ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第21話 漆黒の翼! ベルゼブモン!!

 

 

 

 

ハジメとの不毛な言い争いを終えた後、

 

「そう言えば、何でインプモンがここにいるんだ?」

 

俺は気になっていたことをインプモンに訊ねる。

 

「それは俺様も分かんねぇ。1週間ぐらい前にいきなりデジタルゲートに呑み込まれて気付いたらこの街の近くに居たんだ。それから偶々愛子達と会って一緒に行動してたんだよ」

 

どうやらインプモンも詳しい事は分からないらしい。

 

「そうか…………それで、これからどうするつもりなんだ?」

 

「どうするって………?」

 

質問の意味が分からなかったのかインプモンが首を傾げる。

 

「このまま愛子先生たちと行動を共にするのか、それとも俺達の旅に付いて来るのかって事だよ」

 

「どういう事ですか!?」

 

その言葉に反応したのは愛子先生だった。

愛子先生に視線を向けると、ハジメが口を開く。

 

「どういう事も何も、俺達はこのまま大迷宮攻略の為に旅を続けるつもりだ。先生達と行動をするつもりは一切ない」

 

「どうして!? 私達と一緒に皆の所に………!」

 

「勘違いしないで欲しいが俺の目的は香織達と一緒に地球へ帰る事だ。その為なら手段は選ばないし、立ち塞がる敵がいるなら躊躇わず『殺す』!」

 

「ッ………!」

 

『殺す』という言葉に愛子先生は絶句する。

 

「そして地球に帰る手段として現在最も可能性が高いのが大迷宮攻略時に得られる神代魔法だ。それが俺達の旅の目的」

 

ミレディも出来るという事を仄めかしていたからな。

全ての神代魔法を手に入れなきゃいけないみたいだが。

ハジメはそう言うと立ち上がり、

 

「帰還手段を見つけたら連絡はするし、全員を帰還させることは約束しよう。それまではお互い不干渉で行こう…………さっきみたいな騎士に敵意を向けられたら思わず殺しちまいそうになる………!」

 

ハジメはデビットに向けて軽く殺気をむけると、デビットは悔しそうに歯を食いしばる。

実力の差は理解しているのだろう。

 

「俺達は明日の朝に仕事でここを発つ。それでお別れだ」

 

ハジメがそう言って背を向ける。

俺達もそれに続こうとした時、

 

「ゆ、優花っち………!」

 

宮崎が声を掛けてきた。

 

「本当に私達とは来ないの………?」

 

恐る恐ると言った具合に問いかけてくる宮崎。

 

「ええ。私は大士達に付いてく。そう決めてるから」

 

その問いに戸惑いを見せる事無く答える優花。

そのまま歩き出すと、

 

「…………それに、この世界の『神』は信用できないしね……………」

 

小さな声でボソッと呟いた。

 

 

 

 

俺達は就寝前に部屋の前で別れる際、

 

「とりあえず明日は日の出前に出発って事で」

 

「分かった」

 

ハジメはそう言うと、部屋には入らず別の方へ足を向けた。

 

「愛子先生の所に行くのか?」

 

「ああ。先生にはこの世界の真実を伝えておいた方が都合がいい」

 

「そうか」

 

そのままハジメは廊下を歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

予定通り早朝に出発するために街の門の前に来たのだが…………

 

「……何となく想像つくけど一応聞こう……何してんの?」

 

ハジメが目の前にいる集団に問いかけた。

俺達が門に着く前から待ち構えていたその集団は、

 

「私達も行きます。行方不明者の捜索ですよね? 人数は多いほうがいいです」

 

愛子先生を含めたクラスメイト達であった。

因みにインプモンは俺達と行動を共にすることを決めたようで、俺達のパーティーと一緒に居る。

しかし、愛子先生の言葉を、

 

「却下だ。行きたきゃ勝手に行けばいい。が、一緒は断る」

 

バッサリと一刀両断するのが現在のハジメクオリティー。

 

「な、なぜですか?」

 

「単純に足の速さが違う。先生達に合わせてチンタラ進んでなんていられないんだ」

 

