ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第7話 相違点 その⑤

 

 

 

ハウリア族と合流してから、ハルツィナに向かうついでに捕らえられていた亜人達をフェアベルゲンまで送り届け、そこで予定を変更して囚われたと思われるカム達を助けに行くことを決める。

帝都へ向かった後、冒険者ギルドで情報を集め、ハジメが質が悪くて強い酒を一気飲みする事で情報を得ることに成功。

カム達が捕えれている場所を知っている者をハジメとユエで尋問(?)して居場所を聞き出し、余計な事をしそうな天之河達に帝都で騒ぎを起こして貰って囮にするという話までは共通していた。

それで、

 

「こっちの天之河達はあのままモロバレな恰好で騒ぎを起こしに行ったわけか…………」

 

俺は呆れた声を漏らす。

 

「俺もそこまでアホだとは思わなかったな………」

 

ハジメ(原作)も呆れた表情だ。

 

「それに天之河達はともかく、八重樫さんまであんな仮面を被るとは…………」

 

俺が視線を八重樫さん(原作)に移すと、

 

「言わないで………私だって今思えば何であんな仮面したのか後悔してもしきれないんだから…………!」

 

顔を背けながら羞恥心で赤くなった顔を隠す様にポニーテールを顔に巻き付けていた。

 

「で? そう言うって事はそっちじゃどうしたんだ?」

 

ハジメ(原作)が問いかけて来る。

 

「こっちでも、金ぴか装備に聖剣なんてモロバレな格好で行こうとしてたな。お目付け役でついてった筈の八重樫さんに至ってはコテモン連れてったし…………」

 

その言葉で一同が八重樫さん(原作)を見た。

八重樫さん(原作)は未だポニーテールを顔に巻き付け続けている。

 

「それを見た俺は、流石にバレてリリアーナ王女の迷惑になるだろうと判断して、独断で計画を変更する事にしたんだ。その当時にそのメンバーが見た事が無かったドルグレモンを街中で暴れさせて、天之河達に撃退させようって考えたんだ」

 

「なるほど………天之河達には襲撃者じゃなくて、ヒーローになって貰おうって事にしたのか。上手くやれば、帝国に恩も売れて、リリィの交渉も有利になる可能性もあるしな」

 

「ご名答」

 

ハジメ(原作)は即座に俺の狙いを察した様だ。

 

「まあ、当然かなり手加減して天之河達の相手をしてたんだが………それがこっちの八重樫さんの癪に触ったようでな…………」

 

「ん? なんかあったのか?」

 

ハジメ(原作)が首を傾げる。

 

「コテモンを完全体のナイトモンに進化させてな…………マジで負けそうになった」

 

「おおぅ………世界は違っても流石は雫。やるじゃねえか!」

 

ハジメ(原作)は驚きと尊敬の感情を伺わせた。

 

「とりあえずエイリアスのカードで分身を作り出して、その場は撤退させてもらったが、そのすぐ後でバレる事になったけどな」

 

俺は笑いつつ話を進める。

ハジメ達がカム達の救出に成功し、カムから帝国へ『戦争』を仕掛ける事を知らされる。

シアとのイザコザがあったが、ハジメはカム……いや、ハウリア族への助力を決め、帝城へ向かい、ガハルドとの面会。

リリアーナ王女とガハルドの息子の…………名前は忘れたが、バカ皇太子との婚約披露パーティーに招待された。

その中でのハウリアの襲撃。

俺達は傍観に徹し、ハウリアは見事ガハルドに負けを認めさせた。

その中で皇太子が殺されたため、リリアーナ王女の婚約は白紙。

結果オーライとなった。

とまあ、この辺りにも大きな違いは無かった。

そして、フェアベルゲンで数日滞在した後、大迷宮の入り口である大樹の元へ辿り着いた。

こちらの世界のハジメ達(原作)は、何事もなく迷宮に入る事が出来たらしいのだが、

 

