ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

278 / 298
第10話 力試し その➁

 

 

 

「「うぉらぁあああああああああああっ!!!」」

 

義手である左腕の拳をぶつけ合う2人のハジメ。

2人の周辺には紅いスパークが走り回り、衝撃だけで地面をめくり上げる。

 

「はっ! せいっ!」

 

優花が空中を、空力の足場で駆け巡りながら手裏剣と苦無を投擲し、

 

「うりゃりゃりゃりゃぁっ! ですぅ!」

 

その飛来する手裏剣と苦無を、シア(原作)はまるで棒切れのように戦槌を振り回し、その全てを叩き落す。

シア(原作)は一度戦槌を肩に担ぎ直すと、

 

「確かにこっちの優花さんの投擲とは比べ物になりませんが、その程度ではこの私には届きませんよ!」

 

シア(原作)は、先程は普通の身体強化では手がしびれてしまったので、現在は身体強化のレベルを上げている。

 

「…………………」

 

優花は特に反応せずに投擲を続ける。

 

「てぇぇぇぇぇい!」

 

それを事も無げに弾くシア(原作)。

 

「ふふん! そうやって遠くからチマチマ攻撃するだけですかぁ? あ、もしかしてこの私が怖いんですかぁ? 臆病ですねぇ」

 

何故か優花を煽るような事を言い出すシア(原作)。

 

「…………慣れない挑発は止めときなさい。自分の間合いに引き込もうとする狙いが見え見えよ。それから、勿論シアの事は怖いわ。シア相手に近接格闘なんて自殺行為するわけないでしょ」

 

「むむむ……………」

 

狙いが見透かされた事で、顔を顰めるシア(原作)。

更には、

 

「「雷龍!」」

 

2匹の雷の龍が暴れ狂い、

 

「分解っ!」

 

「聖絶!」

 

銀光を纏う白崎さん(原作)が光の結界を破ろうと突撃している。

そして、

 

「はぁあああああああっ!!」

 

「何のっ! まだまだじゃ!」

 

完全に竜化したティオ(原作)がシュヴァリアに殴られ仰け反りながらも、持ち直してブレスを吹き掛ける。

 

「………………」

 

その様子を観戦していると、

 

「……………これなんて最終戦争?」

 

クラスメイトの誰かが呆然と呟いた。

こちらの世界のクラスメイト達は、この程度の戦いで絶句している様だ。

 

「う~ん………やっぱり私達の感覚って狂ってるのかなぁ………」

 

葵がポツリと呟く。

おそらく俺と同じ事を思ったんだろう。

 

「俺達の感覚じゃ、結界が持ち堪えられてる時点で大したことないも同然だしなぁ………」

 

俺もそう言う。

結界が持ち堪えられてるのなら、それだけ気を遣っているんだろう。

向こうのユエ(原作)に関しては何とも言えんが。

一番心配だったシュヴァリアも、一応模擬戦という事は理解している様だ。

シュヴァリアが本気になったら、いくら竜化したティオでも、一発KO間違いないだろうし。

 

「うわ~、この2人全く動じてないや………」

 

谷口さん(原作)が俺達を見て呆れ半分驚き半分の声を漏らしている。

 

「行けっ! そこだ相棒!」

 

「頑張って! 香織!」

 

「ユエ! ファイト!」

 

デジモン達も声援を送る。

そんなクラスメイト達の反応を他所に、戦いは激化していく。

ハジメ達は、互いの力を知り尽くしているためか、シュラーゲンやメツェライと言った重火器は当たらないとふんでいるのだろう。

ドンナーとシュラークによる近接射撃と、クロスビットによる多角攻撃を中心として戦いを繰り広げている。

 

「「おぉおおおおおおおおおおおおおっ!!」」

 

まるで鏡写しの様に次々と構えを変えながら射撃を行い、その全てを相殺、もしくは同時に回避する。

そのたびに2人の中央で紅いスパークが迸る。

 

「見た所、ハジメ同士の戦いは互角の様だな」

 

「そうだね。今までの印象で言えば、平行世界の南雲君も、私達の世界の南雲君とあまり変わりない様に思えたし………」

 

「ああ。2人の力は互角と言っていいだろう。なら、この勝負の鍵を握るのは他のメンバーがどうなるかだな」

 

俺は優花の方に視線を向ける。

相変わらずシア(原作)は、優花から放たれる無数の手裏剣や苦無を弾き続けている。

 