確かに愛子先生たちの後ろには、人数分の馬が用意されている。

まあ、この世界の移動手段は徒歩か馬と馬車ぐらいだ。

ハジメの魔力駆動四輪と比べれば、その差は歴然だろう。

 

「ちょっと、そんな言い方ないでしょ? 南雲が私達のことよく思ってないからって、愛ちゃん先生にまで当たらないでよ」

 

宮崎がそう言って来るが、ハジメは見せつけるように魔力駆動四輪を宝物庫から出した。

それに驚くクラスメイト達。

 

「理解したか? 八つ当たりでも何でもない。そのままの意味で、移動速度が違うと言っているんだ。それに定員も現状でギリギリだ。悪いが全員を乗せていく余裕も無い」

 

「こ、これって南雲が作ったのか?」

 

クラスメイトの相川が驚きながら問いかける。

 

「まぁな。それじゃあ俺等は行くから、そこどいてくれ」

 

ハジメはおざなりにそう言って魔力駆動四輪に乗り込もうとする。

すると、その前に愛子先生が立ちはだかり、

 

「南雲君、先生は先生として、どうしても南雲君からもっと詳しい話を聞かなければなりません。だから、きちんと話す時間を貰えるまでは離れませんし、逃げれば追いかけます。南雲君にとって、それは面倒なことではないですか? 移動時間とか捜索の合間の時間で構いませんから、時間を貰えませんか? そうすれば、南雲君の言う通り、この町でお別れできますよ……一先ずは」

 

そんな『先生』の姿を見て、ハジメは深く溜息を吐いた。

 

「わかったよ。同行を許そう。といっても話せることなんて殆どないけどな……」

 

「構いません。ちゃんと南雲君の口から聞いておきたいだけですから」

 

「はぁ、全く、先生はブレないな。何処でも何があっても先生か」

 

「当然です!」

 

胸を張ってそう言う愛子先生。

本当にこの人は教師の鑑だと思う。

やる気が空回りさえしなければ。

 

 

「……ハジメ、連れて行くの?」

 

「ああ、この人は、どこまでも〝教師〟なんでな。生徒の事に関しては妥協しねぇだろ。放置しておく方が、後で絶対面倒になる」

 

「ほぇ~、生徒さん想いのいい先生なのですねぇ~」

 

ハジメが折れたことにユエとシアが驚いていた。

 

「でも、この車じゃ全員は乗れないんでしょ? どうするの?」

 

菅原がもっともな事を口にする。

ハジメは魔力駆動四輪を再び宝物庫にしまうと、

 

「大士、神代………頼めるか?」

 

「ま、仕方ないか」

 

「りょーかーい!」

 

俺と葵はそう返事をする。

すると、ドルモンとリュウダモンが少し離れた位置まで移動し、

 

「「「「「「?」」」」」」

 

クラスメイト達が首を傾げる。

俺達は1枚のカードを取り出すと、

 

「「カードスラッシュ!」」

 

そのカードをDアークに通していく。

そのカードがDアークに通されるながらブルーカードへと変貌を遂げ、

 

「「マトリックスエボリューション!!」」

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

「ドルモン進化!」

 

「リュウダモン進化!」

 

成長期から一気に完全体へと進化させる。

 

「ドルグレモン!!」

 

「ヒシャリュウモン!!」

 

目の前に現れる2体の完全体デジモン。

それを見ていた愛子先生とクラスメイトが腰を抜かしていた。

 

「こ、これは一体…………?」

 

地面に座り込みながら愛子先生が疑問を口にする。

 

「これがデジモンの進化です。今は成長期から2段階進化させて完全体になりました」

 

「し、進化………? 完全体…………?」

 

「まあ、簡単に言えば変身して強くなったと思ってくれれば結構です」

 

細かい説明はめんどくさいので割合する。

 

「じゃ、それぞれ乗ってくれ。早くしないと置いて行くぞ?」

 

俺はそう言ってドルグレモンの背に乗る。

 

