ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第2話 ゆうか、負けイベントをブレイクする

 

 

 

前回の巨木事件からまた数日。

今日はなのはから、アリサとすずかのお茶会に誘われていた。

小学生がお茶会って何なのかしらね?

よく知らないけど、アリサとすずかって良いとこのお嬢様?

私が誘われたのは、サッカーの試合の時にハックモン………デジモンに興味を持ったようで、もっと話を聞きたいらしい。

まあ、そのこと自体に否は無いけど。

で、序に恭也もついてくるらしいけど、その理由は、すずかの姉が恭也の恋人らしい。

恋人の家に同年代の女連れて行って大丈夫なのかしら?

11人の恋人を持つ男を恋人にしてる私が言えたセリフじゃないけど。

で、バスに乗って移動する事暫く。

街から少し離れた森の中にある洋館の前にやってきていた。

まあ、一言で言えば、デカい屋敷ね。

現代日本でこんなお屋敷にお目にかかるとは思わなかったわ。

異世界でならお城とか何度か見てるけど。

なのはがインターフォンを押すと、少しして玄関の扉が開き、メイドさんが現れた。

薄紫の髪をした美人さんね。

 

「恭也様、なのはお嬢様、いらっしゃいませ」

 

堂に入った態度で応対するメイドさん。

 

「ああ、お招きに預かったよ」

 

「こんにちは~」

 

恭也となのはは笑顔で挨拶する。

それから私に視線を向けると、

 

「それから、園部 優花様とハックモン様ですね? お話は伺っております」

 

私とハックモンにもそう挨拶する。

 

「ええ………お邪魔するわね………」

 

「世話になる」

 

そのメイドさんは、初めて見るハックモンにも動じた様子を見せず、誠意をもって対応している。

それにしても、何かこのメイドさんも違和感あるわね…………

 

「どうぞ。こちらです」

 

そう思ったけど、奥に案内されたのでなのは達と一緒について行く。

案内された部屋では、丸いテーブルの周りの椅子に腰かけたアリサとすずか。

そして、すずかによく似た紫の髪を持つ、私と同年代と思われる女性がいた。

この人がすずかの姉かしらね?

それに周りにはたくさんの猫たちがいる。

それにしても、アリサとすずか。

優雅にお茶を飲む姿が堂に入ってるわ。

ほんとにあんた達は小学生かと言いたくなる。

そんな事を思っていると、

 

「なのはちゃん、恭也さん、優花さん!」

 

私達に気付いたすずかが声をかけてくる。

 

「すずかちゃん」

 

なのはがそれに応える。

 

「なのはちゃん、いらっしゃい」

 

そう言ってきたのは、さっきのメイドに似た薄紫のロングヘアーのメイドさん。

こっちの方が幼い雰囲気がある。

さっきのメイドさんとは姉妹かしらね?

後で聞いた話では、最初のメイドさんがノエル、こっちのメイドがファリンという名で、やっぱり姉妹だった。

 

「恭也、いらっしゃい」

 

そう言いながら、すずかの姉が微笑みながら恭也に近付いていく。

 

「………ああ」

 

恭也はそれだけ言うと、すずかの姉と見つめ合う。

 

「お茶をご用意いたしましょう。何が宜しいですか?」

 

ノエルがそう聞くと、

 

「任せるよ」

 

恭也がそう答える。

 

「なのはお嬢様、優花様達は?」

 

「私もお任せします!」

 

「同じく」

 

なのはと私もそう答える。

 

「かしこまりました。ファリン!」

 

「了解です! お姉様」

 

ノエルがファリンに声を掛ける。

すると、すずかの姉が恭也の手を取り、

 

「それじゃあ、私と恭也は部屋に居るから」

 

「はい、そちらにお持ちします」

 

ノエルが笑みを浮かべて頷く。

2人は一礼すると部屋を出た。

すると、すずかの姉の視線が私に向く。

 

「あなたが園部 優花さんね。初めまして。すずかの姉の月村 忍です」

 

「園部 優花よ」

 

私がそう名乗ると、まるで見せつけるように恭也の腕に抱き着く。

 

「お、おい………」

 

恭也は少し恥ずかしそうに慌てた。

 

