話が大きく脱線した俺達は、少しして話の続きをする事にした。
とは言え、奈落の50層までは大した違いは無く、ハジメ(原作)が1人だったために、俺達よりも神水のお世話になる事が多かったぐらいだろう。
そして、いよいよユエとの出会いだったのだが、
『すみません。間違えました』
ハジメ(原作)はそう言って封印部屋の扉を閉めようと、
「「「「「待てやコラ」」」」」
俺達は声を揃えてそう言った。
「流石にそれはねーだろ!」
俺は思わず叫ぶ。
「いや、常識的に考えて、あんな奈落の底に封印されてる奴は碌な奴じゃないと思って………」
「それはそうかもしれんが、碌に確かめもせずに扉を閉めようとするのはどうかと思うぞ?」
俺は思わずツッコむ。
まあ、何だかんだで結局助ける事にしたらしいが。
で、やはりこちらでもサソリの魔物は出たらしく、手古摺ったがユエ(原作)の協力で何とか倒したそうだ。
で、今度は俺達の番だが、サソリの魔物を倒す所までは同じだったが、
「その直後に完全体のスコピオモンが出てきたんだよな」
「ブッ!? いきなり完全体かよ!?」
ハジメ(原作)が驚きで噴き出す。
「当然の事だが、当時のハジメ達じゃ手も足も出なかった」
「今なら完全体ぐらいならやり合えるけどな」
ハジメが負けず嫌いが言いそうな言葉を言う。
「そこで俺のドルモンの完全体であるドルグレモンのお披露目となった訳だ」
「……………完全体同士の戦いで部屋が崩れなかったのか?」
ハジメ(原作)が危惧していた事を呟く。
「まあ、その辺は俺も考えてた。だから、スコピオモンの攻撃に耐えつつ、隙を見て一撃で仕留めたよ。スコピオモンにタコ殴りにされたのは俺も厳しかったけどな」
「何でお前が厳しいんだ?」
「俺達のパートナー関係は、一心同体に近くなるから、完全体に進化させるとパートナーデジモンのダメージがテイマーに伝わる事があるんだよ」
「……ああ。そう言えばテイマーズにはそんな設定もあったか」
ハジメ(原作)が納得したように頷いた。
更に話が進む。
印象が強いエセアルラウネとの戦いも、やはりこっちのハジメも、
『え、いいのか? 助かるわ』
と言って花で操られていたユエに向かって発砲したらしい。
その時は両方のハジメに向かって冷たい視線が集中した。
因みに俺が優花に抱き着いて気絶させられたというのは、笑い話にされた。
そしていよいよ最終階層のヒュドラとの戦い。
こちらのハジメ(原作)達は、ユエが黒い首の能力で精神攻撃を受けたらしい。
俺達の時は、ドルグレモンがあっという間に首引き千切ったからな。
そんな能力があったのか。
で、その精神攻撃を受けたユエ(原作)だが、情緒不安定になっていた所をハジメ(原作)の初めてのキスで我を取り戻したそうだ。
その時のユエ(原作)の表情はすさまじいドヤ顔で、白崎さん(原作)を煽っていた。
「そういえば、こっちじゃヒュドラとの戦いの途中でメガドラモンとギガドラモンが現れたんだったな」
「うん。リュウダモンが初めて完全体のヒシャリュウモンに進化したんだよ」
葵が笑みを浮かべながらそう言う。
「流石に完全体2体はドルグレモンでもきついからなぁ…………閉鎖空間だったから特に」
地上だったらもっと距離を取りながら戦って、何とかなったかもしれないが。
「私はそれよりも、直後に出てきたボルトモンの方が絶望的だったわよ」
優花がそう言った。
「ボルトモンって………究極体のか!?」
ハジメ(原作)が驚いたように声を上げる。
「ああ。ハジメ達がヒュドラを。俺達がメガドラモンとギガドラモンを倒した直後に突然現れたんだ」
「バトルアックスの一振りで大地を真っ二つにして、その地割れに大士が呑み込まれたんだよな」
「ああ。咄嗟の事だったから、葵と優花を突き飛ばすだけで精一杯だった」
ハジメの言葉に俺は頷きながら答える。
「それで地割れに落ちた大士を追ってドルモンもすぐに飛び込んで、私達も助けに行こうとしたけど、そのすぐ後にその地割れが閉じちゃって……………」