ドルグレモンには俺の他にハジメ、白崎さん、ユエ、シア、愛子先生とインプモンが乗り、ヒシャリュウモンに葵、優花と残りのクラスメイト達だ。

ドルグレモンは翼を羽搏かせ、ヒシャリュウモンは泳ぐ様に空へと昇っていく。

北の山脈へ向かって飛ぶ間に、ハジメと愛子先生が色々情報交換をしている。

その中で、クラスメイトの1人である清水が行方不明になっているという話もあった。

 

 

 

 

やがて山脈地帯の上空へ着くと、ハジメが無人偵察機『オルニス』を複数飛ばして辺りを捜索し始めた。

これは簡単に言えばドローンで、オルニスが見た映像がハジメの魔眼石に映し出されるというものだ。

暫くすると、

 

「ん………こいつは………盾………? それに………鞄? まだ新しいみたいだが………」

 

ハジメが怪しい場所を見つけたのでそこに向かって行く。

そこには、戦闘に悲惨さを物語るように、焼け焦げた剣や盾、鞄、ペンダントなどが転がっていた。

それらを遺品として回収しつつ、辺りの様子を伺うと、

 

「ハジメさん、ここ見てください!」

 

シアが足跡を発見する。

 

「この足跡………」

 

「ああ、魔物だな。見た所身長が2~3mほどの2足歩行って所だろうが…………こんな破壊の仕方出来るか?」

 

ハジメの視線の先には川の支流が新しく作られたと思えるほどに深く抉り飛ばされた大地の後が残っていた。

 

「まるでレーザーで抉り飛ばしたかのような後だな…………」

 

「完全体レベルのデジモンなら出来る奴も多いが………」

 

「デジモンの仕業だって言うのか?」

 

「この世界でこんなことが出来るのはお前ら以外にいるって言うのなら話は別だけどな」

 

ハジメと話し合っていると、優花が血相を変えて走ってきた。

 

「2人とも! 大変! 私の気配感知に反応があったわ! 大きさからして人間だと思う!」

 

優花の気配感知はハジメや白崎さんよりも感知範囲が広いためにハジメが気付かない距離でも気付くことが出来る。

その為にいち早く気付いたのだろう。

 

「場所は?」

 

「こっちよ!」

 

優花の先導で先を進むと、滝が見えてくる。

 

「………ん! 俺の気配感知にも反応があった。園部の言う通り多分人間だ………場所は………あの滝の裏か。ユエ、頼めるか?」

 

「………ん」

 

ハジメの言葉にユエが頷いて石伝いに滝の前まで行くと、

 

「〝波状〟〝風壁〟!」

 

水魔法で滝を割る。

すると、滝の奥に洞窟があるのが見えた。

ドルグレモンとヒシャリュウモンに周辺の警戒を頼んで俺達は洞窟内を捜索する。

すると、少し奥に入ったところで男が倒れているのが見えた。

 

「ビンゴ………!」

 

ハジメがニヤッと笑う。

ハジメがその男性に近寄り、

 

「おい………おい起きろ!」

 

ハジメが声を掛けるが反応が無い。

 

「も、もしかして死………?」

 

愛子先生が最悪の可能性を口にするが、

 

「いや、まだ息がある」

 

気配感知で生きていることが分かっているハジメは冷静にそう言う。

 

「顔が青ざめています! 急いで暖を…………!」

 

愛子先生は身体を温めてゆっくり起こそうとしていたが、ハジメが右手を伸ばすと容赦なくデコピンした。

待つのが面倒なハジメは無理矢理起こすことにしたのだ。

因みにただのデコピンと言えど、ハジメのステータスでは本気でやると頭が吹き飛ぶので勿論手加減している。

更に因みに手加減してもハジメのデコピンはかなり痛い。

 

「こっちの方が手っ取り早い」

 

「ひでぇ………」

 

インプモンが思わず呟く。

ハジメの行動にクラスメイト達も引いていた。

 

「…………う」

 

その男が目を覚ます。

 

「き………君達は……?」

 

「お前がウィル・クデタか?」

 

「あ、あぁ、僕がそうだけど………」

 

そこまで言った所でウィルがハッとなり、

 

「そ、そうだ! 奴は!? 奴はもう居ないのか!?」

 

慌てた様にそう叫ぶ。

 

