ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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今日は2話同時投稿です。
前話を先にお読みください。


第27話 大士の決意! 咆哮、ドルゴラモン!!

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

「皆ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

振り下ろされた巨大な拳。

見えなくなったエミリア、クラウディア、アリス、エリスの姿。

その場に響くカイルの叫び。

 

「そ、そんな…………」

 

その光景に、気丈に振る舞っていたリティナも悲痛な声を漏らす。

 

「クラウディア…………」

 

「くそっ………!」

 

フォルダ公爵とクラウスも、娘であり妹であるクラウディアを失った悲しみを受ける。

 

「ふっ、ふっはっはっはっはっは! 何が『運命』に逆らうだ! 結局ただの戯言ではないか!」

 

ガビエルは笑い声を上げる。

それから辺りを見回すと、

 

「エミリア………!」

 

「クラウディア………!」

 

「アリス」「エリス………!」

 

先程吹き飛ばされたメタルグレイモン、ワーガルルモン、パイルドラモンが身を起こしてその場を見つめた。

 

「どうだ? お前達の主人は死んだぞ?」

 

ガビエルは愉悦を浮かべながらそう口にした。

だが、

 

「………………違う」

 

メタルグレイモンが呟く。

 

「何?」

 

その言葉にガビエルが怪訝な声を漏らす。

 

「エミリアはまだ生きている………」

 

驚愕の一言を口にした。

 

「えっ?」

 

カイルがその言葉に顔を上げる。

 

「ああ………俺にも分かる………クラウディアの心が」

 

ワーガルルモンも、メタルグレイモンの言葉に同意した。

 

「「もちろん俺達にも分かる………! アリスとエリスはまだ生きている!」」

 

パイルドラモンも確信を持った言葉でそう口にした。

 

「何を世迷いごとを………! こうして現にお前達の主人は…………!」

 

ガビエルが戯言と切り捨てようとして、ヴェノムヴァンデモンが繰り出した拳の先に視線を向けた瞬間…………

ヴェノムヴァンデモンの拳の周りに漂っていた砂煙を吹き飛ばしながら、金色の光が溢れた。

 

「なっ!?」

 

ガビエルが驚愕の声を漏らし、

 

「あのデジソウルは!」

 

カイルが見覚えのある光に期待の声を上げた。

それは、

 

「タイシさん………」

 

「タイシ………」

 

「タイシ………!」

 

「………タイシ」

 

エミリア、クラウディア、アリス、エリスの前に立ちはだかり、ヴェノムヴァンデモンの巨大な拳を、自分の拳で受け止めている、全身から金色のデジソウルを噴出させている大士の姿だった。

 

「……………お前達は…………本当に……………!」

 

ヴェノムヴァンデモンの拳を受け止めながら、大士は呟いた。

 

「………いいや、誤魔化すのは止めにしよう………!」

 

大士はまるで自分に言い聞かせるように呟く。

 

「タイシさん?」

 

エミリアが呟くと、

 

「俺は………お前達を死なせたくないと思っている………!」

 

「タイシ………?」

 

クラウディアが、

 

「その位…………お前達が『大切』な存在になったんだ………!」

 

「タイシ?」

 

アリスが、

 

「そうと分かれば…………もう迷う事は無い…………!」

 

「…………タイシ?」

 

エリスがそれぞれ怪訝な声を漏らした。

 

「…………俺は………自分の『大切』は命を懸けてでも護る!」

 

その言葉と共に、大士の全身から噴き出すデジソウルの勢いが増す。

 

「ヴォッ!?」

 

その瞬間、ヴェノムヴァンデモンが驚愕した様に顔を顰めた。

次の瞬間、

 

「はぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

大士が拳を振り切った。

それと共に、ヴェノムヴァンデモンの拳が大きく跳ね上げられ、

 

「ヴヴォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?!?」

 

その勢いに耐えきれなかったヴェノムヴァンデモンは、そのまま仰向けに転倒した。

 

「なあ゛っ!?」

 

その事実に、ガビエルは驚愕を隠し切れない。

 

「究極体を………押し返した………?」

 

「タイシ………凄い………!」

 

アリスとエリスが驚きで声を漏らす。

大士は振り向くと、

 

