ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第40話 急展開

 

 

 

 

「………と言う訳で、娘のクオン共々これからお世話になるわ。よろしくね」

 

「何がと言う訳なの………!?」

 

優花達と合流した直後に、クオンを抱っこしているカンナが開口一番にそう言ったため、優花にジト目で睨まれつつ、そう問いかけられた。

 

「いや、俺もいきなりすぎて何が何だか………」

 

「つまり10人目………?」

 

困惑する俺の言葉に、シャルロットがズバッと切り込んできた。

 

「うっ………って言うか、10人目って何だ? アリスとエリスを入れても今現在の恋人は7人だぞ?」

 

「確定事項………」

 

「はい?」

 

意味不明なシャルロットの言葉に俺は声を漏らす。

 

「はぁ~。まあ、こうなるんじゃないかって気はしてたけどさ………」

 

優花が呆れたように頭に手を当てながら深く溜息を吐いた。

 

「南雲君と、ミュウ、レミアさんの時と似た様な状況だったもんね」

 

葵も諦めた……と言うより、最初から分かっていたような雰囲気だ。

 

「まあ、クオンのお母さんだし、悪い人じゃないのは確かだよ。それに、ケモミミ尻尾属性って言う、大士のハーレムには居ないタイプの人だしね。今は大士にその気は無くても、時間の問題じゃないかな?」

 

葵……そこまでハッキリ言い切らなくても………

でも、狐耳と尻尾に興味が無いかと言われれば嘘になる。

実際クオンの耳と尻尾でもコッソリとモフモフした事もあるし………

 

「あら? 旦那様はこの耳と尻尾に興味があるの?」

 

カンナは良い事を聞いたと言わんばかりに薄く笑うと、見せつける様な仕草で尻尾……即ちお尻を突き出す。

 

「うっ………!」

 

その行為に、色気と魅力を感じた俺は、顔を熱くしながら目を逸らした。

 

「フフッ……! 確認するまでも無かったわね」

 

俺の反応を見て気を良くしたのか、カンナは面白そうに笑みを浮かべた。

すると、カンナの尾の数本が俺の腕にシュルリと巻き付く。

 

「カ、カンナ………!?」

 

「どう? 私の尻尾の触り心地は………?」

 

そういいながら、何度がギュウギュウと締め付ける。

 

「………………モフモフ」

 

カンナの尻尾の肌触りは、正にその一言だった。

 

「クスクス……」

 

笑われる俺は、何も言い返す事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

結局、カンナとクオンを仲間に加えた俺達は、魔族領の荒野を走っていた。

 

「気付けば随分と大所帯になったなぁ………」

 

俺は運転しながらポツリと呟く。

現在のパーティーは、俺とドルモン、葵とリュウダモン、優花とハックモン、シャルロットにシルフィード、カトレア、ティファニア、アリスとエクスブイモン、エリスとスティングモン、エミリアとメタルグレイモン、クラウディアとワーガルルモン、カイルとライズグレイモン、そして新しく仲間に加わったカンナとクオン。

人だけで13人。

更にシルフィードとデジモン8体を加えれば更に多い。

ぶっちゃけトータスでの旅の人数を超えてしまっている。(勇者(笑)パーティー除く)

その大半が俺の恋人っていうのがまた何とも…………

まあ、前のパーティーも、大半がハジメのハーレムだったが。

そんな事を考えながら、荒野を走り続ける。

助手席では、カンナがクオンを抱きかかえながらあやしていた。

その時、

 

「……………ん? あれは…………」

 

フロントガラスから見える視界の先に、大きな四角い建造物があった。

建造物とは言っても、かなり古びたものであり、遺跡と言った方がいいかもしれない。

しかし、その作りはこの世界の技術レベルを遥かに凌駕しているように思える。

 

「あれは古代文明の遺跡ね………魔族領には、ああいった遺跡が幾つか点在するのよ」

 

カンナがそう説明する。

 

「そうなんですか? 人間領の方にはあまりそう言った遺跡が残って無くて………」

 

「遺跡か…………」

 

エミリアとクラウディアが興味深そうに遺跡を眺めていた。

俺はそんな2人を見て、

 

「気になるなら寄って行こうか?」

 

そう提案してみた。

 

「「いいのか(んですか)!?」」

 

予想以上に2人が食いついてきた。

 

「お、おう………迎えが来るまでには、後半月位はあるだろうし………」

 

