突然現れた優花達だったが、クオンの「おとーさん」発言によって、その場が修羅場になりそうな雰囲気と化した。
俺が必死に説明した結果、
「………つまり、その子はミュウと同じような立場で、遭難してる所を助けて、母親の下に送り届けるまでの期間限定で、『おとーさん』をやってるってことね?」
「お、おう。その通りだ………」
何とか納得してくれたか?
でも、何かまだ優花から『圧』を感じるんだが………
「………………ミュウと同じような立場だからって、南雲と同じように母親にまでフラグ立てないでしょうね………?」
優花が何やらボソッと呟いた。
すると、
「で? 他にいう事は?」
「えっ?」
優花は尚も俺をジロッと睨む様な目付きで俺を見てきた。
「今の大士は若干だけど、後ろめたいような顔をしてる。なら、私達に言いにくい事があるって事よね?」
ほぼ確信した声でそう問いかけてきた。
そして、言う通り図星を突かれた俺はドキリとした。
「あ、ああ………まあ………そうだな…………先に言っておくべきか………」
俺は、後ろを向くと、
「アリス! エリス! 来てくれ!」
2人を呼んだ。
「えっ? うん……」
「……………」
アリスはハッとなって歩み寄ってきて、エリスもそれに続く。
2人が俺の横に来ると、
「あ~、この2人はアリスとエリス。お前達には悪いと思っているが………この世界で増えた、俺の新しい恋人だ………」
俺がそう言うと、
「……………はぁ~」
優花が片手を頭に当て、呆れたように溜息を吐いた。
「少し目を離した隙にこれ? あんたも南雲の事言えなくなってきてるんじゃないの?」
「自覚してるし、自己嫌悪もあるからあまり言わないでくれ…………」
俺が若干項垂れながらそう言うと、優花はアリスとエリスの2人に向き直った。
「アリスとエリスだったわね?」
優花がそう尋ねると、
「私がアリスよ。こっちが双子の妹のエリス」
「…………」
アリスが名乗り、エリスが軽く会釈する。
「今度は姉妹丼………?」
優花が再び呆れた仕草をする。
だが、すぐに気を取り直すと、
「自己紹介が遅れたわね。私は園部 優花。葵と同じ時期に大士と恋人になった1人で、大士のハーレムの中じゃ…………筆頭愛人って所かしら?」
何時の間にそんな地位が?
「まあ、葵が居る上で恋人になったんだろうし、大士が選んで葵が認めたっていうのなら別に反対はしないわ」
「「ッ!」」
優花の言葉に、アリスとエリスはホッとした表情になる。
「……………でも、改めて聞くけど、あなた達は本当にそれでいいの?」
優花が確かめるように問いかけた。
すると、後ろを振り向き、
「紹介しておくけど、青い髪がシャルロット。桃色の髪がカトレア。金髪で耳の尖った子がティファニアよ」
俺の恋人達を紹介する。
「うっ………皆想像以上に美人ね………!」
アリスが若干狼狽えた。
「大士は結構面食いな所もあるし、巨乳好きだからね」
優花、あんまり堂々と人の性癖を口にしないでくれ。
否定は出来ないが………
「………………アオイも大きかったけど、それ以上が1人いる………」
エリスは一番大きい胸を持つテファの胸をジッと見つめていた。
「…………っていうか、あの子魔族?」
アリスがテファの尖った耳を見てそう零すが、
「テファはハーフエルフだ。この世界の分け方からすると、エルフも魔族に入るっていうのなら、テファは半人半魔って事になるのか?」
俺はそう説明した。
「まあ、クオンも居るから、魔族の血が入ってるからってあんまり気にしないけど……」
アリスはそう言って気にしない素振りを見せる。
「まあともかく、あなた達は葵や私、彼女達の中で一緒に大士を愛せる?」
優花が一番肝心と言いたげに問いかけた。
「ふ~ん。私達が彼女達の中で気後れしないかとか、嫉妬しないかとか思ってるわけね………」
「………心配いらない」
アリスとエリスは、迷いを見せずにそう言った。
「私達は自分の意思でタイシを好きになった」
「そして、タイシも私達を好きだと言ってくれた………」
「それ以上に、何か必要ある?」
アリスとエリスの2人の言葉に、優花は目を伏せてフッと笑みを浮かべた。
「やっぱり大士が惚れただけはあるわね。この程度じゃ揺るがないか」
優花は納得したように頷いた。
「とりあえず、歓迎すると言っておくわ」
優花はそう言って手を差し出す。
「こっちこそ、よろしくね」
アリスがその手を握り返した。
ま、まあ、仲良くできそうで何よりだ。
「それで気になったんだが、こっちに来たのはお前達だけなのか? ハジメは?」
