ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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タカト達は出ないと言ったがそれ以外のキャラが出ないとは言ってない。(キリッ)


第20話 思い掛けない再会 予想外の再会

 

 

 

現在、俺達は魔力駆動四輪で街道を爆走していた。

元々この世界に法定速度など存在しないが、それでもスピードの出し過ぎだという事が一目でわかる。

しかし、その事でハジメを咎めようとする者はいない。

何故なら、

 

「ヒャッハーーーーーー! 米だ米だ! 白飯だーーーーーーっ!!」

 

ハジメがテンションMAXで叫ぶ。

そう、仕入れた情報ではこれから向かう街、『ウル』では稲作が盛んであり、つまり俺達日本人の主食である白飯が食べられるという事だ。

ハジメほどではないにしろ、俺達日本人メンバーは楽しみにしている。

まあ、後急ぐ理由として捜索対象が生きていた方が感じる恩がデカいという理由もあるわけだが………………

 

「飯ーーーーーーー!!」

 

どちらの理由が重要かはご想像にお任せしよう。

 

 

 

 

 

【Side 愛子】

 

 

 

 

 

現在私達は、ここ『ウル』の街を拠点として、私の能力を使って農地改革を行っていました。

私の他には私の護衛として教会の神殿から派遣された専属騎士である隊長のデビットさんを始めとして、チェイスさん、クリスさん、ジェイドさんの4人が同行してくれています。

更に生徒達の中からも私の護衛をかって出てくれた子達が居ます。

それが菅原 妙子さん、宮崎 奈々さん、相川 昇君、仁村 明人君、玉井 淳史君です。

本当はもう1人清水 幸利君と言う子が居たのですが、何故か1週間程間に突然失踪してしまい、行方が知れません。

私は生徒達と一緒に農地の改善・開拓を行う傍ら、清水君の情報も集めていますが一向に進展がありません。

行方不明になった部屋には争った形跡はありませんし、この世界の人々よりステータスの高い清水君がその辺りのゴロツキに負けるとは到底思えません。

生徒達は私に心配しなくてもその内戻ってくると元気づけてきますが、教師として生徒を心配しないわけにはいきません。

……………この世界に召喚されたたった1人の大人として、全員を無事に生還させることが私の役目だと思っていたんですが、その思いは無情にも打ち砕かれました。

迷宮での実戦訓練の際、生徒達が罠に掛かり、生徒の1人である南雲 ハジメ君が死亡したというのです。

罠に掛かった直接の原因は檜山君とのことですが、巡り巡ってその責任と罪は黒騎 大士君と神代 葵さんへ押し付けられました。

迷宮へ行かなかった私が檜山君を責める権利はありませんし、戦争への参加を止められなかった私にも大いに責任はあります。

でも、無実の人に責任を押し付けるのは駄目だと分かっています。

私は普段の黒騎君と神代さんの人柄。

そして、神代さんの言い分の通り、神代さんと黒騎君の友達であるというデジモン達の存在を理由に、神代さんの言い分を通そうとしました。

ですが、天之河君の「デジモンは俺達の世界での魔物のようなもの」という言葉で全てが決まってしまいました。

この世界の人達は、デジモン=魔物。

つまり、デジモンを従える黒騎君と神代さんは、魔人族に近い存在であるという結論に至り始めたのです。

ですが、たったの数日ですが、黒騎君と神代さんのデジモン達と戯れる姿を目撃した時、彼らの間には絶対に等しい信頼関係が築かれていると感じました。

それに、私は偶々テレビを見ていて知っていますが、6年前の事件を起こした存在、『デ・リーパー』と呼ばれるものはデジモンとは別の存在だと研究者は言っていました。

そして、そのデ・リーパーと呼ばれる存在と戦っていたのもまたデジモン達でした。

一度だけテレビに映りましたが、白銀の鎧を纏った騎士。

巨大な緑色の人型ロボット。

何処か神聖さを感じさせる狐の被り物を被った女性。

正義のヒーローを思わせる赤いマフラーを靡かせた戦士。

そして、金の縁取りがされた黒い重厚な鎧を纏った騎士。

彼らがデ・リーパーと戦っていたのです。

そう言えば、あの時一瞬映った子供達は一体何だったんでしょうね?

今思うと、黒い騎士と一緒に映った子供は何となく黒騎君に似てた気が…………?

