隣の部屋から絶叫が聞こえて来てから数分後。
「………待たせたわね」
何事も無かったかのように香月副司令が戻って来た。
「いえ………」
俺達も先程の叫びには言及しないようにする。
「ところで鑑? あなたは何処まで覚えてる?」
「え………あ………はい…………タケルちゃんと一緒にBETAに捕まって、それから……………あっ!? うっ!」
純夏が思い出そうとした所で頭を抱えて痛みを訴えた。
「純夏っ!?」
「えっ!? あっ!? 何これ………!? こんな記憶……私、知らない………!」
困惑の声を漏らす純夏。
「これは………微量だけど、『神力』が発現してる…………!?」
葵がそう漏らした。
「00ユニット………凄之皇…………桜花作戦……………?」
「なっ!?」
純夏が零した単語に武が驚愕の声を上げた。
「これは………因果情報が流れこんでるのかしら………?」
香月副司令が興味深そうに純夏を見つめる。
「ううっ………! はぁ………はぁ………」
どうやら痛みも落ち着いたようで、純夏は息を整える。
「だ、大丈夫か………? 純夏」
そんな純夏に武は優しく声を掛ける。
「う、うん…………もう大丈夫だよ。タケルちゃん」
純夏はそう言うと立ち上がる。
そんな純夏を見て、
「改めて聞くわ鑑。何処まで覚えてる?」
「全部覚えてます。『前』の世界で00ユニットになった事から、桜花作戦であ号標的を撃破した後機能停止する所まで………」
「そう…………」
香月副司令は納得したようだが、
「す、純夏!? お前覚えてるのか!?」
「うん。そうだよ、タケルちゃん。私は、『タケルちゃんが彼女にしてくれた』鑑 純夏だよ」
「純夏ッ………!」
武は再び純夏を抱きしめた。
「すまない純夏っ………俺はっ……俺はっ………!」
「ううん。謝るのは私の方………私の所為でタケルちゃんはずっと苦しんできたのに…………やっとタケルちゃんを平和な世界に戻してあげられるはずだったのに…………」
どうやらこの純夏も、『前』の世界の記憶を受け継いだ様だ。
「いいんだ。むしろ俺は嬉しいんだ。もう一度、皆を守るチャンスが与えられたんだから………!」
俺はその様子を見て、
「とりあえず、1人目は問題なくクリアだな」
俺達の『目的』の内の、1人目がクリアされていた事を確認した。
「…………1人目って?」
俺の言葉を聞いていた純夏が首を傾げる。
「ん? 白銀 武ハーレム計画の1人目って事だが?」
俺がそう言った瞬間、ギンッと純夏が武を睨んだ。
「タ~ケ~ル~ちゃ~~~ん………!? ど~いうことぉ~~~~~~………!?」
純夏がゆらゆらと揺れながら武に歩み寄る。
「ま、待て純夏! 俺もそのことについては納得してな………!」
「問答………! 無用…………!!」
純夏が右手の拳を握りしめる。
「タ~ケ~ル~ちゃ~ん~の~~~~~~~……………!」
その拳が振り被られ、
「ま、待てッ……………!」
「バカ~~~~~~~~~~!!」
純夏の必殺パンチである、どりるみるきぃぱんちが放たれた。
「くっ!」
武は今までの経験………というか、トラウマの所為で身体が硬直して動けない。
純夏の拳が吸い込まれるように武の腹部に叩き込まれ…………
―――ドムッ!