その言葉に、この世界のメンバーがゴクリと息を呑む。
「常識的に考えて、助かる可能性は無かった」
「特に私と葵は、その時になってやっと大士への恋心を自覚した時だったから、絶望感は半端なかったわね。私は怒りに任せてボルトモンに全力で攻撃したけど、かすり傷一つ付けられなかったわ」
「…………流石究極体………パねぇな…………」
ハジメと互角の力を持っていた優花の攻撃が、まるで通用しなかった事を聞いて、ハジメ(原作)が戦慄する。
「それでボルトモンが、私達に止めを刺すために、バトルアックスを投げつけて来て……………突然現れた魔法陣に弾かれたわ」
優花の言葉にハジメ(原作)が、おっ、となる。
「直後に大地の亀裂から光が溢れて、そこから現れたのは黒い聖騎士……………」
「大士とドルモンが進化した究極体…………アルファモンだったの。まあ、その時の私達は、アルファモンが大士とドルモンだって事を知らなかったんだけどね」
「アルファモンって…………最強のロイヤルナイツかよ…………」
ハジメ(原作)が俺を見て来る。
「テイマーの仲間内じゃ、デュークモンのクリムゾンモードを除けば、戦闘力に関しては一番高かっただろうな」
俺はそう言う。
ここだけの話、デ・リーパーの中でも最強の戦力と思われる『リーパー』だが、アニメではジャスティモンが危険を冒してサクヤモンの力をブレードに集めて一刀両断にしてたが、俺達の時は、アルファモンで一方的にボコってたりする。
再生能力だけはどうにもならなかったから、四聖獣が救援に来てくれるまでの時間稼ぎだったけど。
「それでアルファモンが、ボルトモンを瞬殺したんだよね。それでアルファモンが退化した時、大士とドルモンって事を初めて知ったの」
「葵は嬉しさのあまり、その場で大士を押し倒してキスまでしてたけどね」
葵に続いて優花がそう言う。
「あの時は………その………ずっと憧れてたアルファモンが、自分の心で好きになった大士だったって分かって、いろんな意味で感情が天元突破しちゃって………それで………」
その時を思い出してるのか、葵の頬は少し赤い。
「まあ、結局はお前らと同じで迷宮は無事にクリアしたって事だ」
「私と大士は皆やリュウダモン達に頼りきりだったから、迷宮攻略者とは認められなかったけどね」
俺の言葉の後で葵が補足する。
「それでその少し後だったよね。ユエがハジメ君の傍に居させて欲しいって言って来たのは………」
白崎さんが続き、
「ハジメの一番はカオリ。それは迷宮攻略の合間で十分に理解できた。それに、私はカオリの事も好きになった。だから、カオリを悲しませることも、私はしたくなかった。だから…………側室でもいいから、ハジメの傍に居させて欲しいと頼んだ」
ユエがそう言った。
「それで私はそれを受け入れて、ハジメ君をユエと2人で愛そうってことになったの」
そう言う白崎さんとユエの表情は楽しそうだ。
「…………………………」
ハジメも若干恥ずかしいのか、仏頂面でも頬を赤くしている。
「因みに私と優花も、2人で大士の入浴中に押しかけて、自分達の気持ちを伝えて2人で一緒に大士の恋人になったの」
「………………風呂に押しかけられたのか…………」
何故かそれを聞いて、ハジメ(原作)が遠い目をする。
聞けば、ハジメ(原作)も入浴中にユエ(原作)に押しかけられて性的に食われたそうだ。
なんか、変な所でハジメ(原作)に親近感を感じるのだった。
そして話は続いた。
オルクスの隠れ家での生活。
地上への帰還。
シアとの出会い。
フェアベルゲンでの亜人族とのいざこざ。
ハウリアのハー〇マン式訓練。
ライセン大迷宮攻略とミレディとの出会い。
フューレンまでの護衛依頼。
フューレンでの豚男爵に絡まれ、ギルドマスターと面会する事になり、ウィルの捜索依頼を受ける。
そしてウルへ。
