ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第38話 王都急襲

 

 

 

リリアーナ王女、メルド団長、レオモンと合流した俺達は隠し通路から王城へ向かっていた。

因みにこの場に居るのは俺、ドルモン、葵、リュウダモン、優花、八重樫さん、コテモン、白崎さん、リリアーナ王女、メルド団長、レオモン、クルモンである。

ユエ、シア、ティオ、インプモンは有事の際の為に王都で待機し、ハジメは愛子先生の救出の為に神山へ向かった。

愛子先生を助けた後、預ける先は天之河達しか思い浮かばなかったのでその彼らが洗脳を受けていないかどうかを確認するための意味も含めて、リリアーナ王女を送り届けるのに同行している。

隠し通路から王宮の中に侵入し、就寝中であろう天之河の部屋に向かおうとしていた。

しかしその途中、凄まじい爆発音と同時に王都全体に響き渡るガラスが割れるような音がした。

 

「何だ!? 今の音は!?」

 

俺は思わず叫ぶ。

 

「これはっ………まさかっ!?」

 

リリアーナ王女が信じられないと言った表情で窓に駆け寄った。

 

「そんな……大結界が……砕かれた?」

 

王都の夜空には、大結界の残滓たる魔力の粒子がキラキラと輝き舞い散りながら霧散していく光景が広がっていた。

 

「しかも…………三重の結界が一撃で…………!?」

 

王都の大結界は三重に施してあるらしいのだが、それが一撃で全て砕かれたらしい。

大結界は数百年に渡り魔人族の侵攻から王都を守ってきた守りの要だ。

それを一撃で破壊できる存在など限られている。

 

〝聞こえるかの? 妾じゃ、状況説明は必要かの?〟

 

葵と優花の持つ念話石が輝き、そこから声が響いている。王都に残してきたティオの声だ。

因みに俺は魔力が無いのでそれは使えなかったりする。

 

〝お願いティオ〟

 

優花がそう返すと、

 

〝心得た。王都の南方1km程の位置に魔人族と魔物の大軍じゃ。グリューエン火山に現れた、あの2体のデジモンもおるぞ〟

 

「デュナスモンとロードナイトモンか………!」

 

予想通りの報告に俺は声を漏らす。

 

「まさか本当に敵軍が? そんな、一体どうやってこんなところまで……」

 

ティオの報告に、リリアーナ王女が表情を険しくしながらも疑問に眉をしかめる。

 

「空間魔法でしょうね。補助用のアーティファクトか何かを使えば大群ごと転移することが可能かも………」

 

優花がそう推測する。

 

〝それでお願いなのじゃが、タイシとアオイ達をこっちに寄越してくれんかの? 魔族や魔物だけなら我らでどうとでもなるが、流石にあの2体には敵わん。インプモンだけでは荷が重いじゃろう〟

 

〝わかった。すぐに向かうね〟

 

葵がそう返す。

 

「大士、そう言う訳だから…………」

 

「ああ、ロイヤルナイツが相手なら俺達が行くしかない」

 

俺は頷くと、優花やレオモンの方を向き、

 

「皆、悪いけど俺達は王都の方へ向かう。皆はこのまま天之河たちの所へ」

 

俺と葵は、ドルモン、リュウダモンと共に窓枠に足を掛ける。

 

「大士、葵………気を付けてね」

 

優花に声を掛けられ、

 

「ああ」

 

その言葉に頷き、

 

「優花達も気を付けてね…………あ、そうだ雫」

 

葵が思い出したようにポケットから3枚のカードを取り出し、

 

「念のため持ってって。数が多いと迷うと思うから、とりあえず基本のオプションカード3枚だよ」

 

それを八重樫さんに差し出した。

 

「あ………ありがとう、葵」

 

八重樫さんは少し戸惑いながらもそれを受け取る。

 

「それじゃあ、行くぞ、ドルモン!」

 

「おう!」

 

「行くよ、リュウダモン!」

 

「うむ!」

 

パートナーと共に窓の外へ飛び出した。

 

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

「「マトリックスエボリューション!!」」

 

「ドルモン進化!」

 

「リュウダモン進化!」

 

外へ飛び出すと同時に究極体へと進化する。

 

「アルファモン!」

 

「オウリュウモン!」

 

アルファモンとなった俺はオウリュウモンの背に乗ると、そのままティオからの報告にあった場所を目指した。

 

 

 

 

 

 

【Side 雫】

 

 

 

 

 

「え………… えっ? 如何いう事なのですか………!? 黒騎さんが黒い騎士になって、神代さんが竜に………? え? えっ………?」

 

