ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第38話 旅路の夜

 

 

 

クオンの母親を探す為の旅に出て数日。

俺達は、遂に人間領と魔族領の境に差し掛かっていた。

流石は魔力駆動四輪とシルフィードと言うべきか、馬車での移動の3倍~4倍は速く移動できるので、馬車で一週間かかる道程も数日で走破出来た。

この魔力駆動四輪もオリジナルと同じく付加されている錬成によって道が舗装されるので、余り道が整備されていないこの世界の文明レベルの道だろうと問題はない。

ただ、ここまでは他の人々も道を利用していたのでそれなりにスピードにも気を使っていたが、ここからは人を轢く心配はしなくていいだろう。

その代わり、魔物や魔獣には襲われるだろうが………

それに、夜もここまでは宿場町を利用していたが、ここからは完全に野営になる。

そして現在、旅に出て初めての野営を行っていた。

 

「皆! ご飯できたわよ!」

 

優花がそう言いながら、テーブルに料理を並べていく。

因みに、いつものテント内での事である。

優花は洋食店の娘であり、得意料理も洋食なので、洋食中心のメニューだ。

これならこの世界の料理とかけ離れているわけではないので、受け入れやすいだろう。

 

「それじゃあ、いただきます」

 

「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」

 

俺の言葉に合わせて全員が唱和する。

アリス達も以前のサバイバルの時に『いただきます』と言う言葉は知っている。

因みに、俺は優花の手料理を口にするのは久しぶりだ。

 

「うん、やっぱり優花の手料理は美味いな!」

 

俺は素直な感想を口にする。

 

「そう。正直料理するのも久しぶりだったから、腕が落ちていないようで安心したわ」

 

そう言って、優花は少しほっとした表情を見せる。

 

「えっ? 久しぶりって………何でだ?」

 

その言葉に疑問を持った俺が聞き返すと、

 

「何でって………大士が大変な目に合ってるかもしれないって時に、悠長に料理の練習なんて出来るわけないでしょ!?」

 

優花は何を当然の事をと言わんばかりにそう言う。

 

「あ、ああ………そうか………すまん」

 

「いいわよ。こうして無事だったんだから………」

 

そう言って優花は微笑む。

 

「……………何か、何気ないやり取りですけど、口の中が甘くなってきませんか? クラウ………」

 

エミリアが隣にいたクラウディアに問いかける。

 

「奇遇だな、リア。丁度私もそう思ってた所だ」

 

クラウディアは同意するように頷く。

 

「クスクス。大目に見てあげてくださいな。ユウカちゃんは、ずっと旦那様の事が心配でたまらなかったんですから」

 

カトレアがニコニコと笑みを浮かべながらそう言う。

 

「タイシの所に行くための方法を、寝る間も惜しんでまで探してたし………」

 

続けてテファが、

 

「この世界に来るタイミングを逃さないように、常に気を張り詰めていた」

 

そしてシャルロットが、優花の今までの尽力を口にする。

 

「もぐもぐ……! おいしいのねー!」

 

イルククゥは次々に料理を口へ運んでいたが。

 

 

 

 

つつがなく食事も終わり、全員が順番に風呂に入って就寝時。

寝る部屋の振り分けだが、女性陣が例のバカでかいベッドで寝て、デジモン達用の寝室に俺とカイル、デジモン達、そして………

 

「おとーさんと寝たい………」

 

眠気で目を擦りながらそう言うクオン。

クオンはここまでの宿場町でも、夜に度々一緒に寝る事を強請っており、俺はその『おねがい』を断れずに一緒に寝ていたりする。

因みに、寝静まったクオンの耳と尻尾をコッソリとモフモフしていたのは秘密である。

それと、女性陣は合計で10人だが、あの馬鹿でかいベッドなら何とか寝れるか?

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

その夜、女性陣の部屋では、

 

「はい! 女の子だけの秘密のお話大会~! わ~! ぱちぱち~!」

 

葵がそう言うと同時に、優花やカトレアと言った大士の元からの恋人達は合わせて軽く拍手をしていたが、アリス、エリス、エミリア、クラウディアは、困惑の表情を浮かべていた。

 

「え~っと………一体何の集まりなのこれ?」

 

アリスが困惑陣を代表してそう問いかける。

 

「まあ、女の子同士の秘密を話し合って、もっと仲良くなろうって所かしら?」

 

優花がそう言う。

 

「秘密って?」

 

エリスが問いかけると、

 

「もちろん恋バナに決まってるよ!」

 

「こ、恋ばっ………」

 

