ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第7話 訓練風景

 

 

 

HSSTの落下騒ぎの後、俺は香月博士の元を訪れていた。

理由は、HSSTの落ちてきた訳を聞く為だ。

 

「あなた達は、今日HSSTが落ちて来ることを知っていた筈だ。何故放置した?」

 

俺は香月博士に向かってそう聞く。

本来なら、香月副司令が監視を命じて事前に防ぐ筈だった。

それなのに、HSSTは落ちてきた。

それを疑問に思ったのだ。

すると、香月博士は特に何でもないように、

 

「あなた達のお手並みを拝見したかったのよ。結果は予想以上だったけどね」

 

「…………もし俺達に打つ手が無かったらどうするつもりだったんだ?」

 

「その時は珠瀬に狙撃させてたわ。白銀も一周目では珠瀬が撃ち落としたって言ってたし」

 

「随分と分の悪い賭けをするんだな?」

 

「そうかしら? 少なくとも、落ちて来る駆逐艦を如何する事も出来ない奴らが、世界中のBETAを如何こう出来るなんて思えないんだけど? まあ、もしどうにもできなかったら、あなた達の言う事の信憑性が薄れるってだけかしらね」

 

「……………………」

 

なるほど。

香月博士としては、予想外の危機的状況に対して俺達がどう対処するかによって、俺達の話の信憑性を確かめる狙いがあった訳か。

 

「まあとりあえず納得しときます」

 

「あら? 怒らないのね? 昔の白銀だったら、きっと何でそんな危険な事を、って怒ってたわよ」

 

「俺達の力を計る試験って判断しただけですよ。大したことでも無かったんで」

 

「基地壊滅レベルが大したことない………ね」

 

「さっきも言いましたが、俺達にとって山が吹っ飛ぶレベルの威力はデフォルトと言っていいんで」

 

「それ聞いた時にも思ったけど、随分殺伐とした日常送ってるのね」

 

「俺達は平穏を望んでるんですがね」

 

ほんと俺達の『運命』はどうなってる事やら。

 

「まあ、聞きたいことは聞けました。俺はこれで退散しますよ」

 

「白銀と比べると、随分とドライね。あなた達は」

 

「個人レベルでは生きるか死ぬかの修羅場を幾つも潜って来ましたんで。優先順位をはっきりさせているだけですよ。赤の他人を命を懸けてまで護ろうという殊勝な考えは無いんで」

 

「良くも悪くも人間らしいわね」

 

「そりゃ人間ですから」

 

俺はそう言うと部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

それから暫く俺達は訓練に明け暮れた。

戦術機の操縦技術は、C分隊、D分隊の中では俺とハジメがトップという事になっている。

まあ、俺とハジメは休みの日にわりかしゲームして遊んでいる仲でもあるから、最初こそ操作にもたついたが、操作さえ覚えてしまえばゲーム感覚で何とかなった。

また、ゲームと違ってゲームバランスなど無いので、変な所で操作を受け付けなくなったり、連続行動の回数に制限が無いのが良い。

まあ、XM-3の恩恵が大きいのかもしれんが。

なので、俺とハジメはハイテンションでシュミレーターで戦術機を動かしまくっていた。

まあ、調子に乗り過ぎて高度制限をオーバーし、レーザーに撃ち抜かれたのは両手の指の数でも足りないが。

実際に戦術機を動かして分かったのだが、レーザーを避けるのは至難だ。

レーザーは光の速さなので、照射から着弾までほぼ同時だ。

手本に見せて貰った武がレーザーを避けていたのは、本当に凄い事なんだと実感する。

因みにハジメが、

 

『レーザーを防ぐためにはラミネ〇ト装甲を………いや、それよりもア〇ツキのヤタ〇カガミの方が…………』

 

とかなんとか呟いて魔改造計画に余念がない事は言うまでもない。

更に因みに、

 

『ディストーシ○ンフィールドの方が早くね?』

 

と俺が口走ったら、ハジメの顔が呆気に取られていた。

更に更に因みに、この世界………というか俺達の世界にはスパ〇ボが存在しないため、グラビティ・ウ〇ールやグラビティ・テリ〇リーなんかの重力を応用した防御フィールドはハジメは思いつかなかったため、俺が口出ししておいた。

つか、ハジメならヒュ〇ケバインの武装とか重力魔法で再現できるんじゃ無かろうか?

