ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第6話 ゆうか、再び見せ場をブレイクする

 

 

 

ジュエルシードの暴走を片付けて翠屋に戻って来た私は、ほぼ勝手に抜け出してしまった事を桃子さんに謝りつつ、本日の仕事を終わらせた。

そしてその日の夕方、何とリンディさんがなのはを連れて高町家を訪問してきた。

一応、報告を兼ねた一時帰宅と言う名目らしい。

そして、リンディさんはこの10日間の出来事を話していた。

まあ、本当の事は話せないから内容は出鱈目だったけど。

 

「……………と、そーんな感じの10日程だったんですよ!」

 

「まあ!」

 

その話を聞いて、なのはは若干の苦笑いを浮かべている。

 

『リンディさん………見事な誤魔化しと言うか………真っ赤な嘘と言うか………』

 

『す、凄いね………』

 

ユーノも念話でなのはに同意している。

 

『まあ、ああもポンポン口から出任せが出てくるのは凄いと思うわ』

 

私もその会話に参加する。

 

『本当の事を言う訳にはいかないんですから。ご家族に御心配をおかけしない為の気遣いと仰ってください』

 

桃子さんと笑顔で語り合いながら、私達の会話に念話で口を挟んでくるリンディさん。

並列思考って奴かしら?

南雲も結構得意だったわね。

そのままリンディさんと桃子さんは世間話を続けた。

っていうか、今更だけど、リンディさんとクロノって母子だったのね。

 

 

 

 

 

翌日、なのはは久々に学校に登校し、特に何も起こらない一日が過ぎた。

と思いきや、なのはの話ではアリサが昨夜大型犬を拾ったらしく、それが何とフェイトの使い魔のアルフだったというのだ。

そして、アルフの証言からフェイトは母親のプレシア・テスタロッサからジュエルシードを集めるように命令されていた上、度重なる虐待も受けていたらしい。

管理局は目的をプレシアの捕縛に切り替え、なのはがアルフ経由でフェイトに連絡を取って貰い、明日の朝一番に全てのジュエルシードを賭けた決戦を行うという事らしい。

まあ心配だから私も付いていきましょうかね?

 

 

 

 

そして翌日の早朝。

海鳴臨海公園。

そこで、なのはとフェイトが対峙していた。

その場にいるのは、上の2人と私、ハックモン、アルフ、ユーノ。

アルフがフェイトに呼びかける。

 

「フェイト………もうやめよう。あんな女のいう事なんか、もう聞いちゃダメだよ。フェイト、このままじゃ不幸になるばっかりじゃないか。だからフェイト!」

 

アルフの言葉に、一瞬哀しそうな目をしたフェイトは、首を横に振る。

 

「………それでも私はあの人の娘だから………」

 

フェイトがそう呟くと、なのははレイジングハートを起動させ、バリアジャケットを纏う。

 

「ただ捨てればいいって訳じゃないよね………逃げればいいって訳じゃ、もっと無い。きっかけは、きっとジュエルシード。だから賭けよう………お互いが持ってる、全部のジュエルシード!」

 

『Put out』

 

レイジングハートが12個のジュエルシードを排出する。

 

『Put out』

 

バルディッシュも同じく9個のジュエルシードを排出する。

 

「それからだよ………全部それから…………」

 

なのははレイジングハートを構え、フェイトも同じくバルディッシュを構える。

 

「私達の全ては、まだ始まってもいない。だから………本当の自分を始めるために!」

 

なのははフェイトを見つめる。

 

「だから始めよう…………最初で最後の本気の勝負!」

 

2人の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

空中で、デバイス同士をぶつけ合う。

互いに弾きあい、距離を取る。

 

『Photon Lancer.』

 

バルデッシュが変形、フェイトの周りに複数の雷球が生み出される。

 

『Divine Shooter.』

 

なのはも、複数の桜色の魔力弾を生み出す。

一瞬にらみ合い、

 

「ファイア!」

 

「シュート!」

 

お互いが同時に魔力弾を放つ。

その攻撃は交差し、それぞれの標的に向かって飛ぶ。

なのはは、高速移動でフォトンランサーを避ける。

フェイトは避けようとしたが、ディバインシューターは誘導性を持っていたので、仕方なく障壁を張って、魔力弾を防ぐ。

 

「はっ!?」

 

フェイトがなのはの姿を確認したとき、なのはは既に次のディバインシューターを放とうとしていた。

 

「シュート!」

 

5発の魔力弾がフェイトに向かって放たれる。

 

『Scythe Form』

 

フェイトは魔力刃を発生させ、魔力弾を切り裂く。

4発を切り裂き、1発をかわして、その勢いでなのはに斬りかかった。

 

「あっ!くっ!」

 

なのはは、手を前に出し、

 

『Round Shield.』

 

魔力障壁を発生させた。

その障壁は、フェイトの斬撃を受け止める。

その隙になのはは、先程フェイトに避けられた1発の魔力弾をコントロール。

再びフェイトに向かわせた。

その事に気づいたフェイトは、すぐさま魔力障壁を発生させ、その攻撃を防いだ。

そして、直ぐになのはに視線を向けようとするが、なのはの姿は何処にも無い。

フェイトは辺りを見回す。

 