関わった人間に多少の差はあれど、おおむね共通する事ばかりだった。
それからウルでの愛子先生たちとの再会。
ハジメ(原作)達は、いきなり愛子先生に見つかり、質問をのらりくらり躱していた様だ。
俺達の方だが、
「そう言えば、何故か愛子先生達と一緒に、インプモンが居たんだよなぁ」
「何でだよ!?」
流石にハジメ(原作)も予想外だったのかツッコミが入った。
「俺にも分からん。当てずっぽうで言うなら、イグドラシルがデジタルワールドからデジモン呼び出しまくってたから、その影響でインプモンもトータスに飛ばされたんじゃないかと思っている」
俺は自分の予想を口にする。
「ついでに言うと、愛子先生の護衛をしてた宮崎さんからはいきなり、優花に近付くなって言われたなぁ」
「あれには流石の私もムカッと来たわねぇ………」
優花がこちらの世界の宮崎さん(原作)に目をやる。
「ええっ!? 私なんかしたの!?」
宮崎さん(原作)が慌てながらそう聞き返す。
「ま、簡単に言えば、俺は葵、優花、白崎さんの3人を無理矢理攫って連れてったって話になってたんだよ。さっき話した王宮を強引に出て行ったときに、天之河が居たからな」
「ああ、納得」
ハジメ(原作)が秒で納得した。
それでだけで何があったのかを察したらしい。
「まあ、優花が窘めたお陰でとりあえずは謝って来たがな。その後の大体の流れはそっちと似たようなものだ。強いて言うなら、愛子先生の質問にはそれなりに答えた程度か」
そしてウィルの捜索の為に、山に向かう事になるが、やはり愛子先生はついてきたそうだ。
「滝の裏の洞窟でウィルを発見したんだが、その直後に洗脳された竜化したティオが襲って来たんだよ」
そして激闘の末、やはりケツパイルで正気を取り戻した…………というか新たな扉を開いてしまったそうだ。
その時の事を思い出しているのか、ティオ(原作)はイヤンイヤンと身体をくねらせている。
やはりこっちのティオ(原作)もドMの性癖を持っているらしい。
「こっちはティオの襲撃の直後に、デスモンとスカルサタモン2体が襲って来たな。まあ、ベルゼブモンに進化したインプモンのお陰で大した被害も無く倒せたけど……………」
「デスモンとか、何気にヤベーデジモン出て来てるのに、大した被害も無く倒すって、お前ら相当だよな?」
その辺の感覚は、最早麻痺してると言っていいからな。
デジモンもパワーインフレ激しいし。
「で、次は6万の魔物の大群だが……………」
ハジメ(原作)がそう言った時、
「こっちはアルファモンに進化して、秒で壊滅させたぞ」
俺はそう言う。
「改めてとんでもねえな、アルファモン。こっちは割と全力出し尽くして殲滅させたが……………とりあえず、魔物を操っていた清水を捕まえたんだが……………」
ハジメ(原作)がそう言った時、愛子先生(原作)の表情が暗くなるのに気付いた。
「愛子を人質に取った上で、悪あがきしようとしてたが、最終的に愛子を殺そうとした魔人族の魔法で致命傷を負い、それでも改心する様子を見せなかったから俺が殺した」
「…………そうか」
清水を殺した。
それを聞いても、そうか、という感想しか出てこなかった。
ハジメ(原作)が殺す必要があると判断したのならそうなのだろう。
「こっちは、あいつの気持ちは俺にはよくわかったからな…………世界を『物語』として考え、清水が主人公として紡いできた『物語』を読み返して、自分で憧れる事が出来るかと問いかけた。あいつはあくまで自分が憧れた『カッコいい主人公』になりたかっただけだ。だから、あえて世界を『物語』として考えることで、あいつに自分の行いを見直させたんだよ。そうしたら、案の定、自分の行いが『カッコ悪い』事に気付いて憑き物が落ちたよ」
「じゃ、じゃあそっちの清水君は生きてるんですね!?」
愛子先生が嬉しそうに聞いてきた。
「ああ。それなりに改心して生きてるよ」
「そうなんですか……良かった…………」
