ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第44話 究極の竜剣士、ビクトリーグレイモン見参!!

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

光の柱に飲まれたカイルとライズグレイモン、そしてティファニア。

彼らの行きついた先は………

 

 

 

 

「うわぁああああああああっ!?」

 

「きゃぁあああああああっ!?」

 

突如として地上近くに転移され、ライズグレイモンは地上に足を取られて転倒。

その拍子にカイルとティファニアは投げ出される。

 

「だっ!?」

 

カイルは上手く受け身を取って、怪我をするのを防いだ。

だが、

 

「きゃぁああああああああああああっ!?」

 

ティファニアは無防備に投げ出されたまま飛ばされ、

 

「へっ?」

 

「きゃあっ!?」

 

カイルの真上に落下した。

 

「ううっ………」

 

「む、むぐぐ………」

 

カイルが下敷きになったお陰でティファニアに怪我は無い。

しかし、

 

「………はっ!」

 

カイルの顔には、大士の恋人達の中でも随一の大きさを誇るティファニアの胸が押し付けられるような形になっていた。

 

「きゃっ! ご、ごめんなさい………!」

 

それに気付いたティファニアは慌てて退く。

 

「はぁ~! い、いや、こっちこそごめん………」

 

息を大きく吸い込んだ後、カイルも謝罪する。

 

「………………えっと、それだけですか?」

 

「えっ? 何が?」

 

「い、いえ、何でもありません!」

 

カイルの反応に、ティファニアは困惑した様子を見せる。

その理由は、ティファニアは日本の学校生活を送るうち、一般常識を学ぶにつれて女子相応の恥じらいと当たり前の事を知っている。

その中でクラスメイト(特に鈴)との交流で、ティファニアの胸は凶器であり、男子に押し付けたりしたら、たちまち野獣となって襲い掛かられるなどと言った事を教え込まれていたのだ。

それでカイルが無反応な事に疑問を覚えたのだが、元々リティナ一筋なカイルにとって、その程度では全く揺るがなかった。

一途な思いのなせる業だろう。

 

「……それにしても、ここは………?」

 

ティファニアが辺りを伺う。

その時、

 

「きゃぁあああああああああっ!?」

 

少女の悲鳴のような声が響き、カイル達の近くに何かが吹き飛ばされるように落ちた。

 

「な、何だ!?」

 

カイルが咄嗟に剣を抜きながらそちらを警戒し、ライズグレイモンも左腕の銃口を構える。

するとそこに居たのは、地面に倒れている大剣と丸い盾を持った、蛇のような被り物をした少女のようなデジモンが居た。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

それに気付いたティファニアが慌てて駆け寄る。

 

「ううっ………」

 

その少女のようなデジモンは身動ぎした。

すると、

 

「弱い! 弱すぎる!」

 

また別の、今度は男の声が聞こえた。

 

「「ッ!」」

 

カイルとライズグレイモンは、少女のデジモンが飛ばされてきた方向に、1人の人影がある事に気付いた。

そこに居たのは、岩の上に立つ3m程の人型。

黒い鎧とマントを纏い、鞘に納められた大刀を持つ、武人のような姿のデジモンが居た。

 

「何だ………あいつ………」

 

「あいつの姿を見てるだけで嫌な汗が止まらない…………!」

 

その姿を見ただけで、カイルとライズグレイモンは声を震わせる。

 

「ん? 何だ、貴様らは?」

 

その武人のようなデジモンは、カイル達の存在に今気付いたと言わんばかりに問いかける。

その声色は、まるで眼中に無かったと言わんばかりだ。

 

「くっ! 舐めるな!」

 

ライズグレイモンが武人のデジモンに左腕の銃口を向ける。

 

「トライデントリボルバー!!」

 

ライズグレイモンが巨大な弾丸を3連射する。

放たれた弾丸はその武人のデジモンに向かって突き進み、

 

「フン!」

 

左手1本で簡単に弾かれた。

しかも、3発を渾身の一振りで弾くのではなく、1発1発を別々の方向に弾き飛ばしている。

それも直立不動の体勢で、左手のみを動かしてだ。

 

「なっ!?」

 

「トライデントリボルバーを………片手で………!?」

 

ライズグレイモンとカイルが驚愕の声を漏らす。

すると、

 

「……………この程度の力しか持たぬとは………完全体か…………」

 

その武人のデジモンは、カイル達に興味を無くしたように背を向け、

 

「去れ! 貴様達など相手をするまでも無い!」

 

そう言い放った。

 

「何をっ………!?」

 

ライズグレイモンはカチンと来て攻撃態勢を取ろうとしたが、

 

「うっ!?」

 

背を向けた筈の武人のデジモンに近付くことは出来なかった。

本能でこれ以上近付けば死ぬと直感したのだ。

 

「実力差を見抜くだけの力量はあるようだな」

 

背を向けたままそう言う武人のデジモン。

 

「去れ!」

 

それだけ言うと、再び沈黙する。

 

「「……………………ッ」」

 

カイルとライズグレイモンは悔しそうにしていたが、

 

「カイルさん、今はこの子を………」

 

ティファニアにそう言われ、少女のようなデジモンを連れて一旦この場を離れることにした。

 

 

 

 

 

この場所の各所には、所謂ギリシャ神殿のような石造りの神殿が立てられており、そこに何体かのデジモンが纏まって住んでいるようだった。

カイル達は、空いている神殿を見つけてそこに入り、少女のようなデジモンを休ませることにした。

それから暫くして、

 

