「『消えろ』」
その右手から光弾を放とうとしたその瞬間、
「ドラゴンズロア!!」
別方向からエネルギー波が迫って来た。
「何ッ!?」
「ぐぅっ!?」
防御したにも関わらず、そのエネルギー波は
更に、爆発の煙に紛れ、
「アージェントフィアー!!」
強烈な一撃が腹部に叩き込まれた。
「がはっ!?」
その一撃は
そのままハジメ達の居る足場に
「アルファモン!?」
「アルファモンが………吹っ飛ばされた………!?」
「…………信じられない………」
オウリュウモンやハジメ、ユエ達が驚愕の声を漏らす。
「大口を叩いた割にはその程度かね………フリード」
「貴様など所詮その程度。我々と対等などとは片腹痛いわ!」
「ぐ………貴殿たちは…………!」
魔人族の男が苦虫を噛みつぶしたような表情で振り返った。
「ぐっ…………!」
『なっ!?』
俺は思わず声を漏らした。
その2体はこの地球では知られていないデジモン。
だが、俺はその2体を知っている。
『デュナスモンと…………ロードナイトモン!? ロイヤルナイツだと!?』
俺は思わず口に出す。
『大士、あいつ等を知ってるの………?』
オウリュウモンの中の葵が問いかけてくる。
「これはこれは………君達のような下賤な輩にも私の名が知られているとは…………美し過ぎることはやはり罪だな…………」
ロードナイトモンが何処からともなく薔薇を取り出し、気障っぽく格好を付ける。
「何だコイツ…………?」
「凄いナルシストですぅ…………」
ハジメやシア達が半ば呆れる。
とは言え、ロードナイトモンはその仕草に恥じない実力も持っている。
一概には馬鹿に出来ない。
『ハジメ、お前達は早く神代魔法を手に入れてこい。奴らが相手だと庇いながら戦うのは不可能だ』
俺がそう言うと、
「奴らはそこまでの相手なのか?」
ハジメがそう聞き返してくる。
『分かり易く言えば…………奴らはオメガモンに迫る力を持つ………と言えばいいか?』
「ッ………!?」
そう言った瞬間ハジメの表情が明らかに変わる。
「そ、そいつは相当だな…………わかった」
引き攣った表情でそう言うと、ハジメは皆を促し、マグマのドームが消えて漆黒の建造物が露になった中央の島へと向かって行った。
『オウリュウモン、葵…………厳しい相手だが………行けるか?』
俺はオウリュウモンに問いかける。
「我が剣に賭けて退く訳にはいかん!」
『大士達だけを戦わせるつもりは無いよ!』
2人はそう言った。
聞くだけ野暮だったな。
『ならオウリュウモンはロードナイトモンを頼む! 俺達はデュナスモンだ』
「わかった!」
「承知!」
アルファモンはデュナスモンを向き、オウリュウモンは両手の大刀を構える。
「ほう………我らと戦おうというのか」
「面白い………相手をしてやる!」
デュナスモンは
「戦う前に聞きたい。何故お前達はこの世界に居る? 何故魔人族に協力している?」
「我らが戦うは我らの『神』の為。『神』が何故この世界に来て何を成そうとしているのか」
「『神』の御意思は我らの与り知らぬところ。その御意思を詮索しようとするなどおこがましい事よ」
どうやらまともに答える気は無い………
いや、あれでまともに答えてるんだろうな。
デュナスモンもロードナイトモンも自らの『正義』に従うデジモンだ。
そこに善悪は無い。
「そうか…………ならば行くぞ!!」
「おおっ!」
オウリュウモンとロードナイトモン。
「スパイラルマスカレード!!」
ロードナイトモンが超高速移動しながら身体から伸びる4本の帯刃によって切り刻もうとする。
並のデジモンではその動きを見切ることは出来ず、あっという間に勝負は付くだろう。
しかし、
「黄鎧!!」
