ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第34話 海上の激闘

 

 

 

 

霧が晴れてハジメや優花達がこちらに駆け寄ってくる。

 

「葵! 今、葵の凄い悲鳴が聞こえたけど大丈夫なの!?」

 

優花が俺の腕に抱かれている葵に駆け寄って心配そうな表情を向ける。

 

「う、うん………私は大丈夫………って言うか、何が起きたのか理解して無いんだけど………」

 

葵がそう言うと、

 

「大士、何があった?」

 

ハジメが俺に問いかけてくる。

 

「…………簡単に言えば、葵が亡霊に取り憑かれた。だけど、そのすぐ後にいきなり苦しみだして、葵の身体が光ったと思ったら、さっきの絶叫と共に消えたみたいな?」

 

葵の姿が一瞬変わったことは黙っておく。

 

「身体が光った? 神代が何かやったのか?」

 

「えっと…………全然覚えてないんだけど…………」

 

葵は困惑したようにそう言う。

 

「ステータスプレートに何か変化は無い?」

 

白崎さんがそう言うと、葵はハジメが作った簡易宝物庫からステータスプレートを取り出し、

 

「…………何これ?」

 

そんな声を漏らした。

葵が俺達にそのステータスプレートを見せるとそこには、

 

 

 

 

 

 

 

 

神代 葵 17歳 女 レベル:5

 

天職:デジモンテイマー・女■

 

筋力:1200

 

体力:1200

 

耐性:1200

 

敏捷:1300

 

魔力:1600

 

魔耐:1600

 

技能:言語理解・■力・重力魔法

 

 

 

 

 

 

ステータスが爆上がりしていた。

序に今まで伏せられていた文字の一部が露になっている。

 

「ハジメ達ほどではないにしろ、めっちゃ上がってるな…………」

 

「な、何でだろ………?」

 

葵本人も困惑している。

 

「考えられるのは葵の持つもう1つの天職だろうな…………さっきの亡霊に取り憑かれた事が切っ掛けで、葵の中に眠っていたもう1つの天職が目覚めかけて、それによってステータスも上がったって感じじゃないか?」

 

「思い当たる理由はその位か…………」

 

俺達が理由について考えていると、

 

「………ハジメ、ここはまだ大迷宮の中。こんな所で考え込むのは危険」

 

ユエにそう言われ、俺達はハッとなる。

 

「っと、そうだったな。神代のステータスについては後回しだ。先ずは攻略を優先しよう」

 

ハジメの言葉に俺は頷く。

周りを確認すれば、船倉の奥の方で転送用だろうと思われる魔法陣が輝いていた。

そこに足を踏み入れ、転送の魔法陣が輝く。

次の瞬間には、神殿の様な建物の中にある4つある魔法陣の1つに転移していた。

 

「……………魔法陣が4つあるって事は、ここに来るルートも4つあったって事か」

 

ハジメがそう零す。

それから、前を向くと、神殿の中央の祭壇らしき場所には精緻で複雑な魔法陣が描かれていた。

それを見たハジメが目を見開いた。

 

「…………あれは魔法陣? まさか、攻略したのか?」

 

「えっと、何か問題あるの?」

 

大迷宮攻略が初めての八重樫さんはそう聞くが、

 

「いや、まさかもうクリアとは思わなくてな……他の迷宮に比べると少し簡単だった気が……」

 

「そうだね…………他と比べると確かに少し簡単だったね。ホラーは勘弁だったけど………」

 

ハジメの言葉に白崎さんも同意する。

 

「いやいや! ちょっと待ちなさいよ! 十分大変な場所だったわよ。最初の海底洞窟だって、普通は潜水艇なんて持ってないんだから、クリアするまでずっと沢山の魔力を消費し続けるし、下手をすれば、そのまま溺死するし! クリオネみたいなのは、有り得ないくらい強敵だったし、亡霊みたいなのは物理攻撃が効かないから、また魔力頼りになる。それで、大軍と戦って突破しなきゃならないのよ? 十分、おかしな難易度よ!」

 

八重樫さんがハジメ達に突っ込みを入れる。

 

「むっ、そう言われればそうなんだろうが……」

 

「まして、この世界の人なら信仰心が強いだろうし……あんな狂気を見せられたら……」

 