「あん? お前らの方は魔人族の襲撃を受けたのか?」

 

ハジメ(原作)は少し驚いたような表情を見せた。

 

「ああ。確か、樹海と一緒に大迷宮を手に入れようとしたらしい。けど、ハウリア族の所為で失敗したから、せめて神代魔法だけでも、って思ってやって来たら迷宮攻略の証が足りずに立ち往生してた所に俺らと出くわしたらしい」

 

「なるほどな…………」

 

「で、その時はロイヤルナイツを連れていなかったから、負ける要素が無いと思ってたんだが…………」

 

「何か予想外の事でも?」

 

「…………空間魔法で俺だけ別の場所に飛ばされた」

 

「っておい! そん時のお前のステータスって確か!?」

 

「ああ。一般の成人男性とそう変わりのないステータスだったからな。孤立するのは自殺行為だ。ドルモンとも分断させられて、正真正銘俺1人。あの時はマジで命の危機を感じたな」

 

俺はその時を思い出してしみじみと頷く。

 

「しかもご丁寧に転移先ではミノタルモンが待ち構えてたからな…………正直絶望的だった……………俺に出来るのは逃げ回って時間を稼ぐことぐらいだったんだが……………5分ぐらい逃げ回るので精一杯だった。ミノタルモンの攻撃が掠っただけで吹っ飛ばされて、木に叩きつけられて意識が朦朧として、気付いた時にはミノタルモンが鋼鉄の左腕を振り上げていたよ」

 

俺の言葉に、周りの人間がゴクリと息を呑む。

 

「それでも俺は生きる事を諦めたくなかった。何が何でも生き抜いてやるって思った。だから立ち向かった。振り下ろされるミノタルモンの左腕に、無我夢中で殴りかかったよ…………………そうしたら……………」

 

俺はそう言いながら右手を軽く掲げ、

 

「…………デジソウルに目覚めた」

 

拳を握りながら金色のデジソウルを宿した。

 

「ゴフッ!? な、何でテイマーズ世界のお前がデジソウル使えるんだよ!?」

 

ハジメ達(原作)が噴き出しながらツッコミを入れた。

 

「それは知らん。まあ、デジソウルは想いの力だから、誰に発現しても可笑しくは無いからな。実際にそこに居るシュヴァリアもデジソウルは使えるぞ」

 

「ほれ」

 

俺の言葉に続いて、シュヴァリアがその手に黒いデジソウルを発生させる。

 

「後は、ここには居ないが俺の恋人の5人と、俺らの世界の遠藤もデジソウルに目覚めている」

 

「俺も!?」

 

驚愕の声が響く。

俺がそちらを向くと、

 

「…………居たのか遠藤?」

 

今初めて気付いた俺はそう呟く。

 

「居たわ! 最初から居たわ! むしろこの場所に最初に集まったのが俺だったわ!」

 

遠藤(原作)がそう捲し立てる。

 

「…………それよりも遠藤がデジソウル使えるってマジ?」

 

「マジだ。因みに遠藤もテイマーになって、パートナーデジモンにファルコモンが居る」

 

「マジか!? 今までで一番驚いたわ!!」

 

ハジメ(原作)は声を上げて驚きを露にする。

 

「まあ、話を戻すが、デジソウルに目覚めた俺はミノタルモンを何とかぶっ飛ばして皆の元に戻る事が出来たんだ。とりあえず魔人族を殴って、デジソウルを使ってドルモンの新しい進化も出来るようなったわけだ」

 

「おお…………デジソウルを使えるようになったって事は、究極体を殴り倒せたりするのか?」

 

「その当時は無理だったな。精々完全体の突撃を押し返せるぐらいだ」

 

「って、完全体なら押し返せたのかよ!?」

 

「因みに今ならロイヤルナイツ級でも殴り倒すだけなら可能だったりする」

 

「って、結局できるんかい!?」

 

ハジメ(原作)のツッコミが冴えわたる。

正確にはハルケギニアでマサルと戦ってからだが。

 

