八重樫さんがコテモンをパートナーにしてから数日。
「ファイヤーメン!」
コテモンが炎を纏った竹刀を振り下ろす。
それに対し、
「兜返し!」
リュウダモンが兜でその一撃を受け止め、それと同時に身体を回転させて尾撃をコテモンに打ち込んだ。
「ぐはっ!?」
コテモンが吹き飛ぶ。
「そこまで! 勝者、リュウダモン!」
「ぬぅ………不覚」
コテモンが起き上がりながらそう零す。
「中々良い打ち込みであった」
リュウダモンがそう言いながらコテモンに手を貸し、立ち上がらせる。
「リュウダモンこそ、その守りは目を見張るものがあるでござる。拙者の剣を尽く受け止めるとは…………」
コテモンとリュウダモンは似たような武士の性格であるからか、すぐに仲良くなっていた。
今やっているように偶に模擬試合も行っている。
それから、漸くハジメの方も決意が固まったようで、明日エリセンを発つ事になった。
ミュウは泣きそうになりながらも我慢して、何とか笑顔で見送る。
その際に何故かレミア、ミュウ母娘も地球に連れて行くことを約束する事になったが。
そして現在、俺達は再びアンカジ公国へ向かっていた。
理由は、手に入れた再生魔法。
再生魔法なら汚染されたアンカジのオアシスを元に戻せるかもしれないという白崎さんの発案である。
因みに再生魔法の適性は、白崎さんと葵が最高レベル。
次いでティオ。
更にその下にユエ、優花、八重樫さん。
更に更に下にシア。
で、俺とハジメは適性皆無だった。
何気に葵の神代魔法適性が高水準なんだが。
いや、葵は重力魔法と再生魔法しかないけど。
最近の葵はステータスが上がったお陰で色々と試せるようになってきている。
益々俺の弱さが際立ってくるな。
それでグリューエン砂漠を魔力駆動四輪で爆走する事1日半。
俺達は再びアンカジ公国に足を踏み入れていた。
「久しい……というほどでもないか。無事なようで何よりだ、ハジメ殿。探していたお仲間は見つかりましたかな?」
ランディがそう言う。
「ああ、エリセン沖まで吹っ飛ばされてたが、この通りピンピンしてるよ。それより領主、どうやら救援も無事に受けられているようだな」
俺に視線を一度やった後に、状況を確認する。
「ああ。備蓄した食料と、ユエ殿が作ってくれた貯水池のおかげで十分に時間を稼げた。王国から援助の他、商人達のおかげで何とか民を飢えさせずに済んでいる」
「領主様。オアシスの浄化は……」
白崎さんが本題に入る。
「香織殿。オアシスは相変わらずだ。新鮮な地下水のおかげで、少しずつ自然浄化は出来ているようだが……中々進まん。このペースだと完全に浄化されるまで少なくとも半年、土壌に染み込んだ分の浄化も考えると一年は掛かると計算されておる」
ランディは残念そうにそう言って肩を落とした。
「あの、まだ可能性の話ですが、オアシスを浄化できるかもしれません」
「……………………………」
白崎さんの言葉にランディは一度固まり、
「何ですとぉっ!?」
驚愕と共に確認を取るのだった。
早速浄化をするためにオアシスまで来た俺達。
「〝絶象〟」
突き出した杖の先に淡い光の球が発生し、それがオアシスの中央に溶ける様に落ち、オアシス全体が輝く。
神秘的な光景に俺達も含めて誰もがその輝きに目を奪われる中、やがてその光は空へ溶ける様に消える。
暫くその余韻に浸っていたランディにハジメが促すと、ランディは部下に水質の調査を命じた。
指示を受けた部下は、魔法を使って水質を調べる。
「結果は如何か………?」
ランディは重々しく尋ねる。
すると、
「……戻っています」
「……もう一度言ってくれ」
ランズィの再確認の言葉に部下の男は、息を吸って、今度ははっきりと告げた。
「オアシスに異常なし! 元のオアシスです! 完全に浄化されています!」
その言葉に、他の部下たちは歓声を上げると共に抱き合ったり、肩を叩きあったりして喜びを露にする。
「あとは、土壌の再生だな……領主、作物は全て廃棄したのか?」
「……いや、一箇所にまとめてあるだけだ。廃棄処理にまわす人手も時間も惜しかったのでな……まさか……それも?」
「ユエとティオ、園部や神代も加わればいけるんじゃないか? どうだ?」
「……ん、問題ない」
「うむ。せっかく丹精込めて作ったのじゃ。全て捨てるのは不憫じゃしの。任せるが良い」
「まあ、その位は構わないわ」
「あはは……私の魔力量でどれだけ役に立てるかわかんないけど………」
最後の葵だけはちょっと自信無さげだが。
