ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第16話 逆鱗

 

「……………………カンナ?」

 

血塗れで倒れているカンナを見て、俺はそう零した。

横浜基地の人間達に、ここが最前線であることを改めて知らしめるために香月博士が行った捕獲していたBETAの解放。

その被害を少なくするために動き、無事終わらせてカンナやクオン達が待つPXに戻ってきて最初に見た光景が『それ』だった。

 

「……………………………………」

 

俺は一瞬その光景を理解できなかった。

何故、カンナが血塗れで倒れているのか?

何故、ミュウがクオンの名を何度も呼びながら泣きじゃくっているのか?

何故……………クオンの姿が何処にも無いのか?

心が急速に冷えていくのを感じる。

 

「……………………葵。カンナを」

 

「うん…………」

 

俺は葵にカンナの治療を頼んだ。

葵は倒れているカンナに手を翳すと〝再生魔法〟を掛ける。

肩に受けていた銃弾の傷が塞がり、カンナの呼吸が落ち着いたのを確認すると、俺はカンナを抱き上げる。

その時、ハジメがミュウに歩み寄り、座り込んでミュウと視線の高さを合わせる。

 

「ミュウ………何があった………?」

 

静かに問いかけるハジメ。

 

「ぐすっ………クーちゃんが………クーちゃんが………!」

 

ミュウは泣きじゃくりながらクオンの名を口にする。

余程ショックだったのか、それ以上の言葉が出てこない。

俺は、ノワールに視線を向ける。

ノワールは申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「………何があった?」

 

俺が問いかけると、

 

「………………クオンが………攫われたわ………」

 

絞り出すようにそう口にした。

 

「クオンを攫ったのは、国連軍の装備を着た兵士だったわ…………追いかけようと思ったけど、手榴弾で道を塞がれて…………」

 

崩落した通路に目をやりながらそう言う。

 

「けど、シスタモン達の実力なら、いくら軍人が相手とは言え、遅れは取らないんじゃないのか?」

 

リョウがそう言うと、

 

「言い訳に聞こえちまうかもしれねえけど、タイミングが悪かったんだ。この近くまでBETAが現れやがって、アタシ、ノワール、カンナはそっちの対処に行ってた。クオン達の護衛にはブランを残してたんだが………」

 

シエルがそう言いながらブランに目を向け、

 

「お姉ちゃんたちが出て行って少しした後、いきなり何人かの兵士達が押し入ってきて、クオンを連れて行こうとしたの………もちろん私もクオンを助けようとしたんだけど、いきなり爆弾を投げて来て…………」

 

ブランが俯きながらそう言うと、

 

「その子を責めないでおくれ! その子はアタシらを守ってくれたんだよ!」

 

京塚のおばちゃんが現れてそう言って来た。

 

「………………クオンが………そう言ったんだな?」

 

俺がブランに視線を落としながら聞くと、ブランは小さく頷いた。

クオンの事だ。

自分が攫われそうになっても、ブランに『皆を護って!』と言ったに違いない。

 

「それで、PXから出てきた所を戻って来た私達が見つけたんだけど、カンナがクオンが攫われている事に動揺して銃撃を受けて怪我をしたわ。カンナをシエルに任せて私がクオンを助けようとしたんだけど、その時にミュウが飛び出してきて兵士はミュウに銃を向けたわ。私は咄嗟にミュウを庇ったんだけど、その隙に兵士が手榴弾で通路を崩落させてそのままクオンを連れ去ったの…………」

 

「ごめんなさいなのっ……! ミュウの所為で……クーちゃんが……クーちゃんがぁっ………!」

 

ノワールの話を聞き、ミュウは自分の所為でクオン攫われてしまったと思っていて泣いていたのだという事が分かった。

 

「………………そうか」

 

クオンが攫われてしまった事は、半ば予想出来ていた俺はそう返す。

 

「『そうか』………って、大変じゃないか!? 何でそんなに落ち着いてるんだよ!?」

 

一緒に来ていた武が叫びながら俺に詰め寄る。

 

「止せタケルッ!」

 

その武を止めたのは冥夜だった。

 

「冥夜!? だけどっ………!」

 

「そなたは気付かんのか………!? 大士は今、凄まじい怒りに満ちている事に………!」

 

「えっ………?」

 

「大士………すごく怒ってる………」

 

冥夜に続いて慧もそう言った。

 