エミリアが顔を真っ赤にする。

すると、

 

「きゅいきゅい! シルフィはドルモンさまが大好きなのね!」

 

すかさず天真爛漫なイルククゥが発言する。

 

「はい、いつも通り~!」

 

軽く流す葵。

 

「い、いきなり恋バナと言われましても………」

 

エミリアはやや困惑した表情を浮かべる。

 

「じゃあ手始めに、改めて自己紹介から始めようか! 今までは軽い自己紹介だけだったからね! 私は神代 葵! 年齢は19歳! 女神アルオイスの生まれ変わりの一般人で、大士の正妻で恋人第1号! パートナーはリュウダモン!」

 

笑みを浮かべたままそう名乗る葵。

 

「女神の生まれ変わりの一般人って………改めて名乗るとシュールね…………」

 

アリスがそう零す。

 

「次は私ね。園部 優花よ。歳は同じく19歳。洋食店の娘だから料理も得意よ。大士の愛人で、恋人第2号ね。パートナーはハックモンよ」

 

「シャルロット・エレーヌ・オルレアン。歳は16。この世界ともタイシが居た世界とも違うハルケギニアの出身。一応公爵家の娘で王族の血が流れてる。タイシの恋人第3号。ついでにこっちは私の使い魔で、シルフィード。私の世界で風韻竜と呼ばれる竜の古代種で人語を理解し、魔法も使える。今はその魔法で人の姿になっている」

 

「きゅいきゅい! よろしくなのね!」

 

シャルロットがそう言い、シルフィードことイルククゥが元気よく挨拶する。

 

「って、ちょっと待ちなさい!」

 

次に行こうとした所をアリスが止めた。

 

「?」

 

シャルロットが首を傾げると、

 

「公爵家の娘で王族!? シャルロットって王族だったの!?」

 

アリスが驚愕しながら叫ぶ。

他の3人も驚いた表情を浮かべていた。

 

「一応。でも、父様が暗殺されたり母様が心を壊されたりで、碌な『運命』じゃなかった」

 

「お、重いわね………ごめんなさい。気軽に聞いて良い事じゃなかったわ」

 

アリスはシャルロットに謝罪する。

だが、シャルロットは首を横に振り、

 

「でも、そんな『運命』から助け出してくれたのがタイシとアオイ達だった。だから、今は大丈夫」

 

シャルロットは微笑む。

 

「次は私ですね。カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ、24歳です。私もシャルロットさんと同じハルケギニアの出で、ラ・ヴァリエール公爵の次女になります。旦那様の恋人第4号ですね」

 

「カトレアさんも公爵令嬢…………」

 

エミリアが唖然としている。

 

「親と苗字が違うのは何故だ? タイシとは正式に結婚したわけでは無いのだろう? それ以前に、タイシの苗字はクロキだが………」

 

クラウディアがそう問いかけた。

 

「私は少し前まで病弱で、外にもまともに出歩けませんでした。そんな私を不憫に思ったお父様が、名目上ですがラ・フォンティーヌの領地を私に与えて下さいました。なので、厳密に言えば、私はラ・フォンティーヌ家の当主となります」

 

「なるほど…………」

 

「病弱って………今は大丈夫なんですか?」

 

エミリアがそう問いかけると、

 

「ええ。私の身体が弱かった原因は、信仰していた神が居らず、私の神に仕える巫女としての資質が高すぎて、世界の邪な気を溜め込んでいた事が原因だったんです。それをアオイちゃん………アルオイス様の巫女となった事で、神の恩恵を受ける事が出来るようになったので、邪な気を浄化できるようになり、体も回復しました」

 

「神に………仕える…………」

 

「因みにエミリアも、カトレアさんと同じぐらいの聖女の資質を持っているからね」

 

葵がそう言う。

 

「えっ? じゃあ、私が昔身体が弱かったのは………」

 

「カトレアさんと同じく、邪気を身体に溜め込んでいたのが原因だね」

 

「しかし、リアは昔からアルオイス様を信仰していて………」

 

クラウディアが疑問を口にする。

 

「あ~っとね………それは多分だけど、私が人間………『神代 葵』として転生したのが19年と少し前なの」

 

「あっ! そう言えば、神父様が20年近く前に、アルオイス様の像の輝きが失われたって………」

 

「うん。多分その時だね。で、『アルオイス』としての記憶と力は封印されたから、『神の恩恵』を与える事が出来なくなったの。だから、エミリアはいくら『アルオイス』を信仰しても、その恩恵が受け取れなかったら、邪気を身体に溜め込んじゃって、体が弱っていった。でも、異世界に召喚されて、なんやかんやで封印が緩んじゃったのが、おおよそ2年前……」

