オアシスや土地などを浄化したアンカジを出て数日。
それに気付いたのはいつもの如く優花だった。
「…………南雲、この先で戦闘が行われてるみたいよ」
魔力駆動四輪を運転するハジメにそう進言する。
「…………あれか」
ハジメにも見えたようでそう呟く。
「相手は賊みたいだな。……小汚ない格好した男が約40人……対して隊商の護衛は15人ってところか。あの戦力差で拮抗…………つーか、圧倒してねえか?」
ハジメが意外そうな声を漏らす。
ハジメが言うには、隊商側が盗賊を圧倒しているという。
「……ん、あの結界は中々」
「ふむ、さながら城壁の役割じゃな。あれを崩さんと本丸の隊商に接近できん。結界越しに魔法を撃たれては、賊もたまらんじゃろう」
ユエとティオがそう推測するが、
「…………寧ろ1人で圧倒してる感じなんだけど?」
優花が気配感知で戦況を伺っている。
「お………もう残り10人を切った」
俺達が到着するまでに全滅させそうな勢いだ。
なのでハジメは、面倒ごとは勘弁とこのまま素通りするつもりだったのだが、
「ごめん南雲君。ちょっと気になることがあるから、あそこの隊商と合流してほしいんだけど………」
突然八重樫さんがそんな事を言いだした。
「何でだ?」
「もしかしたら、あそこに『彼女』が居るかも……………」
八重樫さんの言葉にハジメは何の事だと首を傾げるが、とりあえず言う通りに合流することにした。
隊商の近くまで魔力駆動四輪で近付くと、隊商の人間たちが何だ何だと騒ぎ始める。
だが、俺はその時意外な人物を目にした。
『彼』も俺達の存在に気付いたのかこちらに歩み寄ってくる。
それは、
「やはりお前達だったか…………」
「レオモン!」
ウルの街で愛子先生の護衛の為に別れたレオモンだったのだ。
先程優花が1人で圧倒してると言っていたのは、どうやらレオモンだったようだ。
確かにレオモンなら盗賊程度相手にはならないだろう。
すると、
「雫!」
女性の声がして、フードを被った人物が八重樫さんに向かって駆けよった。
「リリィ! やっぱり、リリィなのね? あの結界、見覚えが有ると思ったわ。まさか、こんなところにいるとは思わなかったから、半信半疑だったけど……」
八重樫さんの反応から、それなりに親しい相手だという事が分かる。
ズレたフードから覗く金髪と碧眼、そして整った容姿が見て取れた。
「私も、こんなところで雫に会えるとは思いませんでした。……僥倖です。私の運もまだまだ尽きてはいないようですね」
「リリィ? それってどういう……」
八重樫さんが『リリィ』と呼んだ彼女の言葉の意味を図りかねている。
すると、
「あっ! 誰かと思えばリリアーナ王女!」
白崎さんがパンと手を叩いて思い出したと言わんばかりにそう言った。
彼女はその反応に慌ててフードを深く被り直すと、口の前で人差し指を立てて静かにと言うジェスチャーをした。
「……………知ってんのか、香織?」
「……………知り合い?」
ハジメと俺がそう聞いた。
「へっ?」
思わずその相手が素っ頓狂な声を漏らす。
「あ~………ハジメ君、黒騎君。ハイリヒ王国の王女様なんだけど、覚えてない?」
「気さくで人当たりのいい性格で、誰にでも分け隔てなく接する優しい王女様って有名だったじゃない」
白崎さんと八重樫さんの言葉に頭に指を当てて記憶を辿ると、
「「……………………………………………………………………………………ああ」」
記憶を辿った末に、ほんの僅かに見覚えがある事を思い出した。
「ぐすっ、忘れられるって結構心に来るものなのですね、ぐすっ」
何やら泣いているが、
「葵と優花は覚えてるか?」
俺がそう聞くと、
「まあ、香織が言った名前で思い出したわ」
優花がそう言い、
「私は大士と同じぐらいのタイミングで………」
葵も何とか思い出した様だ。
「ぐすっ………私って、そんなに印象薄かったでしょうか…………?」