「とりあえず、何とかピンチをしのいだ俺達は、改めて迷宮攻略に挑んだわけだ」

 

転移直後にパーティーの数名が偽物にすり替えられ、本物は魔物の姿で迷宮内部に放り出された事。

魔物姿のユエに斬りかかろうとした天之河をぶっ飛ばしたり、魔物姿のティオが何故か寄ってたかってボコられていて、それでいて嬉しそうにしていたり、オーガの姿となった坂上がガチンコ勝負を繰り広げていたり。

そこにハジメと白崎さんの完全体への初進化とスライムとなった俺が加わっただけだろう。

理想の夢世界でも、やはり天之河、坂上、谷口さんはクリアできていなかった。

性欲を暴走させるスライムの試練でも、やはりその3人はハジメに磔にされ、続くGについては思い出しくも無いので満場一致で省略した。

そして結果はやはりというべきか、天之河、坂上、谷口さん以外は合格となった。

旅は佳境に入り、最後の大迷宮に向かう。

こちらのハジメ達(原作)は何事もなくシュネー雪原まで辿り着いたのだが、

 

「こっちじゃシュネー雪原に行く道中に、飛行型デジモンの大軍に襲われたな。ユエ、シア、ティオがパートナーを完全体に進化させたから、何とか切り抜けたが」

 

「…………………お前らって、俺ら以上に襲撃受けてるんだな…………」

 

ハジメ(原作)がしみじみと呟く。

その声には同情が見て取れた。

お互いに出来事の違いはあれど、シュネー雪原に到着する。

見事なスケート技術を披露するビッグフットの数の違いはあれど、ゾンビの大軍に襲われ殲滅し、心の不安を煽る声が聞こえ、氷のゴーレムと戦った。

その後別々に転移させられ、それぞれが自分の虚像と戦う事になった。

 

「私は心を読み取られる段階で無効化しちゃったから、その試練はスルーしちゃったんだけどね~」

 

葵が軽く笑いながらそう言う。

こちらのハジメ達(原作)は、それぞれクリアしていたのだが、危なかったのが八重樫さん(原作)。

ハジメ(原作)への恋心を偽り続けていたために、虚像の力が増していき、大ピンチに陥った。

そしてついに止めを刺されるかと思った瞬間、自分の試練を突破してきたハジメ(原作)が現れて八重樫さん(原作)。

ハジメ(原作)の激励もあり、我を取り戻した八重樫さん(原作)は、見事一太刀で虚像を斬り伏せた。

その後、ハジメにめっちゃ甘えたそうだ。

八重樫さん(原作)は、恥ずかしいのか再びポニーテールを顔に巻き付けている。

それでハジメ(原作)は八重樫さん(原作)を背負って先へ進んだのだが、そこに居たのは自分の虚像にいい様にされる天之河(原作)。

安心しきった顔で、ハジメ(原作)に背負われる八重樫さん(原作)を見た瞬間、感情が爆発したのかハジメ(原作)に襲い掛かる天之河(原作)。

自分の虚像と一体化し、パワーアップしてハジメ(原作)に襲い掛かるも、ハジメの敵ではなく程なく無力化させられたそうだ。

 

「こっちだと俺が天之河の相手をしたのか…………」

 

ハジメが呟く。

 

「そっちじゃ違うのか?」

 

「ああ、こっちじゃ試練を突破した直後に究極体デジモンが襲って来たからな。次へ進んだタイミングはそっちよりかは遅かったんだろう」

 

ハジメがそう言うと、

 

「って、究極体デジモン!? よく無事だったな…………」

 

さり気に行ったハジメの言葉に、ハジメ(原作)は唖然とした声を漏らした。

 

「はっ! テメエも言っただろ? 『今、この戦いで十数分前の自分より強くなればいい!』。それはデジモンテイマーであっても同じ事だ」

 

ハジメは自信を持ってそう言う。

 