「うう……ん………」

 

少女のようなデジモンが身動ぎして、意識を取り戻す。

 

「あっ、気が付きましたか?」

 

それに気付いたティファニアが問いかける。

 

「あれ……? 私………それに、あなた達は………?」

 

少女のようなデジモンは身を起こしながらそう問いかける。

 

「私はティファニアと言います。そしてこちらは………」

 

「俺はカイル! こっちは俺のパートナーのライズグレイモンだ」

 

2人は自己紹介する。

 

「私達は、武人のようなデジモンにやられたあなたを見つけて、連れて逃げてきたんですけど………」

 

「武人のようなデジモン………ッ! タクティモン!!」

 

少女のようなデジモンは、ハッとなってその名を叫ぶ。

 

「タクティモン? それがあの武人のようなデジモンの名前なの?」

 

カイルが問いかける。

 

「運が良かったね君達、あのタクティモンから逃げ切るなんて………」

 

少女の言葉に、カイルはバツの悪そうな顔をして、

 

「逃げ切ったというか…………眼中に無くて見逃されたって言った方が正確かな………」

 

「ああ。悔しいけど、あいつは桁違いだ………」

 

カイルの言葉に、ライズグレイモンも同意する。

 

「そうだね………タクティモンは強かった………私も手も足も出せずに負けちゃったし…………」

 

少女のようなデジモンは落ち込む様な仕草をしながらそう告げる。

すると、またハッとなって、

 

「そう言えば、お礼がまだだったね。私はミネルヴァモン。こう見えて究極体よ。助けてくれてありがとう!」

 

「えっ、きゅ、究極体!?」

 

その言葉にカイルが驚愕する。

 

「まあね」

 

ミネルヴァモンは、少し得意げに言う。

 

「まあ、あのタクティモンには敵わなかったけど………」

 

続いて再び落ち込んだ様子を見せる。

 

「あのタクティモンは、一体何者なんですか?」

 

ティファニアが問いかけると、

 

「タクティモンは、このデジタルワールドを放浪して、強いデジモンと戦うことだけが目的の、辻斬りのようなデジモンだよ」

 

「辻斬り………」

 

「スポットを渡り歩いて、一定の期間内に強いデジモンを出せと言ってくるんだ」

 

「でも、弱い奴には興味無さそうだから、こっちから手を出さなきゃいいだけじゃ?」

 

ミネルヴァモンの言葉に、カイルがそう聞くと、

 

「……………………」

 

ミネルヴァモンは、一旦俯きながら黙り込むと、

 

「………………タクティモンは、宣言した期間内に自分を倒せるデジモンが現れなければ、そのスポットに居るデジモン達を皆殺しにするんだ………!」

 

「「「なっ!?」」」

 

その言葉に、カイル、ティファニア、ライズグレイモンが驚愕の声を漏らす。

 

「それでこのスポットに来たタクティモンに、このスポットで唯一の究極体の私が戦いを挑んだんだけど……………」

 

そこまで言って更に落ち込み、

 

「タクティモンに傷を負わせるどころか、あの場から一歩も動かす事が出来なかった…………」

 

「そんな………!? 同じ究極体なのに?」

 

カイルがそう漏らすと、

 

「タイシに聞いた事がある」

 

ティファニアが口を開いた。

 

「同じ世代の中でも、ランクがあるって」

 

「ランク…………そう言えば、タイシのドルゴラモンやアルファモンも、同じ究極体を圧倒してたっけ………」

 

カイルは改めてその強さを思い出す。

 

「でも、それなら皆で力を合わせれば………!」

 

カイルはそう言うが、ミネルヴァモンは首を横に振る。

 

「駄目です………皆タクティモンの力の前に委縮してしまって、立ち向かおうとするデジモンは私以外に居ません………」

 

「そんな………」

 

ティファニアが悲痛な声を漏らす。

すると、

 

「くっ……!」

 

ミネルヴァモンが立ち上がろうとしていた。

 

「あっ、まだ動いちゃ………」

 

ティファニアが慌てて止めようとするが、

 

「もう……時間が無い………タクティモンが宣言した期日は明日………明日の朝になったら、タクティモンはこのスポットに居るデジモン達を皆殺しにしちゃう………!」

 

「ミネルヴァモン………」

 

その姿に、ティファニアは止める事が出来ない。

だが、

 

「だったら、尚更休むべきだよ!」

 

カイルがそう言う。

 

「期日は明日なんでしょ? だったら、今は少しでも休んで体力を回復させるべきだよ! 今のフラフラのまま出て行っても、何も出来ずにやられるだけだ!」

 

「あ…………」

 

その言葉に、ミネルヴァモンは気持ちが急ぎ過ぎていた事に気付いた。

 

「…………そうだね………君の言う通りだよ…………」

 

立ち上がろうとした腰を下ろして、休む体勢になる。

気付けば、外は夜になっていた。

 

 

その夜、ミネルヴァモンは会話に華を咲かせていた。

 

「ねえねえティファニア! どうやったらそんなに胸が大きくなるの?」

 

「へっ?」

 

「憧れちゃうなぁ。私、女性型のデジモンの中でも、胸が小さいし……」

 

自分の小さな胸を見下ろしながら言うミネルヴァモン。

 

「え~っと…………」

 

ティファニアは困惑している。

 

「ねえねえ! どうやって? どうやって!?」

 

「か、勝手に大きくなった………かな?」

 

