ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

251 / 298
第5話 戦術機適性検査

 

 

 

総戦技演習に合格した後日。

今日から戦術機についての座学が始まる。

俺達は朝から教室に集まり、座学の始まりを待っているのだが、その中に武の姿は無い。

訳を知っている純夏を除いたB分隊の面々は、武が居ない事に心配そうな表情を浮かべている。

何故なら戦術機の講習が始まるにあたり、武は戦術機の指導役に回ることになっているからだ。

それに伴い、肩書も少佐だという事を公にする事になっている。

まあ、B分隊の皆に何も言って無い事から、香月博士や武の悪戯心が伺い知れる。

すると、教室の扉が開き、神宮司教官が入室してきた。

その顔は心無し疲れている。

何となくその原因に予想がついた俺は内心苦笑した。

神宮司教官が教壇に立つと、

 

「全員揃っている様だな? ではこれより戦術機の基礎講習を始める!」

 

気を取り直したように表情を厳しくし、そう言い放つ。

すると、1つの手が上がった。

 

「あの、1つよろしいでしょうか? 教官」

 

B分隊の部隊長である千鶴が挙手をしながら確認を取った。

すると、神宮司教官は再び複雑そうな表情を浮かべると、

 

「………言いたいことは予想は付くが………言ってみろ」

 

発言の許可を出した。

 

「はっ! 失礼ですが、白銀がまだ来ておりませんが…………」

 

千鶴の言葉に、神宮司教官はやっぱりかと言わんばかりに、苦笑とも困惑とも取れる表情になる。

 

「………………あ~、うむ………正直、私も現状を飲み込め切れていない…………彼についてはすぐに分かる…………よって、今は気にするな」

 

「は、はぁ………?」

 

神宮司教官の言葉に、千鶴は曖昧な返事をする。

それから神宮司教官は佇まいを直し、

 

「講習を始める前に、お前達に言っておくことがある。お前達が乗るのは、従来の戦術機ではない。香月副司令が新たな概念を元に開発した新OS、『XM3』を搭載した次世代の戦術機だ」

 

「次世代の………」

 

「………戦術機………!」

 

美琴と冥夜が驚愕の声を漏らす。

 

「このOSについては私も知識がない。よって特別教官を招き、私も貴様達と共に新OSについて学ぶことになった」

 

「特別教官…………?」

 

慧が首を傾げる。

 

「まあ、お前達も良く知る者だ…………」

 

やや引き攣った笑みを浮かべる神宮司教官。

すると、出入り口の方を向き、

 

「それではお入りください」

 

神宮司教官が敬語を使った事で、軍曹よりも上の立場だという事が分かり、身を引き締めるB分隊の面々。

すると、教室の出入り口が開き、

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

純夏を除いたB分隊のメンバーが絶句した。

何故なら、ドアを開けて入って来たのは、訓練兵が着る白い制服ではなく、神宮司教官と同じ正規兵が着る黒い制服を身に纏った武だったからだ。

確か制服にも正式名称があったかと思うが、そこまで細かい事は覚えてない。

武は堂々とした足取りで神宮司教官が退いて空いた教壇の前に立つと、教壇に両手を力強く着き、

 

「今日から貴様達207訓練小隊の戦術機教導を行うことになった白銀 武少佐だ! これから貴様達が一人前の衛士になるまで面倒を見る事になった! 厳しくしていくから覚悟しておけよ!」

 

「「「「…………………」」」」」

 

武の言葉に驚きのあまり声も出ないB分隊の面々。

すると、

 

「返事は如何した!?」

 

武から厳しい叱咤の声が飛ぶ。

 

「「「「「「「「「「(は、)はい!!」」」」」」」」」」

 

それには俺達も返事を返した。

張り詰めた空気が流れる――――

 

「……………よし! ってなわけで、改めてよろしくな、皆」

 

――――かと思いきや、いつもの調子に戻った武がそう言い、張り詰めた空気が四散した。

その様子に呆気にとられる面々。

 

「あ、あの………たけるさん?」

 

壬姫が思わず疑問の言葉を口に出す。

 

「ちょっと珠瀬! 相手は少佐よ!?」

 

千鶴が慌てて注意する。

 

「あっ! す、すみません白銀少佐!」

 

壬姫は慌てて言い直すが、

 

「ははは、良いよいつも通りで。そう言うのは公の場だけでいい」

 

「で、ですがそれでは規律が………!」

 

「委員長。確かに規律は大事だ。けど、俺はそれ以上に大切な事があると思っている」

 

「大切な事……ですか?」

 