『Flash Move.』

 

「てぇええええええいっ!!」

 

なのはは、フェイトの真上から高速で突撃してきた。

打ち付けられようとするデバイスを、フェイトはバルディッシュで受け止める。

凄まじい衝撃が周りを襲う。

 

『Scythe Slash』

 

フェイトはなのはの隙を突き斬りかかる。

なのはは間一髪それを避けるが、

 

「はっ!」

 

避けた先には、フォトンランサーが待機状態で設置されていた。

 

『Fire』

 

バルディッシュの合図と共に、それらがなのはに襲い掛かる。

なのはは咄嗟に障壁を張り、その攻撃を何とか逸らした。

 

「はぁ………はぁ………はぁ………」

 

「はぁ………はぁ………はぁ………」

 

2人は息をつく。

なのはを見て、フェイトは思う。

 

(初めて会ったときは、魔力が強いだけの素人だったのに………もう違う。速くて………強い………! 迷ってたら………やられる!)

 

フェイトの目つきが変わる。

フェイトは巨大な魔法陣を展開した。

 

『Phalanx Shift.』

 

フェイトの周りに、無数のフォトンスフィアが生み出される。

 

「はっ!? くっ………」

 

なのはがデバイスを構えようとしたが、なのはの両手が金色のバインドに拘束される。

 

『ライトニングバインド! まずい! フェイトは本気だ!』

 

アルフが念話で叫ぶ。

 

『なのは! 今サポートを!』

 

ユーノは咄嗟になのはを援護しようとした。

しかし、

 

『だめぇー!!』

 

それを否定したのはなのは自身だった。

 

『アルフさんもユーノ君も、手ぇ出さないで! 全力全開の一騎討だから………! 私とフェイトちゃんの勝負だから!』

 

『でも、フェイトの『それ』はホントに拙いんだよ!』

 

アルフは尚も呼びかけるが、

 

『平気!!』

 

なのはは迷いなくそう言い切った。

 

『そう言う事だから、優花さんも止めないでね!』

 

なのはは優花に呼びかけると、

 

『……………好きにしなさい。最悪な状況になったとしても助けてあげるから、安心しなさい』

 

優花はそう返す。

優花の言葉を聞いて、なのははフェイトに向き直った。

 

「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」

 

フォトンスフィアが輝きを増す。

 

「フォトンランサー・ファランクスシフト。撃ち砕け、ファイア!!」

 

フォトンスフィア一基ごとから、無数のフォトンランサーが放たれる。

身動きの取れないなのはは、すべて直撃する。

爆煙に包まれるなのは。

 

「なのは!」

 

「フェイト!」

 

ユーノとアルフが叫ぶ。

消耗したフェイトは、縮んでしまったフォトンスフィアを左手に集める。

そして、煙が晴れていくと、ラウンドシールドを張り、何とか攻撃を耐え切ったなのはの姿があった。

 

「撃ち終わると、バインドってのも解けちゃうんだね。今度はこっちの………」

 

レイジングハートのシューティングモードを構える。

 

『Divine………』

 

「番だよ!!」

 

『Buster.』

 

レイジングハートから放たれる、桜色の魔力波。

 

「はぁああああっ!」

 

フェイトは左手に集めた魔力弾を投げつける。

だが、

 

「あっ!?」

 

桜色の魔力波は、あっさりとその魔力弾を飲み込み、フェイトに襲い掛かる。

フェイトは咄嗟に障壁を張ってディバインバスターを受け止める。。

 

(直撃!? でも、耐え切る………! あの子だって耐えたんだから!)

 

フェイトは障壁に魔力を籠める。

手袋が破れ、マントがボロボロになる。

 

「くっ………う………あ………」

 

そして、収束する魔力光。

 

「………はぁ………はぁ………」

 

バリアジャケットがボロボロになりながらも、耐え切ったフェイトの姿があった。

しかし、桜色の光に気付く。

 

「受けてみて!ディバインバスターのバリエーション!」

 

なのはが魔法陣を展開する。

 

『Starlight Breaker.』

 

空気中の魔力が集束されていく。

 

「く………」

 

フェイトが動き出そうとした時、手足を固定された。

 

「くっ!?バインド!?」

 

フェイトはもがくが抜け出せない。

 

「なのは………意外と容赦無いのね………」

 

優花は若干意外そうに呟いた。

 

「これが私の全力全開! スターライト…………ブレイカー!!!」

 

放たれる特大の魔力砲撃。

フェイトは、なすすべなくその魔力光に呑まれた。

 

「へぇ………ユエの雷龍に近い威力は出ているかしらね…………」

 

優花はその威力を見て、若干感心したような声を漏らす。

光が収束すると、なのはは荒い息をつく。

流石になのはもかなり消耗しているようであった。

フェイトは、気を失い海へ落下していく。

 

「フェイトちゃん!」

 

なのはは叫んだが、

 

「ほっ………と!」

 

その前に優花がフェイトの落下地点に〝空力〟の足場で立っており、フェイトを受け止めた。

 

「えっ……? あいついつの間に?」

 