記憶もあやふやですし、気の所為でしょう。

ともかく、私は黒騎君と神代さんの無実を証明するべく奮闘していたのですが、そこでまた再び事件が起こります。

信じられない事に、黒騎君が神代さん、白崎さん、園部さんを攫って姿を消したというのです。

天之河君の話では、南雲君が生きているかもしれないと嘘を言って騙して連れ去ったという事です。

私は信じられませんでした。

私の知る黒騎君は、多少人付き合いが得意ではありませんが、基本的に優しく、他人に迷惑の掛かるような行為はしません。

そんな黒騎君が誘拐なんて大それた真似をするとは到底思えなかったからです。

ですが実際に翌日から黒騎君の姿は無く、神代さん、白崎さん、園部さんの姿も見当たりませんでした。

天之河君は白崎さんを絶対に取り返すと意気込みながら実力を上げるために迷宮へ潜り続けています。

それから私は生徒達の強制的な戦争への参加を認めない代わりに各地の農地改革をするという約束の為に王都を離れ、こうして各地で行動しています。

その際に『豊穣の女神』などという二つ名が付いた事は恥ずかしいですけど………

 

「愛ちゃん先生?」

 

声を掛けられてハッとしました。

今は今日の仕事が終わり、宿泊している『水妖精の宿』の食堂で食事を摂る所です。

 

「あっ、すみません。ボーっとしてました!」

 

私は気を取り直して顔を上げる。

 

「皆さん! 今日もお疲れさまでした! お腹いっぱい食べて、明日も頑張りましょう!」

 

「「「「「「は~い!」」」」」」

 

食事を食べ始める私達。

 

「ああ、相変わらず美味しいぃ~異世界に来てカレーが食べれるとは思わなかったよ」

 

「まぁ、見た目はシチューなんだけどな……いや、ホワイトカレーってあったけ?」

 

「いや、それよりも天丼だろ? このタレとか絶品だぞ? 日本負けてんじゃない?」

 

「それは、玉井君がちゃんとした天丼食べたことないからでしょ? ホカ弁の天丼と比べちゃだめだよ」

 

「いや、チャーハンモドキ一択で。これやめられないよ」

 

この世界に来て日本の食事に近い物が食べられて皆はご満悦の様子。

すると、

 

「あぐあぐ…………俺様も日本の飯は食った事あるけど、こっちも中々だな!」

 

私達が囲むテーブルの席の1つから聞こえる少し偉そうな喋り方の声。

そこには、まるで小悪魔を思わせる風貌の生き物。

 

「インプモン君もここの料理は気に入ったようですね」

 

私はそう言う。

彼の名はインプモン。

本人曰くデジモンとの事。

彼と会ったのは数日前。

この街の付近で新たな土地を開拓している時、お腹を空かしていた彼と会ったのだ。

その見た目から護衛であるデビットさん達は彼を悪魔の手先と言い張って斬ろうとしていた。

その時、

 

『ちょっと待ってくれ! 俺様はデジモンだけど別に無暗に人を襲ったりなんかしねえよ!』

 

言葉を話したことも驚きだったけど、その彼がデジモンだという事は私を更に驚かせた。

私は何とかデビットさん達を説得して彼と話をするうち、彼には人間のパートナーがいるのでその人達を悲しませるような真似は絶対にしないと言い張った。

その言葉に嘘は無いと感じた私は、お腹を空かせていた彼に御飯を食べさせてあげた。

御飯を気持ちよく平らげた彼は、彼の身に起こった出来事を話してくれた。

何でもインプモン君は、この世界とも地球とも違う、デジモン達が住むデジタルワールドという世界に居たのだが、一週間程前に突然デジタルゲートというものに呑み込まれてこちらの世界に来てしまった。

最初はリアルワールド(デジタルワールドから見た地球の事らしい)に来てしまったと思っていたのですが、私がこの世界が地球とも違うと説明した時に大層驚いていた。

すると、彼は地球にいるパートナーと再会するために、私達と行動を共にしたいと言い出した。

それにはデビットさんを始めとして多くの人達が反対しましたが、私が押し切りました。

黒騎君や神代さんの様に、人間がパートナーにしたデジモンを信じてみたいと思ったからです。

そうして今日まで行動を共にしてきましたが、彼は怪しい行動をすることも無く、私達を手伝ってくれます。

デビットさん達も未だに警戒は解いて無いようですが、それでも多少は態度が軟化したと思ってます。

 

「それにしても、今更だけど愛子達に会えてホント助かったぜ」

 

インプモン君がそんな事を言いだしました。

 

「そういや愛子は何で俺様の事を信じてくれたんだ?」

 

インプモン君が私を見ながらそう疑問を口にする。

 

「…………私の生徒にも、デジモンをパートナーにした子が居たんです…………」

 

「マジか!?」

 

インプモン君が驚いた顔で叫びます。

 

「ええ………黒騎君と神代さんって子なんですけど…………」

 

「ふ~ん……………ん? クロキ…………? どっかで聞いたような…………?」

 

インプモン君が腕を組んで何やら考え始めました。

すると、

 

「愛ちゃん先生! あいつの話は止めて!」

 

宮崎さんが机を叩いてそう叫びました。

その行動にインプモン君もビックリして考えるのを止めてしまいました。

 

「優花っちはあいつに攫われたんだよ! 優花っちだけじゃない! 香織っちも葵っちも………! 南雲が生きてるなんて出鱈目を言って、無理矢理連れて迷宮に挑んで…………それで…………もうきっと…………………!」

 