リリィがいい感じに混乱している。

 

「リリィ、落ち着いて。あの姿は黒騎君とドルモン、葵とリュウダモンが融合して進化した姿なの」

 

「融合? 進化?」

 

「私にも良く分かってないけど、あの姿は2組の切り札」

 

「ほほう………話には聞いていたが実際に目にするとやはり興味深いでござるな…………テイマーとデジモンとの融合…………これこそ人とデジモンの至る境地でござる!」

 

コテモンが憧れに似た目を飛び去っていく2体に向ける。

 

「ともかく、私達は光輝の所へ向かいましょう。多分この騒ぎで騎士達の所へ集まっている筈よ」

 

「ああ。しかし騎士達には注意してくれ。正直どれだけの人数が向こうに取り込まれているのかわからん」

 

メルド団長がそう言って注意を促し、私達は再び駆け出した。

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

王都の南方約1km。

そこには数多くの魔物と魔族。

そして、空中に佇むデュナスモンとロードナイトモンがいた。

 

「…………やれやれ、あのようなシャボン玉の膜を破るのに我々の力を必要とするとは、嘆かわしいものだ」

 

ロードナイトモンが片手を額に当てながらやれやれと首を振る。

 

「ふん。その気になればあの様な街、一撃で吹き飛ばせるものを」

 

デュナスモンは少々不機嫌気味にそう言う。

王都の大結界を破ったのはデュナスモンのドラゴンズロアだ。

 

「止めておけ。それは我らが『神』の意志に反する。あくまで我々の役目は魔人族の補佐だ」

 

「分かっている。だが、なぜ我々があのフリードの様な三下に顎で使われなければならん」

 

「さあな。しかし、『神』はどうやらこの世界を観測している様だな」

 

「観測だと?」

 

「ああ。その理由までは分からんがな……………ん?」

 

ロードナイトモンが何かに気付いたように遠方を見た。

 

「どうした? ロードナイトモン」

 

「何…………どうやら退屈せずには済みそうだ」

 

「何…………? む、奴らは…………!」

 

デュナスモンは王都の方から飛んでくるオウリュウモンと、その背に乗ったアルファモンの姿を捉える。

 

「流石と言うべきか………デュナスモンのブレス・オブ・ワイバーンを受けて生きているとは…………」

 

「だが好都合。奴らで憂さ晴らしをさせてもらおう」

 

「その意見には賛成だ」

 

ロードナイトモンとデュナスモンはその場からアルファモン、オウリュウモンの方へ飛び出す。

大した時間も掛けずに2体はアルファモンとオウリュウモンの前に現れると、

 

「デュナスモン! ロードナイトモン!」

 

アルファモンは目の間に現れた2体に向かって叫ぶ。

 

「また会ったな、アルファモンにオウリュウモンよ」

 

ロードナイトモンはそう言葉を投げかける。

 

「今回も魔人族に味方するのか?」

 

「それが『神』の命。ならばそれに全力で応えるのが騎士の務めよ」

 

デュナスモンが答える。

 

「…………とは言え、あのような三下の言う事を聞くのはストレスが溜まる…………お前達で発散させてもらうぞ………!」

 

デュナスモンがアルファモン達に両手を向ける。

それに気付いた瞬間、アルファモンも右手を前に突き出した。

 

「ドラゴンズロア!!」

 

「デジタライズ・オブ・ソウル!!」

 

互いの中心で大爆発が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

【Side 雫】

 

 

 

 

 

 

黒騎君達と別れた私達は、緊急時に指定されている屋外の集合場所に向かっていた。

ようやくたどり着いた先で見たものは、騎士達に囲まれ、その剣で身体を貫かれて押さえつけられているクラスメイト達の姿だった。

急所は外れているようで殆どは生きているみたい。

いや、唯一恵理だけは拘束されておらず、寧ろ今までの恵理とは思えないニヤニヤとした嫌らしい笑みを浮かべていた。

 

「これは一体!?」

 

私は思わず叫ぶ。

 

「ッ! 〝回天〟!」

 

私の隣で香織が範囲回復魔法を発動させた。

身体を貫かれているクラスメイト達を強引に治癒していく。

剣で貫かれている所為で完全な治癒は不可能でも、香織は魔法を発動し続ける。

これなら香織が魔法を発動させ続けている限り死ぬことは無い。

 

「チッ! なんで、君達がここにいるのかなぁ! 君達はほんとに僕の邪魔ばかりするね!」

 