「俺とアグモンはその戦いで究極進化をモノにした。究極体、ブリッツグレイモンへの進化をな!」

 

「おう! 俺と相棒が組めば当然だぜ!」

 

アグモンも誇らしげに声を上げた。

 

「………なるほど…………だが、それだと雫は無事だったのか? 俺の時よりタイミングが遅かったとなると…………」

 

ハジメ(原作)が八重樫さんを心配する声を漏らした。

 

「そこは大丈夫だ。雫にはコテモンがついてたからな。コテモンのお陰で雫は気力を取り戻したらしい。まあ、その後すぐに究極体のタイガーヴェスパモンに襲われてたから、結局はギリギリ俺が助ける事になったのは変わりなかったが……………」

 

「また究極体か…………」

 

次から次に現れる究極体に、ハジメ(原作)は冷や汗を流しているように思える。

 

「まあ、雫もコテモンとの究極進化を会得して、ガイオウモンに進化して倒したけどな」

 

「ガイオウモン………X抗体デジモンかよ………」

 

ハジメ(原作)は呆気にとられた声を漏らす。

 

「私達の方にも究極体のスラッシュエンジェモンが出てきたんだよ。その時にはユエ、シア、少し遅れてティオも合流して戦ったけど、全然敵わなかったんだ。でも、私とガブモンがクーレスガルルモンに究極進化できたから、何とか倒せたんだ」

 

「…………ブリッツグレイモンにクーレスガルルモン…………まさか………」

 

白崎さんの言葉を聞いて、ハジメ(原作)が何やら呟いた。

 

「そんで、俺の方は葵、優花達と合流して先に進んでたんだが、その先に居たのが天之河だったんだよ。そっちと同じで虚像にいい様にやられてたな」

 

あの試練は天之河には鬼門だったのだろう。

自分の心の闇から目を逸らし続け、自分が『正義』だと信じたいが為に。

 

「あまりにも酷かったから、思わず口を出したよ。目の前に居るのは紛れもなく自分が持つ心の『闇』だって、認めたくないからと言って頭ごなしに否定するんじゃない。『闇』と向き合えってな………そしたらどうなったと思う?」

 

それを聞いた何人かは清水の時の様に改心する事を期待する眼差しだったのだが、

 

「……………お前は俺の『正義』を否定するのかって逆切れされたよ」

 

「天之河ェ……………」

 

ハジメ(原作)が、やっぱりと言いたげに溜息を吐いた。

 

「後はそっちのハジメの時と同じように虚像と一体化して襲い掛かって来た。まあ、その時の俺は完全体ともそれなりにやり合えるぐらいになってたから、特に問題無く伸せたけどな」

 

「やっぱりどこの世界も、天之河さんは天之河さんなんですねぇ………」

 

シア(原作)が、やれやれと言いたげに呟いた。

それからは迷宮を攻略し、神代魔法の取得。

それと同時に、ハジメとユエ、俺達の方は優花も概念魔法を取得する事になる。

そしてクリスタルキーの作成。

それから迷宮の出口へ送られたところで魔人族の待ち伏せに遭い、クラスメイト………はともかく、ミュウとレミアさんが人質になっていた事を知り、大人しく魔王城へ連れて行かれる事になった。

 

「そういや、さっきの話からだと、ここからお互いの出来事が大きく変わってくるんだよな?」

 

ハジメ(原作)がそう言う。

 

「そうらしいな」

 

ハジメが答える。

 

「なら、ここからは最後までお互いに話しちまうか」

 