「余計、精神的にキツいか……」

 

まあ八重樫さんが言いたいことはハジメ達が強すぎるという事だ。

気を取り直して魔法陣に入る俺達。

すると、

 

「あれ? 俺も攻略者として認められたの?」

 

「私も。正直何かしたって記憶は無いんだけど………」

 

9割方攻略者として認められないだろうなと思っていた俺は思わずそう零した。

葵はともかく、俺は殆ど何もしてないと思うんだが………

 

「案外、心を折らずにここまで来ること自体が試練なのかもね」

 

優花がそう言う。

そう言われるとそうかも。

そして手に入れた神代魔法は、

 

「ここでこの魔法か……大陸の端と端じゃねぇか。解放者め」

 

「……見つけた〝再生の力〟」

 

 ハジメが愚痴を零す。

それは、手に入れた【メルジーネ海底遺跡】の神代魔法が〝再生魔法〟だったからだ。

〝再生魔法〟はハルツィナ樹海の大迷宮に挑戦するための必須技能なので、大陸のほぼ東西にある2つの迷宮の位置にハジメは解放者の嫌らしさを感じた。

魔法陣の輝きが消えると、今度は小さめの祭壇のようなモノがせり出てきた。

その祭壇は淡く輝いたかと思うと、次の瞬間には光が形をとりオスカーの時の様に人型となった。

オスカーと同じくメッセージを残したようだ。

そこには海人族と思われる女性の姿が浮かび上がり、オスカーの時と同じ内容を語った。

そして最後に

 

『……どうか、神に縋らないで。頼らないで。与えられる事に慣れないで。掴み取る為に足掻いて。己の意志で決めて、己の足で前へ進んで。どんな難題でも、答えは常に貴方の中にある。貴方の中にしかない。神が魅せる甘い答えに惑わされないで。自由な意志のもとにこそ、幸福はある。貴方に、幸福の雨が降り注ぐことを祈っています』

 

そう締めくくると、光の粒子となって消え去った。

その光が収まると、そこにはメルジーネの紋章が掘られたコインが置かれていた。

 

「証の数も四つですね、ハジメさん。これで、きっと樹海の迷宮にも挑戦できます。父様達どうしてるでしょう~」

 

シアはそう言って家族達に想いを馳せるが、すぐにブンブンと頭を振って振り払う様な仕草をした。

おそらく、思い浮かんだのはヒャッハー!する暗殺集団だったのだろう。

ハジメも同じ行動をしていたので、おそらく同じことを思ったんだな。

すると突然、神殿が鳴動を始めた。

そして、周囲の海水のいきなり水位が上がり始める。

 

「うおっ!? チッ、強制排出ってかっ。全員、掴み合え!」

 

「……んっ」

 

「わわっ、乱暴すぎるよ!」

 

「ライセン大迷宮みたいなのは、もういやですよぉ~」

 

「水責めとは……やりおるのぉ」

 

それぞれが慌てつつも、簡易宝物庫から、ハジメが『こんなこともあろうかと』と言わんばかりに作っておいた酸素ボンベを装着した。

その時天井が開いて海水が勢いよく流れ込んでくる。

その流れに巻き込まれて海中に放り出された。

ハジメが宝物庫から出した潜水艇に乗り込み、何とか事なきを得る。

そのまま一先ず海上を目指し、そこからエリセンに戻ることに決めた。

 

 

 

 

【Side イグドラシル】

 

 

 

 

―――異分子(バグ)排除を再開

 

 

 

―――地形による最適な存在を選択

 

 

 

―――実行

 

 

 

―――ゲート開放(オープン)

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

海上を目指す潜水艇の中で葵は改めてステータスプレートを眺めていた。

 

「何でいきなりステータスが上がったんだろ?」

 

葵は呟く。

 

「さっきも言ったけど、葵の隠されたもう1つの天職が原因なんだろう……………それにしても………はぁ」

 

「どうかした?」

 

俺が溜息を吐いた事に葵は怪訝に思ったのかそう聞いてくる。

 

「いや、こうなると改めて俺個人がパーティー内最弱だなと…………」

 

彼女2人が、2人とも俺より強いとかちょっと男としての体裁が…………

 

「…………クルモンは?」

 