ティファニアは困惑しつつも、ミネルヴァモンの質問に答えていくのだった。

 

 

 

 

その後、ミネルヴァモンは話疲れと、昼間のダメージが重なったのか、よく眠っていた。

そんなミネルヴァモンを見て、

 

「…………カイルさん。私、ミネルヴァモンを放っては置けないです」

 

縋るような言動でカイルに話しかけた。

すると、カイルは頷き、

 

「ああ、俺も同じ気持ちだよ。俺達も、出来る事をしよう!」

 

「ああ!」

 

その言葉に、ライズグレイモンも頷いた。

 

 

 

 

 

 

そして翌日。

タクティモンは夜だった景色が明るく塗り替わったのを確認し、顔を上げた。

 

「……………結局、ここにも私の心を震わせるデジモンはいなかったか………」

 

残念そうにそう呟き、このスポットを破壊しようと鞘に納められたままの大刀『蛇鉄封神丸』を振り上げ、

 

「…………むっ?」

 

自分に近付いてくる気配を察した。

大きな足音が1つと、小さな足音が3つ。

それはもちろん、カイル、ライズグレイモン、ティファニア、そしてミネルヴァモンだ。

 

「…………また貴様らか………力の差は思い知ったと思ったのだがな」

 

タクティモンは、落胆したように呟いた。

昨日勝った相手が再び向かってきても、心震わせることは無いと分かっているからだ。

 

「3人とも………本当にいいの?」

 

ミネルヴァモンはカイル達にそう問いかけた。

 

「ああ。覚悟の上さ」

 

「私達は、ミネルヴァモンを放っては置けないと思ったんです!」

 

「可能な限り、やってやるさ!」

 

カイル、ティファニア、ライズグレイモンが迷いなくそう答えた。

 

「…………ありがとう」

 

ミネルヴァモンは、大剣『オリンピア』を構える。

 

「タクティモン………勝負だ!」

 

ミネルヴァモンが地面を蹴る。

その瞬間、

 

「トライデントリボルバー!!」

 

ライズグレイモンが弾丸を放つ。

 

「フン!」

 

タクティモンは、昨日と同じように片手で弾丸を弾き飛ばし、

 

「……むっ!」

 

飛び込んできたミネルヴァモンに目を見開いた。

 

「ストライクロール!!」

 

ミネルヴァモンは大剣を振り下ろす。

タクティモンは、鞘に収まったままの『蛇鉄封神丸』でその一撃を受ける。

 

「むん!」

 

タクティモンの立つ地面に罅が入るが、タクティモンはその一撃を余裕で受け止めた。

 

「くっ!」

 

ミネルヴァモンは一旦離れ、

 

「ライジングデストロイヤー!!」

 

ライズグレイモンが放った拡散ビームがタクティモンの周囲に着弾し、煙を巻き上げる。

 

「目くらましか! 猪口才な!」

 

タクティモンは腕を振って煙を吹き飛ばす。

その瞬間、

 

「マッドネスメリーゴーランド!!」

 

竜巻を起こす程の回転斬りでミネルヴァモンが迫った。

その胴に一撃が入る。

そう思われた。

だが、

 

―――ガキィ!

 

甲高い音を響かせてその一撃は鞘に納められた大刀に防がれた。

 

「悪くない策だが、その程度の小細工、真の強者には無意味!」

 

タクティモンはミネルヴァモンの剣を弾くと、

 

「壱の太刀!!」

 

鞘に納められた大刀で地面を突く。

その瞬間、強烈な衝撃波が発生し、ミネルヴァモンを吹き飛ばす。

 

「きゃぁあああああああああああああああっ!?」

 

「ミネルヴァモン!」

 

吹き飛ばされたミネルヴァモンに、空中に居たライズグレイモンが気を向けた時、タクティモンの両肩に二門の大砲が背中からショルダーキャノンの様に展開。

 

「タネガシマ!!」

 

ライズグレイモンに向かって砲弾を放った。

 

「うぐぁあああああああっ!?」

 

その直撃を受けてライズグレイモンが墜落する。

 

「ライズグレイモン!? くっ………あいつ、遠距離攻撃もあったのか………!」

 

思い掛けない反撃にカイルは悔しそうに声を漏らす。

 

「ミネルヴァモン!」

 

ティファニアは吹き飛ばされたミネルヴァモンに駆け寄る。

 

「………もう十分だろう? 諦めろ。お前達では私には勝てぬ」

 

タクティモンはそう言い放つ。

だが、

 

「あきらめない………!」

 

ミネルヴァモンは立ち上がる。

 

「ミネルヴァモン………!」

 

「そうだ………この程度で諦めて堪るか………!」

 

ライズグレイモンも起き上がる。

 

「ライズグレイモン………!」

 

2体は再びタクティモンに向かっていく。

 

「往生際の悪い奴らめ! ならば、更なる力の差を見せつけるまで!」

 

タクティモンは、再び鞘に納められた大刀で地面を突く。

だが、今度は一度ではなく、

 

「弐の太刀!!」

 

2回地面を突く。

すると、ライズグレイモンとミネルヴァモンの足元から、黒い帯状の亡霊のようなものが現れ、それぞれに巻き付く。

 

「なっ!」

 

「くっ!」

 

2体は縛り付けられ、身動きが取れなくなる。

 

「何だあれは!?」

 

カイルが叫ぶと、

 

「このデジタルワールドに漂う消滅したデジモンのデータを亡霊の如く蘇らせる。それが『弐の太刀』!」

 

