ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第3話 ゆうか、淫獣フラグをブレイクする

 

 

 

金髪の魔法少女との邂逅から約1週間。

GWに入った世間に漏れず、高町家もアリサ、すずか、忍、ノエル、ファリンを交えて温泉旅行に来ている。

っていうか、その家族旅行に何で私とハックモンも連れて行くのかしらね?

桃子さんにその話をされた時、流石にお手伝いの身で旅行に連れて行ってもらうのは気が引けるので断ろうとしたんだけど、桃子さんの妙に強い押しに押され、最終的に既に私達の分の予約も追加してしまっているという言葉で押し切られた。

っていうか、出会って半月も経ってない相手を家族旅行に同伴させるなんて、何処までお人好しなんだろうか?

それはともかく、私達が泊まる旅館は海鳴市の少し山奥にある『山の宿』という名前だった。

まんまな名前ね。

私達は、早速温泉に入る準備をする。

すると、なのはがユーノを抱いている事に気付いた。

もしかして、

 

『………なのは、もしかしてユーノを温泉に連れて行く気?』

 

〝念話〟でなのはに問いかける。

トータスの〝念話〟の技能でも、なのは達が使う魔法体系の『念話』にも対応できることは分かっている。

 

『えっ? あ、はい。ユーノ君と一緒に入ろうと思って』

 

なのははそう答えた。

私はユーノに視線を向ける。

 

『……………ユーノ。1つ聞くけど、あなた雄よね?』

 

『そ、そうです! 僕は『男』です!』

 

ユーノは必死になりながらアピールする。

 

『そう…………』

 

私はそれを聞くと、なのはの腕に抱かれていたユーノの首根っこを掴んで持ち上げる。

 

「キュッ……!」

 

「あっ………!」

 

ユーノとなのはが声を漏らす。

 

「任せたわよ、ハックモン」

 

隣にいたハックモンの頭にユーノを乗せる。

 

「承った」

 

「優花さん………!?」

 

なのはは驚いたようだが、

 

『悪いけど、ハッキリと意志を持った『男』に裸を見られる趣味は無いの。私が裸を見せる男は1人だけよ』

 

「ううっ………」

 

なのはは残念そうにしている。

すると、

 

「ハックモンも一緒には入らないんですか?」

 

なのははそう問いかけてくる。

 

「親しき仲にも礼儀あり。本来デジモンに性別は無いが、私は人間で言う男性に近い性格をしている。優花が望まぬなら、礼節は弁える」

 

ハックモンは元々真面目な性格のデジモンだから、こういうことはしっかりとしている。

まあ、ハックモンなら裸を見られても問題は無いけど。

すると、ハックモンはユーノを連れて男湯へと向かった。

………今更だけど、この旅館はよくハックモンを受け入れてくれたわね。

あと、動物連れ込んでいいのも珍しい。

そう考えながら、更衣室で服を脱いでいると、

 

「わぁぁ……………」

 

「優花さん………綺麗…………」

 

「ん?」

 

アリサとすずかが私の方を見ながら、感嘆の息を零していた。

 

「どうかした?」

 

私が尋ねると、

 

「ど、どうしたらそこまで綺麗になれるんですか?」

 

アリサがそう問いかけてきた。

 

「へっ?」

 

私が意味を計りかねていると、

 

「そう言いたくなる気持ち、分かるわぁ………」

 

「そうね。同じ女から見ても、惚れ惚れする様なプロポーションだもの」

 

「いや、あなた達も負けず劣らずでしょうが。特に忍」

 

私のは、ある意味ドーピングみたいなものだし。

魔物肉という名の、ね。

温泉に入ると、すずかは忍の、なのはは美由希の背中を流すと言う。

すると、

 

「じゃあ、私は優花さんの背中を流そうかしら!」

 

アリサがそう言う。

折角の厚意を無下にするのも悪いし、

 

「それじゃ、お願いしようかしら」

 

誰かに背中を流して貰うって、新鮮な気分ね。

背中を洗い終えると、

 

「じゃあ今度は、私がアリサの背中を流してあげるわ」

 

お返しにアリサの背中を流す事にした。

 

 

 

なのは達が温泉から上がった少し後に、私も上がる。

浴衣に着替えて廊下を歩いていると、

 