俺達を連れ戻しに来たのなら、ハジメが居るはずなのに、その肝心のハジメが居ない事が気になった。
すると、
「ああ、それはゲートを開いた方法が、クリスタルキーじゃなくて、私の概念魔法だからよ」
優花がそう答える。
「概念魔法?」
「ええ。簡単に言えば、あなたの下に、あなたの大切な人と共に行くための魔法ね」
「………なんとまぁ」
嬉しいが、若干呆れも感じる。
「俺の所に来るだけの魔法とは………」
俺がそう零すと、
「あら? 前に言ったじゃない。大士の下に行くための概念魔法なら生み出す自信があるって」
「確かに言ったけどよ………」
「それで、その生み出した魔法は一方通行の上に効果が限定的だから、消費する魔力がクリスタルキーの半分以下だったの。だから、この世界に来るための実験で溜めてた魔力の残りでもギリギリ足りたから、それを使って一足先に私達だけ来たって事」
「………………つまり、ハジメ達が迎えに来るのは………」
「また魔力を溜めなきゃいけないから、早くても一ヶ月ぐらいは掛かるんじゃないかしら? 最大魔力を持つ葵もこっちに居るんだし」
優花はあっけらかんとそう言った。
「いや………それだったら往復分の魔力が溜まってから来た方が都合が良かったんじゃ………?」
俺はそう思ったが、
「馬鹿な事言わないで! 私に………私達にとって大士の居ない時間なんて、無意味に等しいわ」
優花が少し怒ったような表情でそう言った。
「大士と長い時間離れていて再確認したわ。私にとって、大士と言う『存在』は無くてはならないモノだって………」
「優花………」
改めて深く想われている事に、俺は感動を禁じ得ない。
「だから、一秒でも早く貴方の下に来たかったの………」
「………ありがとう」
優花の言葉に、俺は思わず礼を述べた。
「………さてと! 感動の再会も済んだことだし、サーバー王国に戻って準備してから、クオンのお母さんを探しに行こう!」
葵がそう締めくくった。
因みに、
「きゅいきゅい! ドルモンさま~!」
シルフィードことイルククゥは、いつも通りドルモンに抱き着いていたりする。
それから王国への帰路に着いた俺達だが、行きとは違って特に周りに気にする必要は無いため、仲間内だけで魔力駆動四輪を使って帰ったので、帰りは数日で着いたりする。
まあ、流石の魔力駆動四輪でも、俺、ドルモン、葵、リュウダモン、優花、ハックモン、シャルロット、カトレア、テファ、アリス、エリス、エミリア、クラウディア、カイル、リティナ王女の計12人と3体は流石に乗り切れないため、葵とリュウダモン、優花とハックモンに交代で魔力駆動二輪に乗って貰い、風竜の姿に戻ったシルフィードに何人か乗って貰い、移動する事になった。
その方法で王都に着くと、デートがてら物資を補給してから、世話になった学院のアリア先生等、数人に挨拶を済ませた。
そして、残りの時間を考えれば、おそらくクオンを送り届けた辺りで迎えが来るだろう。
よって、俺は王都でエミリア、クラウディア、カイル、リティナ王女とはお別れになる。
そう思っていた。
だが、
「俺達について来たい?」
そう言い出したのはカイルだ。
「うん。タイシ達はもうすぐ帰るんだよね? だから、少しでも学んでおきたいんだ。あ、どうしても駄目っていうのなら無理強いするつもりは無いよ!」
「ん~、まあ、クオンを送り届けた後で、お前を人間領まで送る事は、別にさほど苦じゃないが………」
カイルの眼は真剣だ。
リティナ王女の隣に立つために、少しでも究極体へ近付きたいと思っているのだろう。
まあ、カイルとライズグレイモンなら、そう遠くない内に究極体の域へ辿り着けるとは思うが。
俺は少し考え、
「…………別にいいぞ」
カイルの頼みを了承した。
この世界で数少ない『仲間』の最後の頼みだ。
受けるのも吝かじゃない。
「あ、ありがとう!」
カイルは勢い良く頭を下げる。
すると、
「あ、あの………」
エミリアが遠慮がちに声を掛けてきた。
「エミリア?」
「わ、私も…………」
エミリアは一瞬躊躇し、
「私も………連れて行ってくれませんか?」
そう発言した。
「………………エミリア」
その表情には、寂しさが伺える。
「もう少しだけ………傍にいたいんです………ほんの少しでも長く………」
切ない願いに、俺は首を横に振る事は出来なかった。
「………わかった。エミリアがそれでいいのなら………」
俺はそう言う。
その時、
「ならば、私も付いて行かせてもらおう」
クラウディアが言った。
「クラウ………?」
「私の目的は魔族領の偵察だ。タイシが居るのなら、危険は限りなく低いと言っていいだろう」
