ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第15話 誘拐

 

 

 

クーデターから数日。

クーデターのゴタゴタもようやく落ち着いてきた頃。

美琴が鎧衣課長案件でMPに連れていかれているため、1人少ない状態で訓練を終え、俺達はPXに向かっていた。

PXに入ると、

 

「あれ? 千鶴?」

 

千鶴や冥夜達と同年代の少女達が、テーブルを囲んでいた。

 

「茜!? みんなも!」

 

千鶴が笑顔で応える。

彼女達は、元207A分隊のメンバーで、総戦技演習でB分隊より先に合格し、任官した者達だ。

現A-01部隊のメンバーであり、俺達がこの世界に来て最初に接触した相手でもある。

 

「ひっさしぶり! そっちは無事だったんだねー! 訓練部隊まで駆り出されたって聞いたから心配でさ!」

 

元気よくそう言ったのはオレンジの髪の涼宮 茜。

 

「涼宮さん達は任官してすぐ実戦だったんですか?」

 

壬姫がそう聞くと、

 

「いやー、って言ってもヒヨッコもいいとこだよ。偶々君達B分隊より先に卒業できたってだけでさ」

 

茜は謙遜する様な事を言う。

 

「任官はこっちが先だったのに、B分隊は訓練兵のうちからデビューでしょ? 元同期としちゃ、鼻が高いやら悔しいやら」

 

茜が笑いながらそう言っていると、

 

「あーーーっ! やっと会えた!」

 

突然そんな声が響いた。

そう思った時、俺の右側にドンッと軽い衝撃を受ける。

見れば、シャルロットでは無い青髪の少女が、俺の右腕に抱き着いていた。

その顔は満面の笑みだ。

 

「お………? おおっ…………!?」

 

俺は予想外の出来事に驚き、慌ててしまった。

因みに抱き着いてきた青髪の少女とは柏木 晴子だった。

 

「んなっ!? か、柏木っ!? 一体何をしているのだ!?」

 

冥夜が狼狽えながらそう言うと、

 

「えっ? 会えたことが嬉しくて抱き着いてるだけだけど?」

 

晴子は何か変?と言いたげに聞き返した。

 

「いや、だから何故そなたが大士の腕に抱き着くのだ!?」

 

「ん~と…………好きだから?」

 

「「はぁああああああああああああっ!?」」

 

その言葉に、俺と冥夜は同時に声を上げた。

 

「待て待て! 一体いつそんな要素があった!?」

 

俺は真面目に問いかける。

 

「そりゃもちろん初めて会った時だね。まあ、簡単に言えば………一目惚れって奴かな。出会いが衝撃的過ぎてその時は自分でも気付いて無かったけど、気付けば君の事ばかり考えてたからさ」

 

初めての出会いって……………要塞級殴り倒した時なんだが!?

むしろ逆に恐怖の対象として見られても当然だと思ってたんだが!?

すると、

 

「その気持ち、分かるわぁ………」

 

そう共感する様な言葉を投げかけてきたのはカンナ。

丁度料理を運んできた所の様だ。

 

「私も旦那様に惚れた切っ掛けは、助けられた時だったわ。自分では抗う事も出来ない強大な敵を、拳一つで殴り倒したその時の衝撃は、今でも忘れられないわ」

 

カンナがうっとりする様な表情をする。

 

「そうですよね! ハートを射抜かれるなんてよく言いますけど、彼の場合はハートを直接殴りつけられるような衝撃ですから!」

 

晴子はカンナに共感を示す。

その時、

 

「…………………何も言わないの?」

 

慧が優花に問いかけていた。

以前慧が俺を揶揄い半分に誘惑してきた時、優花に凄まじい威圧を喰らった事を思い出したのだろう。

それなのに、晴子に対して何も言わないのに疑問を覚えたのだろう。

 

「…………私は、『冗談』や『揶揄い』で大士を誘惑するのは許せないと言っただけよ。それは大士を傷付ける行為だからね……………あの子はどうやら『本気』みたいだから、何も言わないだけ。面白くないと思っているのも事実だけど、あの子の想いを否定する気は無いわ」

 

優花はそう言って傍観を決め込む。

 

「…………………『本気』なら構わないんだね?」

 

慧が確認する様にそう聞く。

 

「ええ」

 