「いや、葵………アンタそれでも勇者である光輝の基本ステータス全部上回ってるんだからね」
八重樫さんがそう突っ込む。
するとランズィは胸に手を当て、俺達に対して深々と頭を下げた。
「領主がそんな簡単に頭下げて良いんですか?」
俺はそう言う。
「今下げずにいつ下げるというのだ………? ここで下げなければこの先私が頭を下げる事など無いよ。君達はこのアンカジの救世主だ。領主として………そしてこのアンカジに住む1人として君達に感謝する………!」
それを聞いて、本当にランズィは出来た為政者だと思った。
ランズィの礼を受けながら、俺達は農地地帯の方へ移動しようとした時だった。
アンカジ公国の兵士とは違う装いの兵士が隊列を組んでやってきたのだ。
「なんだアレ?」
俺が呟くと、
「……………どうやら聖教教会の関係者みたいね………兵士の方は神殿騎士かしら?」
優花が〝遠見〟で確認してそう言ってくる。
「………どう見ても歓迎してくれるって雰囲気じゃないね」
葵もそう言う。
「別の意味で歓迎してくれそうだな」
俺がやれやれと溜息を吐きながらそう言った。
その神殿騎士達は、俺達の前に到着すると、半円状に俺達を取り囲んだ。
すると、その集団の中で一番立派な法衣を着た初老の男性が進み出て来る。
「ゼンゲン公……こちらへ。彼等は危険だ」
「フォルビン司教、これは一体何事か。彼等が危険? 二度に渡り、我が公国を救った英雄ですぞ? 彼等への無礼は、アンカジの領主として見逃せませんな」
ランズィにフォルビンと呼ばれた司教は鼻で笑うと、
「ふん、英雄? 言葉を慎みたまえ。彼等は、既に異端者認定を受けている。不用意な言葉は、貴公自身の首を絞めることになりますぞ」
「異端者認定……だと? 馬鹿な、私は何も聞いていない」
ランズィは何かの間違いだと言わんばかりにそう言う。
「当然でしょうな。今朝方、届いたばかりの知らせだ。このタイミングで異端者の方からやって来るとは……クク、何とも絶妙なタイミングだと思わんかね? きっと、神が私に告げておられるのだ。神敵を滅ぼせとな……これで私も中央に……」
最後に本音が漏れてるぞ。
まあ、ハジメを筆頭に俺達に特に焦りはない。
来るべき時が来たかと言うだけだ。
八重樫さんだけはちょっと険しい顔をしているが。
「さぁ、私は、これから神敵を討伐せねばならん。相当凶悪な男だという話だが、果たして神殿騎士100人を相手に、どこまで抗えるものか見ものですな。……さぁさぁ、ゼンゲン公よ、そこを退くのだ。よもや我ら教会と事を構える気ではないだろう?」
いや、むしろそっちがどれだけ抗えるか見物なんですが?
って言うか、こちとら大迷宮の攻略者だぞ。
騎士100人で大迷宮攻略できると思ってんですか?
突っ込みどころだらけな司教の発言に内心で突っ込んでおく。
ランズィは、俺達と司教を交互に見比べると、ニヤリと口元に笑みを浮かべた。
そして、
「断る」
堂々と、威厳を持った態度でそう言い放った。
俺はその答えに軽く驚く。
「……今、何といった?」
司教が聞き間違いかと再度問いかける。
「断ると言った。彼等は救国の英雄。例え、聖教教会であろうと彼等に仇なすことは私が許さん」
「なっ、なっ、き、貴様! 正気か! 教会に逆らう事がどういうことかわからんわけではないだろう! 異端者の烙印を押されたいのか!」
驚愕から口が回らないのか、司教は言葉を詰まらせながら怒気を含んだ声で言い返す。
「フォルビン司教。中央は、彼等の偉業を知らないのではないか? 彼は、この猛毒に襲われ滅亡の危機に瀕した公国を救ったのだぞ? 報告によれば、勇者一行も、ウルの町も彼に救われているというではないか……そんな相手に異端者認定? その決定の方が正気とは思えんよ。故に、ランズィ・フォウワード・ゼンゲンは、この異端者認定に異議とアンカジを救ったという新たな事実を加味しての再考を申し立てる」
「だ、黙れ! 決定事項だ! これは神のご意志だ! 逆らうことは許されん! 公よ、これ以上、その異端者を庇うのであれば、貴様も、いやアンカジそのものを異端認定することになるぞ! それでもよいのかっ!」
思った通りに事が進まないから言葉が汚くなってるよこの司教。
「……おい、いいのか? 王国と教会の両方と事を構えることになるぞ。領主として、その判断はどうなんだ?」
ハジメもランズィがここまで抗うとは思って無かったのか、意外そうな表情でそう問いかけた。
いや、俺的にはむしろ英断だと思うけどね。
簡単に言えば、俺達全員を敵に回すか教会を敵に回すかだろ?