 

「2年前………じゃあ、あの時像が光ったのは………」

 

「多分、私が女神としての記憶と力を取り戻した時だと思う。その時は、漏れ出した『神力』を全開で使ったから、その影響がエミリアの身体に溜め込んでいた邪気を吹き飛ばしたんだと思うよ」

 

「そうだったんですか………」

 

「あ、話が脱線しちゃったね。次はテファだよ」

 

葵がそう言うと、

 

「ティファニア・ウエストウッドです。16歳です。ハルケギニア出身のハーフエルフで、タ、タイシの恋人第5号……です。私には、他の皆みたいに、これと言って自慢できる立場は無いんだけど……………」

 

「でも、実際には2国の王の従妹に当たる」

 

シャルロットがそう口にする。

 

「「「「ッ!?」」」」

 

「シャ、シャルロット………! わ、私はそんな………実感も無いし…………」

 

「ま、また王族………? 一体タイシの人間関係はどうなってるのよ………?」

 

「その辺は偶然の産物だね」

 

アリスの言葉に葵がそう言う。

 

「次はアリス達だよ」

 

葵がそう促す。

 

「え、ええ。私はアリスよ。歳は16。元々は貴族だったけど、今は勘当されてただの平民よ。パートナーはエクスブイモン………それでその………タイシの恋人第6号よ………!」

 

アリスは頬を染めながら最後の言葉を口にした。

 

「私はエリス。アリスの双子の妹で16歳。アリスと同じく、今は勘当されてただの平民。パートナーはスティングモン。タイシの恋人第7号」

 

エリスは淡々と、だが、何処か嬉しそうに言う。

 

「わ、私はエミリアです。同じく16歳で、私自身は元から唯の平民です………」

 

「ただの平民でも、『聖女』としては、すっごい資質を持ってるからね」

 

「きょ、恐縮です…………えと、あの………パートナーはメタルグレイモンです!」

 

葵の言葉に縮こまりながら、自分のパートナーを言うエミリア。

 

「私はクラウディア・アルファ・フォン・フォルダ。フォルダ公爵家の長女で16歳だ。パートナーはワーガルルモンだ」

 

クラウディアは、いつも通り自信を持った言い方だ。

 

「はい、自己紹介が終わった所で次に行ってみようか! ズバリ! 皆は大士の事どう思ってるか!? 特にエミリアとクラウディア!」

 

「ええっ!?」

 

「は?」

 

エミリアは驚愕し、クラウディアは素っ頓狂な声を漏らす。

 

「ま、待て! 何でそんな話になる!?」

 

クラウディアが抗議するように声を上げると、

 

「え? だって恋バナだって言ったじゃん」

 

「そ、それはそうだが、何故いきなりタイシの名指しで来る!?」

 

「だって2人とも、大士の事好きでしょ?」

 

「なっ!?」

 

葵の言葉に、クラウディアは顔を真っ赤にする。

 

「そ、それは………はい………」

 

エミリアは一瞬躊躇したが、顔を赤くしながら俯き、素直に頷いた。

 

「その気持ちは………タイシさんにも伝えました………」

 

エミリアは俯きながらそう言う。

 

「それでも恋人にならないのは、この世界を捨てる踏ん切りがつかないから?」

 

「……………………」

 

その言葉に、エミリアは何も言えない。

 

「………………私、前にも言ったんです。この世界にいる間だけでも、一緒に居て欲しいって…………」

 

「ああ、それで私が前に言った、『この世界にいる間だけでもって程度の想いなら認められない』って言葉で自信を無くしちゃったわけか」

 

葵は納得したように頷く。

 

「…………………」

 

エミリアは更に俯いた。

 

「でも、それって大士が複数の恋人が居るって知る前の話でしょ?」

 

「えっ……? は、はい………」

 

「エミリアの場合、大士が異世界の人間だからとかじゃなくて、大士には既に恋人………『唯一の恋人』が居るから……って思ってたんじゃないの?」

 

「そ、そう……ですね………」

 

「それは、『大士の幸せ』を壊したくないから………『大士の思い』を優先させた結果じゃないのかな?」

 

「ッ…………!?」

 

「自分より大士の幸せを優先するぐらい大士の事が好き。そうなんだよね?」

 

「……………はい………私は、タイシさんの事が好きです………!」

 

「その位大士の事が好きなら、私としては文句は無いよ。皆は如何かな?」

 