「良く気付いたわね。今の大士を下手に刺激すると、とばっちりを受けかねないわよ…………まあ、私自身も相当頭に来てるけどね………!」

 

優花が冷たい笑みを浮かべながらそう言った。

その笑みに、背筋に冷たい汗が流れるのを感じるB分隊の面々。

 

「と、とにかくクオンが何処に連れていかれたのかを調べる! まずは夕呼先生の所に………」

 

武がそう言いかけた所で、

 

「その必要は無いわ」

 

その本人の声が聞こえた。

見れば、香月博士が霞を伴ってこちらに歩いてくるのが見えた。

 

「夕呼先生! 大変なんです! クオンが………!」

 

武がそう言いかけた所で、

 

「状況は大体把握してるわ。それとついさっき、シャトルが1機勝手に発進していったわ。十中八九、黒騎の娘はそのシャトルの中ね。今回の騒動のゴタゴタの隙を突かれたわ…………」

 

「そんな………一体如何して………?」

 

武がそう口にすると、

 

「そのシャトルが発進したのとほぼ同時刻に、私の方にメッセージが届いたわ。内容は要約すれば、黒騎に対して『娘の命が惜しければ、我々の手駒となれ』って事ね。内容が在り来たり過ぎて言葉も無いわ」

 

香月博士は呆れた様子でそう言った。

だが、俺にはそれだけで十分だった。

 

「……………ハジメ」

 

俺はハジメに呼びかける。

 

「ああ」

 

ハジメは俺の言いたい事を理解していると言わんばかりに〝導越の羅針盤〟を取り出す。

 

「今は丁度宇宙に居るぐらいだな。移動速度は速いが………まあ、何とかなるだろう」

 

ハジメはそう言う。

 

「助かる」

 

「何。俺としても、ウチの子を泣かせた落とし前を付けさせてもらわなきゃいけないからな………!」

 

俺達がそう言葉を交わしていると、

 

「な、なあ………? 一体何の話をしてるんだ?」

 

武がそう問いかけて来る。

 

「俺の『大切』に手を出し、あまつさえ傷付けたんだ…………許すつもりはない………」

 

「ッ…………!?」

 

武が引きつった表情をした。

 

「でも、分かってると思うけど、実行犯は単なる下っ端よ?」

 

「もちろん分かっている。首謀者も含めて誰一人逃がすつもりはない………!」

 

俺は、『覚悟』をもってそう宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

宇宙空間に1機のシャトルがある国に向かって飛行を続けていた。

その中で、

 

「………う、うん…………」

 

座席に座らされたクオンが目を覚ました。

 

「気が付いたみたいだな。嬢ちゃん?」

 

強面の大男がズイッと顔を近付けてきた。

 

「ッ…………!?」

 

突然の事に驚くクオン。

因みに狐耳と尻尾もピンと立っていたが、ハジメ製のアーティファクトを身に着けているので、周りの人間はその存在に気づかない。

クオンはキョロキョロと辺りを見回し、

 

「………ここは?」

 

「ここは宇宙船の中さ。逃げようなんて思うなよ? ここは宇宙だから逃げる場所なんてねえけどな」

 

ガッハッハと笑う大男。

 

「…………わたしをどうする気?」

 

「まあ、簡単に言えば人質だな。お前の父親にいう事聞かせるための餌って訳だ」

 

クオンの質問に簡単に答える大男。

 

「おとーさんを…………?」

 

「おお、そうさ。まあ、言う事聞いても大人しくおとーさんの元に返す保証はねえけどな」

 

「おい。もう黙れ。任務内容を軽々しく口にするな」

 

大男の後ろに居た冷徹そうな細身の男がナイフを手入れしながら注意を飛ばす。

 

「別に問題無いだろ? こんなガキに何が出来るって言うんだ?」

 

「我々の任務は極秘だ。どの様な些細な可能性も考慮せねばならん」

 

「へいへい。糞真面目だな」

 

大男はそう言うと、自分の座席に座り直す。

 

「それにしても、こんなガキ1人であの化け物を従えてる奴を言う事聞かせられるのか?」

 

「情に流される人間はそういうものだ。親しい人間を1人失うだけで取り乱す。その小娘の指1本でも送りつけてやれば、言う事を聞かざるを得ないだろう」

 

細身の男は手入れしていたナイフを眺めながら光を反射させた。

磨かれたナイフの表面に、クオンの姿が映る。

細身の男は、クオンの恐怖の表情を期待していたが、クオンは怯えてはおらず、気を強く持った表情だった。

 