恵理は舌打ちすると周囲の騎士達に命令を下した。

周りの騎士達は恵理の言葉に従い香織に襲い掛かる。

香織の魔法の発動を止めようというのだろう。

しかし、彼等の振るった剣は光の障壁に阻まれ、香織を傷つけることは無かった。

そしてその障壁は、

 

「みなさん! 一体、どうしたのですか! 正気に戻って! 恵里! これは一体どういうことです!?」

 

私達の後ろでそう叫ぶリリィが張ったものだ。

 

「くそっ! お前達もなのか………!」

 

メルド団長が悔しそうにそう言葉を漏らす。

リリィの障壁に剣を振り下ろす騎士達の顔は、メルド団長が言った通り、何と言うか生気が感じられない。

まるで、死人が動いているかのような…………

 

「…………ッ!?」

 

その時、私の脳裏に恵理の天職が過った。

 

「恵理ッ!? まさかあなた!」

 

私は恵理の方を振り向いて叫ぶ。

 

「あ、気付いた? その通り。もっちろん降霊術だよ~。既に、みんな死んでま~す。アハハハハハハ!」

 

「「「ッ!?」」」

 

恵理の言葉に私、メルド団長、リリィが息を呑んだ。

 

「だけど降霊術じゃあ…受け答えなんてできるはずない!」

 

私がそう言い返すと、

 

「そこはホラ、僕の実力? 降霊術に、生前の記憶と思考パターンを付加してある程度だけど受け答えが出来るようにしたんだよ。僕流オリジナル降霊術〝縛魂〟ってところかな? ああ、それでも違和感はありありだよね~。一日でやりきれる事じゃなかったし、そこは僕もどうしたものかと悩んでいたんだけどぉ……ある日、協力を申し出てくれた人がいてね。銀髪の綺麗な人。計画がバレているのは驚いたし、一瞬、色々覚悟も決めたんだけど……その時点で告発してないのは確かだったし、信用はできないけど取り敢えず利用はできるかなぁ~って」

 

「…………なら、メルド団長を襲ったのは…………」

 

「うん、光輝君は『勇者』だからね。どんなに追い込まれても跳ね除けてしまうかもしれない。そんな光輝君への切り札に丁度良かったから傀儡にしようと思ってたんだけど、そこのライオン君に邪魔されちゃってね。まあそれは他の騎士でも代用は出来るからあまり気にしてなかったけど」

 

恵理は何でもないようにそう言う。

 

「さて、その団長さんは大事な部下達を相手に剣を向けられるかな?」

 

恵理はメルド団長に向かって試す様に嘲笑った。

 

「……………………………」

 

メルド団長は無言のまま歩き出して自分の意思で障壁の外へ出ると、

 

「ふんっ!」

 

剣の一振りで2人の騎士の首を跳ねた。

騎士の首が地面に転がる。

 

「うっわ! ひっど~い! それが今まで頑張ってくれた部下に対する態度?」

 

恵理は更に煽るような言葉を言い放つが、

 

「そうだ。私の部下だからこそ私の手で止めてやる! 何より、今まで命を賭してこの国を護って来た者達だ。自分達の手でこの国を滅ぼす事の片棒を担がされる事など望んではいない!!」

 

メルド団長は迷わずにそう言う。

 

「チッ! やっぱりお前はあの時に殺しておくべきだったよ」

 

恵理が命令を下し、騎士達がメルド団長へ殺到する。

 

「コテモン!」

 

「承知でござる!」

 

私はコテモンに呼びかけ、コテモンは飛び出してメルド団長の背後に迫っていた騎士を吹き飛ばす。

 

「助太刀するでござる!」

 

「助かる!」

 

メルド団長とコテモンは背中合わせになって騎士達を倒していく。

 

「レオモン! 何とか恵理を確保して!」

 

「わかった!」

 

レオモンも障壁の内側から飛び出し、恵理へ向かって跳躍する。

でも、恵理はレオモンが迫っているというのに慌てる素振りを見せない。

その瞬間、恵理の後方から回転する何かがレオモンに向かって飛んで来た。

それに気付いたレオモンは腰の剣を抜くと飛んできた何かを弾く。

その勢いで恵理の元まで飛ぶつもりだったのが、大分前でレオモンは着地してしまう。

レオモンが弾いたそれは、クルクルと元の場所へ戻っていくと、バシッと緑色の手がそれを掴んだ。

それは白い棍棒の様なもの。

何かの骨の様にも見える。

そして、それを掴んだモノは、レオモンと同じぐらいの体躯に緑色の体表、鬼の様な見た目を持っていた。

 

「オーガモン………!」

 

レオモンが軽く目を見開く。

私はDアークを確認すると、そのデータが表示された。

 