葵が大士の恋人達に問いかけると、

 

「まあ、大士もエミリアに惚れてるみたいだし、とやかくは言うつもりは無いわ。正直面白くないって思っいるのも確かだけど、今更だしね」

 

優花も、

 

「ん。タイシを好きになった者同士、歓迎する」

 

シャルロットは普通に認め、

 

「あらあら。旦那様も罪作りなお方ですね」

 

カトレアはニコニコと笑みを浮かべ、

 

「わ、私も大丈夫です!」

 

ティファニアは力強く肯定する。

 

「私もエミリアの事はよく知ってるし、問題無いわ」

 

そしてアリスと、

 

「エミリアなら信頼できる」

 

エリスも受け入れた。

 

「皆さん………!」

 

エミリアは感極まり、声を震わせる。

 

「皆はこう言ってるけど、エミリアはどうしたい?」

 

葵が改めてそう問いかけると、

 

「………わ、私は………私も……! 私もタイシさんの恋人になりたいです! お願いします! 私を大士さんの恋人に加えてください!」

 

エミリアは意を決してそう告白した。

その告白に、

 

「うん、オッケーだよ」

 

葵は軽いノリでOKした。

 

「やっぱり軽いわね」

 

アリスがやや呆れ気味に呟く。

 

「元々受け入れるつもりだったしね」

 

葵はそう言うと、

 

「エミリアはこれで良しとして、次はクラウディアだよ」

 

「わ、私かっ………!?」

 

「だって、クラウディアも大士の事好きだよね?」

 

「ま、待て! 確かにタイシには恩を感じているし、好意的な感情を向けている事は否定しないが、『恋』と言う訳では………!」

 

クラウディアは慌てて否定しようとする。

すると、

 

「………どうしてクラウディアはその気持ちが『恋』じゃないと思ってる?」

 

エリスがそう問いかけた。

 

「どうしてって…………かつて殿下に向けていた気持ちとは、まるで違うから………」

 

クラウディアは、やや自信無さげにそう言う。

 

「それはクラウが、本当の意味でレオナルド殿下に『恋』をしていた訳じゃ無かったからじゃないんですか?」

 

唐突にエミリアがそう言った。

 

「えっ………?」

 

「えっと……私の主観ですけど、クラウは昔から殿下の婚約者として教育されてきたんですよね? それはクラウにとって当たり前の事であり、義務であったと思うんです。殿下と結婚する事は、『決められていた』事であり、クラウ自身が望んでいた事では無かったんです。ただ、そうなるのが当然と思っていただけで………」

 

「リア………」

 

「クラウ………かつてのクラウの殿下への想いと、今のクラウのタイシさんへの想いは、どっちが温かいですか?」

 

「温かい……?」

 

「『恋』をすると、その人の事を思うだけで心が温かくなるんです。かつてのクラウの心は、殿下の事を考えるだけで心が温かくなっていましたか?」

 

「………………いや」

 

クラウディアは、否定の言葉を口にする。

 

「なら、今、タイシさんの事を考えるとどうですか?」

 

エミリアの言葉に、クラウディアは胸に手を当て、

 

「……………タイシ…………」

 

その名を呟いて目を伏せる。

そして、

 

「………………あ」

 

クラウディアは感じた。

確かな温もりを。

レオナルドの時とは違う、心の温かさを。

 

「温かい…………」

 

クラウディアはそう呟く。

 

「そうです! その思いが『恋』なんです!」

 

「これが………『恋』………?」

 

「そのままタイシさんの事を考え続けると、胸がドキドキしてきますよね?」

 

「………ああ」

 

「どこか切なく、それでも心地いいものですよね?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、やっぱりクラウもタイシさんに『恋』してるって事なんです!」

 

「『恋』………か…………そうか。私はとっくに、タイシに『恋』してたんだな………!」

 

クラウディアは目を開けると、何処か吹っ切れた様に顔を上げ、そう言った。

 

「………………だが、やはり私はタイシの恋人にはなれないよ」

 

「ッ!? 何でですか!?」

 

クラウディアの言葉に、エミリアが驚愕する。

 

「私は公爵令嬢………貴族の娘だ………そんな私と付き合えば、大士を余計なしがらみに巻き込むことになる。それは本意ではない。それに、私は貴族として家の為に嫁がねばならない。私個人の感情で、家に迷惑をかける訳にはいかない」

 

「そんな………クラウ………!」

 

「ありがとう、リア。お前のお陰で私は自分の気持ちに気付けた。何も知らないままであったなら、きっと私は苦しむことになっていただろう。だから、感謝している」

 