「ああ。それは『信頼』だ。俺は、皆と信頼し合える仲間になりたい。そこに、上官や部下といった肩書は関係無い」

 

「…………少佐がそんな事を言うのは色々と問題があるのですが………」

 

神宮司教官が困ったように口を出す。

 

「まあまあ、固い事言わないでよまりもちゃん」

 

「「「「「ま、まりもちゃん!?」」」」」

 

武の神宮司教官の呼び方に驚愕の声を上げる。

 

「少佐………その呼び方は何とかなりませんか?」

 

「何ともなりません! その代わり、まりもちゃんも俺の事をどう呼んでも構いません。今まで通り白銀でも、白銀君でも好きに呼んでください」

 

「はぁ…………」

 

神宮司教官は深いため息を吐く。

 

「俺も夕呼先生の部下なんで、そこの所を察してください」

 

「………今、物凄く納得できたわ………」

 

すると、武は皆の方に向き直ると、

 

「そう言う訳で、俺への付き合い方は今まで通りでいいからな。だけど、訓練は厳しく行くから覚悟しておくように」

 

武はそう言うと、

 

「それじゃ、始めるか!」

 

午前の講習が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――午前の講習は以上。基本操縦マニュアルには1日1回、必ず目を通すこと」

 

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

 

「午後は強化装備を実装し戦術機適性を調べる。各自昼食は1時間前には済ませ、ドレッシングルームに集合せよ。以上――解散」

 

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

 

武の言葉に皆が返事を返し、武と神宮司教官が教室を出る。

すると、

 

「白銀が少佐ってどういう事!?」

 

千鶴が開口一番にそう言った。

 

「確かに『特別』だとは言われていたが、まさか少佐だったとは…………」

 

「だから色々と凄かったんですね~」

 

冥夜と壬姫が驚いたが何処か納得したと言わんばかりに頷く。

 

「……………鑑は驚いて無かったけど、もしかして知ってた?」

 

慧が純夏に問いかける。

純夏は苦笑しつつ。

 

「あはは………ごめん。私は知ってた。だけど、タケルちゃんが皆には秘密にしておけって言うから…………」

 

「もしかして、タイシ達も知ってたの?」

 

美琴が俺達に問いかけて来る。

 

「まあな。面白そうだから黙ってたけど………」

 

俺の言葉に、皆がギラッと睨み付けて来る。

すると、千鶴が突然俯き、

 

「フ、フフフ…………」

 

怪しい笑みを零し始めた。

 

「皆、どうやら黒騎は昼食をお腹いっぱい食べたいそうよ?」

 

そう言いながら上げた顔には目が笑ってない笑みが浮かんでいた。

 

「は?」

 

俺は思わず声を漏らす。

 

「その様だな。彩峰、京塚曹長に頼んで超大盛を貰ってきてくれ」

 

「なっ!?」

 

「さあ黒騎さん、行きましょう?」

 

「さ、タイシ? 行くよ」

 

「た、珠瀬!? 鎧衣!?」

 

両腕を2人にホールドされるように掴まれる。

俺はその時思い出した。

戦術機適性検査に超大盛の飯。

そう言えばこんな訓練校の伝統があった気が…………

 

「………榊、超大盛ってどの位?」

 

「最低2倍よ!」

 

「………了解」

 

思い出すも時すでに遅し。

戦術機適性検査伝統の洗礼を何故か俺が受ける羽目になった………………

 

 

 

 

 

 

……………のだが、

 

「全然余裕だったな」

 

「まあ、PXの食事はいつも少なく感じてるぐらいだったからな」

 

ハジメの言葉に俺はそう答える。

いつもの食事量は少なく感じていたから、2倍になった程度では特に苦しくはない。

 

「それにしても、これがこの世界のパイロットスーツか…………!」

 

衛士強化装備を着ながら、ハジメはワクワクした声を漏らす。

 

「見た目はアレだが、何かこれが逆にそれっぽく感じるな………!」

 

まあ、見た目は原作がエロゲだし。

つか、何故にエロゲにここまで壮大な世界観をぶっこんだのかが良く分からん。

もうちょっとフワッとしててもいいのに………

そう思いながら装着完了した俺達は、皆が集まっているであろうドレッシングルームへと向かった。

 

 

 

ドレッシングルームの扉を潜ると、

 

――ズザザザッ!