タクティモンは、技の詳細を語る。

 

「そして!」

 

タクティモンが、更に大きく大刀を振り上げ、地面を突く。

1度突くとタクティモンの足元の地面が隆起。

2度突くと、更にその周辺から隆起し、更にタクティモンを押し上げる。

そして、

 

「これが、参の太刀だ!!」

 

3度地面を突くと、隆起した地面の周辺から大地が砕ける。

その衝撃が身動きが取れないライズグレイモン達を襲った。

 

「ぐぁあああああああああああああああっ!?」

 

「きゃぁああああああああああああああっ!?」

 

倒れ伏す2体。

 

「ライズグレイモン!?」

 

「ミネルヴァモン!?」

 

カイルとティファニアが叫ぶ。

 

「終わりだ……………」

 

タクティモンがそう宣言する。

だが、ガラッと岩が崩れる音がした。

 

「むっ!」

 

タクティモンが見ると、ライズグレイモンとミネルヴァモンが起き上がろうとしていた。

 

「何故だ? 何故起き上がる!? 貴様らの勝ち目など、一遍たりとも無いというのに!?」

 

タクティモンは、心底理解できないといった口振りだ。

 

「勝てないからって………諦める理由にはならない………」

 

「そうだ………諦めなければ、希望は繋がる………!」

 

2体はそう言いながら起き上がった。

 

「……………ッ!」

 

タクティモンは再び大刀を振り上げ、

 

「壱の太刀!!」

 

地面を突いて衝撃波を発生させた。

 

「きゃぁああああああああああっ!?」

 

その衝撃波でミネルヴァモンが吹き飛ばされる。

 

「ミネルヴァモン!」

 

すぐ近くに吹き飛ばされてきたミネルヴァモンに、ティファニアが駆け寄った。

 

「ッ………!?」

 

その瞬間、ティファニアは絶句した。

何故ならミネルヴァモンの身体の各所からデータ分解が始まっていたからだ。

 

「ミネルヴァモン!」

 

泣きそうな声でティファニアが呼びかける。

 

「う………うう…………」

 

ミネルヴァモンが身動きする。

 

「ミネルヴァモン! しっかり!」

 

ティファニアの瞳から涙が溢れる。

 

「ティ、ティファニア…………」

 

「そう! 私だよ! ミネルヴァモン!」

 

「ああ………悔しいなぁ………結局勝てなかったや…………」

 

ミネルヴァモンはそう零す。

ミネルヴァモンは、泣いているティファニアに顔を向けると、

 

「泣かないで、ティファニア………ティファニアみたいな素敵な女の子に、泣き顔は似合わないよ………」

 

ミネルヴァモンは微笑んで見せる。

 

「私も………ティファニアみたいな………素敵な女の子になりたかったなぁ…………」

 

ミネルヴァモンの言葉に、ティファニアはミネルヴァモンの手を取って両手で握りしめると、

 

「私は………ミネルヴァモンも、素敵な女の子だと思うよ………」

 

その言葉に、ミネルヴァモンはしっかりと笑みを浮かべた。

 

「ありがとう……………」

 

そこまで言った所でミネルヴァモンのデータ分解が加速する。

 

「ミネルヴァモン………!」

 

「残念だなぁ………もっとティファニアと一緒に居られれば、私ももっと素敵な女の子になれたのに………」

 

「ミネルヴァモン…………」

 

「強くて…………優しくて…………ついでに胸も大きな理想の女性に…………」

 

ミネルヴァモンは、そんな自分の姿を想像する。

すると、ティファニアはクスッと笑い、

 

「なろうよ………一緒に………」

 

「えっ………?」

 

「私達なら………きっとなれる………」

 

そんなティファニアの言葉に、

 

「そうだね…………一緒に素敵な女性になろう………強くて………優しくて………」

 

「ついでに胸も大きな…………ね?」

 

ミネルヴァモンの言葉にティファニアが続く。

その言葉で互いに笑いあった。

そして、

 

「約束………だよ…………」

 

その言葉を最後に、ミネルヴァモンはデータ粒子に分解されてしまった。

 

「ミネルヴァモン………!」

 

カイルが悲痛な表情で呟く。

 

「フン。いくら諦めなかろうと死ねば終わりよ」

 

「ッ!」

 

タクティモンの言葉に、カイルは思わず怒りの感情を向ける。

その時、

 

「………………ミネルヴァモンは、まだ諦めてない」

 

ティファニアが立ち上がる。

 

「何………?」

 

タクティモンが怪訝な声を漏らす。

その時気付いたが、ミネルヴァモンのデータ粒子は四散せず、未だにティファニアの周囲に留まっていた。

 

「何!? ミネルヴァモンのデータが!?」

 

タクティモンが驚愕の声を漏らす。

 

「うん………約束だからね…………」

 

ティファニアは誰かに話しかけられたかのように頷く。

すると、ミネルヴァモンのデータ粒子がティファニアの手に集まり始めた。

ミネルヴァモンのデータが丸みを帯びた長方形に近い形のデジヴァイスを形作った。

 

「デジヴァイス!? でも………もう………」

 

カイルは、ティファニアがミネルヴァモンのパートナーになった事を察したが、そのミネルヴァモンはもう居ない。

しかし、

 

「うん………私が身体を貸すよ………」

 

ティファニアが誰かと話し合う様な仕草をすると、デジヴァイスを掲げた。

 