「あはは………エミリアは読書家だったから、歴史なんかの本もよく読んでたからね」

 

2人の剣幕に若干引いてしまった俺に、カイルが軽く笑いながらそう言う。

俺は、寄り道の為にハンドルを切るのだった。

この選択が、この世界の真実を知るきっかけになろうとは、この時の俺は露にも思わなかった。

 

 

 

 

 

 

立ち寄った遺跡の入り口で、俺は魔力駆動四輪を〝宝物庫〟に戻し、代わりにデルフを取り出す。

 

「おう。出番かい相棒………ってありゃ? また知らねえ女が増えてるじゃねえか! やるね相棒!」

 

驚いた声を漏らすデルフ。

 

「やかましい」

 

俺だって狙ってるわけじゃない。

本当に俺の女性から好かれない因果は何処行った!?

それはともかく、シルフィードも人の姿のイルククゥとなり、俺達についてくる。

優花の気配感知によれば、この建物内にはいくつか魔物らしい反応があるとの事。

まあ非戦闘員のカトレア、テファ、クオンも居るが、他のメンバーが全員普通以上に戦えるので問題無いだろう。

カンナも先程のライオン男を焼き尽くした炎を見るに、かなり戦えるだろう。

 

「遺跡探検! ワクワクしますね!」

 

エミリアが興奮を抑えきれない様子でそう言う。

 

「ああ! 本当に遺跡探検が出来る日が来るとはな!」

 

クラウディアも期待に満ちた表情だ。

 

「楽しみにするのはいいが、何も見つからない可能性だってあるんだからな」

 

俺がそう言うと、

 

「それもそれで冒険の醍醐味だ!」

 

クラウディアはそれでも楽しそうな表情を崩さない。

 

「………まあ、俺も興味が無いと言えば嘘になるからな」

 

実は、俺も異世界冒険っぽい遺跡探索に心躍らせていたりする。

トータスの大迷宮も遺跡と言えば遺跡だったのかもしれないが、あそこはどっちかと言えば試験の為の作られた施設みたいなものだし、ハルケギニアでも宝探しの時にちょっとした冒険はしたが、ほぼ全てが肩透かしだった。

それぞれの期待を胸に、俺達は探索を開始する。

入り口の扉は壊れており、中に入るのは容易だった。

すると、

 

「ギギィ!」

 

鳴き声と共に、目の前にゴブリンが現れる。

 

「はっ!」

 

しかしそれに動じず、クラウディアが持っていた黒槍でゴブリンを切り裂いた。

 

「へぇ………」

 

それを見た優花が声を漏らす。

 

「如何した?」

 

俺が優花に訊ねると、

 

「いえ、綺麗な槍捌きだと思っただけよ。私も近距離戦闘で槍を使うことはあるけど、あんな綺麗に槍を振り回すなんて出来ないからね」

 

優花の言う通り、優花の槍捌きはステータスの高さに頼った力尽くな面が強い。

まあ、実戦の中で培った我流槍術だし、何より優花は遠距離からの投擲による攻撃が主軸だ。

つまり、得意分野が違う。

まあ、でも、

 

「俺は優花の荒々しい槍捌きも、カッコ良くて好きだけどな」

 

俺がそう言うと、優花は顔を赤くし、

 

「も、もう! いきなり何言ってるのよ!?」

 

恥ずかしさを誤魔化すようにそっぽを向いた。

 

「ははは」

 

そんな優花の反応に俺は笑みを浮かべる。

基本的な戦闘は、クラウディア、アリス、エリス、カイル、エミリアに任せ、先へと進んでいく。

建物の作りは金属製で、かなり高い技術力を思わせた。

廊下の両端には、度々部屋らしき扉があったが、そのほとんどは瓦礫で埋もれていたり、無事だったとしても中の物は殆ど風化していたりで、目ぼしい発見は無かった。

それにしても、

 

「………なんか、学院にある訓練用デジタルダンジョンがある施設に似てるな………」

 

俺は思った事を口に出す。

 

「あっ、それ俺も思った! なんていうか、こう、雰囲気みたいなのが」

 

カイルが俺に同意する。

するとクラウディアが思案顔になり、

 

「そう言えば、学院のデジタルダンジョンは、見つけられた遺跡を元に作られていると聞いた事が………」

 

思い当たる事があったのかそう呟く。

 

