ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第54話 究極を超えし戦い

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

アリスとエリスのインペリアルドラモンがファイターモードに。

エミリアのウォーグレイモンとクラウディアのメタルガルルモンがオメガモンに進化したことにより、強敵である黒いインペリアルドラモン:ファイターモードとカオスモンは倒された。

それを遠目から見ていたデーモンとジエスモンは、

 

「ぬぅ………やつら、やられおったか…………」

 

『へぇ………やるわね、あの子達』

 

デーモンは忌々しそうに声を漏らし、ジエスモンの中の優花が感心した声を漏らす。

ジエスモンはデーモンを見据え、

 

「どうする? お前達の頼りにしていた2体は倒されたぞ?」

 

警告の意味も含めてそう言った。

デーモンは目を細めると、

 

「舐めるな! 例え勝ったとはいえ、奴らも消耗は激しい筈! ここで貴様を倒し、全軍を以って攻撃を仕掛ければ………!」

 

退く気は無いというようにそう叫ぼうとしたが、

 

『………………フフッ』

 

ジエスモンの中の優花が、薄く笑みを零した。

 

「…………何を笑っている?」

 

デーモンはジエスモンを睨み付けながらそう言うと、

 

『別に。あの子達が勝ったのなら、私達も出し惜しみしなくていいと思っただけよ』

 

「何だと……?」

 

優花の言葉に、怪訝な声を漏らすデーモン。

 

『わからない? つまり、後の事を気にせず、全力で戦えるって事よ!』

 

優花がそう言うと、

 

『行くわよ! ジエスモン!』

 

「うむ! 私達の真の力! 見せつけてやろう!」

 

ジエスモンも頼もしく応えると、

 

「『はぁあああああああああああああああああああああっ!!!』」

 

2人が気合を入れるように声を上げると、ジエスモンが赤いオーラに包まれていく。

 

「な、何ッ!?」

 

デーモンが驚愕した瞬間、光が弾けた。

アト、ルネ、ポルは1つとなって『タクティカルアームズ』となり、背面に翼状となって纏われる。

全身の各部が刃状となり、両腕には、ソード、ナックル、シールドの3種のモードを持つ攻防一体の武具『アンリミティヴガントレット』。

更に全身が炎のような赤に染まり、闘志を漲らせたその姿。

 

「ジエスモンGX!!」

 

ジエスモンが更なる力を得たジエスモンGXへと進化を遂げた。

 

「なっ!?」

 

その姿にデーモンが驚愕の声を漏らした瞬間、ジエスモンGXはデーモンへと肉薄していた。

両腕に装着されたアンリミティヴガントレットがソードモードとなり、無数の斬撃が浴びせられる。

 

「がぁああああああああああっ!?」

 

身体中を切り刻まれ、堪らず悲鳴を上げるデーモン。

更にジエスモンGXは、アンリミティヴガントレットをナックルモードに変化させると、

 

「はぁあああああああああああああああっ!!」

 

無数の拳の乱打を浴びせた。

 

「ぐわぁああああああああああああっ!!」

 

最後にアッパーカットで打ち上げると、背中のタクティカルアームズが腕の形に変化し、その拳を握りしめると、

 

「聖拳………滅破っ!!」

 

亜光速の速さで連撃が叩き込まれた。

 

「が………はぁ……………!?!?」

 

声を上げる事すら出来ずに吹き飛ばされ大地に激突するデーモン。

 

「デ、デーモン様!?」

 

圧倒されたデーモンの姿に、ガルフモンが戸惑いの声を上げる。

その瞬間、

 

『隙あり!』

 

「永世竜王刃!!」

 

決定的な隙を、オウリュウモンは見逃さなかった。

巨大な斬撃がガルフモンに直撃する。

 

「うぎゃぁああああああああっ!?」

 

先程までとは違う、明らかなダメージを感じさせる声を上げるガルフモン。

 

『よし! このまま畳み掛けるよ! オウリュウモン!』

 

「承知!」

 

葵の言葉に即座に応えるオウリュウモン。

ガルフモンに追撃を掛けようとして………………

空に黒い雷鳴が轟いた。

 

『ッ!? また!』

 

