ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第3話 訓練と月下の誓い

 

 

 

召喚されてから二週間が経った。

俺は訓練施設に向かいながらステータスプレートを見ていた。

俺のステータスは以下の通りである。

 

 

 

 

 

 

黒騎 大士 17歳 男 レベル:2

 

天職:■■■■テイマー

 

筋力:13

 

体力:13

 

耐性:13

 

敏捷:11

 

魔力:0

 

魔耐:12

 

技能:言語理解・■■■■

 

 

 

相変わらず魔力はゼロ。

やはり俺には魔法の才能は無いらしい。

序に言えば、天之河はレベルが10で各ステータスが200らしい。

泣けるね。

ハジメも似たようなステータスだが、あいつは低いステータスを補うために知識を付けようと毎日夜遅くまで勉強している。

そんなハジメを純粋に凄いと思う。

あいつならその内こっちの世界でも銃とかミサイルとかでも作っちゃいそうな気がする。

そうすれば、低いステータスを補って余りある重要なファクターになるだろう。

それに比べて俺は…………

再びステータスプレートを見つめる。

メルド団長の話ではビーストテイマーという事だが、この二週間で何回も犬猫などでテイムを試しているが、一匹たりとも成功していない。

葵さんも同じくだ。

 

「テイマー…………か…………」

 

俺にとってのテイマーと言えばデジモンテイマーだ。

 

「ドルモン…………」

 

俺はパートナーの名を呟く。

ドルモンが傍に居てくれればデジタルワールドでも異世界でも大丈夫と思えるのに………

 

「ダメだな…………これじゃあドルモンに甘えてるだけだ」

 

俺は首を振って気を取り直す。

ドルモンと再会するときは胸を張って再会したい。

だから、ドルモンが傍に居ないことを言い訳にせずに、俺もハジメを見習って頑張らないと。

 

「うし!」

 

両頬を叩いて気合いを入れ直した。

そのまま訓練施設に到着すると、

 

「ぐぁ!?」

 

苦しそうなハジメの声が聞こえた。

 

「ほら、なに寝てんだよ? 焦げるぞ~。ここに焼撃を望む――〝火球〟」

 

俺がそちらに振り向くと、あろうことか 檜山、中野、斎藤、近藤の四人がハジメを取り囲んで魔法を放っていたのだ。

ハジメは放たれた火球を転がりながらなんとか避ける。

だが、

 

「ここに風撃を望む――〝風球〟」

 

斎藤が魔法を放ち、風の塊がハジメの腹部に直撃して仰向けに吹き飛ばされる。

ハジメはオエッと胃液を吐きながら蹲った。

 

「何やってんだお前ら!!」

 

俺は思わず声を荒げた。

檜山達はああん?と視線を俺に向けると、

 

「なんだ? もう1人の役立たずじゃん。俺達は南雲の特訓に付き合ってやってるだけだぜぇ?」

 

「そうそう。こんな役立たずの錬成師の特訓に付き合ってやってる俺達って優しー!」

 

檜山達はゲラゲラと笑っている。

こいつらは…………!

 

「ハジメを一方的に痛めつけることが特訓かよ…………!」

 

俺は怒りから拳を握りしめる。

 

「ああん? 俺達のやり方に何か文句あんのか?」

 

「俺達より弱っちい奴が口を出すんじゃねえよ」

 

「強い俺達が弱い奴の相手をしてやるだけでも弱い奴の特訓になるんだよ」

 

コイツらには何を言っても無駄だ。

『力』を得てその力を振りかざす事に酔いしれている。

 

「………………………」

 

俺が奴らを睨み付けていると、

 

「あぁ!? 何ガン垂れてんだ!?」

 

「なあ。折角だからよ、こいつにも特訓を付けてやろうぜ?」

 

「そりゃあいい! 感謝しろよ。俺達が直々に特訓に付き合ってやるよ」

 

歪んだ笑みを浮かべながら俺に手を向けてくる4人。

 

