【Side 三人称】
カイル、エミリア、クラウディア、カトレア、ティファニアと、そのパートナーデジモン達は、エンジェモンに連れられ、彼らが住むスポットに案内された。
「光だ………」
その場所を見たカイルが思わず呟く。
そのスポットには、暗雲に覆われたデジタルワールドでも、唯一雲の切れ目があり、光が降り注いでいた。
その中央には、大きな聖堂のような城が立てられており、その周りを花畑が囲っている。
その花畑では、エンジェモンやピッドモン、ネフェルティモンといった『聖』に属するデジモン達が訓練を行っていた。
「あれは…………」
その様子を見下ろすクラウディアが声を漏らした。
「あれは、このスポットを守護する戦士達です。毎日ああやって訓練を積んで、このスポットを護る為に、日夜戦っているのです」
エンジェモンがそう説明する。
すると、エンジェモンは城の入り口に降り立ち、カイル達もそれに続く。
ヤタガラモンは地上での移動は苦手なため、カトレアのデジヴァイスの中に入った。
エンジェモンについて通路を進んでいくと、やがて玉座の間らしき場所に出た。
そこには空席の玉座と、玉座の横に立つエンジェモンよりも縦長の仮面を付け、大きな一対の翼を持ち、白い衣を纏う大天使型のデジモン、ホーリーエンジェモン:神官モードが立っていた。
「ホーリーエンジェモン様、ただいま戻りました」
エンジェモンは、右手を胸に当てながら礼をする。
「無事で何よりです、エンジェモン。それにしても、随分と早い帰還ですね」
「はっ、スカルサタモン達もかなりの大群でしたが、私達が駆けつけた時には、既にこの者達によって撃退されておりました」
エンジェモンはそう言いながら後方にいるカイル達に目配せする。
ホーリーエンジェモンは、カイル達に顔を向けると、
「その者達は?」
「我々に代わり、スカルサタモン達を撃退してくれた者達です! きっと我々の力になってくれるだろうと思い、お連れしました!」
エンジェモンは熱っぽく語る。
「…………………もしやあなた方は人間ですか?」
ホーリーエンジェモンは意外そうな声をもらす。
「えっ? あ、はい。俺達は人間です。このデジタルワールドに偶々迷い込んでしまって、光の柱に巻き込まれて仲間達と逸れてしまったので、合流する為にリアルワールド球に向かっている最中にあのスカルサタモン達に襲われたので、身を護る為に撃退しました」
カイルはそう説明する。
「そうですか………………」
ホーリーエンジェモンは呟く。
すると、カイル達に向き直り、
「紹介が遅れました。私の名はホーリーエンジェモン。このスポットを守護する戦士たちの長です。この度は私の部下が半ば強引に連れて来てしまったようで申し訳ない」
そう謝罪して頭を下げた。
「ホ、ホーリーエンジェモン様!? 何故頭を!?」
エンジェモンが慌てる。
「エンジェモン、あなたは戦士としては優秀ですが、少々自分の思い込みで話を進める所があるのが玉に瑕です。察するに、あなたはあなたの思い込みでこの者達が力を貸してくれると思い、ここに連れて来た。違いますか?」
「い、いえ! ですが、実際にスカルサタモン達を…………」
「この者達は、自分に振りかかった火の粉を払っただけに過ぎません。それだけで力を貸してくれると思うのは早計です」
ホーリーエンジェモンは諭すように言う。
それから再びカイル達に向き直り、
「すみません。先程も申し上げた通り、この者は、戦士としては優秀なのですが、思い込みが強く、勝手に突っ走ってしまうことがあるのが欠点で………」
「あ、あはは………」
エミリアは苦笑する。
その言葉を否定できないからだろう。
実際に、エンジェモンは一方的に話を進めてここまで連れて来た。
すると、ホーリーエンジェモンは申し訳なさそうにしながらも、意を決したように口を開いた。
「………ですが、少しでも戦力が欲しい事もまた事実…………すみませんが、少し話を聞いてはいただけませんか?」
ホーリーエンジェモンの言葉に、カイル達は困惑しつつも顔を見合わせ、それから頷いた。
「とりあえず、聞くだけなら構いません」
カイルの言葉にホーリーエンジェモンは頷き、
「我々光に属するデジモン達は、代々この地を守り、この地を狙う暗黒デジモン達と戦いを繰り広げてきました」
ホーリーエンジェモンは語り出す。
「この地は元々光に溢れたフィールド。我々『光』のデジモン達の力は増し、逆に『闇』のデジモン達の力は弱くなります」
「む? ならば何故その闇のデジモン達はこの地を狙う? 闇のデジモン達にとって、光のフィールドなど、何の得にもならないだろう?」
クラウディアが疑問を零す。
「はい。確かに闇のデジモン達にとって、光のフィールドは言わば毒に侵された地。無理をして手に入れるメリットはありません」
「じゃあどうして………?」