「言っただろ? 『勇者』の真似事なら出来るって」

 

エリスの好きな物語。

それには、究極体を殴り倒す勇者の物語があった。

とは言え、押し倒しただけではダメージは無いに等しい。

ヴェノムヴァンデモンは忌々しそうな声を上げながら立ち上がった。

その顔は、大士に対する怒りで染まっている。

 

「くっ………………!」

 

立ち上がったヴェノムヴァンデモンを見て、クラウディアが身構える。

すると、

 

「ここは、俺達に任せろ」

 

大士はそう言って4人を護る様に背を向ける。

 

「お前達は俺の『大切』な存在…………」

 

大士はDアークを取り出す。

 

「俺は、俺の『大切』を傷付け、奪おうとする『敵』には容赦はしない………!」

 

その言葉と共に、大士の全身に纏っていたデジソウルが勢いを取り戻す。

 

「『全力』で………叩き潰す………!」

 

そして、

 

「うおぁああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

大士の咆哮と共に、全身からデジソウルが爆発的に噴き上がる。

更に大士は、それを『意志』の力で制御する。

全身から噴き上がっていたデジソウルが圧縮され、高密度のオーラとなって全身を覆う。

 

「行けるな、ドルモン!」

 

「もちろんさ!」

 

大士の呼びかけに、いつの間にか立ち上がっていたドルモンが応えた。

大士はDアークを突き出した。

 

――ULTIMATE

  EVOLUTION――

 

Dアークの画面に、その文字が刻まれる。

 

「デジソウルチャージ! オーバードライブ!!」

 

身体中に集約されたデジソウルをDアークに叩き込んだ。

Dアークから光の奔流が溢れ、ドルモンを包む。

 

「ドルモン進化!」

 

ドルモンの腕が分解され、灰銀の甲殻を持つ獣竜の腕として再構成される。

ドルモンの脚が分解され、灰銀の甲殻を持つ獣竜の脚として再構成される。

ドルモンの体が分解され、灰銀の甲殻を持つ獣竜の体として再構成される。

ドルモンの頭が分解され、灰銀の甲殻を持つ獣竜の頭として再構成される。

それは、灰銀の甲殻を持ち、青い翼膜の翼を持った獣竜であり、ドルモンの究極体としての姿。

 

「ドルゴラモン!!」

 

ドルゴラモンが、咆哮を上げながらその場に現れる。

 

「こ、この進化は………!?」

 

「もしかして………!」

 

クラウディアとエミリアが、今まで見た事の無い進化に声を上げる。

 

「ドルゴラモン。ドルモンが究極体に進化した姿だ」

 

大士がそう口にする。

 

「ドルゴラモン…………」

 

「究極体にも進化させることができたのね………」

 

エリスとアリスが呆然と呟く。

ドルゴラモンは翼を広げてヴェノムヴァンデモンの前に浮かび上がる。

 

「ぐっ! 究極体に進化したからと言って何だ!? 私のヴェノムヴァンデモンの敵ではない!」

 

ガビエルが動揺を振り払うように叫ぶと、ヴェノムヴァンデモンは拳を振り被り、ドルゴラモンに殴りかかった。

振り下ろされる拳がドルゴラモンに直撃する。

 

「ああっ……!」

 

「まともに受けた……!?」

 

エミリアとクラウディア声を上げた。

究極体に進化したとはいえ、ドルゴラモンの全長は30m程。

全長200mのヴェノムヴァンデモンが繰り出す拳をまともに受けては、傍目から見れば無事で済むようには思えなかった。

 

「フッ…………」

 

それはガビエルも同じようで、余裕の笑みを浮かべた。

だが、すぐにおかしい事に気付いた。

ドルゴラモンは空中に浮いていた。

空中でヴェノムヴァンデモンの攻撃を受ければ、先程のメタルグレイモン達と同じように吹き飛んでいくのが普通だ。

それなのに、ヴェノムヴァンデモンの拳の直撃を受けても、微動だにしていないのだ。

それの意味する所は、

 

「ドルゴラモン………」

 