「「ここに焼撃を望む――〝火球〟」」

 

「「ここに風撃を望む――〝風球〟」」

 

俺に魔法を放ってくる。

4人が使ったのは火と風の下級魔法。

この世界の一般人ならそれほどでもないのだが、チートのこいつらが使えば下級魔法でも立派な凶器だ。

だが、こいつらは一方的に痛めつけることだけを考えていて、反撃を受ける事など露程にも想定していない。

俺はドルモンと一緒にデジモンたちとの戦いを潜り抜け、デ・リーパーとの戦いではドルモンと融合進化して一緒に戦ったのだ。

相手が4人とは言え、一直線に飛んでくる攻撃など怖くは無い。

俺は身を低くしながら前に走り出し攻撃を掻い潜ると、支給された細身の剣を抜いて檜山の目の前に突き付けた。

 

「ひっ…………!?」

 

檜山は悲鳴を上げて後ずさる。

 

「確かに俺はお前達よりも弱いさ。けど、窮鼠猫を噛むというように思い掛けない反撃にあう事も考えるべきだったな。これが実戦だったらお前の眼を失明させることぐらいは出来たぞ」

 

檜山は悔しそうに歯軋りする。

 

「このっ………!」

 

檜山が何か叫びそうになった時、

 

「何やってるの!?」

 

その声に檜山達は拙いものを見られたという表情になった。

何故ならその声の主は檜山達が惚れている白崎さんだったのだから。

他にも葵さんや八重樫さん。

天之河に坂上もいる。

 

「いや、誤解しないで欲しいんだけど、俺達、南雲の特訓に付き合ってただけで……」

 

「ハジメくん!」

 

檜山の弁明を無視して、白崎さんは倒れているハジメに駆け寄る。

 

「特訓ね。それにしては随分と一方的みたいだけど?」

 

「いや、それは……」

 

「言い訳はいい。いくら南雲が戦闘に向かないからって、同じクラスの仲間だ。二度とこういうことはするべきじゃない」

 

「くっだらねぇことする暇があるなら、自分を鍛えろっての」

 

三者三様に言い募られ、檜山達は誤魔化し笑いをしながらそそくさと立ち去った。

すると、

 

「君もだ黒騎。例え檜山達を止めるためとはいえ、仲間に剣を向ける物じゃない」

 

何か俺にも文句を言って来た。

 

「は?」

 

俺は思わず素っ頓狂な声を漏らした。

 

「ちょっと光輝…………!」

 

八重樫さんは天之河を止めようとしたが、

 

「雫は黙っててくれ。南雲を助けようとしたことは認めるが、剣を向けるのはやり過ぎだ!」

 

天之河は八重樫さんを黙らせて俺に言った。

 

「一応弁明するが、先に魔法を撃ってきたのは向こうだぞ?」

 

「だからと言って仲間に剣を向けるのは気が短すぎると言っているんだ! 先ずはその場を仲裁してだな………!」

 

コイツは自分なりの場の治め方を説明しているが、

 

「ハッキリ言うが、格下である俺の言葉をあいつらが聞くとは思えないんだが?」

 

「そんな事は無い! クラスメイトを………仲間をもっと信じるんだ!」

 

言ってることは格好いいんだが、生憎と俺にはアンタほどのカリスマも無ければ実力も無い。

 

「悪いが俺はお前ほど簡単に人を信用できない。突然手に入れた『力』に酔いしれて、無力な人間にその矛先を向ける奴は特にな。後言っておくが、さっきのはあいつらが油断していたから一矢報いることが出来ただけだ。真っ向から戦えば俺はステータスの差で確実に負ける。俺があいつらを止めるためには不意を突くしか無かったんだよ。寧ろ本当に刺さなかっただけありがたいと思ってくれ」

 

俺がそう言った時、白崎さんの治癒魔法によりハジメの治療が終わった所だった。

 

「あ、ありがとう。香織さん。助かったよ」

 