オウリュウモンは両手の大刀と背中の刃の翼である『
刃と刃のぶつかり合いが火花を散らし、金属音を連続で鳴り響かせる。
そのまま互いの位置が入れ替わると、オウリュウモンが両手の大刀にエネルギーを集中し、
「永世竜王刃!!」
大刀を交差させながら斬りかかる。
それに対し、
「アージェントフィアー!!」
ロードナイトモンは右腕のシールドに装備されているパイルバンカーを振りかぶり、迎え撃った。
衝撃が空間を揺るがし、大爆発を起こす。
その傍ら、
「デジタライズ・オブ・ソウル!!」
「ドラゴンズロア!!」
その直後、
互いの両の手を掴みあった俺達は力比べを行う。
「うぉおおおおおおおおっ!!」
「ぬぅううううううううっ!!」
ぶつかり合う力が足場にも影響を及ぼし、真下以外の足場が次々と崩れて行く。
「中々やるでは無いか………! 折角だ。名を聞こうか!」
デュナスモンは獰猛な笑みを浮かべてそう言ってくる。
「…………アルファモン!」
「アルファモンだと? フハハハハハハッ! まさかこんな所で神話の中のロイヤルナイツの名を聞くとはな! 面白い! その名にふさわしいかこの俺が試してやる!!」
益々やる気を漲らせるデュナスモンを相手に
「アルファモン!」
ハジメの声が聞こえた。
見れば、中央の島の建造物から出てきたハジメ達の姿。
「皆!」
ハジメ達の前に着地すると、
『ハジメ、神代魔法は?』
「安心しろ、バッチリだ!」
無事神代魔法を手に入れたことに成功したようだ。
『………優花は?』
「ん…………気を失ってるけど神水の効果で少しずつ良くなってる。でも、早くカオリに診せた方が確実…………」
『…………そうか』
「オウリュウモン!」
オウリュウモンを呼ぶ。
「はぁっ!」
「ちぃっ!」
オウリュウモンがロードナイトモンを大きく弾き、その隙に近くに戻ってくる。
「何用か?」
「オウリュウモン、皆を乗せて脱出してくれ」
『何言ってるの大士!?』
葵が思わず叫ぶ。
『聞いてくれ。このまま戦い続けても俺達はともかく、ハジメ達がヤバい。そしてハジメと同時に宝物庫が失われたら、アンカジの人達も助けることが出来なくなってしまう』
『そ、それはそうだけど…………』
『それに優花も万一を考えて白崎さんに早く診せておきたい。今の状況でそれが出来るのはオウリュウモンだけだ。運ぶだけならティオでも何とかできるかもしれないが、万一攻撃を受ける可能性も考えると、オウリュウモンの方が確実だ』
『…………………』
『心配するな。お前達を残して死ぬ気なんて更々無い。必ず後で追いつく』
『…………………………』
葵は暫く葛藤していたが、
『…………うん、わかった…………』
そう言って頷いてくれた。
オウリュウモンはハジメ達を背に乗せる。
「デュナスモンとロードナイトモンの隙は俺が作る。オウリュウモンは一直線に天井を破って脱出しろ」
「任せよ!」
『ハジメ、優花を頼む。何かあったらただじゃ置かないからな』
「………だったらテメェもちゃんと戻って来い」
『ああ。勿論だ』
「ふむ…………我らを前にして撤退という選択は間違いではない…………だが」
「それを易々と見逃す程、我らは甘くは無いぞ………!」
2体はそう言って俺達を見下ろすと、
「『アルファインフォース………!』」
次の瞬間、
「ぐはっ!?」
「うおおっ!?」
閃光と共にデュナスモンとロードナイトモンは壁に叩きつけられていた。
「今だ! オウリュウモン!」
「おおっ!!」
オウリュウモンは一直線に天井へ向かい、
「行かせるものか!!」
白竜に乗った魔人族の男が立ちはだかった。
「死ねぇ!!」
白竜が極光のブレスを放つ。
本来であれば、ハジメでも致命的なダメージを負うそれも、
『邪魔!』