葵がそれに気付いた瞬間、黒い稲妻が降り注いだ。

一番大きな稲妻はデーモンに。

更に、無数の細い稲妻が戦場の至る所に降り注ぐ。

 

「クッ、クッハッハッハッハッハ!」

 

デーモンに降り注いだ雷の中から、嘲笑う様な笑い声が聞こえてきた。

 

「力が溢れる! 素晴らしい!」

 

黒い雷の中から現れたデーモンは、その姿を変貌させていた。

獣のように膨らんでいた筋肉が圧縮されたようにスマートになり、翼も一回り大きくなる。

見た目の変化は少ないが、感じられる力は今までの比では無い。

これは、究極体であるデーモンが更なる力を手にした究極体を超えし究極体。

 

「デーモン:超究極体だ!!」

 

デーモンはそう言い放つ。

 

「超究極体…………!」

 

ジエスモンGXは、油断なく身構える。

デーモン:超究極体はジエスモンGXを見据えると、

 

「アルゴルズフレイム!!」

 

その口から超圧縮された火炎弾を放つ。

 

「ッ!?」

 

ジエスモンGXは、アンリミティヴガントレットをシールドモードに変更し、防御する。

だが、圧縮された火炎弾がシールドに触れた瞬間、爆発を起こす。

 

「ぐあっ!?」

 

爆発の規模こそ小さいが、内包されたエネルギーは今までの比ではなく、シールド越しですら、ジエスモンGXに無視できないダメージを与えた。

 

『ジエスモン! 大丈夫?』

 

優花が声を掛ける。

 

「ああ………だが、信じられない程にデーモンの力が増している」

 

『仕切り直しって事ね………』

 

優花とジエスモンは、気合を入れ直すが、

 

「フッフッフ………」

 

デーモンは不敵な笑みを零した。

 

「ッ!?」

 

ジエスモンGXは、怪訝な視線をデーモンに向ける。

 

「確かに貴様は強い。貴様とまともにやり合えば、今の我とて唯では済むまい。だが………」

 

デーモンは一旦言葉を区切ると、

 

「アイズモン!!」

 

その名を呼んだ。

その瞬間、ジエスモンGXの周囲に突如として近未来的な建物が次々と立ち並んだ。

 

「な、何だ!?」

 

ジエスモンGXは驚きの声を漏らす。

 

「貴様は近接戦闘において最大の力を発揮する。それなら、まともに戦わなければいいだけの話だ!」

 

デーモンはそう言うと背を向け、

 

「足止めは任せたぞ、アイズモン。来い! ガルフモン!!」

 

「合点!」

 

デーモンに呼ばれてガルフモンが後に続く。

 

「ッ! 行かせるわけにはっ!」

 

オウリュウモンがガルフモンの後を追おうとして、

 

「ッ!?」

 

突然目の前にビルが出現した。

ビルに激突するオウリュウモン。

 

『いきなりビルが……!?』

 

ダメージは無いが、ビルの倒壊によって視界が塞がれ、思わず足を止めてしまうオウリュウモン。

 

「くっ!」

 

ジエスモンGXもデーモンを追うが、無数のビルが降り注いだ。

 

「この程度………!」

 

ジエスモンGXはビルを切り裂きつつ進む。

だが、

 

「アルゴルズフレイム!!」

 

「なっ!? ぐわぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

 

ビルを切り裂いた瞬間、突然死角から超圧縮された火球が現れ、直撃を受けた。

吹き飛ばされるジエスモンGX。

その火球はデーモンが放ったものだ。

 

「これで時間は稼げるだろう。ガルフモン!」

 

「へい!」

 

デーモンとガルフモンは、ホーリーエンジェモンに向かっていく。

 

「奴らの狙いは私か!」

 

それに気付いたホーリーエンジェモンが叫ぶ。

 

「大丈夫! こっちにはインペリアルドラモン:ファイターモードとオメガモンが居るのよ! いくらデーモンが強くたって………!」

 

アリスが自信を持ってそう言うが、

 

「ダークスプレッダー!!」

 

デーモンが腹部から、拡散するエネルギー波を放った。

それは、アリス、エリス、エミリア、クラウディアを巻き込む形で放たれている。

 

