何故かクオンの『おとーさん』になる事になってしまった出来事から一夜明け………
流石に他の学院の生徒達と合流しないわけにもいかず、クオンを連れて皆が泊っている宿へ行くと、
「ま、魔族だぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」
案の定大騒ぎとなった。
つーか、こんな小さなケモ耳美少女に大袈裟な。
「貴様! 魔族を引き入れるとは如何いうつもりだ!?」
王子サマが怒鳴り込んでくる。
その鬼気迫る表情に、抱き上げていたクオンがビクリと震えて俺にしがみ付いてきた。
俺はそんなクオンの背中をポンポンと軽く叩きながらあやし、王子サマの方に向き直ると、
「海で打ち上げられてたから拾った。息があったから介抱した。何だかんだで親元まで届けるまで、俺が面倒を見る事にした。何か問題でも?」
昨日の出来事を簡潔に説明する。
「問題しか無いだろう!? 何故『敵』である魔族を助けた!?」
王子サマは尚も叫ぶ。
「簡単な話だ。俺は『クオン』を『敵ではない』と判断した。それだけだ」
「敵ではないだと!? 何を言う!? 何処からどう見ても魔族ではないか!? 貴様も知っているだろう!? 魔族はフォルダ領に攻め入って来たんだぞ!? そもそも、その時攻めてきた魔族を仕留めたのは貴様では無かったのか!?」
次々と言葉を投げかけてくる王子サマ。
俺は溜息を吐き、
「まあ、以前見た魔族………『ガビエル』とか名乗ってたっけ? 確かにそいつは単なるクズ野郎だったから、遠慮なく『敵』認定して斬った。だが、『クオン』は違う。クオンは気が付いた時、襲い掛かってくるどころか、逆に怯えてたぞ? 俺は怯える相手に斬りかかるような非道な真似は出来ないんでね」
「だが、そいつは同じ魔族………」
王子サマが尚も言葉を続けようとした時、
「………お兄様」
リティナ王女が口を挟んだ。
「魔族だからと言って、幼子にまで手をかけてしまえば、それこそやっている事はお兄様の仰る『魔族』と同じなのでは?」
「ッ……! 何を言う!? 今は力もなく何も出来ないかもしれん! だが、やがて成長すれば、我々に牙を剝くに決まっている!」
「お兄様は、そんな不確定な可能性の話で幼子を手に掛けるのですか?」
「私は王族として、国民を護る義務がある! その務めを果たそうとしているだけだ!」
「そうですか…………わたくしは、その選択は逆に国民を危険に晒す可能性が高いと思いますが?」
「何だと!?」
「仮に彼女を手に掛けたとしましょう。確かに彼女自身に襲われる心配は無くなります。しかし、子供を殺された親からすればどうでしょう?」
「ッ…………!?」
「子を殺された親はほぼ確実に人間を憎むでしょう。もしかすれば、この子に近しい魔族が全て憎しみを持つかもしれません。そうなれば、国民達の危険はより一層増す事でしょう」
「ぐっ………それこそ可能性の話だ! そもそも、魔族は根本的に『人間族』を憎んでいる! 子供を1人2人殺したところで変わりはせん!」
「そうでしょうか? 彼女を見るに、とても『人間族』を憎んでいるようには思えませんが? むしろ、タイシ殿には懐いている節すら見受けられます」
「そ、それはそのように取り入る術を熟知しているに過ぎん! 本性はもっと残虐に決まっている!」
「埒があきませんね…………」
リティナ王女が大きく息を吐くと、
「では、こう考えては如何でしょう? 危険の可能性があるからこそ、今現在最大の戦力を誇るタイシ殿が監視に付いている………と」
「それは…………」
「そもそもタイシ殿は、お兄様が如何言おうと考えを変える方では無い事は、十分にご存じのはずですが?」
「む………」
「タイシ殿は一度決めたらそれを貫きます。それほどの『意志』と、そして『力』を持っています。そのタイシ殿の前に立ちはだかるなら、相応の『覚悟』が必要ですよ」
「ッ………………」
王子サマも、漸くその事に気付いたのか、何も言えなくなる。
「まあ心配するな。王都に戻ったら、必要な買い出しを済ませてすぐに魔族領に向かうつもりだから」
「「「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」」」
