空を埋め尽くす………
いや、空そのものと言っていい程の大きさを誇るズィードミレニアモン。
その姿に、俺達を含めた全員が絶句している。
『な、何だ………こいつは…………?』
流石のハジメも開いた口が塞がらない。
『大士! 一体何が起こったんだ!? 奴は一体………!?』
ハジメはハッとなって俺に問いかけてくる。
『……………ズィードミレニアモン…………』
俺はその名を呟く。
『ズィードミレニアモン………?』
『ミレニアモンの最終形態とも言うべき、邪神型デジモンだ…………!』
『ズィードミレニアモン…………』
ハジメがその名を呟いた瞬間、邪竜の形をした双頭の口が開いたかと思うと、そこから雷のようなエネルギー波が放たれ、地平の彼方を蹂躙する。
その後、一瞬遅れてその雷が通り過ぎた地平の彼方が赤く染まった。
おそらく、ズィードミレニアモンの攻撃が地殻を貫き、マグマが溢れ出したのだろう。
しかも、この距離からでも赤く染まって見えると言う事は、その規模は測り知れない。
「何という力…………」
『暴走したドルゴラモンが、可愛く見える力じゃのう………』
エグザモンとティオがそう言う。
唯一の救いは、ズィードミレニアモンにとってこの大陸は既に石ころ程度なので、すぐ下にあったが故に今の攻撃で被害は無いと言う事か。
しかし、再びズィードミレニアモンが雷のようなエネルギー波を放つ。
先程よりも広範囲が雷により蹂躙され、俺達から見て360°全ての地平が赤く染まった。
これ以上攻撃が続けば、この大陸どころか、この惑星そのものが崩壊するのも時間の問題だろう。
「大士………!」
アルファモンが俺に呼びかける。
『ああ………バーストモードを維持できるのはあと僅か…………次の一撃に全てを懸ける!!』
「「「『『ああ/うん!!』』」」」
俺の言葉に融合している全員が答える。
「行くぞ!!」
ズィードミレニアモンに向かって羽搏いた。
「「アルファモン!?」」
オメガモン Alter-Bが驚いた声を漏らす。
「究極戦刃神竜剣!!」
「全ての力をこの一撃に!!」
残ったエネルギーを全て神竜剣につぎ込み、巨大化させてズィードミレニアモンに突撃する。
「「「『『『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!』』』」」」
その時、双頭の内の1つが
「ぐっ!」
「この程度!!」
『これなら!』
もうすぐ本体に届く。
そう思った瞬間、
「なっ!?」
その直後、その口から雷が放たれる。
雷とは言え、その大きさはズィードミレニアモンの大きさに比例するため、攻撃範囲は直径数kmに及ぶ。
大地を引き裂いた雷が、
「ぐぁああああああああああああああああああああああああああああああっ!?!?!?」
その威力はアルファモンBMの防御力を以てしても防ぎきれず、絶大なダメージを受けた。
空中に留まる事が出来なくなり、
「「「「アルファモン!?」」」」
地面に激突する前に、インペリアルドラモンPMに受け止められ、事無きを得たが、
「ぐぐっ…………!」
そのダメージは酷く、まともに体を動かせない。
進化だけは何とか維持しているが、もう戦う力は残されていない。
「「一旦戻るぞ!」」
オメガモン Alter-Bの言葉で、全員が市壁の上に居る皆の所まで下がることになった。
市壁まで戻ってくると、
「タイシ!」
クラウディア達が駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫ですか!?」
エミリアが心配する声を上げ、
「それに、あいつは一体何なの!?」
アリスがそう言う。
『ズィードミレニアモンだ………』
その問いに俺は答える。
「ズィードミレニアモン………?」
カイルがそう零す。
『ああ。激しい戦いの中で死んだミレニアモンが、闇の魂を持って蘇生した姿であるとも言われている…………俺も知識の中では知っていたが、まさか、これほどの力を持っていたなんて………』
ミレニアモンもゲームの中では何度も倒したことはあるが、実際に戦ってみると、シャレにならない大きさと強さだった。
『………………逃げるか? 少なくとも、この場にいる奴ら位は助けられるが』
ハジメがそう言う。
確かにハジメの案は間違いではない。
敵わないなら逃げる事は正解だ。
だが、
『……………………いや、ズィードミレニアモンは時空間を自由に行き来する能力を持っていた筈だ。異なる世界どころか、時間すらも飛び越え、あらゆる世界を破滅させる恐れがある。勿論、俺達の世界も例外じゃない。ここで奴を倒さなければ、次の瞬間には俺達の存在そのものが消滅している………何て事になりかねん』