「なっ!?」

 

クラウディアが驚愕した瞬間、

 

「「エミリア! クラウディア!」」

 

オメガモンがエミリアとクラウディアの前に降り立ち、2人をマントで包み込むように庇う。

 

「「アリス! エリス!」」

 

インペリアルドラモンは、その巨体を利用して2人に覆いかぶさるようにして護る。

その直後にエネルギー波が降り注ぐ。

 

「「くっ……!」」

 

「「ぐっ……!」」

 

2体は苦しそうに声を漏らした。

 

「そう! 貴様らは人間達を優先する!」

 

デーモンは狙い通りと言うように叫ぶ。

その時、

 

「これ以上はやらせん!」

 

ヴァロドゥルモンが光を纏いながらデーモンの前に立ち塞がる。

デーモンの攻撃は、ヴァロドゥルモンのパージシャインの前に四散していく。

しかし、

 

「貴様の能力は厄介だ………だが!」

 

デーモンが急接近し、ヴァロドゥルモンの首を掴んで締める。

 

「ぐぅ………!?」

 

「やはり直接触る事は可能なようだな………!」

 

「貴様には退いていてもらおう!」

 

デーモンは叫びながらヴァロドゥルモンを勢いよく投げ飛ばした。

岩山に激突するヴァロドゥルモン。

 

「ぐはっ!?」

 

デーモンはヴァロドゥルモンを投げ飛ばすと、再びオメガモンとインペリアルドラモンに向かって攻撃を再開する。

そこへ、

 

「これ以上はやらせない!」

 

「あんまり調子に乗るんじゃないよ!」

 

「させない!」

 

ビクトリーグレイモンとメルヴァモン、ディアナモンが、正面と両側面の3方向から大剣とハーケンで斬りかかった。

 

「ドラモンブレイカー!!」

 

「ファイナルストライクロール!!」

 

「クレセントハーケン!!」

 

渾身の一撃を放つ3体。

その攻撃を、デーモンは両腕で防ぐ。

 

「そう! 奴らが動けない今、この我に攻撃してくるのは貴様らしか居ない!」

 

これも狙い通りと言わんばかりに口元を吊り上げるデーモン。

 

「ガルフモン!!」

 

「合点!」

 

そして、全ての究極体をデーモンが引き受けた時、別方向からガルフモンがホーリーエンジェモンに接近する。

そして、ホーリーエンジェモンの近くには、クオンとドルモン、イルククゥも居た。

 

「き、来たのねー!!」

 

思わず声を上げるイルククゥ。

 

「おねーちゃん達! おねがい!」

 

そう叫ぶクオン。

 

「ええ!」

 

「おっしゃ!」

 

「必ず護る……!」

 

シスタモンノワール、シエル、ブランがガルフモンに立ち向かう。

しかし、

 

「テメエらの相手は、こいつ等だ!」

 

ガルフモンが叫ぶと、ガルフモンの後方から3体のネオデビモンが現れ、シスタモン達にそれぞれ掴みかかり、クオンの傍から引き離した。

 

「しまった!?」

 

「なっ!?」

 

「クオンっ!」

 

このネオデビモン達は、先程の黒い稲妻の影響を受け、完全体に進化したデーモン軍の兵士であるデビモン達だ。

 

「おねーちゃん達!?」

 

クオンが叫ぶが、目の前にガルフモンが降り立つ。

地面を揺るがしながら着地するガルフモン。

その時、

 

「クオン! 下がって! メタルキャノン!」

 

ドルモンが前に出てメタルキャノンを放つ。

ドルモンが放った鉄球は、ガルフモンの各部に命中するが、成長期の攻撃では全く意に介さない。

 

「無駄な事は止めるんだな。ここまでくりゃ俺達の勝ちだ! 後はホーリーエンジェモンさえ片付ければ………」

 

ガルフモンがホーリーエンジェモンを見据える。

 

「くっ…………」

 

ホーリーエンジェモンは悔しそうに歯を食いしばる。

 

「いけない! ホーリーエンジェモンが! ビクトリーグレイモン!!」

 