まあ、今は優花も居るから、奇襲対策も万全だが。
だが、クラウディアの視線はエミリアに向けられている。
おそらく、魔族領の偵察と言うのは半分は口実で、実際にはエミリアが心配なんだろう。
俺はそんな2人を微笑ましく思いながら視線を切った。
だから気付かなかった。
そのすぐ後にクラウディアの視線が、俺の方に向いた事を………
「…………本音を言えば、わたくしもついて行きたいところなのですが………」
リティナ王女はそう言う。
「それはなりません! いくらタイシが居るとは言え、危険な魔族領に御身を連れて行くわけにはまいりません!」
クラウディアがそう言う。
それを言ったらクラウディアも公爵令嬢だから、危険な所にホイホイついて行くわけには行かないんだがな。
「ええ、分かっています」
リティナ王女は分かっているのか、残念そうな顔をしながら頷く。
俺がそれを見ていると、
「ねえ葵……ちょっと聞きたいんだけど、あのエミリアとクラウディアって…………」
「うん。大士に惚れてるよ。因みに大士もあの2人に惚れてるね」
「やっぱり………」
「でも、あの2人はまだこの世界を離れて大士について行く覚悟が無いからね。恋人にはなって無いよ」
「『まだ』………ね」
俺の後ろで葵と優花が何やら話していた。
そしてこの翌日、俺達は魔族領へと向けて旅立つのだった。
【Side 三人称】
エクスプローラー聖国とサーバー王国の王都の間にあるとある宿。
大士達が魔族領への旅立ちの準備をしている頃、その宿の一室で1人の男が頭を抱えていた。
「くっ……! 拙い……! このままでは………!」
その男は、サーバー王国第一王子であるレオナルド。
彼が頭を抱えていた理由とは、
「デニティス教が根本から間違っていたとなれば、私の立場は………!」
そう、最近ではリティナを次期国王へと推す声が高まってはいたものの、現状ではまだレオナルドが次期国王である王太子であった。
その理由として、デニティス教の影響が大きく、その神託に沿って勇者召喚を行った彼の功績が、大半の権力者に受け入れられていたからだ。
しかし、ここにきてその召喚はデニティス神の望んだものではなく、天使の暴走によって行われたことが明らかになってしまった。
そうなれば、レオナルドが主導して行った勇者召喚は、ただの誘拐に成り下がる。
この事は、間違いなく国王であるアスランの耳に入り、そして、かなり高い確率でレオナルドは廃嫡され、次期国王の地位はリティナへと移るだろう。
最悪は勘当され、王族としての地位も失いかねない。
それを分っているため、レオナルドは頭を抱えていた。
暫く机に蹲りながら唸り声を上げていたが、やがてその唸り声がピタリと止み、
「……………こ、こうなれば………!」
顔を上げたその瞳には、怪しい決意の輝きがあった。
―――ブラウザ帝国、某所。
薄暗い部屋に、若い男と、その男に跪く黒装束の人間が居た。
「例のモノは手に入ったか?」
「はっ、ここに」
黒装束が跪きながら右手を上げると、そこには楕円形の中心に宝石が埋め込まれたペンダントが下げられていた。
若い男はそれを見ると、
「おおっ! ついに手に入れたか!」
歓喜の声を上げた。
「はっ! 間諜として潜入してから、中々隙がありませんでしたが、今回の騒動でようやく手に入れる事が出来ました」
「よくやった! 貴様には望むだけの褒美を取らせよう」
「ありがたき幸せ!」
若い男が黒装束からそのペンダントを受け取る。
「神器『デジメンタル』…………これがあれば………ククク……!」
そのペンダントを掲げるように眺めながら、怪しい笑みを零す若い男。
「フフフ………これでサーバー王国も……そしてリティナ王女も俺の物だ………!」
そう笑う男の後ろの暗闇には、包帯を巻いたミイラのような人型が浮かび上がっていた。
オリジナル異世界編第37話です。
今回はあまり盛り上がりが無いというか、色々端折った結果ですね。
今回でリティナは一旦離脱。
流石に魔族領に連れて行くわけには行かんと思ったわけですよ。
で、その間に王子と帝国が何やら暗躍を………?
お楽しみに。
P.S 今週も調子が悪いので返信はお休みします。
申し訳ありません。
大士のヒロイン全員にパートナーデジモンを付けるべきか?
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是非ともつけるべき!
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ヒロイン自身が魅力的なので別にいいです。