「人間とデジモンは、絆があれば1つになる事だってできる…………それは、魂でも同じこと………!」

 

デジヴァイスの画面からデータ粒子が溢れ、ティファニアの身体を覆っていく。

 

「これは………魂の進化!」

 

データ粒子が渦巻き、ティファニアの姿を完全に覆い隠した。

 

「スピリットエボリューション!!」

 

ティファニアがそう叫んだ瞬間、光を放った。

 

「うおおっ!? 何だ!? 何が起こっている!?」

 

未知の現象にタクティモンも狼狽えた声を漏らす。

そして、光が消えた時、そこに居たのは2m程の身長にすらりと長い手足。

ミネルヴァモンの大剣『オリンピア』を超える大きさの『オリンピア改』を持ち、左腕は巨大な蛇『メデュリア』となっている。

そして、多くの男性を魅了するであろう大きな胸。

まさしく、ミネルヴァモンが想像した理想の姿。

その名は、

 

「メルヴァモン!!」

 

名乗りを上げるメルヴァモン。

 

「ティファニアが………ミネルヴァモンのデータで進化を………!?」

 

これにはカイルも驚愕している。

すると、

 

「借りは返すよ、タクティモン!!」

 

ミネルヴァモンともティファニアとも違う荒々しい声で、メルヴァモンは駆け出す。

 

「ぬうっ!?」

 

タクティモンの前でメルヴァモンは飛び上がり、

 

「はぁあああああああああああああっ!!」

 

その大剣を振り下ろした。

 

「ぬうっ!?」

 

予想以上の威力に声を漏らすタクティモン。

メルヴァモンはもう一度跳び上がり大剣を振り上げ、

 

「ファイナルストライクロール!!」

 

前方宙返りをしながらタクティモンに斬りかかった。

 

「ぬおっ!?」

 

その一撃を大刀で受け止めるものの、隆起していた足場に罅が入り、

 

「はぁああああああああああっ!!」

 

「ぬあっ!?」

 

遂には砕け、踏ん張りの効かなくなったタクティモンは吹き飛ばされた。

 

「はっ! ようやくあそこから動かしてやったよ」

 

吹き飛ばされたタクティモンは、足から着地し、転倒する事は無かった。

 

「………………」

 

タクティモンは何かを考えるように俯き、

 

「はあっ!」

 

初めて自分から動き、攻撃を仕掛けた。

 

「鬼神突!!」

 

素早い連続突きを放つ。

 

「この程度!」

 

メルヴァモンは、大剣の背でその突きを防ぐ。

 

「はあっ!」

 

メルヴァモンが左腕のヘビを伸ばして攻撃すると、タクティモンは飛び退く。

そして、着地した所で、

 

「弐の太刀!!」

 

地面を2度突き、メルヴァモンの足元から亡霊を出現させる。

メルヴァモンは跳躍してそれを躱すと、

 

「ナイトストーカー!!」

 

左腕のヘビが亡霊を喰らっていく。

 

「ぬう………参の太刀!!」

 

タクティモンが地面を3度突こうとして、

 

「させるか! マッドネスメリーゴーランドDX!!」

 

その前にメルヴァモンが飛び込み、回転斬りの竜巻となって攻撃。

技を中断させる。

 

「くっ!」

 

その衝撃で距離を取ったタクティモンは、背中の大砲を展開し、

 

「タネガ………」

 

「ライジングデストロイヤー!!」

 

撃とうとしたところでタクティモンの前面に拡散ビーム砲が着弾。

メルヴァモンの姿を覆い隠す。

 

「おのれ! またもや同じ手を!」

 

狙いが定まらなくなった大砲を戻し、襲撃に備えようとした瞬間、

真正面から煙を切り裂き、メルヴァモンが飛び掛かって来た。

 

「なっ!?」

 

「ファイナルストライクロール!!」

 

渾身の前方回転斬りを受け、タクティモンは吹き飛ばされ、地面に激突する。

 

「どんなもんだい!」

 

メルヴァモンは見たかと言わんばかりにそう言った。

すると、

 

「……………………」

 

タクティモンは無言で立ち上がる。

 

「なるほど、2対1とは言え、この私に土を着けるとは驚きだ…………」

 

タクティモンの言葉からは焦りが感じられず、逆に冷静になったように思わせる。

 

「よかろう! 貴様らは我が剣、『蛇鉄封神丸』の封印を解くに相応しい相手だと認めよう!」

 

「「「ッ!?」」」

 

その言葉にメルヴァモンやカイル達は驚愕する。

 

「封印だって………? なら、今までアンタは力をセーブして戦っていたっていうのかい!?」

 

「左様。我が剣『蛇鉄封神丸』は星をも割る力が秘められている。その封印を今解いた!」

 

今まで鞘を握っていたタクティモンが、初めて柄に手をかけた。

そして、その刀身をゆっくりと引き抜く。

禍々しく黒い刀身が露になる。

そして、その大刀を上段に構えると、

 

「はああっ!!」

 

そのままメルヴァモンに向かって振り下ろした。

 

「チッ!」

 

メルヴァモンは咄嗟に横に飛び退く。

その瞬間、斬撃がその場を襲い、大地に深く長い斬撃痕を刻んだ。

 

「……………今のが、ただの振り下ろしの威力かい………」

 

メルヴァモンは冷や汗が流れるのを感じた。

 

「なら、今まで以上に気合を入れなきゃね!」

 

メルヴァモンは再びタクティモンに向かう。

 