今までなるべく考えないようにしていた感情が溢れ出した様で、宮崎さんの目には涙が溜まっていました。

他の皆も俯いています。

ですが私は、黒騎君はそんな短慮な人間とはとても思えません。

少なくとも、他人を巻き添えに危険に挑む様な子では無いと思っています。

その時、この宿のオーナーさんが近付いて来た。

 

「皆様、本日のお食事はいかがですか? 何かございましたら、どうぞ、遠慮なくお申し付けください」

 

「あ、オーナーさん。いえ、今日もとてもおいしいですよ」

 

「それはようございました………」

 

張り詰めていた空気が少し和らぎました。

もしかしたらオーナーさんは気を利かせてくれたのかもしれません。

でもオーナーさんはその口振りとは裏腹に、若干俯いた。

 

「………どうかしたんですか?」

 

「実は、大変申し訳ないのですが……香辛料を使った料理は今日限りとなります」

 

生徒達はその言葉に驚愕の表情をした。

 

「えっ!? じゃあもうこの料理が食べられないって事ですか!?」

 

「はい、申し訳ございません。何分、材料が切れまして……いつもならこのような事がないように在庫を確保しているのですが……ここ一ヶ月ほど北山脈が不穏ということで採取に行くものが激減しております。つい先日も、調査に来た高ランク冒険者の一行が行方不明となりまして、ますます採取に行く者がいなくなりました。当店にも次にいつ入荷するかわかりかねる状況なのです」

 

「あの……不穏っていうのは具体的には?」

 

「何でも魔物の群れを見たとか……北山脈は山を越えなければ比較的安全な場所です。山を一つ越えるごとに強力な魔物がいるようですが、わざわざ山を越えてまでこちらには来ません。ですが、何人かの者がいるはずのない山向こうの魔物の群れを見たのだとか」

 

「それは、心配ですね……」

 

ですが、オーナーさんはすぐに明るい口調で話し出しました。

 

「しかし、その異変ももしかするともう直ぐ収まるかもしれませんよ」

 

「どういうことですか?」

 

「実は、今日のちょうど日の入り位に新規のお客様が宿泊にいらしたのですが、何でも先の冒険者方の捜索のため北山脈へ行かれるらしいのです。フューレンのギルド支部長様の指名依頼らしく、相当な実力者のようですね。もしかしたら、異変の原因も突き止めてくれるやもしれません」

 

「ほう、それは相当な実力者の様だ」

 

私の身辺警護をしているデビットさんが声を漏らした。

私には良く分かりませんでしたが、『フューレンのギルド支部長の指名』というのはよっぽどのモノみたいです。

すると、食堂の入り口の方から少し騒がしい声が聞こえてきました。

 

「おや、噂をすれば。彼等ですよ。騎士様、彼等は明朝にはここを出るそうなので、もしお話になるのでしたら、今のうちがよろしいかと」

 

「そうか、わかった。しかし、随分と若い声だ。〝金〟に、こんな若い者がいたか?」

 

カーテンで仕切られた私達の個室の前を7つの人影と、2つの低い影が通り過ぎていきます。

その際に彼らの話し声が聞こえてきました。

 

「ちょっとユエさん、〝カオリ〟さん!? いい加減私にも〝ハジメ〟さんの隣を譲ってくださいよ! 見てください、〝アオイ〟さんも〝ユウカ〟さんも、ずっと〝タイシ〟さんと一緒なので見事に私だけがこのパーティーでハブられてるんですよ!?」

 

「だったら〝ドルモン〟と〝リュウダモン〟と一緒に居ればいいじゃねえか?」

 

「〝ハジメ〟さん! 女心を理解してくださいよ! 私は〝ハジメ〟さんの隣が良いんです!」

 

聞こえてきた声が言ったその名前に、私は思わず心臓が跳ねたのを感じた。

すると、隣にいたインプモン君も食べ物を口に運ぼうとした状態で固まっている。

 

「今………彼女は何と…………?」

 

私は疑問を口にする。

すると、玉井君が身を乗り出し、

 

「てか…………あいつに似てないか? 男の声」

 

皆に同意を求めるようにそう言った。

私は思わず椅子を蹴倒しながら立ち上がった。

 

「………………南雲君………?」

 

まさかとは思った。

だけど、私の考えが間違って無ければ…………

私は勢いよくカーテンを開け放ち、

 

「南雲君!? 白崎さん!? 園部さん!? 黒騎君!? 神代さん!?」

 

そう叫んだ瞬間、

 

「大士!? ドルモン!?」

 

私の横でインプモン君が叫んでいた。

そして、

 

「「「「「…………………………………先生(愛ちゃん)?」」」」」

 

「と………」

 

「「インプモン?」」

 

目の前に見えたのは、記憶の通りの姿をした黒騎君と神代さん。

髪の色は違うがその顔から判断の付く白崎さんと園部さん。

そして、2人の見知らぬ少女と、背の高い白髪に右目の眼帯が特徴の青年だった。

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

『ウル』の街に到着した俺達は宿を取った後、夕食の時間まで時間を潰し、漸く楽しみにしていた米料理を頂けるという事で俺達は嬉々として食堂へ足を向けた。

その際、

 