「オーガモン 成熟期 ウィルス種 鬼人型デジモン。必殺技は『覇王拳』…………どうして恵理がデジモンを………!」

 

「さっき言った銀髪の人がね、配下に丁度いいって貸してくれたんだ。こいつ1体でベヒモスと同等以上の強さなんだよ」

 

その瞬間、コテモンがその小柄な体を活かして騎士達の間を掻い潜って恵理へ接近した。

 

「ファイヤーメン!!」

 

炎を纏った面打ちを繰り出す。

でも、

 

「勿論借りたのはこの1体だけじゃないよ」

 

コテモンの面打ちが横から伸びてきた刀に阻まれる。

 

「なっ!?」

 

そこに居たのは、落ち武者の様な姿をしたデジモン。

 

「ムシャモン 成熟期 ウィルス種 魔人型デジモン。必殺技は『切り捨て御免』………成熟期がもう1体………!」

 

私が表情を険しくすると、

 

「ッ!? そこっ!!」

 

優花が何かに気付いたように振り向いて手裏剣を投げつけた。

すると、

 

「おっと………良く気付いたな…………」

 

そこには死神の鎌のような武器を持ち、幽霊のようなフードを被ったデジモンが居た。

 

「ファントモン 完全体 ウィルス種 ゴースト型デジモン。必殺技は『ソウルチョッパー』…………完全体まで………!」

 

私がその事に戦慄していると、

 

「アハハハハハ! どうだい? 降霊術師である僕にゴースト型デジモンなんて皮肉が効いているだろう?」

 

恵理は笑いながらそう言う。

私は今の状況は迂闊に動けないと察した。

此方の現在の最大戦力である優花はファントモンと。

それに次ぐレオモンはオーガモンと。

コテモンはムシャモンと。

メルド団長は騎士達と。

香織は回復魔法を途切れさす訳には行かない。

完全にこちらの主力が抑え込まれている状況だった。

そして今、一番状況が崩れ易いのは成長期であるコテモンだ。

そこが崩されれば一気に形勢が決まってしまう恐れがある。

今は睨み合っているが、不利なのはこちら側だろう。

でも、その状況を動かしたのは私達でも恵理でもデジモン達でも無かった。

突如、リリアーナの目の前で障壁に剣を振るっていた騎士の1人が首を落とされて崩れ落ちた。

その倒れた騎士の後ろから姿を見せたのは……檜山君だった。

 

「白崎! リリアーナ姫! 無事か!」

 

「檜山さん? あなたこそ、そんな酷い怪我で!?」

 

リリィが檜山君の様子を見て顔を青ざめさせる。

檜山君の胸元はおびただしい血で染まっていた。

その量からかなり深い傷を負っているのだろうと予想出来る。

よろめいて障壁に手を着いた檜山君を、リリィは障壁の一部を解除して中に入れた。

そのまま持っていた剣を手放し、どさりと倒れ込む檜山君。

でも、その時私は矛盾を感じた。

今現在も香織は治癒魔法を発動し続けている。

唱えているのは中級範囲回復魔法の〝回天〟でも、香織の唱えるそれは上級回復魔法の〝聖典〟を上回る。

以前、瀕死のメルド団長ですら貧血になりながらも歩ける程度には回復させたのだ。

今も治癒魔法が効き続けているのに倒れるのはおかしい。

その瞬間、私は叫んでいた。

 

「ダメよ! 彼から離れてぇ!」

 

「きゃぁあ!?」

 

私が叫ぶのとほぼ同時に檜山君が飛び上がる様に起き上がってリリィを殴り飛ばし、香織に近付いたかと思うと、隠し持っていた短剣を取り出して、背後から香織の心臓目掛けて突き刺した。

 

「香織ぃいいいいーー!!」

 

私は絶望感に包まれながら親友の名を叫んだ。

檜山君………檜山はその瞳に狂気を宿していた。

 

「ひひっ、やっと、やっと手に入った。……やっぱり、南雲より俺の方がいいよな? そうだよな? なぁ、しらさ…いや、香織? なぁ? ぎひっ……! お前は俺のモノだ………!」

 

檜山は背後から香織を抱きしめようとしていた。

その瞬間、

 

「…………勝手な事言わないで欲しいかな」

 

「…………はえ?」

 

そんな声が聞こえると共に、パンと香織を抱きしめようとした檜山の手が叩き落され、檜山は素っ頓狂な声を漏らした。

心臓を突き刺されたはずの香織が何でもないように檜山の方を振り向き、左手に持っていた杖を振りかぶると、

 

「私は、〝ハジメ君のモノ〟なんだからね!」

 