「リリアーナ王女の印象が薄かったというより、奈落での印象が強すぎただけだから…………! 別にリリアーナ王女が印象薄いわけじゃないから………!」
何故か白崎さんが彼女を慰めているが、
「あと序に言うなら、印象に差があったと言うべきだろうな」
「差?」
俺の言葉に葵が聞き返すと、
「ああ。まず最初に白崎さんと八重樫さん。2人はハジメが奈落に落ちるまでの2週間の間に、どれだけの頻度でその王女サマと会っていた?」
俺はそう聞く。
「えっと………ほぼ毎日かな?」
「そうね………勇者である光輝のグループにいたからかもしれないけど」
2人はそう答える。
「次に優花。優花はどれぐらいの頻度で会っていた?」
「そうね…………2日か3日に1回位だったと思うわよ」
「で、最後にハジメと葵と俺だが…………俺は白崎さん達と一緒に会った事を除けば、最初の顔合わせ以外では会った記憶は無いな」
「……………俺もだな。そいつと会った記憶は香織達と一緒に居る時だけだ」
「私は…………偶然会って話した1、2回位かなぁ?」
「というわけだ。俺達が王女さまの印象が薄いのは当たり前。そもそも会っていた回数が違う。要は王国にとって、戦力として使える『駒』に対しては良い印象を与えて、仕えない『駒』は如何でもいいって事だろ?」
俺は、白崎さん八重樫さんと俺達の扱いの差をそう評する。
「ッ…………!」
「ちょっと黒騎君!」
八重樫さんが声を荒げるが、
「八重樫さんには悪いが取り消すつもりは無いぞ。こちとら使えない『駒』って事で冤罪押し付けられて投獄されそうになったんだ。俺はそんな国の王族ってだけで信用できないからな」
「…………………………」
リリアーナ王女は俯く。
「王女サマ本人に自覚があったかは知らないが、少なくとも国の上層部は俺達を『駒』として見ていたことは間違いない。おそらく王女サマが誰に会いに行くかも、個人的な時もあったかもしれないが、大体は、誰に会いに行くかは決められてたんじゃないか?」
「そ………れは……………」
「そこで言い淀むって事は心当たりがあるんだろ。分け隔てなくが聞いて呆れるね」
「言い過ぎよ! 黒騎君!」
八重樫さんが叫ぶ。
「良いのです、雫!」
その八重樫さんを止めたのは王女サマ本人だった。
「あなたの言う通りです。王国があなた方を『駒』として見ていた節があるのは否定できません。事実、そうなのでしょう…………」
王女サマは俯きながらもそうハッキリと口にする。
「ですが、私は誓って一度たりともあなた方を『駒』だと………戦争の道具と思った事はありません…………!」
「…………………」
王女サマ…………リリアーナ王女は俺の目を真っすぐに見つめてそう言い放つ。
「……………ふう、どうやらあんたはあの国の王族の中でもマシのようだな。リリアーナ王女」
「えっ………それは如何いう…………?」
いっその事ロクデナシの王族であれば気が済むまで皮肉とか言いまくってやるのに、残念ながらリリアーナ王女は、まだまともな王族だったようだ。
「あはは、少しは大士に認められたって事だね」
葵がそう言う。
「えっ?」
「大士はあなた試していただけよ。信用に値するかどうかね…………正直、大士が認めたのは予想外だったけど………」
優花もそう補足する。
「大士にとって王国は嫌いな国に入るからね。正直、良くて精々恨まない程度に収まるかと思ってたけど…………」
「少なくとも、俺の冤罪の裁定には、リリアーナ王女は直接関わってないだろうしな。国としてはともかく、個人を否定するつもりは更々ない」
俺はそう言っておく。
「…………それで、リリィは如何してこんな所に居るの?」
八重樫さんの質問にリリアーナ王女はハッとして、
「そのお話をする前にこちらへ来てください。特に香織の力が必要です」
そう言って俺達をとある馬車に案内する。
そこには、
「メルド団長………?」