つい先ほどまですぐ横に居た優花が、フェイトの落下地点に先回りしていた事に、アルフは驚きの声を漏らす。

 

「勝負あり………ね」

 

優花はそう判断を下す。

その時、フェイトが目を覚ます。

 

「う………うん……………」

 

「気が付いた?」

 

「あなたは………」

 

抱き留められていた優花に声を漏らすフェイト。

なのはがフェイトに近付く。

 

「ごめんね、大丈夫?」

 

なのはの言葉にフェイトは頷く。

 

「私の………勝ちだよね?」

 

「そう………みたいだね…………」

 

フェイトは潔く負けを認めた。

 

『Put out』

 

バルディッシュが、ジュエルシードを排出する。

 

『よし、なのは。ジュエルシードを確保して。それから彼女を………』

 

クロノが通信でなのはに呼びかけた時、優花は上を向いた。

 

「…………来るわ!」

 

空に暗雲が立ち込め、稲妻が走る。

 

「なのは、フェイトを頼むわ!」

 

優花はフェイトを放る様になのはに渡す。

 

「優花さん!?」

 

いきなりフェイトを投げ渡されたなのはは驚く。

すると、優花は〝空力〟の足場を蹴って上空に飛び上がると、

 

「……ったく、攻撃を受けるのは得意じゃないって言うのに………」

 

優花はそう愚痴りつつ、

 

「〝金剛〟! 〝限界突破〟!」

 

2つの技能で防御力を出来る限り高める。

次の瞬間、紫の雷が降り注いだ。

 

「くっ………!」

 

優花はその雷をその身で受け止める。

 

「優花さん!?」

 

なのはが悲痛な声を上げた。

その隙にジュエルシードが空へと消えていく。

しかし、それが管理局の狙いだった。

 

「ビンゴ! 尻尾掴んだ!」

 

アースラでは、エイミィが状況をモニターしており、攻撃と物質転送により逆探知に成功していた。

 

「よし。不用意な物質転送が命取りだ。座標………」

 

「もう割り出して、送ってるよ」

 

仕事が早いエイミィである。

座標が確認されたアースラでは、リンディが命令を下した。

 

「武装局員!転送ポートから出撃!任務は、プレシア・テスタロッサの身柄確保です!」

 

「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

 

武装局員たちは転送されていった。

 

 

 

 

雷が止むと、

 

「ゆ、優花さん!」

 

なのはが心配そうに優花に呼びかける。

すると、

 

「…………ったく、服がボロボロになっちゃったじゃない」

 

何でもない様な口振りで、優花が言った。

 

「………え? 優花さん?」

 

なのはがきょとんとして問い掛けると、

 

「如何したの? ちゃんと防御したし、あの程度で如何にかなるほど柔じゃないわよ」

 

優花の服は雷により焼け焦げたりしてボロボロだったが、優花自身にはこれと言ったダメージが見当たらない。

 

「あ、あはは…………」

 

なのはは思わず唖然としてしまった。

すると、

 

『なのは、君達はアースラに来てくれ。それから、フェイト・テスタロッサについては、身柄を拘束させてもらう。それから優花さん。出来ればあなたにも来ていただければ………』

 

その言葉に優花は軽く溜息を吐き、

 

「分かったわよ………自分で首を突っ込んだんだから、ある程度は付き合うわ」

 

やれやれと言いたげに了承した。

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

私達がアースラ内に転送されると、フェイトは武装解除され拘束される。

アルフの方は、協力的だったためか拘束されることはなかった。

拘束されたフェイトを連れて私達がブリッジに入ると、

 

「お疲れ様………」

 

そうリンディさんが出迎えた。

モニターには、プレシアの根城に突入したであろう武装局員が映っている。

リンディさんはフェイトに視線を移し、

 

「それからフェイトさん。初めまして」

 

フェイトは何も答えず、待機状態になったバルディッシュを握り締める。

すると、念話でリンディさんが言った。

 

『母親が逮捕されるシーンを見せるのは忍びないわ。皆、フェイトさんを別の部屋へ』

 

『は、はい………』

 

リンディさんの言葉に、なのはが答える。

 

「フェイトちゃん。よかったら私の部屋………」

 

と、なのはが言いかけたその時、

 

「総員、玉座の間に侵入。目標を発見」

 

オペレーターから報告が来る。

モニターには、その様子が映し出されていた。

 

『プレシア・テスタロッサ!時空管理法違反、及び管理局艦船への攻撃容疑で、あなたを逮捕します!』

 

『武装を解除して、こちらへ』

 

そう局員が、玉座に座るプレシアだろう女性を取り囲みながら言った。

 

『フッ…………』

 

しかし、プレシアは余裕の態度を崩さず、それどころか不適な笑みを漏らす。

 

「……………………」

 

映像越しだけど、それだけで私はプレシアが只者では無い様な気がした。

っていうか、さっきの攻撃がプレシアの物だとしたら、あそこに映ってる武装局員程度の実力じゃ……………

私がそう思っていると、数人の局員が危険物が無いかを調べるために、玉座の後方に向かう。

すると、プレシアの目つきが変わった。

局員は扉を発見し、その扉を開ける。

そこには、

 

「えっ!?」

 