「見ての通り、恭也は私のだから、手は出さないでね?」

 

「おい忍? いきなり何を言ってるんだ?」

 

恭也は何故彼女がこんな行動をしたのか理解できないらしい。

私は溜息を吐く。

 

「そりゃ彼氏の近くに知らない女が居れば、彼女として警戒するのは当然でしょうが………!」

 

私は呆れながらそう言う。

 

「そ、そういうものか………?」

 

「そういうものよ」

 

私は恭也に言い聞かせるようにそう言った。

それから忍の方を向き、

 

「私は別に恭也に興味は無いから心配しなくても良いわよ」

 

私がそう言うと、忍がムッとして、

 

「それは、恭也に魅力が無いって言いたいのかしら?」

 

「めんどくさっ!」

 

私は思わず口に出してしまう。

私は溜息を吐き、

 

「そうじゃなくて、私も既に恋人居るから。他の男なんて目に入らないぐらいぞっこんだから」

 

「あらま、自分で言っちゃうのね?」

 

「自覚してるしね」

 

大士の『女性から好かれない』因果がまだ強かったころに好きになった位だから、私の大士への想いは生半可なものじゃないだろう。

忍はクスクスと笑いつつ、恭也と一緒に部屋を出て行った。

私はなのは達のテーブルに着き、ハックモンも隣に陣取る。

すると、周りに居た猫たちが一斉に距離を取った。

 

「あれ? 皆どうしたんだろ?」

 

すずかが疑問の声を漏らす。

 

「ああ、それは私の所為だわ」

 

私はそう答える。

 

「私って、動物達から嫌われる………と言うより、警戒させちゃう体質みたいでね。私が近付くと逃げていっちゃうのよ」

 

これはトータスから戻ってきてからこうなった。

多分、動物たちが野性の勘で私の危険性を感じ取っているのかもしれない。

 

「そんな人本当に居るのね………」

 

アリサが軽く驚く。

 

「でも、ユーノは平気よね?」

 

アリサがなのはのカバンから出てきたユーノに目を向ける。

 

「そうなのよね。私から逃げない地球の動物は初めてよ」

 

私はユーノに視線を向ける。

まあ、ハッキリとした意思を持ってるようだし、『地球の動物』じゃないんだろうけど。

そのユーノは少し離れた所から猫に狙われていたりする。

 

「そういえば、今日は誘ってくれてありがとね」

 

なのはがアリサとすずかにそう言う。

 

「ううん。こっちこそ、来てくれてありがとう」

 

すずかがそう返し、

 

「………今日は元気そうね」

 

アリサがなのはの顔を見ながらそう言った。

 

「え……?」

 

「なのはちゃん………最近少し元気無かったから……………もし何か心配事があるなら、話してくれないかなって………2人で話してたんだけど………」

 

「すずかちゃん………アリサちゃん………」

 

すずかの言葉になのはは目を潤ませる。

 

「いい友達じゃない」

 

私はそう言う。

すると、

 

「キューーーーーーーーーッ!?!?」

 

突然慌ただしい鳴き声が聞こえた。

見れば、ユーノが子猫に追いかけ回されている。

その時、

 

「はーい! お待たせしましたー! イチゴミルクティーと、クリームチーズクッキーでーす!」

 

丁度ファリンが現れ、その足元にユーノが逃げ込み、子猫と一緒に周囲を駆けまわる。

 

「わっ………わわっ………!」

 

ファリンはユーノと子猫を避けようとして足を上げるが、その所為でバランスを崩す。

そしてまるでコントのように回転を始め、目を回す。

そして、お茶とお菓子が乗ったトレイを投げだしながら倒れ………

 

「ファリン! 危ない!」

 

「ああっ!」

 

すずかとなのはが飛び出す。

まあ、タイミング的にギリギリでしょうし、投げ出されたトレイやお皿で怪我をされたら事だし。

私は瞬時に移動し、片手でファリンの背を支え、反対の手で投げ出されたトレイを受け止め、更には宙を舞うお皿やティーポットなどを拾う。

そして、

 

「ふぇっ?」

 

ファリンが気付く。

 

「大丈夫だった?」

 

背中を支え、顔を覗き込みながらファリンに訊ねる。

 

「はわわ~! ごめんなさい~!」

 