ホーリーエンジェモンの言葉にエミリアが声を漏らすと、
「逆にお考え下さい。闇のデジモン達にとって、無理をしてでも手に入れるメリットが、この地にはあると」
「それは……………?」
カイルが聞くと、
「………………『ミレニアモン』」
少しの沈黙の後、ホーリーエンジェモンが呟いた。
「ミレニアモン?」
ティファニアがその名を呟くと、
「千年魔獣とも呼ばれる、強大な闇のデジモンです」
「千年………魔獣……………」
カトレアが重苦しそうにそう零す。
「そのミレニアモンが、この地の地下深くに封印されているのです」
「「「「「ッ!?」」」」」
「闇のデジモン達は、そのミレニアモンを復活させ、全てを支配しようと目論んでいるのです」
「だ、だがこのデジタルワールドは滅ぶ寸前だ! そのデジタルワールドを支配して何になる!?」
「………………確かにデジタルワールドは滅びる寸前です。ですが、ミレニアモンの力を手に入れた闇のデジモン達は、リアルワールドすら支配しようとするでしょう」
「「「「「なっ!?」」」」」
その言葉に驚愕するカイル達。
「ミレニアモンは、時間や空間すら操ると言われています。リアルワールドに侵攻する事も不可能では無いでしょう」
「そんな………!」
エミリアが悲痛な声を漏らす。
「デジタルワールドが滅びに近付くにつれ、この地を照らす光も日々弱くなっています。今では、闇のデジモンの力を弱める力も、微々たるものに過ぎません。そして、最も痛手なのが、もうこの地には究極体デジモンが居ないのです。唯一の究極体だったバンチョーレオモンも先日の戦いで闇の勢力の究極体であるダークドラモンと相打ちになり、谷底へ消えていきました…………」
ホーリーエンジェモンは苦しそうにそう語る。
「そして、闇の勢力には、それらを率いる究極体の魔王型デジモンである、『デーモン』がいます。この地の光が弱まり、究極体も居なくなった今、デーモンが出てくれば我々に防ぐ手立てはありません………先程のスカルサタモンの襲撃も、本来はこちらの戦力を再確認するための斥候だったのでしょう。あなた達のお陰で、少しは警戒するでしょうが、あなた達が我々の勢力に居ないと分かれば、すぐに全軍を持って侵攻してくるはずです。もしそうなれば、我々は全滅です」
「……………卑怯な言い方だな。私達が断れば、ミレニアモンが復活し、私達の世界にまで侵攻してくる。そうなりたくなければ力を貸せという言い方だ」
クラウディアが視線を厳しくしてホーリーエンジェモンを見据える。
「なっ! ホーリーエンジェモン様はそんな事っ………!」
エンジェモンが言い返そうとしたが、
「よいのです。事実、そう言う狙いがあったのは否定できません」
「ホーリーエンジェモン様…………」
「ですが、これだけは信じていただきたい。私達は、未来の為に戦っているのだと………!」
「………………………」
その言葉に、クラウディアはジッとホーリーエンジェモンを見る。
ホーリーエンジェモンも、黙ってその視線を受け止めていた。
「……………ふう」
クラウディアは溜息を吐く。
「改めて確認するが、今までの言葉に嘘は無いだろうな?」
「はい」
ホーリーエンジェモンは迷いなく頷く。
「…………いいだろう。私達の世界にも侵攻してくるというのなら、他人事ではないからな」
「クラウ………!」
クラウディアの言葉に、エミリアは嬉しそうな表情をした。
エミリアも力になってあげたかったのだろう。
「俺も協力します!」
カイルも力強く言った。
「私達も、一先ず旦那様と合流できるまでは協力します。その後は旦那様次第ですが」
「わ、私もタイシと合流するまでは協力します!」
カトレアとティファニアは、一先ず期限付きで協力する事を決めたようだ。
「感謝します!」
ホーリーエンジェモンはもう一度頭を下げた。
「一先ず部屋を用意させます。エンジェモン、案内して差し上げなさい」
「はっ!」
ホーリーエンジェモンの言葉に、エンジェモンは返事を返す。
こうして、カイル達はデジタルワールドの争いに巻き込まれる事になるのだった。
オリジナル異世界編第46話です。
めっちゃ短いですね。
繋ぎ回なのですみません。
まあ、出てくる敵についてチラホラと。
はてさて、次からは一体どうなるのか?
お楽しみに。
カンナのパートナーは?(候補追加)
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クズハモン
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アポロモン
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ミタマモン
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その他