「どうしてなんだ・・・何で、俺がこんな目にあわなきゃいけないんだ」
あるアパートの一室で一人の男が涙を流しながら、悔しさをにじませた言葉を吐いていた。
彼の名は『天之川光輝』
大士やハジメと同じ元クラスメイトにして、現在は大学一年生である。異世界のトータスで【勇者】の天職を与えられていた帰還者の一人でもある。
何故彼がこんな風になっているのと言うと、因果応報とも言える彼の【過去】にしてきた事が原因であった。
本来の歴史であるならば、彼はトータスに残り、そしてハジメ達がトータスから帰って来た1年後に、ハジメがトータスに再来訪した際に会おうとしたら、実は光輝本人は別世界に転移していた。その後何度か勇者としてなのか別の異世界に行くことにもなり、中には魔王と呼ばれるハジメを道連れにして別世界に行ったこともあるほどだ。
この世界では地球に帰還したのはいいが、別世界からの召喚事案は【彼に全く起きなかった】。
これも大士が異世界に召喚されたのが原因で、彼本来の歴史が変わったことで、彼は地球で生きることにしていた。
だがしかし、彼本人の【精神的な幼い部分】は、完全に修繕したわけでは無かったのだ。
そして今の彼の苦境とも言える状態になっているのは、彼自身が【過去】にしていた事案が、今の彼に襲いかかってきたのだ。
大学に入る前、帰還して少し経った彼の最初の不幸は八重樫道場から破門された事である。
これは雫が天之川光輝によって自分に起きた過去の事案と、トータスで彼がしていた事を話し、それを聞いた祖父や両親が天之川光輝によって雫に起きた事を反省し、彼を破門にしたのだ。
天之川家の人間も理由を聞いて納得し、光輝には八重樫道場へ行くことも、破門された事も話した。
当初は納得しない光輝を家族が何とか納得させたが、光輝自身もトータスでの事もあり、渋々納得するのであった。
帰還者の面々が高校を卒業する時、彼は祖父のような弁護士になろうと他のクラスメイト達がいない大学に入学した。
そして同時に一人暮らしも始めることになった。
だがしかし、因果応報とも言うべきか、彼はこれまでしてきた【過去】の事案の報いを受ける羽目になった。
実は天之川光輝が原因で中村絵里のように、彼の言動が原因で【人生を狂わされた】存在は【他にもいた】のだ。
無論それは天之川光輝自身は認知しておらず、彼の幼馴染であった面々すら知らない存在達なのだ。
それだけでなく、彼にはある意味【致命的な欠陥】があったのだ。
大学に入学して3か月程経ったのだが、彼と仲良くなる人物達は現れなかった。
話しかける者もいるが、それは基本的に挨拶等の最低限度のみであった。
彼がこの大学に入学した時点で、かつて彼の被害にあっていた男女が噂を流していたからだ。
内容的には『彼と関わらない方が良い』とした噂で、更に彼の学内での行動を見て、彼と同期になった人達も彼と関わる事は無かった。
何故ならトータスで少しは彼の心は入れ替わったが、原作と違って彼自身が【自分のしてきたことは間違っていた】としっかりと認識しているわけではないのだ。
原作では中村絵里の死によりはっきりと自覚したが、こちらでは幼馴染の龍太郎との殴り合いであり、ある種の自覚度が違うのだ。
更に彼の行いは小・中の時であるなら問題は無いであろうが、完全に大人として見られる大学生では彼の行いは余りにも幼稚に近く、彼自身のしてきた事を幼馴染達がこれまでフォローし、更に周りの教師や大人達が【褒める】事しかしなかったが、大学では彼の行いは【説教】や【苦言】に近い扱いとなり、最終的には学校側も彼に全く期待等はしておらず、噂も含めて学生や教師達からも最低限度の付き合いとなったのだ。
クラブ活動の方面でも、彼を招き入れるような場所は無く、彼を誰一人受け入れるような場所は無かったのだ。
そんな状況下になれば、彼の心は徐々に荒んでいくばかりであった。