その様子を見ていたなのはが思わず声を漏らした。

その扉の先には、一つのシリンダー。

その中には、液体の中に漂うフェイトと瓜二つの少女がいた。

 

「あ………あ…………」

 

フェイトはその光景を見て驚愕する。

次の瞬間、プレシアが魔法で武装局員を吹き飛ばす。

 

『私のアリシアに………近寄らないで!』

 

プレシアが、シリンダーの前に立ちはだかる。

 

『う、撃て!』

 

局員たちは魔法を放つが、プレシアは微動だにしない。

やっぱりあの程度の実力じゃ無理ね。

 

『うるさい………』

 

プレシアが前に手をかざすと、魔力が集中する。

 

「危ない! 防いで!」

 

気付いたリンディがそう叫ぶ。

しかし、紫色の雷が部屋全体に降り注ぐ。

 

『『『『『『『『『『うわぁああああああああ!!』』』』』』』』』』

 

局員たちの悲鳴が響く。

雷が収まったときには、局員は全員床に倒れていた。

っていうか、仮にも大魔導師って言われてたらしいんだから、それ相応の実力者を送りなさいよね。

何で一撃で皆やられてんの!?

 

『フッフフフ…………アッハハハ…………』

 

プレシアは怪しく笑う。

 

「いけない!局員たちの送還を!」

 

リンディがエイミィにそう命令する。

 

「りょ、了解です!」

 

エイミィは慌てて転送準備を開始する。

 

「アリ………シア…………?」

 

その様子をモニターで見ていたフェイトは呆然と呟いた。

 

「座標固定! 0120 503!」

 

「固定! 転送オペレーションスタンバイ!」

 

局員たちが転送される中、そんなことには微塵も興味を向けずに、プレシアは少女の入ったシリンダーに手を触れる。

 

『もうダメね………時間が無いわ………たった9個のロストロギアでは、アルハザードに辿り着けるかわからないけど………』

 

すると、プレシアはモニター越しにこちらを睨んだ。

 

『だけど、もういいわ…………終わりにする。この子を亡くしてからの暗鬱な時間も………この子の身代わりの人形を、娘扱いするのも』

 

「ッ!?」

 

その言葉を聞いたフェイトが目を見開く。

『人形』ね………

 

『聞いていてフェイト? あなたの事よ。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ。役立たずでちっとも使えない。私のお人形』

 

それを聞いたエイミィは、俯いて話し出した。

 

「最初の事故の時にね、プレシアは実の娘、アリシア・テスタロッサを亡くしているの。彼女が最後に行なっていた研究は、使い魔とは異なる、使い魔を超える人造生命の生成。そして、死者蘇生の秘術。『フェイト』って名前は、当時彼女の研究に付けられた開発のコードネームなの」

 

『よく調べたわね。そうよ、その通り。だけどダメね。ちっとも上手くいかなかった。作り物の命は所詮作り物…………失ったものの代わりにはならないわ。アリシアはもっと優しく笑ってくれたわ。アリシアは時々我侭も言ったけど、私のいう事をとてもよく聞いてくれた』

 

エイミィの言葉を肯定するようにプレシアが言葉を続ける。

 

「やめて………」

 

耐えきれなかったのか、なのはが哀しそうに呟く。

 

『アリシアは………いつでも私に優しかった………フェイト、やっぱりあなたはアリシアの偽者よ。せっかくあげたアリシアの記憶も、あなたじゃダメだった』

 

「やめて………やめてよ!」

 

なのはは更に叫ぶけど、プレシアの言葉は止まらない。

 

『アリシアを蘇らせるまでの間の、私が慰みに使うだけのお人形…………だからあなたはもう要らないわ。何処へなりと消えなさい!』

 

残酷な言葉を突きつけられるフェイトの目には涙が滲んでいた。

 

「お願い! もうやめて!!」

 

なのはが悲鳴を上げるように叫ぶ。

 

『フッハハハハ………! ハッハハハハハ!』

 

プレシアは笑う。

 

『いいことを教えてあげるわフェイト。あなたを作り出してからずーっとね、私はあなたが…………大嫌いだったのよ!』

 

そしてプレシアは、止めの一言をフェイトに突きつけた。

 

「あっ…………」

 

フェイトの手からバルディッシュが落ち、床に当たって罅割れる。

フェイトの瞳からは光が失われ、その場で崩れ落ちる。

 

「フェイトちゃん!」

 

「フェイト……」

 

なのはとユーノが声をかけるが、フェイトは反応しなかった。

 

『アッハハハハ!』

 

プレシアの笑い声が響く。

 

「局員の回収、終了しました」

 

オペレーターから報告が来る。

その時、

 

「大変大変! ちょっと見てください!」

 

エイミィが慌てた様子で叫んだ。

 

「屋敷内に魔力反応多数!」

 

「何だ!? 何が起こってる!?」

 

クロノが叫ぶ。

モニターには、屋敷のあらゆる所から騎士のような人型が出現していた。

 

「…………ゴーレム?」

 

見た所、ライセン大迷宮で見たゴーレムに近い雰囲気を感じる。

 

「庭園敷地内に魔力反応! いずれもAクラス!」

 

「総数60……80………まだ増えています!」

 

オペレーターが次々と慌てた様子で報告してくる。

 

「プレシア・テスタロッサ……! 一体何をするつもり!?」

 

リンディが問いかける。

すると、プレシアは魔法でアリシアの入ったシリンダーを浮かせると歩き出し、

 

『私達の旅を………邪魔されたくないのよ………』

 

そう呟く。

そして玉座の間へ出ると、

 

『私達は旅立つの………!』

 

そう言いながら9つのジュエルシードをその場に浮かせる。

 

『忘れられた都………『アルハザード』へ!』

 

狂気を含んだ笑みを浮かべながらそう叫んだ。

アルハザードって何かしら?