馬車に寝かされ、毛布を掛けられたメルド団長が横たわっていた。
負傷しているのか、頭や体に包帯が巻かれている。
しかも傷が深いのか苦しそうな表情をしている。
「何故メルドがこんな所に? それにこの怪我………さっきの盗賊………じゃあねえよな? いくらなんでも騎士団長であるメルドが奇襲を受けたとしても、後れを取るとは思えねぇ」
ハジメがそう言う。
「はい、全てお話します。ですがまずはメルド団長の治療を………香織、お願いできますか?」
リリアーナ王女の言葉に白崎さんは頷き、
「〝天恵〟」
その一言で治癒魔法を発動させ、メルドの傷を一瞬で治癒する。
メルド団長の呼吸は落ち着いたが、まだ意識は戻らない様だ。
それでもリリアーナ王女はホッとした表情を見せる。
「それで? 何でメルドや王女であるアンタがこんな所に居るんだ? しかもレオモンまで連れて………」
ハジメが単刀直入にそう聞くと、
「それは…………」
リリアーナ王女は口を開こうとした。
しかし、
「王女、その話は私からさせて欲しい」
レオモンがそう口を挟んだ。
「レオモン殿…………分かりました」
リリアーナ王女は頷く。
すると、
「すまない………先ず私はお前達に謝らなければならない」
レオモンはそう言って俺達に深く頭を下げる。
「一体どうしたんだ?」
俺がそう聞くと、
「………………愛子が攫われた」
驚愕の一言を言い放った。
【Side レオモン】
私達が大士達と別れてから程なくして、愛子達は王都へと帰還した。
私もそれに同行したが、私がデジモンであるという事と、この世界の亜人に近い見た目であることから、周りからの視線はお世辞に言ってもいいものとは言い難かった。
愛子の取り成しで王城内へ入ることは許されたが、ずっと愛子に付き添う事は愛子にとっても外聞的に良くないと思い、王城の中なら安全だろうと判断し、中庭を主な生活の場にしようと思っていた。
その際、1人の少年が私の下を尋ねてきた。
「……………俺の名は天之河 光輝。地球から召喚された勇者だ」
「……………レオモンだ」
少年の意図を計りかねずにいると、
「……………一つ聞きたい。デジモンは『悪』では無いのか?」
唐突な質問が来た。
「……………逆にお前は人間は『正義』かと言われて頷けるか?」
私はそう聞き返す。
「だが、デジモンは6年前に地球に被害をもたらした! それは事実じゃないか!」
「……………確かに当時デジタルワールドからリアルワールドへ迷い込むデジモンが居た事は確かだ。その中には凶暴なデジモン達も居ただろう」
「なら、やっぱりデジモンは『悪』じゃないか!」
「一部のデジモン達の姿を見ただけで、それがデジモン達の全てだと思わないで欲しい。例え話だが、お前達の世界の善からぬ者が我々デジモン達を傷付け、その行いによってデジモン全てが人間は『悪』だと断じ、人間を全て滅ぼそうとする事は許容できるか?」
「なっ………!? そんなの許容できるはずないだろう!? 悪いのはその『悪人』だけだ!」
「……………デジモンも同じだ。凶悪なデジモンも居れば、心穏やかな優しいデジモンも居る……………お前の考えは極端に言えば、それと同じ事だ」
「ッ………………!」
その少年は虚を突かれたような表情をした。
それから何かを考えるように俯くと、
「……………………もう一つ聞きたい。『正義』とは何だ?」
そう質問してきた。
「ふむ…………これはまた答えに困る質問だな…………私の答えだが、『正義』とはそれぞれが持つ『譲れないもの』だ」
「譲れないもの?」
「ああ。私の正義は理不尽に暴力を振るう者達から、弱き者達を護る事。私はその為にこの力を振るっている」
「それは…………俺も同じだ…………俺は護りたい…………魔人族からこの世界の人々を……………」
「………………………」