「おおっ!」

 

ビクトリーグレイモンがデーモンへの攻撃を中断し、そちらへ救援に向かおうとした。

 

「行かせると思ったか!?」

 

デーモンはそう言いながらビクトリーグレイモンをその手で掴み取った。

 

「なっ!? うわぁああああああああっ!?」

 

握り締められ、身動きが出来なくなるビクトリーグレイモン。

更にデーモンは、口からアルゴルズフレイムを放ち、メルヴァモンとディアナモンに牽制攻撃を放って救援に行かせまいとする。

 

「拙い! このままじゃ………!」

 

カイルに最悪の予感が過る。

 

「メタルキャノン! メタルキャノン!」

 

ドルモンは諦めずに攻撃を続けている。

 

「くっ………!」

 

「ぐぐっ………!」

 

「ク、クオン………!」

 

シスタモン達は、完全体のネオデビモンの力の前に、振りほどくことが出来ないでいる。

 

「へへっ……!」

 

ガルフモンは、恐怖を煽る様にゆっくりと手を伸ばす。

狙いはホーリーエンジェモンとクオンの2人。

クオンを狙えばホーリーエンジェモンは逃げないだろうとの判断だ。

ホーリーエンジェモンはダメ元を覚悟でエクスキャリバーを構える。

その時、

 

「…………まもらなきゃ………」

 

クオンが呟いた。

 

「わたしがみんなをまもらなきゃ………」

 

更に呟く。

 

「みんなをまもるのが………わたしのやくめ………」

 

クオンは勇気を振り絞ってガルフモンを見上げる。

 

「クオン………」

 

ドルモンがクオンの姿に感銘を受ける。

 

「おとーさんとおかーさんがもどってくるまで、わたしが………みんなをまもる!」

 

クオンが泣きそうな感情を我慢して、涙を堪えながら叫んだ。

その時、クオンの持つクロスローダーから、金色の光が漏れ出した。

 

「ふえ………?」

 

突然の光に、クオンは疑問の声を漏らしながらクロスローダーの画面を見た。

その画面には、花と十字架が重なったような紋章が描かれていた。

 

「この光は………もしかして、進化の光……!?」

 

ドルモンが目を見開く。

 

「クオン! 進化だ! 進化させるんだ!」

 

ドルモンが叫ぶ。

ドルモンの言葉にクオンは決意した表情になると、クロスローダーを掲げ、

 

「おねーちゃん達! しんかーーーーーっ!!」

 

思いっきり叫んだ。

その瞬間、クロスローダーから光が溢れ、それと共に、シスタモン達が光に包まれ、ネオデビモン達を弾き飛ばした。

そして、

 

「シスタモン ノワール!」

 

「シスタモン シエル!」

 

「シスタモン ブラン!」

 

「「「超進化っ!!」」」

 

3体のシスタモンは、ウィンプルと呼ばれる動物の被り物を目元まで深く被る。

すると、ノワールは胸元に。

シエルは腹部に。

そしてブランは額に、先程クオンのクロスローダーの画面に浮かび上がった紋章と同じ形の紋章が浮かび上がり、ノワールとシエルはその紋章の周囲の服が弾け飛ぶ。

その紋章はホーリースティグマと呼ばれる聖痕である。

すると、そのホーリースティグマの輝きと共に、シスタモン達の身体が成長するように大きくなる。

ノワールとシエルは、中学生から高校生ぐらいの見た目から、大人の色気を感じさせる大人の女性の姿へ。

ブランは小学生位の見た目から、中学生から高校生ぐらいの見た目へと変化した。

これは、ホーリースティグマにより、シスタモン達の力が覚醒された姿。

 

「覚醒! シスタモン ノワール!!」

 

「覚醒! シスタモン シエル!!」

 

「覚醒! シスタモン ブラン!!」

 

新たな力を得たシスタモン達が現れる。

吹き飛ばされたネオデビモンが体勢を立て直し、シスタモン達をその爪で切り裂こうとしたが、

 

「ミッキーバレット(覚)!!」

 

ノワールに襲い掛かろうとしたネオデビモンはあっさりと弾丸に撃ち抜かれ、

 