 

「まさかっ!?」

 

クロノが驚いたように叫ぶ。

 

『この力で旅立って………取り戻すのよ…………全てを!!』

 

その言葉と共にジュエルシードが輝き出す。

それと同時に振動………

空間の振動が起こり始めた。

 

「次元震です! 中規模以上!」

 

「振動防御! ディストーションシールドを!」

 

オペレーターからの報告に、リンディさんは指示を出す。

 

「ジュエルシード! 9個発動! 次元震、更に強くなります!」

 

「転送可能な距離を維持したまま、影響の薄い区域に移動を!」

 

「了解です!」

 

「乱次係数拡大! このままだと次元断層が!!」

 

アースラ艦内が慌ただしくなる。

 

『アーッハッハッハッハ! アハハ! アーッハッハッハッハ!!』

 

プレシアの狂気に満ちた笑い声が響く。

その中で、私には気になる事があった。

 

「ねえリンディさん。この場所で次元断層って奴が起こったら、私達の世界はどうなるの?」

 

以前の話の中で、次元断層が起こって隣接する世界が幾つも滅びたと聞いた。

 

「そ、それは…………」

 

リンディさんは言いにくそうに言葉を濁す。

それが答えを言っているようなものだった。

 

「そう………巻き込まれて滅びる訳ね」

 

「ッ……………」

 

余りにもあっさりと認めた所為か、リンディさんは驚いた顔で私を見た。

 

「言葉でいくら誤魔化そうと、事実は変わらないでしょ? だったら、事実はさっさと受け止めてそれに対してどうするかを考えた方が利口よ」

 

そう、私達はいつもそうやって前に進んできた。

そして、プレシアが私達の世界を………

延いては私の幸せを壊そうとするのなら…………

 

『私とアリシアは、アルハザードで全ての過去を取り戻す! アーッハッハッハッハ!!』

 

狂気的な笑い声を上げ続けるプレシアに目を向け、

 

「プレシア・テスタロッサ……………あなたは私の『敵』よ」

 

そう告げた。

プレシアは聞こえていないのか笑い声を上げ続ける。

私はプレシアから視線を切ると、未だに瞳から光を失っているフェイトが目に入った。

 

「……………『フェイト』………ね」

 

私はその名前に若干の親近感を感じていた。

それは、

 

「………フェイト、1つ言っておくわ」

 

「………………」

 

私の言葉には何も反応しないけど、私は言葉を続ける。

 

「フェイトって名前はね、私達の世界のある国では、『運命』という意味を持っているの」

 

「………………………」

 

「フェイト、あなたの『運命』は人形として生まれて来ることだった」

 

「優花さん!?」

 

「あんた! 今のフェイトに何て事を!?」

 

なのはとアルフが、驚愕と怒りを含んだ感情を私に向ける。

それでも私は言葉を続けた。

 

「あなたが『人形としての運命』を受け入れるのなら、そのままずっとそうしてなさい」

 

「…………………ッ」

 

フェイトが更に俯く。

 

「………………でも、ほんの少しでも受け入れられないと思うのであれば…………抗いなさい! 自分の『運命』に………!」

 

「………うん………めい…………」

 

「運命を受け入れるのも、変えるのも、決めるのは自分自身よ」

 

私はそれだけ言ってなのは達にフェイトを任せた。

 

 

 

 

 

暫くして私とハックモンが転送ポートの前で待っていると、クロノとなのは、ユーノが走ってやって来た。

 

「やっと来たわね」

 

正直待ちくたびれたわ。

〝空間魔法〟で突入できない事も無いだろうけど、正確な位置を把握していないから、アースラの転送装置を使った方が確実だからね。

 

「優花さん!」

 

なのはが声を上げる。

 

「あなたも一緒に行くという事でいいんですか?」

 

クロノがそう問いかけてくる。

 

「ええ。さっきも言ったけど、プレシアは私の『敵』だからね」

 

『敵』と決めたからには、遠慮するつもりは無い。

すると、

 

「あれ………? 優花さん………その恰好………」

 

なのはが私の服装を見て不思議そうな声を漏らす。

今の私の姿は、トータスで旅をしていた頃の戦闘服。

つまり、くノ一スタイルだ。

 

「これが私の戦闘服よ。『戦い』に出るからには、準備はしとかないとね」

 

逆を言えば、今までの事は、私にとっては『戦い』じゃなかったという事。

 

「わぁぁ………忍者のくノ一みたいで格好いいです!」

 

なのはがキラキラした目で私を見ていた。

なのはも知ってたのね。

 