「はぁああああああああっ!!」

 

メルヴァモンはタクティモンに向かって斬りかかり、タクティモンはそれを受け止め、反撃の一太刀を放つ。

 

「こいつを喰らっちゃいけない!」

 

メルヴァモンは跳躍してその一撃を避ける。

だが、その斬撃はスポット内部に向かい、神殿の屋根の一部を切り裂く。

神殿の天井が崩れ、デジモン達が逃げ惑う。

 

「このままじゃ、他のデジモン達にも被害が………」

 

カイルはそう呟くと、何かを確信したように拳を握った。

 

「ナイトストーカー!!」

 

メルヴァモンの左腕のヘビがタクティモンに喰らいつかんと伸びる。

タクティモンは跳躍して躱すと、

 

「トライデントリボルバー!!」

 

背後からライズグレイモンが弾丸を放ってきた。

 

「小癪な!」

 

タクティモンは大刀を一振りすると、それだけで3発の弾丸はかき消された。

だが、

 

「何ッ!?」

 

「はぁあああああああああああああっ!!」

 

弾丸によってできた死角から、全身にデジソウルを纏ったカイルが落下しながら大剣を振り被り、斬りかかって来た。

 

「人間!?」

 

タクティモンは驚愕する。

そのままカイルはタクティモンの脳天に大剣を振り下ろす。

今のカイルならば完全体デジモンでも相手にできるほどのデジソウルを発揮できる。

いくら究極体だろうと、少し位怯ませる事が出来る。

…………筈だった。

 

「…………こんなものか」

 

しかし、カイルの一撃は全くと言っていいほど効いてはいなかった。

 

「そんな………!」

 

カイルが悔しそうな顔をすると、

 

「ふん!」

 

タクティモンが頭を振ってカイルを吹き飛ばした。

 

「うわぁああああああああっ!?」

 

カイルは地面を転がる。

 

「く、くそ………」

 

デジソウルのお陰で致命的なダメージは無いが、無防備な所に一撃を与えても、少しも怯まなかった事にカイルは納得がいかなかった。

すると、

 

「貴様の剣は何もかもが中途半端だな」

 

タクティモンがそう言った。

 

「中途半端………!?」

 

カイルが聞き返す。

 

「貴様は……何の為に剣を振るう?」

 

タクティモンの問いかけに、

 

「何のため…………? それは……仲間を………皆を護る為に………」

 

カイルはそう答えるが、

 

「そのような抽象的な理由で剣を振っていては、中途半端な剣も納得だな」

 

「中途……半端………」

 

タクティモンがカイルに向かって剣を振り下ろす。

 

「カイル!」

 

ライズグレイモンが叫ぶ。

その瞬間、

 

「ぼうっとしてるんじゃないよ!」

 

メルヴァモンがカイルを抱えてその場を飛び退く。

その斬撃は、再びスポットに被害を与える。

それを見て、カイルは思う。

 

(仲間を護る為………傷付く誰かを護る為………それじゃ駄目なの?)

 

カイルは自分の思いに疑問を覚える。

 

「はぁああああああああああああああっ!!」

 

タクティモンが剣を振るう。

 

「くうっ!」

 

メルヴァモンは連続して跳躍しながらその斬撃を躱す。

 

(タクティモンは強い。剣を振るうことに、全く迷いを見せない。何故………あそこまで強いんだ………?)

 

メルヴァモンは、ライズグレイモンにカイルを託すと、再びタクティモンに向かっていく。

 

(タクティモンだけじゃない、メルヴァモンも………ティファニアも今の俺よりずっと強い………)

 

タクティモンとメルヴァモンの戦いを見ながらそう思うカイル。

 

「うわぁあああああああああああああっ!?」

 

その時、タクティモンの一撃を避け損ない、大剣で防ぎつつもメルヴァモンは大きく吹き飛ばされた。

 

「ッ! ライズグレイモン!!」

 

カイルは考える事を止め、メルヴァモンを援護する為に呼びかける。

ライズグレイモンは左腕の銃口を向け、

 

「何度も同じ手が通用すると思うな!」

 

タクティモンが振り向きざまに一閃を放った。

その一閃は、

 

「ぐぁああああああああああああああああああああああああああっ!?!?!?」

 

ライズグレイモンの機械化された左腕を肩から斬り落とし、更に左の機械化された翼も中程から斬り落とされた。

 

「ライズグレイモン!」

 

翼が斬り落とされた事でライズグレイモンは飛行を維持する事が出来ずに墜落を始める。

 

「うわぁああああああああああっ!?」

 

そのまま地面に激突。

カイルも投げ出される。

 

「これ以上邪魔されては敵わん。先に貴様らを始末してやる」

 

タクティモンが歩み寄って来る。

 

「カイル……! ライズグレイモン……!」

 

メルヴァモンが立ち上がろうとしているが、ダメージが大きく、まだ動けない。

 

「武人としてせめてもの手向け。我が最大の奥義で華々しく散るが良い!!」

 

タクティモンが大刀を上段に構えると、刀身から黒いオーラが噴出する。

そのオーラは天を衝くほどに高まり、

 

「これが我が最大奥義!!」

 

その巨大な刀身を振り下ろす。

 

「星割り!!!」

 

正に星を割るだろう威力の斬撃がカイルとライズグレイモンに襲い掛かる。

カイルは、迫りくる斬撃を見つめていた。

 

(俺は…………ここで死ぬのか…………)

 

カイルの脳裏には、今までの思い出………走馬灯が駆け巡っていた。

両親の事………

故郷の村の事…………

エミリアと一緒に村を出た事………

学院で落ち零れと馬鹿にされてきた事………

大士が転入してきた時の事………

デジモン達と仲良くなり出した時の事………

 

(結局………今まで頑張って来たことは、全部ここで終わってしまう………なにも護れずに……………)

 

逃げ惑うデジモン達。

 

(ここに居るデジモン達も…………)

 

立ち上がろうとしているメルヴァモン。

 

(仲間達も…………)

 

そして、走馬灯の終わりには、1人の少女の姿が思い浮かんだ。

 

(『彼女』との約束も………)

 

その時には、既に斬撃は眼前に迫っていた。

だが、

 

(『彼女』………?)