「…………………………あれ?」
武は目を瞑っていたが、思ったほどの衝撃が来なくて、不思議そうに目を開けた。
見れば、純夏の拳は武の腹筋によって止められている。
「………………ま、そりゃ当然だよな」
俺は一瞬星になる武を期待したが、よくよく考えれば、鍛え抜かれた軍人である武の身体に、特に鍛えてもいない純夏の拳が効くわけないのだ。
それこそギャグ補正でもない限り。
「むぅ~~~~! タケルちゃんの癖にナマイキだ~~~~~!!」
武が吹き飛ばなかった事に純夏は不満の様だ。
「それにハーレムって何さ!? 私って言う恋人が居るのに!?」
純夏は『ハーレム』と言う言葉に言及する。
「あ~、それはだな…………」
俺は先程の説明を一通り純夏にもする事になった。
すると、
「………わ、私の所為でっ………いくつもの世界が消滅っ…………!?」
純夏は目に見えて狼狽えだした。
「純夏! 落ち着け!」
武は純夏の肩を支える。
「で、でもっ……元はと言えば、私のやきもちが原因でっ………!」
純夏は泣きながら取り乱す。
「………まあ、確かに原因ではあるが、痴情の縺れが世界の命運を左右するなんて誰にも想像できないさ。そのことについて、お前らに責任云々を問い詰める気は無いから安心しろ」
俺がそう言うと、
「でもっ……でもっ…………そ、そうだ! 私がタケルちゃんの事を諦めれば…………!」
純夏はそんな事を口走る。
しかし、
「無理だよ」
「ッ………!?」
葵から放たれた一言に、純夏は絶句する。
「白銀君を『因果導体』にしているのは、あなたの無意識下での『力』の発現。いくら表面上諦めたとしても、心の奥底で白銀君に恋焦がれているのなら、諦めた所で意味は無いよ」
「そ、そんな………それじゃあ、このままじゃ幾つもの世界が…………」
純夏はもはや顔面蒼白だ。
「だから、そうならないために武には『ハーレム』を作ってもらう必要があるんだ」
「……………………へ?」
蒼白だった顔面が、何言ってんだコイツ?と言いたげな表情になった。
「そんな顔をするな。真面目に言ってるんだ」
俺は溜息を吐く。
俺は再び他の5人と純夏との関係を説明する。
「えっと………要するに御剣さん達もタケルちゃんを『因果導体』にしちゃうから、それを防ぐ為に全員をお嫁さんにする必要があるって事?」
「そういうことだ」
「ううっ………理屈では理解できるけど………だからってハーレムなんて…………不純だよ、不潔だよ、爛れてるよ…………」
乙女心は複雑らしい。
すると、葵が歩み寄り、
「ねえ、1つ聞きたいんだけど、鑑さんは他の5人の事は嫌い?」
すると、純夏は俯き、
「………………嫌いじゃないよ。皆の事…………寧ろ好きだよ。出来る事なら、皆にも幸せになって貰いたいって思ってる………」
複雑そうな表情をしながらそう呟く。
「………そっか」
それを聞くと、葵は笑みを浮かべ、
「それなら大丈夫。ハーレムでも幸せになれるよ」
そう言った。
「で、でも…………」
「そもそも、今の情勢で一夫一妻制は物凄く非効率だと思うんだがな」
俺は口を出す。
「ど、どういうことだよ?」
武が疑問の声を零した。
「考えてもみろ? ただでさえ世界人口が十億まで減ってる上に、その中でも男は優先的に徴兵されてるから、死亡率は更に高い。俺の当てずっぽうだが、女の人数の5割近くまで減ってるんじゃないのか? そんなご時世で一夫一妻に拘ってちゃ、近い将来国が立ちいかなくなるか、復興に大幅な遅れが出るぞ」
「そ、それはそうかもしれないが…………」
「だからいい加減腹を括れ。お前がどう思おうと、俺達はお前のハーレムを作る為に動く」
「……………………………」
「それともお前は、彼女達の事が嫌いか?」
「ッ!? そんなわけあるか!!」
思った以上の剣幕で反論された。
「少なくとも、俺にとって皆は掛け替えのない『大切』な仲間だ!」
その大切には、友情以上の気持ちが含まれている事には武自身気付いて無いんだろうな。
「なら問題ないな」
「えっ?」
「少なくとも、お前は他の5人にも『脈アリ』ってことだ」
「ぬあっ!?」
武は顔を赤くする。
「ま、今はそれだけ分かってれば十分だ」
俺はそれだけ言って武との話を終わらせる。
「それで香月副司令。1つお願いがあるのですが………………」
【Side 三人称】
翌日。
207訓練小隊の面々は驚きの表情を浮かべる事になる。
その理由は、
「本日より207B分隊に配属になりました鑑 純夏訓練兵です。よろしくお願いします!」
純夏が訓練兵の制服で敬礼しながらそう言った。
教官である神宮司 まりもは、やや疲れた表情をしていた。