ファリンは慌てて謝るのだった。

 

 

 

 

 

それから場所を移動し、庭でお茶会をする私達。

 

「しっかし、相変わらずすずかの家は猫天国よね~」

 

「えへへ」

 

「でも、子猫達可愛いよね~」

 

アリサ、すずか、なのはが語り合う。

 

「里親が決まってる子も居るから、お別れもしなきゃいけないんだけど………」

 

子猫同士で戯れる様子を見ながら、すずかは寂しそうにそう言う。

因みに、相変わらず私には子猫達は寄ってこない。

手を出そうとすると逃げちゃうし………

捕まえるのは簡単だけど、嫌がる子を無理矢理抱くことはしたくないし。

そんな事を思っていると、

 

――キィン

 

「ッ……………!」

 

以前と同じ魔力を感じた。

 

「ぁ…………………!」

 

なのはも反応している。

 

『なのは!』

 

『うん! すぐ近くだ!』

 

ユーノがなのはに念話で呼びかけ、なのはもそれに答える。

 

『なのは、どうする?』

 

『え、え~っと…………え~っと………!』

 

なのはは私達の様子を窺っている。

ここから離れる口実を探しているんだろう。

どうやらなのはは魔法を使える事を隠してるみたいだしね。

すると、

 

『………そうだ!』

 

ユーノが思いついたように念話で叫ぶと、突然なのはの膝から飛び降りて、森の方へ走って行ってしまう。

 

「ユーノ君……!? ッ!」

 

なのはは一瞬困惑した声を漏らすが、その直後に何かを察すると席から立ち上がる。

 

「ユーノ、どうかしたの?」

 

「うん、何か見つけたのかも。ちょ、ちょっと探して来るね!」

 

「一緒に行こうか?」

 

「大丈夫。すぐ戻ってくるから待っててね!」

 

なのははそう言ってユーノの後を追う。

ユーノが一匹で森に向かったのは、なのはに自分を追わせるためね。

まあ、同じような事を何度も繰り返してるみたいだし、別に私がついて行かなくても大丈夫でしょ。

私はそう思って紅茶に口を付ける。

だけど、

 

「……………ッ?」

 

なのはともユーノとも違う魔力が、高速でこの付近に向かって移動してくるのを感じ取った。

行先はなのはとユーノが向かった先。

このままだとなのは達と鉢合わせるわね。

 

「……………………」

 

少し考えた後、私は席を立つ。

 

「優花さん?」

 

「やっぱりなのはが心配だから、追いかけるわ。お世話になっている所の娘さんに何かあったら事だし」

 

私はそう言ってなのはが向かった方へ歩き出す。

 

「行くわよ、ハックモン」

 

「わかった」

 

ハックモンと一緒に、私はなのは達の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

【Side なのは】

 

 

 

 

 

 

私、高町 なのはは、ある日、不思議なフェレットのユーノ君と出会い、魔法少女になってしまいました。

ユーノ君が発掘したというジュエルシードと言うものが輸送中に事故に遭い、この海鳴市にばら撒かれてしまったというのです。

数は全部で21個。

今日までに集めたジュエルシードは6個です。

そして、7個目のジュエルシードが、ここ、すずかちゃんの家の庭にあったのです。

ジェルシードの発動を感知したユーノ君は結界を張って人目を避けます。

その時、森の奥から光が溢れました。

周りの木々よりも大きくなった光の球が消えると、そこに居たのは…………………

 

「にゃぁ~~~~~ご!」

 

「………………………………………………ぇ」

 

「ぅ………………………………………………」

 

………………………大きな子猫さんでした。

子猫なのに大きいとはこれ如何に?