「攻撃は何とか凌げますけど、優花さんも私の弱点をわかってますね………少しも油断しして近付いてきてくれません………追いかけようにもどうやらハジメさんよりも速いっぽいですし…………」

 

シア(原作)が愚痴る。

シア(原作)が俺達の世界とあまり変わりがないなら、シア(原作)の近接戦闘能力は脅威だ。

優花では下手をすれば一撃で終わる。

優花は言うなれば高速移動砲台。

相手の攻撃を素早さで躱しながら遠距離攻撃で削り切る戦い方だ。

格下相手なら近接戦闘も出来ないわけではないが、同等のステータスを持つ相手には、接近戦は不利だ。

すると、優花は攻撃を中断し、空力の足場で空中に立ち止まる。

 

「あれ? 終わりですか? 私はまだまだ行けますよぉ!」

 

シア(原作)は、体力が有り余ってると言わんばかりに戦槌をブンブン振り回す。

 

「…………シア相手に根競べをする気は無いわよ。あなたの体力無尽蔵だし」

 

「失礼ですね。か弱いウサギさんですよ。私は」

 

「戦槌片手で振り回してる時点でか弱いとは程遠いわよ。けど、まあ、このままじゃ埒が明かないのは確かだしね…………」

 

優花はそう言いながら右手に〝宝物庫〟から出した槍を握る。

 

「槍………ですか? いよいよ自分からかかってくる気になりましたか?」

 

シア(原作)は戦槌を構え直す。

 

「………何言ってるの? 私は〝投擲師〟よ。投げるに決まってるじゃない。槍には『投げ槍』って言う種類があるのよ!」

 

優花は順手で持っていた槍を軽く放ると、逆手に掴み直して振り被った。

その瞬間、その槍に雷が集中し、青白く輝くと共に雷鳴が轟く。

 

「……………ニーベルング!!」

 

その名と共に槍を投げ放った。

 

「はわっ!?」

 

虚を突かれたシア(原作)は素っ頓狂な声を上げる。

しかし、その攻撃にはしっかりと反応しており、飛んでくる槍に向かって戦槌を叩きつけた。

 

「ぬぉおおおおおおおおおおおっ!?!?」

 

咄嗟に受け止めたはいいものの、予想以上の威力だったのかシア(原作)が地面を抉りながら押されていく。

 

「ふぬぅっ!」

 

シア(原作)は足と腕に力を籠め、槍を押し返そうとする。

しかし、中々止まる事は無い。

その時、

 

「レベルⅤ!!」

 

シア(原作)が身体強化レベルを格段に上げた。

押されていた足が止まり、その場で停止する。

 

「こ、れ、でぇぇぇぇっ!!」

 

シア(原作)は両手で戦槌をフルスイングする様に握り、槍を弾き返そうとする。

そして、優花の投げた槍は徐々に勢いを衰えさせつつあった。

 

「うぉりゃあああああああああああっ!!」

 

シア(原作)は一気に槍を弾き返そうと力を籠め、

 

―――ガガガッ!

 

その槍の石突側に苦無が連続して一直線に突き立っていく。

優花が槍を投げた後、槍の後ろに苦無を投げつけ、勢いを取り戻させたのだ。

 

「えええっ!?」

 

突如として勢いを取り戻した槍に戦槌を振り抜く事が出来なかったシア(原作)は、逆に戦槌を弾かれてしまう。

槍はそのままシア(原作)のすぐ横に突き刺さり、内包された雷が解放された。

 

「うきゃぁああああああああああっ!?!?」

 

雷に打たれ、悲鳴を上げるシア(原作)。

万全の体勢のシア(原作)であれば、雷速だろうと躱す事は出来たが、弾かれて体勢を崩した状態では無理だったようだ。

 

「あ~う~…………」

 

雷に打たれ、ふら付いている。

 

「ふっ!」

 

優花はここぞとばかりに空力の足場を蹴り、シア(原作)に接近する。

 

「はぁああああああああああっ!!」

 

豪脚を使った蹴りを繰り出した。

その蹴りがシア(原作)の腹に決まる。

そう思った時、

 

「かかりましたね!」

 

「ッ!」

 

優花の足を、シア(原作)は両手で掴み取った。

 

「確かに痛かったですけど、あれぐらいでやられたりはしません!」

 

シア(原作)は身体能力だけで優花の攻撃を耐えきったのだ。

 