「年齢の割には、強気なガキだな?」

 

そう愚痴る。

すると、

 

「………おとーさんは………来るもん………」

 

クオンが口を開く。

 

「おとーさんは………ぜったい助けに来てくれるもん…………!」

 

クオンの目の輝きは希望に満ちている。

 

「…………チッ!」

 

その表情が気に食わなかった細身の男は、座席から離れるとナイフを持ったままクオンに近付く。

 

「その目を止めな…………!」

 

脅す様にそう言うがクオンの目は輝きを失わない。

 

「ッ! やめろっつってんだろ!」

 

細身の男はクオンの頬を平手で叩いた。

 

「ッ…………!?」

 

クオンは痛みに僅かに声を漏らす。

細身の男は、これで十分だと思っていた。

単なる子供には、この程度の脅しをすれば、泣いて謝るだろうと。

しかし、

 

「ッ!」

 

再び前を向いたクオンの目は、変わらずに希望の輝きを宿し続けている。

痛みで涙こそ浮かべていたが、怯えた様子など微塵も見せなかった。

 

「このガキ………! 身の程ってもんを分からせてやる………!」

 

細身の男はナイフをクオンに突きつける。

 

「おいおい。大事な人質だろう?」

 

大男がそう言うが、

 

「生きてりゃ文句ないだろ! 指一本ぐらいは問題ねえ!」

 

細身の男は叫ぶとクオンの右手を強引に掴み、座席に備え付けられている机を引き出すと、その上にクオンの手を押し付ける。

 

「さっき言った通り、切り落とした指はお前の親父に送り付けてやるよ!」

 

そう言ってナイフを振り上げた。

そして、

 

「おとーさん!!」

 

クオンは叫んだ。

その瞬間、振り下ろそうとしたナイフを持つ右手の手首が掴まれる。

 

「………………誰の指を切り落とすって………?」

 

重い声がその場に響いた。

 

「な、何っ!?」

 

細身の男が振り向くと、そこに大士が居り、細身の男の右手首を掴んでいた。

 

「て、てめっ! いつの間に!」

 

大男が反射的に銃を抜こうとして、

 

――ドパンッ!

 

銃声と共に頭を撃ち抜かれた。

大男の後ろには、ドンナーを構えたハジメが立っている。

 

「もしかしたら、お前達も家族を人質に取られていて、仕方なく言う事を聞かせられているとかだったら、少し位慈悲をやっても良かったが…………その確認の必要も無さそうだな………!」

 

大士が右手首を掴む手に力を加える。

 

「うぎっ……!?」

 

細身の男は、痛みに悶える声を漏らす。

そしてそのまま、

 

――バキリッ!

 

手首の骨を握り砕いた。

 

「ぎゃぁああああああああああああああっ! て、手がぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

 

男の手は変な方向を向いていた。

 

「俺の『大切』に手を出した事、地獄で後悔しろ…………!」

 

 

 

 

 

 

 

数分後、このシャトルは宇宙の藻屑と消えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――某国某所

 

 

 

 

薄暗い部屋の中で、再び密会を行っていた複数人の男達が焦燥に駆られていた。

 

「工作員のシャトルとの通信が途絶えただと!?」

 

「は………娘の確保には成功したとの報告は入っていましたので、シャトルに何らかのトラブルや事故に遭ったものかと………」

 

「くっ! どうする!? このままでは………!」

 

「娘が死んだことを隠していう事を聞かせるのは………?」

 

「一度や二度ならともかく、長期間姿すら見せないのは不信感を持たれる」

 

大士に言う事を聞かせる方法が無くなった事で、動揺が広がっていた。

すると、1人の男が発言した。

 

「不干渉を貫くべきかと…………」

 

「どういうことだね?」

 

「幸運にも、工作員は宇宙で消息を絶ちました。まず確実に全滅でしょう。逆に言えば、我々に辿り着く方法も無いという訳です。最悪なのは、あの強大な『力』の矛先が我々に向く事………知らぬ存ぜぬを貫き通せば、工作員と我々を繋げる証拠は無いという事です」

 

「ううむ…………あの『力』は惜しいが…………背に腹は代えられんな…………よし、その方針で行くとしよう」

 

「「「「「異議なし」」」」」

 

その決定に、全員が唱和する。

その時、その場にいた1人の通信機に着信が入った。

 

「何だ? 今は大事な会議中だぞ。後にしろ」

 