『チッ…………』
ハジメは舌打ちする。
『でも、実際如何するんですか? タイシさん達のアルファモン:バーストモードでも敵わなかったんですよ?』
シアがそう言う。
『ん。アルファモン:バーストモードは私達の中でも最強の戦力。特に攻撃力に至っては桁違い。それ以上の力を発揮する手段は、今の私達には無い』
ユエも淡々と分析する。
だが
『………………いや、ある』
俺がそう言うと、全員の視線が集まる。
俺はクオンに視線を向け、
『クオン』
その名を呼んだ。
「おとーさん………」
クオンが
『『『『『『おとーさん?』』』』』』
そのことを知らないハジメ達が声を揃えて驚きの声を漏らす。
しかし、俺はその声をスルーし、
『クオンの持つクロスローダーには、絆を持つデジモン達を合体させるデジクロスというものが使える。ジョグレス程の急激なパワーアップは望めないが、ジョグレスと違い、絆がある限りその数に際限は無い。ジョグレスを2体のデジモンによる掛算だとすれば、デジクロスはいくらでもデジモンを足せる足し算だ』
『なるほど、同じ2体同士ではジョグレスの方が優れているが、数を揃えればデジクロスと言う物の方が力は勝ると言う事か』
ティオが理解してくれる。
『そう言う事だ。だが、クオン1人ではそこまで多くのデジモンをデジクロスさせる事は不可能だろう………だから、ここに居る皆の力が必要だ。それでも、成功する保証は無いが………』
「………そんなのはいつもの事」
エリスがそう言った。
『エリス………』
「タイシの言葉は、何時だって皆に希望を与えてくれる。どんな絶望的な状況でも、確かな希望を私達に見せてくれる。だから私達は、その希望に向かって全力で向かっていける………!」
「その通りだ。方法があるならまずは試すべきだ!」
「そうです! やる前から諦めるなんて事は、したくありません!」
『クラウディア、エミリア………』
「それでだめだったら、また次の方法を考えればいいのよ!」
『アリス………』
恋人達の言葉が俺の心に響く。
『………そうだな。先ずは試す! 話はそれからだ!』
「「「「「「「「「「うん!」」」」」」」」」」
全員が頷く。
「なら、やるぞ皆!!」
「「「「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」」」」
そしてそれぞれが自分のデジヴァイスを掲げ、
「「「「「「「「「「ファイナルクロス!!」」」」」」」」」」
その言霊を一斉に言い放った。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
その瞬間、
その光に集うように周りのデジモン達がアルファモンBMと一体化していく。
それに伴い、巨大化していくアルファモン。
「す、凄い! 本当に皆のデジモン達が1つになって行く!」
カイルが驚きの声を漏らす。
だが、
『いや! まだだ! まだ足りない! 俺達がこの世界で紡いできた絆を全て繋げるんだ!』
「はぁあああああああああああああああああああああっ!!!」
アルファモンが更に咆哮を上げると、上空に巨大なデジタルゲートが出現する。
「あれはデジタルゲート!? 何て大きさ!」
リティナ王女が驚愕する。
そこから現れる大量のデジモン達。
そのデジモン達の中には、俺達に見覚えのあるデジモン達が居た。
「あれはジジモン!?」
アリスが叫ぶ。
「ババモンも居る………!」
エリスも、
「あのスポットに居たデジモン達もいる」
シャルロットもそれに気付く。
「あちらに居るのはサンダーバーモン達ですね」
カトレアが、
「ホーリーエンジェモン達もいますよ!」
エミリアが、
「デジモン達が………こんなにも………!」
クラウディアもその数に驚いている。
「あなた方はデジタルワールドを救ってくださいました! 今度は我々デジモン達が、あなた方を助ける番です!」
ホーリーエンジェモンがそう言うと、光に包まれアルファモンと一体化していく。
アルファモンの全長は100mに達し、光の翼を広げ、白銀の縁取りがされた黄金の鎧が輝く。
アルファモンは身を起こしつつ立ち上がり、その姿を知らしめた。
「「「「『『『『『ファイナルクロス!!!』』』』』」」」」
「アルファモン! スペリオルモード!!!」
全員の力を結集し、スペリオルモードとなったアルファモンが名乗りを上げた。
その姿を上空のズィードミレニアモンが睨み付け、双頭の口から今までにない程のエネルギーが籠った雷のようなエネルギー波が放たれる。