「だが、俺は気付いてしまった……………俺が戦うべき魔人族も、同じように家族が………恋人が………仲間がいる事に…………! そんな彼らを殺す事が正義なのか!?」
なるほど、この少年はその事で悩んでいたのか。
「お前の気持ちはわからんでもない。だが、私の『正義』を貫く為に必要な時には、私は迷わず手を下すだろう」
「何故だ!? 彼らにも、彼らの死を悲しむ者達が居る! それを知ってもなお殺せるというのか!?」
「そうしなければ『護れない』時にはな」
「ッ!?」
「殺しても殺されても後悔するというのなら、私は自分が大切にしている方を選ぶ」
「『大切』…………だと?」
「『正義』とは極端に言えば自己満足だ。私の様に『護ること』に正義を見出す者も居れば、『力』が正義というものも居る」
「そんな事………!」
「勿論私はそんな『正義』を許容することは出来ん。だが、そのこと自体を否定するつもりは無い」
「否定しないだって?」
「我々デジモン達は弱肉強食の世界で生きている。そこで生き抜くためには力も必要なのだ。『力』が無ければ生きて行けず、『力』が無ければ何も成し遂げられない。それもまた真理なのだ」
「……………………」
「私は理不尽な暴力を振るう者を『悪』と断じてはいるが、彼らも彼らなりの『正義』を持って戦っている。生きる為、喰らう為、支配する為。我々とは方向性が違うだけで、彼らも自分のやるべきことを『正しい』と思って行っている。そもそも『間違っている』と思っている事を、明確な理由が無い限り自分から進んでやる者などおるまい」
「………………………………」
「話が逸れたが、『殺す』事を許容できるかは自分次第だ。お前は平和な日本で暮らしていたから『殺す』事を嫌忌しているのだろうが、この世界は日本とは違う。どちらかと言えばデジタルワールドの法則に近い。『殺す』事に戸惑った結果、お前の護るべき者達が危険に晒される可能性がある事を常に忘れるな」
「ッ………………………」
少年はそのまま何も言わずに踵を返す。
「…………危ういな」
あの少年の心は『善』だ。
それは間違いない。
だが、自分の『正義』以外を許容できない性格の様だ。
自分以外を認めない『正義』は、時に『悪』よりも始末に負えない時がある。
それに気付ければいいのだが……………
その日の夕方、私は中庭で瞑想していた。
食事などは愛子と一緒に居た生徒達が運んで来てくれることになっており、正直時間を持て余している。
だがその時だった。
――ガキッ、キィン
私の耳に僅かに聞こえた金属音。
「……………剣戟の音…………?」
その音が気になった私は瞑想を中断し、その音がする方向へと向かう。
屋根の上を跳躍しつつ、訓練場と思わしき場所を見下ろす。
そこでは、
「お、お前達! 一体如何いうつもりだ!?」
傷付き、負傷している大柄の男が、自らを囲む兵士らしき者達に呼びかける。
「「「「「……………………」」」」」」
しかし、周りの兵士達は何も反応しない。
「……………何だ? あの兵士達は…………? まるで生気を感じない? いや、呼吸すらも不自然だ…………」
呼吸は一応している。
だが、あまりにも規則正し過ぎる。
まるで、プログラムされた通りの行動を繰り返しているだけの様な…………
「ぐっ………俺はまだあいつ等に教えなければならないことが…………!」
男は深手を負っているのか、動きが鈍い。
「いかん!」
私は屋根から飛び降り、その男に振り下ろされようとしていた剣を獅子王丸で受け止めた。
「なっ? お、お前は………確か愛子殿と一緒に来た…………」
「状況がよくわからんが助太刀しよう」
「ぐっ………助かる………」
その男は痛みで顔を顰めながらもそう言うが、どうやらこれ以上は戦えない様だ。
「それでこの者達は?」
「俺の部下達だ……………だが、突然斬りかかってきて、俺にも何が何だか………」
なるほど、見た所この男は目の前の兵士達が束になっても勝てるほどには強いのだろうが、突然の事に混乱し、実力を発揮できずに深手を負ったという所か………