と、いう事で重力衝撃砲のイメージも伝えておいたりする。

ハジメがそれをマジで再現してしまうなど、この時の俺には知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

そして現在、

 

『はぁあああああああああっ!!』

 

長刀で斬りかかって来る吹雪の一撃を、俺も同じく長刀で受け止める。

 

『やるな! 大士!』

 

『お前もな! 冥夜!』

 

通信でそう言い合う俺達。

現在は、シュミレーターでB分隊VSC分隊で模擬戦闘を行っている。

D分隊は、実機訓練中だ。

 

『やるね、シュヴァリア…………』

 

『このセンジュツキとやらも、慣れてくれば中々どうして………面白い!』

 

同じく近接戦をやり合っている慧とシュヴァリア。

 

『前に出過ぎよ! 彩峰!』

 

千鶴から注意が飛ぶ。

とか言いつつしっかりと援護している所がまた凄い。

 

『させないよ!』

 

そう言いながら千鶴の吹雪の前に牽制射撃を行うのは葵の吹雪。

 

『ッ! 神代っ!』

 

咄嗟に下がる千鶴。

 

『鑑さん下がって! 狙われてる!』

 

『わわっ!?』

 

すぐ近くに着弾し、慌てた様に純夏の戦術機が物陰に隠れる。

 

『ありがと~、鎧衣さん』

 

お礼を言う純夏。

 

『園部さんの狙撃だね。射撃の腕は壬姫さんほどじゃないけど、全体把握能力がずば抜けてるよ………!』

 

美琴が警戒しながらそう言う。

と、その時、

 

『ああっ!? 撃たれた!?』

 

アリスの吹雪が狙撃で撃ち抜かれて撃破判定が下される。

因みにエリスの方も既に撃墜されていたりする。

狙撃したのは当然壬姫だった。

C分隊は、俺とシュヴァリアが前衛、優花が後衛、葵、アリス、エリスが遊撃と言った布陣だ。

とは言え、アリスとエリスはまだ戦術機………というより機械そのものに慣れておらず、操縦技術も俺達の中では低い。

その為、この2人が早々にやられてしまい、後は数の差で押される事になる。

最後まで俺も粘ったが、冥夜と慧の猛攻の前に、成す術もなくやられてしまった。

 

 

 

 

シミュレーターから出ると、

 

「あ……う………ごめんね。私達が早々にやられちゃったから………」

 

アリスがしおらしく謝って来る。

 

「………ごめんなさい」

 

エリスも謝罪の言葉を口にする。

 

「気にするな。お前達は、まだ機械文明そのものに慣れていないしな。それに、お前達の本領は戦術機じゃないだろ?」

 

「そうだけど………悔しいものは悔しいわ」

 

「ん…………」

 

「そうか。それじゃ、次は負けないように訓練しないとな!」

 

俺は励ましの言葉を掛ける。

実際の所、2人は戦術機に乗るより魔法使った方が強いと思うが………

継続戦闘能力という点では戦術機の方が優れていると思うけどな。

すると、B分隊の面々が近付いてきた。

 

「お疲れ。流石だな」

 

俺はそう声を掛ける。

すると、

 

「良く言う。私と彩峰を同時に相手取って、5分以上粘った者が何を………」

 

冥夜のその顔は若干不満そうだ。

 

「………次は1分以内に墜とす」

 

慧が俺をジッと睨み付けて来る。

 

「おいおい。俺も必死だったんだ。珠瀬さんの射線に気を使ったり………ホントあそこまで粘れたのは奇跡みたいなもんだぞ」

 

「ふん。逆を言えば、珠瀬の狙撃に気を回しつつ、私と彩峰を凌ぎ続けたという事だろう?」

 

なんかますます不満顔になる冥夜。

 

「南雲達が戻って来るまでまだ時間はある………もう一戦………! 今度は1対1で……!」

 

慧って結構負けず嫌いだよな。

 

「まあ、いいけど………」

 