「なるほど。もしかしたら、この遺跡と学院の訓練用のデジタルダンジョンの施設は、同じ時代に作られた物なのかもな」

 

俺は当てずっぽうに近い推理を立ててみた。

 

「なるほど、それなら確かに建物の作りが似ていてもおかしくはないな」

 

クラウディアが納得したように頷く。

外から見た大きさの割には中の作りは結構単純で、分かれ道も少ない。

まあ、戦闘が考えられた砦なんかじゃない限り、作りは分かり易い方がいいよな。

目ぼしい発見が無いまま通路を進む。

作りは金属製だが、あちこち風化しているため道は悪い。

 

「カトレア、テファ、大丈夫か?」

 

俺は非戦闘員の2人に声を掛ける。

因みにクオンはカンナに抱かれているため疲れようがない。

 

「はい。お気遣いありがとうございます、旦那様」

 

「私も大丈夫です」

 

2人は笑みを見せながらそう言う。

カトレアは元々身体が弱く、運動が碌に出来なかったが、体が良くなってからは日頃から運動に勤しみ、特に最近では運動していない女性よりは体力が付いたぐらいだ。

テファはこう見えて森に囲まれたウエストウッド村で生活していたし、見た目とは裏腹に地球の一般女性よりは体力はあったりする。

 

「何気に気配り上手よね、タイシって」

 

俺の知らない所でアリスが呟く。

 

「大士は自分の『大切』は、本当に大切にするからね。恋人が増えたからって、誰かを蔑ろにすることはしないよ」

 

葵がそう言っていた。

 

 

 

そのまましばらく通路を進んでいると、突き当りが見えた。

 

「行き止まり………いや………」

 

一瞬行き止まりかと思ったが、よく見ると中央に縦の線が見える。

 

「……扉か!」

 

それは大きな扉だった。

通路の大きさそのものに近い、大きな扉だ。

 

「この先に何かあるのか……? 優花」

 

感知技能を持つ優花に問いかけると、

 

「何があるかは分からないけど、この扉の先には大きな空間があるわ。大部屋じゃないかしら?」

 

優花はそう言った。

 

「この施設の中枢か……?」

 

俺はそう推測するが、とりあえず開けてみない事には始まらない。

俺はその扉の前に立ち、

 

「フンッ………!」

 

一先ず素のままで扉を開けようとしたが、案の定ビクともしない。

そこで俺はデジソウルを使い、

 

「はあぁぁっ………!」

 

再び力を込め始める。

しかし、扉は中々開かない。

 

「こんにゃろっ………!」

 

俺は更に力を込める。

すると、メキメキと言う音と共に、扉が変形し始めた。

どうやら扉が完全に錆びついていたか、もしくは元々手で開けられるような仕掛けじゃなかったのだろう。

俺は仕方なく扉が変形して出来た隙間を抉じ開ける。

扉の向こうは完全な闇………ではなく、

 

「…………何だ?」

 

部屋の中にはいくつもの光点が見て取れた。

しかし、暗い事には変わりないので、その光が何なのかは分からない。

すると、

 

「………あら?」

 

後から部屋に入って来た優花が、何かに気付いたように横へ移動する。

そして………

 

―――ガチャン!

 

短い金属音のような音がしたかと思うと、部屋の中が光に包まれた。

 

「うっ……!」

 

突然の光に俺は目を庇う。

少しして光に目が慣れ、俺は少しずつ目を開ける。

その俺の視界に飛び込んできたのは、

 

「なっ………!?」

 

50m四方はあろうかという大部屋の中央に聳え立つ、塔のような巨大なコンピューターと思わしき機械仕掛けの人工物。

そして、部屋を埋め尽くした光とは、天井に備え付けられていた照明だった。

ふと見れば、優花が大きなブレーカーと思わしきハンドルを上に上げていた。

おそらくそれが照明のスイッチだったのだろう。

そして、その意味が示す事は、

 

「………この施設のシステムは、まだ生きてるって事か………!」

 

俺は驚愕と共にそう口にした。

 

「ふわ………何ですかこれ………?」

 

エミリアが巨大コンピューターを見上げながら呆然としている。

この世界の人間には、機械は馴染みの薄いものだろう。

 

「この光も魔力を感じない………どうやってこれほどの光を………」

 

クラウディアは照明に興味を向けたようだ。

そんな中、俺はジッとコンピューターらしきものの方に意識を向けていた。

 