「白詰一文字切り(覚)!!」

 

シエルに襲い掛かろうとしたネオデビモンは、すれ違い様に居合抜きで輝く刀に切り裂かれ。

 

「ディバインピース(覚)!!」

 

ブランに襲い掛かろうとしたネオデビモンは、まるで獣のように荒々しい動きで逆に襲い掛かって来たブランに、三つ又の槍の乱れ突きで身体中を穴だらけにされ、消滅した。

3体は、そのままガルフモンに同時攻撃を仕掛ける。

 

「「「はぁああああああああああああっ!!」」」

 

「どわぁああああああああああっ!?」

 

覚醒した3体の同時攻撃に、ガルフモンも堪らずたたらを踏みながら後退した。

ガルフモンを後退させたシスタモン達は、クオンの前に着地する。

そして、

 

「クオン! デジクロスを!」

 

ノワールが叫ぶ。

 

「ああ! 今なら負ける気がしねぇ!」

 

シエルも自信を持って言う。

 

「クオン! お願い!」

 

ブランも叫ぶ。

 

「みんな…………うん!」

 

シスタモン達の言葉に、クオンは大きく頷くとクロスローダーを掲げた。

 

「おねーちゃん達! でじくろす!!」

 

クオンが叫ぶと、シスタモン達が光に包まれ跳び上がり、空中で激突するように合わさる。

 

「「「デジクロス!!」」」

 

3体の声が響き、1つとなる。

その光の中から現れるシスタモンXもその姿を変えていた。

灰色の犬の被り物を目元まで深く被り、その身体も少女のものから大人の女性のものに。

そして、ノワール、シエル、ブランにそれぞれ一つずつあったホーリースティグマが、額、胸元、腹部の3か所に現れていた。

デジクロスによるパワーアップだけではなく、本来はあり得ないホーリースティグマ3つの直列励起により、通常の10倍以上の力を引き出した姿。

それが、

 

「覚醒! シスタモンX!!」

 

覚醒状態のシスタモンXがその場に現れる。

シスタモンXは2連装の銃をガルフモンへ向け、

 

「ミッキーバレット(覚)!」

 

その銃を乱射する。

片手による連射の筈だが、その早撃ちは今までの比ではなく、数百発の銃弾が壁の様にガルフモンに襲い掛かった。

 

「あだだだだだだだだっ!?!?」

 

回避不可能なその攻撃に、ガルフモンは身を固めて防御する事しか出来ない。

 

「白詰一文字切り(覚)!」

 

そのまま距離を詰め、薙刀の一閃を喰らわせる。

 

「ぎゃぁあああああああああああっ!?!?」

 

ガルフモンの身体に大きく傷が付き、堪らず声を上げる。

しかし、ガルフモンも意地で体勢を立て直すと、

 

「よくもやりやがったな! ホーリーエンジェモンごと消し飛ばしてやる!!」

 

ガルフモンがそう言うと、下半身にある口が大きく開かれ、凄まじいエネルギーが溜められる。

 

「吹き飛びやがれ!!」

 

ガルフモンは、叫びながら巨大な砲撃を放った。

エネルギー波が全てを呑み込まんと突き進む。

すると、シスタモンXはそのエネルギー波の前に降り立ち、

 

「プロテクトウェーブ(覚)!!」

 

薙刀の石突で地面を突くと防御結界が張られ、ガルフモンのエネルギー波を受け止めた。

 

「な、なにぃっ!?」

 

あっさりと渾身の攻撃が受け止められた事で、ガルフモンは驚愕の声を上げた。

 

「これで終わりよ」

 

シスタモンXはそう言うと、薙刀の輝く刀身で十字架を描く。

そして、銃を構えると、

 

「グランドシスタークルス(覚)!!」

 

引き金を引くと同時に、その十字架が放たれた。

その十字架がガルフモンの腹部に命中する。

 

「…………………な、なんでぇ。驚かせやがって………」

 

ガルフモンは、少し待って何も起きなかった事で、攻撃は不発に終わったと勝手に解釈した。

しかし、

 

「アーメン」

 

シスタモンXが冥福を祈るようにそう告げると、ガルフモンの腹部に十字架が浮かび上がり、強い輝きを放ち始めた。

 

