグレイモンが左腕を振り被った姿が。

 

「ッ!」

 

「うぉおおおおおおおおおっ!!」

 

その左腕が振り下ろされた瞬間、ワーガルルモンが駆け込んできてその一撃を受け止める。

 

「ぐぅっ!?」

 

だが、パワーではメタルグレイモンの方が上回っており、ワーガルルモンは膝を着く。

 

「ワーガルルモン!?」

 

クラウディアが声を上げる。

メタルグレイモンがニヤリと笑みを浮かべるように目を細め、そのままワーガルルモンを圧し潰そうと力を込め、

 

「ワー…………!?」

 

クラウディアが声を上げようとした瞬間、

 

「トライデントアーム!!」

 

後方から3本の爪の付いた槍のような物が伸びて来て、メタルグレイモンの頭部に直撃。

大きく仰け反らせると、そのまま仰向けに転倒させた。

 

「何だ!?」

 

クラウディアが思わず声を漏らす。

すると、伸びてきた槍のような物が縮みながら戻っていき、クラウディアはその先端部を目で追いながら後ろに視線を向けると、

 

「メタルグレイモン!!!」

 

そこには名乗りを上げたもう1体のメタルグレイモンの姿があった。

だが、ボスデジモンのメタルグレイモンとは違い、その体表は通常のグレイモンと同じくオレンジ色に青いラインの刻まれたものだった。

そして、その右手には、

 

「リア! タイシ!」

 

エミリアと大士の無事な姿が。

 

「クラウ! 心配かけてごめんなさい! でも、もう大丈夫です!」

 

エミリアがそう叫ぶ。

オレンジ色のメタルグレイモンが皆の前に着地すると、右手に乗せていた2人を地面に下ろす。

クラウディア達が駆け寄ると、

 

「リア! タイシ! 無事でよかった!」

 

2人の無事を喜ぶ。

 

「ドルモン、大丈夫か?」

 

「うん、ちょっとやられちゃったけど、平気!」

 

大士は傷付いたドルモンを労う。

それからクラウディアはメタルグレイモンを見上げ、

 

「このメタルグレイモンは………まさか、リアのグレイモン!?」

 

クラウディアが気付いたようにそう叫ぶと、

 

「はい! グレイモンが進化した、メタルグレイモンです!」

 

エミリアはハッキリとそう答える。

すると、メタルグレイモン(青)が起き上がると、エミリアのメタルグレイモンを睨み付ける。

 

「ガァアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

メタルグレイモン(青)は威嚇する様に咆哮を上げると、メタルグレイモンに向かって突っ込んでくる。

 

「皆、下がって!」

 

メタルグレイモンが皆を庇うように前に出ると、メタルグレイモン(青)を迎え撃つ。

互いの頭部をぶつけ合い、組み付き合うと、力比べの体勢になる。

だが、ワクチン種とウイルス種を比べれば、基本的にウイルス種の方が単純な力は上だ。

徐々にエミリアのメタルグレイモンが押されていく。

その時、メタルグレイモンの胸のハッチが開く。

 

「なっ!? あの距離でギガデストロイヤーを撃つつもりか!? 自分も吹っ飛ぶぞ!?」

 

大士が思わず叫ぶ。

密着状態でギガデストロイヤーが爆発すれば、自分にも致命的なダメージを受けるため、メタルグレイモンが自爆覚悟で攻撃を行うのかと大士は思ったのだ。

だが、

 

「ジガストーム!!」

 

そこから放たれたのはミサイルではなく、高熱のエネルギー波。

 

「ガァアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

そのエネルギー波を諸に受けたメタルグレイモン(青)はそのエネルギー波に圧されて後方に吹き飛んでいく。

そのまま地面に着弾して爆発に飲まれる。

 

「何だ!? 今の技は!?」

 

大士は自分の知らないメタルグレイモンの必殺技に驚愕の声を漏らす。

大士はDアークを取り出すと、メタルグレイモンのデータを表示した。

 

「メタルグレイモン 完全体 ワクチン種 サイボーグ型デジモン。必殺技は、『トライデントアーム』、『ギガデストロイヤー』、『ジガストーム』…………ジガストーム………?」

 

そのデータには新たな必殺技の名が明記されていた。

煙が晴れていくと、そこにはボロボロになったメタルグレイモン(青)の姿。

メタルグレイモンはそれを見据えると、胸部を突き出すようにどっしりと構え、

 