その男は、男達が今いるこの建物を所有する有力者だったのだが、にべもなくそう言って通信を切ろうとする。

 

『待ってください! 外に、外にモンスターが………!』

 

そこまで言って通信が突如途切れる。

 

「如何した………!? おい!」

 

その男は、今度はこちらから通信を繋げようとしたが、相手側は全く応じない。

 

「何故誰も通信に出ない………? 仕事をサボっておるのか………!? 減給ものだぞ………!」

 

男はイラつきながらそう言うが、

 

「確か外が如何とか言っていたな…………」

 

男はリモコンを操作し、スクリーンに外のカメラの様子を映し出した。

その直後、

 

「「「「「「なっ……………!?」」」」」」

 

その場の全員が絶句した。

何故なら、建物の外の上空には巨大なモンスター…………ドルゴラモンが青い翼を広げて滞空しており、明らかにこちらに狙いを定めていた。

そして、その口に只ならぬエネルギーが集中され…………

 

『ドルディーン…………!』

 

その直後、男達が見たのは視界を真っ白に埋め尽くす光であり、それが男達が最期に見た光景だった。

 

 

 

 

 

この日、某国某所に半径100kmを超える超巨大なクレーターが出来上がった。

しかし、不思議な事にその範囲内に居た住民達はクレーター範囲外の街で発見され、行方不明になったのは数人だけだったという。

後にそのクレーターには川から水が流れ込み、巨大な円形の湖になった。

そして、その湖はこう呼ばれる事になる。

 

 

 

――END OF FOOL(愚者の末路)と………………

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

世界中が大騒ぎになった。

ドルゴラモンの姿は多くの映像に残されており、横浜基地の司令と副司令であるラダビノッド司令と香月博士に説明を求める声が殺到した。

特に某国に関しては、直接被害を被った事もあり、非難の声も飛んでいる。

そして、世界中の代表者たちが、横浜基地の会議室に中継を繋げて説明を求める中に、この俺も立っていた。

 

「初めまして、世界中のお偉い様方。俺は黒騎 大士。先日のクレーターを作った本人です」

 

正確にはやったのはドルゴラモンだが、俺とドルモンは一心同体と言っても過言ではないので俺がやったと言っても嘘ではない。

 

『貴様! 一体如何いうつもりだ!? 貴様の所為で我が国は甚大な被害を被ったのだぞ!?』

 

そう言って来たのは某国の大統領。

 

「如何も何も、こちとら娘を攫われた上に、嫁さんを撃たれたから、実行犯と首謀者に落とし前を付けただけだが?」

 

『妻と娘だと………? それだけでこれほどの被害を………?』

 

大統領はそんな事を言っていたが、

 

「それは認識の相違だな。お前にとって妻と娘はその程度の存在なんだろうが、俺にとって妻と娘は世界中を天秤にかけても足りないぐらい大切な存在だ。その妻を傷付けられ、娘を攫われたんだ………! むしろ、この程度の被害で済ませた事を感謝して欲しいね」

 

俺は悪びれも無くそう言う。

 

『この『程度』だと…………あれ程の被害を出して、どれほどの損失が出たと思っている!?』

 

大統領が怒鳴る。

 

「少なくとも、人的被害は考慮して、ターゲット以外は避難させたぞ。強制だった事は否定しないが、全員巻き添えにするよりかはマシだろう?」

 

『少なくとも、もっと被害を抑える事は出来た筈だろう!?』

 

「そこは見せしめを含めて………だな」

 

『み、見せしめだと………!?』

 

「ああ。俺達に手を出せばどうなるか………それを知らしめるためにな」

 

俺は不敵な笑みを浮かべてそう言った。

 

『だ、だが、人的被害はなくとも、経済損失は馬鹿にならんぞ!?』

 

「それは近々世界中のハイヴを潰すから目を瞑れ。少なくとも、世界中のハイヴを潰すコストを考えれば、あの程度の被害損失など軽くお釣りがくるぐらいだと思うが?」

 

『せ、世界中のハイヴを潰すだと…………そんな事が………』

 

「出来ないと思うか?」

 

俺はクレーターの映像を眺めながら言う。

 

『…………………………』

 

言葉に詰まる大統領。

すると、

 

『大士様』

 

そう声を掛けてきたのは、中継で帝都と繋げているチャンネル。

即ち征夷大将軍である悠陽が映っていた。

 

「なんだ?」

 

『大士様は、我が国を含めた世界をどうするおつもりですか?』

 