「ちょっとユエさん、カオリさん!? いい加減私にもハジメさんの隣を譲ってくださいよ! 見てください、アオイさんもユウカさんも、ずっとタイシさんと一緒なので見事に私だけがこのパーティーでハブられてるんですよ!?」

 

「だったらドルモンとリュウダモンと一緒に居ればいいじゃねえか?」

 

「ハジメさん! 女心を理解してくださいよ! 私はハジメさんの隣が良いんです!」

 

確かにドルモンとリュウダモンを除けばシアがハブられているように見えなくもない。

すると突然目の前の個室のカーテンが勢いよく開き、

 

「南雲君!? 白崎さん!? 園部さん!? 黒騎君!? 神代さん!?」

 

「大士!? ドルモン!?」

 

非常に聞き覚えのある声と、聞き覚えはあるが懐かしい声で呼びかけられた。

そちらを向くと、見た目は子供だがその実25歳で教師という大人な女性、

 

「「「「「…………………………………先生(愛ちゃん)?」」」」」

 

一緒にこの世界に召喚された愛子先生。

 

「と………」

 

そして、小悪魔の様な外見をしたデジモン。

互いに争い合った事もあるが、最終的には共にデ・リーパーと戦った仲間。

 

「「インプモン?」」

 

俺とドルモンが同時に声を漏らした。

何故先生とインプモンが居るのかと内心混乱していると、

 

「南雲君…………やっぱり南雲君なんですね? 生きて……本当に生きて…」

 

「いえ、人違いです。では」

 

「へ?」

 

ハジメが厄介ごとは勘弁と言わんばかりに誤魔化して立ち去ろうとした。

 

「ちょっと待って下さい! 南雲君ですよね? 先生のこと先生と呼びましたよね? なぜ、人違いだなんて」

 

愛子先生が南雲の腕を掴んで引き留める。

 

「いや、聞き間違いだ。あれは……そう、方言で〝チッコイ〟て意味だ。うん」

 

「それはそれで、物凄く失礼ですよ! ていうかそんな方言あるわけないでしょう。どうして誤魔化すんですか? それにその格好……何があったんですか? こんなところで何をしているんですか? 何故、直ぐに皆のところへ戻らなかったんですか? 南雲君! 答えなさい! 先生は誤魔化されませんよ!」

 

ハジメは尚も誤魔化そうとしているが、

 

「ハジメ、お前だけならともかく俺や葵が居る時点で誤魔化すのは不可能だぞ?」

 

俺はそう言ってやる。

俺と葵はハジメ達とは違って魔物の肉を食べてないので外見は変わっていない。

 

「………あ~~~、久しぶりだな、先生………」

 

ハジメは苦笑いしながらそう答える。

 

「やっぱり、やっぱり南雲君なんですね……生きていたんですね……」

 

「まぁな。色々あったが、何とか生き残ってるよ」

 

「よかった。本当によかったです」

 

先生は心底ホッとしたように息を吐いた。

すると、愛子先生はこちらに振り返り、

 

「それから………黒騎君と神代さん…………あと、髪と瞳の色が違いますが、白崎さんと園部さんですよね?」

 

「はい」

 

「お久しぶりです、先生」

 

俺達は普通にそう返した。

 

「それから…………」

 

俺は視線を下に移す。

 

「久し振りだな、インプモン」

 

「インプモン、久し振り!」

 

何故いるのかは分からないが久し振りに会った仲間にそう声を掛けた。

 

「おう、でっかくなったな大士。それと、ドルモンも久しぶりだな!」

 

相変わらずの調子で答えるインプモン。

その時、

 

「優花っち!」

 

「わっ………!?」

 

先生が出てきた個室からクラスメイトの宮崎 奈々が飛び出して優花に抱き着いた。

 

「優花っち! ホントに優花っちだよね!?」

 

「ちょ、奈々………! 落ち着いて…………!」

 

「良かった………! 本当に良かったよう………!」

 

暫く涙を浮かべながら優花に抱き着いていたが、突然キッと目付きを鋭くすると、俺を睨み付けながら優花を護るような立ち位置になると、

 

「………ッ! 黒騎! もう優花っちに近付かないで!! 本当に南雲は生きてたみたいだけど、無理矢理優花っちを迷宮に連れて行くなんて最低よ!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺は白けた。

あの頭お花畑の天然勇者がどんな説明をしたか知らないが、俺はどうやら優花達を攫った誘拐犯の様な扱いみたいだ。

しかも、こいつはその事を微塵も疑っていない。

個室にいる何人かのクラスメイトも大なり小なり俺へ責める視線を向けている。

クラスメイトへの評価がさらに下がりそうになった時、

 

「……………奈々」

 

幾分かトーンの落ちた優花の声が響いた。

 

「何優花っち、今こいつを…………ッ!?」

 