「………ん?」

 

「如何したの?」

 

シャルロットが問いかけてくる。

 

「いや、あそこに……」

 

俺はコンピューターの正面の床に、操作盤らしき場所を見つけた。

俺は思わずその操作盤に足を向ける。

 

「あっ、大士」

 

ドルモンが俺の後に続く。

思った通りそれは操作盤らしく、キーボードのようなパネルが並んでいた。

そのパネルの中に、点滅しているパネルを見つけた。

まるで、押してくれと言っているように思える。

好奇心に突き動かされた俺は、後先考えずにそのパネルに手を伸ばし、押してしまう。

その瞬間、操作盤の周辺に、空中に浮かぶ画面が投影された。

 

「うおっ!?」

 

俺は思わず驚きの声を漏らす。

優花達は咄嗟に警戒したが、特にそれ以外何も起こらず、画面が投影されただけの様だ。

 

「………………」

 

少しして警戒を緩めると、俺は投影された画面に視線を向ける。

システムが若干不安定なのか、ノイズ交じりの様に時々画面が乱れていた。

 

「これは古代語……?」

 

カイルが呟く。

モニターに映し出された文字は、この世界で使われている文字とは異なっていたため、カイル達には読めない様だ。

だが、〝言語理解〟の技能を持つ俺には、問題なく読める。

 

「………東歴1997年:デジタルネットワーク上に自意識を持つプログラムを発見。生物のような姿をしていた事から、『デジタルモンスター』、通称『デジモン』と命名。同時に、そのデジモン達が住む仮想世界を発見する」

 

俺は表示された文字を口にする。

 

「読めるのか!?」

 

クラウディアが驚愕する。

 

「ああ………言語理解のお陰でな………」

 

俺は再びモニターに目を向ける。

 

「東歴1999年:仮想世界よりデジモンの実体化に成功。しかし、暴れて手が付けられなかったため、その場で処分………」

 

書かれていた事にムカッとした。

勝手にデジモンをリアライズさせて自分勝手な都合で処分するなどふざけているとしか言えない。

 

「東歴2000年:デジモンを制御可能にする首輪の開発に成功。これにより、デジモンの研究が進むことに期待」

 

デジモンを制御する首輪ってイービルリングじゃね?

 

「東歴2001年:デジモンが突如として巨大化及び姿形の変化が発生。この現象を『進化』と呼称。まだ制御可能な段階の為、研究を続ける。東歴:2002年:更なる『進化』を行った個体を確認。従来の首輪では制御不能だったため、暴走。処分を試みるも、戦闘力が飛躍的に向上しており、数十体の制御下のデジモン及び、最新兵器を投入し、甚大な被害を出すも処分に成功………後に制御用の首輪の改良に成功。同時期、更なる『進化』を行ったデジモンの制御に成功。これにより、デジモンの兵器転用が促進」

 

今度はイービルスパイラルでも作ったのか!?

 

「東歴2006年:デジモンの進化段階の呼称を『幼年期』、『成長期』、『成熟期』、『完全体』と呼称する事が決定」

 

今更か!

 

「東歴:2010年:訓練用の仮想空間施設の開発に成功。これにより、軍の戦力向上が期待される。それと、隣国に制御用の首輪を使わずにデジモンを従える人間が確認された。その者達の言い分は『デジモンは兵器ではなく共に生きるパートナー』だとか………理解不能だ。」

 

やっと真面なテイマーが現れたと思ったが、これを書いてる奴は駄目だな。

 

「東歴:2015年:『完全体』が更なる進化を遂げた『究極体』が発見される。その力は正に神の如くだ。素晴らしい………!」

 

おい、この著者ヤバくね?

 

「東歴2016年:デジモンの軍隊を作り、隣国に攻め入った。物量差で我が国の圧勝かと思われたが、隣国の13体の究極体デジモンにより我が国の軍は惨敗」

 

13体って事は、もしかしてロイヤルナイツ(真)か?