「無駄話はそこまでだ! 行くよ!」

 

クロノの言葉で、私達はプレシアの根城『時の庭園』に転送されていった。

 

 

 

 

 

 

 

時の庭園の入り口に転送された私達の目の前には、十数体の騎士のようなゴーレム達。

 

「いっぱいいるね」

 

ユーノが呟く。

 

「ここはまだ入り口だ。中にはもっといる」

 

クロノがそう言う。

 

「クロノ君、この子達って………?」

 

なのはが尋ねた。

 

「近くの相手を攻撃するだけの、ただの機械だ」

 

クロノの答えを聞くと、

 

「そっか、なら安心だ」

 

なのは達は、『敵』を前に悠長に話してるけど、

 

「何やってるのよ? さっさと行くわよ」

 

私はそう言う。

 

「は、はい!」

 

なのははレイジングハートを構える。

すると、

 

「この程度の相手に、無駄玉は必要無いよ」

 

クロノはそう言ってデバイスを構えようとするけど、

 

「何言ってるのよ? もう終わってるわ」

 

私はそう告げる。

 

「「「えっ?」」」

 

なのは、ユーノ、クロノが声を漏らした瞬間、目の前に居たゴーレム達は、ほぼ同時に爆発した。

 

「い、一体何が!?」

 

クロノが驚愕するけど、

 

「あなた達が悠長に話してる間に、これ投げて終わらせただけよ」

 

私はそう言って手裏剣を見せる。

 

「い、いつの間に…………」

 

クロノは唖然としてたけど、

 

「さっさと行くわよ!」

 

私は先を促した。

 

 

 

 

通路を走る私達。

通路の所々は崩れていて、外の空間が露になる。

 

「この穴………黒い空間があるところは気を付けて! 虚数空間、あらゆる魔法が一切発動しなくなる空間なんだ。飛行魔法もデリートされる。もしも落ちたら、重力の底まで落下する。二度と上がってこれないよ!」

 

「き、気を付ける!」

 

クロノの言葉になのはが返事をした。

…………魔法が使えないって、デジタル空間みたいなモノかしらね?

行く先にあった扉をクロノが蹴り開ける。

その中には、また無数のゴーレム達が居た。

 

「ここで二手に分かれる。君達は最上階にある駆動炉の封印を!」

 

「クロノ君は?」

 

「プレシアの所へ行く。それが僕の仕事だからね」

 

クロノがそう言ったとき、

 

「私もプレシアの所に行くわよ。私の『敵』だから」

 

「………分かった」

 

「なら、さっさとこいつらを片付けましょうか」

 

私はそう言う。

 

「なら、僕が道を開けるから…………」

 

「そんな事をしなくても全滅させた方が手っ取り早いわ」

 

私はDアークと一枚のカードを取り出す。

 

「ハックモン、準備は良い?」

 

「もちろんだ、優花!」

 

「それなら、遠慮なく行くわよ!」

 

私の決意に応えるように、カードが青く輝き、ブルーカードへど変貌する。

 

「カードが青くなった!?」

 

ユーノが驚く。

私はそのブルーカードをDアークにスラッシュする。

 

「カードスラッシュ! マトリックスエボリューション!!」

 

ブルーカードのデータがハックモンへ送られる。

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

ハックモンが光に包まれる。

 

「ハックモン進化!」

 

光の中でハックモンが進化する。

成長期から成熟期へ。

そして、成熟期から完全体へ。

両脚が刃ながら2足歩行の人型となり、両腕にも刃が生み出され、両手両足そして尻尾の計5本の剣を持ち、赤いマントをはためかせた竜人型デジモン。

 

「セイバーハックモン!!」

 

現れるセイバーハックモン。

 

「なっ!?」

 

「あれ……? 前と違う………」

 

クロノは驚きの声を漏らし、なのははバオハックモンとは違う姿に疑問を零す。

 

「バオハックモンが更に進化した、セイバーハックモンよ」

 

私はそう言うと、

 

「行くわよ! セイバーハックモン!!」

 

「おおっ!」

 

セイバーハックモンは飛び出すと、

 

「レッジストレイド!!」

 

飛び蹴りの体勢で敵の真っ只中に突っ込む。

無数のゴーレムを切り裂きながら敵陣中央に到達すると、

 

「トライデントセイバー!!」

 

両腕と尻尾に装備された剣で次々と近くのゴーレムを切り裂く。

瞬時に手の届く範囲のゴーレムを倒し終えると、

 

「メテオフレイム!!」

 

口からマシンガンのように口から火炎弾を放ち、離れた敵を一瞬にして融解させた。

そして、運良くその攻撃から逃れた敵も、私が狙い撃ちで止めを刺した。

1分どころか30秒と掛からず敵を全滅させた私達。

 

「「「…………………」」」

 

それに、同行していた3人は唖然としていた。

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

一方、アースラでは、

 

「私も出ます。庭園内でディストーションシールドを展開して、次元震の進行を抑えます」

 

リンディがそう宣言して現場に向かう。

医務室でも、モニターで様子を見ていたアルフがフェイトに語りかけた。

 