宮崎が思わず絶句した。

鋭い目つきで優花が宮崎を睨んだからだ。

 

「……………………謝って」

 

「えっ………?」

 

「大士に謝って………」

 

「な、何で………!? 優花っちはこいつに………!」

 

「天之河の奴がどんな説明をしたか知らないけど、大士は私を無理やり連れて行ったわけじゃない。寧ろ私が無理を言って連れて行ってもらったの」

 

「えっ?」

 

「勿論、香織や葵も一緒よ。大士は最初ドルモンと2人で南雲を助けに行こうとしていたの。それも根拠の無い希望的観測じゃない。ほんの僅かだけど、確かな可能性を持って大士は迷宮に潜ろうとしていたの。だから私達は、その可能性を信じて大士に同行したの」

 

「だ、だけど、南雲を助けるためには、あのベヒモスを倒さなきゃいけないんだよ!?」

 

「私も最初は疑ったけど、大士とドルモンにとってベヒモスなんて物の数には入らないの。天之河の根拠の無い自信じゃない。ベヒモスの話を聞いて、十分にその強さを理解した上でそれでも尚余裕で倒せると大士は判断したわ。そして実際、大士とドルモンは全然本気を出さなくても余裕でベヒモスを圧倒したの。もし、私達がトラップに掛かった時に大士とドルモンが一緒に転移してきてくれてたら、南雲も奈落に落ちることも無く余裕であの場を乗り切れたでしょうね」

 

その時、

 

「……………それはダメ」

 

ユエが口を挟んだ。

 

「ユエ?」

 

優花が怪訝な声を漏らすと、

 

「ハジメが奈落に落ちなかったら私はハジメと出会えていない」

 

「そうです! ハジメさんが迷宮をクリアして【ライセン大峡谷】に現れなかったら私達ハウリア族も今頃魔物の餌になってます!」

 

ユエとシアがそう言った。

 

「あはは………ごめんごめん。今のは例え話だから」

 

一瞬空気が緩むものの、すぐに張り詰めた空気に変わり、

 

「それに今更だけど、皆はあの檜山の戯言を本気で信じてるの?」

 

「そ、それは……………」

 

言いどもる宮崎。

 

「だったら私、絶交も考えなきゃいけないんだけど?」

 

「ゆ、優花っち…………」

 

「私に何か言う前に大士に謝って。先ずはそれからよ」

 

優花の雰囲気から本気だという事を感じ取ったのか、少し狼狽えながらも俺に向き直ると、

 

「黒騎………その………ごめんなさい…………色々勘違い………ううん。責任を擦り付けてたから……………」

 

宮崎を筆頭に、菅原 妙子、相川 昇、仁村 明人、玉井 淳史が次々と頭を下げる。

俺は今更だと思っていたが、

 

「大士…………私からもお願い、出来れば許してあげて…………大士には許せない相手かもしれないけど、私にとっては友達だから…………」

 

優花もそう言って頭を下げた。

 

「………………はぁ。優花に頼まれたら仕方ない。すぐには無理だが、助けたくない相手から赤の他人と同等レベルにはしておく」

 

「ッ…………ありがとう」

 

優花にそうお礼を言われて照れ臭くなった俺は目を逸らす。

 

「そう言えば黒騎君? インプモン君と知り合いのようですがどのような関係なんですか?」

 

愛子先生がそう聞いてきた。

 

「インプモンとの関係ですか? インプモンとは6年前に遭って、争い合った時もありましたが最後にはデ・リーパーと共に戦った戦友ですかね?」

 

「共に………戦った?」

 

愛子先生は説明の意味が分からなかったのか声を漏らす。

 

「先生、大士は6年前のデ・リーパー事件を解決に導いた立役者の1人なんです」

 

「ええっ!?」

 

葵の説明に愛子先生は盛大に驚く。

 

「まあ、その辺の話は長くなるので割合で」

 

俺はそう言う。

 

「そ、そう言えばそちらの初めて見る女の子達は…………?」

 

愛子先生はユエとシアの方を見てそう聞くと、

 

「ユエ。ハジメの女その2」

 

「シア・ハウリアですぅ。ハジメさんの女その3ですぅ!」

 

何ともインパクトのある自己紹介をした。

 

「お、女?」

 

愛子先生は衝撃を受けた様に震えた。

 

「おい! ユエはともかくシアは違うだろ!」

 

ハジメはそう口を出す。

 

「そんなっ! 酷いですよハジメさん。私のファーストキスを奪っておいて!」

 

「いや、何時までそのこと引っ張るんだよ? あれは…………」

 

その話を聞いていたクラスメイトの男子陣が、

 

「おい聞いたか? 南雲の女って言ったぞあの子達」

 

「くっ………何故だ!? 俺達には出会いがないのに何故南雲があんな美人の金髪の女の子とウサ耳美少女に…………!」

 

何やら悔しがっている。

 

「いやちょっと待てお前達。それ以前にあの子達はその2とその3って言ったぞ?」

 

「「ハッ!」」

 