俺がランズィの立場だったら同じく教会を敵に回す方がマシだぞ。
だってよく考えてみてくれ。
ハジメ、白崎さん、ユエ、シア、ティオ、優花だけでも一国を余裕で滅ぼせる戦力なのに、それに加えてデジモンの究極体が3体もいる。
普通に世界滅ぼせる戦力だ。
まあ、ランズィはデジモンの究極体の力は知らないだろうが、それでもハジメ達に喧嘩売るより教会と敵対した方がまだマシと判断したんだろう。
「いいのだな? 公よ、貴様はここで終わることになるぞ。いや、貴様だけではない。貴様の部下も、それに与する者も全員終わる。神罰を受け尽く滅びるのだ」
「このアンカジに、自らを救ってくれた英雄を売るような恥知らずはいない。神罰? 私が信仰する神は、そんな恥知らずをこそ裁くお方だと思っていたのだが? 司教殿の信仰する神とは異なるのかね?」
売り言葉に買い言葉と言わんばかりに尽く言い返すランズィに、司教はもう我慢がならなかったのか手を挙げて攻撃の合図を出そうとする。
だがその時、言葉通り投じられた一石がその流れを変えた。
投げ込まれた石がカンッと音を立てて神殿騎士のヘルメットに当たる。
「ふざけるな! 俺達の恩人を殺らせるかよ!」
「教会は何もしてくれなかったじゃない! なのに、助けてくれた使徒様を害そうなんて正気じゃないわ!」
次々に投げ込まれる石。
「やめよ! アンカジの民よ! 奴らは異端者認定を受けた神敵である! やつらの討伐は神の意志である!」
司教はアンカジの国民に向かってそう声を張り上げる。
自分の言葉でハッキリと俺達が異端者だという事を印象付けようとしたのだろう。
しかし、
「何が異端者だ! お前らの方がよほど異端者だろうが!」
「きっと、異端者認定なんて何かの間違いよ!」
それでも投石は止まらない。
寧ろ激しくなっている。
「香織様を守れ!」
「雫お姉様を助けるのよ!」
「クルモンちゃんに何するの!」
「領主様に続け!」
「香織様、貴女にこの身を捧げますぅ!」
「雫お姉様! お姉様為なら神にすら逆らって見せます!」
「クルモンちゃんの可愛さは異端クラス。それは認める!」
「おい、誰かビィズ会長を呼べ! 〝香織様にご奉仕し隊〟を出してもらうんだ!」
「こっちもよ! 〝雫お姉様の妹になり隊〟戦闘準備!」
「〝クルモンちゃんを愛で隊〟何時でもいけます!」
何か白崎さんと八重樫さんとクルモンの人気が凄いんだが?
八重樫さんを見れば、こんな状況なのに頭を抱えている。
「クルックル~!」
クルモンは嬉しそうだ。
「司教殿、これがアンカジの意思だ。先程の申し立て……聞いてはもらえませんかな?」
「ぬっ、ぐぅ……ただで済むとは思わないことだっ」
司教と神殿騎士達は負け惜しみの様にそう言い残して立ち去るのだった。
第36話の完成。
特にネタが無かったのでほぼ原作通り。
何かまた運営から突っ込まれそうな気が………
寧ろこっから下が本題?
前回のアンケートですが、3つがエライ接戦になってます。
今までのアンケートの中で一番の接戦なのでまだどうなるか分かりません。
なので、選択の参考として、全員にパートナーがありになった場合、誰がどのデジモンになるかと、簡単な道筋を書いておきます。
ハジメ=アグモン(黒)→グレイモン(青)→メタルグレイモン(青)→ブリッツグレイモン
香織=ガブモン→ガルルモン→ワーガルルモン→クーレスガルルモン
ブリッツグレイモン&クーレスガルルモン→オメガモンAlter-S(B)
ユエ=ブイモン→ブイドラモン→エアロブイドラモン→アルフォースブイドラモン
シア=クダモン→レッパモン→チィリンモン→スレイプモン
ティオ=ドラコモン→コアドラモン(青)→ウイングドラモン→エグザモン
優花=ハックモン→バオハックモン→セイバーハックモン→ジエスモン(GX)
ブイモン、クダモン、ドラコモン、ハックモンはイグドラシルがロイヤルナイツをデジタルワールドから呼び出す際に不手際が起こり、退化&記憶を失ってハジメ一行の下へ。
アグモン(黒)とガブモンはその際の巻き込まれ。
他のロイヤルナイツ(デュークモン除く)はイグドラシル側。
オメガモンVSオメガモンAlter-S(B)とか、ジエスモンVSガンクゥモンの師弟対決とかやってみたいと思った。
まあ、半分は思い付きなんで参考になればと…………
ハジメのみの場合は…………(02の)Bウォーグレイモンが候補に挙がっていたり?
どのルートになっても全力で頑張りたいと思います。
では、次も頑張ります。
オマケ
ミュウ=ベルフェモンスリープモード(ミュウが抱えられるぬいぐるみサイズ)
ハジメ達にパートナーデジモンを付けるか?
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これ以上パートナーデジモンは増やさない
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ハジメのみパートナーデジモン有
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仲間全員にパートナーつけてデジモン大決戦