その理由は、夕呼から昨夜突然、自分の受け持っている207B分隊に1人合流させると言われたからだ。
「あ~、先日の白銀に引き続き、また新たにお前達と共に訓練をする事になった鑑 純夏訓練兵だ。副司令の話では、鑑も白銀と同じく『特別』らしいからな。共に研鑽を積むといい」
そう言うまりもだったが、207小隊の表情は、まだ困惑している。
何故なら、
「続いて、突然だがこの207小隊に新たに『2つ』の分隊が合流する事となった。それでは各員、自己紹介をしろ」
まりもがそう言うと、純夏の横に控えていた男が一歩前に出て、
「207C分隊の分隊長を務める黒騎 大士訓練兵です! よろしくお願いします! こっちは相棒のドルモン!」
「よろしくね」
「同じく207C分隊所属の神代 葵訓練兵です! パートナーはリュウダモン!」
「よろしく頼む」
「同じく207C分隊の園部 優花訓練兵です! パートナーはハックモンよ!」
「よろしく」
「同じく207C分隊所属のアリス・ジエス・フォン・ファイル訓練兵よ! パートナーはエクスブイモン!」
「よろしくな」
「同じく207C分隊所属、エリス・ジエス・フォン・ファイル訓練兵。パートナーはスティングモン」
「よろしく」
「207C分隊とやらに入る事となったシュヴァリアだ。見知りおくが良い!」
「やれやれ………」
「ふう………」
大士を筆頭に、葵、優花、アリス、エリス、シュヴァリアとドルモン、リュウダモン、ハックモン、エクスブイモン、スティングモン、ブラックウォーグレイモン、ブラックメタルガルルモン。
「207D分隊分隊長の南雲 ハジメ訓練兵! 相棒はアグモン!」
「よろしく頼むぜ!」
「同じくD分隊所属、白崎 香織訓練兵です! パートナーはガブモン!」
「よろしくね」
「同じくD分隊所属、八重樫 雫訓練兵よ。パートナーはコテモン」
「よろしくくお願いいたす」
「………同じくD分隊所属のユエ訓練兵。パートナーはブイモン」
「よろしくな!」
「同じくD分隊所属のシア・ハウリア訓練兵ですぅ! パートナーはクダモンですぅ!」
「お見知りおきを」
「同じくD分隊所属のティオ・クラルス訓練兵じゃ。パートナーはドラコモンじゃ」
「ドラコモンだ」
一通り自己紹介が終わる。
因みにここに居るメンバーは、訓練について行けそうなメンバーの中で話し合いをした結果である。(話し合いとは決して物理ではない)
さらに言えば、愛子が食糧難解決の為に、各地の農家を回る予定なので、タカト達やクラウディア達はそちらの護衛についている。
そして、大士達が何故訓練兵として、207小隊に合流したのかは、1つは武達にハーレムの手本として、男一人に複数の恋人が居る状況を慣れさせるために。
もう1つは、大士とハジメが戦術機を操縦したいというロマンの為だった。
「あの………神宮寺教官………質問をよろしいでしょうか………?」
207B分隊の内、武以外のメンバーが唖然としている中で、分隊長である千鶴が挙手をしながら発言した。
「……………まあ、言いたいことは大体想像は付くが…………言ってみろ」
「はい………それでは……………そちらに居る生物たちは………一体何なのでしょうか…………?」
唖然としたまま問いかける千鶴。
まりもは溜息を吐き、
「私も詳しい事は知らん。だが、ゆう………香月副司令からは、C分隊とD分隊の者達は、別の世界からの来訪者だと言っていた」
「別の世界…………ですか?」
「信じられんのは私も一緒だ。だが、副司令からそれ以上の説明は無かった………」
まりもはゲンナリした表情で呟く。
「教官の言う通り、俺達は別の世界の人間だ。だが、信じられない気持ちは分かるから、信じる信じないはそちらの好きにしてくれていい。これからは一緒に訓練する仲間としてよろしく頼む。それと、ドルモン達の事が気になるなら、時間がある時に聞きたいなら説明する。ただ、危険が無い事だけは保証する」
「「「「「……………………」」」」」
大士の言葉に、207小隊の5人は困惑の表情を消せない。
「まあ、お前達がどう思おうと、一緒に訓練する事は副司令の命令で決定事項だ。いいな!?」
「「「「「りょ、了解!」」」」」
まりもの言葉に、207小隊の皆は返事をするのだった。
「それではこれより訓練を開始する! 手始めにランニングからだ!」
「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」
こうして大士達を交えた訓練が始まった。
「はぁ……ひぃ……はぁ………!」
純夏がひーこら言いながら走っている。
その後ろから、
「大丈夫か? 純夏」
武が追い付いて来て純夏に声を掛ける。