「じゃあその1は……………」

 

その視線は自然と元からハジメを気に掛けていた少女へと向く。

その視線に気付くと、白崎さんは苦笑し、

 

「あはは…………ハジメ君の女その1……………です」

 

少し恥ずかしがりながらそう言った。

 

「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

「【三大女神】の1人がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

血涙を流しそうな勢いで叫ぶ男子達。

すると、その叫びで愛子先生が我に返ったのか、

 

「南雲君…………?」

 

「な、何だ先生………?」

 

「女の子のファーストキスを奪った挙句、さ、三股なんて! 直ぐに帰ってこなかったのは、遊び歩いていたからなんですか!?」

 

「あ、愛子先生落ち着いて………!」

 

俺は爆発する愛子先生を宥めようとする。

 

「黒騎君も何か言っておやりなさい! 複数の女性と付き合う事など不純だと!」

 

そう言われた俺はさっと目を逸らした。

しかし、逆にそれが怪しまれたらしい。

 

「黒騎君…………?」

 

愛子先生が訝しむ様な視線を向けてきた。

 

「………タイシも人の事言えない」

 

「タイシさんもお2人の女性と付き合ってますからね~」

 

ユエとシアが余計な事を言う。

 

「黒騎君……!?」

 

愛子先生の視線がきつくなる。

俺は目を逸らしたまま逃れようとした。

だが、

 

「えっ………2人…………? って事は…………」

 

宮崎と菅原の視線が白崎さん、ユエ、シア以外のパーティーメンバーの女性陣2人に向く。

すると、葵が含み笑いをして、

 

「どうも、大士の未来の正妻確定の神代 葵です」

 

左手の薬指の指輪を見せながらそう言い放った。

更に、

 

「同じく大士の未来の正妻公認の愛人確定の園部 優花よ」

 

優花も同じように左手薬指の指輪を見せながら、楽しそうな表情でそう言った。

しかも2人とも予定じゃなくて確定かよ!

いや、そう言って貰えるのはとっても嬉しいが。

しかし、奈落で常識が狂ってしまった俺達とは違い、目の前にいるのは日本の常識に染まりきった大人、しかも生徒達の模範となる先生だ。

 

「南雲君………黒騎君…………」

 

重苦しい声で俺達の名を呼ぶ愛子先生。

 

「……許しません! ええ、先生は絶対許しませんよ! お説教です! そこに直りなさい、南雲君! 黒騎君!」

 

宿の食堂の一室に雷が落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、人の目もあるからとVIP席へ通された俺達は先生達から質問攻めを受けることになった。

適当に返しても納得しないだろうという事で、ちゃんと真面目に答えることにする。

 

「橋から落ちた後、どうしたんですか?」

 

「よく覚えてねえけど、大士たちの話じゃ崖の所々に地下水が噴き出してたって言ってたから、偶々その流れに乗って落下の衝撃から助かったんじゃねえの? その後魔物に襲われたから壁に錬成で穴掘って逃げ延びた」

 

「何故南雲君、白崎さん、あと、分かり辛いですか園部さんも髪が白くなっていますよね?それは何故ですか? あと、南雲君の左腕の鎧と右目のアイパッチは何ですか?」

 

「先ず左腕だがさっき言った魔物に襲われた時に食われたからこいつは義手だ」

 

「ッ…………!?」

 

流石にその言葉には愛子先生も絶句する。

 

「右目も魔物との戦いで失っちまったから今は義眼が入ってる」

 

「ッ………………」

 

左手の時ほどでは無いにしろ動揺する愛子先生。

 

「それから俺達のこの見た目だが、簡単に言えば魔物を食った」

 

「なっ!?」

 

「本来魔物を食えば死ぬはずだが、壁に穴を開けた際に神結晶…………強力な回復薬を作り出すアイテムを見つけた。そのお陰で何とか死なずに済んだがその代償がこの姿って事だ」

 

「でも、黒騎君と神代さんは外見に変化がありませんが………?」

 

「俺達は魔物を食ってない。持ち込んだ食料と神水で何とか食いつないだからだ」

 

「……………何故直ぐに皆の所に戻らなかったんですか?」

 

少し間が空いたが愛子先生は質問を続けた。

 

「戻る理由がない」

 

「俺は戻ったら投獄される上にこれ以上他のクラスメイトと行動を共にしたくなかったので」

 

「同じく」

 

「都合が付いた時には雫ちゃんには顔を見せて無事を知らせるつもりでしたけど…………」

 

「少なくともあのままあの国の『駒』にされるのはもう御免だったし」

 

ハジメ、俺、葵、白崎さん、優花の順で答える。

因みに俺達はニルシッシルと呼ばれる異世界風のカレーを食べながら質問に答えている。

 

「おいお前達! 愛子が質問してるんだ! ちゃんと答えろ!」

 

しかし、そんな俺達の態度が気に入らなかったのか、愛子先生の傍らにいたイケメンな男が叫んだ。

 