「何だ、奴って?」

 

「早くここから逃げよう! 僕も一緒に連れて行ってくれ!!」

 

ウィルは取り乱しながらそう叫ぶ。

 

「落ち着け!」

 

取り乱すウィルをハジメが拳骨で黙らせた。

頭を押さえて蹲るウィルに、

 

「奴って言うのは2~3mほどの魔物の事か?」

 

「ち、違う!! い、いや、確かにその位の魔物も居たけど………」

 

その時、

 

「南雲! 私の気配感知にでかい奴が引っかかったわ!!」

 

優花が突然叫んだ。

その直後に、

 

「大士!!」

 

「葵!!」

 

洞窟の外からドルグレモンとヒシャリュウモンがただ事ではない声が聞こえた。

俺達が急いで洞窟の外に出ると、そこには真っ黒い鱗と大きな翼をもった黒竜が空中で羽搏いていた。

 

「こ、こいつだ! こいつが私達を………!!」

 

ウィルが顔面を蒼白にして叫んだ瞬間、その黒竜がその口を大きく開け、凄まじい炎が凝縮されたブレスを放ってきた。

 

「ドルグレモン!!」

 

俺は咄嗟に叫ぶ。

ドルグレモンはそのブレスの射線軸上に体を滑り込ませてその背でブレスを受ける。

 

「ぐうっ!?」

 

ドルグレモンは苦しそうな声を漏らし、

 

「うぐぁっ!?」

 

俺の背中にも焼けつくような痛みが走る。

 

「「大士っ!」」

 

葵と優花が俺の肩を支える。

 

「黒騎君!?」

 

ダメージを受ける俺の姿に愛子先生達が驚いている。

 

「ユエ!」

 

ハジメがユエに呼びかけると、

 

「〝禍天〟」

 

ユエが重力球を作り出し、それを竜にぶつけて地面に叩き落とす。

その際にブレスが途切れ俺は痛みから解放される。

 

「はぁ……はぁ………大丈夫か? ドルグレモン」

 

「う、うん………でも気を付けて。こいつ強いよ………!」

 

「だな………完全体のドルグレモンにここまでのダメージを与えるなんて、この黒竜は完全体デジモンに近い実力って事だ………!」

 

俺がそう言っていると、シアが黒竜の頭に向かって飛び掛かり、

 

「止めですぅ~~~~!」

 

シアが戦槌を思い切り振り下ろした。

因みにその戦槌『ドリュッケン』にはハジメが新しく重力魔法を付与しており、さらに強力になっている。

その一撃は地面を砕くほどの威力を見せたが、黒竜は瞬間的に頭を仰け反ってその一撃を避ける。

黒竜は再び頭を擡げると、近くに居るシアには構わずに再びこちらに向かってブレスを放ってきた。

しかしその瞬間、

 

「〝聖絶〟!!」

 

白崎さんが前に飛び出し、光の障壁を展開してブレスを防ぐ。

 

「攻撃は私が防ぐから、皆は攻撃に集中して!」

 

白崎さんの言葉に俺は頷き、

 

「よし! ドルグレモン! あの黒竜を………!」

 

俺がそう叫ぼうとした時だった。

 

 

 

 

 

【Side イグドラシル】

 

 

 

―――異分子(バグ)への情報収集段階を次のフェーズへ移行

 

 

 

 

―――ゲート開放(オープン)

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

その瞬間空にまるで雲が突然できた様にデジタルフィールドが広がり、すぐに消えたかと思うと、そこには3体のデジモンが並んでいた。

左右のデジモンは、黒い骸骨の様な風貌のデジモン。

真ん中のデジモンは、黒い体に一つ目の姿のデジモン。

 

「ッ………! デジモンか!」

 

俺はすぐにDアークで情報を確認した。

 

「スカルサタモン 完全体 ウィルス種 アンデット型デジモン。必殺技は『ネイルボーン』。デスモン 究極体 データ種 魔王型デジモン。必殺技は『デスアロー』と『エクスプロージョンアイ』…………くっ、完全体が2体に究極体か………!」

 

しかも厄介な事にどちらも飛行できるタイプのデジモンだ。

 