その言葉と共に檜山の頬を打ち据えた。

 

「きゅぴっ!?」

 

檜山は吹き飛んで地面を転がる。

香織は杖を数回回転させると地面を突いて、リリィが殴られた時に解除された障壁を張り直す。

当然ながら、回復魔法も途切れていない。

 

「ど………どうひて…………」

 

香織に殴られた時に歯が折れたのか、ろれつの回らない言葉で檜山が狼狽える。

 

「どうして…………? それはどうして刺されたはずの私が無事だったのかって意味かな?」

 

香織の言葉で私はハッとして香織に向かって叫んだ。

 

「か、香織!? あなた大丈夫なの!?」

 

その問いかけに、

 

「あ、雫ちゃん。びっくりさせちゃってごめんね。檜山君は元々信用してなかったから一芝居打っただけだよ」

 

私の心配を他所に、香織は待ち合わせに少し遅れてごめんみたいなノリで謝って来る。

 

「そ、それよりも刺された場所は!?」

 

私は慌てて香織の指されたであろう背中の部分を確認する。

でも、そこには血は一滴も出ておらず、服にほんの少し穴が開いているだけだった。

 

「あれ………何で………?」

 

私は思わず声を漏らす。

 

「答えは簡単。ステータスの差だよ。檜山君の筋力は受けた感じ500前後って所。それに対して私の耐性は5700以上あるんだよ? それに最初から疑ってたから攻撃を受けていい様に〝金剛〟も発動させてたからね。しかも武器はただの短剣。それで私の防御を突破するなんて出来っこないよ」

 

香織は当たり前のようにそう言う。

すると、香織は檜山に視線を戻し、そのまま歩み寄っていくと右手で腰のホルスターから銃を抜く。

 

「さてと、前回は特に敵対したわけじゃなかったしハジメ君も興味無さそうだったからほっといたけど、今回は確実に敵対行為だね」

 

そのまま這いつくばる檜山に向かって銃口を向けた。

 

「ひっ………お、俺を殺すのか………香織…………」

 

「殺すよ。『敵は殺す』。ハジメ君が言ってたでしょ? 『敵』として私達の前に立つなら、元クラスメイトでも躊躇わず殺すって…………私も一緒だよ」

 

香織の目は本気だ。

 

「ひっ………! た、頼む………かお………いや、白崎さん! 2度とあなた達に関わらないと誓う………! だから、助けてくれ………!」

 

檜山は地面に頭を擦り付けて土下座する。

檜山の言葉を聞くと、香織は溜息を吐き、

 

「じゃあ、次から選ばせてあげる」

 

「は、はい…………!」

 

檜山はしめたと言わんばかりに顔を上げる。

 

「1つ目……………私に撃ち殺される」

 

「へっ…………?」

 

香織は淡々と、檜山は素っ頓狂な声を漏らす。

 

「2つ目……………雫ちゃんに斬り殺される」

 

「は……………?」

 

いきなり言われた私は驚いたけど、今の檜山なら私は迷わずに殺せる自信はある。

 

「3つ目……………優花ちゃんに刺し殺される」

 

「え……………?」

 

檜山は何を言われているのか理解できてないみたい。

 

「以上、好きなのを選んでいいよ」

 

香織はどうぞご自由にと言わんばかりに軽い声だ。

 

「悪いけど、私にそんな暇ないから」

 

ファントモンと睨み合っている優花がそう言った。

 

「そう? じゃあ私に撃ち殺されるか雫ちゃんに斬り殺されるかだね」

 

「ひぃっ………! そ、そんなの選べるわけ……………」

 

檜山は完全に腰を抜かしてあたふたとしている。

 

「別に選ばないなら選ばないでいいよ。もっと後悔するだけだから」

 

香織はそう言うと銃口を下げ、檜山の両足を撃ち抜いた。

 

「ひぎゃぁあああああああああああああああっ!?」

 

痛みに悲鳴を上げる檜山。

香織は逃げられないように檜山の両足を撃ち抜いたようだ。

更に香織は器用にも回天の魔法効果範囲を操って檜山だけを回復しないようにしている。

 

「さてと……………」

 

香織はそう言ってこちらを睨む恵理に向き直るのだった。

 

 

 

 

 






第38話です。
ちょっと中途半端ですが力尽きました。
今回は哀れ檜山君です。
既にこいつの末路は決まってますのでさもありなん。
さて、次回はいよいよコテモンが…………
お楽しみに。
それにしてもクラスメイト達が空気だ。

ハジメ達にパートナーデジモンを付けるか?【決戦投票】

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