「えっ……? あっ……! いや………! ちょっと待って……………!」

 

ガルフモンがその輝きに嫌な予感を覚えた瞬間、閃光と共にガルフモンは消え去った。

 

「フッ…………」

 

シスタモンXは笑みを浮かべる。

 

「なっ!? ガルフモンが!?」

 

予定が狂った事に、デーモンは声を上げる。

 

「ハハッ! 残念だったな!」

 

ビクトリーグレイモンが、ざまあみろと言わんばかりにそう言う。

 

「黙れ!」

 

デーモンがビクトリーグレイモンを握っている力を強める。

 

「ぐああっ!?」

 

ビクトリーグレイモンの鎧が罅割れ、砕ける。

 

「こうなれば、1人ずつなぶり殺しにしてくれる!! まずは貴様からだ!!」

 

デーモンは、ビクトリーグレイモンに止めを刺さんと力を入れようとして、

 

「ビクトリーグレイモン!!」

 

カイルの声が響いた。

 

「カイル………?」

 

ビクトリーグレイモンがその声に意識を向ける。

 

「ビクトリーグレイモン! 究極体を超えよう! 俺達も!!」

 

「究極体を……超える………?」

 

カイルの声に、ビクトリーグレイモンは困惑した声を漏らした。

 

「そうだよ! インペリアルドラモンも、ウォーグレイモンやメタルガルルモンも、それにジエスモンやデーモンだって、究極体を超えた進化をしてる! だったら俺達も!!」

 

カイルの言葉に、

 

「……………ああ、そうだな………何だかんだで………皆究極体を超えて行ってる………なら、俺達だけ立ち止まってるわけには行かないな………!」

 

ビクトリーグレイモンは気力を取り戻していく。

その時、カイルのデジヴァイスバーストから眩しい光が放たれた。

 

「な、何だこの光は?」

 

ビクトリーグレイモンを握り潰そうとしたデーモンは、その光に困惑する。

その光の中、カイルはビクトリーグレイモンと心で繋がっていた。

 

『ビクトリーグレイモン………一緒に行こう………!』

 

『ああ……! カイルと一緒なら、何処までだって行けるさ………!』

 

『『究極を超えた、その先へ!』』

 

2人の心が1つになったその時、カイルから今までにないデジソウルが溢れた。

それに応えるように、デジヴァイスバーストの側面が赤い光を放つ。

そして、カイルはどうすればいいのかを直感で理解した。

 

――BURST

  EVOLUTION――

 

デジヴァイスバーストの画面にその文字が刻まれる。

カイルはデジヴァイスバーストの側面にある、赤い光を放つ部分に手を翳し、

 

「チャージ………! デジソウル………バースト!!」

 

そう叫んだ瞬間、デジヴァイスバーストから光が放たれた。

その光はビクトリーグレイモンを包み込む。

 

「うぉおっ!?」

 

デーモンは、堪らずビクトリーグレイモンから手を放した。

その光を受け、ビクトリーグレイモンは変化を始めた。

金の鎧はメタリックレッドへ。

オレンジ色の皮膚は、カイルのデジソウルと同じ真紅へと変わる。

背中には真紅の光の翼が生み出され、実体剣だったドラモンブレイカーは、刀身が大気中のエネルギーを剣の形に留めたオレンジ色に輝く光の剣『ガイアブレイカー』となった。

これが、ビクトリーグレイモンが限界を突破した姿。

 

「ビクトリーグレイモン:バーストモード!!」

 

その姿を現すビクトリーグレイモンBM。

 

「な、何ッ!? 更なる進化だと!?」

 

その姿にデーモンが驚愕する。

 

「………………」

 

ビクトリーグレイモンBMは、無言でガイアブレイカーを構えると、

背中の光を一気に放出して接近。

 

「はぁああああああああああああああああああああっ!!」

 

同時にガイアブレイカーを振り抜き、デーモンの肩から腰に掛けてを大きく切り裂いた。

 

「ぐわぁああああああああああああああああああっ!?!?」

 

その一撃は、超究極体である筈のデーモンに、大きなダメージを与える。

 