優花は迷わずに頷いた。

すると、慧はおもむろに立ち上がって、晴子とは反対側の俺の隣に移動すると、

 

「………………ぴと」

 

左腕に抱き着きながら、頭を肩に乗せてきた。

 

「あ、彩峰まで…………!?」

 

冥夜が驚愕の表情で呟く。

因みに俺はもう一杯一杯だ。

 

「ほうほう………何やら楽しそうな状況になってるな」

 

ハジメがニヤニヤしながら俺を見ている。

 

「……………そのニヤニヤを止めろ」

 

俺がそう言うと、俺の肩にポンと手が置かれた。

俺がそちらを見ると、

 

「モテる男は辛いな、ハーレム野郎♪」

 

遠藤が良い笑顔でサムズアップしていた。

 

「…………居たのか遠藤」

 

素でそう言ってしまった。

 

「さっきからずっと居たわ! むしろこのPXで働いとったわ!!」

 

いや、マジで気付かなかった。

っていうか、

 

「そんなことより…………」

 

「俺の存在を『そんなこと』で流すな!」

 

「お前ら正気か!?」

 

「スルーされた!?」

 

俺は2人に問いかける。

 

「もちろん」

 

「正気も正気」

 

「こっちにもスルーされた!?」

 

晴子は笑みを向け、慧はサムズアップする。

 

「いや、待て! よく考えろ! 俺は異世界の人間だ!」

 

「そう言ってたねぇ………」

 

「知ってる………」

 

2人はだから何?と言いたげな表情で返す。

 

「そんで恋人を11人作ってるような男だぞ!?」

 

「なら今更1人2人増えたって問題無いよねぇ?」

 

「大士は白銀と違って甲斐性あるから大丈夫………!」

 

「んがっ!?」

 

何故か流れ弾が武に当たった。

 

「つーか彩峰? いつの間に俺の事を名前で呼ぶようになった?」

 

「…………クーデターの途中から?」

 

自分でも気付いていなかったのか、思い出す様にしながらそう言った。

 

「じゃあ、大士も私の事名前で呼んでいいよ」

 

「あっ! 彩峰ずるい! だったら私の事もハルで良いよ!」

 

こっちも便乗してきた!

俺は助けを求める為に、葵達の方に視線を向けたが、

 

「いつもの事だね」

 

葵はニコニコしており、

 

「いつもの事ね………」

 

優花は呆れと諦めが入り混じる溜息を吐き、

 

「また増えるのね………」

 

アリスはやれやれと言いたげに、

 

「仕方ない………」

 

エリスも仕方なさげに、

 

「流石はタイシだ。異性を墜とす手腕にかけてはサキュバス顔負けだな!」

 

シュヴァリアに至っては何か感心してるし!

 

「あらあら。また旦那様に群れる(メス)が増えるのね」

 

カンナは相変わらず論理感獣寄りだし!

情けないとは思うがその答えは先延ばしにする事にした。

いや、誰にも予想出来ないだろこんなの!?

ハジメたちの視線が、予想通り!と言わんばかりの目をしているのは気のせいだ!

気のせいったら気のせいだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

それからまた数日後。

冥夜達207B小隊が任官した。

俺達は戦術機の操縦を覚える事が目的だったため、任官なんぞするわけが無い。

ここからは普通に俺達自身の戦いだ。

因みにハジメは今日も吹雪の魔改造に勤しんでいた。

そして、その207B分隊は、新OS『XM3』と旧OSの比較試験を行っていた。

俺達はそれをモニターで見ていたが、午前中の結果はもちろん圧勝。

その流れのままに午後の部に突入した。

そして、その試験の途中で起こる爆発と発令されたコード991。

コード991とはBETA出現の合図。

 

「さてと………俺達も被害を少なくするために行くとしますか」

 

俺の言葉に仲間達は頷いた。

 

 

 

 

そして、〝再生魔法〟や〝魂魄魔法〟を含め、死傷者ゼロでこの件を終わらせてPXに戻って来た俺が見たのは、近くでミュウが泣き喚き、レミアさんに必死に介抱されている、血塗れのカンナの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

基地内でコード991が発令された時、PXでは、

 

「どうやら始まったみたいね」

 

大騒ぎしている周りとは裏腹に、カンナが落ち着いてそう呟く。

カンナ達は予め大士に今日の出来事を聞かされていたので、慌てる事無く落ち着いていた。

 