 

「東歴2020年:先の軍事侵攻が切っ掛けとなり、各地で小競り合いが頻発。ついに戦乱の火種が世界中に広がり、世界大戦が始まってしまった。究極体が入り乱れるその大戦は、僅か1月で終わった。この惑星にある、この大陸以外の全ての大陸が、海に沈んだという理由で…………究極体の力の激突に、大陸が耐えられなかったのだ。この大陸が無事だったのも、先に述べた隣国の13体の究極体デジモンの力が突出していた事により、大陸が耐え切れないだけの激突が無かったからに他ならない。しかし、大陸は沈まなかったものの、大陸の人口の9割を失い、文明も崩壊したに等しい。この施設は幸運にも無事だが、デジモン専門の研究機関の為、文明復活に必要なデータは殆ど無い。更に、文明が崩壊したに伴い、世界規模に広がっていたネットワークが縮小。同時に、デジモン達も衰退を辿っている。これはつまり、我々の世界とデジモン達の世界は表裏一体。どちらかが衰退すれば、もう片方も衰退する。今更だが、隣国のデジモン使いが言っていた事を思い出す。『デジモンは兵器ではなく共に生きるパートナー』。それは正にその通りだったのだろう。我々は、協力して生きていかなければならなかった。今更手遅れだ………私は、気付くのが遅すぎた………」

 

書かれている内容はここまでだ。

 

「…………今のが………古代文明が滅びた経緯なのか…………?」

 

クラウディアが呆然と呟く。

 

「まさか………古代文明が滅びた経緯が、デジモンを戦争に使った事による自滅だったなんて…………」

 

カイルも信じられない様な表情をしている。

 

「…………まあ言い方は悪いが、自業自得のようなところもある」

 

俺の言葉に、全員が目を向ける。

 

「ハッキリ言って、究極体の力は人には過ぎた力だ。俺だって自分の『大切』を護る為でなきゃ、そうそう使おうだなんて思えないさ」

 

正直に言えば、究極体の力は『怖い』。

1つ扱いを間違えれば、敵どころか味方すら………

挙句は、自分の護ろうとする『大切』すら傷付け、殺してしまう可能性すらあるのだ。

 

「古代文明人………とは言っても、上に立つ者だけだろうが、その事を解っていなかった。だから、究極体の力を安易に使い、世界を滅ぼしてしまったんだ」

 

「究極体の力は………世界をも滅ぼすのか…………!」

 

クラウディアは悲痛な表情を浮かべる。

 

「ああ。だが、逆に言えば、その力の使い方を間違わなければ、大切なものを護る力になる事も確かだ。要は、世界を滅ぼすとは言え、その力を扱うのはデジモンと、そのテイマーの人間だ。デジモンとテイマーの間に確固たる絆があれば、間違うことは無い。俺はそう思ってる」

 

ま、怒りに任せて国1つ滅ぼした俺が言っても、説得力は無いがな。

内心自嘲する。

とにかく、予想とはかけ離れたが、収穫はあった。

古代文明が滅びた経緯と、究極体の力の怖さ。

それを知ったクラウディア達が如何するのかは分からない。

だけど、彼女達ならきっと正しい道を選べる。

そう信じている。

俺は、皆に情報を整理する時間を与えようと、一度外に戻る為に声を掛けようとして、

 

―――バチッ

 

放電する様な音に振り返った。

見れば、バチバチとコンピューターが放電していた。

 

「ッ! 長い事ほったらかしだった所を起動させたから、何処かでショートしたか!?」

 

俺は最悪爆発の可能性すら頭に過る。

だが、そのコンピューターはバチバチと放電を続けると、まるでその電流が1ヶ所に集まるような動きを見せていた。

そして、その電流が集まる場所の空間が歪んでいき、黒い穴のような物が出来上がる。

 

「ッ!? 空間ゲート!?」

 

その空間ゲートは一気に膨れ上がり、俺達を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

真っ暗だった視界が一気に開けたかと思うと、次に感じたのは浮遊感。

その直後に、重力に引かれて一気に落下した。

 

「うぉわぁぁぁぁっ!?」

 

俺は思わず声を上げる。

って言うか、この感じ前にも同じような事が………

そう考える間もなく、地面が見えてくる。

 

「ッ!」

 

俺は一旦考える事を止め、現状をどうにかする為に行動する事にした。

その直後、

 

「大士! ここ魔法が使えないわ!」

 

優花が切羽詰まった表情で叫んだ。

俺が振り返ると、優花は〝空力〟の足場を作り出そうとしているのか足に意識を向けているが、足は空を切るだけ。

 

「ッ! シルフィード!」

 

今度はシャルロットがシルフィードことイルククゥに呼びかける。

だが、

 

「きゅ、きゅい!? も、元の姿に戻れないのね~~~!?!?」

 