「クルモンはマスコット枠だろ」

 

俺は現実逃避する様に窓の外を見る。

 

「…………………ん?」

 

俺は海中を蠢く長大な影を目撃した。

 

「何だ………? あれは…………?」

 

俺が呟いた瞬間、

 

「ッ!? 南雲! 大きい気配が近付いてる!」

 

優花がそれに気付いた瞬間、

 

「アルティメットストリーム!!」

 

強烈なエネルギーの奔流が俺達の乗った潜水艇を呑み込んだ。

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

穏やかな海上。

その水面が爆発したように水柱が立つ。

そこから、ハジメ達を背に乗せたオウリュウモンと、防御用の魔法陣を展開したアルファモンが飛び出した。

 

「皆、無事か!」

 

アルファモンがオウリュウモンの背に乗りながら、ハジメ達に問いかける。

 

「な、何とかな…………流石に死んだかと思ったぞ」

 

ハジメはそう漏らす。

潜水艇がエネルギーの奔流に呑み込まれる寸前、大士がドルモンと共にアルファモンに進化し、潜水艇を破壊しつつも皆を護ったのだ。

その後、葵もリュウダモンと共にオウリュウモンに進化し、皆を背に乗せて海上に一気に出てきた。

 

「今の攻撃は一体………?」

 

ユエがそう呟いた瞬間、少し離れた水面が激しい水飛沫を上げ、そこから金色の装甲と、全長が100mを超すと思われる長大な体躯を持つ龍の様なデジモンが姿を現した。

 

「グォァアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

「はわわ~!? 何ですかあれ!?」

 

シアが驚きで声を上げる

 

「あれってまさか………!?」

 

「メタルシードラモンか!」

 

香織とハジメが声を上げた。

 

「ティオ! 〝竜化〟して俺達を乗せろ! 俺達は邪魔だ!」

 

「うむ!」

 

ティオは黒竜へと変身、ハジメ達はオウリュウモンの背からティオの背中へと飛び移る。

 

「俺様もやるぜ!」

 

インプモンが光に包まれてベルゼブモンへと進化し、黒い翼を羽搏かせる。

すると、メタルシードラモンは鼻先の砲口にエネルギーを集中し始め、

 

「ティオ! 上昇だ!」

 

ハジメがティオに呼びかけ、ティオは翼を羽搏かせて急いで上昇する。

次の瞬間、

 

「アルティメットストリーム!!」

 

鼻先から先程の強烈なエネルギーの奔流が放たれ、メタルシードラモンが首を振ると共に薙ぎ払われる.

 

「くっ!」

 

「ちぃっ!」

 

アルファモンの乗ったオウリュウモンとベルゼブモンはその射線軸上から逃れる。

大きく巻き上がる水飛沫が、かなり高い高度まで上がっていたティオにも振りかかった。

 

『何という威力じゃ…………あれを喰らったら妾でも跡形も残らんのう…………!』

 

「だけど、大士達なら大丈夫よね?」

 

ティオの言葉に優花がそう言うが、

 

「…………ここが地上なら心配ないといえるが、ここは海の上だからな………」

 

「うん………メタルシードラモンに有利なフィールドだね…………」

 

ハジメと香織がそう呟く。

 

「クル~! 頑張れっクル!」

 

クルモンは必死に応援する。

 

「今は黒騎君達を信じましょう」

 

雫がそう呟いた。

 

 

 

「デススリンガー!!」

 

ベルゼブモンがメタルシードラモンに向かってデススリンガーを放つ。

しかし、メタルシードラモンは身体をくねらせながら潜航し、デススリンガーを躱した。

 

「チッ!」

 

海の中に浮かぶ影に向かってベルゼブモンはデススリンガーを連射する。

しかし、水中では威力が減衰してしまうのか、数発は当たったようだがメタルシードラモンの装甲の前に弾かれた。

その時、水中から何かが飛び出し、ベルゼブモンを弾き飛ばす。

 

「うおぉっ!?」

 

それはメタルシードラモンの尾だった。

それが鞭の様に振るわれ、ベルゼブモンを打ったのだ。

 

「ベルゼブモン!」

 

アルファモンはメタルシードラモンに右手を向け、

 

「デジタライズ・オブ・ソウル!!」

 