「レミアさんにミュウちゃん。念のために、私から離れないでくださいね」

 

カンナはこの場で、デジモンを除けば、自身で戦える唯一の人間だった。

とは言え、この場にはシスタモン姉妹も居るので、さほど心配している様子は無いが。

 

「お願いしますね。カンナさん」

 

カンナとレミアは所謂ママ友で仲が良かったりする。

それから暫くして……………

突然PX近くで爆発が起きた。

すると、

 

「BETAが侵入したぞ!」

 

「兵士級と闘士級だ!」

 

「う、撃て!」

 

兵士達の叫び声と、銃声が響く。

だが、

 

「ぎゃぁあああああっ!?」

 

「死ねっ! 死ねーーっ! がぁぁぁぁぁっ!?」

 

次々に悲鳴が上がる。

小型BETAとは言え、歩兵が戦いを挑むのは推奨されない。

 

「ッ…………シスタモン! 行くわよ!」

 

「わかったわ」

 

「おっしゃ!」

 

「私はここでクオン達を守るから」

 

カンナの言葉に、ノワール、シエル、ブランが答える。

カンナは頷くと、ノワール、ブランと共にPXを出た。

廊下を走ると、

 

「ひぃぃぃぃぃっ!?

 

通路のT字路の死角側から頭を闘士級の象の鼻の様な触手に掴まれた兵士が悲鳴を上げながら宙吊りにされているのが見えた。

 

「ッ! シエル!」

 

カンナが叫ぶと、シエルは加速し、

 

「白詰一文字切り!!」

 

シエルが刀でその触手を断ち切った。

解放された兵士は尻餅を着く。

 

「ブレスファイア!!」

 

ノワールが銃で闘士級本体に止めを刺す。

すると、更にその向こうから数体の兵士級が現れた。

だが、カンナが手を振り被ると、その手から炎が発し、

 

「狐火!!」

 

その手を繰り出すと同時に炎が放たれ兵士級を丸ごと焼き尽くした。

カンナは耳を澄ますと、辺りにBETAが居ない事を確認し、PXに戻ろうとした。

その瞬間、

 

――ドォンッ!

 

PXの方で爆発が起こった。

カンナが慌てて戻ると、PXの中から煙が立ち上り、そこから数人の人間が駆け出してくるのが見えた。

しかも、その内の1人が抱えていたのは、

 

「クオンッ!?」

 

カンナが思わず叫ぶ。

その人物に抱えられていたのはクオンだった。

何か薬品を嗅がされたのか、意識がない様だ。

そして、カンナの叫びに駆け出してきた人物の1人が振り返り、警告も無く銃を発砲してきた。

 

「あぐっ!?」

 

その銃弾は、クオンに気を取られていたカンナの右肩付け根辺りに当たり、カンナの白い巫女服が血で赤く染まっていく。

 

「カンナッ!」

 

シエルが倒れようとしたカンナを咄嗟に受け止めた。

 

「クオン!」

 

ノワールが後を追おうとして、

 

「クーちゃん!」

 

PXからミュウが飛び出してきた。

 

「ミュウ!?」

 

それにはノワールも驚く。

そして、カンナを撃った人物は反射的にミュウに銃を向けた。

 

「ッ!?」

 

ノワールは咄嗟にミュウを抱え、PX内に飛び込む様に躱す。

ミュウに銃弾は当たらなかったが、ノワールは地面に倒れた。

すると、銃を撃った男は懐から手榴弾を取り出し、口でピンを抜くと、その場に放り投げ、即座に踵を返して走り去った。

数秒後に手榴弾は爆発。

通路の崩落を引き起こした。

 

「ッ! クオン!」

 

起き上がって後を追おうとしたノワールは瓦礫の前に歯噛みし、クオンの名を叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 






はい、マブラヴ リ:デジタネイティヴ編第15話です。
短くてすみません。
土曜日は鮎掛けのお付き合いで時間ありませんでした。
今回はラブコメ&クオン誘拐編でした。
落差が凄い。
因みにブランは最初の爆発で皆を庇って負傷中という設定です。
強引過ぎます?
さて、クオン誘拐どころかカンナを傷付けられた大士の怒りの矛先は…………



P.S すみません。力尽きたので返信はお休みです。

………………悠陽は如何する?

  • 姉妹丼でいただきます
  • いい加減にしろやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
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