アパートの自分の部屋にある幼馴染達との写真を見て懐かしさを感じても、この時のように戻れないのを自覚しているため、悔しさを滲ませながら、嗚咽を言うしか無かったのだ。
だがしかし、実は彼にとっての悲惨な事案はまだ残っていた。それは誰も知らないとんでもない事実があったのだ。
それは彼がトータスでの最終決戦時にセラフィモンと融合した事である。
彼と融合したセラフィモンはブラックセラフィモンとなったのだが、元々セラフィモンがダークエリアに堕ちてなった姿が魔王型デジモンの【デーモン】であったとされるデータもある。
彼はイグドラシルによる力でセラフィモンと融合したが、雫があの戦いで言ったように、彼はセラフィモンとの融合したが出せた力は8割程度でしか無く、幼馴染として決着を着けた雫によって倒された。
だがしかし、この融合は彼自身に全く影響を及ばさなかった訳では無かったのだ。
中村絵里も彼と同じように融合していたが、彼女の場合は融合した相手がオーガモンであり、戦う相手がレオモンとの決着を着けるために彼女を利用していた面もあり、テイマー達と同じような状況になっていたので、彼女に影響は無かったのだ。
だがしかし、天之川光輝は自分の意志でブラックセラフィモンの力を使っていた。
そのため彼の中には本来パートナー同士のテイマー達、戦う相手との決着を望んだ中村絵里とオーガモンには全く起きなかった現象であるが、彼だけは魔王型デジモンの因位が彼の遺伝子に刻まれてしまっていたのだ。
そして今の世界におきた事案と彼の今の状況により、事態は最悪に方向に向かって行ってしまったのだ。
【憎くないか?なら、手伝ってやろう】
勇太がこの世界に来て、時空管理局を交えた話し合いから数日後、俺は勇太から連絡を受けていた。因みに勇太は俺達と一緒にいるのではなく、実は海鳴市でいる。
今回の事案は何時何処で何が起こるのか分からないのもあるため、勇太はなのはちゃん達が所属する時空管理局側の面々と別の世界で会った事があるらしく、流石に仕事もしないでいるのはという事で、なのはちゃんの家である喫茶翠屋の手伝いをしながら高町家に居候させてもらっている。
因みに俺達テイマー側から政府関係者にも今回の事案は話しており、時空管理局と政府は裏で協力体制をとるようにしている。
同時に檜山の両親に対しての件に関しても報告しているが、元々檜山の両親がやって来た事案もあり、殺害に関しては不問にされた。
「黒い翼の、天使?」
「あぁ。シャインは予知能力を持っていて、その姿の存在を予知したらしいんだけど、俺達はデジモンの方面を知らないから、そっちで知っているのはいないかなと思ってな」
勇太から黒い翼の天使のような存在とされるモノが未来予知で彼の人格の一人であるシャインが視たと言う姿を言われたのだが、俺には検討もつかなかった。
「俺が知る限りでそんな色の天使の羽をしたデジモンなら、魔王型デジモンのルーチェモンかな?ルーチェモン・フォールダウンモードって姿がお前が言うような翼があるからな」
「・・・そうか。今のところはこれが何を意味してるのか分からないし、他の皆にも共有しておいてくれないか?管理局側には俺から話をつけておくから」
勇太からそう言われて了承し、電話を切った後に他の皆にも連絡をし、情報を共有しておいた。
だがしかし、この時聞いていた黒い翼の天使の存在が、後々でとんでもない存在だと知るのは、俺達も思いはしなかった。
勇太からの連絡を受けて数時間後、都内にある大学を中心にした半径3キロが円形状にこの世から消滅した。
周囲まで巻き込んだ大学の消滅は、死者は当時周辺にいた人達も含めて軽く一万近くに上り、重軽傷者は数万人規模になった。
生き残った人達の証言では『光を見た』と言うだけで、犯行を行った存在の目撃情報は全く無く、途方に暮れるのであった。
そしてこの事件発生から1時間程度経過した時、俺達は政府関係者を含めた極秘会議を行っていた。