そう問いかけてきたので、

 

「別にどうもしない。今回は被害を受けたから反撃しただけの話だ。何もされなければ、こちらから何かしようとは思わない」

 

そう答えた。

すると、悠陽は笑みを浮かべ、

 

『そうであれば、わたくしは大士様に非は無い、と判断いたします』

 

『なっ!?』

 

『そうですな。妻と子に危険が及べば反撃するのは当然の事………今回は偶々反撃の『力』が大きかっただけですな』

 

別の国の代表者もそう言った。

 

『何を仰る!? 逆に言えば、たったそれだけの事でこれほどの被害を出したのですぞ!?』

 

大統領はそう言うが、

 

『ならば手を出さなければよかっただけの事』

 

『そ、それはあの者らが勝手に………』

 

『配下を制御しきれなかったのは、そちらの監督不行き届きなだけでは?』

 

多くの国の代表者たちは、俺の擁護に回ってくれている。

悠陽を除けば、単純にドルゴラモンと敵対したくないだけだと思うが。

 

『し、しかし、危険分子をこのまま放っておいてよいのですか!?』

 

大統領はそう叫ぶ。

 

「別に俺達を危険分子と判断するのは勝手だが、俺らは喧嘩を売られたら漏れなく反撃するぞ? 俺達は正義の味方でも無ければ、攻撃されても反撃しない聖人君子でも無いんだ。敵意には敵意で。力には力で応じる。その力が同じとは限らないが」

 

『ッ………やはり貴様は危険だ!』

 

「だとしたらどうする? G弾でもぶち込むか? その時には相応の反撃をさせて貰うが?」

 

『我が国のG弾の力の前に、無事でいられるとでも………?』

 

「むしろ、あの程度の威力でそこまで威張られてもねぇ………」

 

俺は平然とそう返す。

 

「それと………俺達を『敵』認定するのは結構だが………そんな奴をのうのうと放っておく俺達だと思うなよ…………? なあ、ハジメ?」

 

俺がそう呼びかけた瞬間、

 

『その通りだな』

 

『ッ!?』

 

ハジメの声が聞こえ、某国の大統領の顔面が蒼白になる。

何故なら、中継で繋がっている某国大統領が映っている画面の後方にいつの間にかハジメが立っており、その後頭部にドンナーの銃口を押し付けていたからだ。

 

『俺達は敵に容赦しない。敵は殺す………! 必ずな………』

 

『なっ………き、貴様一体何処から………この部屋には誰も入れるなと…………』

 

『俺達には、アンタらが何処に隠れようと探し出せる術があるし、地球上の何処に居ようと一瞬で移動できる方法も持っている。つまり、何処に逃げ隠れしようが、必ず探し出し、何時でも殺す事が出来るという事だ』

 

ハジメは更に強く銃口を押し付けた。

 

『ま、待て! 落ち着いてくれ………! 話し合おう……!』

 

『話すことは無い………! 言った筈だ。敵は殺す………!』

 

ドンナーの引き金に指が掛かる。

 

『ま、待て! 先程の言葉は取り消す! 君達には一切関与しない!!』

 

必死にそう言い放った。

すると、ハジメはその頭から銃口を離すと、

 

『その言葉、忘れるなよ』

 

ハジメはそう言うとクリスタルキーで空間ゲートを作り出し、その中に消える。

その直後、俺の横に空間ゲートが現れ、そこからハジメが現れた。

 

「さて、これで先程のハジメの言葉が嘘じゃ無い事は理解して貰えただろう。各国のお偉いさん方には、賢明な判断を期待する。以上」

 

俺はそう言い切ると、ハジメと共にこの部屋を出た。

 

 

 

そして結局、紆余曲折あったようだが、俺達に対しては不干渉という事で意見が一致したらしい。

 

 

 

 

 

 

 

因みに余談だが、この夜俺はカンナを存分に抱いた。

いくら〝再生魔法〟や〝魂魄魔法〟があったとはいえ、血塗れのカンナを見た時にはゾッとした。

カンナがここにいる事と、生きている事をしっかりと確かめる為に………………

 

 

 

 

 

 

 

 





はい、マブラヴ リ:デジタネイティヴ編第16話。
今回は逆鱗に触れた結果の回でした。
あえて何も言うまい。
それでは次回もお楽しみに。

………………悠陽は如何する?

  • 姉妹丼でいただきます
  • いい加減にしろやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
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