「ギガデストロイヤー!!」

 

今度こそ2発の有機体系ミサイルを放った。

2発のミサイルは、煙の尾を引きながらメタルグレイモン(青)に向かい、核弾頭級と言われるその威力の爆発を遺憾なく発揮し、メタルグレイモン(青)を吹き飛ばした。

 

「チャンスだ!」

 

メタルグレイモン(青)を倒したことで、戦況が大きく傾き、大士は攻勢に出るように叫ぶ。

 

「ホーリーアロー!!」

 

エンジェウーモンが光の矢でメガドラモンに攻撃。

その矢は頭部に当たり、大きく仰け反らせる。

そして、それは大きな隙となった。

 

「ライジングデストロイヤー!!」

 

ライズグレイモンが機械翼を広げ、そのビーム砲にエネルギーを溜めると、一気に解放。放たれたビームは拡散せずにライズグレイモンの目の前で収束。

強烈なレーザービームとなってメガドラモンを飲み込み、消滅させた。

更に、

 

「トライデントアーム!!」

 

メタルグレイモンが左腕のワイヤー付きクローをギガドラモンに向けて伸ばす。

ギガドラモンは、ギリギリその攻撃を躱した。

しかし、

 

「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」

 

メタルグレイモンが伸ばしたワイヤーの上を、ワーガルルモンが掛けて来ていた。

ワーガルルモンはギガドラモンのすぐ横に辿り着くと飛び掛かり、

 

「カイザーネイル!!」

 

「クギャァアアアアアアアアアアアッ!?」

 

その爪でギガドラモンに大きく傷を付ける。

 

「「今だ!」」

 

それを好機と見たパイルドラモンが、2門の生体砲を向け、

 

「「デスペラードブラスター!!」」

 

ギガドラモンにエネルギー波の嵐を浴びせた。

カイザーネイルによるダメージも相まって、ギガドラモンは耐えきれずに消滅する。

その消滅していく粒子を見て、

 

「…………やった?」

 

カイルが現実感無く呟く。

 

「ああ、やったよ」

 

大士が肯定する。

 

「やったんだ……! 俺達……! あの誰もクリアした事の無い、最高レベルのデジタルダンジョンを………!」

 

カイルも徐々に実感してきたのか、嬉しそうな声を漏らす。

それぞれが喜ぶ中、大士は気まずそうにエミリアを見ていた。

エミリアもその視線に気付くと、大士に歩み寄っていく。

 

「タイシさん………」

 

「エミリア………俺は………」

 

「何も言わなくていいです。ただ、私が伝えたかっただけです」

 

「でも………」

 

「でも1つだけお願いがあります」

 

「お願い……?」

 

「タイシさんは、いつか元の世界に帰ると思います。ですから、その時まで、今まで通り一緒に居てください」

 

エミリアは笑みを浮かべながらそう言う。

 

「……………………」

 

その顔に悲壮感は無いが、大士は何処となく悲しそうにも見えた。

エミリアはそれだけ言うと踵を返して皆の所に賭けていく。

 

「ッ…………!」

 

大士は一瞬その背に手を伸ばそうとしたが、すぐに降ろす。

 

「…………………俺は」

 

大士は自分の気持ちに戸惑っていた。

少なからずエミリアに………

いや、エミリアだけではなく、アリス、エリス、そしてクラウディア………

この4人の少女達に、少なからず惹かれている事に………

 

「…………ホント、俺って最低だよな………?」

 

5人の恋人が居るくせに、また別の少女達を好きになろうとしている自分に自己嫌悪している。

 

「はぁ……………」

 

大士は色々な意味を込めて、深いため息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 








オリジナル異世界編第24話です。
今回はメタルグレイモンの進化でした。
でもって敵もメタルグレイモン(青)。
ハジメのパートナーと被ってるんで、如何かな~とは思ったんですけど、でも一番盛り上がりそうだったのがコイツだったから思い切って出しました。
そんな中、エミリアが遂に自分の想いを自覚&告白までやってしまいました。
その時に出した『勇気』で進化です。
でもって大士も結構ヒロイン達への想いを自覚し始めました。
この先は一体どうなるのか!?
次回をお楽しみに。

葵とリュウダモンだけでも早く合流させるべきか?

  • 早く合流させるべき。
  • 合流する時は嫁全員で。
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