「おのれ………! ふざけるなぁ!!」

 

デーモンは憤怒の言葉と共に、アルゴルズフレイムを放つ。

すると、ビクトリーグレイモンBMはガイアブレイカーを振り被り、

 

「ビクトリーカウンター!!」

 

まるで野球のバッティングの様にアルゴルズフレイムを撃ち返した。

 

「なっ!? は、跳ね返した!?」

 

打ち返されるとは思っていなかったデーモンは、もろに直撃を受ける。

 

「がぁああああああっ!?」

 

しかも、今の一撃は唯跳ね返しただけではなく、攻撃を打ち返す際、剣のエネルギーを跳ね返す攻撃に上乗せし、威力が倍増されていた。

 

「ば、馬鹿な…………!?」

 

己の必殺技にさらに威力が上乗せされたものを受けたデーモンは、今までにない大ダメージを受けていた。

 

「止めだ! ビクトリーグレイモン!!」

 

カイルが叫ぶ。

 

「おおっ!」

 

ビクトリーグレイモンBMはその声に応えるように剣を掲げ、大気中のエネルギーと、自分の全エネルギーをガイアブレイカーに集中させた。

すると、ガイアブレイカーの刀身が巨大化し、天を衝くほどの大きさとなる。

 

「なっ!?」

 

デーモンは狼狽え、

 

「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

カイルの掛け声と共に、

 

「ファイナルガイアブレイカーーーーーーッ!!!」

 

その剣が振り下ろされた。

その一撃は、デーモンの身体を真っ二つに切り裂き、

 

「ぐわぁああああああああああああああああああっ!?!?」

 

断末魔の叫びと共に、デーモンを消し飛ばした。

ビクトリーグレイモンBMは血振りをするように剣を一振りすると、カイルに向き直り、

 

「…………!」

 

サムズアップをしてみせた。

カイルもそれに答えてサムズアップを返す。

そして、デーモンがやられたと知ったデーモン軍は、一斉に散り散りになって逃げだしていった。

 

「どうやら、間に合わなかったようだな」

 

「そうだな」

 

いつの間にかジエスモンGXとオウリュウモンがビクトリーグレイモンBMの近くに来ていた。

その2体が先程まで居た場所では、アイズモンが1つとなって魔竜の姿となった真の姿のアイズモンが倒れ伏し、データに分解されている所だった。

 

『はぁ、成熟期にあそこまで足止めされるなんて………不覚だわ』

 

優花が反省するようにそう言った。

 

『仕方ないよ。オウリュウモンもジエスモンも、近距離専門のデジモンだし。ああいう搦め手が得意な相手は苦手な部類だと思うよ』

 

葵がフォローするようにそう言う。

その姿を、ホーリーエンジェモンが下から見上げていた。

 

「まさか………あの状況から勝利するとは…………」

 

正直ホーリーエンジェモンは、敗北が濃厚だと思っていた。

しかし、テイマーである人間達も、そしてそのデジモン達も、誰一人絶望に屈することなく戦い続け、進化し、そして勝利を掴み取った。

 

「まさしく奇跡だ………!」

 

ホーリーエンジェモンはそう言う。

そしてその奇跡は、決して偶然によるものではなく、諦めない者達が起こした奇跡だということも理解していた。

ホーリーエンジェモンは、せめてこの戦いの英雄達を労おうと、声を掛けようとして、

 

「ッ!?」

 

突然大地が激しく揺れ出した。

 

「こ、これは!?」

 

「な、何っ!?」

 

それぞれが声を上げて狼狽える。

すると、ホーリーエンジェモンの城に罅が入り、一気に崩落を始めた。

 

「ホーリーエンジェモンの城が……」

 

その光景にエミリアが戸惑いの声を上げる。

 

「一体何が起こっている!?」

 

クラウディアが叫ぶが、揺れは収まらず、大地に亀裂が入り始める。

そしてその亀裂は、ここ周辺だけではなく、デジタルワールド全土に広がっていた。

 

「ッ!? この邪悪な気配はっ!」

 