 

と、音が聞こえそうな程の勢いで、B分隊の皆が俺達から距離を取る。

 

「お前達! 何をやっている!? 一ヶ所に集まらんか!」

 

神宮司教官からお叱りが飛ぶ。

まあ、B分隊の面々がそう言う反応になるのは頷ける。

何故なら、女性陣の強化装備は、例の半透明とも言える肌色の強化装備だったからだ。

すると、葵が俺の前に歩み寄ってきて、

 

「ふふっ、如何かな?」

 

その姿を惜しげもなく俺の前に晒す。

彼女達の裸は見慣れている物の、強化装備姿はそれとはまた違った魅力を俺に感じさせた。

 

「………眼福」

 

俺は本音を呟く。

 

「か、神代さん! 恥ずかしくないの!?」

 

そんな姿を見て千鶴がそう言うが、

 

「え~? 大士になら見られても構わないし………っていうか、見て欲しい位だし。南雲君には………仲間だしジロジロ見られなきゃセーフ?」

 

何を馬鹿な事を? と言わんばかりの態度で葵は答える。

まあそのハジメには、嫁―ズ達が競い合うように強化装備姿をアピールしているが。

 

「だ、大胆ですね~……!」

 

壬姫が唖然とする。

神宮司教官にお叱りを受けたB分隊の面々がおずおずと集まって来た。

改めて言うまでもないが、B分隊の面々は美人揃いだ。

平坦な壬姫や美琴は見ても平気だが、特に冥夜と慧がヤバい。

特にスタイルのいいこの2人は俺の性癖に刺さるので、否応なしに目が行く。

すると、そんな俺の視線に気付いたのか、慧が顔を赤らめ、

 

「胸………見たい………?」

 

そんな事を言ってきやがった。

俺は慌てて顔を逸らす。

顔を見なくても、慧がニヤついているのが分かった。

悪戯が成功したと思っているのだろう。

すると、その慧の肩が突然ガシリッ!と擬音が聞こえてきそうなほどの勢いで背後から掴まれた。

 

「慧…………」

 

掴んだのは優花だ。

優花は重苦しい声で慧の名を呼ぶ。

メキメキッと金属で出来ている筈の肩アーマー部が軋みを上げ、

 

「…………本気ならともかく、冗談やからかい半分で大士を誘惑しないでくれないかしら…………?」

 

殺意とも取れる威圧を発しながら、優花が囁く。

その威圧を受けた慧は、顔を青くしながらコクコクと涙目で頷いた。

それを見た優花は慧の肩から手を離す。

しかし、その肩アーマー部には、優花の手の形の窪みが出来ていた。

それを見てゾッとする慧。

 

「いつまでやっている!? 早く集まれ!」

 

再びお叱りが飛び、俺達は教官と武の元に集まった。

 

 

 

 

 

現在、目の前では筐体が激しく揺れ動いていた。

 

「次、駆け足前進」

 

教官の言葉で揺れ方が変わる筐体。

現在は戦術機適性検査で、シュミレーターで戦術機のコックピットの動きを再現したものを体感しているのだ。

今乗っているのは千鶴と冥夜だ。

暫くして検査が終了し、2人がふら付きながら筐体から出てくる。

 

「こ、これが戦術機の乗り心地か………」

 

いつも凛としている冥夜も顔を青くして気分が悪そうだ。

千鶴も座り込んで吐かないように必死だ。

続いて壬姫、慧が筐体に乗り込む。

そして出てきた時には慧は無言で座り込み、壬姫はフラフラになってお花畑が見えるなんて事を口走っていた。

次に美琴と純夏。

ここで驚いたのは、美琴は皆と同じく気分を悪くしていたのだが純夏はケロッとしていた事だ。

おそらくだが、記憶を受け継いだことで、あらゆる世界の『純夏』の経験を持っているので平気だったんだろう。

そしていよいよ俺達の番となる。

ぶっちゃけ、俺は少し不安を感じていた。

何故なら、俺は乗り物に酔いやすい体質だ。

もしかしたら、適性検査で落とされるかも………と思っていたりする。

俺は不安と期待が半分半分で筐体に乗り込んだ。

網膜投影により、市街地の景色が映し出される。

教官の合図で筐体が揺れ出す。

 

「おっ?」

 

景色と揺れが完全に一致しているため、本当に戦術機に乗って歩いているように思える。

 

『次、駆け足前進』

 

教官の言葉で、揺れるテンポが増し、景色が流れるスピードも速くなる。

 

「おおっ! すげー! VRゲームなんて目じゃないな!」

 

因みに俺はVRゲームでも酔うタイプだ。

しかし、それは目で感じる情報と身体で感じる体感の差異で酔う。

このシュミレーターは、映し出される映像と揺れの体感にほぼずれが無い。

その為か、俺が危惧していた酷い乗り物酔いに陥るという事は無かった。

ただ、Gは感じないので若干の違和感があり、頭が軽く痛い。

だが、異世界で乗った馬車に比べれば屁でもない。

やがて一通り検査が終了すると、

 