ハジメ(原作)がそう言って話を続けた。

ハジメ(原作)の方は、ユエ(原作)の叔父であるディンリードの身体を乗っ取った魔王アルヴが現れ、ユエ(原作)の心をかき乱す作戦を取って来た。

何とかそれは退けるも、中村(原作)と魔人族達の不意打ちに手を焼かされ、一瞬の隙を突かれて光の柱がユエ(原作)を包み込み、エヒトがユエの身体を乗っ取った。

エヒトの『神言擬き』や、怒涛の魔法攻撃にピンチに陥るも、身体を奪われたユエ(原作)の必死の抵抗によりエヒトはその場から撤退し、後始末をアルヴが受け持った。

しかし、ユエ(原作)を奪われたハジメ(原作)は我を見失い、全てを滅する概念魔法を作り出し、アルヴを圧倒、消し飛ばした。

だが、ハジメ(原作)はそれだけでは止まらず、神域へのゲートを潜ろうとしたが、弾かれてしまい、ハジメ(原作)の目の前でゲートは閉じてしまう。

それからハジメ(原作)は八つ当たりの様に魔人族を殺し始める。

明らかに非戦闘員と分かる者達まで目標にしたのだ。

だが、その前に立ちはだかったのがミュウ(原作)だった。

『パパはこんなに格好悪くない!』

と叫び、ハジメ(原作)の前に立ちはだかったそうだ。

その直後に白崎さん(原作)に殴り飛ばされ、何とか正気を取り戻したハジメ(原作)はユエ(原作)奪還の為に行動を開始する。

エヒトはどうやら3日後に地上へ大進攻を開始すると告げていたようで、ハジメ(原作)はその時までに最大限の準備をした。

ミレディから神殺しの武器を受け取り、王国だけでなく帝国にも応援を要請、連合軍を作り、更にはフェアベルゲンから戦える亜人達も連れて来て、ティオを通じて竜人族も引き入れた。

それらの戦力をハジメ(原作)のアーティファクトで底上げし、更にはハジメ(原作)も色々な武器を可能な限り開発した。

そして3日後、神山上空に空間の亀裂が現れ、そこから雨の様に魔物と神の使徒が現れる。

しかし、自重しないハジメ(原作)は開幕ブッパとばかりに、隕石の如き無数の大質量落下攻撃、『ヒュベリオン』を改良した『パルスヒュベリオン』7機による太陽光レーザーの雨あられ。

ダメ押しとばかりに、限界まで太陽光エネルギーを詰め込んだ爆弾を落とし、大半を殲滅したという。

神山は跡形もなく崩れ去り、地形が変わったそうだ。

そしてハジメ(原作)は、シア、ティオ、八重樫さん、坂上、谷口さん達(原作)と共に、神域へ突入。

八重樫さん、坂上、谷口さん(原作)は、天之河(原作)と中村(原作)を相手にする為に動き、シア(原作)とティオ(原作)は、フリードと白竜、更にはエーアストと呼ばれる神の使徒のリーダーを受け持ち、ハジメ(原作)はユエ(原作)奪還のみを視野に動いていた。

結果を言えば、激闘の末、中村(原作)は死亡。

天之河(原作)は〝魂縛〟から解放され、八重樫さん(原作)の説教を受けたらしい。

シア(原作)とティオ(原作)は見事打ち勝った。

そして、ハジメ(原作)がエヒトの元に辿り着いた時、ユエ(原作)の身体は先程の大人の姿になっていたそうだ。

エヒトが成長させたらしい。

戦いが始まり、エヒトが圧倒的な魔法でハジメ(原作)を圧倒してくるも、綿密に練られたハジメ(原作)の作戦と執念により、ユエ(原作)の身体の奪還に成功。

最終的には2人でエヒトに止めを刺したという。

それから神域が崩壊しかかるも、ミレディが現れてハジメ達(原作)を脱出させ、ミレディは神域の崩壊のエネルギーを封じるためにその身を犠牲にした。

地上の方も白崎さん(原作)の活躍と、ガハルドを始めとした実力者たちの奮闘により被害は最小限に抑えられ、見事勝利と相成った。

そうして晴れて大団円を迎えたという訳だ。

 

「「「「おお~」」」」

 

俺達は思わず拍手をする。

中村が死んではいるが、圧倒的な力を持っていた(らしい)エヒトを相手に激闘を制し、囚われのお姫様(ユエ)を救い出した。

 