違う世界なのに、ここまで喜べる愛子先生は本当に優しいな。
「まあ、俺達の方はここからが大事件だったんだが………………」
俺はそう続ける。
「何だ? また究極体デジモンでも出てきたのか?」
もう驚くのも慣れたと言わんばかりにハジメ(原作)が余裕の態度でそう聞いてくる。
「いや。デジモンが現れたのはその通りだが、現れたデジモンは成熟期だった…………」
「成熟期かよ……………何でそれが大事件なんだ?」
成熟期と聞いて、期待外れと言わんばかりに息を吐くハジメ(原作)。
「……………その現れたデジモンとは………………『レオモン』だった」
「ッ………!?」
俺の言葉に、ハジメ(原作)は一瞬目を見開く。
だが、すぐに気を取り直し、
「………そりゃ驚くだろうな。お前らにしちゃ。けど、同じレオモンってだけで、お前らの知ってる『レオモン』じゃ無かったんだろ?」
ハジメ(原作)はそう言ってくる。
「最初は俺もそう思った。それに、そのレオモンは明らかに正気を失っていた。ベルゼブモンもやり難そうだったが、問答無用で襲って来たから、仕方なく返り討ちにしようとした。だけど……………」
俺は言った言葉を区切り、
「俺とドルモンが攻撃しようとした時、ベルゼブモンがレオモンを庇ったんだ。そして言った。このレオモンは、『ジュリのレオモン』だと………!」
「なっ!?」
その事実に、ハジメ(原作)は驚愕の声を漏らした。
「俺も最初は信じられなかった。知っての通り、俺達の世界のデジモンは生まれ変わるという事をしない。『死』ねばそれまでだ。だが、イグドラシルが関わっていたとなれば、ダークエリアからレオモンのデータをサルベージして、再構築する事も可能だったのかもしれない。だが、当時は何故レオモンが現れたのかは分からなかった。だけど、1つだけ分かった事があった」
「分かった事?」
白崎さん(原作)が首を傾げる。
「それは…………『レオモンを助けられる』可能性があるという事だ。何故目の前にレオモンが現れたのかなんて関係無い。かつて助ける事が出来なかった『仲間』を、もう一度助ける事ができるチャンスを貰えた。その時の俺達には、それで十分だった。ベルゼブモンはレオモンを殺してしまった償いの為に。俺は、レオモンを止める事が出来なかった過去の過ちを償う為に…………」
「「「「「「「「「「……………………………」」」」」」」」」」
「俺達は必死に呼びかけた。何度言葉を無視されようと、何度攻撃を受けようと、何度も呼びかけた。何度も、何度も……………それでも、僅かに反応を見せたけど、それでも正気に戻る様子を見せなかったレオモンに対して、ベルゼブモンはある賭けに出た」
「賭け?」
「ああ。それはかつてベルゼブモンがロードしたレオモンのデータを、レオモンに返す事だった」
「そんな事が可能なのか!?」
「俺もそんな事が出来るとは知らなかった。いや、ベルゼブモンも出来る確信がある訳じゃなかったんだろう。だが、それでもやるしかなかった。ベルゼブモンにとっても、かなり無茶な危険な賭けだったとは思うぞ」
一度ロードしたデータを引っぺがすなんて事は、言葉通り身を削る思いだったんだろう。
「だが、その甲斐あってレオモンは正気を取り戻した。ベルゼブモンの言った通り、そのレオモンは、ジュリのパートナーのレオモンだったわけさ」
あれは本当に奇跡だったと今でも思う。
気付けば、話を聞いていた皆は呆然としていた。
「ん? 如何した?」
俺がそう聞くと、
「いや、さっきも言ったけどよ……………お前、やっぱりデジモンの主人公だわ」
ハジメ(原作)が改めて納得したようにそう言うのだった。
原作クロス編第4話です。
とりあえずウルまでをすっ飛ばしつつ語りました。
まあ、ウル直前までは大きな変化は無いですからね。
次は何処まで行けるかなぁ………?
お楽しみに。
P,S 今回の返信もお休みです。
マブラヴ編の次は?
-
トータス旅行記編
-
原作クロス編