「…………あの子達が心配だから、アタシも………ちょっと手伝って来るね。すぐ帰ってくるよ…………それで、全部終わったら、ゆっくりでいいから、アタシの大好きな、本当のフェイトに戻ってね。これからは、フェイトの時間は、フェイトが自由に使っていいんだから………」

 

そう言って、アルフは医務室の扉に向かう。

途中、一度振り返ったが、そのまま医務室を出て行った。

アルフが出て行った後、フェイトの瞳は僅かに光を取り戻し、モニターに視線を向ける。

 

(母さんは、最後まで私に微笑んでくれなかった………私が生きていたいと思ったのは、母さんに認めて欲しかったからだ…………どんなに足りないといわれても………どんなに酷い事をされても………だけど………笑って欲しかった…………あんなにはっきり捨てられた今でも…………私、まだ母さんにすがり付いてる…………)

 

モニターに、なのは達と合流するアルフの姿が映る。

 

(アルフ…………ずっと傍にいてくれたアルフ…………言う事を聞かない私に、きっと、随分と悲しんで…………)

 

フェイトはなのはに視線を移す。

 

(何度もぶつかった、真っ白な服の女の子…………初めて私と対等に、真っ直ぐに向き合ってくれたあの子…………何度も出会って、戦って………何度も、私の名前を呼んでくれた…………何度も…………)

 

モニターの場面が変わり、優花達の戦う様子が映し出される。

画面の中では、優花とセイバーハックモンが次々と傀儡兵を薙ぎ倒している。

 

(あの女の人…………とても強い人…………でも、私とあの白い服の子の勝負には決して手を貸さなかった…………自分の道を……突き進んでいた………)

 

フェイトは身を起こす。

 

(生きていたいと思ったのは、母さんに認めて貰いたかったからだった。それ以外に、生きる意味なんて無いと思ってた!それが出来なきゃ生きていけないんだと思ってた!)

 

そう思うフェイトの目からは涙が溢れている。

フェイトの脳裏になのはの言葉が思い浮かぶ。

 

『ただ捨てればいいって訳じゃないよね…………逃げればいいって訳じゃ、もっと無い』

 

(私の………私達の全ては………まだ始まってもいない)

 

次に、先程言われた優花の言葉。

 

『フェイトって名前はね、私達の世界のある国では、『運命』という意味を持っているの』

 

「………『運命』…………」

 

『フェイト、あなたの『運命』は人形として生まれて来ることだった』

 

「『人形』…………」

 

『あなたが『人形としての運命』を受け入れるのなら、そのままずっとそうしてなさい』

 

『………………でも、ほんの少しでも受け入れられないと思うのであれば…………抗いなさい! 自分の『運命』に………!』

 

『運命を受け入れるのも、変えるのも、決めるのは自分自身よ』

 

「私の………『運命』………」

 

フェイトの手の罅割れたバルデッシュが輝き、デバイスフォームになる。

その姿も罅割れていた。

 

「そうなのかな? バルディッシュ………私、まだ始まってもいなかったのかな?」

 

『Get set』

 

バルディッシュが無理に起動する。

フェイトはバルディッシュを抱きしめた。

 

「そうだよね…………バルディッシュも、ずっと私の傍にいてくれたんだもんね…………お前も…………このまま終わるのなんて、嫌だよね………」

 

『Yes, sir』

 

フェイトはバルディッシュを構える。

 

「上手くできるかわからないけど、一緒に頑張ろう」

 

フェイトはバルディッシュに魔力を籠める。

フェイトの魔力により、バルディッシュが金色に輝く。

そして、表面が砕けるのと同時に、新品同然のバルディッシュの姿があった。

 

『Recovery.』

 

「私たちの全ては、まだ始まってもいない…………」

 

フェイトはマントを具現しそれを纏う。

それと同時にバリアジャケットを纏った。

 

「だから、本当の自分を始めるために」

 

フェイトは足元に魔法陣を展開する。

 

「今までの自分(運命)を、終わらせよう」

 

その言葉と同時に転送魔法を起動させ、時の庭園へと向かった。

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

立ちはだかるゴーレムを全て薙ぎ倒して辿り着いた最下層。

感知技能で感じるプレシアの位置は近い。

その時、

 

『プレシア・テスタロッサ。終わりです。次元震は、私が抑えています。駆動炉は、じき封印。あなたの元には、執務官が向かっています。忘れられし都、アルハザード。そして、そこに眠る秘術は、存在するかどうかも曖昧な、ただの伝説です!』

 

リンディさんの念話が響いた。

プレシアに話しかけているのでしょうね。

アルハザードって言うのは、どうやら管理局でも御伽話レベルの曖昧な存在みたいね。

 

『ッ………違うわ。アルハザードへの入り口は、次元の狭間にある。時間と空間が破壊されたとき、その狭間に滑落していく輝き………道は、確かにそこにある』

 

プレシアから答えが返ってくる。

 

『ッ!? 随分と分の悪い賭けだわ…………あなたはそこへ行って何をするつもりなの?失った時間と、犯した過ちをを取り戻す?』

 

『そうよ………私は取り戻す………私とアリシアの………過去と未来を………! 取り戻すのよ…………こんなはずじゃなかった世界の全てを!』

 

「ッ!」

 

その言葉を聞いた時、クロノが歯を食いしばって飛び出し、目の前の瓦礫を砲撃で吹き飛ばした。

そして、プレシアがいる場所に飛び込むと、

 

「世界は何時だって、こんなはずじゃないことばっかりだよ! 何時だって、誰だって、昔からずっと、そうなんだ!」

 

なんか力籠ってるわね。

クロノにも何かあったのかしら?