「お前も十分主人公じゃねえかハジメ」

 

俺はそう言う。

 

「俺は自分の『特別』を取り戻すために戦っただけだ。奴は俺の『特別』に手を出した。だから殺した。それだけだ」

 

「俺から見れば、十分主人公さ」

 

「………そうかい」

 

そう言ってハジメ(原作)は息を吐いた。

 

「次はお前らの番だぜ?」

 

ハジメ(原作)は漸く聞きたかった事が聞けると言わんばかりに期待の眼差しを向ける。

俺は口を開いた。

 

「そうだな………ユエが身体を乗っ取られるまでは大体同じ流れだ。ユエの身体を乗っ取ったエヒトは、『神言擬き』で俺達の動きを封じてきた」

 

「まあ、強烈な初見殺しだからな…………」

 

俺の言葉にハジメ(原作)は同意する様に頷く。

 

「だが、魂魄魔法に絶対的な耐性がある葵だけはその影響を受けなかった」

 

「ッ!? 『神言』まで無効化したって言うのか!? っていうか、神言『擬き』って何だよ?」

 

「それは後でわかる。とにかく、葵は『神言擬き』を完全に無効化していた。エヒトの真名を用いた『神言擬き』ですら、葵には通じなかった」

 

「マジか…………?」

 

ハジメ(原作)は本気で唖然としていた。

それを見ていたユエ(原作)が、

 

「………………ユエの名において命じる、〝右手を上げろ〟!」

 

葵に向けて命令を発した。

 

「?」

 

しかし、葵はキョトンとしたまま首を傾げる。

 

「………本当に『神言』が通用しない」

 

ユエ(原作)がそう言う。

 

「なんだ? もしかして、そっちのユエって『神言擬き』まで使えるのか?」

 

「元々ユエは魔法のエキスパートだ。自分の身体で何度も魔法を使われれば、その仕組みを解明するなんて簡単な事だ」

 

ハジメ(原作)はドヤッと言いたげに誇らしげにそう言う。

 

「ああ。なるほど」

 

俺は納得する。

 

「っとまあ、話を続けるが、いくら葵が動けても、その当時の葵のステータスは2000未満。とてもじゃないがエヒトに太刀打ちできるほどじゃなかった。案の定、葵の攻撃は簡単に止められ、通用しなかった。そして、『神言擬き』で動きを封じられていた俺の目の前で、葵は胸を貫かれた…………葵が貫かれたところを目撃した俺は、激情に駆られながら『神言擬き』を振りほどいてエヒトを殴り飛ばし、葵を助け出した。だが、心臓を貫かれた葵は、俺の腕の中で息絶えた………」

 

「ッ………! だ、だけど、こうやってここに居るって事はちゃんと助かったって事でしょ!? 魂魄魔法で蘇生できたんだよね!?」

 

白崎さん(原作)が焦った様に言う。

 

「ティオに言われてそれに気付いた俺は、こっちの白崎さんにすぐに頼んだよ。葵を助けてくれって………だけど、葵の魂魄魔法に対する絶対的な耐性は死んでも有効だった。白崎さんが葵の魂に干渉しようとしても、尽く弾かれた」

 

「そ、そんなっ………!」

 

「白崎さんだけじゃなく、優花とティオも協力して魂魄魔法を行使したが、結果は変わらず、葵の蘇生は成功しなかった…………やがて、3人の魔法力が尽きた…………」

 

俺はその時の感情を思い出す。

圧倒的な喪失感と絶望。

そして、空虚な心の奥底から湧き上がろうとする激しい怒りと憎悪。

 

「『葵が死んだ』…………それを実感した俺は心の奥底からエヒトに対する激しい怒りと憎しみが沸き上がるのを感じていた。だけど………ほんの僅かに残っていた理性が、その感情の爆発を抑えていた……………何故なら………その感情を爆発させてしまえば、無二の親友………半身まで失ってしまう事が分かっていたからだ…………」