「クラウ……! 私はそんなつもりで言ったんじゃ………!」

 

エミリアが更に続けようとした時、

 

「ねえ、元貴族として、私の意見も聞いてもらえる?」

 

アリスが口を開いた。

 

「アリスさん………」

 

「アリス………?」

 

2人がアリスの方を向くと、

 

「私の意見を言う前に、1つだけ確認させて。クラウディア、あんたはタイシの恋人になりたいの? なりたくないの?」

 

「そ、それは今言った通り………」

 

「私は公爵令嬢の意見を聞いてるんじゃない。クラウディア、あなた自身の気持ちを聞いてるの。あなたがタイシの恋人になりたくないっていうのなら、そもそも口論する意味自体無いし」

 

アリスがそう言うと、クラウディアは顔を俯かせ、

 

「…………………私も………出来る事なら、タイシの恋人になりたい………」

 

少しの沈黙の後、そう答えた。

 

「そう。なら私の意見を言うけど、そもそも、フォルダ公爵がタイシとの婚姻を反対すると思ってるの?」

 

「え?」

 

アリスの言葉に、クラウディアは呆けた声を漏らす。

 

「フォルダ公爵の人柄を抜きにしても、タイシの打ち立てた功績は桁外れよ。フォルダ公爵領を滅びから救ったんだから。もし私が貴族の当主だとしたら、何が何でもタイシを取り込もうとするわね」

 

「ッ…………!」

 

「大士自身がそれを望んでるんだったら渡りに船よ。タイシを味方に………少なくとも、『敵じゃない』位置に置けるのは、絶対的な優位性を持てるわ」

 

「し、しかし、タイシはいずれこの世界を離れる………! 一時の為にそのような事は………」

 

「まあ気軽には来れないでしょうけど、現にこうやってアオイやユウカ達が来てるじゃない。少なくとも、里帰りが出来る程度の行き来は出来るんじゃないかしら? もしその時にフォルダ公爵家に何かあれば、タイシは確実に助けてくれるわ」

 

「……………………」

 

「少なくとも、クラウディアがタイシと恋人関係になる事は、貴族の視点から見ても、反対する意見が見つからないのよ」

 

「…………………………いいのか?」

 

クラウディアがポツリと呟く。

 

「私は…………自分の『恋』を………幸せを求めて良いのか………?」

 

もう一度問いかけるように呟くと、

 

「いいに決まっています!」

 

エミリアが力強く肯定した。

 

「クラウは今まで自分の人生を投げ打って頑張って来たんです。だったら、自分の幸せ位求めたって言いに決まってるじゃないですか!」

 

「リア…………」

 

「私はこれからもクラウと一緒に居たいです! クラウと一緒に幸せになりたいんです!」

 

「リア………! ありがとう………!」

 

エミリアとクラウディアは手を握り合い、額を触れ合わせる。

尊い光景だ。

 

「尊いね~」

 

「見方によっては百合っぽく感じる人もいるかもね」

 

葵と優花がそう言う。

少しして落ち着くと、

 

「2人とも、タイシの恋人になるのはいいけど、告白はちゃんと自分でしてね。その位は自分でやってくれないと」

 

葵がそう言う。

 

「………………………」

 

そんな葵を、シャルロットは何か言いたげに見つめていた。

 

「分かっている。今回の旅が一段落したところで告白するさ」

 

「わ、私も一緒に改めて告白します!」

 

クラウディアとエミリアがそう言った。

 

「ふふふ。告白は200%成功すると思うけど、頑張ってね」

 

葵はそう言って笑った。

 

「それじゃあ、女子会の続きだよ!」

 

その後、エミリアとクラウディアは、大士の夜の凄さをそれぞれの口から語られ、終始顔を真っ赤にし続けていたりする。

 

 

 

 

 

 

 





オリジナル異世界編第38話です。
つくづく自分には日常編は難しいと感じる1話でした。
最終的にほぼ恋バナで終わった。
因みに途中までほぼ自然にリティナが居て、途中で気が付いて慌てて書き直したりしてました(爆)
改めて自分の気持ちを理解したクラウディアとエミリア。
告白は何時になるのか?
因みに、次回はクオンの母親が登場予定。(早ッ)
お楽しみに。




P.S この後やる事があるので、すみませんが今週も返信お休みします。
   三週連続で返信休みで申し訳ない。

大士のヒロイン全員にパートナーデジモンを付けるべきか?

  • 是非ともつけるべき!
  • ヒロイン自身が魅力的なので別にいいです。
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