苦笑いするハジメに白崎さんは泣きそうな顔でブンブンと首を振る。

 

「いつもあんなことされてたの? それなら、私が……」

 

「いや、そんないつもってわけじゃないから! 大丈夫だから、ホント気にしないで!」

 

「でも……」

 

「南雲君、何かあれば遠慮なく言ってちょうだい。香織もその方が納得するわ」

 

八重樫さんはそう言うが、ハジメにしてみれば自分の彼女に心配をかけたくないんだろう。

と、そこへ、

 

「だが、南雲自身ももっと努力すべきだ。弱さを言い訳にしていては強くなれないだろう? 聞けば、訓練のないときは図書館で読書に耽っているそうじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬にあてるよ。南雲も、もう少し真面目になった方がいい。檜山達も、南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?」

 

その言葉に俺は呆気にとられた。

何をどう解釈すればあいつらの行動をそんな風に好意的に受け止められるのか?

しかもこいつはハジメが戦闘職じゃないのに強くなれと言っているのだ。

人は誰しもお前のように完璧超人じゃねーんだよと俺は言いたい。

 

「ごめんなさいね? 光輝も悪気があるわけじゃないのよ」

 

「アハハ、うん、分かってるから大丈夫」

 

その事を分っている八重樫さんがハジメに謝罪し、ハジメも苦笑いで相槌を打つ。

だが、その事を看過できない人物が居た。

 

「ちょっと天之河君? 黙って聞いていれば南雲君が努力していない? ふざけないで!」

 

葵さんが天之河を睨み付けながらそう声を発した。

 

「か、神代さん? いや、南雲が努力していないのは本当だろう? 結果が伴っていないんだ」

 

その言葉に俺はカチンときた。

それは目に見える結果が伴わない努力は努力じゃないと言っていることと同義だ。

それは葵さんも同じようだ。

葵さんは黙って自分のステータスプレートを天之河に見えるように突き付けた。

その内容は、

 

 

 

 

神代 葵 17歳 女 レベル:2

 

天職:■■■■テイマー・■■

 

筋力:11

 

体力:11

 

耐性:11

 

敏捷:12

 

魔力:13

 

魔耐:13

 

技能:言語理解・■■

 

 

 

 

「これが私のステータスよ。平均すれば南雲君と同じぐらい。しかも非戦闘職の南雲君とは違って一応戦闘職よ。私の努力の量は香織と同じぐらいよ。それで南雲君にだけ努力しろって説教するのはお門違いじゃない?」

 

当然ながら白崎さんのステータスの上昇具合はチートレベルだ。

 

「か、神代さんは普通の女の子じゃないか! 弱くても仕方ないよ」

 

天之河はそんな事を言う。

 

「それを言うなら南雲君も“普通”の男の子なんだけどね。あなた達とは違ってチートを持ってないし」

 

「そ、それは…………」

 

「それに南雲君はちゃんと自分が弱いって事を分ってる。だからその弱さを補うために知識を付けようと誰よりも遅くまで図書館で勉強してる! それが努力と言わずに何て言うの!?」

 

葵さんはそこまで捲し立てた。

 

「………………………」

 

天之河は何も言えなくなってしまい、俺達の間に何とも言えない空気が流れる。

すると、

 

「ほら、もう訓練が始まるよ。行こう?」

 

ハジメがそう言って訓練施設に戻るよう促す。

葵さんは不機嫌な表情のまま天之河から顔を逸らすと訓練施設に歩き出した。

俺もそれに続く。

ギクシャクした雰囲気の中今日の訓練が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

訓練が終了した後、メルド団長が言った。

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

このクラスの殆どが初めて体験するであろう、『実戦』の幕開けだった。

 

 

 

 

 

 

 【オルクス大迷宮】

 

 

 