私とユーノ君は思わず目を点にして絶句します。

今までのジュエルシードとは違い、子猫がただ巨大になっただけの様でした。

 

「あ、あ、あ…………あれは………………?」

 

「た、多分………あの猫の『大きくなりたい』って思いが、正しく叶えられたんじゃないかな……と…………」

 

「そ、そっか……………」

 

大きくなりたいって………そう言う意味じゃ無いと思うんだけど…………

 

「だけど、このままじゃ危険だから、元に戻さないと」

 

気を取り直したユーノ君がそう発言する。

 

「そ、そうだね。流石にあのサイズだと、すずかちゃん、困っちゃうだろうし」

 

大きな子猫さんは、辺りをキョロキョロと伺ってはいるけど、暴れる様子は無い。

 

「襲ってくる様子は無さそうだし、ささっと封印を………」

 

私は胸元から赤い宝石、レイジングハートを取り出す。

 

「じゃあ………レイジングハート………! ッ!?」

 

レイジングハートを起動させようとした瞬間、私の後方から金色の閃光が飛来して、大きな子猫さんに直撃。

大きな子猫さんは苦しそうな鳴き声を上げます。

私は咄嗟に振り返ると、木々の向こう側にある電柱の上に立つ、金髪の女の子の姿を目撃しました。

その女の子は、黒い斧のような杖を持ち、

 

「バルディッシュ、フォトンランサー電撃」

 

そう告げると、その杖から金色の閃光が幾つも離れ、大きな子猫さんに当たり、再び苦しそうな鳴き声を上げる。

 

「魔法の光………!? そんな………!?」

 

ユーノ君は驚愕の声を漏らします。

 

「ッ! レイジングハート! お願い!」

 

『Stand by, Ready. Set up.』

 

私はレイジングハートを起動し、バリアジャケットを纏います。

そして、

 

『Flier Fin』

 

飛行魔法で飛び立ち、大きな子猫さんの背中に立つと、

 

『Wide area protection.』

 

広範囲防御魔法で大きな子猫さんを攻撃から守ります。

 

「ッ………! 魔導師………?」

 

そう呟くと金髪の女の子は狙いを変え、大きな子猫さんの足元に魔力弾を撃ち込みます。

それによってバランスを崩した大きな子猫さんは転倒しました。

寸前で離脱した私は、地面に着地します。

すると、金髪の女の子が近くの木の上に降り立ち、此方を見下ろしてきました。

 

「同系の魔導師…………ロストロギアの探索者か」

 

金髪の女の子はそう呟く。

 

「間違いない、僕と同じ世界の住人…………それにこの子、ジュエルシードの正体を…………」

 

ユーノ君がそう言います。

すると、金髪の女の子は視線を私のレイジングハートに向ける。

 

「バルディッシュと同系の…………インテリジェントデバイス」

 

「バル…………ディッシュ…………?」

 

それがあの女の子が持ってる杖の名前?

 

 

「ロストロギア………ジュエルシード…………」

 

金髪の女の子がそう呟くと、

 

『Scythe form. Set up.』

 

バルディッシュと呼ばれた杖の先が変形、鎌のような魔力刃が発生する。

 

「申し訳ないけど…………頂いていきます」

 

その言葉と共に斬りかかってくる。

 

『Flier Fin.』

 

レイジングハートが発動した飛行魔法でその一撃を避ける。

すると、その金髪の女の子は鎌を大きく振りかぶり、

 

『Arc Saber.』

 

直後に振り抜くと、金色の魔力刃が回転しながら飛んできました。

 

『Protection.』

 

レイジングハートが発動した防御魔法のお陰で何とか防ぎましたが、爆発によって何も見えなくなった私は、咄嗟に上昇して煙の中から脱出します。

だけど、煙から出た先には金髪の女の子が先回りしており、金色の刃を振り下ろしてきます。

 

「あっ!? ッ………!」

 

私は咄嗟にレイジングハートでその一撃を受け止めます。

そこで初めて私はその金髪の女の子の顔を間近で見ました。

金髪のツインテールに赤い瞳。

その顔は綺麗だけど無表情。

だけど、その目には深い悲しみが浮かんでいる様な気がした。

 

「何で………急にこんな………!」

 

私は思わず問いかけます。

すると、

 

「……………答えても………多分、意味が無い…………」

 

その女の子は無表情のまま、淡々とそう言いました。

 

「ッ!」

 

私は力を込めてその杖を弾きます。

互いに距離が開き、私は大きな子猫さんの前に。

金髪の女の子は、木の枝の上に降り立ちます。

そして、

 

『Device form.』

 

金髪の女の子の杖が、さっき魔力弾を放っていた形態に戻ります。

 

『Shooting mode.』

 