俺の言葉に、多くの人間が素っ頓狂な声を漏らした。
「クオンを親元まで送り届けるって言っただろう? 魔族領に行くのは当然だろうが」
俺は理由を説明する。
「もちろん、私も付いて行くからね」
葵も便乗してそう言う。
「だ、大丈夫なんですか?」
リティナ王女がそう問いかけてくる。
「クオンが生きて流れ着いたという事は、人間国からさほど離れた場所じゃ無いだろうし、海沿いに伝って行けば、探し当てるのはそこまで難しい事じゃないと思うぞ。身の危険に関しては、俺達には無用な心配だ」
「…………それもそうですね」
リティナ王女は苦笑した。
その後、何だかんだでクオンの同行を認めさせ、あっという間に修学旅行の最終日となった。
そして、今は帰路に着いているのだが、当然ながら俺は馬車での移動は乗り物酔いで倒れてしまう。
そんな姿を、仮にも娘であるクオンに見られるのは、父親としての威厳が損なわれてしまう。
よって、
「ひゃっほー!」
「おとーさん、すごいすごーい!」
魔力駆動二輪をお披露目して、クオンを一緒に乗せながら走っていたりする。
娘に情けない姿を見られたくないという理由で今まで隠していた魔力駆動二輪をお披露目してしまう俺もなんだかな…………
だが、嬉しそうにはしゃぐクオンを見ていると、俺も嬉しくなってくる。
俺は更にアクセルを吹かし、クオンが満足するまで走り続けた。
それからまた数日後。
俺は予定通り、クオンの母親を探す旅に出る為の準備を行おうとしていた。
していたのだが…………
「国王様が俺を呼んでるって?」
俺はクオンを保護したことに対する文句でも言われるのかと思ったが、
「ええ………正確には、タイシ殿だけではなく、召喚された勇者全員ですが…………」
リティナ王女の言葉に、俺は違うと判断する。
「一体何の用だ?」
「詳しい事は分かりませんが、どうやらつい先日、エクスプローラー聖国から使者が来たようなのです」
「『エクスプローラー聖国』って…………確かデニティス教の総本山があるんだったか?」
「はい、その通りです」
「ふむ…………」
俺は少し考え、
「わかった。呼び出しに応じよう」
国王様からの呼び出しに応じる事にした。
クオンを葵に任せ、ドルモンと共に王宮に行くと、謁見の間に通される。
そこには既に、山口と中島さんとパチモン勇者が居た。
玉座に国王様が座ると、
「諸君、突然の呼び出し応えて貰い、感謝する」
国王様がそう切り出す。
「先日、エクスプローラー聖国から使者が参った。デニティス神よりお告げがあり、其方達4名を正式に『勇者』として任命し、世界全土に公表したい。その為、一度エクスプローラー聖国にあるデニティス教の大聖堂に参り、『祝福』を受けて貰いたい、とな」
その言葉に、他3名はよくわかっていなさそうな顔だったが、要はデニティス教の威信を盤石にするためのプロパガンダにするって言ってるんじゃないのか?
これでもし、デニティス教が任命した『勇者』が世界を救ったとなれば、教会はそれを自分達の功績にするだろう。
それによって世界の人々の心を更に掴むと。
「ぶっちゃけ普通に考えれば、そんなのはお断りなんだがなぁ………」
思わず声に出してしまう。
「やはり無理かな?」
国王様は、俺に対しては元から断られるだろうと分かっていたのか、余り取り乱してはいない。
だが、俺は少し考えると、
「いや………その国に行くだけなら別に構わない」
「ほう?」
国王様は意外そうな声を漏らす。
「まあ、最終的に断るのは変わらないがな」
エクスプローラー聖国に行くのは、その国ならデニティス神についてもっと調べられると思ったからだ。
「同行者がいてもいいんだろう?」
「それは構わん。元々護衛として、騎士達が何人が付く予定だ」
国王様の許可は取れた。
葵をその国に連れて行けば、この世界の秘密が何かしら分かるかもしれない。
「出発は何時になるんだ?」
一ヶ月後とかだったら、先にクオンの母親を探しに行けるんだが………
「急な話だが明日だ」
「ホント急だな!?」
普通ならどんなに急でも1週間ぐらいは準備期間を取るんじゃないのか!?