大士はその名を口にしながらヴェノムヴァンデモンを指差す。

それに応えるように、ドルゴラモンが両腕を広げ、殴りかかって来たその拳を掴んだ。

 

「ヴォッ!?」

 

ヴェノムヴァンデモンが声を漏らした瞬間、大士はヴェノムヴァンデモンに指していた指を、勢い良く空に向けた。

その瞬間、

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

「ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?!?!?」

 

ドルゴラモンが掴んだ拳を真上に振り上げ、そのままヴェノムヴァンデモンを上空に放り投げた。

全長30mのドルゴラモンに、全長200mのヴェノムヴァンデモンが投げられる光景は、正に驚愕物だ。

ヴェノムヴァンデモンは、錐揉み回転しながら上昇していたが、その翼を広げて空中で体勢を立て直す。

そして、ドルゴラモンの姿を確認したその時、

 

「ヴヴォァ!?」

 

驚愕の声を漏らした。

何故なら、ドルゴラモンは全身にエネルギーを纏い光り輝いていたからだ。

 

「…………やれ、ドルゴラモン」

 

大士は静かに告げる。

 

「ブレイブメタル………!」

 

次の瞬間、ドルゴラモンは全身にエネルギーを纏ったまま、ヴェノムヴァンデモンに向かって突撃した。

 

「ヴォッ………!?」

 

ヴェノムヴァンデモンは、慌てて両腕で防ごうと手を伸ばしたが、

 

「ヴォァッ!?」

 

伸ばした両手はあっさりと砕かれ、そのまま胴体を貫通。

上下に分断されたかと思った次の瞬間、遅れてやって来た衝撃波によって、全身を粉々にされて消え去った。

 

「なっ!? なっ!? なっ!?」

 

ガビエルは信じられないのか、口をパクパクさせて驚愕している。

だが、まだ終わりでは無かった。

 

「ドルゴラモン」

 

大士は空を指していた指をまだ遠くにいる100万の魔物の群れに向けた。

すると、ドルゴラモンは口にエネルギーを集中させ、

 

「ドルディーン………!」

 

そこから破壊の衝撃を放つ。

レーザーの様に放たれた破壊の衝撃は、魔物の大群の中央を端から端へ横一直線に薙ぎ払われる。

そして…………

一瞬世界から音が消えたかと思うほどの轟音と共に、魔物の大群全てを飲み込む大爆発が起こり、その全てを消し去った。

 

「……………な、何なんだ………? 何なんだ貴様は!? 何故ヴェノムヴァンデモンがあっさりと負ける!? 貴様のデジモンの強さは一体何なんだ!?」

 

ガビエルは、現実を受け入れられないのか喚き散らす様に叫んだ。

 

「甘いな。同じ究極体でも、その中にもピンからキリまで存在する。お前のヴェノムヴァンデモンは中の上から上の下。究極体の中でも中々強い方だが、相手が悪かったな。俺の相棒のドルゴラモンは、上の上の力を持っている。その差によっては、デジモンの世代以上の力の差があるんだよ」

 

大士はそう言い放つ。

 

「ぐぐぐ……この屈辱………忘れんぞ!」

 

ガビエルは翼を大きく広げる。

逃げようというのだろう。

しかし、

 

「おい、まさか逃げられると思っているのか?」

 

大士の言葉と共に、ガビエルに影が掛かった。

 

「えっ………?」

 

ガビエルが素っ頓狂な声を上げながら見上げると、目の前にはドルゴラモンの姿。

その直後、ガビエルはドルゴラモンの手によって握られた。

 

「ひぎっ!?」

 

情けない声を上げるガビエル。

そのままドルゴラモンが地上に降りて来て、大士の前に放り投げられる。

 

「うぎゃっ!?」

 

変な体勢で放り投げられたガビエルは着地に失敗して地面に倒れる。

 

「おのれぇ………!」

 

忌々しそうな声を上げるが、その前にデルフリンガーを手にした大士が歩み寄り、立ち止まった。

すると、

 

「ま、参った! 降参する!? もう人間国には手を出さない! だから、命だけは!!」

 

みっともない姿で命乞いを始めた。

 

「………………」

 

大士はその姿を見下ろす。

 