別に興味無いけど。

と、その時、

 

『……うや………マ……………』

 

何か聞こえた気がした。

私は辺りを伺う。

 

「あら…………?」

 

私が『それ』に気付いた時、

 

「こんなはずじゃない現実から、逃げるか?それとも立ち向かうかは、個人の自由だ! だけど、自分の勝手な悲しみに無関係な人間まで巻き込んでいい権利は、何処の誰にもありはしない!!」

 

クロノが叫ぶ。

そこで私は口を開く。

 

「……………ま、この正義の味方の少年のあなたを止める理由は御立派だけど、私は別に、あなたのその自分の『大切』の為に手段を選ばない姿勢は、別に否定しないわ」

 

「ッ………」

 

「なっ!?」

 

私の言葉にプレシアは目を見開き、クロノは驚愕の声を漏らす。

 

「自分の『大切』を取り戻したいが為に他を犠牲にする。その為に私のあずかり知らぬところであなたが何人殺そうが、いくつ世界を滅ぼそうが、私は知った事じゃないわ。どうせ他人事だしね」

 

「何を言ってるんだ君は!?」

 

「…………なら、どうして私の邪魔をするの………?」

 

「答えは簡単よ……………あなたが幸せを求めると、私の幸せが壊されるからよ」

 

「ッ……………!」

 

「あなたが自分の幸せの為に他者の幸せを踏みにじろうとしている。その踏みにじろうとしている他者の幸せの中に、私の幸せが含まれている。だから私は自分の幸せを護る為に、あなたの幸せを踏みにじるわ………!」

 

これが私の戦う理由。

私の『幸せ』を脅かすものが私の『敵』。

その時、上からフェイトの魔力を感じた。

あの様子を見るに、何かを決意したんでしょうね。

フェイトは降り立つと、哀しそうな瞳でプレシアを見つめる。

 

「ゴホッ………ゴホッ…………」

 

その時、プレシアが咳き込み、吐血する。

何かの病気かしら?

 

「母さん!?」

 

フェイトが駆け寄ろうとしたが、

 

「何しに来たの?」

 

プレシアは冷たく言い放つ。

フェイトは足を止める。

 

「消えなさい…………もうあなたに用はないわ」

 

プレシアはそう言う。

だが、フェイトは、

 

「あなたに言いたい事があって来ました」

 

そうプレシアに言う。

 

「私は…………私はアリシア・テスタロッサじゃありません。あなたが作った、ただの人形なのかもしれません…………だけど…………私は…………フェイト・テスタロッサは、あなたに生み出してもらった…………あなたに育ててもらった………あなたの娘です!」

 

それがフェイトの出した答え。

 

「ッ…………フッ………フフフフ…………アハハハハハハッ! だから何? 今更あなたを娘だと思えばいいの?」

 

「あなたが…………それを望むなら………それを望むなら、私は世界中の誰からも、どんな出来事からも、あなたを守る…………」

 

フェイトは真剣な眼でプレシアを見つめる。

自分の『大切』を。

 

「私があなたの娘だからじゃない…………あなたが私の母さんだから」

 

フェイトは一歩踏み出し、手を前に伸ばす。

それは、フェイトの精一杯の歩み寄り。

それをプレシアは…………

 

「くだらないわ」

 

跳ね除けた。

 

「ッ!?」

 

フェイトは悲しみに満ちた目で、前に伸ばした手を見つめる。

 

「…………はぁ。あなた、自分の行動理解してる?」

 

私は溜息を吐きつつフェイトの横に並び、プレシアに問いかけた。

 

「…………何?」

 

プレシアが私を睨む。

 

「今のあなたの姿を見て、あなたの娘は悲しんでるわよ?」

 

「何を…………!」

 

「今のあなたは、『母親』として最悪よ? そのアリシアって子も、泣いて止めてって叫んでるわ」

 

「知った風な口を…………!」

 

「そう? まあ、私の口からじゃ信じられないでしょうね…………なら………」

 

私はそう言いながら〝魂魄魔法〟を発動した。

 

「『本人』の口から、直接聞きなさい」

 

その瞬間、

 

『もう止めて!! ママッ!!』

 

幼い少女の声がその場に響いた。

 

 

 

 

 







リリカルなのは編第6話です。
過去作コピペしまくってなのはとフェイトの一騎討どころか、時の庭園突入まで行ってしまった。
決闘は特に変える所が無かったので………
そんで鬨の庭園突入。
まあ、地球が滅びるとなれば、優花の戦う理由には十分です。
プレシア敵認定で、セイバーハックモンと共に進撃。
クロノ君の出番をほぼブレイク。
で、プレシアの所に辿り着いた所で優花が見つけたのは何と………
次回はご都合主義乱舞。
お楽しみに。

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