「……………ふん!」
私は受け止めていた剣を弾き返す。
兵士達はたたらを踏むが、すぐに剣を構えなおした。
「この私を前にしても、微塵も動揺を見せないとはな………」
明らかに兵士達の様子がおかしい。
「………………この場は如何するべきだ? 撃退か………それとも撤退か………?」
「くっ………部下が何故こうなっているのかいるのか分からない以上、無暗に傷付けたくはない…………もしかしたら、元に戻せる可能性もある………すまないが、一旦退いて欲しい」
「分かった」
私はその男を担ぐ。
「ぐっ……!」
「少しの間辛抱しろ!」
痛みに顔を歪めるその男にそう言うと、私は跳躍してその場を離れる。
やがて中庭に辿り着くと、丁度フードで顔を隠した人物と遭遇した。
「何者だ………!?」
見るからに怪しい人物に私は獅子王丸を突き付けたが、
「ま、待て………!」
担いでいた男がそれを制止した。
「メルド団長!?」
フードの人物は女性のようで、担いでいた男の知り合いの様だ。
「メルド団長………!? その怪我は一体………!?」
「………部下たちが突然………窮地に陥っていた所をこちらの亜人に救われました………それよりも、リリアーナ王女こそ、そんな姿で一体何を…………?」
その男………メルドが言うにはその女性は王女らしい。
「……………愛子さんが、攫われました………」
「なっ!?」
私はその言葉に思わず声を漏らした。
「攫ったのは銀髪の教会修道服を着た女でした………私は咄嗟に王族しか知らない隠し部屋に隠れ、気付かれずに済みましたが愛子はそのまま…………」
「くっ…………!」
大士から頼まれていたというのに何という失態………!
「おそらく、愛子さんの生徒達は見張られていると思います。お父様達も信用が出来ず、メルド団長もつい先ほどまで行方が知れなかったので、今私が頼れるのは別行動をしている雫…………そして、雫と行動を共にしている南雲さん達だけです………!」
「…………その判断は間違っておりません。そして………騎士団の中にもどれだけ信用できるものが居るか……………情けない事ですが、今の騎士団は信用してはいけません」
メルドの言葉に王女は頷くと、
「私はこのまま隠し通路から王都へ出てアンカジへ向かいます。メルド団長は…………」
「申し訳ありませんが今の私では足手まといにしかなりません」
「ですが、命を狙われたとなれば、ここに残れば…………」
「ならば、私が彼を運ぼう」
私がそう言うと、2人は驚いたように私を見た。
「これでも私は大士の昔からの仲間だ。話も通しやすいだろう。それに、私は愛子の事を頼まれていたにも拘らず、まんまと攫われてしまった…………その責は私にもある…………」
「………分かりました。お願いしても宜しいでしょうか?」
「任せてもらおう」
私は王女、メルドと共に王城を脱出し、こうして幸運にも大士達と合流することが出来たのだ。
【Side Out】
「………………重ねて言うがすまなかった…………愛子を護り切れなかった」
レオモンはそう言って頭を下げる。
「いや、レオモンの所為じゃないよ。それに、まさか王城の中で堂々と誘拐するとはだれも思って無かったからな」
俺はそう言う。
それからリリアーナ王女の話では、父親であるエリヒド国王は、今まで以上に聖教教会に傾倒し、時折、熱に浮かされたように〝エヒト様〟を崇め、それに感化されたのか宰相や他の重鎮達も巻き込まれるように信仰心を強めていったらしい。
更に俺達の異端者認定もウルの町や勇者一行を救った功績も、〝豊穣の女神〟として大変な知名度と人気を誇る愛子先生の異議・意見も、全てを無視して決定されてしまったそうだ。
リリアーナ王女はそれに猛抗議したが、全く聞き入れてもらえず、それどころか、娘のリリアーナ王女にさえ敵を見るような目で見始めたらしい。