ホーリーエンジェモンが下を見ながら声を上げる。

城が崩れた跡地が、まるで盛り上がる様に罅が入り始めた。

その亀裂から溢れる邪悪なエネルギーをホーリーエンジェモンは感じ取っていた。

 

「ま、まさか………ミレニアモンの封印が………!?」

 

今まさしく、ミレニアモンの封印が解かれようとしている事を。

 

「そんな! ホーリーエンジェモンは無事なのにどうして………!?」

 

アリスが疑問の声を上げる。

その時、ホーリーエンジェモンはハッとなり、

 

「まさか…………ミレニアモンの真の狙いはこれだったのか!?」

 

何かに気付いたように声を上げた。

 

「どういうこと!?」

 

カイルが聞き返すと、

 

「ミレニアモンは、このデジタルワールドの奥深くに封印されています。そして封印を解くには、封印のキーを受け継ぐ私の存在を抹消する事」

 

「それは前にも聞いた。なら、何でミレニアモンの封印は解かれようとしている?」

 

エリスが先を促す。

 

「はい、厳密に言えば、封印を解く方法はもう1つあるのです。それは、封印の基盤となっているデジタルワールドそのものを破壊する事」

 

「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」

 

その言葉に、全員が驚く。

 

「元々、このデジタルワールドは滅びが近付いていました。その為、ミレニアモンの力が漏れ出す程に封印が緩んでいたのです。デーモン軍の急激な進化はその為でしょう。そして、強大な力を持つ究極体がぶつかり合えば、滅びかけのデジタルワールドに多大なダメージを与えてしまう…………デーモン軍が勝って私を倒せればそれでよし。たとえ負けたとしても、それほどの力を持つ相手とぶつかり合えば、デジタルワールドに少なくない被害をもたらす………どちらに転んでもミレニアモンは復活するという寸法です」

 

「じゃあ、俺達の戦いが、ミレニアモンの封印を………!?」

 

カイルは罪悪感を感じ始めたが、

 

「いえ、あなた方が居なければ、どちらにせよ戦いに敗れ、この私が殺されてミレニアモンの封印は解かれていたでしょう。ミレニアモンは、思った以上に狡猾だったのです」

 

その時、城の跡地が盛り上がり、巨大なクリスタル状の物体が地面の下から現れ始めた。

巨大なクリスタルの内部には、怪しい影が蠢いている。

 

「ミレニアモンが………復活する…………」

 

ホーリーエンジェモンは、今度こそ絶望に染まった声を漏らすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリジナルデジモン

 

 

 

 

【シスタモンX(覚醒)】

 

 

 

テイマー:クオン

 

レベル:究極体

 

属性:データ種

 

タイプ:パペット型デジモン

 

必殺技:『グランドシスタークルス(覚)』

 

 

 

備考:覚醒したシスタモン姉妹がデジクロスした融合体。

本来はあり得ない3つのホーリースティグマを持ち、更にそれが直列励起する事により、通常のデジクロスの10倍以上のパワーを発揮する。

その力は並の究極体を一蹴する程。

 

 

 

 

 

 

 

【ビクトリーグレイモン:バーストモード】

 

 

 

 

 

テイマー:カイル

 

レベル:究極体

 

属性:ワクチン

 

タイプ:竜人型

 

必殺技:『ガイアブレイカー』『ビクトリーカウンター』『ファイナルガイアブレイカー』『ファイナルガイアバースト』

 

 

 

備考:バースト進化により、ビクトリーグレイモンが一時的に限界を突破した姿。

ドラモンブレイカーが変化したガイアブレイカーは、周囲の大気中のエネルギーを使用するため、戦いが激しくなればなるほどその威力も増していく。

 

 

 

 

 





オリジナル異世界編第54話です。
調子こいて色々やっちゃいました。
今回はシスタモンの覚醒とビクトリーグレイモンのバースト進化です。
オマケでデーモンも超究極体に。
ただし、デーモンはミレニアモンの力を受けて進化したので、Vテイマー01の時ほどの力は無いという設定です。
それでも結構強いですが。
それを圧倒しちゃうビクトリーグレイモンもビクトリーグレイモンですが。
今回はオリジナル設定が二つほど出てきたので、受け入れられるか心配です。
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