「捕まえてしまえばこっちのものです!」

 

シア(原作)はもう放さないと言わんばかりに叫びながら優花を地面に叩きつけんと振り上げ、

 

「…………でしょうね」

 

優花は落ち着いた声でそう呟くと、

 

「〝纏雷〟!」

 

優花の身体から雷が放出される。

 

「あばばばばばばっ!?!?」

 

しっかりと掴んでいた事が災いして、諸に感電するシア(原作)。

その隙に足を軸に回転しながらシア(原作)の手を外し、脱出する優花。

 

「私も南雲と一緒に魔物の肉を食べてたのよ。南雲の使える技能は殆ど私も使えると思ってちょうだい」

 

「ま、まさか纏雷とは………油断しましたぁ………!」

 

優花の纏雷を諸に受けても割と余裕を見せるシア(原作)。

 

「今の所優花が優勢みたいだね」

 

「まあ、優花はシアのスペックは大体熟知してるが、シアにとっては優花はほぼ初見に等しいからな………ここは情報の差だろ」

 

俺と葵はそう判断する。

しかし、

 

「分解! 分解! 分解ぃ!」

 

白崎さん(原作)が銀光を纏った双大剣を振り回し、白崎さんの張った結界を削っていく。

 

「くぅぅ………!」

 

苦しそうな声を漏らす白崎さん。

俺達の世界の白崎さんは、ヒーラー特化の後衛職だ。

対して向こうの白崎さんは、攻撃に回復、更には分解能力による攻防一体の戦術とバランスがいい。

前衛も出来る後衛職と言った能力のようで、攻撃手段の乏しい白崎さんは苦戦している様だ。

 

「たぁああああああああああああっ!!」

 

白崎さん(原作)が気合の入った声を上げると、結界が砕かれる。

 

「ッ!」

 

「貰ったよ!」

 

白崎さんの目の前で、白崎さん(原作)が片手の大剣を振り被った。

次の瞬間、

 

―――ガァンッ!

 

銃声が鳴り響く。

 

「くぅっ!?」

 

白崎さん(原作)は咄嗟に反対の大剣を盾にしてそれを防ぐ。

見れば白崎さんが右手に銃を構え、纏雷の雷を纏っていた。

 

「あちゃぁ……防がれちゃった………」

 

白崎さんが残念そうにそう言う。

 

「い、今の………ハジメ君のレールガン……!?」

 

白崎さん(原作)が驚愕の声を漏らす。

 

「うん。私もハジメ君と一緒に奈落を攻略したんだよ。勿論魔物肉も食べたから、ハジメ君と同じ事が出来ても不思議じゃないでしょ?」

 

白崎さんがニッコリと笑いながらそう言う。

 

「………そうだね。確かに驚いたけど、それでも戦闘能力は私の方が上みたいだよ」

 

白崎さん(原作)がそう言いながら大剣を構えなおそうとして、

 

「わっ!?」

 

突然左腕のが垂れ下がった。

 

「お、重っ………!?」

 

そのまま思わず左腕の大剣を取り落とした。

落下した大剣はそのまま地面にぶつかり、轟音と共に地面を陥没させた。

 

「こ、これって……もしかして重力魔法!?」

 

それを見た白崎さん(原作)がそう推測する。

 

「うん。弾丸に生成魔法で重力魔法を一時的に付与した重力弾(グラビティ・ブレッド)だよ」

 

「そっか………奈落を攻略したって事は、ハジメ君と同じ様に生成魔法を手に入れてるって事なんだね。それに重力魔法も………」

 

「そうだよ。神代魔法で私が使えないのは、空間魔法だけかな」

 

「羨ましいね。ハジメ君とそんなに旅が出来て………!」

 

「そりゃあハジメ君の正妻ですから!」

 

「ホント羨ましい………よっ!」

 

再び白崎さん(原作)が斬りかかり、白崎さんが結界で防ぐ。

戦いは、さらに激化していくのだった。

 

 

 

 

 






原作クロス編第10話です。
思った以上にハジメの戦いが書けん。
なんというか、鏡写しにしかならないというか………
まあ、一方で優花達の戦いは結構楽しく書けるんですけど………
何というか色々中途半端でした。
おそらく次回で力試しは終わる………はず。




P.S 今週も返信はお休みします。

ハジメ達の模擬戦は見たい?

  • 見たい!
  • いや、別に………
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。