私は、レイジングハートは射撃形態に変更しました。

その先を金髪の女の子に向け、

 

『Divine buster Stand by.』

 

いつでも砲撃が放てるように準備します。

 

『Photon lancer Get set.』

 

金髪の女の子も、杖の先を私に向けてきました。

私は集中してその女の子を見つめます。

きっと、私と同い年位。

綺麗な瞳と、綺麗な髪。

だけど、この子…………

その時だった。

 

「にゃぁ~ご………!」

 

先程倒れた大きな子猫さんが気が付き、私はそちらへ気を取られてしまいました。

そして、

 

「……………………………………ごめんね」

 

『Fire.』

 

金色の魔力弾が放たれました。

 

「ッ!?」

 

私が気付いた時には、魔力弾が既に目の前まで迫っており、私には如何する事もできませんでした。

出来る事は、ただ目を瞑る事だけ。

私はそのまま攻撃を………………

攻撃を………………………受けませんでした。

襲い来るはずだった衝撃は、何時まで経ってもやって来ません。

 

「…………………え?」

 

私は恐る恐る目を開けます。

すると、

 

「子供の遊びにしては、随分と危ない事やってるのね?」

 

そこには何かを払ったように右手を横に広げた、優花さんの姿がありました。

 

「ゆ、優花さん…………!?」

 

私は思わず声を漏らします。

 

「魔力弾を………素手で弾き飛ばした………!?」

 

ユーノ君が信じられない様な声を上げます。

 

「………新手の魔導師………?」

 

金髪の女の子は、警戒するように優花さんを見据えます。

すると、優花さんは私の方を向き、

 

「あの子、なのはの友達?」

 

優花さんは何でもないように私に聞いてきます。

 

「い、いえ、初対面です!」

 

私は思わずそう返してしまう。

 

「ッ!」

 

『Fire.』

 

その時、金髪の女の子は、背を向けた優花さんに魔力弾を放ちました。

 

「優花さ…………!?」

 

私が叫ぼうとした瞬間、

 

「ベビーフレイム!!」

 

飛んできた火球がその魔力弾を撃ち落としました。

その火球が飛んできた方を見れば、ハックモンが居ます。

 

「ッ!? 使い魔ッ………!」

 

金髪の女の子は驚いたようにそう漏らしました。

 

「いきなり攻撃するなんて、穏やかじゃないわね?」

 

それでも優花さんは冷静に問い掛けます。

 

「ッ…………!」

 

その女の子は、優花さんに最大限の警戒心を露にします。

 

『Scythe form.』

 

杖を先程の鎌の形状に変形させると、

 

「はぁああああああああああああっ!!」

 

優花さんに向かって猛スピードで迫りました。

振り下ろされた金色の刃が優花さんを切り裂く。

そう思った瞬間、優花さんの姿がその場から消えました。

 

「ッ!?」

 

金髪の女の子も目を見開きます。

そして、その優花さんは、

 

「中々速いけど、私もスピードには自信があるの」

 

いつの間にか、その女の子の背後に回り込んでいました。

 

「……………………………」

 

その女の子は鎌を振り切った状態のまま動かず。

 

『Blitz Action.』

 

次の瞬間、その女の子の姿もかき消えました。

そして優花さんの後ろに回り込んでおり、今度こそ振るった金色の刃が優花さんの姿を切り裂きました。

 

「優花さん!?」

 

私は思わず叫びます。

でも、金色の刃に切り裂かれた優花さんの姿が、まるで陽炎のように揺らめいて消えてしまいました。

 

「なっ!?」

 

女の子も驚愕の声を漏らし、

 

「残像よ」

 

その女の子の後頭部に、軽い手刀が落とされました。

 

「ッ…………………!」

 

その女の子は絶望的な表情を浮かべます。

 

「で? あなたの目的は一体何? 私としては、これ以上そこに居るなのはに手を出さなきゃあなたを如何こうする理由は無いわけだけど…………」

 

優花さんがそう言うと、

 

「……………私の目的は、ロストロギア、『ジュエルシード』の回収…………」

 

「……………何の事かよくわからないけど、もしかして、そこのでっかい子猫に取り着いてる『何か』の事?」

 

その言葉に、女の子は頷きます。

 