『今のところは挨拶だけだけど………』

 

突然念話が聞こえた。

でも、なのはの声でもユーノの声でもない女性の声だ。

ふと見れば、オレンジ色の髪の女がなのは達に絡んでいた。

 

『忠告しとくよ。子供はいい子にして、お家で遊んでなさいね。おいたが過ぎるとガブッ!っといくわよ』

 

念話使ってるし、魔力も感じるから一般人じゃ無い事は明白。

でも、なのはもユーノも初めて見る相手にそんな事を言われて戸惑っている様だ。

まあ、多分この前の女の子の関係者なんでしょうけど。

私はそう推測する。

私はそのまま彼女達に歩み寄り、

 

「何子供に絡んでるのよ?」

 

少し睨みをきかせながら、その女に声を掛けた。

 

「あ、優花さん………」

 

なのはが振り返りながら私に気付く。

そして、その女の視線が私を捕え、

 

「チッ………何だ……………ッ!?!?」

 

突然驚いたように飛び退きながら獣のような警戒態勢を取った。

 

「な、何者だいアンタ!?」

 

叫びながら問いかけてくる。

 

「何者って………その子達の知り合いだけど?」

 

「ッ…………!」

 

その女は私を警戒しながら後退りすると、踵を返して立ち去った。

………………去り際に獣耳と尻尾が見えてたんだけど、あの女獣人かしら?

 

 

 

 

 

 

【Side アルフ】

 

 

 

 

 

 

アタシはあの女から一刻も早く離れたいと思いながら廊下を走っていた。

 

『フェイト………! フェイト!!』

 

奔りながらご主人様へ念話を送る。

 

『……………アルフ? 例の白い子を見に行くって言ってたけど、如何だった?』

 

フェイトから返事が返ってくるけど、そんな事は如何でもいい。

 

『そんな事より、ヤバい! ヤバいよ! その白い魔導師と居たもう1人の女! あいつには絶対に関わっちゃダメだ!!』

 

理屈とかそんなんじゃない。

アタシの野性の勘が、あの女は絶対的な脅威だと警報を鳴らしている。

 

『フェイト! ジュエルシードなんてほっといて逃げよう! 勝ち目なんか無いよ!』

 

アタシはそう訴える。

 

『………………ダメだよ。ジュエルシードは母さんが必要としている物………絶対に集めないと………』

 

だけど、フェイトから帰ってきた答えは否だった。

 

『でも………だけど、あんな奴が傍に居ちゃ…………』

 

『確かにあの人は強い………私よりもずっと……………だけど、あの人はジュエルシードには興味が無いようだった』

 

『えっ?』

 

フェイトの言葉に、私は聞き返す。

 

『ジュエルシードを積極的に集めているのは、あの白い魔導師の子。あの女の人は、あの白い魔導師が危なかったから立ちはだかったのであって、うまくやれば敵対しないで済むかもしれない。その証拠に、前は私が目の前でジュエルシードを封印しても、本当に手を出してこなかった』

 

『でも………危ない事には違いないよ………!』

 

『心配してくれてありがとう、アルフ。ごめんね、私の我儘で………』

 

『そんな! フェイトはアタシのご主人様で、フェイトがやるって言うならアタシも喜んで協力するよ!』

 

『ありがとうアルフ。それじゃあ、また夜に落ち合おう』

 

それだけ言って、フェイトは念話を閉じた。

 

「………………………フェイトは、アタシが必ず護る……!」

 

その為なら、あの女にだって立ち向かってやる!

私は絶対的な脅威から逃げようとする本能を捻じ伏せ、自分の意志で立ち向かう事を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

――キィン

 

ジュエルシードって奴の魔力反応を感じた。

私は気配遮断を使って布団から起き上がる。

なのはもそれに気付いたようで、子供達の部屋から着替えて出ていく気配を感じた。

既にジュエルシードの魔力反応の近くには、あの金髪の女の子の魔力反応もある。

なのはが辿り着いた時には、既にジュエルシードはあの子の手の内だろう。

 

「…………仕方ないわね」

 

私はそっと部屋を出る。

すると、ハックモンが付いてきた。

 

「ジュエルシードか?」

 

「そうね、なのはも向かったわ」

 