「タケルちゃん……はぁ………皆………ひぃ………凄いね…………」
純夏の順位は言うまでも無くビリケツ。
〝再生魔法〟で体を再生させただけなので、純夏には年相応の体力しかないのだ。
「純夏はこれが初めての訓練なんだ。仕方ないさ………まあ、それはともかく…………」
武がそう言いかけた時、
「お先ですぅ~!」
その横をシアがウサミミを靡かせながら軽快に追い抜いて行った。
続いて、ハジメ、優花、大士、シュヴァリア、香織、葵、ティオ、雫と次々と追い抜いていく。
ユエ、アリス、エリスの3人も、武に負けず劣らずのスピードで走っている。
と言うか、前者達に至っては、ランニング開始後数分でノルマを達成し、今は皆が終わるまでの暇潰しとして走っていたりする。
因みに大士は、コッソリとデジソウルを使って身体能力を上げていた。
因みにそんな大士達の様子を見たまりもの表情は、
『こいつら本当に人間か?』
と言いたげに引き攣っていたという。
まあ、彼らが叩き出したタイムは、オリンピック選手も真っ青なタイムだったわけだが。
ランニングが終わると、
「さて、次の訓練だが…………そうだな。B分隊の得意な項目でC、D分隊と勝負というのは如何だ? C、D分隊の実力を確かめるにも、丁度いいだろう」
まりもはそう言う。
「了解しました。では私から」
そう言って最初に出てきたのは冥夜。
彼女は模擬刀を持って来る。
「私が得意とするのは刀だ!」
そう言い放つと、
「刀か………それなら、雫!」
「ええ」
ハジメが言うと、雫は頷いて前に出る。
「刀なら、私の領分ね」
雫も模擬刀を持つ。
2人が前に出ると、冥夜は正眼に構え、雫は抜刀の構えを取る。
「それでは………始め!」
まりもが開始の合図を出す。
しかし、両者は動かなかった。
「……………………」
「……………………」
冥夜は正眼の構えのまま、雫は抜刀の構えのまま動かない。
しかし、冥夜の頬にはタラリと冷や汗が流れる。
(…………この者…………強い………!)
冥夜は動かないのではなく、動けなかった。
冥夜から見る雫は、全く隙が無く、また、こちらが隙を見せれば瞬く間に打ち込まれる。
そんな気がしてならなかった。
(ッ…………だが!)
このまま睨み合っていても、どうにもならないと察した冥夜は、自分から仕掛ける事にした。
「はぁああああああああああああああああっ!!」
上段から振り被り、雫に斬りかかる。
雫はまだ抜刀の構えから動かない。
(獲った!)
冥夜は経験上そう確信する。
今から初動が始まっても自分の剣を止めるには間に合わない。
そう思っていた。
だが、次の瞬間、
―――ガァン!
けたたましい音と共に、くるくると模擬刀が宙を舞う。
その模擬刀がカランと音を立てて地面に落ちた。
そして、その時には冥夜の手に模擬刀は無く、その首筋に雫の模擬刀が添えられていた。
冥夜は目を見開いたまま固まっている。
「な、何が起きたの………!?」
「全然見えませんでした………!」
美琴と壬姫が驚愕しながらそう漏らす。
「雫が抜刀した一撃目で御剣の模擬刀を弾き飛ばして、そのまま返す刀で首筋に………って感じね」
優花がそう説明する。
「み、見えたんですか!?」
壬姫が驚きながら問いかけた。
「ええ。あの程度なら余裕よ」
優花は余裕の態度を見せながらそう言う。
冥夜は暫く固まっていたが、
「もう一度やる?」
雫からそう言われ、
「…………いえ、参りました」
冥夜は負けを認め、頭を下げる。
「そう。あなたの剣も中々だったわよ?」
「世事は要らぬ………清々しい程の完敗だ。悔しがる気もおきん」
雫の言葉に冥夜はそう言った。
「…………次は………そうだな………珠瀬だ」
「わ、私ですか!?」
まりもの言葉に壬姫が驚く。
「いいじゃない。あなたの狙撃の腕は白銀も認めているわよ。見せてあげなさい」
千鶴がそう言う。
「が、頑張ります!」
壬姫がそう言うと、スナイパーライフルの準備に取り掛かる。
ライフルを二脚で地面に設置し、うつ伏せの状態で狙いを定める。
距離は850m先の的。
壬姫は呼吸を整えると、
「……………………ッ」
一瞬の静止の後に引き金を引いた。
銃声が鳴り響く。
千鶴は双眼鏡を渡そうとして、
「おっ、この距離でど真ん中か………やるじゃねえか」
ハジメが的の方を眺めながらそう口にした。
「……って………見えるの!? この距離で!?」
千鶴は驚愕の声を上げる。
「まあな」
千鶴は念の為に双眼鏡で確認すると、ハジメの言う通り的のど真ん中に穴が開いている。
「本当だわ…………」
千鶴は思わずそう漏らす。
すると、ハジメがおもむろに歩いていき、壬姫が使っていたスナイパーライフルを拾い上げた。
「あっ………」