「おい、どうしたんだよ? あっちが究極体ならお前も究極体で行けばいい話だろ」

 

ハジメがそう言って来るが、

 

「…………アルファモンは空飛べねえんだよ」

 

アルファモンの最大の欠点を口にする俺。

 

「なっ!?」

 

「背中のブースターでそれなりの距離を跳躍できるが、完全な飛行は不可能だ」

 

デ・リーパーは飛行するというより浮いているだけだったから特に苦戦はしなかったが、相手は自由に空を飛べるデジモンだ。

アルファモンでは苦戦は必至だろう。

それでも勝てないことは無いだろうが、ハジメ達はともかくとして、愛子先生達が巻き込まれる可能性が大だ。

 

「じゃあ、どうすんだよ!?」

 

珍しくハジメが焦った声を漏らす。

まあ確かに俺だけだったら俺も焦っていた。

しかし、ここに来る直前に頼りになる仲間と合流できたことは行幸だった。

俺は視線を下げ、

 

「インプモン」

 

「おう! 俺様に任しとけ!」

 

俺の言葉にインプモンが頼もしく返事をした瞬間、デスモンが右腕をこちらに向け、その掌にある目が怪しく光る。

 

「ヤバい! ドルグレモン!!」

 

「メタルメテオ!!」

 

ドルグレモンは巨大な鉄球を生み出しそれを放つ。

だが、

 

「デスアロー!」

 

デスモンの掌の目から放たれた光の矢はメタルメテオを簡単に砕いた。

メタルメテオの破片が俺達に降り注ぐ。

 

「ヒシャリュウモン!!」

 

葵が叫ぶと、

 

「縦横車!!」

 

ヒシャリュウモンが素早い動きで破片を細かく砕いていく。

しかし、いくつかは取り逃して俺達の居る洞窟の周辺に着弾。

黒竜にも降り注いで苦しんでいる。

更にもう一つが洞窟の下部に着弾して俺達の足場に罅が入る。

 

「えっ? きゃぁあああああっ!?」

 

愛子先生が崩れた足場の崩落に巻き込まれて洞窟から投げ出されてしまった。

 

「愛子ぉ!」

 

一緒に崩れた足場に居たインプモンが愛子先生に向かって飛ぶ。

そのまま愛子先生とインプモンは川底に落下したように思われた。

 

「愛ちゃん!」

 

「愛ちゃん先生!」

 

「先生!?」

 

優花や他のクラスメイト達が叫びながら愛子先生が落下した所に駆け寄る。

その瞬間、バサッという羽音と共に何か黒い影がその場所から急上昇した。

駆け寄ろうとした皆はその際に巻き起こった風によって顔を庇ったが、すぐに眼を開ける。

そして皆の目に最初に入ったのは、辺りに舞い散る黒い羽根。

 

「えっ………?」

 

「これは………?」

 

俺はすぐに上を向いてその存在を確認した時、口元に笑みを浮かべた。

そこには、漆黒の翼を広げ、黒い仮面と黒い服装を身に着けた3.5mほどの人型をしたデジモンが愛子先生を抱き上げてそこに居た。

 

「大丈夫か? 愛子」

 

そのデジモンは腕の中にいる愛子先生にそう声を掛ける。

 

「えっ…………? はっ? ええっ………!? あ、あなたは…………!?」

 

「ベルゼブモン!」

 

俺はその名を呼ぶ。

あの姿こそ、インプモンが究極体に進化したベルゼブモンの姿。

 

「ベルゼブモン:ブラストモード 究極体 ウィルス種 魔王型デジモン。必殺技は、『デススリンガー』と『カオスフレア』…………究極体………!」

 

葵がDアークでベルゼブモンのデータを読み上げる。

すると、ベルゼブモンは俺達の前に降りてきて愛子先生を地面に降ろす。

 

「ベルゼブモン! 愛子先生を助けてくれてありがとう!」

 

「へっ! いいって事よ!」

 

俺の言葉にそう返してくるベルゼブモン。

 

「えっと、あの、助けてくれてありがとうございます! ところで、あなたは………?」

 