 

走馬灯の中の『彼女』の姿が振り返る。

 

「ッ! リティナ!!」

 

その瞬間、カイルは剣を構えた。

 

「俺はっ! まだっ! 死ねないっ!!」

 

その瞬間、カイルの身体中から真紅のデジソウルが勢いよく溢れ出た。

 

「うああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

カイルは感情のままに迫りくる斬撃に向かって剣を振るった。

そして信じられないことに、カイルの剣は迫りくる斬撃を受け止めたのだ。

 

「何ッ!?」

 

タクティモンが驚愕の声を漏らす。

 

「カ、カイル………スゲェ………!」

 

その姿を見たライズグレイモンが呆然と声を漏らす。

 

(そうだ! 俺は、彼女を…………リティナを護るんだ………!)

 

カイルの剣に力が籠る。

 

「ふ、ふざけるな! 我が最大の奥義が、脆弱な人間如きに止められるわけがあるかっ!!」

 

タクティモンが剣に力を込める。

 

「ぐっ………!」

 

それによって再び押し込まれそうになる。

しかし、

 

(だって………俺は彼女が好きだから………リティナを、愛しているから………!)

 

カイルから噴き出るデジソウルがさらに勢いを増す。

 

「これが俺のっ! 剣を振るう理由!!」

 

その想いを、意思を自覚した瞬間、噴き上がっていたデジソウルが高密度のオーラとなって纏われる。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

カイルが再びタクティモンの剣を押し返していく。

その時、

 

「うぉおおおおおおっ!! 俺も黙って見ていられるかぁ!!」

 

ライズグレイモンが立ち上がり、何を思ったか斬り落とされた左腕を右手で掴み、その左腕の銃身を剣の様に振るった。

 

「うぉりゃぁあああああああああああああっ!!!」

 

「ライズグレイモン!」

 

その行動に、カイルも一瞬驚くが、すぐに笑みを浮かべ、

 

「行くぞ! ライズグレイモン!!」

 

「おうよ!」

 

2人の思いが1つとなり、

 

「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」

 

気合の入った声と共に、ライズグレイモンの銃身が光に包まれ剣の形に変化していく。

そして、

 

「「うぉりゃぁああああああああああああああああああっ!!!」」

 

遂にタクティモンの剣を押し返した。

 

「ばっ、バカなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

 

タクティモンは押し返された勢いによって仰向けに転倒する。

 

「す、すごい………」

 

それを目撃したメルヴァモンは、呆然と呟いた。

そして、カイルは地面に剣を突き刺すと、デジヴァイスicを取り出し、ライズグレイモンを見上げる。

 

「行けるね? ライズグレイモン」

 

「ああ。勿論だ」

 

カイルの問いに迷わず応えるライズグレイモン。

すると、カイルのデジヴァイスicが輝き、一回り大きい、更なる進化を可能にする『デジヴァイスバースト』へと進化を遂げた。

 

「デジヴァイスが進化した………」

 

突然の事にもカイルに焦りはない。

一度目を伏せ、集中する。

ただ、自分の思いと、自分のパートナーを信じるだけ。

 

「………………よし!」

 

カイルは目を見開き、デジヴァイスを突き出した。

 

――ULTIMATE

  EVOLUTION――

 

デジヴァイスバーストの画面に、その文字が刻まれる。

 

「デジソウルチャージ! オーバードライブ!!」

 

身体中に集約されたデジソウルをデジヴァイスバーストに叩き込んだ。

デジヴァイスバーストから光の奔流が溢れ、ライズグレイモンを包む。

 

「ライズグレイモン! 究極進化ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

機械化された翼が分離し、斬り落とされていた翼も浮かび上がる。

ライズグレイモンの身体が圧縮されるように縮み、3m程の人型となる。

分離した翼が光に包まれ右手にあった、光の剣と一体化。

大剣の形になる。

それは、豪傑の竜戦士とも呼ばれる究極体の竜人型デジモン。

 

「ビクトリーグレイモン!!!」

 

大剣『ドラモンブレイカー』を右手で持ちながら肩に担ぎ、その場に立つビクトリーグレイモン。

 

「ビクトリーグレイモン………これが、ライズグレイモンの究極体………!」

 

カイルは、少し驚いた後にタクティモンを見据える。

 

「究極体に進化しただと………!?」

 

タクティモンは驚いていたが、

 

「ビクトリーグレイモン!!」

 

「おおっ!!」

 

カイルの言葉で大剣を振り被りながらタクティモンに突撃するビクトリーグレイモン。

 

「ドラモンブレイカー!!」

 

大剣を軽々と片手で振り回し、タクティモンに向かって振るう。

 