「これが唯一確認できる映像の解析結果だ」
そう言われ、政府関係者から見せられた映像には不鮮明ながらも確認できる映像だったのだが、その見た目は勇太から報告を受けていた黒い翼の天使そのものと言えるモノであった。
だが映像が不鮮明なのもあり、相手がデジモンなのかも分からず、コードネーム【ブラック・エンジェル】を俺達が対処する事になった。
何しろ脅威度で言えばデジモンの完全体や究極体に匹敵する相手なので、時空管理局側と連携し、対処を見つけ次第すぐさま隔離結界に閉じ込め、俺達が対処にあたる事になった。
まぁ内容的には行き当たりばったりな気がするが、現状での対処としてはこれしか無かったのだ。
同時にこの大学が天之川が行っていた大学だと知ったが、本人とも連絡を取れていないので、俺達は天之川もこのブラック・エンジェルによる被害を受けたものとした。
だがしかし、現実は全く違っていたのだと、俺達は思い知らされる羽目となった。
時空管理局側から【ブラック・エンジェル】を捕捉し、隔離結界内に捕縛したと連絡があり、俺達は急いで隔離結界の中に入った。
そしてそこでブラック・エンジェルの姿を確認したのだが、そこにいたのは黒い翼に変更され、色も黒や紫を主にしたウイングガンダムゼロ(EW版)であった。
「黒い翼のウイングガンダムゼロ!!」
「ウイングガンダムゼロ・リベリオンかよ!!何でコラボ系の機体なんだよ!!」
勇太が正式名みたいなのを言った上に、コラボ系の機体と言ったので話を聞くと、【コードギアス】とのコラボ機体だと
勇太から言われて納得した。
同時に俺達が攻撃を加える前にこの結界から出ようとしたのかツインバスターライフルの攻撃が結界に直撃し、その一撃で強度に力を入れていた結界に多大なダメージが与えられたと報告を受けたと同時に、あと一撃でも同じ威力で撃たれたらヤバいと言われ、全員で阻止しようと攻撃を加えたのだが、その攻撃は全て回避されてしまった。
流石に戦う相手が有名過ぎるウイングガンダムゼロ(EW版)と同じ見た目なので、俺達も最初から究極体になっており、勇太は青髪のアルフィミィという存在に変わり、更にケルディムガンダムになって狙撃を行ったのだが、何と全員の攻撃を回避されたのだ。
「おいおい、まさか(汗)」
「どう考えてもゼロシステムみたいのまであるのかよ、アレは!!(汗)(汗)」
『ハハハ、やっぱりボクはサイキョウなんだ!!』
ウイングガンダムゼロから放たれた声に、俺達は驚きを隠せなかった。何しろその声は被害を受けたと思っていた天之川光輝の声だからだ。
「何で天之川があんな姿に!」
『ハハハ、モットだ。モット、ボクが正しいと証明するんだ』
俺達も新たなツインバスターライフルの最大出力による攻撃をさせまいと攻撃をしたのだが、分離させていたツインバスターライフルを横ではなく縦に連結し、更に黒や紫のエネルギーの刃のようなモノを纏った大剣のような形になり、それをただ一撃振るわれただけで隔離結界が一撃で破壊され、何とか俺達も捕まえようとしたのだが、その前に逃げられてしまった。
この戦いから数時間後、政府関係者から残っていた大学関係者等から大学での天之川の情報を教えてもらった。
内容的には天之川の大学での評価は最低で、留年よりも退学させた方が良いとしたような内容であった。
そして勇太が天之川の話を聞き、トータスでの最終決戦時にセラフィモンと融合し、ブラックセラフィモンになった事を聞いて、もしかしての話として勇太はとある可能性の話してくれた。
「天之川に融合したセラフィモンかブラックセラフィモンのデジモンとしての遺伝子が混じった?」
「あぁ。聞いた限りだけど、あの天之川って奴はお前等テイマー達と違って、相手のデジモンとの絆とかがあるわけじゃなくて、神の力で融合できるようになったんだろ?なら、そのセラフィモンかブラックセラフィモン、どちらかのデジモンの遺伝子というか、保有している因子みたいなのが混じったんじゃないか?」