 

「ッ!? 暗黒進化か!!」

 

ハジメ(原作)が気付いたように叫ぶ。

 

「ああ。実際にレオモンが殺された時に、タカトのメギドラモンへの暗黒進化を直に見ていたからな………その危うさも、画面越しに見る以上に理解できていたんだ…………」

 

実際にメギドラモンを見ていたから分かる暗黒進化の危険性。

タカトだって一歩間違えればギルモンを失っていた。

 

「それを理解していた俺は、必死に感情の爆発を押しとどめていた。だが、葵を………俺の『特別』を殺された憎悪は、簡単に収まるものじゃ無かった。次から次へと沸き上がる憎悪と、それを抑えようとする理性のせめぎ合いは、俺の心に急激な負荷を与えていた。あのままだったら、俺の心は間違いなく壊れていた……………」

 

「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」

 

俺の言葉に、周りのメンバーは何とも言えない様な表情をしていた。

 

「けど、そんな俺に我慢しないように言って来たのが、他でもないドルモンだった………」

 

「「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」

 

俺の言葉に驚きの声を漏らす一同。

 

「だって、あの時の大士は本当に酷い顔で………とても見ていられなくて…………」

 

ドルモンはそう語る。

 

「無理にでも憎悪を押し込めようとする俺に、ドルモンは言ったんだ。『大士の怒りも悲しみも……………全部俺が受け止めるから………………俺がどんな姿になっても……………俺は絶対に大士を恨んだりしないから…………………』ってな」

 

「「「「「「「「「「………………………………………」」」」」」」」」」

 

「そんなドルモンの思いやりが、俺の理性を崩していった……………ドルモンを失うかもしれないと分かっていたのに……………俺はドルモンの思いに甘えてしまったんだ……………………そして俺は怒りのままにドルモンを進化させてしまった。破壊の権化、ドルゴラモンに…………………」

 

初めてドルゴラモンに進化させてしまった時を思い出す。

 

「そして当然、そんなドルゴラモンが制御できるわけなかった………いや、制御する気も無かったって事かな………? ドルゴラモンは、俺の怒りのままに暴走を開始した。手始めに目の前に立ち塞がったフリードを含めた多数のデジモン達を、ドルゴラモンは破壊の衝撃であるドルディーンによって消滅させた。勢い余ってそのまま大陸を真っ二つにしたけどな」

 

「た、大陸を真っ二つ!?」

 

「破壊の衝撃が地平の彼方まで届いて、地殻を貫いてマグマを溢れさせたぞ」

 

ハジメがそう説明する。

 

「………俺のやらかしが軽い児戯に聞こえて来るな………」

 

こちらのハジメ(原作)が行った破壊は、世界一とは言え、山1つを潰した程度。

俺は国どころか大陸規模の大破壊だ。

これでもまだ序の口だが。

 

「エヒトだって黙ってみているだけじゃ無かった。手持ちのデジモン達や、使徒たちを総動員してドルゴラモンに対抗してきた。ドルゴラモンも、動きは鈍ったな」

 

今だから言えることだが、あの時のドルゴラモンは殆どダメージを受けていなかった。

動きが鈍ったのは、虫にたかられるようなウザったさに加え、俺の心から流れ込む感情の変化に対応し始めていたからだ。

 

「丁度その時、俺の感情は次の爆発を迎えていた。唯の怒りじゃない………エヒトに対する憎しみ………憎悪の感情を…………! ドルゴラモンはそれに応えて更なる進化………デクスドルゴラモンへと変貌を遂げた」

 

「デクスリューションまでしたのかよ!?」

 

ハジメ(原作)が驚愕の声を上げる。

 

「デクスドルゴラモンはドルディーンでデジモンや使徒たちを薙ぎ払った……………その巻き添えで魔国も全て消し飛んだけどな」

 

「「「「「「「「「「ッ…………!?」」」」」」」」」」

 