「頼む! お願いします! 私には愛する妻と娘が居るのです! ここで死ぬわけにはいかないんです!」

 

土下座しながらそう懇願するガビエル。

 

「……………お前は、この都市に攻め込むまでに、一体どれだけの村を滅ぼしてきた?」

 

大士の言葉に、ガビエルはギクッと心臓が飛び跳ねるのを感じた。

 

「その村にも、お前と同じように愛する家族を持った者がいただろう。助けを乞う者も居ただろう。そんな彼らに、お前はどう答えた?」

 

「……………………」

 

ガビエルは冷や汗をダラダラと流しながら何も言えない。

 

「答えないか? まあ、言わなくても大体わかる。大方、その様子を見て笑って殺戮を楽しんでいたか、愉悦に浸っていたか………そんな所だろう」

 

「ッ……………!」

 

ガビエルは図星を突かれて僅かに声を漏らす。

 

「………………まあ、そんな事は如何でもいい。言っちゃ悪いが、俺にとっては顔も知らない赤の他人だ。お前が何人殺そうと俺には関係の無い事だ」

 

「ッ………ではっ!」

 

ガビエルは、生き残る希望が見えたと顔を上げた。

しかし、大士は冷たい目でガビエルを見下ろしている。

 

「だが、お前は俺の『大切』を奪おうとした…………俺は、俺の『大切』を奪おうとする『敵』には容赦しないと決めている………!」

 

「このっ………死ねぇ!!」

 

ガビエルは旗色が悪くなったと判断し、即座に大士に襲い掛かった。

だが、

 

「その中でもお前は………特にムカつく奴だった」

 

それよりも早く、大士の一閃がガビエルの身体を両断していた。

ドシャッと、力を失ったガビエルの身体が崩れ落ちる。

当然だが、ガビエルは絶命していた。

大士は、デルフリンガーに付いた血を、血振りをして振り払うと鞘に納める。

そして、その様子を見ていたエミリア達4人に向き直った。

 

「……………怖いか?」

 

大士はそれだけを問いかけた。

その問いの中には、ドルゴラモンに対して。

そして、容易く命を奪った自分に対してという意味が込められている。

すると、エミリアはブンブンと勢い良く首を横に振り、

 

「怖くなんてありません! それは、少しはビックリしましたけど、怖くなんて無いです!」

 

そう言った。

 

「だって、タイシさんは、私達の為に怒ってくれたんですよね?」

 

「…………まあ、な」

 

「でしたら、怖がるなんて的外れです!」

 

エミリアはそう言い切る。

 

「それに、あんな奴を見逃してたら、逆に見損なってたわよ」

 

アリスもそう言い出す。

 

「タイシの言った通り、あの魔族は許せない事を沢山した。あの命乞いだって、本当の事かどうか怪しい」

 

エリスも冷静に分析している。

 

「タイシ……………感謝する」

 

クラウディアは頭を下げた。

 

「そんな感謝は要らねえよ」

 

クラウディアの言葉に、大士はそう返す。

 

「だが、他の者はともかく、私は………」

 

「言った筈だ。お前達は俺の『大切』になったと………その『大切』の中には、もちろんお前も入ってるんだぜ、クラウディア」

 

「ッ……………!」

 

その言葉に、クラウディアは頬を染める。

すると、リティナとカイル、そしてフォルダ公爵とクラウスが歩み寄って来た。

そして、

 

「感謝する、タイシ殿。この街の危機を救い、我らを護ってくれた事、この領の領主として、厚くお礼申し上げる」

 

フォルダ公爵はそう言って頭を下げる。

 

「わたくしからもお礼を申し上げます。あなたのお陰で、この王国は滅亡の危機を免れました」

 

リティナは王女として礼を述べる。

大士は頭を掻き、

 

「俺は自分の『大切』を護る為に戦っただけだ。この街や国が助かったのは唯の『ついで』で『偶然』。運が良かった程度に思っといてくれ」

 

そんな大士の様子を見て、

 

「やはりタイシ殿は変わりませんね。普通なら、莫大な恩賞や名誉を要求しても文句は言われませんよ?」

 

「そう言うのには興味無いんで結構だ」

 

リティナは予想通りの反応にクスクスと笑みを零した。

 