それは、全百階層からなると言われている大迷宮である。七大迷宮の一つで、階層が深くなるにつれ強力な魔物が出現する。

俺達はメルド団長率いる騎士団員複数名と共に、【オルクス大迷宮】へ挑戦する冒険者達のための宿場町【ホルアド】に到着した。

新兵訓練によく利用するようで王国直営の宿屋があり、そこに泊まる。

俺はハジメと2人部屋だ。

ハジメはこんな日にも夜遅くまで図鑑を読み耽って勉強している。

素直に感心すると同時に蝋燭の明かりとページを捲る音が気になって眠れないが。

暫くしてハジメもようやく眠くなってきたのかウトウトし始める。

ようやく眠れると思ったその時、部屋のドアがコンコンとノックされた。

 

「ハジメくん、起きてる? 香織だけど。ちょっと、いいかな?」

 

その言葉に俺もハジメも眠気が吹っ飛んだ。

ハジメが慌ててドアに駆け寄って開けると、そこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの白崎さんが立っていた。

……………これは、まさかの夜這いか!?

となると俺は邪魔だな。

 

「おっと、俺は少し用事を思い出した。白崎さんはごゆっくり」

 

俺は白崎さんと入れかわるように部屋を出る。

 

「え? ちょっと大士!?」

 

ハジメが何やら叫んでいたようだが俺は構わずその場を離れた。

 

 

とりあえず時間を潰そうと思った俺は宿の敷地内にあるベンチに座って月を眺めていた。

暫くそうしていると、

 

「あれ? 大士君?」

 

後ろから声を掛けられた。

俺が振り向くと、そこには葵さんが立っていた。

 

「葵さん? どうしてここに?」

 

「大士君こそ」

 

俺が問いかけると逆に質問される。

 

「俺は白崎さんがハジメを訪ねてきたから邪魔したら悪いと思って」

 

「あ~、そう言うコト…………」

 

葵さんはそれだけで納得する。

因みに葵さんもハジメと白崎さんが付き合っていることを知る1人である。

 

「葵さんは?」

 

「私は………ちょっと眠れなくて…………」

 

葵さんはそう言いながら俺の隣に座る。

因みに約1人分の隙間は空いている。

 

「緊張してる?」

 

「うん………まあね…………」

 

その言葉通り、葵さんの表情は少し硬い。

それも仕方ないだろう。

ただでさえ初めての実戦の上に、葵さんは俺やハジメと同じようにチートなステータスは持ってないのだ。

 

「大士君は…………怖くないの?」

 

「怖いよ」

 

その質問に俺は即答した。

 

「戦うのは怖い。殺されることも怖い。そして…………殺す事も怖い」

 

それはデジモン達との戦いで良く分かっている。

 

「だけど………怖くて何もしなかったら、望む未来は手に入らないから…………」

 

「望む未来?」

 

「ああ」

 

「それって何か聞いてもいい?」

 

「まあ、当面の目標は友達と胸を張って再会することだな」

 

「友達?」

 

「ああ。小学生の時に別れてしまった、最高の友達…………あいつとまた会えた時に、胸を張って再会したいって思ってる」

 

「そうなんだ………………大士君も………」

 

「俺“も”?」

 

「うん、私にもいるんだ。小学生の時に出会った大切な友達が……………ほんの一ヶ月ぐらいしか一緒に居られなかったけど、あの子と一緒に居た時間は、とても大切な思い出………」

 

「そっか…………」

 

俺達は笑い合うと黙り込んでしまった。

 

「……………話聞いてくれてありがとね。ちょっと気が楽になったよ」

 

「そう? 役に立てたなら何よりだよ」

 

「うん。明日、頑張ろうね!」

 

「ああ」

 

その言葉に俺は頷く。

すると、葵さんは立ち上がり、

 

「じゃあ、お休み!」

 

「お休み、葵さん」

 

そう言って葵さんは自分の部屋に戻っていった。

 

 

 

因みにハジメと白崎さんは特に何事も無かったそうな。

 

 

 

園部 優花はどちらのヒロイン?

  • オリ主
  • ハジメ
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