「生き残った魔人族は0.1%に満たないだろう。もしかしたら、マジで全滅したのかもな。だが、その時の俺には何の感慨も浮かんでこなかった。ただ、1秒でも早くエヒトを破壊する。その時の俺はそれしか考えてなかった」

 

「ってちょっと待て! その時のエヒトはまだ………!」

 

「ああ。ユエの身体さ。だけと、そんな事俺には関係無かった。その身体がユエのものだろうとエヒトの存在は許さない。それだけだった」

 

「当然俺も止めるよう呼びかけたが、あんときの大士は聞く耳持たずだった。流石にユエが殺されるのを黙ってみていられない俺は、大士に銃を向けた」

 

「あのままだったら、俺はユエ諸共エヒトを破壊し、ハジメによって殺されていただろうな」

 

「ど、どうなったんだよ…………」

 

ハジメ(原作)が戦慄しながら問いかけて来る。

 

「けどその時、羽音と共に声が響いた。『落ち着いて………』って。その声を聴いた瞬間、黒く憎しみに染まっていた俺の心が、一瞬にして拭い去られた。その影響でデクスドルゴラモンも止まってドルモンに戻った。そして、俺達の前に現れたのは……………………『女神』となった葵だった」

 

「「「「「「「「「「……………………………………………はっ?」」」」」」」」」」

 

こちらの世界の一同が素っ頓狂な声を漏らす。

 

「俺が転生者って事はさっき言っただろ? その転生した理由が、神のミスによって運命が狂ってしまい、間違って死んだからなんだよ」

 

「テンプレ乙」

 

「こっちのハジメと反応一緒だな。で、一言で言えば、葵はその俺を間違って死なせた女神の生まれ変わりだったんだよ。俺を死なせた罪の償いとして、人間に転生させられたんだ。ついでに本来なら誰とも結ばれない運命を背負った俺を支え、共に生きる事が葵の使命だったらしい」

 

「まあ、今は色々あってそんな使命とか関係無しに大士にベタ惚れだけどね。あ、因みに女神姿の私がこれね」

 

葵はそんな軽い口調で女神化してみせる。

蒼銀の髪に白く大きな翼。

運命神 アルオイスとなる。

 

「これが女神の姿の私です」

 

アルオイスから放たれる神気を受け、ハジメ達(原作)が絶句する。

 

「エヒトの様な神気取りの偽神とは違う。葵………アルオイスは本当の『女神』だ」

 

「本来は『神代 葵』の生が終わるまで女神の記憶と力は封印されている筈でしたが、トータスに召喚され、度重なる魂への干渉や魂魄魔法の取得によって徐々に封印が緩んでいき、最後に行使された3人の魂魄魔法が切っ掛けとなって、記憶と僅かな力を取り戻す程に封印が緩んでしまったのです」

 

「ほ、本物の女神…………」

 

「う、うむ………あのエヒトとは『格』が違う………本能的にそれを理解させられるのう………」

 

それぞれが驚愕の声を漏らす。

 

「葵の覚醒によって、エヒトはあっさりと無力化され、魂の格が上の者から下の者に行う本当の『神言』によって、ユエの身体からエヒトの魂を、ユエの叔父の身体からアルヴの魂を分離させた。そして、『神の断罪』によって、エヒトとアルヴの魂は存在そのものを抹消された。正に『神罰』だな」

 

「エヒトをそんなあっさりと?」

 

「だから言っただろ? それだけ俺らに取っちゃ印象の薄い相手だったんだよ。むしろ、俺達にとってはここからが本番だ」

 

そして俺達の話はいよいよ本番…………ロイヤルナイツやイグドラシルの話へと入っていくのだった。

 

 





原作クロス編第7話です。
それなりにモチベーション取り戻して書けました。
やっとここまで来た。
漸く次で話し合いが終わるかな?
お楽しみに。

マブラヴ編の次は?

  • トータス旅行記編
  • 原作クロス編
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