「…………その子猫は、なのはの友達の家の猫らしいし…………それを取り出すのに、子猫の命を奪ったりする?」

 

優花さんが再び問いかけると、女の子は首を横に振り、

 

「多少の負荷は掛かるけど、命に係わる事は無い…………」

 

それを聞くと、

 

「そう…………なら、好きにしなさい」

 

優花さんはそう言うと、女の子の背後から私の方に歩きだす。

 

「えっ………?」

 

その女の子は、呆気に取られたように声を漏らす。

 

「今の私の目的はなのはの安全。なのはに危害を加えないなら別にあなたが何をしようと関与しないわ」

 

そう言うと、本当にそのまま私の近くまで歩いてきた。

 

「……………………………」

 

女の子は優花さんを警戒しつつ、大きな子猫さんを見据える。

えっと、本当に優花さん好きにさせちゃうんですか!?

 

「ま、待って! ジュエルシードはユーノ君が集めてる危険な物で………!」

 

「やめときなさい。あなたじゃあの子に勝てないわ」

 

その子を止めようとした私を、優花さんが更に止める。

 

「で、でも………!」

 

「私は私の都合でなのはの安全を優先する。あんた達が集めてるものがどんなものかよく知らないし、危険な物だとしても、回収してくれるなら今の所どっちが回収しようと構わない」

 

「……………………」

 

そう言い切る優花さんに私は何も言えなくなってしまいました。

 

『Sealing form. Set up.』

 

女の子の持つ杖が更に変形し、槍のような形状になる。

その杖の先に電撃のような魔力が溜められていき、

 

「捕獲!」

 

その杖の先を地面に撃ち込む。

地面を伝って大きな子猫さんの元まで行くと、子猫さんが電撃を浴びせられたように痙攣しました。

 

「にゃぁあああああああああああああああっ!?!?」

 

悲痛な鳴き声が響きます。

すると、大きな子猫の身体から、ジュエルシードが浮かび上がりました。

 

『Order.』

 

「ロストロギア、ジュエルシード、シリアルⅩⅣ。封印………!」

 

『Yes sir.』

 

女の子が杖を上に掲げると、杖の先から稲妻のような魔力が天に向かって立ち上り、空の一部に暗雲が発生する。

そして、その暗雲からいくつもの金色の柱が降り注ぎ、大きな子猫さんのすぐ下の地面に魔法陣を描き出します。

 

『Sealing.』

 

直後、空から眩い光が放たれ、子猫さんごとジュエルシードを包み込む。

そして、その光が収まると、そこには封印されたジュエルシードと元の大きさに戻った子猫が倒れていた。

女の子が歩き出し、ジュエルシードの元まで行くと、杖を近付け、

 

『Captured.』

 

ジュエルシードがその杖の金色のコアに吸い込まれてしまいました。

その女の子は振り返ると、私を見た後、警戒の眼差しで優花さんを見ますが、その優花さんは腕を組んだまま興味無さげに佇むだけでした。

 

「…………………」

 

その女の子は何も言わず、少しするとそのまま立ち去りました。

優花さんも、それを黙って見届けます。

そして、

 

「あ、あのっ! 優花さん! 私聞きたいことが………!」

 

魔力弾を素手で弾いたり、目に映らない程の速さで移動したりと、普通の人間に出来る事じゃありません。

私は思わず優花さんに詰め寄ります。

優花さんは軽く息を吐き、

 

「その話は後にしましょう? これ以上遅くなれば、アリサやすずかが心配するわよ?」

 

その言葉に、私はハッとなります。

確かにこれ以上遅くなれば、2人が探しに来ても不思議じゃありません。

私は渋々頷きます。

 

「話は今夜にでも………ね」

 

その言葉に、私はもう一度頷きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

なのはがユーノと一緒に私の部屋を訪ねて来た。

 

「こんばんは、優花さん」

 

「ええ、こんばんは」

 

一応挨拶を返す。

すると、ユーノがなのはの腕から私の前の床に降り立ち、

 

「改めて初めまして。僕は、ユーノ・スクライアと言います」

 

実際の声でそう言った。

まあ、予想していたから驚くほどでもない。

 

「やっぱり喋れたのね。なのはと念話してる時点でそうじゃないかとは思ってたけど」

 