恐ろしくなったリリアーナ王女は咄嗟に理解する振りをしてその場を逃げ出し、愛子先生を追いかけ自らの懸念を伝えた。
すると愛子先生から、ハジメが奈落の底で知った神の事や旅の目的を夕食時に生徒達に話すので、リリアーナ王女も同席して欲しいと頼まれたのだそうだ。
それを聞いたリリアーナ王女は、夕方に愛子先生や生徒達が食事をとる部屋に向かった。
しかしその途中、廊下の曲がり角の向こうから愛子先生と何者かが言い争うのを耳にし、何事かと壁から覗き見れば、愛子先生が銀髪の教会修道服を着た女に気絶させられ担がれているところだったという。
「あとは知っての通り、隊商にお願いして便乗させてもらいました。まさか、その途中で賊の襲撃に遭い、それが切っ掛けで雫たちと合流できるとは思いませんでしたが……少し前までなら〝神のご加護だ〟と思うところです。……しかし……私は……今は……教会が怖い……一体、何が起きているのでしょう。……あの銀髪の修道女は……お父様達は……」
リリアーナ王女は恐怖に震えるように自分の身体を抱きしめている。
「…………ねえ、思ったんだけど、その国王や重鎮達の変わりようって…………」
葵が思い当たることがある様にそう口を開く。
そしてそれは俺も同じ事を思った。
「ああ。メルジーネ海底遺跡の試練で見た。あの過去映像にそっくりだ………」
俺も同意する。
「……………あと、先生が攫われたのはこの世界の真実を話そうとしたからだろうな………チッ………その事が裏目に出るとは…………」
ハジメが舌打ちしながらそう言う。
「取り敢えず、先生を助けに行かねぇとな」
ハジメの言葉がリリアーナ王女にとって意外だったのか、
「宜しいのですか?」
そう確認した。
それに対し、ハジメは肩を竦める。
「勘違いしないでくれ。王国のためじゃない。先生のためだ。あの人が攫われたのは俺が原因でもあるし、放って置くわけにはいかない」
「愛子さんの……」
ハジメの答えにリリアーナ王女は若干肩を落とすものの、俺達が付いて来てくれることには変わりないと思ったのか気を取り直す。
「まぁ、先生を助ける過程で、その異変の原因が立ちはだかればぶっ飛ばすけどな……」
「……ふふ、では、私は、そうであることを期待しましょう。宜しくお願いしますね。南雲さん……」
リリアーナ王女はそう言って微笑む。
「………………………そう言えば教会の本拠地の【神山】って、大迷宮がある所じゃなかったかしら?」
優花がボソッとそう言う。
「ああ。ハジメにとっちゃこれ幸いと、堂々と【神山】に乗り込む口実が出来たって思ってるだろ?」
優花の呟きに俺はそう返した。
それを肯定する様に、ハジメは悪い笑みを浮かべていたりするのだった。
第37話です。
少し遅れて申し訳ありません。
ゲームのネプテューヌの新作をプレイしておりました(爆)
で、ここで登場のハジメの原作ヒロインの1人、リリアーナ王女です。
そして何故かレオモンとメルド団長付き。
レオモンを入れたことで何か変化が欲しいなと思っていて、メルド団長生存です。
後は光輝とレオモンの語り。
何か変化はあるのでしょうか?(未定)
で、雫をパーティーに入れた最大の理由が、雫が居ないとここで普通にスルーしてそうな気がしたからです。(核爆)
最初の2週間では香織もそれほど親しくは無かったでしょうし。
で、話は変わりますがパートナーデジモンのアンケートですが、一応パートナーを全員に付けるが一番多いのですが、パートナーを付けないという意見も割と多いので、もう一回パートナーを全員に付けるか、パートナーはこれ以上付けないかで決選投票します。
泣いても笑ってもこれで決めます。
しつこいと思いますが、よろしくお願いします。
ハジメ達にパートナーデジモンを付けるか?【決戦投票】
-
全員にパートナーデジモンを付ける
-
パートナーデジモンはこれ以上増やさない