イルククゥも困惑したように叫ぶ。

 

「如何して………!?」

 

シャルロットが困惑する。

俺達の危機感が増した時、

 

「大士!」

 

「葵!」

 

ドルモンとリュウダモンが叫んだ。

 

―――EVOLUTION

 

その2体が光を放つ。

 

「ドルモン進化!」

 

「リュウダモン進化!」

 

俺達の危機に、ドルモン達は己の意思で進化する。

 

「ドルガモン!!」

 

「ギンリュウモン!!」

 

2体が成熟期となって現れる。

 

「進化した!」

 

俺はそれを見て咄嗟に叫ぶ。

 

「皆! デジモンを呼び出せ!!」

 

俺の言葉に、カイル達はデジヴァイスを掲げる。

 

「ライズグレイモン、リアライズ!」

 

「メタルグレイモン、リアライズ!」

 

「ワーガルルモン、リアライズ!」

 

「エクスブイモン、リアライズ!」

 

「スティングモン、リアライズ!」

 

それぞれがデジモン達をリアライズさせる。

そして、ドルガモンが俺を拾い、

 

「カンナ! クオン!」

 

すぐ近くにいたカンナとクオンに手を伸ばす。

 

「旦那様!」

 

「おとーさん!」

 

2人も俺に向かって手を伸ばし、ドルガモンが上手く制動をかけて負担なく2人をドルガモンの背に引っ張り上げた。

 

「優花! ハックモン!」

 

「葵!」

 

「助かる!」

 

葵を拾ったギンリュウモンが優花と飛行能力が無いハックモンを受け止める。

 

「カトレアさん!」

 

クラウディアを抱えたワーガルルモンが、もう片方の手でカトレアを拾う。

 

「ありがとうございます」

 

「シャルロット!」

 

「イルククゥ!」

 

続けてアリスとエリスを助けたエクスブイモンとスティングモンが、シャルロットとイルククゥを救っていた。

 

「ありがとう。助かった」

 

「きゅい~、助かったのね~」

 

「ティファニア!」

 

最後にライズグレイモンの肩に乗ったカイルがテファを助けていた。

 

「カイルさん、ありがとう!」

 

全員が助かった事を確認すると、一先ず安堵の息を吐いた。

一旦声が聞こえる距離までデジモン達が近付き合うと、

 

「それにしても、ここは一体何処なの?」

 

テファが疑問の声を漏らす。

 

「ここは魔法が使えなかった。まるでデジタルダンジョンの様………」

 

エリスがそう呟く。

その時、

 

「大士! 上を見て!」

 

ドルガモンが気付いたように叫んだ。

その言葉に、俺は上を向くと、

 

「あれはっ……!」

 

視線の先には、青い球体が空に浮かんでいた。

そして、それは俺にも見覚えがあった。

 

「まさか……リアルワールド球!?」

 

細部は違う上、そこから伸びる光の柱は数本しかないが、過去に見たものと同種のモノで間違いなかった。

 

「ならここは………デジタルワールドか!」

 

俺は確信を持って叫ぶ。

光の柱が数本しか無いのは、リジアルからのデータの流れが極僅かだからだろう。

周りも見ても、荒廃した荒野が広がっている。

リジアルの文明が衰退したため、デジタルワールドを構成するデータの流れも極僅かとなり、デジタルワールドも滅びの一途をたどっているのだろう。

俺の予想だが、デジタルワールドが不安定となり、リジアルに多くのデジモン達が現れているのかもしれない。

そして、デジモンがリジアルにリアライズする時、地球では縄張りと言える空間を一緒に引っ張ってきたため、デジタルフィールドという霧のような形となったが、こちらではデジタルワールドそのものが脆いために、デジモンがリアライズする際、デジタルワールドの一部を切り離して、その一部事リジアルに現れる、それがデジタルダンジョンの正体では無いのかと予想する。

 

「デジタルワールド?」

 

カイルが疑問の声を漏らす。

 

「簡単に言えば、デジモン達が住む世界だ」

 

「デジモン達が!?」

 

俺の言葉にカイルが驚愕する。

 

「元の場所には戻れるんでしょうか?」

 

カトレアの問いに、俺は一瞬考えた。

かつてデジタルワールドから戻る時は、ヒュプノスやワイルドバンチの人達の尽力により、アークと言う箱舟が送られ、それに乗る事でリアルワールドに帰還する事が出来た。

そして当然だが、この世界にはどちらも居ない。

だが、よくよく考えれば、要はリアルワールド球に突撃する事さえできればリアルワールド……リジアルに戻れるのではないだろうか?