「では、せめてこの街を救ってくれた英雄達を持て成したい。事後処理があるのですぐには無理だが、数日以内には準備させよう。勿論、その間の滞在費もこちらで持つ。その位は受けてくれないかね?」

 

フォルダ公爵は大士にそう言う。

 

「まあ、フォルダ公爵にも面子はあるんでしょうし、その位は構いません」

 

「助かるよ」

 

フォルダ公爵はホッとしたように頷く。

すると、

 

「あの………それなら………」

 

エミリアがおずおずと発言した。

 

「その間に、フェート村の様子を見に行って構いませんか?」

 

「フェート村に? だが………」

 

フォルダ公爵は言い淀む。

何故なら、フェート村は魔物達の侵攻してきた魔族領に近い辺境の村。

他の村と同じように壊滅している可能性が非常に高い。

 

「分かっています。村がもう無くなっている事は………ですから、せめて皆を弔ってあげたいんです。それがせめてもの………村の皆に出来る最後の事です………」

 

エミリアは全てを分った上でそう言っていた。

 

「………わかった。許可しよう」

 

フォルダ公爵は頷く。

 

「では、フェート村に行くまでの移動手段は………」

 

「それなら、ドルゴラモンで行った方が速い」

 

その言葉の途中で、大士がそう言った。

 

「ドルゴラモンに乗って飛んでいけば、すぐに着く」

 

「タイシさん…………」

 

「私も行こう」

 

クラウディアがそう言う。

 

「クラウ………」

 

「あの村には少しの間だが世話になった。せめて、その恩には報いたい」

 

「ありがとう………クラウ………」

 

すると、

 

「わたくしも参りますわ。わたくしもお世話になりましたし、何よりカイルの故郷です。せめてできる事はしたいですから…………」

 

「………ありがとう、リティナ」

 

カイルはそう礼を言った。

 

 

 

 

 

そして、事後処理をフォルダ公爵達に任せた大士達は、ドルゴラモンに乗ってフェート村へと向かっていた。

その途中、

 

「これが………究極体…………」

 

そう呟くカイル。

 

「まあな。ドルゴラモンは究極体の中でも規格外なデジモンの1体だが」

 

究極体を目指していたカイルにとって、究極体が存在したことに対する喜びもあった。

尚、他のデジモン達だが、現在はそれぞれのデジヴァイスの中で療養中だ。

空を飛ぶドルゴラモンの眼下に、魔物達によって滅ぼされただろう村々が、いくつも過ぎ去っていく。

その中には、フェート村に向かう道中に、宿を取る為に立ち寄った村もあった。

その全ては無残にも破壊され、誰一人として生き残った者はいないようだった。

 

「………………………」

 

その村々を見て、エミリアは胸が痛いのか服の上から胸の辺りをギュッと握りしめている。

 

「………大丈夫か? エミリア」

 

大士はそう声を掛ける。

 

「………はい。覚悟はしています」

 

エミリアは気丈にもそう言う。

やがて、見覚えのある景色が近付いてくる。

森の上を通り過ぎ、森が途切れた向こうに、麦畑と、それに囲まれたフェート村が見える筈だった。

エミリアもカイルも、村が近付くにつれ、辛そうな表情を隠し切れなくなっている。

大士は、無理もないと内心思っていたので、それ以上の指摘はしなかった。

そしてついに、森が途切れ、他の村と同じように破壊されてしまったであろうフェート村が見える……………

 

「えっ!?」

 

「なっ!?」

 

「これは………!?」

 

その光景を見て、それぞれが驚愕の声を漏らす。

何故なら、フェート村の周りにあった麦畑は無残に荒らされただけでなく、壮絶な爆発があったかのように地面が大きく抉れ、クレーターとなっていた箇所が幾つもあった。

そして何より、フェート村自体には、柵が破られ、被害の出ている建物は見受けられるが、他の村々と違い、村としての形は保たれている。

その上、村の中には人影が見受けられた。

 

「ど、どうして………!?」

 

カイルは混乱交じりに声を漏らした。

確かに村が無事だったのは嬉しいが、どうやって危機を切り抜けたのか?