「それだと記憶喪失になった中村も同じような事態になるんじゃないか?」
「いや、そっちの子は多分大丈夫だと思うぞ。何しろ融合した相手と、そいつと戦った相手ってライバル同士の関係なんだろ?だから相手に勝つためのモノとして扱ったかも知れないから、例え混じったとしても天之川って奴よりも混じった遺伝子や因子は少ないと思うからな」
勇太がそう言うと、最終決戦時に対応した雫からも話的にも中村にはそういった感じみたいなのはあったと話があり、天之川だけに起きた予想外の事案だったのかもという話になった。
そして勇太に言われてセラフィモンのデータを調べ直したら、ダークエリアに堕ちたセラフィモンが魔王型デジモンの【デーモン】という扱いのデータがあるので、その因子が混じったのかもと言う話になった。
「何でウイングガンダムゼロ・リベリオンの姿なのかは不明だけど、一応俺の知る限りでアレに本来乗ってるのってコードギアスのゼロでもルルーシュだから合っているとは言えるけど、次の戦いであいつを何とかしないと、多分天之川って奴、助けても確実に廃人になるぞ」
流石に勇太から言われた言葉に一部の面々は納得するしか無かった。
理解してない面々もいたので、俺達はウイングガンダムゼロに搭載されている悪魔のシステム【ゼロシステム】を簡単に説明した。
ゼロシステムは新機動戦記ガンダムWに登場したウイングガンダムゼロに搭載されているシステムで、端的に言えば未来を見せる事が可能なシステムなのだ。
劇中の話でも近い未来から先の未来、更にはパイロットが搭乗していない状況で起動し、別の場所にいるパイロットに先の未来を見せるなどもしている。
だがこのシステムは基本として【相手を倒す・勝利を得る】事を目的としたもので、目的達成のためならば人道や倫理などお構いなしで、他人や仲間の犠牲、更には自分の自爆ですら躊躇せずひとつの可能性として提示するうえに、大規模な戦場における戦術や又は戦略全てを把握することも可能な程の情報量は、精神力の弱い者には、時に現実なのかシステムの予測なのかわからなくなるほどのものとなり、パイロットの精神的負荷は計り知れない。
そのためゼロシステムに精神が負けてしまうとシステムが提示した行動のまま暴走を始めるか、耐え切れずに精神を破壊され、最悪死に至る可能性まである危険な代物にして、呪われたシステムでもあるのだ。
事実劇中でも主人公のヒイロが当初はこのシステムに飲まれていたし、カトルに至っては視聴者等から黒カトルと呼ばれる状態になっているし、これを調べていたOZの一部も壊れたみたいな描写があったほどだ。
その点を話すまで話すと流石に内容を知らなかった面々も完全に顔を青くし、流石の危険性に時空管理局側ですら引いていたほどだ。
「基本的に精神力が強い奴じゃないと飲まれて暴走した後は廃人まっしぐらに近いシステムだからな。次の戦いでは俺達サイドのウイングガンダムゼロのゼロシステムを使用し、向こうのを止めるために使うが、向こうのがこのやり方で止まるかどうかも分からないし、助けてもどうなるか、本気で分からないからな」
勇太からそう言われ、話を聞いていた俺達も同じ気持ちであった。
何しろあの状態の天之川を助けたとしても、助けた時に人としての精神が残っているのかと思うほどで、例え生きていたとしても、彼が自分のいた大学やその周辺を消した事には変わりが無く、どちらにしよ罪悪感で天之川の心が壊れる可能性があると思ったからだ。
だが天之川はあの時以降から発見されず、俺達も日常を過ごしながら、状況を見守るのであった。
コラボ3話目です。
このコラボ小説はナハト・リコリス様により執筆されています。
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