オウリュウモンの前では無意味。
事も無げに極光のブレスを鎧で弾くと、大刀の一振りによって白竜の首を撥ね飛ばした。
オウリュウモンはその背に乗っていた魔人族の男を一瞥すらせずに、
『皆、掴まって!』
「黄鎧!!」
オウリュウモンは刃を広げて天井に突っ込み、突き破っていった。
「………………」
俺はそれを見届けると、
「くっ………やってくれたな…………」
「アルファモンの名は伊達では無かったという事か…………!」
壁に叩きつけたロードナイトモンとデュナスモンが壁から身体を剥がしながらそう言う。
すると、
「うぉおおおおおおおっ!?」
首を落とされた白竜と共に、乗っていた魔人族の男が悲鳴を上げながら落下してくる。
「やれやれ………無様な物だ………」
ロードナイトモンはそう言うも落下してきた魔人族の男の首根っこを掴んで受け止める。
「このような醜い者を助けねばいけないなど…………我が『神』も中々酷な命令を下してくれる…………」
ロードナイトモンは本気で嫌そうに首を振りながらそう言った。
すると、
「残念だが今日はここまでにしておこう」
ロードナイトモンはそう言って
「何?」
「我が『神』の命はこのフリードの助力だ。こやつが戦えなくなった今、我らの意志で戦い、こやつを巻き込んでしまえば『神』の命に背くことになってしまう」
そう言いながらも気障っぽく薔薇の香りを嗅ぐ。
「とは言え、この私を埃まみれにしたお前をこのまま見逃すのも癪だ。故に………」
ロードナイトモンがそう言った瞬間、デュナスモンが全身にエネルギーを漲らせる。
「ブレス・オブ・ワイバーン!!」
デュナスモンが叫び声を上げると、デュナスモンから溢れ出るエネルギーが飛竜の姿を形作る。
「くっ!?」
その凄まじさはこのグリューエン大火山を吹き飛ばしてもまだ余りある威力を持っているだろう。
下手をすれば、アンカジまで巻き込みかねない。
「デュナスモンの最大攻撃。凌ぐことが出来るかな? ああ、言わずとも分かっているだろうが、避けても先程の仲間が巻き込まれるかもな」
ロードナイトモンが平然とそう言うと、振り返って先程オウリュウモンが空けた穴から飛び去っていった。
「チィ!」
迫ってくる巨大な飛竜のエネルギー体。
確かにこのままでは、オウリュウモンはともかくハジメや優花達が危険だ。
少しでも相殺して威力を弱めなければならない。
「聖剣グレイダルファー!!」
光の聖剣でその飛竜を貫いた。
【Side 葵】
『ッ……………!』
本当なら一緒に残って戦いたかった。
だけど、大士はそれを望まず、優花や南雲君達の安全を優先した。
砂嵐を突破し、少し離れた所でそれは突然起こった。
轟音と共に背後の砂嵐の中から光が溢れ、閃光と共に大爆発が起きた。
光が収まった時、私達は絶句した。
何故なら、グリューエン大火山があった場所には山など跡形もなく、隕石が落ちたかと思わせるようなクレーターとなっていたからだ。
『………………大士?』
私は呆然と呟く。
『……大士ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!』
その叫びに応える者は誰も居なかった。
第30話です。
はい、いきなり登場ロイヤルナイツです。
ロイヤルナイツはどっかで出そうかな~っと思ってはいたんですが、誰を出すかで悩んだ結果、フロンティアの敵役でイメージのしやすいデュナスモンとロードナイトモンに出ていただきました。
まあアルファモンはロイヤルナイツに対するカウンターみたいな役割もあるみたいなので、アルファインフォース使えば有利に戦えるって事で。
ですがその後ブレス・オブ・ワイバーンで行方不明に。
大士の運命や如何に!