「ちゃんと質問には答えてるだろ? って言うか誰だアンタ?」

 

ハジメが口にニルシッシルを含みながら聞くと、

 

「あっ、紹介しますね。こちらは私達の護衛隊長をしてくださっているデビットさんです。聖教教会の神殿の方で………」

 

愛子先生にそう言われると、

 

「よしてくれ愛子。俺は神殿の騎士としてではなく1人の男としてここにいるんだ。愛子の為なら教会の信仰すら捨てる覚悟だよ」

 

デビットというイケメンを見て、ハニートラップ要員かと思っていたが、ミイラ取りがミイラになっていたようだ。

 

「はいはい、話の邪魔だ。黙ってろ」

 

ハジメが関係無いとばかりに先を促す。

デビットはハジメを睨むがハジメはどこ吹く風だ。

 

「貴様! 愛子の教え子だからと図に乗るなよ!」

 

デビットは拳をテーブルに叩きつける。

その拍子にテーブルが揺れ、料理が零れそうになる。

 

「食事中だぞ。行儀良くしろよおっさん」

 

視線すら合わせずそう言うハジメの態度に相手にすらされてない事を悟ると、額に青筋を浮かび上がらせる。

 

「ふん、行儀だと? その言葉、そっくりそのまま返してやる。薄汚い獣風情を人間と同じテーブルに着かせるとはな。しかもなんだそのふしだらな格好は、汚らわしい!! お前達の方がよっぽど礼儀がなってないでは無いか!!」

 

「デビットさん! なんてことを………!」

 

デビットの物言いに愛子先生も思わず叫ぶ。

 

「愛子も教会から教わっただろう。魔法は神より授かりし力。それを使えない亜人共は神から見放された下等な種族だ」

 

「私達と殆ど同じ姿じゃないですか! どうしてそこまで……!?」

 

「ならばその醜い耳を斬り落としたらどうだ。それなら少しは人間らしくなるだろう」

 

愛子先生の言葉でも止まらないデビットの言葉。

シアはショックを受けているのか俯き気味になっている。

更にそれを見て、ハジメ、ユエ、白崎さんの機嫌がヤバいぐらいに悪くなっている。

3人ともシアをぞんざいに扱っているように見えて、その実結構大事にしているのだ。

下手をすれば死人が出る。

いや、別にこの男が死のうが関係ない、というか、むしろやっていい感じだが、愛子先生や他のクラスメイトへの精神衛生上良くない。

なので俺が口を出すことにした。

 

「あんた嘘つきだな。おっさん」

 

「何だと!?」

 

「黒騎君!?」

 

俺の言葉にデビットは反応する。

 

「あんたはさっき、愛子先生を護るのは教会の騎士としてではなく、1人の男としてといっただろ? だが、あんたは今、シアを乏しめる事を愛子先生が止めたにも関わらず、『教会の教えが』という理由で愛子先生の意志を無視した。あんたは結局愛子先生を護ることよりも教会の教えを優先してるんだよ。愛子先生、こんな嘘つきの男は信用なりませんから気を付けてくださいね?」

 

シアへのヘイトを俺に向けるために、思いっきり馬鹿にするような口調でそう言ってやった。

すると血走った目を俺に向け、

 

「神殿騎士を侮辱するか! 貴様も『神の使徒』の1人ならばエヒト様に力を貰った1人であろう! 教会に敬意を払わんか!」

 

「俺は魔力ゼロだし? 天職も元々持ってたものだし? 今まで生き残れたのもドルモンや仲間達のお陰だし? 言語理解を貰った位でそこまで感謝しろとか言われてもねぇ?」

 

ぶっちゃけ俺はその『(エヒト)』の加護なんて殆ど受けていないのだろう。

故に教会に敬意を払う義理なんぞ欠片も無い。

 

「…………はっ! 貴様も神に見放された人間だったか! ならばそこにいる魔物風情も神に見放された生きる価値も無いゴミクズなのだろう! 神殿騎士を侮辱する異教徒として……………」

 

「ッ!」

 

こいつは今ドルモンの事を何と言った?

俺が敵意を持って睨み付けた瞬間、ドゴォンと言う音と共にデビットが壁に叩きつけられていた。

 

「がはっ………!?」

 

壁に罅が入るほど叩きつけられたデビットは苦しそうな声を漏らす。

気付けば優花がデビットの胸倉を掴んで後方の壁に叩きつけていた。

 

「ゆ、優花っち…………!?」

 

突然の優花の行動に目を丸くするクラスメイト達。

 

「………ドルモンへの侮辱は大士への最大級の侮辱。そして大士への侮辱は私に対する最大級の侮辱よ………! シアに対する侮辱も含めて、いい加減我慢できないわ…………!」

 

優花は殺気を込めた視線をデビットに向ける。

 

「そ、園部さん…………!? 落ち着いて……………!」

 

愛子先生が落ち着くように言うが、

 

「いくら愛ちゃんの言う事でもこれだけは聞けないわ。こんな小さい男に私達の大切な仲間を侮辱されるのは我慢できない………!」

 