突然現れたベルゼブモンに愛子先生はその正体が誰か分からない様だ。

見れば、他のメンバーも困惑した表情をしている。

だから俺は、

 

「ベルゼブモンはインプモンだ」

 

そう言った。

 

「「「「「「「「「「へっ?」」」」」」」」」」

 

全員が素っ頓狂な声を漏らす。

 

「だからベルゼブモンはインプモンが究極体に進化した姿だ!」

 

もう一度言ってやる。

 

「「「「「「「「「「えぇえええええええええっ!?」」」」」」」」」」

 

全員が驚愕の声で叫んだ。

まあ、初めて見る人にとっては驚くだろう。

それはともかく、これ以上あいつらを放っては置けない。

 

「詳しい話は後だ! ベルゼブモン! デスモンを任せていいか!?」

 

「任せとけ! 調子こいたヤローに身の程ってもんを分らせてやるよ!」

 

ベルゼブモンは乱暴な口調だが頼もしくそう言ってくれる。

すると、ベルゼブモンは右腕を横に伸ばすと、そこに陽電子砲を具現させる。

そして翼を広げ、デスモンに向かって飛び立つ。

その時デスモンが再び右手を向けてくる。

 

「ッ…………!」

 

ベルゼブモンはそれに気付くと右腕の陽電子砲を向けた。

 

「デスアロー!」

 

デスモンが再びデスアローを放つと同時に、

 

「デススリンガー!」

 

ベルゼブモンも陽電子砲を放つ。

2つの閃光は互いの真ん中でぶつかり合い、大爆発を起こした。

それを見た俺は、

 

「ドルグレモン、ヒシャリュウモン! デスモンはベルゼブモンに任せてスカルサタモンを倒すんだ!」

 

「分かった!」

 

「心得た!」

 

ドルグレモンとヒシャリュウモンは取り巻きの様にいる2体のスカルサタモンへ向かって行く。

 

「ハジメ、悪いがそっちは何とかしてくれ!」

 

「わーってるよ! そっちは任せるぞ!」

 

「ああ!」

 

ハジメと言葉を交わして俺はスカルサタモンに集中する。

 

「メタルメテオ!」

 

「ネイルボーン!」

 

ドルグレモンが放ったメタルメテオがスカルサタモンが放った光線によって破壊される。

 

「ッ!」

 

その瞬間、俺は1枚のカードを取り出してDアークにスラッシュする。

 

「カードスラッシュ!」

 

その瞬間、スカルサタモンがメタルメテオが破壊された粒子の中を突っ切ってきた。

 

「死ね! ネイルボーン!!」

 

至近距離から光線を放った。

ドルグレモンはそれに直撃、呆気なく粒子となって消え去る。

 

「「「ああっ!?」」」

 

それを見ていた優花やクラスメイト達が声を上げる。

だが、俺は口元に小さく笑みを浮かべる。

何故なら、

 

「があっ!?」

 

スカルサタモンは背後から胴体を貫かれていた。

貫いたのは当然、

 

「な、何故貴様が………?」

 

ドルグレモンだ。

メタルメテオの粒子が消え去ると、そこには無傷のドルグレモンが居た。

鼻先のブレードでスカルサタモンを背後から貫いている。

 

「俺が今スラッシュしたカードは『エイリアス』。分身のカードだ。スカルサタモンが倒したドルグレモンはただの分身。本物はメタルメテオの粒子に紛れて後ろに回り込んでいたのさ!」

 

俺はそう説明する。

 

「お、おのれぇっ!?」

 

「やれっ! ドルグレモン!」

 

「ブラッディータワー!!」

 

ドルグレモンは思い切りスカルサタモンを上空に放り投げ、傷口を広げる。

スカルサタモンはそのまま上空で粒子となって消え去った。

一方、ヒシャリュウモンの方は、

 

「成龍刃!!」

 

「ネイルボーン!!」

 

ヒシャリュウモンが剣と化した一撃がスカルサタモンが杖から放つ光線を切り裂こうと迫る。

しかし、スカルサタモンも必死でヒシャリュウモンを押し返そうとする。

その時、葵が1枚のカードを取り出し、

 