「わかった」

 

そのまま旅館を出て夜道を駆けると、ジュエルシードの方に走るなのはの姿が見えた。

 

「なのは!」

 

「ッ!? 優花さん!」

 

私はスピードを上げてなのはの横に並ぶ。

 

「来てくれたんですか?」

 

なのはは嬉しそうにそう言う。

 

「お世話になってるお宅の娘が、危ない事に首突っ込もうとしてるのよ? 流石に放っておけるわけ無いじゃない」

 

「あ、あはは………」

 

私の言葉になのはは苦笑する。

 

「けど、先に言っておくけど、私はなのはが危ないと思ったら手は貸すけど、それ以外は基本不干渉よ。襲ってきたら返り討ちにするけど、私から手を出す事は無いと思ってちょうだい」

 

「そんな………! 優花さんの力なら………!」

 

ユーノが口を出すけど、

 

「前にも言ったけど、私は『力があるから』なんて理由じゃ戦わない………! 私が力を振るう時は、『私の意志』で振るう。私が今ついて来てるのは、『お世話になっているお宅の娘さんが危険な事に首を突っ込んでいるから、お世話になっている恩返しとして助ける』程度の理由よ。それ以上の理由は無いわ」

 

私はそう説明する。

 

「だから、なのはがやろうとしている事には反対しないけど、必要以上の手も貸さない。基本的に荒事に首突っ込む気は無いのよ」

 

「優花さん…………」

 

なのはは、やや残念そうな表情を浮かべる。

でもその時、進行方向に光の柱が立ち昇った。

 

「やっぱり向こうが先だった様ね」

 

すると、なのはは首に掛かっていた赤い宝玉を取り出し、

 

「レイジングハート! お願い!」

 

『Stand by, Ready. Set up.』

 

なのはが桜色の魔力に包まれて、あの白い服装になる。

確かバリアジャケットって言ってたっけ?

ユーノから聞いていた話だと、魔力で作り出されたそれは、見た目に反して高い防御力を誇るという。

それでも見た感じ、南雲の作った戦闘服のアーティファクトの方が防御力は上だけど。

ジュエルシードがあったと思われる小川に架けられた橋には、予想通りあの金髪の女の子と、オレンジ色の髪の女が居た。

 

「ッ…………!」

 

その女は私に気付くと、目を細めて睨み付けてきた。

私に対して恐怖を感じてはいる様だけど、先程のように逃げ出そうとはしない。

 

「それを、ジュエルシードを如何する気だ!? それは、危険な物なんだ!」

 

ユーノが叫ぶ。

 

「………さあねぇ、答える理由が見当たらないよ。それにさぁ、アタシ親切に言ったよね? イイ子でないと、ガブッといくよってね!」

 

すると、その女の魔力が高まり、その姿を変えていく。

それは、オレンジ色の毛を持つ狼だった。

変成魔法?

私がそう思っていると、

 

「やっぱり………あいつ、あの子の使い魔だ!」

 

「使い魔………?」

 

ユーノの言葉になのはが呟く。

 

「そうさ、アタシはこの子に作って貰った魔法生命。製作者の魔力で生きる代わり、命と力の全てを懸けて守ってあげるんだ」

 

狼になった女がわざわざ説明してくれる。

要は、魔法使いのお供の動物って認識でいい訳ね。

 

「フェイト………あの女はアタシが必ず抑える………! だからフェイトはガキンチョの方を…………!」

 

なんか知らないけど、私はあの女に目の敵にされてるみたいなんだけど?

すると、オレンジ色の狼は高く跳躍して襲い掛かってきた。

 

「……………………」

 

私は軽く後ろへ飛び退く。

 

「優花さん!?」

 

「なのは! 優花さんなら心配いらない! なのははあの子に集中するんだ!」

 

ユーノはそう言ってなのはに金髪の子の方を警戒するように促す。

まあ、それで正解ね。

 

「はぁああああああああああっ!!」

 

狼は牙を剥きながら襲い掛かって来る。

けど、その動きは私には止まって見える。

落ち着いて攻撃を避けながら距離を取り、

 

「ねえ、別に私はジュエルシードなんかに興味無いし、なのはの命を奪う、もしくはそれに準ずる行為をしなければ、手を出す気は無いんだけど?」

 