その威力はこの大陸どころか、この惑星すら余裕で消滅させてしまうだろう。
しかし、
「これで決める! ファイナル神竜剣!!!」
その切っ先が、成層圏まで達すると、超巨大な王竜剣の形を取った。
「「「「「『『『『『はぁあああああああああああああああああああっ!!!』』』』』」」」」」
融合している全員の掛け声と共に、その剣が振り下ろされる。
衛星程もあるズィードミレニアモンを、その刃が切り裂いていく。
袈裟懸けに振り下ろされた刃を返し、止めとばかりに薙ぎ払う。
『ギィエェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!?!?!?』
ズィードミレニアモンは、この世のものとは思えぬ断末魔の叫びを上げ、光と共に消滅した。
空を覆っていた暗雲が晴れていき、光が差し込んでくる。
それが、ミレニアモンを倒した確かな証拠に思えた。
「「「「「「「「「「やったぁっ!!」」」」」」」」」」
その事実に、皆が喜びの声を上げた。
合体していたデジモン達は分離し、デジタルゲートからデジタルワールドへと帰っていく。
それに手を振って見送った後、俺達は市壁の上に集まっていた。
そこで、
「ハジメ、改めてありがとう。来てくれて助かったよ」
俺はハジメにそう言う。
「何でテメーはことある毎に世界の破滅に首突っ込んでるんだ?」
「………成り行きだ」
ハジメの言葉にそう言い返す。
すると、リティナ王女が近付いてきて、
「初めまして。わたくしはこの国、サーバー王国第一王女であるリティナ・オメガ・フォン・サーバー。あなた方が、タイシ殿の仲間と言うことで間違いありませんか?」
「まあな」
ハジメは適当に返事を返す。
「この度は我が国……いえ、この世界を救ってくれた事、感謝の念に絶えません」
「たまたまだ。俺達は、仲間を迎えに来ただけだからな」
「フフッ……」
ハジメの言葉を聞くと、リティナ王女が笑みを零す。
「何だよ?」
「いえ、タイシ殿も同じような言い方で、感謝を素直に受け取ってくれませんでしたので」
その言葉に、ハジメの視線がこっちを向く。
俺は視線を逸らした。
すると、
「それにしても………」
ハジメが俺の周りにいたクラウディア、エミリア、アリス、エリス、カンナ、クオン、シュヴァリアを見回した。
「しばらく見ない内に新しい女が増えてるじゃねえか」
「うっせ」
俺はそう言ってそっぽを向く。
すると、ポンと俺の肩に手を置かれ、
「なあ大士? 俺は今まで、ずっとずっとお前に言いたかったことがあるんだ………」
俯き気味に前髪で表情を隠しながら、そう言われた。
「な、何だよ………?」
すると、ハジメは顔を上げ、
「………このハーレム野郎♪」
歯がキラーンと輝いて見えるほどにいい笑顔を浮かべ、サムズアップしながらそう言い放った。
「ぐはっ!?!?!?」
その一言は俺の胸をクリティカルヒットしながら貫く。
俺はその場で崩れ落ち、
「お、お前にだけは言われたくなかったその言葉…………」
「11人も恋人持ってるハーレム野郎に言われたくねえな」
「ぐふっ!」
ハジメからの追撃に俺は項垂れる。
俺のそんな姿を見ながら、ハジメはHAHAHAと言わんばかりに笑っている。
それが無性にムカついた俺は、
「………………ああ、そうだな………」
俺はゆらりと立ち上がる。
「俺の恋人達は、俺には勿体ないと思えるほどの良い女ばかりだ………お前にも持ち得ないほどのな!」
「何ッ!?」
「まずはこの世界で一番最初に恋人になったアリスとエリス! 2人は姉妹でしかも双子だ!!」
「し、姉妹ッ……!? しかも双子だとっ!?」
姉妹で双子。
それは一部の人種にとってかなりのステータスだ。
「続いてエミリア! 生まれは平民だが、実際にはアルオイスも認めた聖女だっ!」
「せ、聖女っ………!?」
「次はクラウディア! 彼女は公爵令嬢で戦闘もこなせる姫騎士タイプだ!!」
「ひ、姫騎士っ………!?」
「その次はカンナ! 見ての通り獣人で、しかも九尾の狐でモフモフ属性持ちの娘付きの未亡人だ!」
「きゅ、九尾………い、いやしかし、こちらにもシアと言うウサミミ美少女がいる!」
「ふっ! シアのモフモフなどカンナの足元にも及ばん! カンナは触るだけでは無い! そのモフモフの尻尾に包まれる事だって出来るのだ!!」
「モフモフに包まれる…………くっ!」
「更にシュヴァリア! 彼女はサキュバスなのに俺と平気で殴り合えるほどの実力の持ち主! しかもサキュバスなのに魔王と言う肩書だって持っているのだ!」
「お、女魔王だと…………!?」