魔法陣から無数の光弾を放つ。

しかし、攻撃を受けながらもメタルシードラモンは水中へと姿を消す。

 

「くっ………」

 

その直後、オウリュウモンの真下から襲い掛かってきた。

 

「させん!」

 

オウリュウモンは即座に反応し、両手の大刀で迎撃しようとする。

だが、ギャリィッと金属同士が擦れる音がして、装甲の表面に傷を付けるだけに留まる。

 

「硬い………!」

 

「メタルシードラモンの装甲はクロンデジゾイド製だ。究極体の攻撃であろうと半端な攻撃では突破は出来ない」

 

オウリュウモンにそう言うアルファモン。

 

「チッ! ここが海上でなけりゃ………!」

 

ベルゼブモンが悪態を吐く。

 

「このまままともにやっても不利だな…………」

 

アルファモンはそう呟き、メタルシードラモンを見据えると、覚悟を決めた様に目を細める。

 

「アルファモン?」

 

オウリュウモンが呟いた瞬間、アルファモンがオウリュウモンの背から飛び降りた。

 

「アルファモン!?」

 

『大士!?』

 

「何を………!?」

 

それぞれが声を上げた瞬間、メタルシードラモンが海中から現れ、アルファモンに向かって食らいついた。

そのままアルファモンは水中へ引きずり込まれる。

 

「アルファモン!」

 

オウリュウモンが叫ぶ。

だが、アルファモンは水中でメタルシードラモンの口を抉じ開けようとしていた。

 

「うぉおおおおおおおお…………!」

 

しかし、暴れ狂うように動き回るメタルシードラモンに振り回され、なかなかうまくいかない。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

しかし、徐々にアルファモンの声に力が入ってくる。

 

『はぁああああああああああああああああああああっ!!』

 

融合している大士も気合を入れる声を出す。

 

そして、

 

「『うぉぁあああああああああああああああああああああああああああっ!!!』」

 

大士とアルファモンの声が重なった瞬間、最大級のパワーが発揮されてメタルシードラモンの口がこじ開けられた。

 

「ここだっ!!」

 

アルファモンは右手を前に、即ちメタルシードラモンの口内に向け、

 

「デジタライズ・オブ・ソウル!!」

 

その中に無数の光弾を叩き込んだ。

装甲はクロンデジゾイド製と言えど、体内は別。

無数の光弾を容赦なく体内に叩き込まれたメタルシードラモンは痛みと苦しみから全身を大きく仰け反らせ、その際に海面に無防備な姿をさらしてしまう。

直後、アルファモンはメタルシードラモンの口内から脱出すると、

 

「オウリュウモン! ベルゼブモン! 今だ!」

 

一瞬呆けていた2体だが、アルファモンの声に我に返り、

 

「ッ! 永世竜王刃!!」

 

「デススリンガー!!」

 

無防備なメタルシードラモンに向かって必殺技を放った。

内部からボロボロにされていた今のメタルシードラモンに、その2つの必殺技に耐えられるだけの力は無かった。

装甲が砕け、致命的なダメージを負ったメタルシードラモンは力尽き、水飛沫を上げて海面に倒れると、粒子に分解されながら海中へと沈んでいった。

オウリュウモンはアルファモンを背に乗せると、

 

『……………大士』

 

融合している葵がアルファモンに融合している大士に話しかけた。

 

『ん?』

 

『大士は自分の事を弱いって言ってたけど、私はやっぱり大士は強いと思うな』

 

『はぁ? どういう意味だ?』

 

『そのままの意味だよ』

 

葵は嬉しそうにそう言う。

大士は意味が分からないままハジメ達と合流するのだった。

 

 

 

 

 





第34話の完成。
葵の正体はまだです。
少しだけステータスが解放されてパワーアップしました。
で、特に意味もなくメタルシードラモン登場。
海上と言う不利なフィールドで多少苦労しました。
で、雫のパワーアップですが今の所テイマー派がぶっちぎり。
このまま行くと決まりそうな勢いですが…………
その場合は自分の独断と偏見によってパートナーが決まりますのでご容赦ください。

雫をパワーアップさせる?

  • させずにこのまま原作の様な立ち位置で
  • 魔物肉でパワーアップ
  • 寧ろテイマーにしてしまえ!
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