「聞こえてたの!?」

 

なのはが驚く。

 

「ええ、最初の自己紹介の時からハッキリとね」

 

「なら、やっぱりあなたは魔導師何ですか?」

 

ユーノがそう問いかけてくる。

 

「あなたの言う魔導師という定義が何なのかは知らないけど、魔力を使って魔法と呼ばれる力を使うことは出来るわ」

 

「やっぱり優花さんも魔法使いだったんですか!?」

 

「私は魔法使いと言うより投擲師なんだけど…………魔法はあくまで補助目的ね」

 

「あなたは、なのはのお母さんの知り合いの娘さんだと聞きました。なら、元々この世界の住人と言う事ですよね? この世界には、魔法文化は無い筈です。どうしてあなたは魔法を使えるんですか?」

 

そのユーノ問いかけに、

 

「簡単に言えば、2年位前に異世界に召喚されたのよ」

 

「えっ?」

 

「召喚!?」

 

「ええ、トータスって世界で、文明レベルとしては中世ヨーロッパ程度かしら?」

 

「トータス………? 聞いた事無い世界だ………」

 

ユーノは呟く。

 

「まあ、詳細は省くけど、そこで生きるか死ぬかの戦いを繰り返したものだから、生き残るために必然的に力を得る必要があったのよ」

 

「えぇ~………………」

 

なのはは呆気に取られている。

流石に異世界召喚は予想外過ぎたでしょうね。

 

「で? 逆に聞くけど、なのは達は一体何してるのよ?」

 

「それは…………」

 

ユーノが話し出す。

ユーノは別の世界から来たこと。

ユーノの一族は発掘を生業とする一族で、ある遺跡で見つけたものがジュエルシードと呼ばれるあの青い石。

非常に危険な物らしく、然るべき場所に輸送しようとしていたが、その途中に事故に遭いジュエルシードが流出、この世界のこの海鳴周辺に散らばってしまったそうだ。

ユーノは、ジュエルシードを発掘してしまった責任感から、ジュエルシードの回収を試みたが、ユーノの実力ではジュエルシードの思念体とやらにも勝てず、念話で広範囲にSOSを送ったそうだ。

そして、その念話を受け取ったのが、元々魔法の資質を持っていたなのは。

なのははユーノからレイジングハートと呼ばれる魔力発動体………所謂魔法の杖を受け取り、魔法使いとなった。

それからユーノのジュエルシード集めに協力しているらしい。

 

「ふーん…………」

 

何とも魔法少女っぽいお話ね。

 

「1つ聞くけど、なのはは何でユーノに協力してるの?」

 

私はそう聞く。

 

「えっ?」

 

「何で魔法の資質があったとはいえ、ただの小学三年生のなのはがそんな危ない事に協力してるの?」

 

もう一度そう聞いた。

 

「それは………ジュエルシードを放っておけば、皆が危ないし………私は、そんなの嫌だから。それに私には皆を助けられる力がある。それなら、私がやらないと!」

 

「……………………そう。自分自身で決めた事なら、私がとやかく言う事じゃないわ。だけど、戦いの先輩として、1つだけ忠告しておくわ」

 

「ふえっ………?」

 

「『力があるから戦う』……………そんな理由で戦うのは止めなさい。その考えは、いつか身を滅ぼすことになるわ」

 

「ど、如何いう…………?」

 

「つまり、自分の戦う理由をちゃんと持ちなさいって事。力があるから戦うって事は、その場の流れに流されただけの自分の意志が無い理由よ。そんな理由で戦い続けたら、いつか戦う責任に押し潰されるわよ」

 

「私の………戦う理由……………」

 

「小学三年生にはよくわからないかもしれないけど、それだけは忘れちゃダメよ」

 

私は最後にそれだけ言って、その場はお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






リリカルなのは編第2話です。
今回はフェイトとの邂逅。
原作通りになのはが負けると思いきや、優花の乱入です。
フェイトもスピード主体ですが、優花には止まって見えます。
トータスのステータスで言えば、フェイトの俊敏は2000~3000位なのに対し、優花は通常で2万超えてますので。
因みになのはの魔力は5000位でしょうかね?
それでは、次をお楽しみに。
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