壬姫が声を上げると、ハジメはパパッと次弾を装填する。
そして、ハジメは立ったままそのライフルを構えた。
すると、207小隊のメンバーが驚く間もなく銃声が鳴り響く。
「こんなもんか」
ハジメはライフルを降ろす。
「い、委員長……!?」
武が恐る恐る千鶴に声を掛ける。
「嘘…………立射でこの距離をど真ん中…………!?」
千鶴は信じられないと言った声色でそう呟く。
先程壬姫が打った的の隣の的には、ど真ん中に穴が開いていた。
当然だが、銃を地面に固定して撃つ伏射に比べ、立射は体勢が安定せず、精密射撃には向かない。
例え同じ距離とは言え、伏射より立射の方が難易度は遥かに高い。
それをあっさりと成し遂げてしまったハジメの射撃の腕は、壬姫よりも高いという事だ。
「まさか、珠瀬以上の射撃の腕を持つ者がいるとは…………」
これにはまりもも驚愕の表情を向けていた。
事実壬姫は訓練兵と言えど、精密射撃の腕前は横浜基地で一番と言ってよかったのだ。
それをハジメは超えてしまった。
正直、まりもも壬姫を超える人材がいるとは思っていなかった。
だから冥夜が負けた後、自信を無くさせないように壬姫を指名したのだが、それが裏目に出てしまった。
「………つ、次は…………」
まりもがそう言おうとした時、
「………私が行く」
慧が名乗り出た。
「私が得意なのは近接格闘…………」
「近接格闘なら余の出番だな!」
シュヴァリアが威勢よくそう言うが、
「いや、お前は止めとけ」
「何故だ!?」
「お前、手加減下手糞だろ?」
「うっ!」
大士の言葉にシュヴァリアは狼狽える。
今まで何度か大士とシュヴァリアで組み手をした事があるのだが、シュヴァリアは組み手だというにも関わらず、割と本気で大士と殴り合うのだ。
「………………ッ」
すると、慧が不服そうな顔をしていた。
手加減前提で話し合われている事が気に食わないのだろう。
「それなら私がやるわ」
優花がそう言って前に出る。
「近接戦闘は大士やシュヴァリアの領分だけど…………大士がやるとラッキースケベとかやりそうだし」
「いや、俺はそこまでラッキースケベ体質じゃ………」
大士がそこまで言い掛けて優花に睨まれて言葉が止まる。
因みに優花が危惧したのは、慧が207B分隊随一の巨乳だからだったりする。
「…………舐めるな………!」
慧が開始の合図が無いにも関わらず優花に殴りかかる。
「彩峰ッ………!」
まりもからお叱りの言葉が飛ぶが、慧はそのまま優花に殴りかかり、
「………………え?」
いつの間にか視界に青空が広がっており、地面に寝っ転がっていた。
呆けた声を漏らした慧は、暫くボーっとしていたが、ガバッと起き上がると、
「………今、何したの?」
近くに立っていた優花に問いかけた。
「あなたの殴りかかって来た右手の手首を掴むと同時に足を払って、そのまま慣性に従って前方宙返りをさせるように投げただけよ」
「…………嘘」
「納得できないなら、もう一度やる?」
優花はそう問いかける。
「…………………」
慧は優花をジッと見上げたが、
「…………やめとく」
実力の差は理解したのか、食って掛かる事はしなかった。
因みに、まりもはこれ以上は拙いと判断したのか少し早めに訓練を切り上げた。
そしてそのまま座学に入ったのだが……………
実技とは打って変わって純夏の知識無双が披露され、逆に大士達は一部を除いてボロボロだったことを記しておこう。
マブラヴ リ:デジタネイティヴ編第3話です。
とりあえず今回から訓練開始です。
訓練に選んだメンバーは戦闘可能メンバーから適当に。
流石に全員訓練兵は無理あり過ぎると思ったので。(現状でも十分無理あり過ぎですが)
そして訓練参加のもう1つの理由が戦術機に乗りたいからだったり(大士とハジメのみ)
そんで早速フィジカル無双。
だけど反面座学はボロボロ。
因みにハジメはそれなりだったりします。
純夏はこれまたご都合主義で記憶継承。
なので知識無双が可能になりました。
そしてこれから白銀武のハーレム計画が本格的に始動?
お楽しみに。
P.S すみません。今週も返信はお休みです。
申し訳ない。
遊び半分でお聞きします。この章のラストは?
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もちろん武ちゃんハーレムエンド
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サブヒロイン位大士とハジメに……
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純夏と霞以外大士とハジメでいいんじゃ?