「勝ったらヤキソバ奢りね?」

 

「賭けるのかよ…………」

 

そう言えば、慧はヤキソバが大好きだったな。

そこで、俺はふと思いついた。

 

「いいだろう。俺に勝ったらヤキソバを奢ってやる。それも唯のヤキソバじゃない。この世界のヤキソバとはレベルが違う、異世界のヤキソバだ」

 

「異世界の………ヤキソバ…………!?」

 

俺がそう言うと、慧は何か衝撃を受けた様な表情をしていた。

すると、

 

「………………必ず勝つ!」

 

凄まじい目付きになって俺を睨んだ。

俺としては、多少やる気を出してくれる程度に言ったつもりだったんだが………

煽り過ぎた?

結果、慧は今までにない怒涛の動きを見せ、30分に及ぶ激闘の末、見事俺を下したのだった。

 

 

 

 

 

「ヤキソバ、ヤキソバ………!」

 

俺は慧に手を引かれつつPXに向かっていた。

慧の眼はキラキラしている。

そこまでヤキソバが楽しみか!?

まあ約束は守ろう。

PXに着くと、俺はカンナに頼んでお湯を沸かしてきてもらった。

 

「ヤキソバは………!?」

 

慧がせがむ様に俺を見て来る。

 

「まあ待て」

 

俺は周りから見えないように〝宝物庫〟を起動させ、あるモノを取り出す。

それは、俺達の世界ではありふれた食品。

お湯を入れて待つだけで食べられるお手軽なヤキソバ。

それは…………

カップ焼きそばの(俺の中での)代表、UF〇だ!

俺はそれを机の上にデン、と置く。

この世界にはカップ麺なんて無いので、B分隊の面々は首を傾げていた。

 

「まずは蓋を半分ほど開けます。そしてお湯を注いで3分待つ」

 

…………3分後。

因みにこの間。慧はカップから片時も目を離さなかった。

 

「そしてお湯を捨てる」

 

俺は一緒に持ってきてもらったボウルにお湯を捨てる。

 

「そして蓋を全部取り去り、付属のソースを掛けて軽くかき混ぜる」

 

すると、ソースの香りが辺りに漂う。

 

「………ゴクリ」

 

慧の生唾を飲み込む音が聞こえた。

 

「最後にふりかけを掛けて、完成だ」

 

俺は完成したヤキソバを慧の前に差し出す。

 

「…………………」

 

慧は無言で数秒ヤキソバを見つめた後、

 

「………いただきます……………!」

 

何かに立ち向かう様な雰囲気を漂わせながら手を合わせ、その言葉を口にした。

箸で一口分の麺を掴み、口へ運ぶ。

 

「ズゾゾゾゾ…………!」

 

慧の口の中に吸い込まれる麺。

慧はもきゅもきゅと数回咀嚼した後、ピタリと動かなくなった。

 

「け、慧さん………?」

 

美琴がそんな様子を心配してか、恐る恐る声を掛けた。

そして、一度箸を置くと、

 

「…………今…………宇宙の真理を見た…………!」

 

涙を流しながらそう呟いた。

 

「大袈裟な…………」

 

俺がそう呟くと、

 

「大袈裟じゃない!」

 

慧が瞬時に俺に詰め寄った。

 

「このヤキソバは至高………! ううん! それじゃ足りない。この世の物とは思えない………!」

 

「いや、実際にこの世の物じゃないし?」

 

「そうだった…………今なら信じれる…………黒騎達は異世界の人間だと…………! このヤキソバがその証拠………!」

 

「いや、ヤキソバで信じられてもな…………」

 

慧の言い分に、俺は思わず呆れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 






マブラヴ リ:デジタネイティヴ編第7話です。
2週間空いてしまいましたがすみません。
しかも短いです。
オルタネイティヴだと数式回収とかいろいろイベントあるんですけど、その辺全部スキップですから、クーデター編までイベント無いので、ここで思いついたヤキソバネタをぶっこんでみた。
とりあえず、次回からクーデター編に入ろうかと思う。
別行動グループも漸く………?
お楽しみに。



P.S 今週の返信もお休みです。
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