「そのことについては詫びよう。だが、教会からの勅命では、こちらも強くは出れんのだ」
こう言う宗教優位なところはトータスと一緒だな。
この分だと、デニティス教の教皇もイシュタルの爺みたいな奴じゃないだろうな………?
どう考えても期待はできない。
つーか、他の3人は何か喋れよ。
状況に流されるままだとろくなことが無いぞ。
学院に戻ると、
「ってわけで、突然だがデニティス教の総本山のエクスプローラー聖国に行くことになった」
「りょーかーい!」
俺の言葉に、葵が何の疑問も持たずに頷いた。
「ちょっと待ちなさい!」
アリスが叫ぶ。
「何でいきなりエクスプローラー聖国に行くことになってんの!?」
やはりそこは疑問に思う所か。
「何でも、召喚された奴らをデニティス教の教会の方で正式に『勇者』認定したいらしい」
「教会で認定した『勇者』が世界を救ったとなれば、教会の威信が高まるから?」
エリスが俺と同じ推測をする。
「俺はそう思ってる。まあ、俺はデニティス教について調べられると思ったから、行く事には同意したが、勇者認定についてはフツーに断るつもりだぞ」
「普通に断るんですか………」
エミリアが苦笑しながら呟く。
俺らしいと思っているのだろうが、世界一の宗教であるデニティス教の認定を断るなんて、普通は出来ないからな。
「………と言う訳で、俺達は明日から出発するからな。クオン、おかーさんの所に行くのが少し遅れるけど、大丈夫か?」
俺は膝の上に乗せているクオンに聞くと、
「おとーさんと一緒なら大丈夫!」
これまた純真な笑顔で応えてくれました。
ホント癒される。
「因みに、行くときは皆さんも一緒ですよ」
リティナ王女がそう言った。
「「「「「えっ?」」」」」
一同が声を漏らす。
「エクスプローラー聖国には、王族の代表として、わたくしとお兄様も同行します。あなた達には、その護衛としてついてきて欲しいのです」
「えっと……それは構わないんだけど、そう言う時こそロイヤルナイツに護衛を頼むんじゃないの?」
カイルがそう聞くと、
「その……お恥ずかしい事ですが、ロイヤルナイツは先日の出来事でほぼ全員が自信を喪失されたり、未だデジモン達の傷が癒えきっていなかったりと、まともに護衛ができる状況では無いのです」
「それでロイヤルナイツと同等以上の実力を持つ我々に白羽の矢が立ったと………」
クラウディアが納得したように頷く。
「そういうことなら、俺は全然かまわないよ」
カイルはそう言って快諾する。
「私も大丈夫です!」
エミリアも頷く。
「当然私達もよ!」
「むしろ、護衛の話が無くてもついて行くつもりだった」
アリスとエリスも。
「もちろん私もだ」
そして、クラウディアも頷いた。
「ありがとうございます」
リティナ王女がそう言って頭を下げる。
「お礼なんて要らないよ。リティナを助けるのは当然の事だから」
「カイル………」
笑みを浮かべてそう言うカイルと、頬を染めてカイルを見つめるリティナ王女。
割とこの2人も、2人だけの世界に入るようになったなぁ。
すると、
「リティナおねーちゃんとカイルおにーちゃんは、なかよしなの?」
2人の様子を見ていたクオンがそう言った。
その言葉で、ハッと顔を赤くする2人。
「そうだな。2人はとっても仲良しだ」
それを見て、内心笑いながらクオンの言葉を肯定する。
「も、もう! 揶揄わないでよタイシ!」
カイルが顔を真っ赤にして叫び、その場は笑いに包まれるのだった。
オリジナル異世界編第33話です。
クオンの母親探しの旅を始めようと思ってましたが、急遽方針転換で先に聖国に行くことになりました。
なので、やや強引に方向転換したので短い上に無理矢理感があります。
聖国に行くという事は、神様関係を先に片付ける事になりますね。
お楽しみに。
大士のヒロイン全員にパートナーデジモンを付けるべきか?
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是非ともつけるべき!
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ヒロイン自身が魅力的なので別にいいです。