「最後は娘のクオン! この子の可愛さはミュウすらも上回る!」
「ふざけるな! ミュウの可愛さは世界……いや、全ての異世界含めても一番だ!!」
「…………確かにミュウの子供としての可愛さは、クオンに匹敵すると認めよう。しかし! クオンにはそこにプラスしてモフモフ要素がある!」
「な、何ッ!?」
「しかもクオンのモフモフは、カッコ良さと美しさがあるカンナのモフモフとは違い、愛らしさ100%の子狐のモフモフなのだ!!」
「ぐぅぅ! しかし! ミュウには誰にも負けない勇気がある!!」
「それはこちらも同じだ! クオンは、人質に取られても俺を信じ抜く勇気がある!」
「何を!」
「何だよ!?」
「…………………何やってんのアレ?」
顔を赤くしつつ、アリスが呟く。
「恋人と娘自慢………かな?」
すると、トコトコとミュウがクオンの傍に近付いていき、
「初めましてなの。ミュウは、ミュウっていうの!」
そう挨拶する。
「わたし………クオン…………」
「クオンちゃん…………じゃあクーちゃんって呼ぶの!」
クオンの自己紹介にいきなり愛称で呼ぶミュウ。
「じゃあ………ミュウってよぶ………」
「いいなの! よろしくなの、クーちゃん!」
「よろしく……ミュウ………」
「あらあら、お友達が出来たのね、クオン」
「ん………」
「ミュウとクーちゃんはお友達なの!」
元気いっぱいのミュウに対し、静かながらも嬉しそうに微笑むクオン。
その時、
「はぁ……はぁ………もう止めよう…………」
「そ、そうだな………」
不毛な言い争いをしていると自覚した俺達は、争いを止める事にした。
その後、状況の報告の為に王国に戻ってアスラン王と謁見した結果、褒美と言う名目で、何故か俺に『大公』の位が授けられた。
俺は咄嗟に断ろうとしたが、様は名ばかりの大公であり、次期女王とその夫になるカイルとこれからも対等な関係を続けて欲しいという理由からだ。
それでクラウディア達も大公妃という扱いになるので女王になった後のリティナ王女達と親しくしても問題は無いそうだ。
まあ、正直貴族の上下関係はよくわからんのだが。
そんな位など貰わなくとも、対等に接するつもりだが、それを快く思わない者達も出てくるだろうとの事。
特に名を擦る訳でも無いが、その位を受け取る事にした。
そして、遂に元の世界に帰る時がやって来た。
パチモン勇者ことサトジと山口は、ハジメのクリスタルキーで先に元の世界に送り返している。
中島さんは王子サマと一緒に追放され、今は行方知れずだ。
まあ、元の世界には帰りたく無さそうだったので、無理に探し出す必要は無いだろう。
見送りは、カイルとリティナ王女、アスラン王にフォルダ公爵など、この世界で俺が特に世話になった人達だ。
「それじゃ、元気でな。カイル」
「うん……そっちもね。タイシ」
俺達は握手を交わす。
「クラウディア達も、お元気で」
「リティナ様もお幸せに」
リティナ王女とクラウディアが言葉を交わす。
「クラウディア………」
「父上………」
「身体に気を付けるのだぞ………」
「…………はい!」
やはり肉親との別れは寂しいのか、涙を浮かべている。
それぞれが別れを惜しむ中、ハジメが空間ゲートを作り出した。
「準備できたぞ」
ハジメの言葉に、俺達は離れる。
すると、
「皆!」
カイルが呼びかけた。
「本当にありがとう!」
その言葉に、カイルの色んな感謝を感じる。
俺はその言葉に笑みを浮かべ、
「どういたしまして」
そう返した。
俺の返しにカイルも笑みを浮かべる。
ハジメ達を筆頭に、皆が空間ゲートを潜り始めた。
俺は最後にカイル達に振り返り、
「またな!」
そう言い残して空間ゲートに足を踏み出した。
いつもの………
そして新しい日常に向かって……………
~デジモンファンタジー編 完~
はいオリジナル異世界最終話でした。
アルファモン:バーストモードでも敵わなかったズィードミレニアモンに対し、まさかのファイナルクロスでスペリオルモードになるとは誰が予想したでしょうか?
はい、滅茶苦茶ですね。
そして、ハジメのハーレム野郎宣言は、これだけは入れたかったと思ってました。
さて、デジモンファンタジー編が終わった所で次はいよいよマブラヴオルタネイティブ編に……………
と行きたいとこなのですが、すみません。
ちょっと寄り道させてください。
Web版の原作の優花の魔法少女ネタを呼んでいてフッと思いついた事なのですが、書きたい衝動に駆られました。
次の話は『魔法少女ブレイクゆうか』。
優花を主人公にしたリリカルなのはとのクロスです。
10話もいかないと思うので許してください。
それでは、次も頑張ります。