「大士、大丈夫だった?」

 

一緒に検査を受けた葵が駆け寄って来る。

見た感じ葵はケロッとしていた。

 

「ああ………少し頭が痛くなった位だ。いつもの乗り物酔いに比べれば全然平気だよ」

 

俺は軽く笑って見せる。

それを見て葵は案したように笑みを浮かべた。

それから他の皆も筐体に乗り込んでいく。

結果だけを行けば、ハジメ達D分隊は全員問題無し。

全員がケロッとしていた。

C分隊だが、優花は問題無かったが、アリスとエリスは若干気分が悪そうにしていた。

そして意外だったのがシュヴァリア。

B分隊メンバーレベルで気分を悪くしていた。

 

「うぐ………魔王である余をここまで苦しめるとは…………何という拷問器具………」

 

まあ、魔王であるプライドを護る為か、醜態は晒さなかったが…………

 

 

 

 

 

翌日。

俺達は、朝早い時間からハンガーに来ていた。

その理由は、俺達の練習機になる戦術機が搬入されるからだ。

 

「見て見て! もう搬入されてきてるよ!」

 

壬姫がはしゃぎながら戦術機『吹雪』を指差す。

 

「おおっ………! すげー………!」

 

俺は思わずそう漏らす。

生身で戦った方が強いとはいえ、やはり巨大ロボットは男心を擽る。

因みに、

 

「………こいつが戦術機…………改良点は…………………とりあえず装甲はアザンチウムでコーティングして…………………スーパーミレディGの時の要領でビームサーベルを再現…………………レールガトリングに…………」

 

俺のすぐ横ではハジメが早くも魔改造計画を立て始めていた。

すると、

 

「よう! 皆早いな!」

 

武が片手を上げて挨拶してきた。

 

「武か…………ちょっと聞きたいことがあるんだが………」

 

「おう、何だ?」

 

俺は武に少し気になっていた事を聞くことにした。

 

「搬入された吹雪の数が8機しかないみたいなんだが、それは………?」

 

まあ、ある程度の予想は出来てるが。

 

「ああ…………夕呼先生から聞いた話なんだが、お前達が入隊したのは総戦技演習の直前だっただろ? 元々予定のあった5機はともかく、それ以上はこの短期間に用意する事が出来なくてな。何とか夕呼先生の権限で3機は確保できたんだが、それ以上は現状は無理みたいなんだ。まあ、ちょっと厳しいが、実機組とシュミレーター組を交互にローテーションさせてやってくつもりだ」

 

「なるほど………」

 

やはり時間の関係か………

それから、冥夜の方を見つめた。

その冥夜は、複雑そうな表情を浮かべながら、また新たに入って来たトレーラーを見つめている。

そのトレーラの荷台の包装が解かれると、そこには吹雪とは違った1機の紫色の戦術機。

 

「…………武御雷か………」

 

武が呟くと、冥夜がハッとして、

 

「其方、知っていたのか!?」

 

驚愕の表情で武を見つめた。

 

「まあ、人並みにはな」

 

その時、壬姫が興味本位に武御雷に近付くのに気付き、

 

「たま!」

 

「ひゃ、ひゃいっ!?」

 

思わず強い口調で呼びかけ、壬姫がビックリする。

 

「興味があるのは分かるが、触るのはやめておこう。何か怖そうな近衛の人達がこっちを睨んでるし………」

 

武はそう言いながら視線をそちらに向けると、赤い近衛服を着た1人の女性と、白い近衛服を着た3人の少女達が鋭い目付きでこちらを睨んでいた。

 

「そ、そうですね………」

 

流石に拙いと判断したのか、壬姫は大人しく引き下がる。

すると、その近衛達が歩み寄ってきて、

 

「冥夜様…………」

 

複雑そうな表情を冥夜に向ける。

 

「月読……………」

 

冥夜は彼女の名を呟く。

 

「いえ、月読中尉。何でしょう?」

 

しかし、すぐに言い直す。

だが、その言葉に月読中尉は取り乱し、

 

「冥夜様! 私どもにそのようなお言葉使い………おやめ下さい! 我ら近衛の者共は、いかな階級にあっても、将軍家縁の方々にお仕えする身でございます!」

 

冥夜は軽く息を吐き、

 

「わかった。それで月読。何用か?」

 

「…………この度は武御雷をご用意いたしました。何卒………」

 

月読中尉はそう言って頭を下げる。

 

「………おのれの分は弁えているつもりだ。一介の訓練兵には吹雪でも身に過ぎるというもの………」

 