「カードスラッシュ!」

 

そのカードをDアークにスラッシュする。

 

「強化プラグインW!!」

 

その瞬間、剣と化したヒシャリュウモンの刃に青白い炎のようなオーラが纏われる。

直後、拮抗していた技のぶつかり合いがヒシャリュウモンに傾いた。

ヒシャリュウモンの刃がネイルボーンを切り裂きながらスカルサタモンに迫る。

 

「な、何ッ!?」

 

その事実に驚愕するスカルサタモン。

 

「同じ完全体なら!」

 

そう葵が叫ぶと、

 

「テイマーのいる某の方が強い!!」

 

葵の言葉に続くようにヒシャリュウモンが叫ぶ。

その瞬間、ヒシャリュウモンがネイルボーンを突破し、スカルサタモンの胴体を貫いた。

 

「ああああああああああああっ!?」

 

スカルサタモンは叫び声を上げて消滅する。

その時、デスモンとベルゼブモンの一撃が空中でぶつかり合い、再び大爆発を起こした。

その時、爆発を目くらましにしてベルゼブモンがデスモンに接近。

左腕の爪を振りかぶる。

 

「ダークネスクロウ!!」

 

闇の力を纏った一撃がデスモンの背中に大きく傷を付ける。

すると、よろめいたデスモンが体勢を立て直しつつベルゼブモンに一つ目を向けると、その目にエネルギーを集中させ始めた。

 

「むっ…………!」

 

最大攻撃が来ると踏んだベルゼブモンはデスモンから距離を取ると、陽電子砲の銃口で五芒星を描き始めた。

すると、その五芒星を中心に魔法陣が発生する。

直後、

 

「エクスプロージョンアイ!!」

 

デスモンの一つ目から先程とは比べ物にならない極太の光線が放たれる。

その瞬間、

 

「カオスフレア!!」

 

ベルゼブモンがその魔法陣に向かって陽電子砲を放つと、その威力が増幅され、特大の砲撃となって放たれた。

互いの必殺技がぶつかり合う。

しかし、それは一瞬だった。

 

「おらおらぁっ!!」

 

ベルゼブモンが魔法陣に向かって陽電子砲を連射すると、それに伴い砲撃の威力が増していく。

ベルゼブモンのカオスフレアはあっさりとデスモンのエクスプロージョンアイを飲み込み、そのままデスモンをも呑み込んだ。

そして、その砲撃が通り過ぎた後、デスモンの姿は影も形も無かった。

 

「まあ、当然と言えば当然の結果か………」

 

俺はそう呟く。

同じ魔王型デジモンと言えど、ベルゼブモンはあの七大魔王の一体に数えられるデジモンなのだ。

並の究極体であるデスモンに敵う相手ではない。

まあ、この世界では七大魔王という設定は無いが。

俺は気を取り直してハジメ達の方を確認しようと……………

 

「ケツから死ね。駄竜が………!」

 

ハジメが黒竜の尻に鉄杭を突き刺す瞬間を目撃してしまった。

 

「は……………?」

 

俺はその光景に絶句してしまうが、

 

「アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!? なのじゃぁっ!!」

 

その黒竜から聞こえた女性の悲鳴に俺達は再び固まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side イグドラシル】

 

 

 

 

 

 

―――異分子(バグ)の増加を確認

 

 

 

―――情報収集継続

 

 

 

―――関連情報を蓄積データから検索

 

 

 

―――ダークエリアに関連情報有り

 

 

 

―――復元、再構築開始

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 






第21話の完成。
取り得ずベルゼブモン活躍の回。
VSティオ編とか言っときながらあんまり戦ってなかった。
最後はアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッで終わったし。
どっちがインパクトあるだろう?
とりあえずアルファモンは飛べない設定です。
デュークモンと一緒です(デジタルワールドでは飛んでたけど)。
なので空中戦が出来るデジモンを出してベルゼブモンを出しました。
ティオと戦わせたらティオが死にますんで。
でも最後の最後にイグドラシルが変な事を?
次回はVS6万………まで行けるかなぁ?
お楽しみに。
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