「信じられるもんかい! アタシの本能がアンタは危険だって言ってるんだよ!」

 

動物に近いせいか、この狼も私を本能的に避けようとしてるみたいね。

それなら………………

 

「…………………………ッ!」

 

私は〝威圧〟を発動させる。

唯でさえ警戒してる所に、強烈な威圧を叩き込めば………

 

「ヒッ…………!?!?」

 

その狼は悲鳴を上げて、足をガクガクと震わせる。

もう戦えないだろうと判断した私は、

 

「力の差は分かったでしょう? 大人しくしてなさい」

 

そう忠告した。

そして踵を返し、

 

「ッ……………ま、待ちな!!」

 

狼に呼び止められた。

 

「フェイトの所には…………行かせない…………!」

 

恐怖に怯えながらも、自分の『大切』の為に立ち上がる姿がそこにあった。

 

「へぇ…………あの子はあなたにとって、余程『大切』なのね…………」

 

「当然さ………! アタシはあの子の………フェイトの為なら命だって懸けられる………!」

 

その姿に何処となく共感を感じた私は、

 

「いいわ。相手をしてあげる。かかってらっしゃい………!」

 

右手を前に出して掌を上に向け、指を折り曲げてかかって来いと言う意思表示をする。

 

「言われなくても!!」

 

再び飛び掛かって来る狼。

私に牙を突き立てんと顎を大きく広げる。

避けるのは簡単だけど、私はその場を動かず、左腕で防御態勢を取る。

その狼が左腕に喰らい付いた。

 

「くっ………!」

 

でも、その狼は悔しそうに声を漏らす。

狼の牙は、私の皮膚を突き破る事無く止められており、血は一滴も出ていない。

私はそのまま腕を振る。

 

「くそっ……!」

 

狼はその勢いに逆らわずに腕から口を放し、距離を取りつつ着地した。

 

「アタシの牙でも歯が立たないなんて、一体如何いう皮膚をしてるんだい!?」

 

狼が愚痴を零しながら魔力を高め、

 

「これならどうだい!?」

 

複数の魔力弾を放ってきた。

数は4発。

私は右手を上げ、

 

「ハッ!」

 

一瞬で4発を全て弾き飛ばした。

当然その手も無傷。

 

「ッ……………片手で全部弾き飛ばすなんて……………化け物め…………!」

 

私を睨み付けながらそう言う。

 

「まあ、否定はしないわ」

 

私の能力は化け物レベルだろうし。

その時、上空で金色の光と桜色の光が激突した。

あの子となのはの魔力砲撃がぶつかり合ったみたいね。

それは一瞬拮抗してたけど、その直後に桜色の光が金色の光を打ち破った。

 

「なのは、魔力だけはあるみたいね…………」

 

その結果を見てそう判断する。

 

「でも…………詰が甘いわね」

 

その直後、上空から急襲してきた金髪の子に金色の魔力刃を突き付けられ、勝敗は決した。

なのはは魔法使いとしての資質は高いけど、戦いの経験が圧倒的に足らないわ。

まあ、ついこの間まで普通の小学三年生だったから仕方ないんでしょうけど。

なのはのレイジングハートがジュエルシードを1つ吐き出し、それを金髪の女の子………この狼はフェイトって言ってたっけ?

そのフェイトが手に取る。

 

「さて、あなたのご主人様はお帰りの様よ? あなたも行ったら?」

 

「ここまでやって見逃すっていうのかい!?」

 

「最初に言ったでしょ? 私はジュエルシードには興味は無いって。なのはを必要以上に傷付けないなら、争う理由は無いわ」

 

「ッ………………この借りは必ず返すよ!」

 

オレンジ色の狼はそう言い残して立ち去った。

 

「…………………さて」

 

私は、負けて落ち込むなのはに如何声を掛けようかと悩むのだった。

 

 

 

 

 






リリカルなのは編第3話です。
今回は介入できるところが少なかったのであんまり変わりません。
アルフが優花に喧嘩売った事ぐらいですかね?
とりあえずユーノは淫獣化阻止。
ハックモンは空気。
ごめんね。
君の出番はまだ先だ。
と言う訳で次も頑張ります。



P.S 今日の返信はお休みします。


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