冥夜はそう言う。

 

「おやめください! 冥夜様には………!」

 

「くどい!! すぐに搬出いたせ! 他の者が何事かと思うであろう!!」

 

確かこの武御雷は、冥夜の双子の姉である征夷大将軍の煌武院 悠陽から送られた将軍専用の機体なんだよな。

だけど、冥夜は将軍の双子の妹………忌子だから、公には認められていないと…………

俺は、その仕来たりにシャルロットを………そして、2人の関係性にアリスとエリスを思い出した。

全く持ってくだらない仕来たりだ。

俺は内心そう思う。

忌子の運命を受け入れている冥夜も冥夜だが、掟に逆らって自分の専用機を送るほどに冥夜を大切に思っているのに、それ以上何もしない悠陽も悠陽だ。

そこまで冥夜が大切なら、少々職権乱用してでもそんな掟を破棄すればいいのに…………

まあ、それが簡単じゃない事ぐらいは理解しているが。

そう思っている内に、いつの間にか冥夜と月読中尉の話は終わっていた。

すると、B分隊の面々はPXに向かう。

俺達は武御雷を眺めていると、

 

「………ここで何をしている?」

 

再び月読中尉達が現れた。

 

「………月読中尉でしたか?」

 

俺が呟く。

 

「名を呼ぶ許しを与えた覚えは無いがな、黒騎 大士。それに南雲 ハジメ。何をしていると聞いている」

 

「………武御雷に興味があったので、眺めていただけですが?」

 

俺が本音と冗談の半分半分で答えると、

 

「…………貴様達は何者だ?」

 

厳しい目付きでそう問いかけてきた。

 

「貴様達の情報は国連軍、及び城内省のデータベースの何処にも無かった!」

 

「まさか追及されないとでも思っていたか!?」

 

お付きの3人も詰め寄って来る。

 

「いや、俺達のデータが無いのは当然だろ? 俺達はこの世界の人間じゃないんだ」

 

「ふざけるな! そのような世迷言を信じると思ったか!?」

 

「本当の事なんだけどなぁ………」

 

「冥夜様に近付いた目的は何だ!? 返答次第によっては今ここで………!」

 

そう言いながら月読中尉が殺気を露にした時、

 

「ッ!?」

 

月読中尉が絶句する。

 

「…………返答次第によっては…………何かしら?」

 

何故なら、月読中尉の後ろに優花が瞬時に回り込み、その喉元に苦無を添えていたからだ。

 

「貴様っ!?」

 

お付きの3人が咄嗟に銃を抜き、

 

―――ドパンッ!

 

一発の銃声と共に、3人が抜いた銃がほぼ同時に弾かれ、宙を舞った。

俺の横でハジメがドンナーを構えている。

 

「先に殺気を向けてきたのはそっちだからな。これは正当防衛だぜ」

 

ハジメはしれっとそう言う。

すると、優花は苦無を引くと、

 

「別にあなた達が危惧してるような事はしないわ。強いて言うなら、冥夜を含めた207B分隊の全員を死なせないことが私達の目的」

 

「そんな事、信じられるわけっ…………!」

 

「信じる信じないはそっちの勝手。でも、もし私達が冥夜の命を狙ってるなら、とっくに殺してるわ。それに、冥夜1人の命を狙う為にここまで面倒な事はしない。だって、こんな面倒な労力使うよりも、基地の人間全員皆殺しにした方が早いもの」

 

優花はそう言いながら軽い〝威圧〟を発動させる。

 

「うぐっ………!」

 

その威圧でその言葉が冗談でないことを証明する。

 

「まあ、少なくとも敵対しない限りは命を狙う様な事はしないから、そこは安心しなさい」

 

そう言いながら、優花は俺達の方に歩いてくる。

そして、そのまま合流するように俺達は共にPXに向かった。

 

 

 

 

 

 

 







はい、マブラヴ リ:デジタネイティヴ編第5話です。
なんかGWにモチベが上がらず中々書けませんでした。
今回は戦術機適性検査と月読さんとの絡みです。
武の方に追及が行かなかったのは、今回は城内省の方の改竄も完璧だったって事で。
それにしても、何か書いてると冥夜と彩峰と柏木を大士ハーレムにぶっこみたくなってくる……………
ほんとその予定は無かったんですけどね…………
小説書いてると色々な欲求が沸き上がって来る……………
ともかく次回も頑張ります。

遊び半分でお聞きします。この章のラストは?

  • もちろん武ちゃんハーレムエンド
  • サブヒロイン位大士とハジメに……
  • 純夏と霞以外大士とハジメでいいんじゃ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。