「ぬおっ!?」

 

「はあっ! せいっ! でやぁっ!」

 

大剣とは思えない連続攻撃に、タクティモンも防ぐのが精一杯だった。

 

「な、何と荒々しい剣技………!」

 

力任せでありながら隙が無く、怒涛の攻めを見せるビクトリーグレイモン。

 

「おおらぁっ!!」

 

「ぐおぉっ!?」

 

渾身の一撃で大きく下がるタクティモン。

 

「くっ! タネガシマ!!」

 

タクティモンは両肩から大砲を展開し、砲弾を放つ。

すると、

 

「ビクトリーチャージ!!」

 

ビクトリーグレイモンは大剣の背を横に向けると、刀身が3つに分割。

ビクトリーグレイモンの前面に結界が張られる。

それは、タクティモンが放った砲弾をそのまま跳ね返した。

 

「何だと!? ぐぁああっ!?」

 

自分で放った必殺技を跳ね返されて自分で受けるタクティモン。

タクティモンは膝を着いたが、

 

「フ、フフフ………」

 

突然不敵な笑みを零した。

 

「………これだ! これぞ私が求めていた戦い! 我が魂を震わせる! 勝つか負けるか分からぬ緊迫感! これだ! 私が求めていたのはこれなのだ!!」

 

歓喜を露にするタクティモン。

タクティモンは大刀を天へ掲げる。

そこに黒いオーラが集中する。

 

「『勝負』だ! ビクトリーグレイモン!!」

 

そう叫ぶタクティモン。

 

「……………………」

 

ビクトリーグレイモンは、ドラモンブレイカーを刀身と柄の2つに分離させ、刀身を右腕に、柄を左腕に装着する。

すると、右腕の刀身に大気中のエネルギーが集中していく。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

タクティモンは、黒いオーラを集中させた大刀を振り下ろす。

 

「我が生涯最大の一撃! 受けてみよ!!」

 

それは先程よりも更に大きい。

 

「星割り!!!」

 

それに対し、ビクトリーグレイモンは真正面から立ち向かった。

 

「トライデントガイア!!!」

 

そのエネルギーが剣先から放たれる。

黒き刀身と、黄金に輝くエネルギー波がぶつかり合う。

 

「う………ぉおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

「はぁああああああああああああああああっ!!!」

 

それらがぶつかり合い、凄まじい衝撃を撒き散らす。

 

「クッ!」

 

その衝撃にカイルが吹き飛ばされそうになるが、

 

「私の後ろに居な!」

 

カイルの前にメルヴァモンが剣を突き立てて衝撃波からの盾になる。

 

「メルヴァモン!」

 

カイルはビクトリーグレイモンに向き直り、

 

「行けっ! ビクトリーグレイモン!!!」

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

パートナーからの声を受けて、ビクトリーグレイモンは更なるエネルギーを送り込む。

そして、

 

―――ビキッ!

 

タクティモンの大刀の刀身に罅が入る。

 

「なっ、何ッ!?」

 

ビキビキッとその罅が刀身全体に広がり、

 

「……………………………見事だ」

 

タクティモンは目を伏せながらそう告げた。

次の瞬間、タクティモンの大刀の刀身が砕け、エネルギー波がタクティモンの腹部を貫く。

 

「が………はぁ…………!?」

 

腹部に大穴を開けたタクティモンは、仰向けに倒れ込んだ。

少ししてデータ分解が始まる。

カイルがタクティモンに近付くと、

 

「…………人間よ、礼を言う。お陰で最高の戦いが出来た」

 

タクティモンは満足そうな声色でそう告げる。

すると、カイルは首を横に振り、

 

「礼を言うのは俺の方だ。あなたのお陰で、俺は何の為に剣を振るうかを改めて知る事が出来た。あなたと戦わなければ、俺はライズグレイモンを究極体に進化させることは出来なかった………」

 

タクティモンはそれを聞くと、

 

「……………そうか。強者の礎になれたのなら光栄な事だ。悔いはない…………」

 

タクティモンは本当に満足そうな表情で目を伏せる。

 

「さらばだ。強き者達よ…………」

 

タクティモンは最期にそう言い残して、データ粒子となって消え去った。

 

「タクティモン…………」

 

カイルは四散していくデータを見つめ、空を見上げるのだった。

 

 

 

 

 

 






オリジナル異世界編第44話です。
今回もやっちまった感ありますね。
特にティファニアがスピリットエボリューションしちゃうところが。
いや、最初は普通にミネルヴァモンをティファニアのパートナーにして、その時にメルヴァモンに成長させようと思ってたんですけど、書いてる最中になんか電波を受信しまして、ロリっ子のミネルヴァモンの魂がティファニアと融合してメルヴァモンになっちゃいました。
あのスタイルの良さはティファニアの影響って事で(爆)
因みに元には戻れるので悪しからず。
そんで遂に登場したカイルの究極体。
題名通りビクトリーグレイモンです。
ビクトリーグレイモンアニメで出てないんで資料集めに苦労しました。
マンガも持ってないので。
カイルがタクティモンの星割り弾き返したのはやり過ぎかな?
ともかく、漸く主要キャラが全員究極体に進化出来ました。
因みに前回書き忘れていましたが、カトレアのデジヴァイスは初代Ver.です。
さて、次回からは一体どうなるのでしょうか?
お楽しみに。

カンナのパートナーは?(候補追加)

  • クズハモン
  • アポロモン
  • ミタマモン
  • その他
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