詳しい事は分からないが、アークは狙った場所に帰還させるための手段であり、リアルワールドに帰還するだけなら行けるのではないだろうか?

その際に出る所はランダムになるだろうが。

一先ず、物は試しと口を開こうとして、

 

「大士!」

 

ドルガモンが切羽詰まった声を上げた。

俺がハッとなって我に返ると、リアルワールド球から伸びる光の柱がすぐそこまで迫っていた。

 

「ッ! 皆離れろ! あの光の柱に巻き込まれたら、何処に飛ばされるか分からないぞ!!」

 

俺は咄嗟に叫ぶ。

その瞬間、光の柱の危険性を知るドルガモンと、咄嗟の声に反応できたギンリュウモンはすぐに動くことができた。

しかし、他の皆は一瞬反応が遅れ、

 

「あ………」

 

俺の目の前で、無情にも光の柱が通過する。

その光の柱が通り過ぎた時、そこには誰の姿も無かった。

 

「皆ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

俺は思わず叫び声を上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

大士達がデジタルワールドに飛ばされてしまった頃、サーバー王国の王宮では大事件が起こっていた。

それは、国王であるアスランの食事に毒が盛られ、アスランが倒れたのだ。

王宮の治癒師の尽力により、一命は取り留めるものの、昏睡状態に陥り何時目覚めるかも分からないという。

 

「お父様…………」

 

リティナが悲痛な表情でベッドに眠るアスランを見つめる。

毒を盛った実行犯は既に捕えられ、その場で首を刎ねられたそうだが、リティナはその事に違和感を感じていた。

国王に毒を盛った実行犯。

確かにそれは処刑を免れる事が出来ない重罪だ。

しかし、例えそうだとしても、尋問なりなんなりをして、動機や因果関係を聞き出すのが普通だ。

しかし、犯人は見つけられてすぐに首を刎ねられた。

まるで、尋問されたら困ると言わんばかりに、口封じされたとも考えられる。

 

「まさか………お父様に毒を盛ったのは…………」

 

そして、リティナが考えを巡らす内、毒を盛った犯人の黒幕に、まさかと思える人物が浮かび上がった。

しかし、リティナが思うよりも早くその人物は次の行動を起こしていた。

国王のアスランが倒れた事で、緊急の議会が開かれ、次の国王を選出する事が決まったのだ。

曰く、何時目覚めるかも分からないアスランが目を覚ますのを待つより、次の国王を立てて即位させた方が、他国に隙を与えずに済むということの様だ。

そしてアスランが目を覚ました暁には、正式に王位を譲り受けるとも。

だが、その流れが余りにも早すぎた。

まるで、予め決まっていたかのように。

現在、サーバー王国の王位継承権を持つものは2人。

王子であるレオナルドと、王女であるリティナだ。

この2人のどちらが国王に相応しいか、この国の主な貴族である13家の投票できまるのだが、フォルダ公爵を始めとした半数近くの当主達がリティナに投票するも、黒幕の根回しが済んでいたのか、結果はレオナルド7票、リティナ6票により、次の国王はレオナルドに決定した。

これがこの国にどの様な結果を齎すのかは、まだ誰も知らない…………

 

 

 

 

 







オリジナル異世界編第40話です。
タイトルに偽りなしの急展開(回?)です。
ぶっちゃけデジタルワールドに飛ばしたのは、ヒロイン達のパートナー探しと、究極体進化の為だったりします。
で、究極体の力だったらフツーに力尽くでリアルワールド(リジアル)に帰還できそうな気がしたので、ご都合主義の如く別行動となります。
こう言う時にテイマーズの設定って役に立ちますね。
なので、合流の為に各旅が始まります。
まあ、そこまで引っ張るつもりは無いのでサクサク進める予定です。
それにしても、オリジナル異世界編がスタートして早40話。
IS編どころか、ゼロ魔編も越えそうな勢いです。
ここまで長くなる(続く)とは思って無かったです。
それでは次も頑張ります。
そして約1ヶ月ぶりの返信です。

大士のヒロイン全員にパートナーデジモンを付けるべきか?

  • 是非ともつけるべき!
  • ヒロイン自身が魅力的なので別にいいです。
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