村の外にあるクレーターは一体何なのか?

あらゆる疑問が頭の中を駆け巡り、答えが出せないでいた。

 

「とにかく降りてみるぞ。何があったのかは、直接聞いた方が早い」

 

「う、うん」

 

大士の言葉に、カイルは頷いた。

ドルゴラモンがフェート村の入り口付近に降りると、案の定村人たちが武器を手に集まって来た。

その中には、カイルの父親であるロウの姿もある。

 

「父さん!!」

 

カイルは思わずロウに駆け寄る。

 

「カイル!?」

 

ロウも驚愕の声を漏らす。

 

「お前、どうしてここに?」

 

ロウはそう問いかけるが、

 

「それよりも! 何でこの村は無事なの!? いや、無事だったのは嬉しいけど! それに外のクレーターは一体………!?」

 

カイルもカイルで質問が纏まらない。

 

「ああ、それはな………」

 

ロウがカイルの質問に1つずつ応えようとした時、

 

―――タタタタッ!

 

何処からか軽快な足音が聞こえてくる。

その足音の持ち主は、集まっていた村人たちの隙間を縫うように掻い潜ると、一気に飛び出してきた。

そして、

 

「大士っ!!!」

 

そのままの勢いで大士に飛び掛かり、押し倒す。

突然の事態にエミリアやクラウディア、アリス、エリス、リティナ、カイルも驚愕し、動けなかった。

だが、

 

「へぁっ!?」

 

「なっ……!?」

 

「んなっ!?」

 

「ッ!?」

 

エミリア、クラウディア、アリス、エリスが素っ頓狂な声を漏らす。

何故なら、

 

「ん~~~~~~~~~っ♪」

 

「んぐっ……………!」

 

長い黒髪の女性が、大士を押し倒しながら深い口付けを交わしていたのだから。

 

 

 

 

 

 







異世界編第26話と27話です。
なんか書きたい所まで書いてたら、思ったよりも長くなったので2話に分けた………と言うより、あのタイミングで話を分けた方が自然だと感じたからです。
はい、ここでも登場しましたヴェノムヴァンデモン。
究極体として初めての敵は、こいつが一番インパクトあるかと思ったんです。
全長200mですしね。
そして大士がついに究極体を解禁。
ドルゴラモンの殲滅力を見せつけました。
そして同時にヒロイン達への好意も認めました。
そんな中、何故か無事だったフェート村と、突然現れて大士を押し倒しつつ唇を奪った黒髪の女性の正体とは!?(超すっとぼけ)
次回をお楽しみに。








で、こっから再び馬鹿なご相談です。
あのですね、大士のヒロイン達なんですけど、改めて見ると異種族ヒロイン率が少ないと唐突に思ったわけですよ。
女神な葵(アルオイス)を除けば、ハーフエルフのティファニアだけですし…………
で、唐突な思い付きでこれ以上はやり過ぎだとも感じているんですが、ヒロイン増やしていいと思いますか?
候補は2人。
1人は女帝様なサキュバス。
イメージとしては、『なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?』の冥帝ヴァネッサ。
キャラとしては、大士に劣らないデジソウルの使い手。
大士とは全力で殴り合って、その末に敗れて惚れちゃうみたいな感じで。
因みにパートナーとして、ブラックウォーグレイモンとブラックメタルガルルモン。
つまりはそう言う事。
もう1人は狐獣人の未亡人、娘付き。
イメージは、『とらいあんぐるハート3』の久遠の大人モードをもっと大人にした感じと、娘は子供モード。
性格はおそらくオリジナル?
娘はまんま久遠になりそう。
モフモフケモミミ尻尾枠。
ぶっちゃけこれやっちゃうと大士のハーレムが10人越えと言う大台に乗ってしまうので、自分でもやり過ぎ感はあるんですが………
思いついちゃった以上、出してみたいと思う気持ちもあるんです。
アンケート取りますんで皆様のご意見をお聞かせください。




新しいヒロインを増やしていいですか?

  • ここまで来たならどこまでもやってしまえ!
  • 女帝サキュバスのみ
  • 狐耳尻尾未亡人娘付きのみ
  • 流石にこれ以上は自重しましょう
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