「ぐううっ…………!」

 

そのまま首を絞めつける優花に対し、

 

「優花、もういい」

 

俺はそう言う。

 

「大士、でも………」

 

「その気持ちだけで十分だ。ドルモンもいいよな」

 

「うん、俺達の為に怒ってくれてありがとう、優花!」

 

俺の言葉にドルモンも笑みを浮かべてそう言う。

 

「そう言う事だ。第一、そんな小さな男はお前が手を汚す価値も無い」

 

俺がそう言うと、優花はゆっくりと手を離す。

 

「大士達に感謝しなさい。でも、次から口の利き方に気を付けることね。次は大士達が許してもこの私が許さない………!」

 

咳き込みながら苦しむデビットを無視して少々乱暴に椅子に座り直す。

 

「デ、デビットさん…………!? お願いです白崎さん、治癒魔法を………」

 

愛子先生は治癒師である白崎さんに助けを求めるが、

 

「嫌です」

 

白崎さんは即答した。

 

「し、白崎さん!?」

 

断られるとは思って無かったのか、愛子先生は驚愕の声を漏らす。

 

「私はその人を治したくありません。シアを侮辱したことは、私も怒ってるんです!」

 

「……………自業自得」

 

白崎さんの言葉にユエも同意する。

結局近くに白崎さん以外の回復魔法の使い手はいなかったので、回復薬と包帯などを用いた治療を行う事になった。

愛子先生がデビットの治療を行っていると、シアがしょげているのが目に入った。

 

「おい、シア。これが〝外〟での普通なんだ。気にしていたらキリがないぞ?」

 

「はぃ、そうですよね……わかってはいるのですけど……やっぱり、人間の方には、この耳は気持ち悪いのでしょうね」

 

シアが自分のウサ耳を触りながら苦笑いしている。

すると、

 

「私はシアのウサミミは可愛いと思うよ」

 

「カオリさん……そうでしょうか?」

 

白崎さんがシアのウサ耳を褒める。

 

「あのな、こいつらは教会やら国の上層に洗脳じみた教育されてるから、忌避感が半端ないだけだ。兎人族は愛玩奴隷の需要では一番なんだろう? それはつまり、一般的には気持ち悪いとまでは思われちゃいないってことだ」

 

「そう……でしょうか……あ、あの、ちなみにハジメさんは……その……どう思いますか……私のウサミミ」

 

シアは聞きたいけど聞きたくないと言った具合に耳をピコピコとさせてハジメの答えを待つ。

 

「……別にどうも……」

 

ハジメはシアのウサ耳をチラリと見て興味無さげにそう言うが、お前は確かケモ耳好きじゃなかったか?

 

「……ハジメのお気に入り。シアが寝てる時にモフモフしてる」

 

ユエの言葉に俺は、ああやっぱりと思った。

 

「ユエッ!? それは言わない約束だろ!?」

 

「ハ、ハジメさん……私のウサミミお好きだったんですね……えへへ」

 

シアが嬉しそうに耳を動かす。

 

「ほう、お前はこの世界に来る前からケモ耳好きだったからな。性格が変わっても趣味趣向に変化が無かったって事か!」

 

俺の言葉にハジメは目を見開き、

 

「てめっ………! 今それを言うか!?」

 

「今言わずにいつ言うんだ? シアを慰めるには、ハジメがケモ耳好きだという事を教えるのが一番だぞ」

 

その俺の言葉に、

 

「ハジメ君ってケモ耳好きだったんだ………」

 

「………その話、後で詳しく」

 

シアではなく白崎さんとユエが予想外にも反応した。

 

「分かった。因みにハジメはケモ耳だけではなく異世界のいろんな種族に興味を持つ」

 

俺が調子に乗ってハジメの秘密を教えていると、ハジメは羞恥か怒りがか顔を真っ赤にして、

 

「いい加減にしろ! この天使フェチ!!」

 

凄まじいカウンターを喰らった。

 

「ぬあっ!? 何故それを!?」

 

「ハッ! てめえは忘れてるかもしれねえが、てめえが寝ぼけてるときに一回だけ聞いてたんだよ!」

 

なんだと!?

そんな事が!?

ハジメはしてやったりと笑みを浮かべる。

 

「大士………天使フェチなの?」

 

「う~ん………大士の要望にはなるべく応えてあげたいけど、羽生やすのはちょっと無理かな~~…………?」

 

若干呆れた優花の視線と、真面目に俺の要望に応えようと考える葵の反応が痛い。

 

「………………何か俺様って忘れられてねえか?」

 

羞恥心で悶絶する俺の横でインプモンがポツリと呟いた。

 

 

 

 

 





第20話の完成。
はい、再会編をお送りいたしました。
そして何故か登場インプモン。
ですが今回は再会組の話がメインだったのでインプモンの活躍は次回。
次はVSティオ編。
さて、味方がエライ過剰戦力ですが……………
どうなるかは続きをお楽しみに。

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